クローゼットの吊り下げ収納|奪うパイプ幅に見合うかで決める

吊り下げ収納は、空いた空間を使う道具ではありません。掛ける幅と引き換えに置く道具です。
パイプに吊るせば、その幅ぶんの服は掛けられなくなります。奪う幅がおよそ10cmなら、中厚の服で2〜3着ぶんの場所が消えます。だから判断は「便利かどうか」ではなく、その2〜3着より、中に入れるものを優先したいかという比較になります。
先に測るのは2つです。吊り下げ収納が奪う幅と、その区画に残るパイプの余白。掛けられる総量の計算は洋服の断捨離|減らす枚数は、パイプの有効幅から逆算するにあります。
奪う幅を、着数に換算する
換算は割り算だけです。中厚の服はハンガーに掛けておよそ4cmを取ります。
| 奪う幅 | 消える着数(中厚) | 見合う中身の例 |
|---|---|---|
| 5cm前後 | 1〜2着 | 毎日使う小物、翌日の一式 |
| 10cm前後 | 2〜3着 | 週に何度も使うたたみもの |
| 15cm以上 | 4着前後 | よほど頻度の高いものに限る |
**15cm以上を奪う吊り下げ収納は、日常で毎日開けるものにしか見合いません。**年に数回しか触らないものを入れているなら、その区画は服に戻したほうが働きます。
奪う幅は、カタログの寸法では分かりません。吊った状態で、隣の服が押されている幅までが実際に奪う幅です。中身を入れると横に膨らむものが多く、空の状態より2〜3cm広がることがあります。測るのは、必ず中身を入れてからにしてください。
もう1つ見落としやすいのが、開けるときに必要な幅です。前が開く形のものは、開いた扉ぶんの空間が要ります。奥行きが浅くても、開けるたびに隣の服を押しのけるなら、その押しのける幅も奪っていることになります。
吊る前に、その区画の余白を測る
吊る場所を決める前に、その区画がいま何cm余っているかを測ります。手順は1つで、端に立って、ハンガーの間に手のひらを縦に差し込む。
- 入らない|すでに満杯です。吊る前に、掛ける服を減らす順番になります
- 手のひらは入るが、こぶしは入らない|余白は5〜10cm。吊るなら5cm級のものだけ
- こぶしが入る|余白は10cm以上。15cm級まで検討できます
満杯の区画に吊ると、押し出された服は必ずどこかへ行きます。多くの場合、隣の区画か、椅子の上です。吊り下げ収納を足した翌週に部屋が散らかるなら、押し出された服の行き先がなかったということです。
棚型とポケット型は、形で分かれる
棚型は、たたんで自立するものに向きます。厚みがあって形が保てるもの、たとえばニットやスウェット、たたんだバッグです。平らに置けるので、編み地のあるものでも癖がつきにくい。
ポケット型は、小さくて薄いものに向きます。小物、靴下、細いもの。ポケットの形がそのまま中身の形になるので、張りのある素材や編み地のあるものを押し込むと、入れた形のまま癖が残ります。
逆にしてはいけない組み合わせは1つだけです。型崩れしやすいものを、ポケット型に押し込まない。
もう1つの違いは、中身が見えるかどうかです。棚型は横から中が見え、置いたものの色や形が分かります。ポケット型は正面から見て、入っているかどうかしか分かりません。つまりポケット型は、中身を覚えていられるものにしか向きません。種類が多いものを入れると、上から順に探すことになります。
選び方に迷ったら、入れる予定のものを1つ手に取り、平らに置けるかどうかを見てください。平らに置けるものは棚型、丸めるか折るしかないものはポケット型です。
縦に伸びる棚型は、下の丈を殺す
棚型は上から下へ伸びます。伸びたぶん、その下に掛けられる服の丈が短くなります。
- 棚型の下端が床から120cm|下に掛けられるのは、丈の短いものだけ
- 床から80cm|下はほぼ使えません
丈の長い服が多い区画に吊ると、行き場を失った長い服が他の区画へ移り、そちらが溢れます。吊るなら、短い服だけを集めた区画にしてください。丈で区画を分けていないなら、分けるのが先です。丈を3つに分けて数える手順はウォークインクローゼット収納|先に測るのは奥行きにあります。
たわみは、位置で減らせる
パイプは支点から遠い中央がいちばん下がります。吊り下げ収納を中央に吊るのは、最も不利な置き方です。
やることは1つ。**端へ寄せる。**端は支点に近いので、同じ重さでも下がり方が小さくなります。それでも下がるなら、総重量が上限を超えています。
判定は手でできます。パイプの中央に手を当てて軽く押し、押した力で明らかに動くなら、すでに余裕がありません。上限を超えたパイプは、じわじわではなく、ある日まとめて落ちます。中身を減らすか、吊り下げ収納そのものを外してください。
傾く原因は、重さの偏りかフックのずれ
斜めに傾くときは、2つのどちらかです。
重さの偏り|上が軽く下が重いのは安定しますが、前後に偏ると傾きます。奥側と手前側へ均等に分けてください。
フックの位置ずれ|フックがパイプの上で回っています。内側にすべり止めを一巻き入れるか、両端が固定できる形に替える。
傾いたまま使うと、隣の服が押されて掛け位置がずれ続けます。毎朝2cmずつずれる状態は、片づけでは直りません。
どちらとも取れるとき①|扉が閉まらなくなった
折れ戸や引き戸のクローゼットでは、吊り下げ収納が扉に当たることがあります。ここで中身を減らして解決しようとすると、翌週にはまた当たります。
見るのは手前からの出っ張りです。パイプの中心から扉の内側までの距離を測り、吊り下げ収納の奥行きがそれを超えていないか確かめてください。超えているなら、量では直りません。奥行きの浅いものへ替えるか、扉のない区画へ移します。
扉の開き方で見える範囲がどう変わるかはクローゼット内の収納|扉の開き方で、死角の位置が変わるにまとめました。
どちらとも取れるとき②|空いた区画に、とりあえず吊りたい
区画が空いているとき、吊り下げ収納は埋めやすい選択肢です。けれど埋めた区画は、二度と服に戻りません。
決め方を1つにします。そこに入れるものが、いま家の中で置き場所を持っていないか。持っていないなら吊る意味があります。すでに別の場所に収まっているものを移すだけなら、掛ける幅を失うぶんだけ損です。
どちらとも取れるとき③|季節ものを入れたい
季節の小物を吊り下げ収納に入れると、使わない半年もパイプの幅を占め続けます。ここは頻度で切ります。
- その季節に週1回以上使う|吊っていい
- 季節中でも月数回|棚か引き出しへ
- 季節が終わったら触らない|必ず外す。外さないなら最初から吊らない
外す予定を決めていない吊り下げ収納は、一年中そこにあります。
中に入れるものの重さを、先に決める
吊り下げ収納は、入れられる量と入れていい量が違います。入れられる量は容積で決まりますが、入れていい量はパイプが決めます。
順番は3つです。
- その区画のパイプに、いま掛かっている服の総重量を思い浮かべる|中厚の服はおよそ0.4〜0.6kg、厚手はその倍以上
- 吊り下げ収納が奪う幅ぶんの服の重さを出す|10cmなら中厚2〜3着ぶん、およそ1.5kg前後
- その重さを超えないように中身を決める
つまり、もともと掛かっていた服より重いものを入れない。これを守るとパイプへの負担は増えません。逆に、奪った幅ぶんの服より明らかに重いものを入れると、たわみは中身の量に関係なく進みます。
重さは手で測れます。中身を入れた状態で吊り下げ収納を持ち上げ、片手で胸の高さに5秒保てるか。保てないなら、パイプに掛けるには重すぎます。棚か引き出しへ移してください。
段の数と、実際に使える段
吊り下げ収納は段が多いほど得に見えます。けれど実際に使えるのは、目の高さの前後だけです。
- 目の高さより上の段|中が見えません。上から手を入れて探すことになります
- 目の高さの前後2段|見えて、取れます。ここが主力です
- 腰より下の段|かがめば見えますが、掛かっている服が視界をふさぎます
6段のものを吊っても、日常で機能するのは2〜3段です。残りの段には、月1回以下のものを入れてください。全部の段を日常で使おうとすると、上の段を探す時間が毎朝かかります。
段の数を減らせないなら、上の段には、手触りで分かるものを入れるという手があります。見えなくても、触れば分かるもの。これなら上から手を入れる動作が1回で済みます。
掛ける服との境目に、何を置くか
吊り下げ収納の隣は、いちばん擦れる場所です。出し入れのたびに、隣の服が押されます。
置くものを決めておきます。擦れても差し支えのない服、たとえば家で着るものや、生地の丈夫なものを隣にする。編み地のあるもの、表面に凹凸のあるものを隣に置くと、毎日わずかに擦られ続けます。
もう1つ、隣に丈の長い服を置かない。吊り下げ収納の下端に裾が当たり、掛けるたびに裾を巻き込みます。巻き込んだ裾は、掛かっているあいだずっと折れた状態です。丈で区画を分ける話は、この記事の前半で触れたとおりです。
境目には、空のハンガーを1本挟むという方法もあります。1本ぶんの幅を犠牲にしますが、擦れも巻き込みも止まります。奪う幅が4cm増えることになるので、そこまでの価値があるかは中身次第です。
外すときに、元へ戻せるようにしておく
吊り下げ収納は、外す前提で置くと扱いが楽になります。外しにくい状態にしてしまうと、使っていなくても外れません。
外しにくくなる原因は2つです。中身が別の場所に置けないことと、外したあとの幅が余ることです。前者は、中身の行き先を先に決めておけば解決します。後者は、外したときに詰める服を決めておくことで解決します。
だから吊る日に、2つ書いておいてください。**この中身は、外すならどこへ入れるか。空いた幅には、どの服を掛けるか。**紙一枚で足ります。書いておくと、2週間後の判定が実行できます。書いていないと、判定で不要と出ても外せません。
**外せない道具は、置き場所ではなく固定物になります。**固定物になった時点で、幅の話ができなくなります。
2週間で確かめること
吊ったあと、正しかったかを測ります。見るのは開けた回数です。
2週間、その吊り下げ収納から何かを出した日に印を1つ付けます。
- 印が8つ以上|幅を奪う価値があります
- 印が3〜7つ|中身を、より頻度の高いものへ入れ替える
- 印が2つ以下|外して、服に戻す
同時に、隣の服が押されていないかも見ます。掛け位置が毎日ずれているなら、幅がもう足りていません。足りない幅は、たいてい服のほうが先に諦めます。
まとめ
- 吊り下げ収納は掛ける幅と引き換え。奪う幅を着数に換算してから決める
- 奪う幅10cm=中厚2〜3着。その3着より優先したいものだけを入れる
- 棚型は自立するもの、ポケット型は小さくて薄いもの。型崩れするものを押し込まない
- たわみは中央から端へ寄せると減る。押して動くパイプは、すでに上限
- 2週間で出した日の数を数え、2日以下なら外して服に戻す
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 吊り下げ収納は便利ですか
- 便利かどうかではなく、何と引き換えかで見てください。吊り下げ収納は空いている空間を使う道具のように見えますが、実際にはパイプの幅を奪います。奪う幅がおよそ10cmなら、中厚の服で2〜3着ぶんの掛け場所が消えるという意味です。つまり判断は、その2〜3着より、中に入れるものを優先したいかどうかの比較になります。入れるのが毎日使う小物なら、たいてい勝ちます。年に数回しか触らないものなら、負けます。便利さは、失う場所と並べて初めて測れます。
- Q. 棚型とポケット型は、どちらを選べばいいですか
- 入れるものの形で分かれます。棚型は、たたんで自立するものに向きます。ニット、スウェット、たたんだバッグなど、ある程度の厚みがあって形が保てるものです。ポケット型は、小さくて薄いもの、たとえば小物や靴下、細いベルトのようなものに向きます。逆にしてはいけない組み合わせが1つあり、型崩れしやすいものをポケット型に押し込むと、入れた形のまま癖がつきます。編み地のあるもの、張りのある素材は棚型に平らに置いてください。
- Q. 吊り下げ収納が斜めに傾いてしまいます
- 重さの偏りか、フックの位置ずれのどちらかです。まず中身を見て、下の段に重いものが集まっていないか確かめてください。上が軽く下が重い状態は安定しますが、前後に偏っていると傾きます。奥側と手前側に均等に分けてください。それでも傾くなら、フックがパイプの上で回っています。フックの内側にすべり止めを一巻き入れるか、両端が固定できる形に替えてください。傾いたまま使うと、隣の服が押されて掛け位置がずれ続けます。
- Q. パイプがたわんできました
- 吊り下げ収納の位置を、パイプの中央から端へ寄せてください。パイプは支点から遠い中央がいちばん下がります。同じ重さでも、端に寄せるだけでたわみは目に見えて減ります。それでも下がるなら、中身の総重量が上限を超えています。判断は数字でできます。パイプの中央に手を当てて軽く押し、押した力で明らかに動くなら、すでに余裕がありません。上限を超えたパイプは、ある日まとめて落ちます。中身を減らすか、吊り下げ収納そのものを外してください。
- Q. 丈の長い服がある区画にも吊れますか
- 向きません。縦に伸びる棚型を吊ると、その下は短い服しか掛けられなくなります。丈の長い服が多い区画に吊ると、行き場を失った長い服が他の区画へ移り、そちらが溢れます。吊るなら、短い服だけを集めた区画にしてください。丈で区画を分けていないなら、先に分けるほうが順番として正しいです。丈を3つに分けて数える方法は、ウォークインクローゼットの記事に置いてあります。
— メグラシ編集部





