秋の衣替えの手順|気温で始めて、仕舞う前の手入れで終える

秋の衣替えで困るのは、今年の秋ではありません。翌年の春に引き出しを開けたとき、襟の内側が黄色くなっている。原因の作業は1年前に終わっています。
だからこの記事は手順の順番を主題にしました。作業は4つ。始める時期を気温で決める、秋物を点検する、仕舞う前に手入れをする、収納する。時間がかかるのは3つ目で、全体の半分以上を占めます。
一度に全部入れ替えない|二段構えにする理由
9月には、最高気温30度と最低気温18度が同じ日に来ます。ここで夏物を全部仕舞うと、暑い日に着るものがなくなり、結局は箱を開けます。
| 段 | 引き金 | 仕舞うもの | 出すもの | 所要時間 |
|---|---|---|---|---|
| 一段目 | 最高気温25度前後が続く | 真夏専用のもの | 薄手の羽織・薄手の編み物 | 2〜3時間 |
| 残暑用 | 一段目のあと | 手元に5枚だけ残す | ― | 10分 |
| 二段目 | 最低気温15度を下回る | 残りの夏物・残暑用 | 厚手のもの・アウター・靴 | 2〜3時間 |
| 冬への切替 | 最低気温10度を下回る | 薄手の秋物の一部 | 冬のアウター | 1時間 |
「真夏専用」とは、20度台前半では着られないものです。袖のないトップス、透ける生地、目の粗い麻、サンダル、かご。一段目で密度が下がると、秋物を出す空間も先にできます。
一段目は最高気温で、二段目は最低気温で決める
一段目の引き金は最高気温25度。半袖1枚で歩くと少し肌寒く、羽織が要り始める境目です。2〜3日続いたら、その週末を一段目に。26〜27度で洗濯とクリーニングに出し始めておくと当日が早く終わります。
二段目は最低気温です。寒いと感じるのは朝と夜だから。最高気温が22度でも最低気温が13度なら、朝に薄手の羽織では足りません。16〜17度で準備を終え、15度前後で実行、12〜14度で残暑用の5枚も仕舞います。
住む場所で時期は1か月近くずれます。暦ではなく、10日間の予報を見てください(気温別の服装)。ブーツは10月のブーツ解禁時期に分けてあります。
全体の手順|上から順にやれば終わります
衣類の量が中くらいの場合の目安です。
- 10日間の予報を見る(5分) ── 実行日を2日決める
- 箱・不織布のカバー・防虫剤・除湿剤を用意する(20分)
- 秋物を先に出して広げる(30分)
- 秋物を点検する(40分) ── 直す・出す・そのままに分ける
- 夏物を全部出す(30分)
- 夏物を仕分ける(40分) ── 残す・手放す・迷うの3つの山に
- 残す夏物を手入れする(半日〜3日) ── ここが本体
- 手放すものの出口を決める(20分)
- 収納する(1時間) ── たたむ・吊るす・防虫・除湿
- 残暑用の5枚を手元に残す(10分)
- 申し送りメモを4行書く(10分)
- 季節の途中で1回見直す(20分)
**7番だけが日をまたぎます。**1日で終わらせようとすると、湿ったまま仕舞うことになります。
出す前に、秋物が着られる状態か確かめる
順番を逆にすると、着たい日に着られない服が出ます。見るのは、保管中の匂い、襟と袖口の黄ばみ、脇と背中の穴、毛玉、肩の型崩れ、ボタンの緩み、ファスナー、そして裾と袖丈が今の体に合うか。出す側の点検を先にやると、足りないものが早く分かります(秋のクローゼット整理)。
仕舞う前の手入れが本体|見えない汚れが翌年シミになる
汗はほとんど無色で、着た日には見えません。ですが繊維に残った汗と皮脂は時間と温度で変化し、汗は脇・背中・襟に輪郭のない薄い黄色、皮脂は襟の内側と袖口に黄色から薄い茶色として、数か月後に出てきます。
肌に触れたなら洗う側です。羽織っただけの上着は、ほこりを払って風を通すだけで構いません。迷ったら、汗ばんだ記憶があるかで決めます。
虫が寄るのは繊維そのものより、残った汚れのほうです。**きれいに洗って乾かすことが、防虫剤より先の対策になります。**糊は使わない、ポケットは空にする。同じ理由です。
素材別|家で洗う・店に出す・何もしない
手を動かす前に三択を決めます。最後は表示が優先です。
- 家で洗う:綿、麻、化繊、デニム。桶に手のマークがあるウールの編み物も
- 店に出す:桶に×のもの、ウールのコートやジャケット、スーツ、絹、目の詰まったカシミヤ、革
- 何もしない:肌に触れていない上着、かご、帽子。拭いて風を通す
表示で見るのは実質2つ、桶と丸です。桶に数字ならその温度以下で洗え、手のマークなら押し洗い、×なら店へ。丸にWは水を使う洗い方を頼めるという意味なので、汗が気になる服にこの表示があれば相談する価値があります。
家で洗うときの手順
編み物は縮みと伸びが主な事故です。
- 表示を確認する ── 桶に×なら中止
- 30度以下の水に中性の洗剤を溶かす ── 熱い湯は縮みの原因
- たたんだまま沈める ── 広げると伸びる
- 20〜30回、上から押す ── もむ・ねじる・こするをしない
- すすぎは2回、脱水は30秒から1分 ── 長いと折り線が固定される
- 平らな場所に形を整えて干す ── 袖は身頃の上に
- 乾いたと思ってから、もう半日置く ── 内側が湿っていることがある
綿・麻・化繊は皮脂の扱いだけ違います。襟と袖口に洗剤を直接なじませてから洗い、洗剤は規定量を守り、すすぎは2回。減らすと皮脂が残ります。
店に出すとき、受付で伝えること
黙って渡すと、店は普通の汚れとして扱うしかありません。伝えるのは3つ。「半年ほど保管します」「脇と背中の汗を抜きたい」「先月、油の跡が付きました」。いつ何が付いたかで処置が変わります。
戻ったら、**その日のうちにビニールを外してください。**かけたまま仕舞うと内側に湿気が残ります。
手放す判断|1年に2回、全部の服を手に取る
衣替えは、持っている服をほとんど一度手に取る、年に2回しかない機会です。ただし途中で判断すると疲れるので、仕分けは3つの山だけに。
「1年着なかった」だけでは決めません。忙しかった年、雨の多かった年、見えていなかっただけ、ということがあります。見るのは4つです。
- サイズ:座ると食い込む、腕を上げると裾が上がるのは合っていない側
- 傷み:全体の毛玉、戻らない艶、変色は手放す側
- 場面:その服を着る予定が今も生活の中にあるか
- 気分:着て鏡を見た最初の数秒で姿勢が変わるか
**2つ以上が手放す側なら決めます。**1つだけなら保留の箱に日付を書いて入れ、次の衣替えまで持ち越します。箱は1つまで。一度も開けずに済んだら手放すと決めておくと、来年も同じところで止まりません。
収納|たたむか吊るすか、防虫剤と湿気
分かれ目は、肩の形が作られている服かどうか。ジャケット、コート、シャツ、プリーツのスカート、革は吊るす側。編み物、カットソー、重い飾りのワンピース、斜めに裁った服はたたむ側です。**編み地は自分の重さで伸びます。**折り目に薄い紙を挟み、重ねるのは3〜4枚まで、引き出しは7〜8割で。
防虫剤は衣類の一番上です。成分の多くは空気より重く、上から下へ広がります。逆に除湿するものは下。湿気は低いところに溜まります。種類は混ぜないこと。
圧縮は素材で分かれます。綿のTシャツ、シーツ、タオルは向きます。ウールやカシミヤは折り線が翌年に残り、羽毛は膨らみが戻らず、芯地の入ったジャケットは潰れます。完全に乾いてから入れること。
迷ったときにどうするか
いつ始めるか判断がつかないときは、日付を待たずに一段目だけ先にやってください。真夏専用のものを仕舞うのは残暑があっても困らず、この分け方なら早すぎて失敗しません。
洗うか出すか迷ったときは、家で洗って縮んだものは戻りませんが、店に出して失うのは費用だけです。取り返しのつかない側を避けると決めておくと早く決まります。
しみが見つかったとき、自分でやってよい範囲には線があります。目安は「その日か翌日までの汚れ」と「面積が小さいもの」。こすると繊維が傷み、白っぽい跡が残ります。時間の経ったものは触らずに相談するほうが結果が良くなります。
手放すか決められないときは、無理に決めないでください。保留の箱に日付を書いて入れ、半年後に開けます。先送りではなく、判断の材料を集める期間と考えると気が楽になります。
時間が取れないときは、7番の手入れだけを守ってください。仕分けも整理も来年に回せますが、汗を残したまま仕舞った服は戻りません。洗って完全に乾かすことだけが優先です。
来季の自分への申し送り|残す4行
最後に4行だけメモを残します。長く書くと読み返しません。1行目にいちばん手間だったこと(「編み物の乾燥に3日かかった」)。2行目に出したのに着なかった服と理由。3行目に足りなかったもの。4行目に来季まず先にやること。
衣替えの1〜2か月後に20分だけ見直すと、この4行が書きやすくなります。「着なかった」理由は半年後には分からなくなるからです。
まとめ
- 一段目:最高気温25度前後。真夏専用のものだけ仕舞い、残暑用に5枚残す
- 二段目:最低気温15度前後。残りの夏物と残暑用を仕舞う
- 本体は仕舞う前の手入れ:肌に触れたら洗う。完全に乾かすまでが手入れ
- 収納:肩の形が作られていれば吊るす。防虫剤は上、除湿は下
関連記事
— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 秋の衣替えはいつ始めればいいですか
- 日付ではなく気温で決めます。一段目は、最高気温が25度を下回る日が続き始めたころ。ここでは真夏専用のものだけを仕舞い、薄手の秋物を出します。二段目は、最低気温が15度を下回るころ。残りの夏物を仕舞い、厚手のものとアウターを出します。住んでいる場所で時期は1か月近くずれるので、暦ではなく10日間の予報を見てください。一度に全部を入れ替えないのは、9月には最高気温30度と最低気温18度が同じ日に来ることがあるからです。
- Q. 一度しか着ていない服も、仕舞う前に洗ったほうがいいですか
- 肌に触れたなら洗うほうが安全です。汗はほとんど無色で、着た直後には見えません。それが繊維に残ったまま数か月置かれると、酸化して黄色や薄い茶色の輪郭のないしみとして出てくることがあります。襟の内側、脇、袖口、前身頃の中心が出やすい場所です。上から羽織っただけで肌に触れていない上着は、ほこりを払って風を通すだけでも構いません。判断に迷ったら、その服を着た日の気温を思い出してください。汗ばんだ記憶があるなら洗う側です。
- Q. クリーニングに出すとき、何を伝えればいいですか
- 三つ伝えると仕上がりが変わります。ひとつ目は「これから仕舞う」ということ。長期保管が前提だと分かれば、仕上げの内容が変わることがあります。二つ目は汗が気になる箇所です。一般的なドライの洗い方は油性の汚れに強い一方で、汗のような水に溶ける汚れは残ることがあるため、汗を抜く洗い方ができるか相談してください。三つ目は、いつ何が付いたか。食べこぼしなのか、化粧品なのか、時期はいつかで処置が変わります。受け取ったら、かぶせてあるビニールは外してください。あれは運ぶためのもので、そのまま仕舞うと中に湿気がこもります。
- Q. 防虫剤はどこに置くのが正しいですか
- 衣類の上です。有効成分の多くは空気より重く、上から下へ広がるため、引き出しなら一番上、クローゼットなら吊り下げるものを衣類の肩の高さより上に置きます。逆に除湿剤は下です。湿気は低いところに溜まります。もうひとつ大事なのは種類を混ぜないこと。ピレスロイド系、パラジクロロベンゼン系、ナフタリン系、樟脳などは、組み合わせによっては溶けて衣類に付着することがあります。切り替えるときは、一度空にして風を通してからにしてください。効くのは閉じた空間だけなので、開けっ放しの場所では期待しすぎないことです。
- Q. 「1年着なかった服」は手放していいですか
- それだけでは決めないほうがいいです。着なかった理由が服の側にあるとは限りません。その年が忙しかった、天候が合わなかった、単に引き出しの奥で見えていなかった、ということがあります。見るのは四つです。サイズが今の体に合うか。傷みが直せる範囲か。その服を着る予定が生活の中にまだあるか。そして着て鏡を見た最初の数秒で気持ちが動くか。この四つのうち二つ以上が手放す側なら決めやすくなります。ひとつだけなら、保留の箱に日付を書いて入れ、次の衣替えまで持ち越してください。
- Q. ニットは吊るしてはいけませんか
- 編み地は自分の重さで伸びるので、たたむほうが形を保ちやすいです。特に袖の付け根と肩が落ちます。どうしても吊るす場所しかない場合は、身頃を二つ折りにしてハンガーの横棒に掛けると、荷重が一点に集中しません。逆に吊るすほうがいいのは、ジャケットやコートのように肩の形が作られているもの、シャツ、プリーツのあるスカートです。重い刺繍やビーズの付いたワンピースは、見た目に反してたたむ側になります。飾りの重さが生地を引くからです。
- Q. 圧縮袋は使ってもいいですか
- 素材で分かれます。綿や化繊のTシャツ、シーツ、タオルは向いています。羽毛のものは羽が折れて戻りにくく、長期の圧縮には向きません。ウールやカシミヤの編み物も、圧縮したままの折り線が翌年に残ることがあります。芯地の入ったジャケットやコートは、形を作っている部分が潰れるので避けてください。使う場合の条件はひとつで、完全に乾いてから入れることです。湿気ごと閉じ込めると、開けたときに匂いやかびの原因になります。季節の中間で一度開けて風を通せると、なお安心です。
— メグラシ編集部





