クローゼットのチェスト|引き出しの深さで、入るものが決まる

チェストで見るのは、幅でも段数でもありません。引き出しの深さです。
深さが決めているのは容量ではありません。立てて入れられるかどうかです。立てて並べれば開けた瞬間に全部の背が見え、寝かせて積めば見えるのは上の一枚だけ。この差が、着る服の偏り方をそのまま作ります。持っている枚数と着ている枚数の差は、たいてい引き出しの中で生まれています。
測るのは2つです。引き出しの内寸の深さと、たたんだ一枚の高さ。棚とケースの使い分けはクローゼットの収納棚|箱の大きさは「取り出す動作の数」で決めるにあります。
判定は「たたんだ高さが、深さの半分を超えるか」
式は1つです。
たたんだ一枚の高さ > 引き出しの深さ ÷ 2 → 立てて入らない
たたんだシャツの高さが3cmなら、深さ20cmの引き出しには余裕で立ちます。厚手のニットが7cmなら、深さ15cmの引き出しには立ちません。深さの数字そのものより、たたんだ高さとの比が軸です。
半分という線には理由があります。立てたものが自立するには、高さの倍ほどの支えが要るからです。半分を超えると、立てたつもりでも斜めに倒れ、隣との隙間に沈みます。
深さの4つの帯
| 深さの帯 | 立てて入るもの | 向かないもの |
|---|---|---|
| 15cm前後 | 下着、靴下、小物 | たたんだニット全般 |
| 20cm前後 | シャツ、カットソー、薄手のもの | 厚手のアウター類 |
| 25cm前後 | ニット、スウェット、パーカ | 小さいもの(沈む) |
| 30cm以上 | 区切らないと何も向かない | 衣類をそのまま |
30cm以上の欄が空欄なのは、誤りではありません。**深さ30cm以上の引き出しに衣類をそのまま入れると、下半分が年単位で使われません。**必ず縦に2段へ区切ってください。
深い引き出しを、2段に区切る
区切り方は2つあります。
底に浅い箱を敷く|箱の中が下段、その上が上段になります。開ける頻度の違うものを組み合わせてください。下段は季節外、上段は日常。頻度が同じものを上下にすると、毎回上をどけることになります。
立てて並べ、手前に低い仕切りを置く|全部が見えますが、立てられる厚みのものに限られます。仕切りの高さは、たたんだ高さと同じか少し低めが目安です。高すぎると出し入れのたびに引っかかります。
どちらにも共通するのは、深さをそのまま使わないという点です。
入れるのは8割まで
深さの8割で止めます。9割を超えると、引き出すときに中身の上端が上の縁に引っかかります。引っかかれば形が崩れ、押し込んで閉め、次に開けたときにはさらに崩れています。
8割かどうかは、閉めるときに分かります。最後の数cmで抵抗があるなら入れすぎです。手で押さえて閉める段では、すでに中身は崩れています。
入りきらないぶんを下の段へ移すのは、その場しのぎになります。移した先で同じことが起きるだけです。その役割の総量が多いという合図として扱ってください。総量の決め方は洋服の断捨離|減らす枚数は、パイプの有効幅から逆算するにあります。
上段と下段は、見える角度で決める
上下の使い分けを頻度だけで決めると、上の段が細かいもので埋まります。実際に効くのは見える角度です。
- 胸の高さに近い上段|開ければ中がよく見えます。種類が多く、選ぶ必要があるものを置く
- 床から100cm以下の段|見下ろす角度が浅く、奥が見えにくい。迷わず取れるものを置く
- 床に近い最下段|かがむ動作が要ります。使うのが週1回以下のもの
頻度が同じでも、選ぶ必要があるかどうかで上下が変わります。選ぶ作業は、見える場所でしかできません。
もう1つ、上下で分けるときに見落としやすい点があります。**同じ役割のものを、上と下に分けない。**分けると探す場所が2か所になり、片方だけが減っていきます。半年後、減らなかったほうは着ていないものの集まりです。
段が足りなくて分けざるを得ないときは、季節で分けてください。いま着る季節のものを1段にまとめ、季節外を別の段へ。同じ季節のものを2段に分けない、という基準だけ守れば、探す場所は1か所に保てます。
立てられないものの扱い
薄いブラウス、すべりやすい素材、丈の長いもの。これらは立てても倒れます。3つの選択肢があります。
- 仕切りで幅を狭くする|倒れる余地をなくす。幅10cm前後まで狭めると、薄いものでも立ちます
- 寝かせる段へ移す|ただし積むのは3枚まで。4枚目から下が見えなくなります
- 掛ける側へ移す|折り線が残るものは、そもそも引き出しに向きません
立てることが目的ではなく、見渡せることが目的です。目的から外れたら方法を変えます。
たたみ方でも自立は変わります。折り数を増やすと厚みが出て、立ちやすくなる。ただし折り線は増えます。**着る日に折り線が残るなら、折り数を増やすのは向きません。**素材によって線の残り方が違うので、1枚で試してから全部に広げてください。1枚で試す手間は5分ほどです。
すべりやすいものには、もう1つ手があります。**同じ種類を2枚一組にして、間に厚みを作る。**1枚では倒れても、2枚重ねてたたむと自立することがあります。使うときに2枚出すことになりますが、片方をすぐ戻せば実害はありません。
どちらとも取れるとき①|季節で中身が変わる段
同じ引き出しが、夏は薄手、冬は厚手になります。ここで起きるのは、冬に入りきらない、という毎年の繰り返しです。
原因は量ではなく厚みの変化です。たたんだ高さが3cmから7cmに変われば、同じ深さでも入る枚数は半分以下になります。対処は2つです。
- 段そのものを入れ替える|夏用の段と冬用の段を、上下で入れ替える。厚手は深い段へ
- 枚数の上限を季節ごとに決める|同じ段に同じ枚数を入れようとしない
入れ替えの日に溢れるのは、増えたからではなく厚くなったからです。ここを取り違えると、毎年同じ場所で手が止まります。
どちらとも取れるとき②|引き出しが余っているとき
段が余っているとき、多くの場合そこに「決めていないもの」が入ります。半年後、その段は開けない段になります。
余っている段の使い方を1つに決めてください。空けたままにするか、期限付きの保留にするかのどちらかです。空けたままは無駄に見えますが、季節の入れ替えのときに一時置きとして効きます。保留にするなら、期限と、期限の日にやることを紙に書いて引き出しに入れておきます。何も決めていない段だけが、開かない段になります。
どちらとも取れるとき③|家族と共用するチェスト
共用のチェストで段を分けるとき、人数で均等に割ると必ずどこかが溢れます。分けるのは段数ではなく深さの合計です。
厚手が多い人には深い段を、薄手が多い人には浅い段を多く。段数が違っても構いません。そして、共用の段は作らないでください。共用の段は誰も戻さない段になります。全員が使うものは、段ではなく別の場所に置くほうが保ちます。
幅の使い方|仕切りは、たたんだ幅に合わせる
深さが決まったら、次は幅です。ここで効くのは仕切りの間隔で、たたんだ一枚の幅に合わせます。
たたんだ幅より仕切りが広いと、立てたものが中で倒れます。狭いと、出し入れのたびに両側と擦れます。目安はたたんだ幅プラス1cm。1cmは指を差し込むための余白ではなく、たたみ方のばらつきを吸収するための余白です。
仕切りを入れずに済ませる方法もあります。引き出しの短い辺に向かって立てる。奥行きの短い方向に並べると、列が短くなるぶん倒れにくくなります。引き出しの形によっては、この向きだけで仕切りが要らなくなります。
やってはいけないのは、仕切りの数を中身の種類に合わせることです。種類ごとに仕切ると、種類の少ないものの区画が余り、そこに別のものが入ります。仕切りは種類ではなく、たたんだ幅に合わせてください。
引き出しの重さと、滑りの関係
引き出しが重くなると、開ける動作そのものが億劫になります。これは戻す率に直結します。
判定は片手でします。**片手で、最後まで一定の速さで引き出せるか。**途中で引っかかる、両手が要る、体を後ろに反らせる。このどれかが起きているなら、その引き出しは日常には使えません。中身を減らすか、より上の段へ移してください。
重さが原因でない場合もあります。滑りが悪いだけなら、中身の量ではなく、引き出しのレール側の問題です。ここを中身のせいだと思って減らし続けると、使える量だけが減っていきます。片手で引ける状態に戻ったかどうかを、減らすたびに確かめてください。
なお、いちばん下の段は、重いものを入れても引き出しやすいという利点があります。重心が低いので、引き出したときに前へ倒れにくい。重くてかさばるものは、下の段が向いています。
チェストを置く位置|引き出す前の余白
チェストは、置く位置でも使いやすさが変わります。見るのは引き出したときに必要な前の余白です。
引き出しの奥行きぶん、前に空間が要ります。奥行き40cmの引き出しなら、前に40cm以上。ここに扉や別の家具があると、引き出しは最後まで開きません。最後まで開かない引き出しは、奥の3分の1が使われない場所になります。
クローゼットの中にチェストを置く場合は、扉の開き方も関わります。折れ戸の端15cmには手が入りにくいので、その位置に引き出しの取っ手が来ると、毎回斜めから引くことになります。扉と死角の関係はクローゼット内の収納|扉の開き方で、死角の位置が変わるにまとめました。
確かめ方は簡単です。**いちばん下の段を、最後まで引き出してみる。**引ききれないなら、置く位置か向きを変えてください。
引き出しと、棚・掛ける場所の使い分け
同じ服を、引き出しに入れるか、棚に置くか、掛けるか。迷ったときの順番を決めておきます。
見るのは3つです。
- 折り線が残るか|残るなら掛ける。ここは最優先で、他の条件より先に見ます
- 置いて自立するか|自立しないなら引き出しの中で立たないので、棚に平らに置くか掛ける
- 月に何回出すか|4回以上なら、ふたのない棚か引き出しの上段
引き出しが向くのは、折り線が残らず、自立し、月に何度も出すものです。この3つが揃ったときだけ引き出しの利点が出ます。1つでも欠けるなら、棚か掛ける側のほうが合っています。
引き出しの利点は、ほこりが入らないことと中身が見えないことの2つです。2つ目は利点にも欠点にもなります。見えないほうが部屋は落ち着きますが、着る服は偏ります。部屋の見た目と、着る服の幅は、ここで交換になります。どちらを取るかは決めてよい部分です。
2週間で確かめること
配り終えたら測ります。見るのは押し込んで閉めた回数です。
2週間、閉めるときに手で押さえた引き出しに印を1つ付けます。
- 印が3つ以上ついた段|入れすぎです。8割へ戻す
- 印が全体に散っている|チェストの容量に対して総量が多い
- 印がゼロなのに散らかる|チェストの問題ではありません。掛ける側か、戻す動線を見てください
まとめ
- 判定はたたんだ高さ > 深さ÷2 なら立たない。深さの数字より比を見る
- 深さは15・20・25・30cm以上の4つの帯。30cm以上は必ず2段に区切る
- 入れるのは深さの8割まで。押さえて閉める段は、すでに崩れている
- 上下は頻度ではなく見える角度で決める。選ぶ必要があるものを上に
- 冬に入らないのは増えたからではなく厚くなったから。段ごと入れ替える
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 引き出しの深さは何cmが使いやすいですか
- 入れるものによって4つに分かれます。下着や靴下のような小さいものなら15cm前後、たたんだシャツやカットソーなら20cm前後、厚手のニットやスウェットなら25cm前後、かさばる上着や寝具に近いものなら30cm以上です。決め方は1つで、入れたいものを実際にたたみ、その高さを測ってください。たたんだ一枚の高さが引き出しの深さの半分を超えるなら、そこには立てて入りません。半分以下なら立てて入り、全部を上から見渡せます。深さの数字そのものより、たたんだ高さとの比が判断の軸になります。
- Q. 服は立てて入れたほうがいいですか
- 見渡せるという1点で有利です。立てて並べると、引き出しを開けた瞬間に全部の背が見えます。寝かせて積むと、見えるのは上の一枚だけです。着る服が偏る原因の多くはここにあります。ただし立てるには条件があり、たたんだときに自立する厚みが要ります。薄いブラウスや、すべりやすい素材は立てても倒れ、隙間に沈みます。倒れるものは、仕切りを入れて幅を狭くするか、寝かせる段へ移してください。立てることが目的ではなく、見渡せることが目的です。
- Q. どれくらいの量まで入れていいですか
- 深さの8割までです。9割を超えると、引き出すときに中身の上端が上の縁に引っかかります。引っかかると、たたんだ形が崩れ、押し込んで閉めることになり、次に開けたときにはさらに崩れています。8割で止めると、引き出しは最後まで滑らかに出て、中身の形が保たれます。入りきらないぶんは、下の段へ移すのではなく、その役割の総量が多いという合図として扱ってください。詰めれば入るという判断が、崩れるチェストを作ります。
- Q. 上の段と下の段には、それぞれ何を入れればいいですか
- 見える角度で決まります。立ったまま見下ろせる高さ、おおむね床から100cm以下の段は、開けても中が見えにくくなります。逆に胸の高さに近い上の段は、開ければ中がよく見えます。だから、よく使うもので、種類が多くて選ぶ必要があるものを上に。使う頻度が同じでも、迷わず取れるもの、たとえば数の少ない厚手のものは下で構いません。上下を頻度だけで決めると、上の段が細かいもので埋まり、選ぶのに時間がかかるようになります。
- Q. 深い引き出ししかない場合はどうすればいいですか
- 縦に2段へ区切ってください。深い引き出しに衣類をそのまま入れると、下半分が年単位で使われない場所になります。区切り方は2つあり、浅い箱を底に敷いて上に空間を作るか、たたんだものを立てて並べ、その手前に低い仕切りを置くかです。前者は下段が季節外の置き場になるので、開ける頻度が違うものを組み合わせてください。後者は全部が見えますが、立てられる厚みのものに限られます。どちらも共通するのは、深さをそのまま使わないという点です。
— メグラシ編集部





