ウォークインクローゼット収納|先に測るのは奥行き、次に手が届く帯

ウォークインクローゼットで最初に決めるのは、何をどこに入れるかではありません。有効奥行きが何cmかです。
ここが55cmを超えているかどうかで、掛けるか畳むかが決まります。そして掛けるか畳むかが決まらないと、パイプの高さも、引き出しの寸法も、どこに何を置くかも決められません。順番を飛ばすと、必ずやり直しになります。
この記事は収納アイデアを並べません。あなたのウォークインを、どの順で決めるかだけを置きます。順番は6つです。
- 有効奥行きを測る → 掛けるか畳むかが決まる
- 間口と通路を測る → 片側か両側かが決まる
- 服の丈を3つに分けて数える → 二段掛けにできる幅が決まる
- パイプの高さと段数を決める → 収まる量が決まる
- 手が届く帯を床から線で引く → 使える面積が決まる
- 迷う頻度で、その帯の中身を決める → 朝が変わる
収納用品を選ぶのは、この6つが終わったあとです。先に買うと、奥行きがその用品で固定され、以降の判断が全部そこに縛られます。
残すか手放すかで手が止まっているなら、先に服の断捨離|迷う一枚は「戻した回数」で決めるのほうから始めてください。この記事は、残すと決めた服をどこに置くかの話です。
順①|有効奥行きを測る。55cmが掛ける・畳むの境目
測るのは、壁から扉や手前の枠までの、実際に使える奥行きです。図面の数字ではなく、メジャーを当てた数字を使ってください。扉の厚みと枠で、図面より5〜10cm短いことがよくあります。
境目が55cmにある理由は単純で、一般的なハンガーの肩幅が42〜45cm、掛けた服の前後の厚みが3〜10cm出るからです。
| 有効奥行き | 掛け方 | 現実に起きること |
|---|---|---|
| 60cm以上 | 正面掛け(パイプを壁と平行に) | 厚手のアウターも肩が納まる |
| 55〜60cm | 正面掛けの下限 | 厚みのある上着だけ肩が前に出る |
| 45〜55cm | 側面掛け(パイプを奥行き方向に) | 正面に掛けると肩が扉に当たる |
| 45cm未満 | 掛けない。浅い引き出しと棚 | 掛けても扉が閉まらない |
側面掛けというのは、パイプを奥行き方向に渡して、服を横向きに並べる掛け方です。奥行きが足りない場所でも掛けられますが、手前の一枚しか見えません。奥を見るには手前をどける手数が増えるので、ここに迷う服を置くと必ず着なくなります。並べ方そのものはハンガーの向きに常識はあるかにまとめてあります。
順②|間口と通路。片側か、両側か
次に間口(左右の幅)を測ります。決まるのは、両側に掛けられるか、片側だけかです。
立ったまま服を選ぶには、通路が60cm要ります。しゃがんで引き出しを開けるなら、引き出しの出幅にしゃがむぶんの35cmを足すので、奥行き45cmの引き出しなら80cmです。
- 間口170cm以上:両側に掛けられる(55+55+通路60)
- 間口115〜170cm:片側は掛ける。反対側は奥行き45cm以下の浅い棚か引き出し
- 間口115cm未満:片側だけ。反対側は通路として空ける
ここで無理をして両側に掛けると、通路が60cmを切ります。すると服を選ぶときに体が斜めになり、掛かっている服の正面が見えません。容量は増えますが、見える面積が減ります。 この記事の判断は一貫して、容量より見える面積を優先します。
順③|服の丈を3つに分けて数える
ここで初めて服を見ます。ただし枚数ではなく丈です。測るのは占有高、つまりハンガーに掛けた状態で、フックの上端から裾までの長さです。
| 掛けるもの | 占有高の目安 | 掛け幅の目安 |
|---|---|---|
| シャツ・ブラウス | 75〜85cm | 2〜3cm |
| ボトムスを二つ折り | 65〜75cm | 3〜4cm |
| ジャケット | 80〜90cm | 4〜6cm |
| ワンピース | 110〜125cm | 4〜6cm |
| ロングコート | 125〜140cm | 6〜8cm |
全部測る必要はありません。手持ちを3つの山に分けて、それぞれ何枚あるかを数えるだけです。短丈(占有高85cm未満)、中丈(85〜110cm)、長丈(110cm以上)。
必要な間口はここから出ます。枚数×掛け幅×1.2。1.2は、指を差し込んで一枚を引き出すための余白です。この余白を削ると、次に出てくる「取り出しにくい」がここで作られます。
順④|パイプの高さと段数を決める
二段掛けにできるかどうかは、好みではなく数字で決まります。条件は2つです。
- 上下のパイプの差 ≧ 上段に掛ける服の最大占有高 + 10cm
- 下段のパイプの高さ ≧ 下段に掛ける服の最大占有高 + 10cm
10cmは、掛けるときに服を持ち上げる余白と、裾を床から浮かせるぶんです。ここを詰めると、裾が下段の肩に乗って毎回持ち上げることになります。
たとえば上段180cm・下段95cmなら、差は85cm。上段に置けるのは占有高75cmまで、つまりシャツ・ブラウス・二つ折りのボトムスです。下段は95cmあるので、占有高85cmまでのジャケットが入ります。
長丈は二段にできません。パイプ一本を床から150〜160cmに置いた長尺ゾーンを、順③で数えた長丈の枚数ぶんだけ確保してください。占有高125cmのワンピースなら、パイプ150cmで裾が床から25cm浮きます。
段数を増やすと収まる量は増えます。ただしそのぶん、次に出てくる帯の外へ服が押し出されます。量が増えることと、選びやすくなることは別の話です。
順⑤|手が届く帯を、床から線で引く
床から80cm、床から150cm。この2本の線の間が、つま先立ちもしゃがみもせずに手が届く帯です。目線はだいたい140〜150cmに来るので、視界の中心もこの帯に入ります。
順④で二段掛けにした場合、何が起きるかを確かめてください。上段パイプ180cmに掛けた服は、肩の位置が帯の外です。下段パイプ95cmの服は、肩から胸のあたりが帯に入ります。つまり二段掛けの上段は、帯の外です。
- 帯の中(80〜150cm):見える・届く。いちばん狭くて、いちばん価値がある面積
- 帯より上(150cm超):見えるが届かない。踏み台か、背伸びが要る
- 帯より下(80cm未満):届くが見えない。しゃがむと視線が下向きになる
ウォークインを片づけても朝が変わらないとき、原因はたいていここにあります。容量は増えたのに、帯の面積は増えていない。 帯の広さは天井高でも間口でもなく、あなたの身長でほぼ決まっているので、増やせません。配り方を変えるしかありません。
順⑥|「着る頻度」ではなく「迷う頻度」で中身を決める
ここが最後の順番で、いちばん結果が変わるところです。
よく言われるのは「使用頻度の高いものを取りやすい場所に」です。道具ならそれで合っています。服が違うのは、取り出す前に、選ぶという工程があるからです。
毎日着ていても迷わない服があります。仕事の日にほぼ固定で着る一枚、洗って戻したらまた着る一枚。これは取り出す手数さえ少なければ、帯の外でも困りません。判断が発生していないからです。
一方、朝に手が止まる服は、2枚以上を同時に見比べないと決まりません。片方が帯の外にあると、比較そのものが始まらず、結局いつもの一枚に落ち着きます。帯は選ぶための面積なので、選ぶ必要がある服に使ってください。
迷う頻度の数え方|2週間、目印をひとつ足すだけ
数え方はひとつだけ決めます。朝に迷った服のハンガーの首へ、目印をひとつ足す。 クリップでも輪ゴムでも構いません。畳んでいるものなら、その山の左端に寄せます。
迷ったの定義も決めておきます。「2枚以上を手に取って見比べた」か「掛けたまま3秒以上見て、別のものにした」のどちらかです。着たかどうかは関係ありません。
2週間続けたら、目印の数で配ります。
- 3回以上:帯の正面へ。合わせる相手を隣に置く
- 1〜2回:帯の端へ
- 0回で着ている:帯の外へ出してよい。上段でも下段でも構わない
- 0回で手にも取っていない:置き場所の問題。次の切り分けへ
前日の記事で数えた「手に取ったのに戻した回数」と、動作としては似ています。ただし出口が違います。戻した回数は残すか手放すかを決め、迷った回数はどこに置くかを決めます。 同じ2週間で両方の目印をつけても構いません。
「片づけたのに、結局同じ服しか着ていない」── まず3つに切り分ける
これがいちばん多い状態です。そして、対処が3つとも違います。原因を確かめずに並べ替えると、たいてい同じ場所に戻ります。
| 何が起きているか | テスト | 出る答え |
|---|---|---|
| A 見えていない | 扉を閉じて、中の服を10枚言う | 出てこない服がある |
| B 取り出しにくい | その一枚を出すのに何手かかるか | 2手以上かかる |
| C 組み合わせが浮かばない | 手に取って10秒、相手が浮かぶか | 浮かばない |
3つとも「着ていない」という同じ見え方をします。分けないと、Aの服にCの対処をして、何も変わらないということが起きます。
切り分けA|見えていない
扉を閉めた状態で、中にある服を10枚言ってみてください。言葉に出なかった服の位置を、あとで確かめます。
出てこなかった服が次のどこかに集中していたら、Aです。
- 床から150cmより上(帯の外・上)
- 床から80cmより下(帯の外・下)
- 側面掛けや二列掛けの、奥の列
- 引き出しの中で、上に重なっている下側
Aは服の問題でも枚数の問題でもなく、位置だけの問題です。だから対処も位置だけで済みます。帯の中へ移して3週間置く。買い足しません、減らしません、並べ替えもしません。3週間で手が伸びたら、その服はもともと着る服でした。
ここで注意がひとつあります。帯は狭いので、Aの服を移すには何かを帯の外へ出す必要があります。出すのは、直前の節で目印が0回だった服です。入れ替えであって、追加ではありません。
切り分けB|取り出しにくい
見えてはいるのに着ていない場合は、手数を数えます。その一枚を取り出すまでに、いくつ動作が要るか。
- 1手:掛かっているものを外す、畳んだ山の上から取る
- 2手:前の服をどける、ふたを開ける、上に載っている物をずらす
- 3手以上:踏み台を出す、手前の収納を引き出してから開ける
2手以上ならBです。 朝の数秒で2手を払うのは、着ると決めている服だけです。迷っている服には払われません。
もうひとつ、密度でも測れます。掛かっている服のあいだに手を入れて、左右に3cm動かせるか。動かないなら詰まりすぎです。順③の「枚数×掛け幅×1.2」に戻って、間口が足りているかを計算し直してください。足りないなら、帯の外へ出す服を選びます。
Bの対処は、手数を1にすることだけです。二列掛けをやめる。ふた付きの容器を、開いたままで中が見える形に替える。重ねる枚数を3枚までにする。位置は変えなくて構いません。
切り分けC|組み合わせが浮かばない
見えていて、1手で取り出せて、それでも着ていない。この場合は収納の問題ではありません。
テストは、手に取ってから10秒です。合わせるボトムスと靴が浮かぶかどうか。10秒で浮かばないなら、朝の数分では浮かびません。
Cの対処は、置き場所ではなく隣に何を置くかです。合う相手の隣に掛けてください。上下でひと組にできるなら、2枚を並べて掛けます。トップスとボトムスの比率で迷うなら上下のバランスの取り方、色で止まるなら色合わせの基本が判断の材料になります。
隣に置く相手が手持ちに見つからないなら、それは収納で解決する問題ではありません。足りていないのは場所ではなく、その服の役目を受ける相手のほうです(最低限そろえる服)。
3つが混ざっているとき、どの順で外すか
たいてい混ざっています。順番は A → B → C です。上流から外します。
理由は測定の順序です。見えていない服は、取り出しにくいかどうかを判定できません。取り出せない服は、組み合わせが浮かぶかどうかを判定できません。下流のテストは、上流が済んでいないと正しく測れない。
具体的には、こう進めます。まずAの服を帯へ移し、3週間置く。移し終わってから、帯の中にある服だけで手数を数える。1手に減らしてから、それでも着ていない服にだけ10秒のテストをする。
一度に全部やろうとすると、どれが効いたのか分からなくなります。3週間ごとに一段だけ進めるほうが、結果として早く終わります。
「同じ服しか着ていない」が、問題ではない場合
先に言っておくと、着る服が固定していること自体は失敗ではありません。判定を分けてください。見るのは枚数ではなく、朝クローゼットの前で立ち止まっている時間です。
片づける前に一度測っておくのが理想ですが、忘れていても構いません。今の時間を測ってください。扉を開けてから、着るものを手に取るまで。
- 30秒以内で決まっている:整っています。着る服が同じでも直す必要はありません
- 60〜90秒かかる:帯の中身が多すぎます。目印0回の服を外へ出してください
- 決まらずに一度別のことをしてから戻る:切り分けのAかCが残っています
減った枚数も、収まった量も、成果ではありません。 翌朝の停止時間が短くなっていれば、その配り方は合っています。
収納用品は最後に、寸法と性質だけで選ぶ
ここまで終わってから選びます。見るのは寸法と性質の4つだけです。
- 奥行き:有効奥行きから10cm引いた数字が上限。扉の厚み、枠、レールの逃げで減る
- 深さ:畳んだトップスが前後1列で収まる45cm以下。それより深いと奥に2列目ができて、自分でAを作ることになる
- 高さ:重ねる枚数が3枚を超えない浅さ。4枚目からは取り出しが2手になる
- 幅:間口いっぱいにしない。左右2cmずつ余白を残す
中が見えるかどうかは、置く場所で決めます。帯の中に置くものは、開けずに中身が分かること。帯の外に置くものは、見えなくて構いません。むしろ帯の外に透ける容器を置くと、視界に情報だけが増えて、毎朝そこを一度見ることになります。
季節の入れ替えも、この考え方でそのまま進みます。買い替えでも処分でもなく、帯の中身と帯の外を入れ替えるだけです。畳んでしまうものの扱いはニットの収納と防虫に、入れ替えの手順は秋の衣替えの手順にあります。
まとめ
- 最初に測るのは枚数ではなく有効奥行き。55cm以上で正面に掛けられ、45cm未満なら掛けない
- 間口170cm以上で両側、115cm未満なら片側だけ。通路60cmは削らない
- 二段掛けの条件は、上下のパイプの差 ≧ 上段の最大占有高 + 10cm。長丈は床から150〜160cmの一段で持つ
- 手が届く帯は床から80〜150cm。ここは増やせないので、配り方だけを変える
- 帯の中身は着る頻度ではなく迷う頻度で決める。2週間の目印が3回以上なら正面へ
- 着ていない服は、見えていない・取り出しにくい・組み合わせが浮かばないの順に外す
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. ウォークインクローゼットで、最初に決めることは何ですか
- 有効奥行きです。壁から扉や手前の枠までの、実際に使える奥行きをメジャーで測ってください。判定は3つに分かれます。55cm以上あれば、パイプを壁と平行に渡す正面掛けが成立します。45〜55cmだと掛けた服の肩が手前にはみ出すので、パイプを奥行き方向に渡す側面掛けにするか、畳む側へ振ります。45cm未満なら掛けるのをやめて、浅い引き出しと棚に切り替えてください。一般的なハンガーの肩幅が42〜45cmあり、掛けた服の前後の厚みが3〜10cm出るので、境目はこの位置に来ます。奥行きが決まる前に収納用品を選ぶと、あとの判断が全部その用品に縛られます。
- Q. 二段掛けにできるかどうかは、どう判断すればいいですか
- 上下のパイプの高さの差と、掛ける服の占有高を比べます。占有高は、ハンガーに掛けた状態でフックの上端から裾までを測った長さです。条件は2つで、上下のパイプの差が「上段に掛ける服の最大占有高+10cm」以上あること、下段のパイプの高さが「下段に掛ける服の最大占有高+10cm」以上あることです。上段180cm・下段95cmなら差は85cmなので、上段は占有高75cmまで、つまりシャツやブラウス、二つ折りにしたボトムスが入ります。占有高110cmを超えるワンピースやコートは二段にできないので、パイプ一本を床から150〜160cmに置いた長尺ゾーンを別に確保してください。
- Q. 片づけたのに、結局同じ服しか着ていません。何が起きていますか
- 3つのどれかです。見えていない、取り出しにくい、組み合わせが浮かばない。順番にテストしてください。まず扉を閉じた状態で、中にある服を10枚言ってみます。出てこなかった服が床から150cmより上や80cmより下、奥の列に集中していたら、見えていない状態です。次に、その一枚を取り出すのに何手かかるか数えます。前の服をどける、ふたを開ける、踏み台を出すが入って2手以上なら、取り出しにくい状態です。最後に、手に取ってから10秒以内に合わせる相手が浮かぶか。浮かばないなら、置き場所ではなく隣に何があるかの問題です。
- Q. 収納するとき、着る頻度が高い服をいちばん取りやすい場所に置けばいいですか
- 見るのは着る頻度ではなく、迷う頻度です。毎日着ていても迷わない服は、取り出す手数さえ少なければ帯の外で構いません。逆に、朝に手が止まる服は2枚以上を見比べる必要があるので、同時に視界へ入る位置に置かないと判断が終わりません。数え方は、2週間のあいだ朝に迷った服のハンガーへ目印をひとつ足すだけです。3回以上ついた服を床から80〜150cmの正面へ、1〜2回を帯の端へ、0回で着ている服を帯の外へ移します。0回で着てもいない服は、置き場所の問題なので切り分けのほうへ回してください。
- Q. 収納用品は、どの寸法を基準に選べばいいですか
- 有効奥行きから10cm引いた数字が上限です。扉の厚み、枠、レールの逃げでそれくらい減ります。引き出しは奥行き45cm以下にしておくと、畳んだトップスが前後1列で収まり、奥に埋もれる列が生まれません。それより深いものを入れると、自分で「見えていない場所」を作ることになります。高さは、重ねる枚数が3枚を超えない浅さに。幅は間口いっぱいにせず、左右2cmずつ余白を残してください。中身が見えるかどうかは置く場所で決めます。床から80〜150cmの帯に置くものは開けずに中身が分かること、帯の外に置くものは見えなくて構いません。
— メグラシ編集部





