50代 ファッション 秋|ヒールをやめた足元から裾の丈を組み直す

ヒールを低い靴に替えてから、去年の服がなんとなく重たく見えるなら、直すのは服ではなく「裾と床の距離」です。
服の形も色も、去年から何も変わっていません。変わったのは靴の高さだけです。5cmのヒールを1cmのローファーに替えると、体と服の位置は同じまま、裾だけが床に4cm近づきます。パンツの裾は甲の上でたわみ、ミモレ丈のスカートはふくらはぎの一番太いところに乗り、足首の見え方も変わります。これが「なんとなく重たい」の正体です。
この記事では、靴を履いた状態で3か所を測り、下がった高さに合わせてパンツ・スカート・足首の見せ幅を組み直す手順をまとめます。必要なのはメジャーと、いつも履いている靴だけです。服を買い足す話はほとんど出てきません。
結論:何センチ下がったかで、直す範囲が決まる
最初に決めてしまうと、直す範囲は靴の高さの差だけで決まります。
ヒールをやめて下がった高さが2cm未満なら、何も直さなくて構いません。裾がたわむほどの差にはならず、むしろ足元が落ち着いて見えます。2〜4cm下がったなら、裾が広い服、つまりワイドパンツとフレアスカートから順に見直します。細いパンツは足首で裾が止まるので、この差ではほとんど変わりません。5cm以上下がったなら、パンツもスカートも、丈を全部組み直すつもりで測ってください。
| 下がった高さ | 直す服 | 直さなくてよい服 |
|---|---|---|
| 2cm未満 | なし | すべて |
| 2〜4cm | ワイドパンツ・フレアスカート・ロングスカート | テーパード・細身のパンツ・膝丈スカート |
| 5cm以上 | パンツとスカートの全部 | 膝より上で終わる丈 |
下がった高さは、靴の「かかとの高さ」だけを比べれば分かります。床に靴を置いて、かかとの一番高いところまでを測ってください。前に履いていたヒールと、いまの靴の差がそのまま、裾が床に近づいた距離です。
まず測る:靴を履いて、床から3か所
測るのは服ではなく、服を着て靴を履いた自分です。鏡の前で立ち、家族に頼むか、スマートフォンを床に置いて足元を撮って確かめます。
1つ目は、パンツの裾の後ろ側から床までの距離です。後ろのかかと側がいちばん床に近づくので、ここを測ります。2つ目は、パンツの前側で、裾が靴の甲にどれくらい乗っているか。折れ目がいくつできているかを数えます。3つ目は、スカートの裾が、ふくらはぎの一番太い位置から上か下に何センチ離れているかです。
ふくらはぎの一番太い位置は、横から見て、膝の裏から下に向かってふくらみが最も大きくなるところです。メジャーで床からの高さを測っておくと、スカートを1枚ずつ合わせるたびに測り直さずに済みます。
この3つを、いま持っているパンツとスカートで1枚ずつ測ります。全部で10枚あっても、30分あれば終わります。測った数字を紙に書いておくと、次の章からの判定がそのまま使えます。
前に履いていたヒールがもう手元にない、という方もいるはずです。その場合は、ヒールを履いていた頃の写真を1枚探してください。全身が写っている写真で、パンツの裾が靴のどこにかかっていたかを見ます。甲の真ん中あたりで止まっていたなら、かかとはおよそ5cm前後あったと考えて構いません。甲の付け根の近くまで裾がかかっていたなら、7cm前後です。写真も見つからないときは、いま手元にあるいちばん高い靴を基準にして、それとの差で考えます。
測るときに気をつけたいのは、靴下です。秋に履く厚手の靴下は、それだけで足の甲を5mm近く持ち上げます。いちばんよく履く靴下を履いたまま測ると、実際に出かけるときの状態とずれません。
パンツの裾:形ごとに止める位置
パンツは形によって、裾を止めてよい場所が違います。ヒールの頃は「裾が甲に少しかかる」くらいで済んでいた服も、ぺたんこ靴では甲の上で布が余り、横から見ると裾が波打ちます。
ワイドパンツは、後ろ側の裾が床から2〜3cm浮いている状態を目安にします。1cmを切ると、歩いたときにかかとで裾を踏みます。4cm以上浮くと、今度は足首が見えて、ワイドの広がりが途中で切れたように見えます。ヒールに合わせていた頃は床ぎりぎりまで長くしていた方が多いので、ぺたんこ靴に替えると、たいていこの数字より長くなっています。
ストレートパンツは、前側で裾が甲に軽く触れ、折れ目が1つだけできる長さが目安です。折れ目が2つ以上できるなら長すぎます。甲にまったく触れず、靴下が見えているなら、それは短めの丈として着る服なので、足首の見せ方の章で扱います。
テーパードパンツと細身のパンツは、くるぶしの骨が半分隠れるくらいで止まっていれば、靴の高さが変わってもほとんど影響を受けません。裾が足首で細くなっているので、床に向かって落ちていかないからです。ヒールをやめて最初に「このパンツだけは前と同じに見える」と感じるのは、たいていこの形です。
形の判断に迷ったら、裾の幅を測ってください。裾の幅(平置きで片側)が22cm以上ならワイド、18〜22cmならストレート、18cm未満なら細身として扱えば、ほぼ外れません。
測ってみて長すぎると分かっても、すぐに切る必要はありません。切る以外に、3つの手があります。ストレートパンツなら、裾を外側に2回、幅3cmほどで折り返すと、折り返しの厚みで裾が甲の上に落ちにくくなり、秋らしい厚手の生地にもよく合います。ワイドパンツなら、裾を内側に折り込んで、貼ってはがせる裾上げテープで留めておけば、見た目は切ったのとほとんど変わりません。もうひとつは、靴のほうを替える方法です。甲が深く隠れるローファーより、甲が浅く見えるフラットパンプスのほうが、裾のたわみが目立ちにくくなります。
どの方法でも、試したら一度、駅の階段の上り下りをしてみてください。階段では膝が曲がるぶん、裾が3〜4cm持ち上がります。上り下りのあとに裾が元の位置に戻るかどうかで、その長さが日常で使えるかが分かります。
スカートの裾:ふくらはぎの線と重ねない
スカートは、床からの距離よりも、裾が脚のどこで終わるかが大事です。ヒールをやめると、脚が見えている部分の長さが変わらないまま、全体が4〜5cm床に近づきます。そのぶん、裾が終わる位置と、ふくらはぎのふくらみの位置の関係がずれます。
目安はひとつだけです。裾の線を、ふくらはぎの一番太い位置に重ねない。 上なら3cm以上、下なら3cm以上離します。裾の横の線と、脚の一番太い横の線が同じ高さに並ぶと、横線が二重になって、そこに視線が止まります。脚の太さの問題ではなく、線が二重になることの問題です。同じ脚でも、裾を3cmずらすだけで線は一本になります。
ヒールを履いていた頃は、かかとが上がっていたぶん、ふくらはぎの筋肉の形が少し上に寄っていました。ぺたんこ靴ではふくらみが下に落ち着くので、同じスカートでも、裾とふくらみが重なりやすくなります。去年はちょうどよかったミモレ丈が今年急に重たく見えるのは、たいていこれです。
座ったときの裾の位置も、一度見ておいてください。椅子に座ると、スカートの裾は立っているときより5〜8cm持ち上がります。立って測ったときに太い位置の3cm下にあった裾は、座ると太い位置に重なることがあります。電車や会議で座っている時間が長い日に着るスカートなら、立った状態で太い位置より5cm以上下に裾が来るか、上に3cm以上離れているほうを選ぶと、座ったときにも線が二重になりません。
ロング丈のスカートは、裾がくるぶしより上で終わるか、くるぶしを越えて甲の近くまで来るかで分けて考えます。くるぶしの骨の上5cm以内に裾があると、ぺたんこ靴では足の甲との間に半端なすき間ができます。ここは靴下かタイツの色で埋めるか、丈をはっきり変えるかのどちらかです。
足首の見せ幅:秋は3cm、冬の入り口で0へ
ぺたんこ靴は、ヒールよりも足の甲が隠れる形が多く、そのぶん足首まわりの見え方が服の印象を左右します。ここでいう見せ幅は、パンツやスカートの裾から、靴の履き口までのすき間の高さです。
秋の入り口は、すき間を3cm前後にすると軽く見えます。肌でも、薄手の靴下でも構いません。3cmより狭いと、裾と靴が触れそうで触れない半端な間に見え、5cmを超えると、季節の割に足元だけが寒そうに見えます。
気温が下がって、朝の気温が10℃を下回るころには、すき間を0にする方向へ動かします。方法は3つあります。裾を長いものに替える、靴下を厚手にして裾の中に入れてしまう、靴をショートブーツに替える。いちばん手間がないのは靴下で、パンツと同じ色か、靴と同じ色にすると、裾と靴が一本につながって見えます。
靴下の色に迷ったら、パンツと靴のうち、面積の大きい方に合わせてください。ロング丈のパンツなら靴下はパンツの色、短めの丈なら靴の色です。
靴下の素材も、見せ幅の印象を変えます。薄手のなめらかな靴下は、肌に近い見え方になるので、3cmのすき間でも軽く見えます。リブ編みや厚手のウールの靴下は、それだけで足首に横線が何本も入るので、すき間を2cm程度に詰めると落ち着きます。タイツは、秋の入り口なら薄手のもの、朝晩が冷えてきたら少し厚手のものへと替えていきます。厚手になるほど色が濃く出るので、スカートか靴の色に寄せると、脚の部分が一本につながって見えます。
測ってみる:パンツ4本とスカート2枚の場合
ここで、測る流れをひとつの例で追ってみます。5cmのヒールから、かかと1cmのローファーに替えた方の場合です。下がった高さは4cmなので、「2〜4cm」の帯に入ります。直すのは、裾の広い服からです。
手持ちは、ワイドパンツが1本、ストレートパンツが2本、テーパードパンツが1本、ミモレ丈のフレアスカートが1枚、膝丈のタイトスカートが1枚でした。
ローファーを履いて測ると、ワイドパンツは後ろの裾が床から0.5cmしか浮いておらず、歩くとかかとで踏んでいました。これは2〜3cm浮かせるために、裾を2cmほど上げる対象です。ストレートパンツは、1本が甲の上で折れ目が2つ、もう1本は折れ目が1つでした。2つの方だけを1.5cmほど上げます。テーパードは、くるぶしが半分隠れる位置で止まっていて、ヒールの頃と見え方がほとんど変わらないので、そのままです。
スカートは、ふくらはぎの一番太い位置が床から32cmでした。フレアスカートの裾は床から33cmで、太い位置とほぼ重なっています。ゴムのウエストなので、はく位置を3cm下げると、裾は床から30cmになり、太い位置より2cm下に来ました。座ると重なるので、さらに1cm下げて、トップスは中に入れて着ることにしました。膝丈のタイトスカートは、太い位置よりずっと上で終わっているので、直す必要はありませんでした。
結果として、6枚のうち手を入れたのは3枚、そのうち2枚は裾を上げ、1枚はウエストの位置を変えただけです。新しく買った服は1枚もありません。多くの場合、このくらいの手間で、足元の重たさは消えます。
靴の種類ごとの目安
いま履いている靴の種類で、裾の合わせ方の目安をまとめます。これは一覧で答えを出すための表ではなく、自分の靴がどの軸で効いてくるかを見るための表です。
| 靴 | 甲の見え方 | 裾の合わせ方の軸 |
|---|---|---|
| ローファー | 甲がほぼ隠れる | 甲の上の折れ目の数 |
| フラットパンプス | 甲が大きく見える | 裾と甲のすき間の高さ |
| 運動靴 | 甲が隠れ、靴に厚みがある | 裾が靴の履き口に乗るかどうか |
| ショートブーツ | 足首まで隠れる | 裾と履き口の重なり幅 |
| ローヒール(3cm前後) | 靴による | ヒールとぺたんこのどちらに近いか |
運動靴は靴自体に厚みがあるので、底が3cm近くあるものも珍しくありません。かかとの高さを測ると、意外にヒールの靴と1〜2cmしか違わないことがあります。その場合は、最初の章の「2cm未満」に入るので、服を直す必要はありません。
ショートブーツと裾のあいだ
秋の終わりから冬の立ち上がりに、ぺたんこ靴の代わりに増えてくるのがショートブーツです。ここでも見るのは「線を重ねない」ことです。
パンツの裾がブーツの履き口に、ちょうど同じ高さで止まっていると、横線が二本並んで、足首のあたりが詰まって見えます。裾がブーツに3cm以上かぶるか、裾とブーツの間に5cm以上すき間を空けるか、どちらかにはっきり寄せます。0〜3cmの重なりと、0〜5cmのすき間は、どちらも半端に見えやすい帯です。
スカートとショートブーツも同じです。ブーツの履き口から裾までが10cm以内だと、脚の見えている部分が短い帯になり、重たく見えやすくなります。その場合は、タイツの色をブーツにそろえると、帯がブーツとつながって長く見えます。
ブーツを替えると裾の位置は変えられないので、ここはタイツと靴下の色で調整する場面がいちばん多くなります。
これからショートブーツを選ぶなら、先に手持ちのパンツの裾の高さを測っておくと失敗しにくくなります。ブーツの履き口の高さは、床から測って12〜18cmくらいのものが多く、商品の説明にも書かれていることがあります。よくはくパンツの裾が床から3cmなら、履き口が6cm以上高いブーツであれば、裾がブーツに3cm以上かぶります。細身のパンツでくるぶしの上に裾がある場合は、裾の高さより5cm以上低い履き口のブーツを選ぶと、すき間がはっきり空いて、線が重なりません。ブーツを先に決めて服を合わせるより、よく着る服に合わせてブーツの高さを選ぶほうが、手持ちの服を直す数が少なく済みます。
どちらとも取れるとき①:ヒールとぺたんこを両方履く
いちばん多い迷いは、「平日はぺたんこ、たまにヒールも履く」という方の丈の決め方です。両方に完璧に合う丈はありません。どちらかに合わせて、もう片方は少しずれるのを受け入れることになります。
決め方は単純で、1週間のうち3日以上履く靴に合わせます。 週に一度の会食のためにヒールの丈で残しておくと、残りの6日、裾が甲でたわみ続けます。たわんだ裾は床を擦り、後ろ側から先に擦り切れていきます。
ぺたんこ靴に合わせた丈でヒールを履くと、裾は2〜4cm短く見えます。ただ、足の甲が少し見えるぶん軽く見えるので、ヒールの日に困ることはほとんどありません。逆向きの失敗のほうが目立つ、と覚えておけば迷わずに済みます。
どうしても決められないときは、ワイドパンツだけを「ヒールの日の1本」として残し、それ以外をぺたんこ靴の丈にそろえてください。ワイドは床までの長さが印象を決めるので、ヒール用に1本あると、場面が分けやすくなります。
運動靴をよく履く方は、もうひとつ考えておくことがあります。運動靴は底が厚く、甲も高いので、同じ長さのパンツでも、ローファーより裾が甲の上で持ち上がって見えます。運動靴の日とローファーの日が半々なら、ローファーに合わせて床から2〜3cmにしておくと、運動靴の日は裾が甲に軽く乗る程度で収まります。運動靴に合わせて長めにすると、ローファーの日に裾が床を擦るので、低いほうの靴に合わせるのが基本です。
どちらとも取れるとき②:裾がふくらはぎの一番太いところに乗る
スカートの裾が、測ってみたらふくらはぎの一番太い位置から上下1〜2cm以内だった。ここは判断が分かれます。「重なっているほどではないが、離れてもいない」帯だからです。
切る前に試してほしいのは、ウエストの位置を動かすことです。ゴムのウエストなら、はく位置を2〜3cm上げるか下げるだけで、裾も同じだけ動きます。上げて裾が太い位置より3cm上に来れば、脚がすっきり見えます。下げて3cm下に来れば、落ち着いた丈になります。どちらが合うかは、上半身の丈で決めます。トップスを外に出して着るなら上げる、中に入れるなら下げる、が目安です。
ウエストが動かせない形なら、タイツと靴の色をそろえます。裾から下が一本の色になると、太い位置の横線が見えにくくなります。秋の入り口でタイツがまだ早いなら、ベージュより少し濃い色の薄手のものを選ぶと、肌の続きに見えながら線をぼかせます。
それでも気になる場合だけ、丈を詰めるか、別のスカートに替える選択肢を考えてください。1〜2cmの重なりは、立ち止まって見たときほどには、歩いているときに目立ちません。
どちらとも取れるとき③:3cmのローヒールはどちらの扱いか
3cm前後のローヒールに替えた、という方も多いはずです。これは「ヒール」なのか「ぺたんこ」なのか、判断が分かれます。
答えは、前の靴との差で決めます。7cmのヒールから3cmに替えたなら、下がったのは4cmなので、「2〜4cm」の帯で裾の広い服から見直します。5cmから3cmなら、差は2cmなので、ほとんど直す必要はありません。ローヒールそのものの高さではなく、前の靴との差だけを見てください。
もうひとつ見てほしいのが、靴の底の厚みです。かかとが3cmでも、つま先側の底が1cm近くあると、足全体が持ち上がって、実際に下がった高さは2cm程度にとどまります。つま先側の底も測っておくと、判定がずれにくくなります。
背の高さによる違いも、ここで触れておきます。床から裾までの距離や、くるぶしからの距離は、背の高さに関係なく同じ数字で使えます。裾が床を擦るかどうか、甲の上でたわむかどうかは、布と床と靴の関係だけで決まるからです。
変わるのはスカートの丈です。身長が150cm前後なら、ふくらはぎのふくらみも低い位置にあり、ふくらみの幅も狭くなります。そのぶん、裾と太い位置が重なる帯に入りやすいので、上下にずらす幅を3cmではなく4cmにしてください。165cm以上なら、3cmで十分に線の重なりが消えます。
切る前に1週間:仮留めで過ごす
丈を直すと決めたら、いきなり切らずに、1週間仮留めで過ごしてください。安全ピンを裾の内側に3〜4か所、または貼ってはがせる裾上げテープで、決めた長さに折り上げます。
この1週間で確かめるのは2つです。ひとつは、決めた長さで本当に困らないか。駅の階段、座ったとき、しゃがんだときに裾がどう動くかは、鏡の前では分かりません。もうひとつは、その間に一度でもヒールを履きたくなったかどうかです。
1週間、一度もヒールを履かなかったなら、切って大丈夫です。履いた日があったなら、折り返し分を長めに残して縫ってもらってください。2〜3cmなら、あとで戻せます。
仮留めをすると、もうひとつ分かることがあります。同じ長さに詰めた服が何枚かあると、パンツの丈がそろうので、靴を替えたときに一度に全部が合うようになります。丈がばらばらだった頃より、朝の組み合わせがずっと速くなったと感じる方が多いところです。
上半身の重さを、足元に合わせて軽くする
裾を直しても、まだ全体が重たく見えるときは、上半身との釣り合いを見ます。ヒールを履いていた頃は、かかとが上がっていたぶん、全身の重心が少し上にありました。ぺたんこ靴では重心が下がるので、上半身に厚みや面積が多いと、全体が下へ沈んで見えます。
いちばん効くのは、首元と手首を少しだけ開けることです。ニットの袖を手首の骨が見えるところまで上げる、シャツの一番上のボタンを外す。肌が見える場所が上半身に2か所あると、視線が上に上がり、足元の低さが気にならなくなります。
バッグの位置も見てください。肩から下げたバッグの底が、腰骨より下に来ていると、重心がさらに下がります。持ち手を短くして、底が腰骨のあたりに来るようにすると、全体の重さが上に戻ります。
トップスの丈も見直す場所です。ヒールの頃に腰が隠れる長さのトップスを外に出して着ていたなら、ぺたんこ靴では、脚が見えている部分が短くなったように感じやすくなります。トップスの裾を前だけ少し中に入れて、ウエストの位置を見せると、脚の始まりが分かって、全体が上に引き上がって見えます。全部を入れなくても、前の10cmほどを入れるだけで十分です。
首元の整え方は50代のきれいめ定番を丈と首元の厚みで整える話にも詳しく書いています。
秋のはじめから冬の立ち上がりまでの順番
直す順番も決めておくと、一度に全部やらずに済みます。
秋のはじめは、いちばんよく着るパンツ1本から始めます。1本だけ仮留めして1週間過ごし、合う長さが分かったら、同じ形のほかのパンツをその長さにそろえます。足首は3cmほど見せて、薄手の靴下で調整します。
秋の半ばは、スカートの番です。ふくらはぎとの位置を測って、重なっているものだけを見直します。タイツが使えるようになるので、ウエストを動かすか、タイツの色で整えるかを選べるようになります。
冬の立ち上がりには、ショートブーツとの重なりを確かめます。裾とブーツの履き口を、3cm以上かぶせるか、5cm以上離すかに決めます。コートを着るようになったら、コートの裾と、中に着ているスカートやパンツの裾の関係も見ておきます。コート選びそのものは50代のコートの選び方を見てください。
この順番で進めると、季節が深まるのに合わせて、少しずつ足元が整っていきます。
一度に全部をやろうとすると、どの服から手をつけるかで迷い、結局どれも直さないまま冬になります。ひと月にパンツなら2本、スカートなら1枚くらいのつもりで進めると、無理がありません。測った数字は、服のタグの近くにメモを貼っておくか、スマートフォンのメモに服の名前と一緒に残しておくと、翌年の秋に同じことを繰り返さずに済みます。
去年の服を手放す前に確かめること
裾を直しても合わない服は、たしかにあります。ただ、手放す前に、もう一度だけ靴を替えて試してほしい服があります。ヒールの頃にいちばんよく着ていた服です。
よく着ていた服ほど、ヒールに合わせて丈を決めていた可能性が高く、ぺたんこ靴との組み合わせで一番ずれが出ています。逆にいえば、丈さえ合えば、またいちばん着る服に戻る可能性が高い服でもあります。手放すかどうかは、仮留めの1週間を過ごしてから決めても遅くありません。
それでも手放すと決めた服があるなら、その服の何が合わなかったのかを、ひとこと書き残しておいてください。「裾の幅が広すぎて、2cm上げても甲の上で布が余った」「ウエストが動かせず、裾がふくらはぎに重なった」。次に服を買うとき、売り場でその1点だけを確かめれば、同じ失敗を避けられます。ぺたんこ靴の生活が続くなら、買う前に靴を履いて試着する、というだけでも、合わない服を持ち帰ることはずっと少なくなります。
服をズボンに入れて着る日の裾の整え方は服をズボンに入れる話に、柄物の選び方は60代の秋の柄物の話にまとめています。年代は違っても、測って決めるところは同じです。
まとめ:服を替える前に、メジャーを持つ
ヒールをやめたあとに服が重たく見えるのは、服が古くなったからでも、似合わなくなったからでもありません。足元が数センチ下がって、裾が床に近づいただけです。
靴を履いて、パンツの裾の後ろから床まで、甲の上の折れ目の数、スカートの裾とふくらはぎの位置。この3か所を測れば、どの服を直せばよいかが決まります。下がった高さが2cm未満なら何もしない。2〜4cmなら裾の広い服から。5cm以上なら丈の全部。迷ったら、週に3日以上履く靴に合わせて、1週間仮留めで過ごしてから切る。
服を買い足すのは、それをすべて終えてからで十分です。
よくある問い
- Q. ヒールの靴とぺたんこ靴を両方履きます。パンツの丈はどちらに合わせればいいですか
- 1週間のうち3日以上履く靴に合わせてください。週の半分以上ぺたんこ靴なら、ぺたんこ靴を履いて床から裾まで2〜3cmに合わせます。ヒールの日は裾が少し短く見えますが、足の甲が見えるぶん軽く見えるので、困ることはほとんどありません。逆にヒールに合わせて切ると、ぺたんこ靴の日に裾が床を擦り、汚れと擦り切れがすぐに出ます。
- Q. スカートの裾が、ちょうどふくらはぎの一番太いところに来てしまいます
- 切る前に、ウエストの位置を2〜3cm動かしてみてください。上げれば裾は太い位置より上に、下げれば下に逃げます。ウエストが動かせない形なら、タイツと靴の色をそろえて、裾から下を一本の線に見せる方法もあります。3cm以上ずれれば線が二重に見えなくなるので、それより大きく動かす必要はありません。
- Q. 裾上げをしたら、ヒールに戻したくなったときに困りませんか
- 困ることがあるので、いきなり切らずに、安全ピンや裾上げテープで1週間仮留めして過ごしてください。その1週間で一度もヒールを履かなかったなら、切って大丈夫です。迷う場合は、折り返し分を長めに残して縫ってもらうと、あとで2〜3cmなら戻せます。
- Q. 背が低めです。数字はそのまま使えますか
- 床から裾までの距離と、くるぶしからの距離は、背の高さに関係なくそのまま使えます。変わるのはスカートの丈で、身長が150cm前後なら、ふくらはぎの太い位置から上下にずらす幅を3cmではなく4cmにすると、線の重なりが消えやすくなります。
— メグラシ編集部





