老けて見える色とは|肌との明度差と彩度で決まる仕組みと年代別の直し方

「老けて見える色」と検索するとき、探しているのはおそらく避けるべき色のリストです。ですが、色名で覚えようとすると、うまくいきません。同じベージュでも良く見える日と、そうでない日があるからです。
この記事は、その差の正体を言葉にするためのものです。先に結論を書きます。**老けて見える色というものは存在せず、あるのは「肌との明度差」と「彩度」の組み合わせです。**そして、この二つは色名ではなく、着る人の肌と、その色を置く場所によって変わります。
なお、この記事は色の話であって、顔の話ではありません。読者の顔をどうにかしようという記事ではなく、色のほうを調整する記事です。ですから、この先に出てくる「陰影が濃く出る」「輪郭が曖昧になる」といった表現は、すべて布が返した光の話として読んでいただければと思います。原因が色の側にあるなら、直せるのも色の側です。
この記事の役割|色に特化して扱います
メグラシでは、装いの見え方について複数の記事を役割で分けています。混乱しないよう、はじめに整理しておきます。
- 着痩せ……線と面の配置の話。縦のライン、面積の配分、視線の誘導
- 着膨れしない重ね方……重ねる順番と厚みの話。レイヤーの構造
- 老けて見える服の特徴と対策……形・素材・全体設計の話
- この記事……色に特化。明度差と彩度が顔まわりで何を起こすか
「同じ形の服なのに、色を替えたら印象が変わった」という経験がある方は、この記事の範囲です。形やシルエットで迷っている方は、上の三本のほうが早く答えにたどり着けます。
「老けて見える色」は色そのものではない
まず、この前提を共有させてください。
色は、それ自体が印象を持っているわけではありません。顔まわりに置かれた布は光を反射し、その光が肌に返ります。返った光が、顔の凹凸をどう照らすか——そこで印象が決まります。
同じネイビーのシャツでも、着る人の肌の明るさが違えば、返る光と肌のコントラストが変わります。だから「この色は老けて見える」という言い方は、正確には「私の肌と、この色の明度差は大きい」という意味になります。
**主語は色ではなく、色と肌の関係です。**関係である以上、片方を変えれば結果が変わります。そして変えやすいのは、色のほうです。
決めているのは、明度差と彩度の二つだけ
顔まわりの印象を左右する要素は、突き詰めると二つです。
| 要素 | 何を見ているか | 大きすぎると | 小さすぎると |
|---|---|---|---|
| 肌との明度差 | 布が肌より明るいか暗いか、その差 | 顔の陰影が濃く出る、または輪郭が飛ぶ | 顔と服の境目が消えて、輪郭が曖昧になる |
| 彩度 | 布に色みがどれくらいあるか | 布が主役になり、顔の血色が弱く見える | 顔の血色と同じ彩度になり、顔が装いに溶ける |
理想の位置は、肌よりわずかに明るく、彩度がほんの少しあるあたりです。ここに置くと、顔まわりに光が回りつつ、顔の輪郭は保たれ、血色は布に負けません。
以下、この二つを順に分解します。
明度差が大きいと、顔まわりで何が起きるか
顔のすぐ横に、肌よりずっと暗い色を置いた場合を考えます。
目は、視野の中でいちばん明るいところと暗いところを基準に、明るさの目盛りをつくります。真っ黒が視野に入ると、目盛りの下端がそこに設定され、肌はその対比で明るく飛びます。すると、肌の中でも特に暗い部分——目の下、小鼻の脇、口角、あご下——だけが影として残り、濃く見えます。
これが「顔まわりが沈む」と表現される現象の中身です。肌そのものは何も変わっていません。影の情報だけが選択的に強調されているという状態です。
逆に、肌よりずっと明るい色を置いた場合はどうなるか。今度は目盛りの上端が布に設定され、肌が相対的に暗く沈みます。加えて、明るすぎる布が返す光は顔の凹凸を平らに照らすので、輪郭の情報そのものが弱くなります。
| 明度差 | 顔に起きること | どう直すか |
|---|---|---|
| 肌よりかなり暗い(黒、濃紺、ダークブラウン) | 目の下と口元の影が濃く出る | 首元に肌より明るい色を一枚挟む |
| 肌より少し暗い(グレー、モカ、オリーブ) | 陰影がやや強まるが、輪郭は保たれる | 艶のある素材にすると光が回る |
| 肌とほぼ同じ(ベージュ、ヌードカラー) | 顔と服の境目が消え、輪郭が曖昧になる | ネックレスや襟で境目をつくる |
| 肌より少し明るい(アイボリー、ライトグレージュ) | 光が回り、輪郭も保たれる | この位置が扱いやすい |
| 肌よりかなり明るい(純白、蛍光増白の白) | 顔の凹凸が飛び、輪郭が弱くなる | オフホワイトに替える、または顔から離す |
つまり、**避けるべきは「暗い色」ではなく「肌との差が大きい色を顔のすぐ横に置くこと」**です。差そのものを消せなくても、間に一枚挟めば差は段階に変わります。
彩度が低すぎると、顔まわりで何が起きるか
もうひとつの軸が彩度です。ここは明度ほど知られていませんが、実際にはよく効きます。
人の顔には、頬や唇に血色という形で彩度があります。この彩度と、隣に置いた布の彩度が同じくらいだと、目は顔と布を同じ面として読みます。すると、顔の輪郭が装いの中に溶けます。
グレーやベージュを一色でまとめた日に、なんとなく物足りなく感じるのはこの状態です。色が悪いのではなく、顔の血色が布に埋もれて、輪郭が立たなくなっているわけです。
対処は簡単で、どこか一点だけ彩度を上げます。
| 彩度を上げる場所 | 効き方 | 具体例 |
|---|---|---|
| リップ | 最も効く。顔の中心にある | 血色のあるローズ、コーラル、ベリー |
| スカーフ・ストール | 顔の直下で光を返す | 一色でも柄でも可 |
| ピアス(色石) | 小さくても顔の横で効く | ガーネット、ターコイズ、パール以外の色石 |
| インナーの襟元 | 顔と外側の布のあいだに入る | 白より、わずかに色みのある白 |
| ネイル | 手を顔の横に置いたときだけ | 会話の多い場面では効く |
| バッグ・靴 | 顔には効かないが装いは締まる | 差し色として全体を引き締める |
彩度を上げるのは一点で十分です。**全体の彩度を上げると、今度は布が顔を追い越します。**一点だけ、というのがここでの要点です。
「くすみ色は老けて見える」は本当か
近年の定番であるくすみ色について、よく聞く説明を検証しておきます。
くすみ色とは、灰色を混ぜて彩度を落とした色です。彩度が下がると、前の節で見たとおり、顔の血色と布の彩度が近くなります。ですから「くすみ色を顔まわりに単独で置くと、輪郭がぼやける」というのは、原理としては正しい説明です。
ただし、これは「くすみ色を着てはいけない」という結論にはなりません。くすみ色は、明度差の設計がしやすいという長所を持っています。黒ほど暗くなく、白ほど明るくない中間の明度に幅広く分布しているので、肌の明るさに合わせて選びやすいのです。
くすみ色を扱うときの手順は二つです。
- 肌よりわずかに明るいくすみ色を選ぶ(グレージュ、ダスティローズ、ペールセージなど)
- どこか一点だけ彩度を上げる(リップ、スカーフ、色石のピアス)
この二つを守れば、くすみ色は顔まわりでも十分扱えます。
色別|何が起きるか、どうすれば着られるか
ここまでの原理を、よく着る色に当てはめて一覧にします。左から、色、顔まわりで起きること、着るための条件です。
| 色 | 顔まわりで起きること | どうすれば着られるか |
|---|---|---|
| 真っ黒 | 明度差が最大になり、影が濃く出る | 首元にオフホワイトかグレーを挟む。艶のある素材を選ぶ |
| チャコールグレー | 黒より穏やかだが、陰影はやや強まる | 顔まわりに明度を一段足せば扱える |
| ダークブラウン | 明度が低く、黄みで顔色が沈みやすい | ボトムスへ。上に着るならベージュの襟を出す |
| こっくりベージュ | 肌と明度が近く、境目が消える | ネックレスで境目をつくる。または一段明るく |
| グレージュ | 中間の明度で扱いやすい | リップで彩度を一点足す |
| 純白(蛍光増白) | 明度が高すぎて凹凸が飛ぶ | オフホワイト、アイボリーへ |
| オフホワイト | 光が回り、輪郭も保たれる | ほぼそのまま使える定番 |
| ネイビー | 黒より穏やかだが、明度は低い | 首元に白かベージュを挟む |
| カーキ・オリーブ | 彩度が低く、顔の血色と近い | 差し色を一点。または明るいオリーブへ |
| くすみピンク | 彩度が低く、血色に溶ける | リップの彩度を上げて対比をつくる |
| 濃いボルドー | 明度が低く、口元の影と重なる | ボトムスへ。上ならスカーフで明度を足す |
| 明るいイエロー | 反射が強く、肌の黄みを持ち上げる | 顔から離すか、白を間に挟む |
| ライトグレー | 明度が中〜高で扱いやすい | ほぼそのまま使える |
| ペールブルー | 明るく、わずかに彩度がある | 顔まわりに向く位置 |
| 全身同色(トーン揃え) | 明度差がなく、装いが平板になる | どこか一か所だけ明度を変える |
この表を見ると、扱いにくい色に共通しているのは「顔のすぐ横に単独で置いたとき」という条件であることが分かります。条件を変えれば、結果は変わります。
顔まわりと下半身で、許容度はまったく違う
ここが実務上いちばん役に立つ話です。色が顔に返す光の量は、距離が離れるほど急速に減ります。
| 位置 | 顔からの距離 | 色の影響 | 制約 |
|---|---|---|---|
| 襟元・首元 | 0〜10センチ | 最も強い | 明度と彩度の両方を選ぶ |
| 胸元 | 10〜25センチ | 強い | 明度は意識する |
| 腰まわり | 25〜50センチ | 弱い | ほぼ自由 |
| 膝まわり | 50〜80センチ | ほとんどなし | 自由 |
| 足元 | 80センチ以上 | なし | 完全に自由 |
つまり、制約があるのは鎖骨から上だけです。真っ黒のワイドパンツも、濃いボルドーのスカートも、顔映りには影響しません。「この色は着られない」と思って手放そうとしていた服の多くは、ボトムスとしてならそのまま使えます。
羽織りも同じ考え方が使えます。前を開けて着れば、顔の正面に来るのは中の色です。黒のジャケットは、中に明るい色を着れば、顔まわりの色ではなくなります。
40代|何が変わるか
ここから年代別に見ていきます。同じ色でも結果が変わる理由は、肌と髪の側の条件が変わるためです。
40代で起きるいちばん大きな変化は、肌の水分量が下がり、光が拡散しにくくなることです。光が拡散すると凹凸の影は薄まりますが、拡散しにくくなると影がそのまま残ります。結果として、以前は目立たなかった目の下や口元の影が、色の影響を受けやすくなります。
具体的な対処は三つです。
- 顔まわりの明度を、肌よりわずかに明るい位置に固定する
- 艶のある素材(シルク、サテン、光沢のあるコットン)を顔まわりに一点入れる
- 黒や濃紺は、上半身に着るなら必ず間に一枚挟む
40代からの服選び全般については四十代からの服選びの変化にまとめています。色以外の変化もあわせて整理していますので、参考にしてください。
50代|何が変わるか
50代で加わるのは、髪の明度が上がりはじめるという変化です。白髪が混ざると、顔まわりを囲む面の明るさが変わります。
これは不利な変化ではありません。むしろ、髪が明るくなると顔まわりの明度が上がるので、**以前は明るすぎたオフホワイトやペールカラーが、なじむようになります。**同時に、黒との明度差は髪の側でも広がるため、黒を顔の横に置くと影がよりはっきり出るようになります。
| 髪の状態 | 顔まわりの明るさ | 色の条件の変化 |
|---|---|---|
| 濃く染めている | 髪が暗く、顔まわりは締まる | 黒との差は小さい。明るい服が映える |
| 明るく染めている | 顔まわりが明るい | 中明度の色がなじむ |
| 白髪を活かしている | 顔まわりが最も明るい | 明るい色が自然。濃色は下半身へ |
| グレイヘアに移行中 | まだらで情報が多い | 顔まわりは無地の中明度が扱いやすい |
50代で「今まで着ていた色がしっくりこない」と感じるのは、色の好みが変わったのではなく、髪の明度という条件が動いたためであることが多いところです。
60代|何が変わるか
60代では、肌の透明感と髪の明度の両方が、40代・50代とはさらに違う状態になります。ここで有効なのは、明度を上げつつ、彩度も少し上げるという組み合わせです。
明度だけを上げると、顔の凹凸の情報が飛んで、輪郭が弱くなります。そこにわずかな彩度を足すと、布が肌と区別され、顔の輪郭が保たれます。
| 60代で扱いやすい位置 | 例 | 理由 |
|---|---|---|
| 明るく、わずかに彩度がある | アイボリー、ペールブルー、ライトモーブ | 明度と輪郭の両立ができる |
| 中明度で彩度が中くらい | ローズ、セージ、ライトネイビー | 顔の血色に負けず、影も濃くしない |
| 顔から離した濃色 | チャコールのパンツ、濃紺のスカート | 装い全体を締める役割 |
| 一点の彩度 | スカーフ、色石のブローチ | 顔まわりに焦点をつくる |
60代のパーソナルカラーの考え方は60代のパーソナルカラーにも整理しています。年齢によって診断結果が変わるわけではないものの、扱いやすい位置は動く、という話です。
年代別のまとめ表
三つの年代を並べて見ておきます。
| 年代 | 肌と髪の側の変化 | 起きやすいこと | 効く手 |
|---|---|---|---|
| 30代後半 | 目の下の影が出はじめる | 濃色で影が強調される | 首元の明度を意識しはじめる |
| 40代 | 水分量が下がり光が拡散しにくい | 陰影が残りやすくなる | 艶のある素材を顔まわりに一点 |
| 50代 | 髪の明度が上がる | 黒との差が広がる | 明るい色がなじむ。濃色は下半身へ |
| 60代 | 肌と髪の両方が変わる | 明度だけ上げると輪郭が弱くなる | 明度+わずかな彩度の組み合わせ |
年代が上がるほど「明るい色に寄せる」というのは、単なる印象論ではなく、髪と肌の明度が上がることに合わせた調整です。
直し方①|差し色を一点だけ入れる
ここからは具体的な直し方です。まず、いちばん効く手から。
顔まわりに彩度のある一点を置くと、顔が装いから浮き上がり、輪郭が立ちます。置く場所は、リップ、スカーフ、色石のピアスのいずれかです。
| 差し色の置き場所 | 効き方 | 選び方 |
|---|---|---|
| リップ | 最も強い。顔の中心 | 血色より一段はっきりした色 |
| スカーフ | 顔の直下で光を返す | 明度は肌より明るく、彩度は中くらい |
| ピアス(色石) | 小さくても輪郭の横で効く | 顔の彩度を超えない範囲で |
| インナーの襟元 | 外側の布と顔のあいだ | 白より、わずかに色みのある白 |
| カーディガンのボタン | 縦に点が並ぶ | 全体が静かなときの補助 |
一点だけ、というのが要点です。二点以上入れると、今度は視線が分散して、顔が主役でなくなります。
直し方②|質感で光を足す
色を替えられないときは、素材で調整できます。同じ色でも、光の返し方が変われば顔まわりの明るさが変わります。
| 質感 | 光の返し方 | 顔まわりへの効果 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| サテン・シルク | 面で強く返す | 顔まわりが一段明るくなる | 濃色を上半身に着る日 |
| 光沢のあるコットン | やわらかく返す | 自然に明るさが足せる | 日常のシャツ |
| パール・光る石 | 点で返す | 顔の陰影をやわらげる | ほぼ全場面 |
| マットな綿・麻 | 素直に色が出る | 色そのものの影響が出る | 基準として考える |
| 起毛・フェルト | 光を吸う | 顔まわりが静かになる | 顔から離した位置で |
| 厚手のウール | 光を吸い、面も大きい | 濃色だと影響が強い | アウターは前を開ける |
濃い色のニットを着る日は、パールのネックレスを一連足すだけで顔まわりの光量が変わります。手軽で、効果もはっきり出る手です。
直し方③|面積と配置を変える
三つめは、色そのものを動かさずに、置く場所を変える方法です。
- 黒のトップスを、黒のボトムスに入れ替える(上に明るい色を持ってくる)
- 濃色のカーディガンの前を開けて、中に明るいインナーを着る
- 大判のストールを、顔に近いところにかける
- 濃色のワンピースに、明るいジャケットを羽織る
いずれも、新しく買う必要がありません。手持ちの服の並び順を替えるだけです。多くの場合、これで十分に変わります。
直し方④|明度を三段に分ける
もう一手、装い全体の設計として覚えておくと便利なのが、明度を三段に分ける考え方です。
濃い・中間・淡いの三段があると、顔は自然に上のほう(淡い側)に置かれ、明度差が急な段差にならずに済みます。
| 配置 | 例 | 結果 |
|---|---|---|
| 淡・中・濃(上から下へ) | オフホワイトのシャツ、グレーのカーディガン、チャコールのパンツ | 顔まわりが最も明るく、下に向かって締まる |
| 濃・淡・中 | 黒のジャケット、白のインナー、グレーのスカート | 黒を着つつ顔まわりは白で受ける |
| 全部が中間 | ベージュ、グレージュ、トープ | 平板になりやすい。一か所だけ変える |
| 濃・濃・濃 | 黒・濃紺・チャコール | 顔だけが浮く。首元に淡色を一枚 |
「全身を暗い色でまとめた日に顔だけ疲れて見える」というのは、三段のうち淡い段がないために起きています。首元にスカーフを一枚足すだけで、三段になります。
実例|黒のニットを着る日の組み立て
原理だけでは実行しにくいので、いちばん相談の多い「黒のニット」を例に、順を追って組み立ててみます。
黒のニットは、明度が最も低く、素材が光を吸い、しかも顔のすぐ横に大きな面をつくります。この記事で挙げた条件のうち、三つが同時に重なる状態です。ですから、そのまま着ると顔まわりの陰影が最も強く出ます。
ここで「黒のニットは着ない」と決めるのは、選択肢としてもったいないところです。順番に手を入れていきます。
まず、間に一枚挟みます。白いシャツを下に着て、襟と袖口を出す。これだけで、顔の直下に肌より明るい面ができ、明度の段差が二段に分かれます。シャツがなければ、ストールを首にかけるだけでも構いません。
次に、光を足します。パールのネックレスを一連。パールは点で光を返すので、顔まわりの陰影がやわらぎます。石でもガラスでも、光を返すものなら効きます。
最後に、彩度を一点入れます。リップを血色より一段はっきりした色にする。ここまでで、黒のニットは顔まわりに置ける状態になります。
三つとも新しく買う必要はなく、手持ちのもので足りるはずです。避けるより、三手を加えるほうが早いというのが、この記事全体でお伝えしたいことです。
職場や場面で色を選べないとき
制服、礼服、業界の慣習でスーツの色が決まっている——色を選べない場面はあります。その場合は、変えられるものだけを変えます。
| 場面 | 固定されている色 | 変えられるところ | 具体策 |
|---|---|---|---|
| 黒の礼服(弔事) | 黒 | 髪、肌の質感、ストッキング | 顔まわりの艶を上げる。装飾は控えめに |
| 黒の礼服(慶事) | 黒 | インナー、アクセサリー | 首元に明るいインナー、パールを一連 |
| 黒・紺のスーツ | 低明度 | ブラウス、スカーフ、リップ | ブラウスをオフホワイトかアイボリーに |
| 制服(ベージュ系) | 肌と明度が近い | ネックレス、リップ、インナー | 境目をつくる。彩度を一点足す |
| ユニフォーム(濃色) | 低明度 | リップ、髪の艶、ピアス | 顔の側の情報量を上げる |
| ドレスコードが濃色 | 低明度 | ストール、ボレロ、アクセサリー | 顔まわりに明度を一段足す |
礼服の黒は避けようがありませんが、首元と耳元の二か所を整えるだけで、鏡に映る顔は変わります。ここは実際に試していただくと差が分かりやすいところです。
「太って見える色」とは別の軸です
同じくよく検索される「太って見える色」との違いも整理しておきます。二つは別の軸の話なので、混ぜると判断がぶれます。
| 軸 | 何で決まるか | 効く要素 | 該当記事 |
|---|---|---|---|
| 老けて見えるか | 顔まわりの陰影の濃さ | 肌との明度差、彩度 | この記事 |
| 太って見えるか | 輪郭の読まれ方 | 縦のライン、上下の分け位置、素材の落ち感 | 着痩せ |
| 厚く見えるか | 重ねた層の積み方 | 重ねる順番、素材の厚み | 着膨れしない重ね方 |
黒は、体の輪郭に対しては収縮方向に働き、顔まわりに対しては影を濃くする方向に働きます。この二つは矛盾ではなく、場所が違うだけです。だから黒はボトムスで使い、顔まわりには明るい色を置く——という結論になります。
髪の明度が変わると、色の条件が変わる
年代の節でも触れましたが、独立して扱う価値のある話です。髪は顔まわりの面積を最も大きく占めるので、その明度は服の色より強く効くことがあります。
| 髪の明度 | 顔まわりの状態 | 服の色の条件 |
|---|---|---|
| 暗い(黒〜ダークブラウン) | 顔まわりが締まる | 明るい服が映える。濃色は影が重なる |
| 中間(ミディアムブラウン) | 標準 | 幅広く扱える |
| 明るい(ライトブラウン〜ベージュ) | 顔まわりが明るい | 中明度の服がなじむ |
| グレー・白 | 最も明るい | 明るい服が自然。濃色は下半身へ |
「服の色を変えても解決しない」というとき、髪色のほうが条件を決めていることがあります。髪を一段明るくするだけで、手持ちの服の見え方が全部変わる、ということも起こります。
メイクで受けるという考え方
服の色を変えられない場面——制服、礼服、指定のドレスコード——では、顔の側で受けます。
- リップ……いちばん効きます。血色より一段はっきりした色を、輪郭をぼかさずに置く
- チーク……頬の彩度が布に負けているときに足す。位置は高すぎない場所へ
- ハイライト……頬骨の上に少し。光が回って、影の情報が減る
- アイブロウ……薄いと顔の情報量が減るので、色を服に合わせて一段調整する
順番としては、リップ、ハイライト、チークの順です。ここまでで多くの場面は収まります。
季節ごとに条件は変わる
同じ色でも、季節によって顔映りは変わります。日光の色温度と、まわりに置かれる色が変わるためです。
- 春……街の色が明るくなり、顔まわりの明るさも上がります。中明度の色が扱いやすい季節です。
- 夏……日差しが強く、白の反射が増えます。純白より、オフホワイトやアイボリーのほうが顔が落ち着きます。
- 秋……深い色が増えます。顔まわりだけ明度を保つと、季節感を出しつつ影を防げます。
- 冬……黒とダークトーンが街を埋めます。首元に淡い色を一枚入れる習慣が、いちばん効く季節です。
パーソナルカラーとの関係
パーソナルカラーは「どの色相・トーンが顔になじむか」を扱う道具で、この記事の「明度差と彩度」とは軸が違います。ただし重なる部分もあります。
| 判断すること | どちらで見るか |
|---|---|
| 黄み寄りか青み寄りか | パーソナルカラー |
| 肌より明るいか暗いか | この記事の明度差 |
| くすんでいるか澄んでいるか | パーソナルカラー |
| 顔まわりに置くか下半身に置くか | この記事の配置 |
| 差し色を何色にするか | パーソナルカラー |
| 差し色をどこに置くか | この記事の配置 |
順番としては、まず明度差と配置を決め、そのあと色相をパーソナルカラーで選ぶと迷いません。パーソナルカラーの基本はパーソナルカラー4シーズンの比較にまとめています。
よくある誤解を三つ
誤解1|明るい色を着ればよい
明度だけを上げると、顔の凹凸が飛んで輪郭が弱くなります。効くのは色そのものの明るさではなく、肌との差です。
誤解2|暗い色は避けるべき
避ける必要はありません。置く場所を変えれば、暗い色は装い全体を締める役割を果たします。制約があるのは鎖骨から上だけです。
誤解3|年齢が上がると着られる色が減る
減りません。扱いやすい位置が動くだけです。髪が明るくなればなじむ色が増える、という方向の変化もあります。
迷ったときの3ステップ
クローゼットの前で使える判断手順です。
| 手順 | 見るところ | 判断 |
|---|---|---|
| 1|明度差を見る | その色は自分の肌より明るいか暗いか | 大きく暗いなら顔から離すか、間に一枚挟む |
| 2|彩度を見る | 顔の血色と同じくらいの彩度か | 近いなら、リップかスカーフで一点上げる |
| 3|置く場所を決める | 鎖骨より上か、それより下か | 下なら制約なし。上なら1と2を満たす |
この三つを通せば、色名を覚える必要はありません。手持ちの服がそのまま使えるかどうかを、その場で判断できます。
まとめ
- 老けて見える色というものはなく、肌との明度差と彩度の組み合わせが結果を決めている
- 明度差が大きすぎると顔の陰影が濃く出て、小さすぎると輪郭が曖昧になる
- 彩度が顔の血色と近すぎると、顔が装いに溶ける。一点だけ上げれば戻る
- 制約があるのは鎖骨から上だけ。腰から下は自由に選んでよい
- 年代で変わるのは色ではなく、肌の水分量と髪の明度という条件のほう
- 直し方は差し色・質感・面積の三つ。買い替えなくても組み替えで変えられる
色は、避けるものではなく、置き場所を決めるものです。手持ちの服の並び順を替えるところから始めていただければと思います。明日の朝、いつもの一着に首元の一枚を足してみる。その小さな一手から確かめていただくのが、いちばん確実です。
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よくある問い
- Q. 老けて見える色にはどんな色がありますか?
- 特定の色名で決まるものではありません。同じベージュでも、肌より少し暗くて彩度の低いベージュは顔まわりの陰影を強め、肌より明るくてわずかに彩度のあるベージュは顔まわりを明るくします。判断の軸は色名ではなく、その色が自分の肌より明るいか暗いか、そして彩度がどれくらいあるかの二つです。
- Q. 黒い服は老けて見えますか?
- 顔のすぐ横に置いたときは、影を濃くする方向に働きます。黒は明度が最も低いため、肌との明度差が最大になり、目の下や口元のくぼみが強調されるためです。ただしこれは黒の性質であって、黒がいけないという話ではありません。ボトムスに回す、首元にオフホワイトやグレーを一枚挟む、艶のある素材を選ぶ、のいずれかで解決します。
- Q. くすみ色は老けて見えますか?
- くすみ色そのものではなく、くすみ色を顔まわりに単独で置いたときに、顔の血色と布の彩度が同じくらいになることが原因です。布と肌の彩度が近いと、顔が装いに溶けて輪郭がぼやけます。くすみ色を着るときは、リップかスカーフで一点だけ彩度を上げると、顔が装いから浮き上がります。
- Q. 40代と50代で、同じ色でも結果が変わるのはなぜですか?
- 肌の水分量と、髪の明度が変わるためです。肌の水分量が下がると、光が拡散せず、顔の凹凸に影が残りやすくなります。この状態で明度の低い色を顔まわりに置くと、影がさらに濃く出ます。また白髪が増えて髪の明度が上がると、顔まわり全体の明るさが変わるため、以前ちょうどよかった色が暗く見えたり、逆に明るい色がなじむようになったりします。
- Q. 顔まわりと下半身で、色の制約は違いますか?
- 大きく違います。色が顔に返す光の影響は、距離の二乗に近い勢いで弱まります。鎖骨から上に入る色は顔映りを直接左右しますが、腰から下に置いた色は、顔の印象にはほとんど影響しません。ですから「この色は着られない」と思っていた服の多くは、ボトムスとしてなら問題なく使えます。
- Q. 明るい色を着れば若々しく見えますか?
- 明るさだけでは決まりません。明度を上げすぎると、顔の凹凸の情報が飛んで輪郭が弱く見えることがあります。効くのは色そのものの明るさではなく、肌との差です。肌よりわずかに明るく、彩度がほんの少しある色——たとえばアイボリー、ライトグレージュ、ペールブルー——が、多くの方にとって扱いやすい位置です。
- Q. 太って見える色と老けて見える色は同じですか?
- 違う軸の話です。太って見えるかどうかは、色の膨張・収縮と上下の明度差の位置で決まります。老けて見えるかどうかは、顔まわりの陰影の濃さで決まります。ですから、収縮色である黒は体をすっきり見せる方向に働きつつ、顔まわりでは影を濃くする、ということが同時に起こります。上下で役割を分ければ、両立できます。
- Q. 手持ちの服が全部くすみ色です。買い替えるべきですか?
- 買い替える前に、顔まわりに置く一枚だけを足してみてください。オフホワイトのシャツ、ライトグレージュのストール、パールのネックレスのいずれか一つがあれば、手持ちのくすみ色は顔から一段離れた位置で使えるようになります。全部を替えるより、間に挟む一枚を用意するほうが早く、費用もかかりません。
— メグラシ編集部





