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70代・150cmのファッション|丈と軽さで決める、毎日着たい服の選び方

メグラシ編集部//読了 17分
身長に合わせて裾丈を調整した、軽い素材の装い

「身長150cmだと、丈の合う服がなかなか見つからない」「重いコートを着るのがつらくなった」──70代でこう感じるとき、原因が体の側にあることはほとんどありません。

市販の服は身長158cm前後を基準に作られていることが多く、150cmの方にとっては、袖も着丈も裾も、最初から4〜8cmほど長い状態で店に並んでいます。合わないのは、体ではなく設計の基準です。

そしてもう一つ、70代で効いてくる条件が重さと着脱のしやすさです。ここが合っていないと、どれだけ気に入った一着でも出番が減ります。逆に言えば、丈・重さ・着脱の三つを揃えれば、着たいものを諦める理由はほとんど残りません。

この記事は、その三つを数字で決めるための基準をまとめます。

📋 150cm・70代の服選び早見表

決めること見る場所目安合っていないときに起きること
スカート丈裾が床から何cm18〜24cm か 42〜48cm25〜33cmだと脚の幅がそこで記憶される
パンツ丈裾が床から何cmくるぶしが見える高さ引きずる/裾を踏む
トップス着丈腰骨から何cm下0〜3cm下上下の境目が消えて全体が縮む
コート丈裾が床から何cm18〜22cmふくらはぎの最太部で切れる
上着の重さ片手で持ち上がるか持ち上がる範囲肩がこわばり、外出そのものが億劫になる
着脱前開きかかぶりか迷ったら前開き腕を上げる動作で肩に負担がかかる
袖ぐり腕を通すとき肘が当たらないか指2本分の余裕着るたびに引っかかる
顔の近くの色髪より明るいか中間より明るい顔だけ浮くか、影が濃く出る

150cmで起きていることは、寸法のずれだけ

まず、低身長で起きていることを分解します。ここに「似合う・似合わない」の話は一つも出てきません。

部位158cm基準の設計150cmで起きること直し方
着丈ヒップが隠れる長さももの中ほどまで届く3〜5cm詰める/短い設計を探す
肩幅肩先に肩線が来る肩線が二の腕に落ちる直しが難しいので買うときに合わせる
袖丈手首の骨まで手の甲まで覆う2〜4cm詰める
袖ぐり指2本の余裕脇の位置が下がる型ごと選び直す
股上27〜30cm前がたるむ25〜27cmの設計を選ぶ
股下68〜72cm裾が余る5cm以内なら詰める
スカート丈ふくらはぎの下最も太い位置で止まる4〜7cm詰める
コート丈ひざ下ふくらはぎの中ほど長い丈を選び直すほうが早い

詰められるのは丈、詰められないのは肩幅と袖ぐりです。だから買うときは肩で合わせ、丈は詰める前提で選ぶ。この順番だけ覚えておけば、選択肢は一気に広がります。

同じ身長帯の具体的な数値は低身長・150cmの服選びに細かくまとめています。

70代で変わるのは、年齢ではなく体の使い方

70代で服の条件が変わるのは事実です。ただし、変わるのは好みや似合うものではなく、動作と体感のほうです。

変わること服の側で効く条件合わないときに起きること合わせ方
腕が上がる範囲が変わる日がある袖ぐりの余裕、前開きかどうか着るたびに肩に力がいる袖ぐりに指2本、迷えば前開き
指先の細かい動作が変わるボタンの大きさ、ファスナーの引き手玄関先で時間がかかる直径15mm以上のボタン、大きめの引き手
体温の感じ方が変わる足し引きできる構成暑い/寒いのどちらかで一日を過ごす中を薄く、外で調整する
皮膚が乾きやすくなる肌に触れる面の素材首元や手首がちくちくする綿・シルク・上質なウールを内側に
荷物を持つ時間が短くなる服とバッグの重さの合計出かける前から疲れる上着とバッグを両方軽くする
足元の安定を優先する靴の底面と重心歩幅が小さくなる底が広く、かかとの低い靴
背中が丸くなりやすい肩線と着丈前身頃が前に落ちる肩線ちょうど、後ろ着丈がやや長い型

この表のどこにも「もう着られないもの」はありません。条件が変わったなら、条件に合う一着を選び直せばよいという話です。

丈|裾が床から何cmで終わるか

丈は身長ごとに数字が変わりますが、「床から何cm」に置き換えると身長に関係なく同じ基準が使えます。

裾が終わる高さ(床から)見え方向く場面ずれたときに起きること
0〜5cm足の甲まで届く最長丈式や集まりの席つまずきやすい。日常には向かない
6〜17cmくるぶしが完全に見える日常全般ほとんど出ない
18〜24cmふくらはぎの細い位置外出、旅行、通院ほとんど出ない
25〜33cmふくらはぎの最も太い位置避けたい帯脚の幅がそこで記憶される
34〜45cmひざ下きちんとした場座ったときの丈を要確認
46〜55cmひざが見える明るい印象にしたい日ひざの冷えに注意

150cm前後の方の場合、この帯を表記の丈に換算すると、ひざ丈50〜53cm、ミモレ丈72〜75cm、ロング丈84〜87cmになります。買う前に、いま持っているいちばん履きやすい一本を測っておくと、通販でも同じ基準で判断できます。

トップスの着丈|分割位置は高いほうが安定する

低身長では、上下の境目が下がるほど全体が縮んで見えます。だから着丈は短めが基本になります。

着丈上下の境目見え方ずれたときに起きること
腰骨から0〜3cm下はっきり出る縦の分割が上がり、脚が長く見えるほとんど出ない
腰骨から4〜8cm下出る腰まわりが隠れるやや胴が長く見える
ヒップの中ほど見えにくい覆う面積が増える脚の始まりが下がる
ヒップが完全に隠れる消える全体が一枚の面になる前だけ入れるか羽織りで縦を通す
もも中まで消える羽織りとしては成立一枚で着ると重心が落ちる

長い丈を着たい日は、前だけウエストに入れるか、前が開く羽織りにして縦の線を一本通します。丈を諦めるのではなく、境目を作るという解き方です。

重さ|持ったときに片手で持ち上がるか

70代の服選びで、丈と同じくらい効くのが重さです。とくに上着は、重さの差がそのまま外出の回数に出ます。

上着の種類体感の重さ暖かさ扱いやすさ
中綿入りの薄手コート軽い中〜高洗えるものが多く、日常の主力になる
ダウンのショート丈とても軽い高いたためる。旅行と相性がよい
ダウンのロング丈軽いとても高い丈のわりに軽い。冬の外出向き
薄手ウールのコート品が出る。長時間の外出は肩に来る日がある
厚手ウールのコート重い高い見た目は保つが、着る回数が減りやすい
ボアやムートン重い高い短い外出向き
キルティングの羽織りとても軽い室内でも使える。着脱が楽
ウールのカーディガン軽い前開きで調整しやすい

判断は簡単で、片手のハンガーで持ち上げたときに軽く上がるかどうかです。店頭ならその場で分かります。通販なら、中綿・ダウン・キルティングという言葉が入っているものは軽い側に入ります。

重さは、着ている時間の長さで効き方が変わります。玄関から車までの数分なら、多少重くても気になりません。一方、電車で移動して人と会って帰ってくるような日は、上着の重さがそのまま夕方の疲れになります。同じ一日でも、外にいる時間で選ぶ一着を変えるという使い分けをしておくと、重いものを手放さずに済みます。

もう一つ、上着の重さと同じくらい効くのがバッグです。上着を軽くしてもバッグが重ければ、肩にかかる合計は変わりません。荷物の中身を見直す日を年に一度作るだけでも、外出の負担は変わります。

素材|軽くて暖かいもの、重くて冷たいもの

同じ厚みでも、素材によって重さと暖かさは大きく変わります。

素材重さ暖かさ肌への当たり日常での扱い
ダウン・中綿とても軽い高い冬の外側の主力
ハイゲージのウールニット軽い高い柔らかい内側の主力。首元も痛くなりにくい
カシミヤ混とても軽い高いとても柔らかい一枚あると冬が軽くなる
アクリル混のニット軽い洗えるものが多い
綿のスウェット地柔らかい家の中で扱いやすい
厚手ウールの織地重い高い見た目は保つが肩に来る
コーデュロイ重い面が重くなるので上半身は明るく
とろみのあるポリエステルとても軽い低いなめらか体の凹凸を拾わず落ちる
レーヨン混のカットソー軽い低いなめらか肩の丸みをそのまま流す
リネン混軽い低いややかたい夏の主力。しわは表情になる

肌に直接触れる面は、綿・シルク・ハイゲージのウールのいずれかにしておくと、乾燥した季節でも過ごしやすくなります。ちくちくする素材は、内側に一枚挟むだけで着られるようになります。

着脱のしやすさ|前開きとかぶりの使い分け

見落とされやすいのに、実際の出番をいちばん左右するのがここです。

着脱のしやすさ向く場面注意する点
前開き(ボタン)高い通院、外出、来客ボタンは直径15mm以上が扱いやすい
前開き(ファスナー)高い屋外、旅行引き手が大きいものを選ぶ
前開き(スナップ)高い日常全般片手でも留めやすい
かぶり(首が大きく開く)日常全般頭囲より大きく開くか確認
かぶり(首が詰まる)低い髪を整える前肩にボタンがある型なら扱いやすい
後ろファスナー低い人の手がある日一人で着る日には向かない
ウエストゴム高い日常全般前だけゴムの型は見た目も保てる
ホック+ファスナーきちんとした場出かける前に一度試しておく

前開きは実用の面で優れていますが、前で開くという線がそのまま縦の線になるので、低身長との相性も良い形です。実用と見え方が一致する数少ない選択肢です。

袖と袖ぐり|腕が上がる範囲で決める

見る場所目安合っているときに起きること合わないときに起きること
袖ぐりの余裕指2本分腕を通すときに引っかからない着るたびに肘が当たる
袖丈手首の骨の上0〜2cm手元がすっきり見える手の甲を覆い、家事の邪魔になる
袖口の広さ手が抜ける幅脱ぐときに引っかからない洗い物のときにまくれない
肩線の位置肩先の骨の上腕が自然に上がる二の腕に落ちると腕が太く見える
肩を落とした型肩先より2〜4cm外腕の可動域が広がる落ちすぎると全体が大きく見える
袖のゴム・リブ手首でゆるく止まる風が入らないきつすぎると跡が残る

首元|かぶりやすさと顔映りは同時に決められる

首元の形かぶりやすさ顔映り向く日
クルーネック首が詰まって見える日がある中に着るとき
浅いVネック高い縦の線で顔が引き締まるほぼ毎日
ボートネック高い鎖骨が見えて軽くなる人と会う日
スキッパー・開襟高い顔の下に余白ができる通院、買い物
タートルネック低い首が短く見えることがある寒い日、上に羽織る前提で
オフタートル首元に余白が残る寒い日の日常
ショールカラー高い顔まわりに厚みが出る冬の羽織り

首元が寒い日は、詰まった服を選ぶよりも、開いた形にストールを一枚のほうが着脱も温度調整も楽になります。襟ぐりごとの見え方は襟ぐりの種類にまとめています。

色|髪の明るさに合わせて決める

白髪が増えると、髪の明度は中間から上に移ります。このとき服の明度だけが低いままだと、顔と服のあいだで明度差が開きます。

顔の近くに置く色起きること向く場面ずれたときに起きること
オフホワイト・生成り光を柔らかく返すほぼ全ての場面ほとんど出ない
明るいグレー髪の明るさと調和する日常全般彩度が低すぎると全体が沈む
ベージュ・キャメル肌に近くなじむ秋冬の日中肌と同化して輪郭が消える
くすんだ青・緑顔の赤みが落ち着く日常全般明度が低いと沈む
淡いピンク・藤色血色がよく見える人と会う日面積が広いと色が主役になる
ネイビー引き締まりつつ柔らかい行事、通院面積が広いと重さが出る
輪郭がはっきりする式の席顔の下に影が落ちる
濃い茶落ち着きが出る秋冬髪との明度差が開くことがある

黒や濃い色を着たい日は、首元に明るい色を1〜2cmのぞかせる、または耳元につやのあるものを置きます。着るものを変えなくても、明度差だけを埋められます。

色の理屈は老けて見える色の正体に詳しく書いています。

色の配分|上下どちらを明るくするか

配分上半身下半身低身長での見え方
もっとも安定明るい濃い顔が立ち、下が締まる
全身を一色に近づける中間中間分割が消えて縦に長く見える
軽く見せたい日明るい中間全体が軽くなる
引き締めたい日中間濃い落ち着くが顔の明るさは確保する
難易度が上がる濃い明るい重心が下がり上半身が縮む

低身長の場合、上下を近い明度でそろえるのも有効です。境目の色差が小さいほど、縦に長く見えます。

靴|歩ける・脱ぎ履きできる・重心が上がる

靴の条件歩きやすさ脱ぎ履き見え方
ヒール2〜3cm・底が広い高い高い重心が少し上がり、丈も合う
フラット・甲が見える高い高い足の甲が見えて軽くなる
フラット・甲が覆われる高い足が短く見えることがある
ヒール5cm以上姿勢に負担が出る日がある
ブーツ(ファスナー付き)裾との合わせ方で丈が決まる
ひも靴高い低いかがむ動作が増える
スリッポン高いとても高い通院や来客の日に扱いやすい
靴底の厚いスニーカー高い裾丈を靴に合わせて調整する

靴の色をボトムスかストッキングの色に近づけると、足元で線が切れずに縦がつながります。低身長ではこの効果がとくに出ます。

靴は、見た目より先に一日の行動範囲を決めてしまう道具です。歩ける靴が一足あるかどうかで、出かける先の選択肢が変わります。買い替えるときは、夕方に試すと足のむくみを含めた実際の状態で判断できます。中敷きを一枚入れるだけで合う場合もあるので、サイズが半分ずれているという理由だけで諦める必要はありません。

場面別|一日の組み立て

場面上半身下半身上着効かせる一手
通院前開きのトップスウエストゴムのパンツ軽い羽織り腕まくりのしやすい袖
近所の買い物明るい無地テーパードパンツキルティング甲の見える靴
友人と会うつやのある素材中間色中綿コート耳元に光るものを一つ
家族との食事明るい色+襟濃色前開きの羽織り首元を少し開ける
法事や式の席黒か濃紺同系色軽い黒の羽織り首元に明るさを1〜2cm
旅行・帰省洗える素材しわの出ない生地たためるダウン靴は履き慣れたもの一足
孫と過ごす日動きやすいカットソーゴム入りのボトムス洗える羽織り汚れの目立たない中間色
家で過ごす日柔らかい素材締めつけのないもの羽織り一枚一枚かけて輪郭を作る

場面の具体例は60代のスタイリングの考え方60代の通勤の装い孫と過ごす日の装いも参考になります。

気温別|中を薄く、外で調整する

最高気温中心になるもの足すもの注意する場所
30度以上半袖か七分袖薄い羽織り冷房の風が肩に当たらないように
25〜29度薄手の長袖薄い羽織り朝晩の差
20〜24度長袖一枚カーディガン首元の開き
15〜19度薄手ニット中綿の羽織り手首と足首
10〜14度ニット軽いコート足元の冷え
9度以下薄手を二枚ダウンか中綿コート重ねすぎて肩が動かなくならないか

厚いものを一枚着るより、薄いものを二枚重ねるほうが、暖かさと軽さが両立します。重ね方の基本は秋の重ね着の基本にあります。

買うときに見る数字

見る場所確認する数字150cm前後の目安合っていないと起きること
肩幅肩線が肩先に来るか36〜38cm前後二の腕に落ちて腕が太く見える
着丈腰骨から何cm下0〜3cm下上下の境目が消える
袖丈手首の骨の上0〜2cm52〜54cm前後手の甲を覆い作業しにくい
袖ぐり指2本の余裕指2本腕を通すときに引っかかる
股上ウエストから股まで25〜27cm座ったときに腰が出る
股下股から裾まで62〜66cm裾を踏む/短すぎる
スカート丈裾が床から何cm18〜24cm25〜33cmで脚の幅が出る
上着の重さ片手で持ち上がるか上がる範囲出かけるのが億劫になる

サイズ表記のS・Mではなく、商品ページの実寸表を見る習慣をつけると、通販でも判断できます。手持ちのいちばん着やすい一枚を測ってメモしておくのが最初の一歩です。

直せるところと、直せないところ

直したい場所直せるか目安注意する点
パンツの裾直せる5cmまでは形が保てる6cm以上詰めるとシルエットが変わる
スカートの裾直せる台形やフレアは要相談裾の広がりの位置が上がる
袖丈直せる2〜4cm袖口に飾りがあると難しい
ウエスト直せる2〜3cm詰めすぎるとポケットの位置がずれる
肩幅直しにくい形そのものが変わるため買うときに合わせる
袖ぐり直しにくい型を選び直すほうが早い
着丈(トップス)場合による裾の始末による元の縫い方で可否が変わる

**肩と袖ぐりで買い、丈で直す。**この順番を守るだけで、選べる一着は増えます。

「70代だから」で狭めなくてよいもの

最後に、年齢を理由に外されがちなもののうち、実際には条件さえ合えば残るものを並べます。

よく言われること実際に効いている条件条件を満たせば残る選び方
デニムはもう無理生地の厚みと硬さ薄手でやわらかいものなら日常着濃色・ストレッチ入り・ゴム入り
明るい色は派手彩度と面積明度を上げて彩度を下げれば顔映りがよい顔の近くに、無地で
柄は年齢に合わない柄の大きさと余白小さめの柄なら汗じみも目立たない小紋・細かいストライプ
長い丈は野暮ったい裾が止まる位置床から18〜22cmなら縦がつながる軽い素材のロング
パンツは体型が出る股上と裾幅股上25〜27cm、裾幅18cm以上なら拾わないテーパードかワイド
ヒールはもう履けない高さと底面の広さ2〜3cmで底が広ければ安定する甲が見える型
スニーカーはカジュアルすぎる色と形濃色で装飾の少ないものなら日常着に合う無地・低め
ワンピースは着る機会がない着脱と丈前開きなら日常の一枚になる羽織りと合わせて

年齢は、選べるものを減らす理由になりません。減らす必要があるのは、重すぎるもの・着るのに力がいるもの・足元が不安定になるものだけです。

服が原因で起きる、小さな困りごと

体の変化として受け取られがちなことのうち、実際には服の設計が原因になっているものがあります。ここを分けて考えると、直せることが増えます。

肩がこる日が続くとき、上着の重さが肩の一点にかかっている場合があります。同じ重さでも、肩から吊るす仕立てと、背中全体で支える仕立てでは体感が違います。買うときに袖を通して、両腕を前に出してみると分かります。

腕が上がりにくいと感じるとき、可動域そのものより袖ぐりの位置が下がっていることがあります。低身長の方が158cm基準の服を着ると、脇の位置が2〜3cm下がり、その分だけ腕の上がる角度が小さくなります。肩で合ったサイズを選ぶだけで、動きが戻ることは珍しくありません。

裾を踏みそうになる、段差でつまずきそうになる。これは丈の問題です。裾が床から6cm以上あれば、歩幅が小さくなっても引っかかりません。安全は、丈の数字で確保できます。

前かがみになると背中が出る、座ると腰が出る。これは股上と後ろ着丈です。股上25〜27cm、後ろ着丈が前より2〜3cm長い設計を選ぶと、動作のたびに気にする必要がなくなります。

**体に合わせて我慢するのではなく、合う設計を選び直す。**この順番で考えると、日常の小さな困りごとはかなりの割合で服の側で解けます。

洗濯と手入れ|出番が続く一着の条件

どれだけ気に入っていても、手入れに手間がかかる一着は、少しずつ出番が減っていきます。買うときに洗い方まで見ておくと、そのあとの一年が変わります。

表示家での扱い出番への影響選ぶときの考え方
洗濯機で丸洗い可そのまま洗える増える日常着はここから選ぶ
手洗い可ためて洗うことになるやや減る週に一度まとめて洗える枚数に留める
ドライのみ季節ごとに出す減る上着や式の席の一着に限る
家庭乾燥機不可干す場所が要るやや減る軽い素材なら乾きが早く負担が小さい
型崩れしやすいニット平らに干すやや減るハイゲージなら扱いが軽い
しわが残る生地アイロンが必要減る混紡にするとしわが軽くなる
毛玉ができやすい手入れが増える減る摩擦の多い脇と袖口を触って確かめる
汚れが目立つ淡色部分洗いが増えるやや減る中間色にすると気を張らずに着られる

洗える一着が増えると、外出そのものが気軽になります。手入れの軽さは、装いの一部だと考えて構いません。

肌に触れる一枚|順番を決めておく

年齢とともに肌が乾きやすくなると、素材の当たりが直接そのまま体感に出ます。ここは重ねる順番で解決できます。

いちばん内側は、綿かシルク、あるいはハイゲージのウールにします。肌に当たる面がなめらかであれば、その上に何を重ねても、ちくちくする感触はほとんど届きません。ウールのニットが苦手だった方が、内側に薄い一枚を挟むだけで着られるようになる例はよくあります。

中間には、暖かさを担うものを置きます。ここが厚いと肩が動きにくくなるので、薄手を二枚にするほうが結果として楽になります。

いちばん外側は、風を通さないものです。冬の寒さの多くは風で起きるため、外側の一枚が風を止めれば、中を薄くしても体感は下がりません。中を厚くして肩に重さをかけるより、外で止めるほうが、体にも見た目にも負担が少なくなります。

出かける前の1分の確認

最後に、玄関を出る前に確かめる場所を三つだけ挙げます。

ひとつめは、上下の境目が見えているかどうか。鏡の中で腰の位置が分かれば、丈の判断はおおむね合っています。

ふたつめは、顔の近くに明るさがあるかどうか。首元でも、耳元でも構いません。ここが暗いままだと、体調に関わらず疲れて見えます。

みっつめは、腕が肩の高さまで無理なく上がるかどうか。上がらないなら、その日は前開きに替えるだけで一日の負担が変わります。

この三つで足ります。増やすと確認そのものが面倒になり、結局やらなくなります。

家族に頼むとき、伝えること

ご家族に選んでもらう機会がある方のために、伝える内容を整理しておきます。

伝えるのは四つです。ひとつめは身長と、いま手持ちでいちばん着やすい一枚の着丈・肩幅・袖丈。ふたつめは前開きかかぶりかの希望。みっつめは重さの上限で、「片手で持ち上がるくらい」と言えば伝わります。よっつめは、洗濯機で洗えるかどうか。

色や柄の好みは、この四つのあとで構いません。条件が先に決まっていれば、選ぶ側も具体的に絞れて、贈られる側も出番のある一着を受け取れます。

まとめ

70代で身長150cm前後の服選びは、丈・重さ・着脱のしやすさという三つの条件で決まります。年齢が選択肢を減らしているのではなく、この三つが合っていない一着が手元にあるだけです。

丈は、裾が床から何cmで終わるかで見ます。25〜33cmの帯だけを外せば、ロングでもひざ下でも成立します。トップスの着丈は腰骨から0〜3cm下にすると、上下の境目が高い位置に残ります。

重さは、片手で持ち上がるかどうか。中綿・ダウン・キルティングを選べば、同じ暖かさのまま体感は変わります。着脱は、迷ったら前開き。前で開く線は、そのまま縦の線としても働きます。

色は、髪の明るさに合わせて中間より明るい側を顔の近くに。濃い色を着たい日は、首元に明るさを1〜2cmのぞかせれば足ります。

そして、肩と袖ぐりで買い、丈で直す。この順番さえ守れば、着たいものを年齢で手放す必要はありません。

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— メグラシ編集部

よくある問い

Q. 70代で150cmだと、スカートは何cm丈を選べばよいですか
表記の丈ではなく、裾が床から何cmで終わるかで決めると迷いません。150cm前後の方だと、ひざ丈は50〜53cm、ふくらはぎの下で切るミモレ丈は72〜75cm、ロング丈は84〜87cmが目安になります。避けたいのは、裾が床から25〜33cmで終わる丈です。この高さはふくらはぎのいちばん太い位置にあたるため、脚の幅がそこで記憶されます。市販品は身長158cm前後を基準に作られていることが多いので、同じ表記でも4〜7cmほど短いものを選ぶか、詰めることになります。
Q. 70代になって、重いコートがつらくなりました
重さは我慢するものではなく、選び直せる条件です。同じ暖かさでも、中綿やダウンを使ったものは、厚手のウールに比べて三分の一ほどの重さで済みます。持ったときに片手で軽く持ち上がるかどうかが、実用的な判断基準になります。加えて、重さは肩にかかるので、肩まわりに厚みのない仕立てを選ぶと体感が変わります。丈を短くして軽くする方法もありますが、裾が床から18〜22cmで終わる長めの丈は縦の線が通るので、軽い素材でその丈を選ぶほうが見え方は保てます。
Q. 着脱がしにくい服は、どこを見れば分かりますか
店頭でも通販でも、見るのは三か所です。ひとつは前開きかかぶりか。腕を大きく上げにくい日があるなら、前開きのほうが確実です。ふたつめはボタンの大きさで、直径15mm以上あると指先で扱いやすくなります。みっつめは袖ぐりの余裕で、腕を通すときに肘が引っかからない幅があるかどうかです。かぶりのものを選ぶ場合は、首まわりが頭囲より大きく開くか、肩にボタンやファスナーがあるものにすると負担が減ります。
Q. 70代の低身長でも、ロングコートを着てよいですか
着られます。低身長でロングコートが難しく見えるのは、丈が長いからではなく、裾がふくらはぎのいちばん太い位置で止まったときです。裾が床から18〜22cmで終わる長さまで通すと、縦の線がつながって全体がすっきりします。軽い中綿のものを選べば、重さの問題も同時に解決します。丈を諦めるより、丈と素材を組み合わせて選ぶほうが選択肢は広がります。
Q. 白髪が増えてから、似合う色が分からなくなりました
髪の明るさが変わったので、服の明るさの基準がずれただけです。白髪が増えると髪は中間から明るい方向に移るため、顔の近くに濃い色を置くと明度差が開いて、顔だけが浮いたり沈んだりします。合わせやすくなるのは、明るいグレー、オフホワイト、生成り、くすんだ青や緑など、明るさが中間から上にある色です。濃い色を着たい日は、首元に明るい色を1〜2cmのぞかせるか、耳元につやのあるものを置くと、同じ服のまま印象が変わります。
Q. 家族に服を選んでもらうとき、何を伝えればよいですか
好みの色や形より先に、数字と条件を伝えるほうが失敗が減ります。伝えるのは、身長と、いま手持ちでいちばん着やすい服の着丈・肩幅・袖丈、そして前開きかかぶりかの希望、重さの上限(片手で持ち上がる程度など)の四つです。この四つが揃っていれば、選ぶ側は具体的に絞れます。色の好みは最後に伝えれば十分です。
Q. 70代だから避けたほうがよい服はありますか
年齢を理由に外れるものは、実際にはほとんどありません。難しくなるのは、重いもの、腕が大きく上がらないと着られないもの、足元が不安定になるものの三つで、これは年齢ではなく可動域と安全の話です。デニムも、明るい色も、柄も、丈の長いものも、素材と重さと丈が合っていれば日常の選択肢に残ります。外すのは「年齢に合わないもの」ではなく「今日の体に合わないもの」です。

— メグラシ編集部

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