ウォークインクローゼットの棚|残る通路の幅で、置ける服が変わる

ウォークインクローゼットに棚を足すとき、測るのは棚の奥行きではありません。
測るのは、足したあとに残る通路の幅です。
いまの通路幅から、足す棚の奥行きを引く。残りが55cmあれば、その場所で体を回せます。 55cmを切ると、横向きに歩くことになります。
横向きに歩く通路では、人は途中で立ち止まりません。手前の棚だけを見て、目的のものがあれば引き返します。奥の棚に入れた服は、持っていても着られなくなります。
通路55cmの境目|体が回るか、横歩きになるか
55cmは、正面を向いて立ち、左右どちらへも向き直れる最小の幅です。
| 残る通路幅 | 動き | 起きること |
|---|---|---|
| 70cm以上 | しゃがめる | 下段まで使える。二人ですれ違える幅ではない |
| 55〜70cm | 体を回せる | 全部の棚の前で立ち止まれる |
| 45〜55cm | 正面は向けるがしゃがめない | 下段が使われなくなる |
| 45cm未満 | 横歩き | 奥の棚が素通りされる |
この表で見ているのは、通りやすさではありません。 どの棚の前で立ち止まれるかを見ています。立ち止まれない棚の中身は、選ばれないからです。
棚の前に必要な余白は、そこで何をするかで変わる
同じ「棚の前」でも、必要な余白は2種類に分かれます。
服を持ち上げて広げ、他と見比べるなら55cm。腕を前に出し、肩幅ぶんの服を広げるための距離です。
手を伸ばして1枚取るだけなら35cmで足ります。広げないので、腕の長さだけあれば済みます。
この差が、そのまま棚の役割を分けます。55cm取れる棚が「選ぶ棚」、35cmしか取れない棚が「取るだけの棚」です。
「選ぶ棚」と「取るだけの棚」で、中身を分ける
選ぶ棚に入れるのは、その日の気分や予定で決まる服です。同じ役割で何枚かあり、比べてから決めるもの。
取るだけの棚に入れるのは、選ぶ必要がないものです。同じ種類でまとめたもの、決まった一組、季節をまたいでも形の変わらないもの。
同じ棚に両方を入れると、選ぶほうの服が負けます。 比べようとするたびに場所が足りず、そのうち比べなくなり、いちばん手前の一枚だけを取るようになります。
自分の家でどちらか分からないときは、実際に立ってみてください。その棚の前で、服を1枚持ち上げて広げられるか。 肘が壁や向かいの棚に当たるなら、それは取るだけの棚です。
コの字の角は、両側から手が入らない
3面に棚を回すと、角が2か所できます。この角の内側、およそ30cm四方が問題です。
左の棚から見ると奥すぎ、右の棚から見ると横すぎる。どちらの正面からも手が入りません。
ここに服を入れると、一年動きません。入れていいのは、年に1回出せば足りるものか、置いたまま動かさないものだけです。
角を服で使いたいなら、コの字をやめてL字にしてください。 面は1つ減りますが、角が1か所になり、しかも残った1か所は入口から見える位置に来ます。結果として使える棚の面積は増えます。
左右で奥行きを変える|片側浅く、片側深く
両側に同じ奥行きの棚を置くと、通路は真ん中に細く残ります。これがいちばん不利な配り方です。
片側を35cm、もう片側を55cmにしてください。 合計の奥行きは同じでも、深い側の前に立つ余白が生まれます。
深い側が「選ぶ棚」、浅い側が「取るだけの棚」になります。深い側は前後2列にできますが、後ろ列は年に数回しか出さないものだけにしてください。
浅い側は、たたんだ服を一列で置く場所として使います。35cmあれば、たたんだ一辺が30cm前後のものが一列で収まります。
棚を1段足すと、通路は何cm減るか
高さ方向に段を足す場合、通路は減りません。減るのは、奥行き方向に棚を新設する場合です。
ここを混同すると、判断を誤ります。「棚を足す」には2種類あるからです。
既にある棚の空いた高さに棚板を1枚足すなら、通路は1cmも減りません。この手は、通路が45cm未満の家でも使えます。
新しく壁面に棚を作るなら、その奥行きぶん通路が減ります。奥行き35cmの棚を足せば、通路は35cm減ります。通路が90cmないなら、この手は使えません。
だから順番は決まっています。先に高さ方向、それでも足りなければ奥行き方向。 逆にすると、通路を削ったあとで高さが余っていたことに気づきます。
入口から1歩目に見える棚に、何を置くか
ウォークインクローゼットは、入口で一度立ち止まります。このとき視界に入るのは、正面と、左右の手前1mほどです。
ここに置いたものが、いちばん着る回数が増えます。 探さなくても目に入るからです。
だからこの位置には、迷いやすい服を置いてください。同じ役割で何枚かあり、その日ごとに選ぶもの。逆に、着ると決まっている服はここでなくて構いません。探さなくても取りに行けるからです。
入口の正面を、収納量の多い棚にしないでください。 ぎっしり詰まった棚は、視界に入っても中身が読み取れません。読み取れない棚は、見ていないのと同じです。
棚の高さも、通路の幅とセットで決まる
高い棚から何かを下ろすとき、人は半歩下がります。この半歩ぶんの床が要ります。
床から150cmを超える棚の前には、前後に60cm必要です。 通路が55cmしかない場所に高い棚を作ると、下ろす動作のたびに向かいの棚へ背中が当たります。
背中が当たる場所では、両手を使う動作ができません。両手が使えないと、下ろせるのは片手で持てるものだけになります。片手で持てないものを高い位置に置くと、そこは開かない段になります。
だから、通路が狭い側には高い棚を作らないでください。高さを使いたいなら、通路が広い側か、入口の正面に寄せます。高さと通路は、別々には決められません。
棚を足すと、掛ける幅が何cm減るか
棚を新設すると、その壁面に掛けていたぶんの幅がなくなります。ここを数えずに足すと、掛ける場所が足りなくなります。
足す前に、その壁面に掛かっている着数を数えてください。 幅120cmの壁面を棚にするなら、そこに掛かっていた服の行き先を先に決めます。
行き先は3つしかありません。別の区画へ掛け直すか、たたんで棚へ移すか、外へ出すか。たたんで移せるのは、畳んで一晩置いても形が戻るものだけです。
形が戻らない服が5着以上あるなら、その壁面は棚にできません。掛ける場所として残してください。棚は面積を増やしますが、掛ける幅は増やしません。
どちらとも取れるとき①|通路が50cm前後
45cmと55cmの中間は、判断が割れます。正面は向けるが、しゃがむと膝が向かいの棚に当たる帯です。
このときは、下段の使い方だけを変えてください。 しゃがめないので、床から30cm以下の段は、引き出せるものにします。引き出せば、しゃがまずに中が見えます。
引き出せないものを下段に入れると、その段は使われません。棚全体を作り直す必要はなく、下段の1段だけを変えれば済みます。
もう1つの手は、片側の棚だけを浅くすることです。片側を10cm浅くするだけで、通路は60cmになります。 浅くした側は、たたんだ服の一列専用にしてください。
どちらとも取れるとき②|奥に窓や換気口がある
奥に窓や換気口があると、その前は塞げません。棚は片側だけになります。
このときは、片側集中で構いません。 片側に55cmの棚を作れば、通路は広く残ります。広い通路は、そのまま服を広げる場所として使えます。
塞げない側の壁は、掛ける場所として使う手もあります。奥行きを取らないフックやパイプなら、通路をほとんど削りません。
ただし窓の正面には、長く置く服を掛けないでください。 直射が当たる帯は、季節をまたぐと色の見え方が変わることがあります。
どちらとも取れるとき③|家族と共用で、片側ずつ使う
両側を分けて使う場合、通路の判定は共通ですが、棚の役割は別々になります。
先に決めるのは、どちらが入口側かです。 入口側の1mは、視界に入る一等地なので、ここを分け合うか、どちらかに寄せるかを決めてください。
決めないまま使うと、入口側だけが両方の一時置きになり、奥が二人とも使わない場所になります。
境目には、物理的な仕切りを1つ置いてください。印だけでは、混ざった時点で戻せなくなります。 仕切りがあれば、はみ出した瞬間に分かります。
冬ものの厚みが、通路を狭くする
棚割りを決める時期に注意点が1つあります。掛けている服の厚みは、通路の幅に直接効きます。
薄手だけを掛けている時期と、厚手の上着が並んでいる時期では、パイプから前に出る量が片側6〜8cm変わります。両側に掛けていれば、通路は12〜16cm縮みます。
夏に60cmあった通路が、冬には45cm前後になる計算です。この差は、選ぶ棚を取るだけの棚に変えてしまいます。
だから、棚割りはいちばん厚い服が掛かっている時期に測ってください。 そこで55cm残る配置なら、一年を通して成立します。夏基準で足すと、冬だけ奥が使えないクローゼットになります。
いま夏で、冬の状態が分からないなら、掛ける予定の厚手を数着だけ先に掛けて測ってください。数着あれば厚みは分かります。
2週間で確かめること
配置を変えたら、2週間だけ数えてください。数えるのは1つ、いちばん奥の棚から取って着た回数です。
2週間で3回以上あれば、通路は足りています。0回か1回なら、奥は素通りされています。
素通りされていると分かったら、通路を広げるか、奥の中身を「選ばずに取れるもの」に入れ替えてください。中身の入れ替えなら、その日のうちにできます。
数える理由は、配置を変えた直後が例外的に使われるからです。新しい棚は、最初の3日だけ全部が開きます。 定着するかどうかは、そのあとの10日で分かります。
まとめ
ウォークインクローゼットの棚は、足したあとに残る通路の幅で決まります。55cm以上残れば全部の棚の前で立ち止まれ、45cmを切れば奥は素通りされます。
棚の前に55cm取れる場所が「選ぶ棚」、35cmしか取れない場所が「取るだけの棚」。役割を分けて、中身を入れ替えてください。コの字の角30cm四方はデッドゾーンとして服を入れず、左右で奥行きを変えると立つ余白が生まれます。
棚を足す順番は、先に高さ方向、それでも足りなければ奥行き方向。そして測るのは、いちばん厚い服が掛かっている時期です。通路の先にある服は、通路が狭いというだけで着られなくなります。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. ウォークインクローゼットに棚を足すとき、まず何を測ればいいですか
- 棚の奥行きではなく、棚を足したあとに残る通路の幅を測ってください。いまの通路幅から、足す棚の奥行きを引いた数字です。残りが55cm以上あれば、その場所に立って体を回せます。55cmを切ると横向きに歩くことになり、途中の棚は素通りされます。素通りされる棚に入れた服は、持っていても着られません。棚の容量が増えても、着る服の種類は増えないという結果になります。
- Q. 通路が狭いと、なぜ奥の棚が使われなくなるのですか
- 体を回せないと、正面を向いて立ち止まれないからです。人は横歩きの途中で立ち止まって選ぶことをしません。入口から見て手前の棚だけを見て、目的のものがあればそこで引き返します。結果として、奥の棚は季節に数回しか開かなくなります。奥まで使いたいなら、通路を確保するか、奥の棚に入れるものを「選ばずに取れるもの」に限ってください。たとえば同じ種類でまとめたものや、決まった一組です。
- Q. 棚の前に必要な余白は、どれくらいですか
- その棚で何をするかで変わります。服を持ち上げて広げ、他と見比べるなら55cm。手を伸ばして1枚取るだけなら35cmで足ります。この差が、そのまま棚の役割を分けます。55cm取れる棚には、選ぶ必要のある服を入れてください。35cmしか取れない棚には、選ばずに取れるものを入れます。同じ棚に両方を入れると、選ぶほうの服が使われなくなります。
- Q. コの字に棚を回した角は、どう使えばいいですか
- 角の内側およそ30cm四方は、両側から手が入りにくい場所になります。左の棚からは奥すぎ、右の棚からは横すぎるためです。ここには服を入れないでください。入れた服は一年動きません。角に置いていいのは、年に1回出せば足りるものか、置いたまま動かさないものです。角を服で埋めたい場合は、棚をコの字に回すのをやめて、片側だけをL字にするほうが結果的に使える面が増えます。
- Q. 夏に決めた棚割りが、冬になると窮屈になります
- 冬ものを掛けると、パイプに掛かった服の厚みで通路が片側6〜8cm狭くなるからです。両側に掛けていれば、通路は12〜16cm縮みます。夏に60cmあった通路が、冬には45cm前後になる計算です。だから棚割りは、いちばん厚い服が掛かっている時期に測ってください。冬に55cm残る配置なら、一年を通して成立します。逆に夏基準で棚を足すと、冬だけ奥が使えないクローゼットになります。
— メグラシ編集部





