60歳からの服選び|布が体から離れる位置で決まる

「今まで決まっていた形が、急に決まらなくなった」——60歳のファッションで、いちばん多い引っかかりはこれです。
動いているのは、布が体から離れはじめる位置です。
服は体の数か所に引っかかって吊られています。肩、胸の上、腰骨。そこから下は布の重さで落ちます。引っかかる場所が少し動けば、同じ形の一枚でも布が離れる位置が変わり、輪郭に出る線の高さが変わります。
見るのは1か所だけです。肩のいちばん高いところから下へ、布と体のあいだに指が1本入るまで何センチあるか。
測り方|指が入るまでの距離を数える
その一枚を着たまま、鏡の前に立ちます。肩の上に指を置き、体に沿ってまっすぐ下ろしてください。布と体のあいだに指の腹が入る位置で止めて、肩からの距離を目で測ります。
| 指が入るまでの距離 | 布の落ち方 | 輪郭に出るもの |
|---|---|---|
| 5cm以内 | 肩から縦に落ちる | 服の外形がそのまま出る |
| 10〜15cm | 途中まで沿って落ちる | 離れた位置に横の線が1本 |
| 20cm下げても入らない | 布が形を写す | 生地の表情がそのまま出る |
どれが正解ということはありません。決まっているのは、線がどこに出るかだけです。
動かせるのは、布の側の3つ
落ちはじめる位置は、服のほうで動かせます。手がかりは3つあります。
1つ、生地の重さ。 重い生地は早く落ち、軽くて張りのある生地は途中まで体に沿います。同じ形の一枚でも、生地が変われば距離は数センチ動きます。
2つ、肩線の位置。 縫い目が本来の肩先より外にあると、吊られる場所が外へ出るぶん、落ちはじめが上がります。内側にあると、その逆になります。
3つ、丈。 布が落ちきる前に丈が終わると、途中の形のまま止まります。横の線が出る高さと、裾の位置が近すぎないかを見てください。
60歳前後で動いているのは、引っかかる場所のほう
年ごとに少しずつ動くのは、肩の傾きと、布が最初に触れる場所の高さです。
これは服の側から見ると、吊り位置が数センチ動いたということにすぎません。だから、同じ一枚が去年と違って見える日があります。
やることは1つです。手持ちの中でよく着る5枚だけ、いま測り直す。 数字が去年と違っていても、それはその一枚の落ち方が変わったという事実で、着られなくなったという意味ではありません。落ち方が変わったなら、着る場面のほうを合わせ直します。
3つの落ち方を、着る場面に割り当てる
測った結果は、そのまま振り分けに使えます。
- 縦に落ちる一枚:歩く、立つ、動きの多い日へ。布が体に触れないので、動いても形が崩れません
- 横の線が出る一枚:人と向かい合う日へ。線の高さがそのまま重心になるので、印象が読みやすくなります
- 形を写す一枚:生地の表情を見せたい日へ。編み地や織りの目が近くで見える場面で効きます
5枚のうち同じ落ち方が4枚以上あるなら、選択肢が1つしかない状態です。 買い足すなら、いちばん少ない落ち方から1枚。それだけで、朝に選べる幅が変わります。
どちらとも取れるとき①|座ると距離が変わる
座ると布が体に触れる面が増えるので、離れはじめる位置は必ず短くなります。立って10cmだった一枚が、座ると5cm以下になることは珍しくありません。
座っている時間が長い日は、立って測った結果より一段軽い生地を選びます。 立ちながら測って決めた一枚が、座った場面で違って見えるのはこのためです。
判定に迷ったら、座った姿勢でもう一度測ってください。2つの数字を持っておくと、その日の予定で選べます。
どちらとも取れるとき②|上下で落ち方が違う
上が縦に落ち、下が形を写す。この組み合わせは、線が2本出て、その間隔が狭いと窮屈に読まれます。
そろえるのではなく、間隔を空けてください。 上の線が胸の下なら、下の線は腰より下に置く。目安は、2本の線が15cm以上離れていることです。
離れていれば、落ち方が違っていても1つの装いとしてまとまります。
買う前に、売り場で同じ測り方をする
この測り方は、試着室でもそのまま使えます。鏡の前で肩に指を置いて、下ろすだけです。
見るのは3つだけにしてください。指が入るまでの距離、裾の位置、そして手を上げて下ろしたあとに距離が戻るか。
3つめが効きます。腕を一度上げてから下ろしたとき、布が肩の上に戻らずに残る一枚は、着ている途中で落ちはじめる位置が下がり続けます。戻るかどうかは、家に持ち帰ってからでは直せません。 その場で一度だけ確かめてください。
同じ形が2つ並んでいて迷ったときも、この距離で選べます。手持ちに少ないほうの数字を持つ一枚を取れば、着る場面が増えます。
まとめ
60歳からの服選びで測るのは、肩から布が離れるまでの距離ひとつです。
5cm以内なら縦に落ち、10〜15cmなら横の線が1本出て、20cm以上入らないなら布が形を写します。動かせるのは生地の重さ、肩線の位置、丈の3つ。
座れば距離は必ず短くなるので、立った数字と座った数字の2つを持っておくと、その日の予定で選べます。 手持ちのよく着る5枚を測り直すところから始めてください。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 布が体から離れる位置は、どうやって測りますか
- その一枚を着たまま鏡の前に立ち、肩のいちばん高いところに指を置いて、体に沿ってまっすぐ下ろします。布と体のあいだに指の腹が入る位置で止めて、肩からの距離を見てください。5cm以内で入るなら布は肩から縦に落ちています。10〜15cmなら途中まで沿ってから落ちるので、離れた位置に横の線が1本出ます。20cm下げても入らないなら、布が形をそのまま写している状態です。
- Q. 3つのうち、どれがいいのですか
- 良し悪しではありません。決まっているのは線がどこに出るかだけです。縦に落ちる一枚は輪郭が服の外形どおりに出るので、形が単純なほど落ち着きます。横の線が出る一枚は、その線の高さが装いの重心になります。形を写す一枚は布の表情がそのまま見えるので、生地の質が効きます。自分がどれを着ているかを知っていることのほうが、どれを選ぶかより先に来ます。
- Q. 落ちはじめる位置は、服の側で動かせますか
- 3つあります。生地の重さ、肩線の位置、丈です。重い生地ほど早く落ちるので、同じ形でも距離は短くなります。肩線が本来の肩先より外にあると、吊られる場所が外へ出るぶん落ちはじめが上がります。丈は、布が落ちきる前に終わると途中の形のまま止まるので、線が出る高さと丈の位置が近すぎないかを見てください。
- Q. 座ると印象が変わるのですが、なぜですか
- 座ると布が体に触れる面が増えるので、離れはじめる位置は必ず短くなります。立って10cmだった一枚が、座ると5cm以下になることは珍しくありません。座っている時間が長い日は、立った状態で測った結果より一段軽い生地にしておくと、座ったときにちょうど収まります。判定を座った姿勢でもう一度やり直すのがいちばん確実です。
- Q. 手持ちを全部買い替える必要がありますか
- ありません。測って分類するだけで、着る場面の振り分けが変わります。縦に落ちる一枚は動きの多い日へ、横の線が出る一枚は座って過ごす日へ、というふうに分けてください。買い足すとしたら、3つのうち手持ちにいちばん少ない落ち方の一枚を1つだけ足すと、選択肢の幅がいちばん広がります。
— メグラシ編集部





