クローゼット内の収納|扉の開き方で、死角の位置が変わる

歩いて入れないクローゼットで最初に決めるのは、何を入れるかではありません。どこが見えないかです。
見えない場所は、扉の開き方で決まります。引き戸は開けても常に半分が隠れ、折れ戸は両端に手の入りにくい帯ができ、開き戸はほぼ全部が一度に見える。この差は好みではなく、同時に見える割合という数字で測れます。
歩いて入れるタイプの配り方はウォークインクローゼット収納|先に測るのは奥行きにあります。ここでは、扉の前に立って使うクローゼットだけを扱います。
同時に見える割合を、先に測る
測り方は1つです。扉をふだん開ける角度まで開け、その位置から一歩下がって立ちます。そこから背が見えている服の数を数え、掛かっている総数で割る。これが同時に見える割合です。
| 扉の形 | 同時に見える割合 | 死角の位置 |
|---|---|---|
| 引き戸(2枚) | およそ50% | 閉じている側の全部 |
| 折れ戸 | およそ80% | 左右それぞれ端15cm前後 |
| 開き戸(全開できる) | ほぼ100% | ほぼ無し |
| 開き戸(半開まで) | 60〜70% | 開ききらない側の端 |
**扉の形ではなく、実際に開く角度で決まります。**ベッドや机が近くて扉を開けきれないなら、開き戸でも引き戸と同じ扱いになります。
死角に置いていいのは、2種類だけ
死角は必ず生まれます。問題は、そこに何を置くかです。
置いていいのは2種類です。
- 使う日が決まっているもの|予定のほうから思い出せます
- 種類が1つしかないもの|選択肢がないので、探す前に手が伸びます
この2つ以外を死角に置くと、たいてい忘れます。忘れた結果、同じ役割のものを買い足すことになり、量が増えます。死角の管理は記憶ではなく、置くものを絞る問題です。
選ぶ必要があるものは、見える側にしか置けない
朝に迷う服、つまり同じ役割で複数あるものは、見える側に置きます。理由は単純で、選ぶ作業は見えている範囲でしか起きないからです。
見えない側に迷う服を集めると、結果として手前の数着だけを着ることになります。持っている枚数は減っていないのに、着ている枚数だけが減る。この差は、量の問題に見えて置き場所の問題です。
引き戸|3か月で左右を入れ替える
引き戸は、開けている側だけが使われます。半年放っておくと、閉じている側は一年使われない側になります。
やることは1つ、3か月ごとに左右を丸ごと入れ替える。中身を選び直す必要はありません。ハンガーごと横へずらすだけです。
入れ替えの日に、片側だけ埃が積もっているなら、その側は3か月まったく開けていません。次の3か月は、そちら側をよく開ける側にしてください。埃は、使っていない時間の記録です。
折れ戸|両端15cmの帯を、別扱いにする
折れ戸は開いた扉そのものが両端に残ります。扉の厚みと折れ幅のぶん、左右それぞれおよそ15cmに手の入りにくい帯ができます。
帯の幅は扉によって違うので、実際に測ります。開いた状態で端に手を差し入れ、手首まで入るかどうか。入らない範囲が帯です。
この帯に服を掛けると、取り出すたびに斜めに引き抜くことになり、肩の形が崩れます。帯に置くのは動かさないものです。季節外を入れた箱、背の高い道具、シーズン中に触らないもの。吊り下げ収納をここに吊るのも向きません。理由はクローゼットの吊り下げ収納|奪うパイプ幅に見合うかで決めるにあります。
開き戸|張り出す扇形を測る
開き戸は見える割合で有利ですが、開いた扉が手前へ張り出します。その扇形の中にものを置けません。
床に印を付けて確かめてください。扉を全開にしたとき、扉の先端が届く位置。そこまでの半円が、空けておく必要のある範囲です。ここに家具が入っていると扉は開けきれず、端が死角になります。
開けきれないなら、開く側の端を引き戸と同じ扱いにします。探さなくても分かるものだけを置いてください。
どちらとも取れるとき①|季節が入れ替わる時期
変わり目にぐちゃぐちゃになるのは、見えている側で入れ替えようとするからです。手順を変えます。
- 隠れる側を空にする
- これから使う季節のものを、隠れる側へ入れる
- 見えている側から、使い終わった季節のものを抜く
- 左右を入れ替える
作業が2回に分かれるので、床に全部を出す時間がなくなります。
春物と秋冬物が同居する2週間ほどの時期は、無理にどちらかへ寄せません。見えている側の端に、混在の帯を10cm作る。気温が動くあいだだけの一時的な帯として扱い、期間が過ぎたら必ず解体します。仕舞う側の手順はニット・ウールの保管と防虫にあります。
どちらとも取れるとき②|来客時に閉め切る家
人が来るときに扉を閉め切る家では、開けている時間そのものが短いです。この場合、見える割合の数字より、開ける回数が効きます。
対処は、朝の一連の動作が一度開けるだけで終わるように配ることです。今日着るものが、扉を1回開けて全部そろう位置にある。上と下が左右に分かれていると、2回開けることになります。
扉を開ける回数は、片づけの丁寧さより着る服の偏りに効きます。
どちらとも取れるとき③|家族と1つのクローゼットを使う
引き戸を家族で使うとき、片側ずつ分けるのがいちばん多い分け方です。ただしこの分け方には欠点が1つあります。先に開けた人の側だけが使われる。
分けるなら、左右ではなく上下にしてください。パイプが2段あるなら段で分ける。1段しかないなら、片方の側を半分だけ交換する形にします。そして3か月ごとの入れ替えは、必ず2人同時にやる。片方だけがずらすと、境目が毎月動いていきます。
見えている側の中で、さらに順番をつける
見える側に入れただけでは足りません。見えている範囲にも、視線が最初に当たる位置があります。
扉を開けたとき、目は正面のやや上を最初に見ます。そこから左右へ、下へと移ります。つまり順番は決まっていて、正面のやや上 → 中央 → 端 → 下です。
だから、いちばん迷う服を正面のやや上に置きます。迷う服とは、同じ役割で複数あるもののことです。ここを端に置くと、選ぶ前に他の服が目に入り、結局いつも同じ数着になります。
下のほうは、視線が最後に届く場所です。かがまないと見えない高さには、選ばなくていいものを置いてください。数が1つしかないもの、決まった日にしか使わないもの。下の段は、見つける場所ではなく取りに行く場所です。
服の向きと、見える情報の量
見える割合を上げるもう1つの方法があります。掛ける向きを変える。
パイプが手前から奥に向かって走っている区画では、服は横向きに並びます。この向きだと、見えるのは手前の一着の正面だけです。パイプが左右に走っている区画では、服は正面を横に向けて並び、見えるのは全部の肩と袖です。
つまり、同じ数を掛けても、向きによって読み取れる情報が変わります。肩と袖しか見えない並びでは、色と丈は分かりますが、前身頃の柄や襟の形は分かりません。ここを補うために、袖側から見て違いが出るように並べる、という工夫が効きます。
具体的には、丈の順に並べるのがいちばん読みやすくなります。丈は袖側からでも一目で分かるからです。色順は、暗い色が集まった側で見分けがつかなくなるので、丈の中でさらに色を分ける二段構えにしてください。並べ方の流派についてはハンガーの向きに常識はあるかに詳しくあります。
扉を開けない日を作らない
どの扉でも共通する問題が1つあります。開けない日が続くと、中身の記憶が薄れる。
服の記憶は、見た回数で保たれます。1週間開けなければ、そこにあるものは選択肢から外れます。旅行や、生活の変化で1週間以上開けなかったあとは、戻ったときに中を一度眺める時間を作ってください。1分で足ります。
季節で使わなくなる区画も同じです。半年触らない区画は、次に開けたとき、中身が思い出せません。そのために季節の途中で一度だけ開ける日を決めておくと、次の入れ替えが速くなります。開けて見るだけで、何もしなくて構いません。
開ける回数は、片づけの丁寧さより着る服の幅に効きます。
扉を外すという選択肢
見える割合を上げる最も直接的な方法は、扉を使わないことです。開けたままにする、あるいは外してしまう。
利点は明確で、開ける動作が消え、見える割合が100%になります。欠点も明確です。ほこりが入り、部屋から中身が見えます。
判断は2つで出せます。
- その部屋に、人がどれくらい入るか|自分だけが使う部屋なら、見えても支障はありません
- ほこりが気になる服があるか|あるなら、その区画だけ布で覆う
全部を外す必要はありません。片側だけ外すという中間もあります。引き戸の片方を外して、そちら側を常に見える側にする。もう片方は閉じたままにして、季節外を入れる。これで、見える割合は50%から実質的に上がります。
外すときに確かめることが1つあります。**外した扉の置き場所。**戻す可能性があるなら、傷まない場所に立てて保管する必要があります。置き場所がないなら、開けたままにするだけにしてください。
手前と奥がある区画の扱い
扉の内側に奥行きがあると、掛けた服の手前と奥という別の死角が生まれます。扉の死角は左右ですが、こちらは前後です。
判定は、扉を開けて立った位置から奥の服の肩が見えるかでします。見えないなら、そこは前後2列になっています。
前後2列を成立させる条件は、棚と同じです。**後ろ列は、年に数回しか出さないものに限る。**季節外、行事のときだけ着るもの。よく着る服を後ろに置くと、取るたびに前を寄せることになり、前列の並びが毎日崩れます。
もう1つの方法は、後ろ列を掛けないことです。後ろの空間には、掛けるのではなく箱を置く。箱なら前列をずらさずに引き出せます。奥行きが55cmを超える区画では、この使い方のほうが取り出しやすくなります。詳しい寸法の考え方はウォークインクローゼット収納|先に測るのは奥行きにあります。
2週間で確かめること
配り終えたら測ります。見るのは扉を2回以上開けた朝の数です。
2週間、着るものをそろえるのに扉を2回以上開けた日に印を1つ付けます。
- 印が3日以下|配り方が合っています
- 印が4〜8日|今日着るものが左右に分かれています。役割ごとにまとめ直す
- 印が9日以上|死角に、選ぶ必要があるものが入っています
同時に、この2週間で一度も触らなかった側があるなら、次の入れ替えでそちらを見える側にしてください。
まとめ
- 同時に見える割合は引き戸50%・折れ戸80%・開き戸ほぼ100%。実際に開く角度で決まる
- 死角に置いていいのは使う日が決まっているものと種類が1つしかないものだけ
- 引き戸は3か月で左右を入れ替える。埃は使っていない時間の記録
- 折れ戸の両端15cmには、掛けるものではなく動かさないものを置く
- 変わり目は隠れる側から入れ替える。混在の帯は10cm、期間限定で
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 引き戸のクローゼットは、何をどこに置けばいいですか
- 引き戸は開けても常に半分が隠れます。つまり同時に見えるのはおよそ50%です。この前提で配ると、見えている側に置くのは、選ぶ必要があるもの、つまり毎朝どれにするか迷う服です。隠れる側に置くのは、探さなくても場所を思い出せるもの、たとえば決まった曜日にしか使わないものや、数の少ない厚手のものです。逆にすると、迷う服が見えない側に集まり、結局手前の数着だけを着ることになります。加えて3か月ごとに左右を入れ替えてください。入れ替えないと、片側だけが一年使われない側になります。
- Q. 折れ戸で、端のほうが使いにくいのはなぜですか
- 折れ戸は開いた扉そのものが両端に残るためです。扉の厚みと折れ幅のぶん、左右それぞれおよそ15cmに手の入りにくい帯ができます。ここに服を掛けると、取り出すたびに斜めに引き抜くことになり、肩の形が崩れます。この帯には、掛けて出し入れするものではなく、動かさないものを置いてください。季節外を入れた箱、背の高い道具、シーズン中に触らないもの。帯の幅は扉によって違うので、実際に開いた状態で手を差し入れ、手首まで入るかどうかで測ってください。
- Q. 全部が一度に見える開き戸なら、どう置いても同じですか
- 見える範囲では有利ですが、別の制約があります。開き戸は開いたときに扉が手前へ張り出すので、その扇形の中にものを置けません。ベッドや机が近い部屋では、扉が全開にならず、結果として端が死角になります。まず扉を開けきれるかどうかを確かめてください。開けきれるなら、置き方の自由度は高いです。開けきれないなら、開く側の端は引き戸と同じ扱いにして、探さなくても分かるものを置いてください。見える割合は、扉の形ではなく実際に開く角度で決まります。
- Q. 死角に置いたものを忘れないコツはありますか
- 覚え方を工夫するより、置くものを絞るほうが確実です。死角に置いていいのは2種類だけです。1つは、使う日が決まっているもの。決まった予定に紐づいているので、日付のほうから思い出せます。もう1つは、種類が1つしかないもの。選択肢がないので、探す前に手が伸びます。この2つ以外を死角に置くと、たいてい忘れます。忘れた結果、同じ役割のものを買い足すことになり、量が増えます。死角の管理は、記憶ではなく選び方の問題です。
- Q. 季節の変わり目に、中がぐちゃぐちゃになります
- 見えている側で入れ替えようとしているからです。手順を変えてください。まず隠れる側を空にします。次に、これから使う季節のものを隠れる側へ入れます。最後に、見えている側から使い終わった季節のものを抜き、隠れる側と入れ替えます。作業を2回に分けると、床に全部を出す時間がなくなります。春物と秋冬物が同居する時期は、無理にどちらかへ寄せず、見えている側の端に混在の帯を10cm作ってください。気温が動く2週間だけの一時的な帯として扱います。
— メグラシ編集部




