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六十代ファッション 秋|前の裾だけ上がって見える服の選び方

メグラシ編集部//読了 15分
秋の部屋で、厚手のニットの裾の高さを横から木の物差しで確かめる女性の胸元からひざまで

**横向きに立って、ニットの前の裾と後ろの裾の高さを比べてみてください。**前のほうが2cm以上高いなら、あなたの「秋の服がしっくりこない」は、色でも年齢でもなく、前後の長さの配分で起きています。

六十代になってから、去年まで着ていた秋のニットやカーディガンが、なんとなく落ち着かない。正面の鏡では悪くないのに、写真に撮られた横顔の全身を見ると、お腹のあたりで裾が持ち上がり、後ろはお尻のほうに垂れている。この記事は、そう感じている人のために書いています。

先に答えを置きます。前の裾が上がる服は、**選び方を3段階に分ければ止まります。**差が2cm未満ならそのまま、2〜4cmなら裾の形で吸収、5cm以上なら肩の線と前身頃の長さで選び直す。どこに当てはまるかは、物差し1本で5分あれば測れます。

六十代の服選び全体の考え方は60代の服は4つの開口部の内寸で選ぶにまとめています。重ね着の枚数で迷っている人は着ぶくれする重ね着を何枚目で止めるかを合わせて読んでください。ここでは「前の裾」だけに絞ります。

結論:前と後ろの裾の高さの差で、3つに分ける

まず、床から前の裾までの高さと、床から後ろの裾までの高さを測ります。その差がどれだけあるかで、やることが変わります。

前後の差見え方まずやること
2cm未満横から見ても気にならない何もしない。いまの服のままでよい
2〜4cm写真で横から撮ると気づく裾の形で吸収する(丸い裾・後ろ長め・スリット)
5cm以上正面の鏡でも前の短さが見える肩の線と前身頃の長さで選び直す

表は「どの段階にいるか」を決めるためだけのものです。同じ5cmでも、ニットで出るのかシャツで出るのかで対処は変わります。そこから先は、下の章で順に見ていきます。

この3段階の境目は、編集部で試着を見てきた中での目安です。2cmは、横から写真に撮って裾の線がはっきり斜めに見えはじめる差。5cmは、正面から見ても前の裾から下に着ているものが余分に見えはじめる差です。ここを境に、裾の形だけでは隠しきれなくなります。

測り方|床から前と後ろの裾までを、いつもの立ち方で

測るのに必要なのは、30cm以上の物差しかメジャーと、壁のない場所だけです。家族に頼めるなら頼み、1人なら物差しを床に立てて、横向きに鏡か窓ガラスに映して読みます。

手順は次の通りです。

  1. 秋にいちばんよく着るニットかブラウスを着て、ボトムもいつもの組み合わせにする
  2. 靴下だけで、壁から30cm以上離れて立つ。壁に背をつけない
  3. いつも駅のホームで電車を待っているときの立ち方で、10秒そのまま立つ
  4. 体の真横の線(脇の縫い目の位置)から、前に手のひら1枚ぶん寄ったところで、床から裾までを測る
  5. 同じように、真横の線から後ろに手のひら1枚ぶん寄ったところで、床から裾までを測る
  6. 前の高さから後ろの高さを引く

壁に背をつけないのが一番大事です。壁に背中を当てると、姿勢が普段と変わり、前後の差が小さく出ます。実際に人から見られているのは、壁から離れて歩いたり立ったりしているときの姿なので、そのときの数字を使います。

10秒立つのは、測る瞬間に背筋を伸ばしてしまうのを避けるためです。測られていると思うと、誰でも少しだけ胸を張ります。10秒数えているうちに、いつもの重心に戻ってきます。

1人で測るときは、物差しを床に立てて、壁ではなく椅子の背もたれなどに軽く立てかけておきます。物差しの横に体を寄せて立ち、顔だけを横に向けて、窓ガラスか鏡に映った裾の位置を読みます。目線を下に向けると体が前に傾くので、目盛りを読むときは顔だけを動かし、肩と背中はそのままにしてください。スマートフォンを棚に立てかけて、横向きの全身を動画で撮り、あとから止めて読む方法も確実です。

もう1つ、測るのは3回にしてください。1回目は緊張して小さく出やすく、3回目は疲れて大きく出やすい。3つの数字の真ん中を、あなたの前後差として使います。

なぜ秋になると急に目立つのか

夏のあいだは気にならなかったのに、秋に重ね着をはじめた途端に裾が気になる。この順番で気づく人がとても多いです。理由は3つあります。

1つ目は、生地の厚みです。薄手のカットソーは体に沿って落ちるので、前の布が少し足りなくても、布が体の線に沿って下まで降りてきます。厚手のニットは布そのものに張りがあるので、胸やお腹の一番前に出たところで布が止まり、そこから下は浮いたまま裾まで落ちます。浮いた分だけ、前の裾は持ち上がって見えます。

2つ目は、重ね着です。ブラウスの上にニット、その上にカーディガンと重ねると、内側の1枚が外側の布を前に押し出します。押し出された布は前に張り出すので、真下に落ちる長さが短くなります。3枚重ねたときに一番前後差が大きく出るのは、このためです。

3つ目は、羽織りの前端が開くことです。カーディガンやジャケットを前を開けて着ると、左右の前端が体の横に逃げていきます。前端が斜めに開くと、裾の線も斜めになり、前の真ん中だけが持ち上がった形に見えます。夏は羽織りを着ないので、この見え方は秋に初めて出てきます。

秋に「急に似合わなくなった」と感じる服の多くは、似合わなくなったのではなく、前の布が足りなくなっただけです。色を変えても、丈を変えても解決しないのはそのためです。

差が2cm未満なら、気にしなくていい

測ってみて2cm未満だったなら、前の裾の問題ではありません。横から写真を撮っても、裾の線はほぼ水平に見えます。このまま今の服を着ていて大丈夫です。

それでも「しっくりこない」感じが残るなら、原因は別のところにあります。よくあるのは、首まわりや袖口の開き方が合っていない場合です。首の開きや袖口の内寸の見方は60代の服は4つの開口部の内寸で選ぶで詳しく書いています。

もう1つは、重ね着の枚数が多すぎて、全体が膨らんで見えている場合です。前後差は小さくても、横から見た厚みが増えると、全身の印象が重くなります。この場合は、裾ではなく重ねる枚数を見直します。

2cm未満の人が覚えておくことは1つだけです。来年の同じ時期に、もう一度測ること。前後差は少しずつ変わることがあるので、年に一度、秋のはじめに測る習慣にしておくと、服を買う前に判断できます。

差が2〜4cmなら、裾の形で吸収する

いちばん多いのがこの段階です。正面の鏡ではわからないけれど、横から撮った写真で「あれ、前が上がっている」と気づく。この範囲は、服を全部買い替えなくても、裾の形を選ぶだけで目立たなくなります。

丸くカーブした裾を選ぶ

裾が水平にまっすぐ切ってある服は、前が2cm上がるとそのまま2cm分の斜めの線が出ます。裾が両脇に向かって丸く上がっている服(前後の真ん中が長く、脇が短い形)は、もともと裾の線がカーブしているので、前が少し上がってもカーブの中に紛れます。

売り場では、裾を平らな台に置いて、脇の位置と前の真ん中の位置の長さを比べてください。真ん中のほうが3cm以上長ければ、2〜4cmの前後差は目立たなくなります。

後ろが少し長い形を選ぶ

後ろの裾が前より長く作ってある服も、前後差を吸収します。前より後ろが3〜5cm長い服なら、前が上がっても、横から見たときの線の傾きが逆になるので相殺されます。

ここで注意したいのは、後ろが長すぎる服です。前後の差が8cmを超えるようなデザインは、裾の線そのものが主役になり、前の短さがかえって目立つことがあります。2〜4cmの人には、後ろが3〜5cm長い程度がちょうどよい目安です。

脇にスリットがある服を選ぶ

脇の裾に5〜8cmのスリットが入っている服は、前身頃と後ろ身頃が別々に落ちます。前の布が胸やお腹で止まっても、後ろの布はそれに引っ張られずに下まで落ちるので、裾の線が一枚の斜線になりません。厚手のニットでこの効果がとくに大きく出ます。

売り場で3つの形を見つけるコツ

丸い裾、後ろ長め、脇スリットの3つは、ハンガーにかかったままでは見分けにくいことがあります。売り場では、服を1枚ずつハンガーから外さなくても、ハンガーごと手に取って横から裾を見るだけで、かなり判断できます。

横から見て、前の裾と後ろの裾の高さが違って見えれば後ろ長め、裾の線が脇に向かって上がっていれば丸い裾です。脇のスリットは、裾の両脇をそっと指で開いてみると見つかります。秋のニットでは、この3つのうち2つを同時に持っている服(丸い裾で脇にスリット、など)も多く、そういう服は2〜4cmの差をほぼ完全に吸収します。

差が5cm以上なら、肩の線と前身頃の長さで選ぶ

5cm以上の差がある場合、裾の形だけでは吸収しきれません。前の布がそもそも足りないので、服の上のほう、肩の位置から見直します。

肩の縫い目が少し後ろにある服

肩の縫い目が、肩のてっぺんより少し後ろ側を通っている服は、前身頃の布が長く取られています。前の布が長いということは、前の裾が下まで届くということです。

売り場で確かめるときは、服を着て横向きに立ち、肩の縫い目が耳たぶの真下より前にあるか後ろにあるかを見てください。耳たぶの真下か、それより1〜2cm後ろを縫い目が通っていれば合っています。耳たぶより前に縫い目があると、前の布が後ろに引かれて、裾が持ち上がります。

肩の縫い目がない服

ラグラン袖のように、首から脇に向かって斜めに縫い目が入っていて、肩に縫い目がない服は、前後の布の配分が体に合わせて自然に動きます。前に必要な分だけ布が前に来るので、肩に縫い目がある服より前後差が出にくくなります。袖の形の名前と見分け方は袖の形の名前|コートの下で腕がつかえるときに見る肩の縫い目で詳しく書いています。

着丈は、前の裾で決める

5cm以上の人は、服の着丈を「後ろの裾」ではなく「前の裾」で決めてください。通販の着丈は、ほとんどが後ろの首の付け根から裾までを測った数字です。前後差が5cmある人がこの数字で選ぶと、前は5cm短く着ることになります。

たとえば腰骨が隠れる長さで着たいなら、後ろの着丈が「腰骨までの長さ+前後差」ある服を選びます。前後差が5cmなら、ふだんより5cm長い表示の服が、前から見てちょうどよい長さになります。

トップスは「前だけ入れる」で調整できる

秋の重ね着の一番内側に着るブラウスやカットソーは、前の裾だけをボトムに軽く入れると、前後差が逆に働きます。前を入れて後ろを出すと、後ろの裾だけが下に落ちるので、もともとあった「前が短い、後ろが長い」の形が、意図したデザインに見えます。

入れる深さは、ボトムのウエストから3〜5cmで十分です。深く入れすぎると、お腹のあたりに布が溜まって横から見た厚みが増えます。入れたあと、腕を前に伸ばして10秒止めて、布が引き出されてこないかを確かめてください。引き出されるなら、ブラウスの丈がもともと足りていません。

前だけ入れるのが落ち着かない人は、ニットのような厚手の服では無理に入れなくて大丈夫です。厚手の布を入れると、ウエストのあたりに段差ができて、かえって目立ちます。前だけ入れるのは、薄手のブラウスやシャツの場合に限ってください。

羽織りの前端が開くときは、ボタン1つで止める

秋のカーディガンやジャケットで前を開けて着ると、前端が左右に逃げて裾が斜めに上がります。これは前後差が小さい人にも起きるので、羽織りで気になるならまずここを確かめてください。

一番簡単なのは、上から2つ目か3つ目のボタンを1つだけ留めることです。胸の下あたりで1か所留めると、そこから下の前端が左右に逃げなくなり、裾の線が水平に戻ります。全部留める必要はありません。

どのボタンを留めればいいかは、羽織りを着て横向きに立ち、前の裾が一番下に落ちるボタンを探します。上から順に1つずつ留めて、裾の高さを毎回見てください。だいたいは胸の一番前に出たところのすぐ下にあるボタンが正解です。

ボタンのない羽織りや、留めると窮屈な羽織りなら、前端の内側に小さなスナップを1つ付けるお直しもあります。外からは見えず、開けて着ている雰囲気を残したまま、前端の開きだけを止められます。

ジャケットの丈そのものの選び方はジャケットの丈 選び方 女性|腰骨・ヒップ・太もものどこで止めるかを見てください。そこで決めた丈に、この記事の前後差を足して選ぶと、横から見たときにも合います。

ボトムの後ろが下がるときも、同じ測り方で

前の裾が上がる人は、ボトムでも同じことが起きていることがあります。スカートやパンツのウエストが、前で上がり、後ろで下がる。スカートなら裾の線が前上がりに斜めになり、パンツなら後ろの股のあたりに布が溜まります。

測り方はトップスと同じです。スカートなら、床から前の裾と後ろの裾までを測って差を出します。差が2cm以上なら、ウエストがゴムで前後の区別が少ない形のほうが合わせやすくなります。ゴムのウエストは、体に合わせて前後の位置が自然にずれるので、裾の線が水平に近づきます。

パンツの場合は、後ろの股上が前より深く作ってある形を選ぶと、後ろに布が溜まりにくくなります。売り場で平らな台に置いて、前のウエストの真ん中から股までの長さと、後ろのウエストの真ん中から股までの長さを比べてください。後ろが前より5cm以上長ければ、前上がりの体の線に合わせやすい形です。

どちらとも取れるとき① 左右で差がちがう

測ってみると、右と左で前後差が違うことがあります。右は1cm、左は4cmというように。これは、肩の高さや荷物を持つ側の癖で、左右どちらかの前の布が多く引かれているためです。

この場合は、大きいほうの数字ではなく、小さいほうの数字で段階を決めて、大きいほうは着方で調整するのをおすすめします。大きいほうに合わせて服を選ぶと、反対側では前が長すぎて、裾が下に垂れて見えます。

着方での調整は、差が大きい側の前の裾だけを軽く入れる、差が大きい側の肩に荷物をかけない、の2つです。とくにバッグは、差が大きい側の肩にかけると、ストラップに前身頃が引かれてさらに裾が上がります。反対の肩にかけるか、斜めがけにして体の真ん中で重さを受けるようにすると、左右の差が縮まります。

左右の差が3cm以上ある場合は、裾の形を選ぶときにも工夫があります。左右どちらかに裾が長く垂れるデザイン(片側だけ長い、斜めに切った裾など)は、長い側を差の大きい側に合わせると、前後差の斜めの線と逆向きになって打ち消し合います。

どちらとも取れるとき② 日によって、時間によって変わる

朝に測ると2cmなのに、夕方に測ると4cmになる。こういう人は少なくありません。朝は体がまっすぐ立っていても、1日歩いたり座ったりしているうちに、重心が少しずつ前に移るからです。

ここで迷うのは、どちらの数字で服を選ぶかです。答えは、その服を一番長く着ている時間帯の数字です。朝から夕方まで外出する日に着る服なら、夕方の数字を使います。午前中に出かけて昼すぎには帰る日の服なら、朝の数字で足ります。

ただ、すべての服をそうやって分けて持つのは大変です。1着で両方に対応したいなら、2つの段階の真ん中にあたる対処を選んでください。朝2cm・夕方4cmなら、どちらも「裾の形で吸収する」段階なので、丸い裾か後ろ長めの形を選べば1日通して目立ちません。

困るのは、朝が4cm、夕方が6cmというように、段階をまたぐ場合です。このときは「肩の線と前身頃の長さで選ぶ」側に合わせて、朝はボタンを1つ留める、前だけ入れるといった着方の調整で、余った前の布を整えます。前の布が余るのは着方で直せますが、足りないのは着方では直せないからです。

どちらとも取れるとき③ 服によって差がまったく違う

同じ日に同じ立ち方で測っても、ニットでは5cm、ブラウスでは1cmということがあります。これは体の問題ではなく、服の作りの問題です。差が小さく出る服は、もともと前の布が長めに取られているか、生地が柔らかく体に沿って落ちているかのどちらかです。

この場合、自分の段階はよく着る服の種類ごとに分けて持っておくと便利です。「厚手のニットは5cm段階、薄手のブラウスは2cm未満段階」と分けておけば、ニットを買うときだけ肩の線と前身頃を見ればよく、ブラウスは今まで通り選べます。

迷ったときは、差がいちばん小さく出た服を1着手元に出して、その服の作りを観察してください。肩の縫い目がどこにあるか、前と後ろの着丈がどれだけ違うか、裾がどんな形か。そこに、あなたにとって前後差が出にくい服の条件が詰まっています。次に買う服は、その条件を1つでも多く持っているものを選びます。

差が1cmしかないのに、気になるとき

測ってみたら1cmしかない。でも、写真で見ると前が上がっている気がする。この場合は、裾の線ではなく、裾まわりの「布の浮き」を見ています。

前の裾が上がっていなくても、お腹のあたりで布が前に浮いて、裾が体から離れて揺れていると、横から見たときに前が持ち上がったように感じます。これは厚手のニットや、張りのある布地で起きやすい見え方です。

この場合の対処は、前後差ではなく、生地の落ち方で選ぶことです。売り場で服を片手で持ち上げて、手を離したときにすっと落ちるか、ふわっと止まるかを見てください。すっと落ちる布は体に沿うので浮きにくく、ふわっと止まる布は前で浮きやすくなります。秋のニットなら、目の詰まった細い糸の編み地のほうが、ざっくりした太い糸の編み地より浮きにくい傾向があります。

試着室で、30秒で確かめる方法

売り場で服を選ぶとき、毎回物差しを当てるのは難しいものです。試着室の中で30秒あればできる確かめ方を書いておきます。

まず、試着した服で正面の鏡に向かって立ち、そこから体を90度回して横向きになります。顔だけ鏡のほうに向けて、裾の線が床と平行に見えるかを見ます。前が上がっていれば、裾の線は前に向かって斜めに上がって見えます。

次に、両腕を前にまっすぐ伸ばして10秒止めます。電車のつり革を持つ、買い物袋を前で持つ、といった動作の代わりです。腕を前に出すと、背中の布が引っ張られて前の裾が上がります。腕を下ろしたあと、裾が元の位置に戻ってくればその服は合っています。戻らずに前が上がったままなら、前の布が足りていません。

最後に、試着室の椅子か台に浅く座って、立ち上がります。座ると前の裾がお腹の上にたまり、立ち上がると下に落ちてきます。立って5秒以内に裾が下まで落ちてくるなら合格です。お腹の上に引っかかったまま落ちてこない服は、外出先でも何度も裾を引っ張って直すことになります。

この3つで、正面の鏡だけでは気づけない前後差のほとんどが確かめられます。

試着室に持って入るものも1つ決めておくと便利です。秋にいちばんよく着るボトムを着ていくか、それが難しければ、同じくらいの厚みと丈のボトムを売り場で借りて合わせてください。前後差はトップスだけでなく、下に何を着るかでも変わります。ふだんと違うボトムで試着すると、家に帰っていつもの組み合わせで着たときに、裾の高さが試着室と違って見えることがあります。羽織りを探すときは、その下に着る予定のニットを着て行くのが一番確実です。

手持ちの服を直す・目立たせない

新しく買うのではなく、手持ちの服を直したい場合もあると思います。前後差を整えるお直しは、基本的に後ろを短くする方向でしかできません。前を伸ばすには布が足りないからです。

裾がまっすぐ縫ってあるブラウスやワンピースなら、後ろの裾だけを前後差の分だけ短くするお直しで、横から見た線が水平に戻ります。たとえば前後差が3cmなら、後ろの真ん中を3cm、脇に向かって0cmまで少しずつ減らしていく形で裾を縫い直します。

ニットは裾がゴム編みになっていることが多く、短くするお直しは難しいことがあります。ニットで前後差が気になるなら、お直しより、上に書いた着方の調整(羽織りのボタンを1つ留める、前だけ軽く入れる)か、裾の形を選び直すほうが確実です。

お直しを頼むときは、着たまま横向きの写真を1枚撮って持っていくと、話が早く進みます。前後差の数字と一緒に見せれば、どこをどれだけ短くすればいいかがすぐに伝わります。

色と柄で、前後差を目立たせない

前後差そのものを消すことはできなくても、目立たなくすることはできます。目立ちやすいのは、裾に横の線ができている服です。

裾に別の色の太いふちどりがある服、裾のところだけ編み地が変わっている服、横縞のボーダーの服は、裾の線がくっきり出るので、前後差がそのまま見えます。前後差が2cm以上ある人は、裾まで同じ色・同じ編み地で、ふちどりのない服を選ぶと、斜めの線が目に入りにくくなります。

ボトムとの色の差も影響します。トップスとボトムの色の差が大きいと、境目である裾の線がはっきり見えます。秋の深い色を使うなら、トップスとボトムを近い色でまとめると、裾の位置そのものがぼやけて、前後差に目が行かなくなります。たとえば焦げ茶のニットに同じ系統の茶色のスカート、深い緑のカーディガンに墨色のパンツ、といった組み合わせです。

柄で選ぶなら、縦の線か、細かい柄が向いています。縦の線は横の裾の線を分断し、細かい柄は裾の線そのものを紛れさせます。

迷いがちなことを、もう少しだけ

最後に、相談でよく聞かれることを書いておきます。

**長めの丈を選べば解決しますか。**長くすれば前の裾も下に来ますが、後ろはさらに長くなるので、前後差の斜めの線はそのまま残ります。丈を伸ばすより、前と後ろの長さの配分が違う服を選ぶほうが、横から見たときの線がきれいに整います。

**体に沿う服とゆったりした服、どちらがいいですか。**前後差が出にくいのは、体に沿いすぎず、離れすぎない服です。体に沿いすぎると前の布が胸やお腹に引っ張られ、ゆったりしすぎると布が前に浮きます。胸の一番前に出たところで、布と体のあいだに指が2本入るくらいが目安です。

**姿勢を直したほうがいいですか。**姿勢は人によって違い、無理に変えようとすると疲れてしまいます。この記事では、いまの立ち方のまま服で整える方法だけを書きました。立ち方を変えなくても、服の前後の配分を合わせれば、横から見たときの線は整います。

**ワンピースでも同じ測り方でいいですか。**同じです。ワンピースは上から下まで1枚の布なので、前の布が胸やお腹で止まると、ひざのあたりの裾まで前上がりが続き、トップスより差が大きく出やすくなります。秋のワンピースを選ぶときは、ウエストに切り替えがある形のほうが、上半身と下半身で前後の配分が分かれるので、前上がりが出にくくなります。切り替えのない形なら、裾が広がるものより、まっすぐ落ちるものを選ぶと、斜めの線が目立ちません。

**コートでも前が上がりますか。**上がります。コートは生地が厚く重いので、トップスより前の布が浮きやすく、差が1〜2cm大きく出ることがあります。秋に新しくコートを選ぶなら、トップスで測った前後差に1〜2cm足した数字を想定して、肩の縫い目の位置と、前を閉めたときの裾の線を試着室で確かめてください。前を開けて着るつもりのコートでも、試着では一度ボタンを全部留めて、裾が水平に落ちるかを見ておくと安心です。

**写真に写る日だけ、整えたいです。**集まりや旅行で写真を撮る日だけ気になる、という人も多いと思います。その日だけなら、前だけ軽く入れる、羽織りのボタンを1つ留める、バッグを斜めがけにする、の3つを組み合わせるだけで、横から撮られても裾の線はほぼ水平に見えます。撮られる直前に、両肩を一度後ろに回して下ろすと、前の布が下に落ちて、裾がもう1cmほど整います。

**60代の服選びの考え方全体を知りたいです。**装いの方向性そのものについては60代の装い哲学やセカンドライフ、装いの方向性をどう変えるかで書いています。この記事の前後差は、その中の「形を体に合わせる」部分の、さらに細かい1か所です。

まとめ:買う前に、物差しを1本当てる

秋の重ね着で前の裾が上がって見えるのは、服の前後の長さの配分が、いまの立ち方に合っていないからです。色や年齢のせいだと思って新しい服を探しはじめる前に、横向きに立って、床から前と後ろの裾までの高さを測ってください。

差が2cm未満ならそのまま。2〜4cmなら、丸い裾・後ろ長め・脇スリットのどれかを選ぶ。5cm以上なら、肩の縫い目の位置と、前の裾で決めた着丈で選び直す。左右や時間帯や服によって数字が変わるときは、小さいほうの段階で選んで、余った前の布を着方で整える。

この順番で見ていけば、去年まで着ていた秋の服も、これから買う服も、横から見たときに落ち着いた線で着られるようになります。

よくある問い

Q. 前の裾が上がるのは、太ったからでしょうか
体重とは別の理由で起きることがほとんどです。立ったときの重心の位置や肩の向きが少し変わるだけで、同じ服でも前の布が足りなくなり、後ろの布が余ります。体の大きさではなく、前後の長さの配分の問題として扱うと、選ぶ服がはっきりします。
Q. 前後差が2cmくらいです。買い替えたほうがいいですか
買い替えなくて大丈夫です。2〜4cmの差は、裾が丸くカーブしたトップスや、後ろが少し長い形を選べば目立たなくなります。手持ちの服は、前だけ軽く入れる、羽織りのボタンを1つ留めるといった着方で吸収できます。
Q. 測るたびに数字が違って、どれを信じればいいかわかりません
壁に背をつけず、普段の立ち方で3回測って、真ん中の数字を使ってください。いちばん大きい数字を基準にすると、必要以上に大きな服を選んでしまいます。夕方のほうが差が大きく出る人は、外出する時間帯に合わせて測ると実際の見え方に近づきます。
Q. お直しで前後の差をつけることはできますか
裾をまっすぐ縫ってあるトップスやワンピースなら、後ろだけを1〜3cm短くするお直しで前後差を整えられることがあります。前を伸ばすことはできないので、前の裾がすでに短い服は直しより選び直しのほうが早いです。

— メグラシ編集部

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