メグラシ
着こなす

60代のファッション|変えるのは軽さ・顔まわり・丈・着脱・靴の5つ

メグラシ編集部//読了 28分
やわらかな光の入る窓辺で、明るい色のニットに軽い羽織りを重ねた60代の女性が、穏やかな表情で外出の支度をしている

60代のファッションで変えるのは、素材の軽さ、顔まわりの明るさ、丈の止まる位置、着脱のしやすさ、靴の歩きやすさの5つです。好きな色、好きな形、自分らしいと感じる組み合わせは変えなくてかまいません。50代までと同じ服を着ているのに出かける前に迷うことが増えたなら、好みが外れたのではなく、この5つのどれかが今の暮らし方とずれ始めているだけです。

いちばん先に動かすのは足元と顔まわりです。靴は、かかとに指1本分のゆとりがあり、靴底がつま先から3分の1あたりで曲がるものを選びます。顔の下およそ20cmの範囲には、髪の色と同じ明るさか、それより1段明るい色を置きます。白髪やグレーの髪になってきた方ほど、この顔まわりの1か所で全体の印象がまとまります。

迷ったときは、体の形や年齢を「隠す」「整え直す」方向ではなく、今日の予定を最後まで楽に過ごせるかで決めます。上着は肩に掛けて1分立ったとき、肩が下に引かれる感じがないもの。前開きは片手で10秒以内に開けられるもの。この5つのものさしを持っておけば、孫との外出、同窓会、旅行、冠婚葬祭、通院のどの場面でも、自分で答えを出せるようになります。

50代までと変わる5つの軸の早見表

60代の服選びで変わるのは、似合う服の種類よりも、同じ服を選ぶときの「ものさし」です。まず5つの軸を並べ、どこが今の自分とずれているかを確かめてください。

軸50代までの選び方60代からのものさし自分で確かめる方法
素材の軽さ見た目の質感で選ぶ同じ役目なら軽いほうたたんで片手に乗せて比べる
顔まわりの明るさ好きな濃い色を顔の下にも髪の色と同じか1段明るく鏡で髪と襟元を同時に見る
丈流行の丈をそのまま歩幅と座り姿で決める階段を2段上がって裾を見る
着脱のしやすさ留め具は気にしない片手で10秒以内に開く座ったまま前を開けてみる
靴の歩きやすさ服に合わせて選ぶ歩ける距離から逆算かかとの指1本と靴底の曲がり

表のどれか1つでも合わないと感じたら、その軸だけを動かしてください。5つを一度に変える必要はありません。1つずつ動かすほうが、どの変化が自分に効いたのかが分かり、次の買い物で迷わなくなります。

50代までの服を見直すときの考え方は、同じ役目の記事として40代のファッションの基本にもまとめています。60代では、そこに「着脱」と「靴」の2つが加わる、と考えると整理しやすくなります。

素材の軽さ:片手に乗せて比べる

60代の服選びで最初に効いてくるのが、素材の軽さです。同じ形のカーディガンでも、糸の太さや編み方で重さはかなり変わります。見た目で選んだ服が、半日着ていると肩や首に負担を感じる、ということはめずらしくありません。

確かめ方は簡単です。役目が同じ服を2枚たたんで、片手ずつに乗せて比べます。重いと感じたほうは、外出の時間が長い日には出番を減らし、短い用事の日に回します。新しく選ぶときも、売り場で同じ役目の服を2枚持ち比べるだけで、判断がぐっと楽になります。

軽さを優先しても、薄すぎる素材を選ぶ必要はありません。目安は、生地を光にかざしたとき、向こう側の形がぼんやりとしか見えない程度の厚みです。これより薄いと、体の線を拾いやすく、下に着る服の色も透けやすくなります。軽くて、ほどよく厚みのある素材を探すのがいちばんの近道です。

上着の重さを量って選び直す方法は、秋冬の上着を重さで選び直す記事で、体重計を使った手順まで詳しく紹介しています。

顔まわりの明るさ:顔の下20cmだけを見る

60代になると、髪の色や肌の印象が少しずつ変わり、50代まで似合っていた濃い色が、顔のそばでは重く感じられることがあります。これは色の好みが変わったのではなく、顔と服の間にある「明るさの差」が広がったためです。

変えるのは、顔の下およそ20cmの範囲だけです。襟元、胸元、ストールやスカーフの位置がここに当たります。この範囲に、髪の色と同じ明るさか、それより1段明るい色を置くと、顔と服の明るさがつながって、表情が自然に見えます。

確かめ方は、鏡の前で髪と襟元を同時に視界に入れることです。髪と服の明るさが近ければ、目は顔のほうへ自然に向かいます。服だけが暗く沈んで見えるなら、顔まわりの1枚を明るくするか、明るいスカーフを1枚足してください。

顔から近い位置の色の明るさを数字で置く方法は、60代女性のお手本ファッションで、白を基準にした段階の考え方として紹介しています。

丈:階段2段と座り姿で決める

丈は、見た目のバランスだけでなく、歩くとき・座るときの楽さで決めます。60代の外出では、駅の階段、バスの段差、食事の席、待合室の椅子など、立ったり座ったりの場面が多くなるからです。

スカートは、階段を2段上がったときに裾を踏まず、つま先が見える長さが目安です。座ったときにひざが隠れる長さだと、長時間の食事や集まりでも気になりません。パンツは、立ったときにくるぶしが半分見えるか、靴の甲に軽く触れる長さにすると、歩いたときに裾が引っかからず、足元がすっきりします。

上着やトップスの丈は、腕を前に上げたときの裾の動きで確かめます。前の裾が大きく上がる服は、写真や鏡で見たときに気になりやすくなります。腕を上げても裾の動きが少ない服の選び方は、シニア世代60代のファッションで詳しく測り方をまとめています。

前の裾だけが上がって見える悩みについては、前の裾が上がって見える服の選び方が入口になります。

着脱のしやすさ:片手で10秒以内に開くか

60代の服選びで、50代までと大きく変わるのが着脱のしやすさです。外出先で上着を脱ぐ、室内で1枚足す、試着室で着替える、病院で袖をまくる。こうした場面が増えると、留め具の扱いやすさがそのまま一日の楽さにつながります。

確かめ方は、椅子に座ったまま、前開きの服を片手で開けてみることです。10秒以内に開けられるなら、外出先でも困りません。ボタンが小さい、ボタン穴がきつい、ファスナーの引き手がつまみにくい、といった服は、家で過ごす日に回すと無理がありません。

選ぶときの目安は、ボタンの直径が1.5cm前後あるか、ボタンを留めずに羽織っても形が崩れないかです。留めずに着られる羽織りが1枚あると、温度の変化が大きい日でも、脱ぎ着を気にせずに出かけられます。

重ね着を何枚にするかは、脱ぎ着の回数から決めると迷いません。この考え方は重ね着は脱ぎ着の回数で枚数を決める記事にまとめています。

靴の歩きやすさ:歩ける距離から逆算する

靴は、60代のファッションの中でいちばん先に見直してほしいところです。外出の楽しさは、その日どれだけ歩けるかで決まることが多く、靴が合っていると服の選択肢も広がります。

確かめるのは3つです。1つ目は、立った状態でかかとに指1本分のゆとりがあること。2つ目は、靴底がつま先から3分の1あたりで曲がること。3つ目は、甲をベルトやひもで留められ、歩いたときにかかとが浮かないことです。この3つがそろっていれば、長く歩く日でも足元を気にせずに過ごせます。

ヒールの高さは、3cm以下を目安にします。高さよりも大切なのは、かかとの接地面が広いかどうかです。細いヒールより、底面がしっかり広いもののほうが、段差や石畳でも安定します。

服と靴の合わせ方で迷ったら、靴を先に決めてから服を合わせてください。歩きやすい靴に合う丈と色を服の側で選ぶほうが、服に合わせて靴を我慢するより、ずっと長く快適に過ごせます。

変えなくていいもの:好きな色と好きな形

ここまで変える5つを見てきましたが、同じくらい大事なのが「変えなくていいもの」です。60代になったからといって、好きな色や好きな形を手放す必要はありません。

好きな濃い色は、顔から離れた位置、つまりボトムや羽織り、バッグや靴に残します。好きな柄は、柄の大きさと置く場所を選び直せば、これからも楽しめます。柄のひとつの大きさを手のひらで測る方法は、柄物は柄の大きさを手のひらで測る記事で紹介しています。

好きな形も同じです。ワイドなパンツが好きなら、裾の長さを靴に合わせて調整し、素材を軽いものに置き換えます。ロングスカートが好きなら、階段を2段上がっても裾を踏まない長さを選びます。形はそのまま、ものさしだけを今の暮らしに合わせる、という考え方です。

60代の装いを「何かを足し引きするもの」ではなく「これまでの自分を素直に映すもの」として考えたい方は、60代の装い哲学も読んでみてください。

白髪・グレーの髪と服の色の合わせ方

白髪やグレーの髪は、服の色の見え方を大きく変えます。髪の色が明るくなるほど、顔まわりに置く色も明るいほうが、髪と服がひと続きに見えます。ここでは、髪に占める白髪の割合で3つに分けて考えます。

髪の状態顔まわりに置きやすい色濃い色を使うなら迷ったときの小物
白髪が3割未満これまでの色をそのままボトムと羽織り髪色に近い色のストール
白髪が3割から7割明るいグレー・生成り・淡い色顔から30cm以上離す白に近いスカーフ
白髪が7割以上白・明るいグレー・澄んだ色ボトムと靴だけ銀色の小さなアクセサリー

白髪の割合は、鏡の前で分け目を左右に動かして、明るい毛と暗い毛のどちらが多いかを見れば十分です。正確な割合を測る必要はありません。

白髪が増えている途中の時期は、髪の明るさが季節ごとに変わっていきます。このときに服を大きく買い替えると、半年後にはまた合わなくなることがあります。顔まわりはストールやスカーフで調整し、服そのものは急いで変えない、というのが無駄の少ない進め方です。

白髪を染めずに整える髪型の考え方は、白髪を染めずに整える髪型にまとめています。髪と服を同時に見直すと、どちらの判断も早くなります。

髪の形とボリュームと服のつながり

髪の色と同じくらい、髪の形も服の見え方に影響します。髪の量が減ってきたり、髪の流れが変わってきたりすると、同じ服でも上半身のバランスが変わって見えます。

目安は、頭の大きさと肩幅の関係です。髪のボリュームが頭頂にあると、肩まわりにゆとりのある服とつり合いやすくなります。顔まわりにボリュームがあるなら、襟元はすっきりした形にすると、顔のまわりが混み合いません。

髪のボリュームをどこに置くかは、60代・70代の髪型のボリューム配分で詳しく解説しています。面長の方がショートヘアにするときの考え方は、60代の面長のショートヘアが入口になります。

服を選ぶ日と、美容院に行く日を近づけるのも1つの方法です。髪の形が決まってから服の襟の形を選ぶと、迷う時間がかなり減ります。

自分に当てはまるかを見分ける3つのチェック

ここまでの5つの軸のうち、どこから手をつけるかを決めるために、3つのチェックを用意しました。出かける前の支度と、帰ってきたあとの体の感じ方を思い出しながら確かめてください。

1つ目は、帰宅後に最初に脱ぎたくなる服はどれか、です。上着ならその重さ、靴なら靴の歩きやすさ、トップスなら首まわりの素材が、今のずれの場所です。

2つ目は、出かける前に鏡の前で何回着替えたか、です。2回以上着替える日が多いなら、顔まわりの明るさか、丈のどちらかが合っていない可能性があります。顔を見て着替えたなら顔まわり、全身を見て着替えたなら丈から見直します。

3つ目は、外出先で「脱げない」「着られない」と困った場面があったか、です。あったなら、着脱のしやすさから見直します。困った場面が思い当たらないなら、軽さか靴から始めるのがおすすめです。

骨格タイプ別の入口

骨格のタイプは、年齢を重ねても大きく変わるものではありません。60代では、それぞれのタイプに合う素材の中から、軽いものと着脱しやすいものを選ぶ、と考えると迷いません。まだ自分のタイプが分からない方は、メグラシの無料の骨格診断で傾向をつかんでから読み進めてください。

骨格タイプ合いやすい素材60代で選ぶときの一歩着脱で気をつけること
ストレート張りのある素材張りがあって軽い素材を選ぶ前開きの直線的な羽織り
ウェーブ柔らかく薄い素材薄さを保ちつつ透けない厚み腰までの短めの羽織り
ナチュラルざっくりした素材厚みより軽さを優先大きめで留めずに着られる形

ストレートの方は、張りのある素材が重くなりやすいので、同じ張りでも軽いものを探すのが近道です。ウェーブの方は、薄い素材が好みでも、光にかざして透けすぎないものを選びます。ナチュラルの方は、ざっくりした厚手の素材が似合いますが、重さが出やすいので、片手で持ち比べて軽いほうを選んでください。

縦の線を意識したきりっとした着こなしが好きな方は、かっこいい60代のコーディネートも参考になります。

パーソナルカラー別の入口

パーソナルカラーは、髪の色が変わったあとに見直すと、これまでと違う発見があることがあります。自分の色の傾向をまだ知らない方は、メグラシの無料のパーソナルカラー診断から始めてください。

傾向顔まわりに置きやすい色白髪・グレーの髪と合わせるとき
黄みが合う明るい色生成り・明るいベージュ・淡い黄緑生成りを顔の下に置く
黄みが合う深い色キャメル・からし色・深い緑首元だけ生成りを足す
青みが合う明るい色淡いピンク・ラベンダー・水色明るいグレーと重ねる
青みが合う深い色白・濃紺・深い赤白を顔の下に置く

表の右の列は、髪が明るくなったときの調整です。深い色が合う方も、髪の色が明るくなってきたら、顔のすぐ下に白や生成りを1枚はさむと、得意な色をそのまま楽しめます。

パーソナルカラーと骨格と顔の印象を掛け合わせた60代向けの具体例は、たとえばイエベ秋×ストレート×クール顔の60代同窓会コーデのように、組み合わせごとの記事で紹介しています。顔の印象の傾向は無料の顔タイプ診断で調べられます。

どちらとも取れるときの決め方

骨格もパーソナルカラーも、はっきり1つに決まらない方は少なくありません。また、軽さを取るか見た目を取るか、着脱を取るか形を取るか、といった迷いも出てきます。60代のファッションでは、迷ったときの決め方を先に持っておくと、買い物がずっと楽になります。

決め方の順番は、「その日の予定を最後まで楽に過ごせるか」→「顔まわりが明るく見えるか」→「好きな形か」です。1つ目で迷ったら、外出時間が長い日用には楽なほうを、短い用事の日用には好きなほうを選びます。

骨格のタイプで迷う場合は、生地を指でつまんで、自分の肌の上で見たときに自然に見えるほうを選びます。パーソナルカラーで迷う場合は、髪の明るさに近いほうの色を顔まわりに置き、もう一方はボトムや小物で楽しみます。

それでも決められないときは、両方の要素を半分ずつ取り入れます。たとえば、張りのある素材と柔らかい素材のどちらか迷ったら、トップスは柔らかく、羽織りは張りのあるものにする、という分け方です。迷いは、どちらかを捨てることでなく、置き場所を分けることで解決できます。

孫との外出の服

孫との外出は、60代の暮らしの中でも楽しみの多い場面です。公園で一緒に歩く、しゃがんで目線を合わせる、抱き上げる、食事をする。動きが多いので、5つの軸の中でも、着脱のしやすさと靴の歩きやすさがとくに効いてきます。

選ぶときの目安は、しゃがんだときに背中が出ないトップスの丈、しゃがんでもひざが窮屈でないパンツ、洗いやすく汚れが気になりにくい素材です。羽織りは、抱き上げるときに腕が上がりやすい、肩にゆとりのある形を選びます。

孫と一緒にランチに出かける日の服装は、孫と楽しむ日曜ランチの服装で、失敗しにくい組み合わせを紹介しています。孫との写真に残る記念日の装いは、孫との写真に残る60代の装いが入口です。

写真に残る日は、顔まわりの明るさを1段上げておくと、あとで見返したときの満足感が違います。

同窓会・友人との集まりの服

同窓会や友人との集まりは、長い時間座って話すことが多く、写真を撮る機会もある場面です。見た目の印象と、座っている時間の楽さの両方を考えます。

目安は、座ったときにウエストがきつくならないボトム、写真に写る胸元から上が明るい色、長く座っても形が崩れにくい素材です。会場が暖かいことも多いので、脱いでも困らない羽織りを1枚選んでおくと安心です。

同窓会の服装の具体的な選び方は、同窓会の服装【60代女性】にまとめています。友人とのお茶の時間を楽しむ装いは、60代の友人とのお茶時間が参考になります。

食事会や会食で少しきちんとしたい日は、60代の会食・食事会の服装を、ホテルでのお茶会のように2時間ほど座って過ごす日は、ホテルのアフタヌーンティーの装いを読んでから組み立ててください。

旅行の服

旅行は、60代のファッションの5つの軸がすべて試される場面です。長く歩く、乗り物で座る、気温の違う場所を移動する、荷物を持つ。どれか1つが合っていないと、旅の楽しさが削られてしまいます。

旅行の服で最初に決めるのは靴です。旅先で一日にどれくらい歩くかを考え、その距離を歩いても疲れにくい靴を選びます。次に、乗り物の中と外の気温差に合わせて、脱いでも小さくたためる羽織りを1枚。最後に、写真に写る顔まわりを明るくします。

秋の旅行で替えるところは、60代の秋の旅行の服装で、肩線・裾丈・靴底の3か所に絞って紹介しています。温泉旅行では、浴衣への着替えや脱ぎ着の回数が多くなるので、60代の温泉旅行の服装で留め具を減らす考え方を確かめてください。冬の旅行の防寒は、60代の冬の旅行コーデが入口です。

冠婚葬祭の服

冠婚葬祭は、決まりごとがある場面なので、5つの軸の中でも「丈」と「着脱」を、場のルールに合わせながら整えます。

結婚式にお呼ばれしたときは、立場によって選び方が変わります。子どもの結婚式なのか、姪や甥の式なのか、友人の家族の式なのかで、服の格が変わるからです。立場ごとの選び方は、60代女性の結婚式の服装で8つの型に分けてまとめています。

還暦のお祝いの席に出る場合は、主役として祝われるのか、家族として同席するのかで装いが変わります。こちらは還暦祝いの服装が入口です。

お葬式や法事では、手持ちの喪服が今の体に合っているかを、行事の前に一度着て確かめておくと安心です。座る時間が長いので、座ってウエストがきつくないか、正座や立ち座りで裾が気にならないかを見ておきます。前開きのジャケットなら、会場の温度に合わせて脱ぎ着ができます。

通院・日常の用事の服

通院や役所、銀行などの日常の用事は、見た目よりも着脱のしやすさが大切な場面です。診察で上着を脱ぐ、袖をまくる、待合室で長く座る、といった動きを想定して選びます。

目安は、前開きで留めずにも着られる羽織り、ひじの上まで楽にまくれる袖口、座っても締めつけないウエストです。袖口が細くまくりにくいトップスは、通院の日には避けて、ゆとりのある袖口のものを選びます。

待合室は暑かったり寒かったりと温度がさまざまなので、ひざに掛けられる大判のストールが1枚あると便利です。顔まわりの明るさを足す役目もかねられます。

通院の日に迷いやすいのは、きちんとした印象と楽さのどちらを取るかです。この場面では楽さを先に取り、顔まわりの明るさだけを整えます。明るい色のトップスに、留めずに着られる羽織りを重ねれば、待合室で長く座っても、診察で上着を脱いでも慌てずにすみます。靴は脱ぎ履きしやすいものを選び、ひもを結び直さなくても履ける形だと、受付や検査の場面でも落ち着いて動けます。

日常の用事の日の服は、何度も着る服になります。洗いやすく、しわになりにくい素材を選ぶと、手入れの手間も減ります。家にいる日と外出する日の間にある「ちょっと出かける日」の服を整えておくと、毎日の支度がずっと楽になります。

場面別の早見表

ここまでの場面ごとの選び方を、5つの軸のうち、とくに優先するものでまとめます。予定が決まったら、この表で優先する軸を確かめてから服を選んでください。

場面最優先の軸次に見る軸目安
孫との外出靴の歩きやすさ着脱のしやすさしゃがんでも背中が出ない丈
同窓会・友人との集まり顔まわりの明るさ丈座ってもウエストが楽
旅行靴の歩きやすさ素材の軽さ小さくたためる羽織り
冠婚葬祭丈着脱のしやすさ行事の前に一度着て確かめる
通院・日常の用事着脱のしやすさ素材の軽さひじの上まで袖がまくれる

表の右の目安は、迷ったときに最初に確かめる1点です。全部を満たす服を探すより、最優先の軸を満たす服を選び、残りを羽織りや小物で補うほうが、手持ちの服を生かせます。

秋冬のコートの選び方

秋冬のコートは、60代のファッションの中で、重さの影響がいちばん大きい服です。冬の外出は時間が長くなりがちで、重いコートは帰宅後の疲れにつながります。

コートを選ぶときの順番は、重さ→着脱→丈→色です。重さは、肩に掛けて1分立ったときに肩が下に引かれる感じがないかで確かめます。着脱は、袖を通すときに腕を後ろに大きく回さなくても着られるか。裏地が滑りやすい素材だと、腕を通すのが楽になります。

丈は、ひざが隠れる長さが寒さをしのぎやすい一方、階段や乗り物の乗り降りでは長すぎる丈が扱いにくくなります。階段を2段上がっても裾を踏まない長さを目安にします。色は、顔のすぐ下に来る襟元だけ、髪の色に近い明るさを選ぶと、顔まわりが明るく見えます。

冬の装いを体の3つの段に分けて考える方法は、60代の冬コーデで紹介しています。

秋冬のニットの選び方

ニットは、素材の軽さと顔まわりの明るさの両方を整えやすい服です。60代では、厚手のニット1枚より、薄手のニットを重ねたほうが、軽さと温度調整の両方を取りやすくなります。

首まわりの形は、髪の長さと合わせて選びます。髪が短い方は首まわりが詰まった形も似合いますが、着脱で髪が乱れやすいので、首まわりにゆとりがあるものを選びます。髪が長い方は、首まわりが開いた形のほうが、髪と襟が重ならずにすっきり見えます。

重ね着をすると着ぶくれが気になる、という声もよく届きます。何枚目で重ね着を止めるかの考え方は、着ぶくれする重ね着を何枚目で止めるかで詳しく解説しています。

気温に合わせた枚数の目安を知りたい方は、16度の日の60代の服装も参考になります。

冷えに備える服の置き方

秋が深まると、冷えを感じやすい場所に服をどう置くかが大事になってきます。厚手の服を1枚足すより、首・手首・足首のように冷えを感じやすい場所を、薄い服や小物でふさぐほうが、軽さを保ちながら暖かく過ごせます。

首にはストールやタートルネック、手首には袖口が少し長めのニット、足首には靴下や、くるぶしが隠れる丈のパンツ。こうした小さな工夫を重ねると、重いコートに頼らずにすみます。

秋から冬への移り目の服の選び方は、60代の11月の服装で、冷えの入り口を3か所ふさぐ考え方として紹介しています。季節の変わり目に何を足すかで迷う方は、まずこちらから読んでみてください。

小物:バッグ・スカーフ・アクセサリー

小物は、60代のファッションの中で、いちばん手軽に印象を変えられる部分です。とくにスカーフやストールは、顔まわりの明るさを1枚で調整できるので、髪の色が変わってきた時期の強い味方になります。

バッグは、重さと持ち方で選びます。手に持つバッグより、肩に掛けるか斜めに掛けるバッグのほうが、両手が空いて歩きやすくなります。中身を入れた状態で、肩に掛けて歩いてみて、肩が下がる感じがないかを確かめてください。

アクセサリーは、留め具の扱いやすさで選びます。小さな留め具のネックレスより、頭からかぶれる長さのものや、磁石で留められるもののほうが、毎日使いやすくなります。髪が明るくなってきた方は、銀色や白っぽい色のアクセサリーが、髪の色とつながりやすいでしょう。

体の気になるところ別の入口

体の気になるところは、人それぞれです。ここでは、60代でよく相談を受けるところを並べ、選び方の入口をまとめます。どれも、隠すことより、今の形が素直に見える位置で服を止めることを考えます。

気になるところまず見る軸選び方の一歩
背中まわり丈前より後ろが少し長い丈
おなかまわり素材の軽さ体から少し離れる張りのある素材
腕まわり着脱のしやすさ袖ぐりにゆとりのある形
ひざ・足腰靴の歩きやすさかかとの安定した靴を先に決める
身長が低め丈くるぶしが見える丈で足元を軽く

身長が低めの方の丈と軽さの考え方は、70代・150cmのファッションが参考になります。70代向けの記事ですが、丈と軽さで決める考え方は60代にもそのまま使えます。

買い足す順番

60代のファッションを整えるとき、総入れ替えをする必要はありません。1つずつ買い足していくほうが、手持ちの服とのつながりが保て、失敗も少なくなります。

順番買い足すもの理由
1歩ける靴外出の距離と行ける場所が広がる
2顔まわりの明るいトップス手持ちのボトムと羽織りが生きる
3軽い羽織り温度の変化と着脱に対応できる
4歩きやすい丈のボトム靴に合う丈で全身がまとまる
5軽いコート冬の外出の疲れが減る

順番の考え方は、「毎日使うもの」から「季節に使うもの」へ、です。靴とトップスは毎日の外出で使うので、最初に整えると効果を感じやすくなります。コートは季節のものなので、ほかの4つが整ってから、手持ちの服に合うものを選ぶと迷いません。

1つ買い足したら、2週間ほど着てから次に進みます。着てみて合わないと感じたところが、次に買い足すものの手がかりになります。

手持ちの服で組み直す手順

新しく買い足す前に、手持ちの服で組み直すことから始めると、思ったより多くの服が今の暮らしに合わせて生かせます。手順は4つです。

1つ目に、クローゼットの服をすべて出して、5つの軸で分けます。重い、顔まわりが暗い、丈が合わない、着脱しにくい、の4つに当てはまるものを別にします。靴も同じように、歩きやすいものとそうでないものに分けます。

2つ目に、当てはまらなかった服で、上と下の組み合わせを作ってみます。トップスとボトムの組み合わせを鏡で見て、顔まわりの明るさが足りないものには、スカーフを1枚足します。

3つ目に、別にした服のうち、場面を限れば着られるものを選び直します。重いコートは短い用事の日に、着脱しにくいトップスは家で過ごす日に、と役目を変えれば、まだ出番があります。

4つ目に、どうしても出番がない服だけを手放すかどうか考えます。手放す前に、家族や友人に譲る、季節を変えてもう一度着てみる、といった方法も考えてみてください。

60代のファッションで迷ったときの考え方

60代のファッションで迷ったときは、「誰にどう見られるか」よりも、「その日を自分がどう過ごしたいか」から考えると、答えが出やすくなります。

孫と思いきり遊びたい日は、動きやすさを最優先にします。友人と久しぶりに会う日は、顔まわりの明るさを1段上げて、会話の時間を楽しみます。長い旅に出る日は、靴と軽さを第一にします。その日の過ごし方から逆算すれば、5つの軸のうち、どれを優先するかは自然に決まります。

服を選ぶことが億劫に感じる日は、「いつもの組み合わせ」を3つほど決めておくと、迷う時間が減ります。平日の用事の日、少し出かける日、きちんとしたい日の3つです。この3つが決まっていれば、残りの日は好きな服を自由に楽しめます。

これからの暮らしの中で、装いの方向性そのものをどう変えていくかを考えたい方は、セカンドライフの装いの方向性を読んでみてください。

70代に向けて今から整えておくこと

60代のうちに5つのものさしを持っておくと、70代になっても同じ考え方で服を選び続けられます。70代では、軽さと着脱のしやすさがさらに大切になっていくので、60代のうちから少しずつ慣れておくと、変化を自然に受け入れられます。

今から整えておきたいのは、自分に合う靴の形を1つ見つけておくことです。合う靴の形が分かっていれば、買い替えのときに迷いません。次に、留めずに着られる羽織りを1枚持っておくこと。着脱のしやすい服に慣れておくと、どんな場面でも落ち着いて過ごせます。

そして、自分の好きな色と形を言葉にしておくことです。「濃紺が好き」「ワイドなパンツが好き」と言葉にできると、5つの軸を当てはめながらも、自分らしさを保った服選びができます。

まとめ:5つのものさしと地図の使い方

60代のファッションで変えるのは、素材の軽さ、顔まわりの明るさ、丈の止まる位置、着脱のしやすさ、靴の歩きやすさの5つです。好きな色と好きな形は変えなくてかまいません。

迷ったら、まず靴と顔まわりから整えます。靴は、かかとに指1本分のゆとりがあり、靴底がつま先から3分の1あたりで曲がるもの。顔まわりは、髪の色と同じ明るさか、それより1段明るい色を、顔の下およそ20cmの範囲に置きます。

このページは、60代のファッションの地図です。場面ごとの具体的な組み方は、場面別の記事へ。季節ごとの重ね方は、秋冬の記事へ。自分のタイプを知りたい方は、無料の診断へ。気になったところから1つずつ進んでいけば、服選びはもう一度楽しくなります。

よくある問い

Q. 60代になったら、50代まで着ていた服は手放したほうがいいですか
全部を手放す必要はありません。好きな形や好きな色はそのまま残してください。見直すのは、着ていて重く感じるもの、前の留め具が小さく扱いにくいもの、顔の下に来る色が髪の色と離れすぎているものだけです。クローゼットの服を一度すべて出し、この3つに当てはまるものだけを別にすると、残りはそのまま着られることがほとんどです。
Q. 白髪を染めるのをやめたら、服の色も変えたほうがいいですか
全部を変える必要はありません。変えるのは顔のすぐ下に来る色だけです。髪の色に近い明るさの色か、それより1段明るい色を顔まわりに置くと、髪と服がひと続きに見えます。濃い色が好きな方は、ボトムや羽織りに残してください。白髪が増えている途中の時期は、髪の明るさが毎月変わるので、ストールやスカーフのような小物で調整すると無駄がありません。
Q. 60代のファッションで、まず1つ買い足すなら何がいいですか
長く歩いても足が疲れにくい靴を1足選んでください。外出の回数や行ける場所は靴で決まることが多く、靴が変わると服選びの幅も広がります。そのうえで2つ目に、顔の下に来る明るい色のトップスを選ぶと、手持ちのボトムや羽織りがそのまま生かせます。
Q. 骨格診断やパーソナルカラー診断は、60代でも役に立ちますか
役に立ちます。骨格のタイプは年齢で大きく変わるものではなく、似合う素材や形の傾向を知っておくと、軽さや着脱のしやすさを優先しながらも迷わずに選べます。パーソナルカラーは、髪の色が変わったあとに見直すと発見があります。メグラシの無料の骨格診断とパーソナルカラー診断で傾向をつかんでから、この記事の表に当てはめてください。

— メグラシ編集部

Next Read·次に読みたい3記事
やわらかな光の入る部屋で、張りのあるニットとまっすぐなパンツを合わせた40代の女性が鏡の前で襟元を整えているPick

着こなす

40代のファッション|変えるのは素材・色・丈・サイズの4つだけ

40代のファッションは、好きな色や好きな形を手放さず、素材の張り・顔まわりの色の明るさ・丈の止まる位置・肩と身幅のサイズ感の4つを少しずつ更新すれば整います。骨格とパーソナルカラー別の入口、仕事・休日・学校行事・冠婚葬祭の場面別、秋冬のコートとニット、小物と靴、買い足す順番までを表でまとめ、40代向けの個別記事へ道案内します。

続きを読む
前だけ裾を入れたオーバーサイズの長袖Tシャツに前を開けたカーディガンを重ねた女性の、鎖骨から膝までを斜め横から写した姿

着こなす

オーバーサイズTシャツが太って見える|横からの布の離れと厚みで選ぶ

オーバーサイズのTシャツを着ると、正面の鏡ではそれほどでもないのに、写真や店のガラスに映った横姿で太って見える。原因は身幅ではなく、胸やお腹の前から布がどれだけ離れて落ちているかと、生地の厚みです。横向きの鏡で指を差し込んで測る離れ、手のひらを透かして見る厚みの境目、ロンTやカーディガン・ジャケットの下に重ねる季節の選び方、胸・お腹・腰のどこが気になるかで割れたときの決め方まで。

続きを読む

Let a Stylist Choose

着る服選びは、 プロにおまかせ。

好みやサイズをもとに、airClosetのスタイリストが服を選んで自宅へ届けます。

airClosetを見てみる

月額 / 自宅で試着 / airClosetサイト

あわせて読みたい

40代のファッション|変えるのは素材・色・丈・サイズの4つだけ

着こなす

40代のファッション|変えるのは素材・色・丈・サイズの4つだけ

40代のファッションは、好きな色や好きな形を手放さず、素材の張り・顔まわりの色の明るさ・丈の止まる位置・肩と身幅のサイズ感の4つを少しずつ更新すれば整います。骨格とパーソナルカラー別の入口、仕事・休日・学校行事・冠婚葬祭の場面別、秋冬のコートとニット、小物と靴、買い足す順番までを表でまとめ、40代向けの個別記事へ道案内します。

メグラシ編集部/読了 25分
オーバーサイズTシャツが太って見える|横からの布の離れと厚みで選ぶ

着こなす

オーバーサイズTシャツが太って見える|横からの布の離れと厚みで選ぶ

オーバーサイズのTシャツを着ると、正面の鏡ではそれほどでもないのに、写真や店のガラスに映った横姿で太って見える。原因は身幅ではなく、胸やお腹の前から布がどれだけ離れて落ちているかと、生地の厚みです。横向きの鏡で指を差し込んで測る離れ、手のひらを透かして見る厚みの境目、ロンTやカーディガン・ジャケットの下に重ねる季節の選び方、胸・お腹・腰のどこが気になるかで割れたときの決め方まで。

メグラシ編集部/読了 14分
お宮参りの祖父母の服装 50代|母親と祖父との差を1段ずつ決める

着こなす

お宮参りの祖父母の服装 50代|母親と祖父との差を1段ずつ決める

50代でお宮参りに祖母として出ると、母親と並んだときに姉妹のように見えるか、逆に普段の服が若作りに見えるか、どちらかの心配が出ます。答えは、母親との差と、隣に立つ祖父との差を1段ずつ決めること。格は母親と同じ段か半段下、色の明るさは母親より1段落とし、祖父より1段上げる。秋の終わりから冬の立ち上がりの境内で、コートをいつ脱ぐか、娘ではなく息子の妻が母親のときに何を聞くか、当日まで母親の装いがわからないときの用意のしかたまで。写真に残る並びから逆算して決める記事です。

メグラシ編集部/読了 12分
ワードローブ|まず何着あれば回るかを決めてから揃える・手放す

自分を知る

ワードローブ|まず何着あれば回るかを決めてから揃える・手放す

ワードローブは手持ちの服の全体のことで、整えるときは枚数の多さではなく「平日と休日が何通り組めるか」で考えると答えが出ます。働き方(オフィス・在宅・立ち仕事・子育て中)と年代(30代・40代・50代・60代)ごとの基準の着数、季節の入れ替え、少ない服で回すカプセル型と好きな服を増やす型の分かれ目、骨格・パーソナルカラーの診断結果の反映のしかた、買い足す順番、手放す基準、1着あたりのコストの考え方を表でまとめ、メグラシの個別記事へ道案内します。

メグラシ編集部/読了 26分
胸がない人に似合うニット|編み地の厚みと首元の開きで秋冬に選ぶ

着こなす

胸がない人に似合うニット|編み地の厚みと首元の開きで秋冬に選ぶ

胸がないと感じる人のニット選びは、胸を足すか隠すかではなく、胸の前で布がどれだけ余るかと、首元から胸の高さまでの距離で決まります。試着で測る2つの数字、編み地の厚みの目安、首元の開きの深さ、縦の柄と横の柄の使い分け、カーディガンとプルオーバーの違い、測った結果がどちらとも取れるときの選び方まで。手持ちのニットの見直しにも使える、試着室での判断の手順です。

メグラシ編集部/読了 13分
60代 ファッション 秋|重ね着は脱ぎ着の回数で枚数を決める

着こなす

60代 ファッション 秋|重ね着は脱ぎ着の回数で枚数を決める

秋の外出で、暑くて脱いだ上着を持て余したり、脱げない1枚のせいで汗をかいたりする。重ね着の枚数は、気温よりも、その日に建物を出入りする回数で決めると迷いが減ります。出入りが2回までの日・3〜5回の日・6回以上の日の組み方、脱ぎ着が10秒で済むかの試し方、暖かい場所と寒い場所が混ざる日の決め方、首と手首で半枚ぶんを足し引きする方法、冬の入りに外側を入れ替える目安までをまとめました。

メグラシ編集部/読了 21分

"似合う"の輪郭が見えたら、
次は実際に試してみる段階かもしれません。

スタイリストがあなたの骨格・好みをヒアリング、季節に合わせたコーデを毎月お届けします。

まずは無料で試してみる

月額制 / 自宅で試着 / 返却時のクリーニング不要 / 送料込