サイズ表記の実際|体重ではなく寸法で服を選ぶ

**服のサイズを決めているのは、周囲の長さと幅と丈です。**胸まわり何cm、肩から肩まで何cm、肩から裾まで何cm。型紙に書き込まれるのはこの数字だけで、重さの欄はありません。体重は健康を考えるときには意味のある数字ですが、服の設計図は別の言葉で書かれています。
だから最初にやることは、いま週に一度は着ていて着心地に不満がない服を、平らに置いて測ることです。所要15分。その数字が、どの売り場でも通じる共通語になります。
表記が揃わないのは、決め方が別々だから
S/M/Lと号数と38/40/42と0/1/2は、別の目的で、別々につくられた表記です。号数には日本の工業規格に基づいた下地がありますが、S/M/Lはその外側にある通称で、共通の中身が決められていません。0/1/2は作り手が自分の商品群の中だけで通じるように振った番号です。
同じ「M」でも身幅が5cm以上違うことは珍しくありません。同じ作り手の中でも、体に沿わせる型とゆったり見せる型ではゆとりの量を変えているからです。共通の物差しは存在せず、あるのは商品ごとの寸法表だけ。ここが出発点です。
号数・体型区分・身長区分が意味していること
号数はバストを基準に並び、番号が2つ上がるごとにバストがおよそ3cm大きくなります。中心値の目安は5号で77cm前後、7号で80cm前後、9号で83cm前後、11号で86cm前後、13号で89cm前後。ウエストとヒップもおよそ3cm刻みで動きます。S/M/Lより号数が目安になるのは、この下地があるからです。
「9AR」の2文字目は体型区分です。A体が該当者のもっとも多い想定で、Y体はヒップが約4cm小さく、AB体は約4cm大きく、B体は約8cm大きい想定。「9号が入るのにスカートだけきつい」なら、その商品がA体想定で引かれていたというだけの話です。3文字目は身長区分で、Pが150cm前後、Rが158cm前後、Tが166cm前後。多くの商品はRが基準なので、身長が離れているほど着丈・股下・袖丈を自分で確認する必要が増えます。
アイテム別に、決定的な寸法は1つか2つ
寸法表の項目は多く見えますが、全部を見る必要はありません。左が合っていなければ他が合っていても着心地は整わない、という順番があります。
- トップス(Tシャツ・カットソー・ハイゲージニット):身幅 → 着丈。袖丈は後回し
- シャツ・ジャケット・コート:肩幅 → バスト(袖ぐり)。袖丈と着丈は後回し
- パンツ・デニム:ヒップ → わたり幅 → 股上。股下は最後
- スカート:タイトはヒップ → 着丈、広がる型はウエスト → 着丈
- ワンピース:バスト → 上端から切替までの丈。切替位置は動かせません
身幅は服を平らに置いて脇から脇まで測った片側の数字なので、2倍が胸まわりの周囲です。バストが83cmなら身幅48cmの服は周囲96cm、差の13cmがゆとり。10cm前後なら体に沿い、15cmを超えると身頃が浮いて見えます。
コートだけは体の寸法をそのまま当てても答えが出ません。中に薄手のカットソー一枚ならバストのまま、厚手のニットなら4〜6cm、ジャケットの上からなら8〜12cmを足した値が必要な内側の周囲です。
いちばん確実なのは、よく着ている服を測ること
通販でもっとも役に立つのは、実は体の寸法ではありません。いま週に一度は着ていて、着心地に不満がない服の寸法です。寸法表に載っているのは服の実寸なので、服どうしなら引き算で済みます。「いつものシャツの身幅は50cm、この商品は47cm」。これだけで届く前に見当がつきます。
この方法なら、好みのゆとり量も自動的に織り込まれます。体に沿う着方が好きな人とゆったり着るのが好きな人では、同じ体でも快適な身幅が違うからです。
手持ちの服を測る15分の手順
平らな床かテーブルに、しわを伸ばして置きます。引っぱらず置くだけ。
- 身幅:脇の下の縫い目の下端から、反対側の同じ位置まで
- 着丈:後ろ襟からではなく、肩の縫い目から裾まで
- 肩幅:背中側で、肩の縫い目から縫い目まで
- 袖丈:肩の縫い目から袖口まで
- ボトムスはウエスト(片側を2倍)・股上・股下・わたり幅・裾幅
- 服の名前と一緒にメモに残す
上下それぞれ2〜3枚で十分です。**測るのは、よく着ていて満足しているものだけ。**着ていない服は基準になりません。
自分の体を測るときの3つ
薄い下着の上から、メジャーが床と平行になるように。張り具合は指が1本入るかどうか、息は静かに吐いた状態で、お腹は引っこめません。ひとりだと背中側が数cm下がるので、鏡で横からも確認を。
ヌード寸法と仕上がり寸法を取り違えない
サイズ表には2種類の数字が混ざっています。ヌード寸法は体そのもので「バスト80〜83cm」のように範囲で、仕上がり寸法は服を測った数字で「身幅48cm」のように実数で書かれます。取り違えると答えが逆になります。
見分け方は2つ。表の見出しに「ヌード」「参考体型」とあるか「実寸」とあるかを最初に確かめること。表記がないときは数字の大きさで判断できます。トップスで48という数字が出てきたら、それはバストではなく身幅です。
ゆとりは何cmか
仕上がり寸法からヌード寸法を引いた差を、ゆとり(イーズ)と呼びます。この差が着心地とシルエットの両方を決めています。
| 呼び方 | 胸まわりのゆとり | 見え方 |
|---|---|---|
| ジャストフィット | 4〜8cm | 体に沿うが締めつけない |
| セミフィット | 8〜14cm | 自然に落ちる。日常のほとんど |
| ボックス | 14〜20cm | 身頃が浮いて直線的に |
| オーバー | 20cm以上 | 肩線が落ちて大きく |
ゆとりが多い=ラクとは限りません。浮いた身頃は動くと体から離れ、かえって扱いにくいこともあります(オーバーサイズが似合わないと感じるとき)。
素材でも必要量は変わります。リブ編み・天竺・ジャージー・伸びる糸入りのデニムは少なめで入り、ブロード・ツイード・リネン・革は多めが要ります。綿・麻・ウールは洗い方で数%動くので、ぎりぎりの寸法で選ばないのはその余地を残す意味でもあります。
迷ったとき、大きい側か小さい側か
後から手を入れられるのは、ほぼ詰める方向だけです。着丈・袖丈・身幅・ウエスト・ヒップ・裾幅は詰められるので、迷ったら大きい側が扱いやすくなります。
例外は3つ、肩幅・股上・首まわり。ここは大きすぎても直しにくいので、サイズを上下させるより型そのものを変えたほうが早く着地します。ジャケットで肩線が落ちれば袖ぐりの位置も下がり、袖丈は相対的に短くなり、ダーツの位置もずれます。肩幅で選んで残りを直す、という順番がいちばん失敗しません。
今季は肩まわりにゆとりのある型が売り場に多く見られます。肩線を意図的に落とす設計では肩幅の数字が実寸より5〜8cm大きいのが普通なので、数字だけ見て「大きすぎる」と早合点しないでください。
差の大きさでも判断できます。決定的な箇所(トップスなら身幅、パンツならヒップとわたり幅)の差が3cm以内なら着方で扱える範囲。5cm以上離れているなら、サイズではなく型が違うと考えたほうが正確です。部位別の可否はお直しで直せること・直せないことにあります。
通販で外しにくくする順番
順番があります。飛ばすと、そのぶんだけ外れやすくなります。
- 自分の基準表を手元に出す(記憶で判断しない)
- 寸法表がヌードか実寸かを確認する
- 決定的な1〜2項目だけ引き算する。全部見ると迷います
- 素材が伸びるかどうかを読む
- 着用画像の身長表記で、丈の見え方を補正する
- 返品・交換の条件を買う前に読む
- 届いたら、値札を外す前に試す
6と7は買う技術というより仕組みの話で、返せる条件で買っておけば、迷ったサイズを「試してみる」に変えられます(借りると買うの使い分け)。
レビューは、数字が入っていて自分の数字と比べられるものだけを読みます。「身長158cm、肩幅は少し落ちました」は使えますが、「思ったより小さめ」は何と比べたか分からないので使えません。
体は変わる。基準表は更新するもの
寸法は、一度測ったら一生使える数字ではありません。ウエストは一日の中でも朝より夜が大きくなり、夏は脚まわりが張り、冬は厚手のインナーで胴まわりの実測が増えます。産前産後は骨盤まわりが変わり、年代が進むと胸やウエストの位置が変わって、同じ号数でも合う型が変わります。
どれも直すべきことではなく、服の側を合わせ直す合図です。胸の位置が変わったならウエスト切替の高い型か切替のない型へ、胴の中央に厚みが出たなら締めつけない腰まわりへ。どれも数字で確かめられます。
測り直しは半年から一年に一度、衣替えに合わせると忘れません。短期間で変わる時期は、調整できる腰まわり・前が開く型・伸びる素材といった、数字が変わっても着られる服に寄せるほうが現実的です(最小限のワードローブ)。
よくある質問
Q. 同じMサイズなのに、店によって大きさが違うのはなぜですか。
A. S/M/Lという表記に共通の中身が決められていないからです。作り手ごとに「うちのMはこの寸法」と決めることになり、型の狙いによってゆとりの量も変わります。表記ではなく寸法表を比べてください。
Q. パンツのサイズがいつも決まりません。
A. ウエストから見ているのが原因のことが多いです。ヒップ、わたり幅、股上の順に見ると決まります。股下は最後で、まっすぐ落ちる型なら5cm程度までは形を変えずに詰められます(パンツのサイズ表の読み方)。
Q. フリーサイズは誰にでも合いますか。
A. 幅広く入る想定ではありますが、合う範囲は型ごとに違います。着丈・身幅・袖丈の3つを基準表と引き算してから決めてください。
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サイズ表記は店ごとの方言のようなものです。共通語である寸法を1つ持っていれば、どの売り場でも会話ができます。
— メグラシ編集部
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