60代 ファッション 秋|重ね着は脱ぎ着の回数で枚数を決める

**秋の重ね着の枚数は、その日に建物を出入りする回数で決めると、迷いが減ります。**気温の予報だけを見て着る服を決めると、外では合っていても、暖房の効いた待合室や乗り物の中で暑くなり、脱いだ上着を持て余すことになるからです。
あなたが困っているのが「出かける前は寒いと思ったのに、着いた先で汗をかいた」「脱いだ上着を一日中腕に掛けていた」なら、足りないのは服の数ではなく、その日の動き方に合った枚数の割り振りです。この記事では、前の晩に予定を見て出入りの回数を数え、それに合わせて枚数と脱ぐ順番を決める方法を書いていきます。
同じ年代の方の、季節の終わりの装いは11月の服装 60代にもまとめています。この記事は、重ね着の枚数と脱ぎ着の段取りだけに絞っています。
結論:重ね着の枚数は、建物を出入りする回数で決める
先に結論を置きます。前の晩に、翌日の予定で建物を出たり入ったりする回数を数えてください。家を出るのを1回目、どこかの建物に入るのを2回目、そこを出るのを3回目、と数えます。
| その日の出入り | 枚数の組み方 | 脱ぎ着の段取り |
|---|---|---|
| 2回まで | 肌側・真ん中・外側の3枚 | 着いたら外側を1回脱ぐだけ |
| 3〜5回 | 薄い2枚と、畳んで持てる1枚 | 場所ごとに外側を羽織る・脱ぐ |
| 6回以上 | 外側を軽くして、真ん中を前開き2枚 | 1枚ずつ小さく足し引きする |
この表は、答えをここで終わらせるためのものではありません。出入りの回数で、組み方の軸が変わることを見せるためのものです。実際には、予定がその日にならないと分からない、暖かい場所と寒い場所が混ざる、朝と昼の気温の差が大きい、といった日に迷います。その迷い方を、このあと順に書いていきます。
前の晩に数える:出入りの回数と、いちばん長くいる場所
数えるのは2つです。出入りの回数と、その日にいちばん長くいる場所です。
出入りの回数は、予定を紙に書き出すと数えやすくなります。たとえば「家を出る、バスに乗る、病院に入る、病院を出る、スーパーに入る、スーパーを出る、家に帰る」なら、乗り物も建物と同じように1回と数えて、出入りは6回です。乗り物の中は、建物の中と同じように暖房や冷房が効いていて、外とは温度が違うからです。
いちばん長くいる場所は、その日の重ね着の基準になります。病院の待合で1時間座っているなら、その待合で快適な服装が、その日の真ん中です。外を歩くのが10分、待合が1時間なら、待合に合わせて着て、外を歩くときだけ1枚足す、という考え方になります。
長くいる場所が屋外のとき、たとえば公園の散歩や、庭仕事、子どもや孫の外遊びにつきあう日は、屋外に合わせて着て、建物に入ったときに1枚脱ぎます。基準を外に置くか中に置くかで、外側の1枚の役割が反対になります。
この2つを書き出すのにかかる時間は、慣れれば1分ほどです。朝に服を選ぶ時間が、そのぶん短くなります。前の晩に一度やっておくと、着る服の候補を枕元に出しておけるので、朝の支度も楽になります。
出入りが2回までの日:3枚重ねて、脱ぐのは1回
出入りが2回まで、つまり家を出て、1か所に入って、そこで長く過ごして帰ってくる日です。友人の家での集まり、習いごと、観劇や講座など、目的地が1つの日がこれに当たります。
この日は、肌側・真ん中・外側の3枚を重ねます。外側には、秋らしい少し厚みのある上着を使ってかまいません。建物に入ったら外側を1回脱いで、帰るまでそのままです。脱ぎ着が1回しかないので、外側に多少手間のかかる上着を選んでも困りません。
真ん中の服は、建物の中で長く過ごすときの顔になります。人と向き合って話す時間が長いなら、首まわりと袖口がきちんと見える服を選んでください。脱いだ外側はたいてい預けるか、椅子の背に掛けるので、持ち歩く心配はありません。
注意してほしいのは、真ん中の服を厚くしすぎないことです。外で寒いからといって真ん中を厚手のニットにすると、建物の中で外側を脱いでも暑いままです。長くいる場所が暖かいなら、真ん中は薄手にして、寒さは外側で受け止めます。外を歩く時間が10分ほどなら、外側1枚で十分にしのげます。
この組み方は、いちばん失敗の少ない形です。出入りの回数が少ない日は、迷わずこの形を選んでください。
出入りが3〜5回の日:薄い2枚と、畳んで持てる1枚
出入りが3〜5回、たとえば午前中に銀行に寄って、昼に食事をして、午後に買い物をして帰る日です。用事が2〜3か所ある日が、だいたいこの帯に入ります。
この日は、薄い2枚を着たうえで、畳んで持てる1枚を外側にします。外側は、建物に入るたびに脱いだり、外に出るたびに羽織ったりするので、軽くて、畳むと小さくなるものが向いています。
薄い2枚というのは、肌側の1枚と、その上に着る薄手の1枚です。この2枚だけで、建物の中で過ごせる厚みにしておきます。外側を脱いでも暑すぎず、外側を羽織れば外でも寒くない、という釣り合いです。
畳んで持てる1枚の目安は、畳んだときに、ふだん使っている手さげの口に収まる大きさであることです。家を出る前に一度畳んで鞄に入れてみてください。入らないなら、その日の外側には向きません。
この帯でよくある失敗は、外側に厚いコートを選んでしまうことです。厚いコートは、建物に入るたびに脱いで腕に掛けると、手がふさがって、財布を出したり、商品を手に取ったりするのが不便になります。用事が多い日ほど、外側は軽くしてください。そのぶん真ん中の2枚で寒さを受け止めます。
出入りが6回以上の日:外側を軽くして、真ん中を2枚にする
出入りが6回以上の日は、乗り物を乗り継ぐ日や、病院とスーパーと役所を回る日などです。建物の中と外を何度も行き来するので、1枚を脱ぐか着るかの2段階では、温度の変化に追いつきません。
この日は、外側の上着を軽くして、真ん中を前開きの2枚にします。たとえば、肌側の上に薄手の前開きの服を着て、その上に袖のない前開きの服を重ね、外側には薄い上着を羽織ります。こうすると、場所ごとに1枚ずつ足し引きできます。
暖房の効いた場所に入ったら、まず外側を脱ぎます。それでも暑ければ、袖のない服の前を開けます。さらに暑ければ、袖のない服も脱ぎます。逆に、寒い場所に出たら、その逆の順番で戻していきます。
この組み方のよいところは、1回の足し引きが小さいことです。外側を脱ぐか着るかしかない組み方だと、暑すぎるか寒すぎるかの2択になりやすいのですが、真ん中を2枚にしておくと、途中の段階を作れます。
前開きにする理由は、かぶって脱ぐ服は、座ったまま脱ぎにくいからです。待合の椅子に座ったまま、乗り物の座席に座ったまま、前を開けたり脱いだりできるのは前開きの服です。6回以上出入りする日は、そのたびに立ち上がって脱ぎ着するわけにはいきません。
脱ぎ着が10秒で済むかを、家で一度だけ試す
枚数の組み方が決まったら、外側と真ん中の服について、家で一度だけ試してほしいことがあります。椅子に座ったまま、10秒以内に脱げるかどうかです。
時計を見ながら、椅子に座って、外側の服を脱いでみてください。袖から腕を抜くときに、下に着た服の袖が一緒に引っ張られて上がってこないか。背中側の布が椅子の背にはさまって抜けにくくないか。脱いだあと、膝の上で畳めるか。この3つを確かめます。
10秒を超えるなら、その服はその日の外側には向いていません。とくに出入りの多い日は、1回の脱ぎ着にかかる時間が積み重なります。6回出入りして、1回に30秒かかるなら、一日で3分です。それより気になるのは、時間よりも、脱ぎにくさのせいで脱ぐのをあきらめ、暑いまま過ごしてしまうことです。
下に着た服の袖が一緒に上がってくるなら、外側の袖の内側の素材を見てください。裏地がつるつるしている服は、袖が引っかかりにくく脱ぎやすいです。裏地のないニットどうしを重ねると、編み目が引っかかって袖が一緒に上がります。
着るほうも試しておきます。脱いだ服を膝の上から取って、座ったまま羽織り直すまでを、同じように時計で見てください。羽織り直すときにいちばん手間取るのは、2本目の袖に腕を通すところです。背中側で袖の口が見つからず、何度か手を泳がせてしまうなら、その服は肩まわりにゆとりが足りないか、生地が柔らかすぎて袖の口が閉じてしまっています。羽織り直しに15秒以上かかる服は、出入りの多い日には外側に使わず、出入りの少ない日に回してください。
この試しは、服ごとに一度やれば十分です。結果を覚えておけば、次からは前の晩に組み方を決めるとき、どの服をどの帯の日に使えるかが分かります。
真ん中の服は、前開きを選ぶ
重ね着の真ん中の服は、前開きのものを選ぶと、脱ぎ着の段階を1つ増やせます。前を閉じている状態、前を開けた状態、脱いだ状態の3段階になるからです。
前を開けるだけで、体のまわりの空気が入れ替わり、暑さがかなり和らぎます。脱ぐほどではないけれど少し暑い、という場面は、出入りの多い日にいちばんよく起こります。このとき、かぶって着る服だと、脱ぐか我慢するかの2択になってしまいます。
前開きの服を選ぶとき、留め具の種類も見ておきます。座ったまま片手で開け閉めできるものが向いています。小さなボタンがたくさん並んでいるものは、開け閉めに時間がかかるので、出入りの多い日には外側より内側、つまり脱ぎ着しない位置に回したほうが使いやすくなります。
真ん中の服の丈は、外側の服の丈より短いか、同じくらいにします。真ん中の服のほうが長いと、外側の裾から真ん中の裾がはみ出して、裾が何段にも重なって見えます。この見え方については、あとの項で詳しく書きます。
真ん中の服の色は、肌側と外側のどちらかに寄せると、前を開けたときにも全体がまとまって見えます。前を開けた状態で鏡の前に立ち、3枚の色がばらばらに見えないかを確かめておいてください。
前を開けたときの見え方は、閉じているときより人目に触れる時間が長くなることもあります。暖かい場所に長くいる日は、ほとんどの時間を前を開けた状態で過ごすからです。前を開けると、肌側の服が縦に細く見えます。この縦の帯が、全体の中で浮かない色かどうか。肌側を真ん中と同じ系統の色にしておくと、前を開けても閉じても、印象が大きく変わりません。反対に、肌側にだけ明るい色を入れておくと、前を開けたときに顔まわりが明るく見えるという使い方もできます。どちらにするかは、その日にいちばん長くいる場所で、前を開けて過ごすか閉じて過ごすかで選んでください。
脱いだ1枚の行き先を、着る前に決めておく
重ね着でいちばん困るのは、脱いだ1枚をどこに持っておくかです。行き先を、着る前に決めておくと、出先で迷いません。
行き先は3つあります。鞄の中、椅子の背、預ける場所です。
鞄の中に入れるなら、畳んだ大きさが手さげの口に収まることが条件です。前の項で書いたとおり、家を出る前に一度畳んで入れてみてください。入れたあとで、財布や鍵が取り出しにくくならないかも確かめます。
椅子の背に掛けるのは、長く座る場所、たとえば食事の席や習いごとの教室に向いています。ただし、待合のように人の出入りが多い場所では、背に掛けた服が落ちたり、ほかの人の邪魔になったりしやすいので、膝の上に畳んで置くほうが安心です。
預ける場所は、集まりの会場や、観劇の劇場などにあることが多いですが、必ずあるとは限りません。預けられる前提で厚い上着を選ぶなら、預けられなかったときにどうするかも考えておきます。
腕に掛けて持つのは、手がふさがるので、用事の多い日には向きません。買い物かごを持つ、手すりにつかまる、財布を出す、といった動作のたびに、上着が邪魔になります。腕に掛けるしかない日は、その日の外側の選び方を見直す合図だと考えてください。
鞄そのものを、重ね着に合わせて選ぶ方法もあります。出入りの多い日は、口が大きく開いて、上から畳んだ服を押し込める形の鞄が便利です。口の狭い鞄や、留め具の固い鞄は、そのたびに開け閉めの手間がかかります。肩に掛けられる持ち手のある鞄なら、両手が空くので、脱ぎ着の動作そのものも楽になります。服を選ぶのと同じ晩に、鞄も一緒に決めておいてください。
どちらとも取れるとき①:出入りの回数が、その日にならないと分からない
予定が決まりきっていない日もあります。午前に病院へ行くが、帰りに寄り道するかどうかは体調や天気で決める。友人と会うが、そのあとどこへ行くかは会ってから決める。こういう日は、前の晩に出入りの回数を数えられません。
このときは、多いほうの帯に合わせて組んでください。出入りが2回か5回か分からないなら、3〜5回の帯の組み方にします。理由は、少ない帯の組み方で出かけて出入りが増えると、厚い外側を何度も脱ぎ着することになって困りますが、多い帯の組み方で出かけて出入りが少なかった場合は、ただ外側を1回脱ぐだけで済むからです。
多いほうに合わせると、外側が軽くなるので、外を歩く時間が長くなったときに少し寒く感じるかもしれません。その分は、首と手首の小物で補います。小物は脱いでも小さく畳めるので、出入りが少なかった日にも邪魔になりません。
もう1つの方法は、真ん中の服を1枚、鞄に入れておくことです。薄手の前開きの服なら、畳むと手のひらくらいの大きさになります。寄り道をして寒くなったら足し、そのまま帰るなら鞄に入れたまま帰ります。
出かけたあとで予定が変わったときの目安も、1つ持っておくと安心です。家を出てから、思っていたより2回以上多く建物を出入りしそうだと分かったら、その時点で外側を脱いで鞄に入れ、真ん中の前を開けた状態を基本にしてください。そこから寒い場所に出るときだけ外側を羽織る、という順番に切り替えます。基本の状態を「着ている」から「脱いでいる」に移すだけで、出入りが増えても慌てずに済みます。
予定が読めない日ほど、組み方を軽く、小さく分けておく。これを覚えておくと、出先で困ることが減ります。
どちらとも取れるとき②:暖かい場所と寒い場所が混ざる日
同じ日に、暖房のよく効いた場所と、冷えた場所の両方に行く日があります。たとえば、暖かい病院の待合と、冷蔵の売り場が広いスーパー。暖かい喫茶店と、風の通る駅のホーム。こういう日は、出入りの回数だけでは組み方が決まりません。
このときは、いちばん長くいる場所と、いちばん寒い場所の2つを書き出します。長くいる場所に合わせて真ん中を決め、寒い場所に合わせて外側を決めます。
たとえば、暖かい待合に1時間いて、冷蔵の売り場に20分いる日なら、真ん中は待合で暑くならない薄手にして、外側は売り場で寒くない程度のものを選びます。売り場では外側を着たまま回り、待合では外側を脱ぎます。
逆に、寒い場所に長くいて、暖かい場所には短くしかいない日なら、寒い場所に合わせて真ん中を少し厚めにして、暖かい場所では外側を脱ぐだけにします。暖かい場所で少し暑くても、短い時間なら前を開けることでしのげます。
いちばん寒い場所が、建物の中にあることも少なくありません。冷蔵の売り場や、空調の強い大きな建物の中は、秋でも外より寒いことがあります。建物の中だからと外側を脱いでしまわず、その場所で寒いかどうかを基準にしてください。
どちらとも取れるとき③:朝と昼で気温の差が大きい日
秋は、朝晩と昼の気温の差が大きくなる季節です。朝は上着がほしいのに、昼には日差しで暑くなる。この差の大きさで、組み方を少し変えます。
天気予報で、その日の最低気温と最高気温の差を見てください。差が8度より小さい日は、朝に合わせて着て、昼に外側を1枚脱げば足ります。8度以上ある日は、1枚脱ぐだけでは昼に暑すぎることが多くなります。
差が8度以上の日は、外側を脱ぐことに加えて、真ん中の服の前を開ける段階を用意しておきます。つまり、出入りの回数が少ない日でも、真ん中を前開きにしておくということです。朝は3枚とも前を閉じて、昼は外側を脱いで真ん中の前を開け、夕方にまた閉じる、という3段で調整します。
さらに、首に巻く薄い布を1枚足しておくと、朝晩だけ巻いて、昼は外して鞄に入れる、という半段の調整ができます。この半段があるだけで、昼の暑さと夕方の冷えの両方に、ずっと細かく合わせられます。
帰りが夕方以降になる日は、とくにこの差に気をつけてください。出かけるときの気温ではなく、帰るときの気温を基準に、外側を選びます。昼に暖かかったからといって外側を置いてきてしまうと、日が落ちたあとに困ります。
首と手首で、半枚ぶんを足し引きする
重ね着の枚数で迷う日は、首と手首の小物を半枚ぶんとして数えると、細かく合わせられます。
首に巻く薄い布、手首を覆う薄手の手袋や長めの袖口、足首を覆う靴下やタイツ。これらは、体のなかでも外気を感じやすいところを覆うので、1枚の服を足すほどではないけれど、少しだけ暖かくしたいときに効きます。
半枚として使うよいところは、外したときに小さく畳めることです。首の布は手のひらに収まりますし、手袋はポケットに入ります。出入りの多い日でも、持ち歩くのに困りません。
選び方の目安は、素材の薄さです。厚手の巻きものは暖かいのですが、外したときに鞄の中で場所を取ります。秋のうちは、薄手で、畳むと小さくなるものを選んでください。厚手のものは、冬の入りに外側を入れ替えるときに合わせて替えます。
色は、外側か真ん中の服のどちらかに合わせると、巻いたときも外したときも全体のまとまりが変わりません。顔のそばに来る首の布は、顔まわりを明るく見せる色を選ぶのも1つの方法です。明るい色を顔のそばに置くと、写真に写ったときも表情がはっきり見えます。
半枚ぶんの小物は、1枚の服を足すか引くかで迷ったときの決め手にもなります。外側を羽織るほどではないけれど、何も足さないと少し寒い。そういうときに、首の布だけ巻いてみてください。それで落ち着くなら、その場所ではそれが正解です。巻いてもまだ寒いなら、そこで初めて外側を羽織ります。いきなり1枚を足すと暑すぎて、またすぐ脱ぐことになりがちですが、半枚から試せば、足しすぎを防げます。
足首の半枚も忘れないでください。座っている時間の長い待合や乗り物では、足首まわりが寒く感じやすくなります。靴下を少し長めのものにしておくだけで、上に着る服を増やさずに済むことがあります。
重ねた裾と袖口は、見える段を3つまでにする
重ね着でよく聞く悩みに、着ぶくれして見える、というものがあります。これは、枚数そのものより、裾と袖口の重なりが何段も見えているときに起こります。
鏡の前に立って、重ねた服の裾が、外から見て何段見えているかを数えてください。外側の裾、真ん中の裾、肌側の裾。この3段までなら、重ねていることが自然に見えます。4段以上見えるなら、どれか1枚の裾を隠す工夫をします。
いちばん簡単なのは、真ん中の服を、外側より丈の短いものにすることです。外側の裾の下から真ん中の裾がのぞかなくなるので、段が1つ減ります。肌側の服の裾をズボンやスカートの中に入れるのも、段を減らす方法です。
袖口も同じです。外側の袖口から、真ん中の袖口、肌側の袖口が順にのぞいていると、手首まわりに段が重なって見えます。袖口は2段までにしてください。真ん中の袖を外側の中に収めるか、肌側の袖を少したくし上げておきます。
厚い1枚より、薄い2枚のほうが、着ぶくれは目立ちにくくなります。厚い服は動いたときに形を保とうとして体から離れますが、薄い服は体の動きに沿って落ちるからです。同じ暖かさなら、薄い服を重ねるほうを選んでください。
3つの日で数えてみる:通院の日・孫と出かける日・習いごとの日
ここまでの手順を、よくある3つの日に当てはめて、一度通してみます。
1つめは、通院の日です。家を出てバスに乗り、病院で受付をして待合で待ち、診察のあと薬局に寄って、帰りにスーパーで買い物をする。出入りを数えると、家を出る、バスに乗る、バスを降りる、病院に入る、病院を出る、薬局に入る、薬局を出る、スーパーに入る、スーパーを出る、と9回になります。6回以上の帯です。いちばん長くいる場所は待合で、いちばん寒い場所はスーパーの冷蔵の売り場です。この日は、外側を軽い上着にして、真ん中に薄手の前開きと袖のない前開きを重ねます。待合では外側を脱いで袖のない服の前を開け、売り場では外側を羽織り直します。
2つめは、孫と出かける日です。家から車で公園に行き、2時間ほど外で過ごしてから、帰りに家族で食事をする。出入りは、家を出る、車に乗る、車を降りる、店に入る、店を出る、と5回ほどで、3〜5回の帯に入ります。ただ、いちばん長くいる場所が屋外の公園なので、基準は外に置きます。外で寒くない真ん中を着て、外側は畳んで持てる軽いものにし、店に入ったら脱ぎます。しゃがんだり、抱き上げたりする動きが多い日なので、外側の丈は腰までの短いものが動きやすく向いています。
3つめは、習いごとの日です。家を出て、歩いて教室に行き、2時間を教室で過ごして帰る。出入りは2回で、いちばん長くいる場所は教室です。3枚重ねて、教室に着いたら外側を脱ぐだけで済みます。教室の中で手を動かす作業が多いなら、真ん中の服の袖口がまくりやすいかも確かめておきます。
こうして並べてみると、同じ秋の1日でも、組み方がまったく違うことが分かります。気温が同じでも、動き方が違えば、合う枚数が違うのです。
秋から冬の立ち上がりへ:外側を入れ替える目安
秋のあいだに組んだ重ね着は、冬の入りに向けて、外側から入れ替えていきます。入れ替えの目安は、朝の最低気温です。
朝の最低気温が10度を下回る日が続くようになったら、外側の上着を一段暖かいものに替える時期です。ただし、ここでも出入りの回数を基準にしてください。出入りが少ない日は、外側を冬の厚いコートにしても困りませんが、出入りの多い日は、厚いコートだと脱ぎ着のたびに手がふさがります。
出入りの多い日は、外側を厚くする代わりに、真ん中の袖のない服を少し暖かいものに替えると、脱ぎ着のしやすさを保ったまま暖かくできます。袖のない服は、袖がないぶん脱ぎ着に手間がかからず、胴まわりをしっかり温めてくれます。
肌側の服も、秋のはじめの薄手から、少し保温のあるものに替えていきます。肌側を替えると、真ん中と外側を薄いままにしておけるので、出入りの多い日でも組み方を変えずに済みます。
入れ替えは、一度に全部やらなくてかまいません。外側、真ん中、肌側のうち、困っている場面にいちばん効く1枚から替えてください。外で寒いなら外側、建物の中で寒いなら真ん中か肌側です。
足元の調整は、50代 ファッション 秋|ヒールをやめた足元から裾の丈を組み直すにまとめています。重ね着を冬に向けて組み直すとき、足元も一緒に見直すと全体の釣り合いが取りやすくなります。
1週間の出入りを書き出すと、買い足す1枚が見える
最後に、服を買い足す前にやってほしいことがあります。1週間ぶんの予定について、毎日の出入りの回数を書き出してみてください。
書き出してみると、自分の1週間が、どの帯の日に偏っているかが分かります。出入りが2回までの日が多い人は、外側にしっかりした上着を1枚持っていれば、ほとんどの日を過ごせます。3〜5回の日が多い人は、畳んで持てる軽い上着が、いちばん出番の多い1枚になります。6回以上の日が多い人は、前開きの真ん中の服と、袖のない服を充実させるほうが、外側を増やすより役に立ちます。
この偏りが分かると、買い足す1枚が決まります。いちばん多い帯の日に使う服のうち、いま持っていないもの、持っていても脱ぎ着が10秒で済まないものを1枚足してください。
逆に、いちばん少ない帯の日のための服は、急いで買わなくても困りません。月に1〜2回しかない日のための服は、手持ちの組み合わせで工夫できることが多いからです。
重ね着の枚数で毎朝迷うのは、着る服が足りないからではなく、その日の動き方と枚数の割り振りが合っていないからです。前の晩に出入りの回数を数えて、帯に合わせて組む。この順番を1週間続けると、どの服がどの日に働くかが自然に見えてきます。手持ちと何通り組めるかの数え方は着回しできる服|買う前に手持ちと何通り組めるか数えて決めるも合わせて読んでみてください。
よくある問い
- Q. 秋は何枚重ねればいいですか
- 気温だけで枚数を決めると、建物の中で暑くなって迷います。前の晩に、翌日の予定で建物を出たり入ったりする回数を数えてください。出入りが2回までなら、肌側・真ん中・外側の3枚で、建物に入ったら外側を1回脱ぐだけです。3〜5回なら、薄い2枚を着て、畳んで持てる1枚を羽織ります。6回以上なら、外側の上着を軽くして、真ん中を前開きの2枚にし、場所ごとに1枚ずつ足し引きします。
- Q. 脱いだ上着を持ち歩くのが面倒です
- 脱いだ1枚の行き先を、着る前に決めておくと楽になります。畳んだときに手さげの口に収まる大きさなら、鞄に入れます。収まらないなら、その日は外側にする1枚を薄いものに替えるか、脱がなくて済むように真ん中の服を薄くします。腕に掛けて持つのは、手がふさがるので、買い物や通院の日には向きません。家を出る前に一度畳んで鞄に入れてみて、入るかどうかを確かめておくと、出先で迷いません。
- Q. 朝晩は寒いのに、昼は暑くなる日はどうすればいいですか
- 朝の最低気温と昼の最高気温の差を見てください。差が8度より小さい日は、朝に合わせて着て、昼に外側を1枚脱げば足ります。8度以上ある日は、1枚脱ぐだけでは昼に暑すぎます。この日は、真ん中の服を前開きにしておき、昼は外側を脱いで真ん中の前を開ける、という2段で調整します。首に巻いた薄い布を外すのも、もう半段の調整になります。
- Q. 重ね着すると着ぶくれして見えるのが気になります
- 着ぶくれに見えるのは、枚数そのものより、裾と袖口の重なりが何段も見えているときです。重ねた服の裾と袖口が、外から見て3段までに収まっているかを鏡で確かめてください。4段以上見えるなら、真ん中の1枚を裾の短いものに替えるか、袖を外側の服の中に収めます。厚い1枚より薄い2枚のほうが、重ねたときの厚みは同じでも、動いたときの形が体に沿いやすくなります。
— メグラシ編集部





