クローゼットの収納棚|箱の大きさは「取り出す動作の数」で決める

収納棚に置く箱の大きさは、入る量では決まりません。決めているのは、その箱を取るまでに体が何回動くかです。
同じ箱でも、目の高さにあれば1動作、頭より上にあれば踏み台を含めて3動作。動作が1つの場所では細かく分けたほうが速く、動作が3つの場所では大きくまとめたほうが速い。この向きを逆にすると、いちばん使う段でいちばん時間がかかる棚になります。
棚板の位置そのものはクローゼットの棚|段の間隔は「いちばん高い一山」で決まるで決めました。ここから先は、その段に何を、どの大きさで置くかの話です。
動作の数を、先に数える
動作は、棚の前に立ってから中身を手にするまでに体が起こすことです。数え方を固定します。
- 手を伸ばして取る|1
- ふたを開ける、または引き出す|+1
- かがむ、または背伸びする|+1
- 踏み台を出す、他の箱をどける|+1
3つ以内なら日常で使える段、4つ以上なら季節でまとめて動かす段です。ここが最初の分岐になります。
1動作の段には、浅くて小さい箱
手を伸ばすだけで届く段は、細かく分けても手間が増えません。浅い箱を複数置いてください。浅いとは、中のものが重ならない深さのことです。目安は、入れるものの高さの1.5倍まで。それを超えると下のものが見えなくなり、上のものだけを使う箱になります。
この段でふた付きを使う理由はほとんどありません。ふたは動作を1つ増やし、増えた1つは戻すときにも効きます。取り出しは急いでいなくても、戻すときは必ず急いでいます。
浅い箱を複数置くときは、箱と箱のあいだに隙間を作らないでください。隙間があると、そこに小さいものが落ちます。落ちたものは箱を持ち上げないと取れないので、しばらく放置され、やがて存在を忘れます。棚の幅に対して箱の数が合わないときは、幅の合う箱に替えるか、端に1つ空箱を置いて幅を埋めてください。
もう1つ、1動作の段では箱をなくす選択肢も残しておきます。たたんだものを直接棚板に置く。箱がないぶん、取る動作も戻す動作も最短になります。箱が必要なのは、置いたときに崩れるものと、外から見て何か分からないものだけです。
3動作の段には、大きくまとめた箱
踏み台が要る段、あるいは奥にかがんで手を入れる段は、取りに行く動作そのものが重い場所です。ここでは箱の数を減らします。1回の出し入れで用が済むように、関係するものを1つにまとめる。
ここではふた付きが向きます。上に別のものを積めるからです。ただし条件が1つあります。積むのは2段まで。3段目を積むと、下2つが年単位で開かない箱になります。
まとめる単位は、種類ではなく一度の作業です。季節の入れ替えで一緒に出すものは1つの箱に。同じ種類でも、出す日が違うなら分けます。判断に迷ったら、「この箱を下ろす日はいつか」と声に出してみてください。日が2つ以上出てくる箱は、まとめ方が合っていません。
もう1つ、この段の箱には下ろしたときに置く場所が要ります。踏み台の上では中身を選べないので、必ず床か低い棚に下ろすことになります。下ろす場所がない棚では、箱を小さくして片手で持てるようにしてください。重さの上限の考え方は、上の棚の記事に別に書いてあります。
頻度と動作を掛け合わせる
2つの軸を合わせると、置く段が自動的に決まります。
| 出す頻度 | 1動作の段 | 2動作の段 | 3動作以上の段 |
|---|---|---|---|
| 月4回以上 | 浅い箱・箱なし | 置かない | 置かない |
| 月1〜3回 | 浅い箱 | ふた付きでも可 | 置かない |
| 年に数回 | 使わない | ふた付き | 大きくまとめる |
表の空欄が大事です。月4回以上出すものを、2動作以上の場所に置かない。ここを守るだけで、棚の上に積み上がる山はほとんど消えます。積み上がるのは面倒だからではなく、戻す動作が使う動作より多いからです。
1箱に入れる種類は3つまで
箱の外側を見て中身を思い出せるのは、だいたい3種類までです。4種類目を入れた瞬間、その箱は開けないと分からない箱になります。開けないと分からない箱は、探すときに全部開けることになります。
3つを超えそうなときは、種類ではなく場面でまとめ直すのが早い方法です。手袋・マフラー・耳あて・厚手の靴下は4種類ですが、「寒い日に足すもの」としてまとめれば1つです。まとめる単位を変えるだけで、箱の数を増やさずに3つ以内へ戻せます。
ラベルより先に、前面の線を揃える
棚が読みにくいのは、字がないからではありません。手前の線が揃っていないからです。奥に引っ込んだ箱と手前に出た箱が混ざると、視線が凸凹で止まります。
やることは1つです。棚の手前の線を決め、全部の箱の前面をそこへ合わせる。奥行きの余りは奥へ逃がします。前面が揃った棚は、ラベルがなくても位置で覚えられます。
そのうえで、ラベルは外から中身が見えない箱にだけ貼ります。透ける箱やふたのないかごには要りません。全部に貼ると、貼っていること自体が情報になりません。
書く内容にも決まりを作ります。中身の一覧ではなく、まとめた単位の名前を書く。「ニット・カーディガン・ストール」と書くより「寒い日に足すもの」のほうが、探すときに早く当たります。一覧は種類が増えるたびに書き直しになりますが、単位の名前なら中身が入れ替わっても使えます。
貼る位置は、箱の手前の面の、上寄りです。棚に入れたときに視線が届くのは上半分なので、下に貼ると読めません。年に数回しか出さない箱には、次に開ける月も添えておくと、季節の入れ替えの日に手が伸びます。
箱に入れないほうがいいもの
3つあります。
- 掛けたほうが形の保てるもの|たたんで長く置くと折り線が残ります
- 乾き切っていないもの|通気のない箱では、次に開けた日に戻せなくなります。仕舞う前の乾かし方はニット・ウールの保管と防虫にあります
- 頻度が高いのに、箱の奥に入るもの|取るたびに他をどけるなら、箱ではなく置き場所を見直す合図です
どちらとも取れるとき①|中身が混ざる箱
「これはどの箱か決められない」ものは、必ず出てきます。ここで新しい箱を作ると、翌月にはその箱も決められないものでいっぱいになります。
決め方を1つにします。最後に使ったのが1か月以内かどうか。1か月以内なら、いちばんよく使う箱に入れてください。種類が合っていなくても構いません。使っているものは、置き場所が多少ずれても取り出せます。1か月を超えているなら、3動作の段の箱へ入れます。合っていないのは種類ではなく頻度だからです。
どちらとも取れるとき②|家族と共用する棚
共用の棚で箱の大きさを揃えようとすると、たいてい大きいほうに寄ります。誰の持ち物か分からない箱が増え、中身が混ざります。
分け方は大きさではなく段です。段ごとに持ち主を決め、その段の中では持ち主が自由に決める。全員で1つの規則を守るより、段ごとに違う規則があるほうが崩れません。共用にするのは、全員が月4回以上使うものだけに絞ってください。それ以外の共用箱は、時間が経つと誰も戻さない箱になります。
どちらとも取れるとき③|季節で中身が入れ替わる箱
年に2回、中身が丸ごと入れ替わる箱があります。ここで迷うのは、箱ごと入れ替えるか、中身だけ入れ替えるかです。
箱の数が3つ以内なら中身だけ、4つ以上なら箱ごとが目安です。中身だけ入れ替える方式は箱を買い足さずに済みますが、入れ替えの日にすべてを一度に出す必要があります。3つまでならその作業は1時間ほどで終わりますが、4つ以上になると途中で止まり、床に出したまま数日が過ぎます。途中で止まらない量に切るほうが、方式の正しさより効きます。
箱の高さは、棚の間隔から逆算する
箱を選ぶとき、多くの人は幅と奥行きを測ります。けれど失敗が出るのは高さです。
上限は簡単に出ます。その段の内寸の高さから、指2本ぶんおよそ3cmを引いた数字。これが箱の高さの上限です。この余白がないと、箱を引き出すときに上の棚板へ当たり、斜めに傾けて出すことになります。傾けて出す箱は、中身が毎回ずれます。
もう1つ、上限いっぱいまで使わないほうがよい場合があります。ふたのない箱です。ふたがない箱は、中身が箱の縁より高くなることがあるので、その分の余白を見ておきます。目安として、箱の高さの上限からさらに3cm引いた数字にしてください。
奥行きは、棚の有効奥行きより2〜3cm短いものを選びます。ぴったりだと、指をかける隙間がなくなります。前面を揃えるとき、余りは奥に逃がすので、奥行きが多少短くても見た目には出ません。
同じ箱で揃えるべきか、混ぜていいか
同じ大きさの箱で揃えると、並べたときに隙間が出ません。これは面積の面では有利です。ただし中身が箱の大きさに引きずられるという欠点があります。少ししか入れないものにも同じ大きさの箱を使うことになり、余った空間に別のものが入り込みます。
判断は段ごとにします。
- 1つの段の中では揃える|並べたときの隙間が減り、前面も揃いやすい
- 段が変われば変えてよい|段ごとに役割が違うので、大きさが違って当然
全部の段で揃えると、上でも下でも同じ動作の数になり、動作の数で使い分けるという前提が崩れます。揃えるのは見た目のためではなく、隙間を減らすためです。目的から外れたら混ぜて構いません。
中身が減った箱を、そのままにしない
季節が変わると、箱の中身は必ず減ります。減ったまま同じ大きさの箱を置いておくと、その空きに関係のないものが入ります。半年後、その箱は名前と中身が合わない箱になります。
対処は2つです。
- 箱を小さいものへ替える|空きを作らない
- 仕切りを入れて、使わない側を閉じる|箱はそのままで、入る量だけ減らす
替えるほうが確実ですが、箱を買い足すことになります。仕切りで閉じるほうは、季節が来たら外すだけで戻せます。年に2回、中身が入れ替わる箱では、仕切りのほうが手数が少なくて済みます。
判定の合図は決まっています。箱の中身が、箱の高さの半分を下回ったら、そのままにしないでください。半分を切った箱は、次に開けたとき必ず別のものが入っています。
2週間だけ、戻せなかった回数を数える
配り終えたら、確認します。見るのは片づき具合ではなく、戻せなかった回数です。
2週間、出したものをその箱に戻さなかったときだけ、箱に印を1つ付けます。印が3つ以上ついた箱は、大きさか置き場所が合っていません。動作の数を1つ減らせないか見てください。ふたを外す、前の箱をどかす、段を1つ下げる。このどれか1つで、たいてい戻ります。
印が全体に散っているなら、箱の問題ではありません。総量が棚の面積を超えています。そのときは洋服の断捨離|減らす枚数は、パイプの有効幅から逆算するから入ってください。
まとめ
- 箱の大きさは容量ではなく取り出すまでの動作の数で決める。1動作の段は小さく、3動作の段は大きく
- 月4回以上出すものを、2動作以上の場所に置かない。積み上がる山はここから生まれる
- 1箱の種類は3つまで。超えるなら種類ではなく場面でまとめ直す
- ラベルより先に前面の線を揃える。ラベルは中身が見えない箱にだけ
- 確認は2週間の戻せなかった回数で。印が3つ以上なら動作を1つ減らす
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 収納棚に置く箱は、大きいものと小さいもののどちらが便利ですか
- 置く段の取りやすさで逆になります。手を伸ばすだけで届く段には、浅くて小さい箱が向きます。1つの動作で取れる場所なので、箱を細かく分けても手間が増えないためです。逆に、踏み台が要る高い段や、かがまないと届かない低い段には、大きい箱のほうが向きます。取りに行く動作そのものが重いので、回数を減らすほうが効くからです。つまり、取りやすい場所ほど小さく分け、取りにくい場所ほど大きくまとめる。この向きを逆にすると、いちばん使う段でいちばん時間がかかる棚になります。
- Q. ふた付きの箱と、ふたのないかごは、どう使い分ければいいですか
- 月に何回出すかで分かれます。月4回以上、つまり週に1度以上出すものは、ふたのないかご、あるいは箱なしで置いてください。ふたは開ける動作を1つ増やすので、戻すときにも1つ増えます。増えたぶんは戻さない理由になり、やがて箱の上にものが積まれます。月に1〜3回ならふた付きでも支障はありません。年に数回しか出さないものは、ふた付きで、しかも積める形が向きます。判断に迷ったら、直近1か月に何回開けたかを思い出すのではなく、これから2週間だけ数えてください。
- Q. 1つの箱に、どれくらいの種類を入れていいですか
- 3種類までです。4種類目を入れた時点で、その箱は中を見ないと分からない箱になります。人が箱の外側から中身を思い出せるのは、だいたい3つまでだからです。3つを超えるなら、箱を分けるか、種類ではなく場面でまとめ直してください。たとえば小物を種類ごとに入れると数が増えますが、寒い日に足すものとしてまとめれば1種類になります。まとめ方の単位を種類から場面に変えるだけで、箱の数は増えずに済みます。
- Q. ラベルを貼れば分かりやすくなりますか
- 貼る前にやることがあります。箱の前面を、棚の手前の線に揃えてください。奥に引っ込んでいる箱と手前に出ている箱が混ざっていると、視線が凸凹で止まり、ラベルの文字まで届きません。前面が揃った棚では、ラベルがなくても位置で覚えられます。そのうえで、外から中身が見えない箱にだけラベルを貼ってください。透ける箱や、ふたのないかごには要りません。全部に貼ると、貼っていること自体が情報にならなくなります。
- Q. 箱に入れないほうがいいものはありますか
- 3つあります。1つ目は、掛けたほうが形の保てるもの。たたんで箱に入れると折り線が残り、出した日に着られません。2つ目は、湿気を嫌うものを密閉していない箱に入れる場合。通気のない箱に、乾き切っていないものを入れると、次に開けたときに戻せない状態になります。3つ目は、使う頻度が高いのに箱の奥へ入れるもの。取るたびに他をどけることになるので、箱ではなく置き場所そのものを見直す合図です。
— メグラシ編集部





