胸がない人に似合うニット|編み地の厚みと首元の開きで秋冬に選ぶ

**あなたが胸がないと感じるニットは、胸の一番高い位置で布が余っているはずです。**試着室で鏡の前に立ち、胸の一番高い位置で前身頃を左右からつまんでみてください。指の間に4cm以上の布がつまめたら、そのニットはあなたの胸に対して前身頃が広すぎます。
胸がないと感じる人のニット選びは、胸を足すか隠すかで考えがちです。実際に見た目を分けているのは、胸の前で布がどれだけ余るかと、首元から胸の高さまでがどれだけ平らに見えるかの2つです。**余りを減らすか、余りを編み地の厚みで埋める。**この2つの方向で選べば、秋冬のニットは手持ちのボトムとそのまま合わせられます。
胸の前に布の多い服のうち、ワンピースは胸がない人のワンピース、コートは胸がない人に似合うコートに分けてあります。この記事はニットだけを扱います。
結論:前身頃の余りを2cm以内にするか、厚みで埋める
結論から書きます。胸がないと感じる人が秋冬のニットを選ぶときは、次のどちらかに当てはまるものを選んでください。
1つ目は、胸の一番高い位置で前身頃を左右からつまんだとき、余りが2cm以内に収まるものです。余りが少ないと、胸の前で布が下に落ちず、胸の高さに沿って布が置かれます。胸の大きさに関係なく、胸の位置が布の上に出ます。
2つ目は、余りが2cmを超えていても、編み地の厚みが指でつまんで5mm以上あるものです。厚手の編み地は布そのものが立つので、体から離れていても胸の前に丸みが出ます。余りを減らすのではなく、余りを布の厚みで埋める選び方です。
どちらにも当てはまらないニット、つまり薄手で余りが大きいものは、胸の前で布がまっすぐ下に落ち、胸の高さの手がかりがなくなります。胸がないと感じるのは、多くの場合このニットを着ているときです。
2つの方向は、どちらが正しいというものではありません。体に沿う形が好きな人は1つ目、ゆったりした形が好きな人は2つ目を中心にすると、好みを変えずに選べます。両方を1枚ずつ持っておくと、ボトムや羽織りに合わせて使い分けられます。細身のパンツには余りの少ないニット、幅のあるスカートには厚手のニット、という分け方がしやすいはずです。
首元の開きも合わせて決めておきます。鎖骨のくぼみから胸の一番高い位置までの距離を測り、首元の開きがその半分より浅いものを選んでください。開きが浅いと、胸の上の平らな面が広く出ず、胸の高さに目が届きやすくなります。
試着室で測る2つの数字
測る数字を整理しておきます。どちらも試着室で、定規がなくても指で確かめられます。
1つ目は、前身頃の余りです。ニットを着て、胸の一番高い位置の左右の脇から、前身頃の布を体の前に向かってつまみます。左右から寄せた布が、真ん中で何cm重なるかを見ます。指1本の幅がだいたい1.5〜2cmなので、指1本分以内なら2cm以内、指2本分を超えたら4cm以上と考えてください。
つまむときは、腕を下ろして、背すじを軽く伸ばした状態にしてください。腕を上げたり、前かがみになったりすると、前身頃の布が引っ張られて余りが少なく出ます。鏡を見ながら、自分の手で左右から寄せるのが難しければ、片手で片側の脇の布をつまみ、体の真ん中まで引いてきて、反対側の脇までの余りを見る方法でも構いません。その場合は、片側で引けた長さの倍が、全体の余りの目安になります。
同じサイズ表記でも、編み地や形によって前身頃の幅は大きく違います。いつも着ているサイズで余りが4cmを超えるなら、ひとつ下のサイズを試すか、同じサイズで身幅の狭い形を探してください。サイズを下げると袖丈や着丈が短くなるので、その場合は腕を前に伸ばして、袖口が手首の骨より上に上がらないかも確かめます。
2つ目は、鎖骨のくぼみから胸の一番高い位置までの距離です。これは試着の前に家で測っておくと楽です。鎖骨の真ん中のくぼみに定規を当て、まっすぐ下に、胸の一番高い位置まで測ります。多くの人は15〜20cmに収まります。その半分、つまり7〜10cmが、首元の開きの深さの上限の目安になります。
| 前身頃の余り | 編み地の厚み | 見え方 |
|---|---|---|
| 2cm以内 | 薄手でも厚手でも | 胸の位置が布の上に出る |
| 2〜4cm | 5mm以上 | 厚みが余りを埋めて、胸の前に丸みが出る |
| 2〜4cm | 5mm未満 | 胸の前で布がわずかに落ちる。柄か切り替えで補う |
| 4cm以上 | どの厚みでも | 胸の前で布がまっすぐ落ちる。サイズを下げるか形を変える |
表は区切りの目安で、これで全部が決まるわけではありません。肩幅や体の厚み、着丈によっても見え方は動きます。次の見出しから、その動き方を順に書きます。
編み地の厚みの目安
編み地の厚みは、ニットの裾や袖口ではなく、前身頃の真ん中を指でつまんで確かめます。裾や袖口はゴム編みで二重になっていることが多く、本体より厚く感じるからです。
指でつまんで、布が2枚重なった状態で厚みを見ます。2枚で1cm以上あれば、1枚の厚みはおよそ5mm以上です。この厚みがあると、布が自分の重さで下に落ちにくく、胸の前で形を保ちます。
厚手のニットの中でも、編み地の種類で立体の出方が違います。縄編みや畦編みのように表面に凹凸がある編み地は、光が当たると影ができ、胸の前に立体の手がかりが増えます。一方、表面が平らな厚手のニットは、厚みはあっても影が出にくく、胸の前の面が一枚の板のように見えることがあります。
薄手のニットを着たい日もあるはずです。薄手を選ぶなら、余りを2cm以内に収めるか、胸の高さに柄や編み地の切り替えがあるものにしてください。胸の高さに何かがあると、その位置に目が行き、胸の平らさより柄の位置が読まれます。
厚みの目安は、手のひらでも確かめられます。前身頃の内側に手のひらを入れて、外から手の形が透けて見えるかを見てください。手の輪郭がはっきり分かるものは薄手、輪郭がぼやけて手があることしか分からないものは中厚手、手の形がほとんど分からないものは厚手です。試着室の照明は明るいことが多いので、売り場の照明の下でも一度確かめると、実際に外で着たときの見え方に近くなります。
厚手のニットで気をつけたいのは、袖と肩まわりの厚みです。胸の前の厚みと同じだけ肩や袖にも厚みがあると、上半身全体が大きく見えて、胸の前の丸みが全体の厚みに埋もれます。胸の前は厚く、袖は少し細めに編まれているもの、または袖だけ編み地が変わっているものを選ぶと、胸の前の立体が目立ちます。
首元の開きの深さ:鎖骨から胸までの半分
首元の開きは、胸の上の平らな面がどれだけ見えるかを決めます。開きが深いほど、鎖骨から胸の高さまでの面が広く出ます。胸がないと感じる人にとって、この面が広いと、胸の高さの手がかりが少なくなります。
目安は、鎖骨のくぼみから胸の一番高い位置までの距離の半分です。距離が18cmなら9cm、16cmなら8cmが上限になります。クルーネックやボートネックは、多くの場合この範囲に収まります。Vネックやスクエアネックは、開きの深さを必ず確かめてください。
開きを浅くするほど、胸の上の面は狭くなります。ただ、タートルネックやハイネックのように首元を完全に覆うと、首から胸までが一枚の布で続き、今度は布の面が広く見えることがあります。この場合は、編み地の厚みか柄で面を分けると、胸の高さに目が届きます。
首元の開きの形も見ておきます。丸い開きは、胸の上に曲線が1本加わるので、平らな面がやわらかく見えます。横に広いボートネックは、鎖骨の横に線ができて、胸の上の面を横に区切ります。どちらも胸がないと感じる人に合いやすい形です。
首元の開きは、着てから鏡で見ると思ったより深いことがあります。ハンガーに掛かっている状態では首元が上に引っ張られていて、着ると肩の重みで数cm下がるからです。試着では、首元の一番深い位置に指を当てて、鎖骨のくぼみから何本分下がっているかを確かめてください。指を横に並べて4〜5本分、つまり7〜9cm程度に収まっていれば、目安の範囲内です。
秋冬のニットは、首元にゴム編みの縁が付いているものが多いです。縁の幅が2cm以上あると、首元に太い線が1本入り、胸の上の面が区切られます。縁が細いものより、首元に存在感が出るので、胸の上の平らな面が広く見えにくくなります。
縦の柄と横の柄の使い分け
ニットの柄も、胸の前の見え方を変えます。縄編みのような縦の柄と、ボーダーのような横の柄では、目の動きが違うからです。
縦の柄は、目を上下に動かします。胸の前に縦の凹凸が並ぶと、その凹凸が胸の高さで光と影を作り、立体の手がかりになります。特に、縄編みが胸の高さでいちばん太く編まれているものは、胸の位置に目が集まります。
縦の柄の位置も確かめてください。縄編みが前身頃の真ん中に1本だけ通るものは、胸の間に縦の線ができ、左右の胸の位置がその線を挟んで読まれます。縄編みが左右に2本ずつ並ぶものは、胸の一番高い位置の近くを縄が通ることが多く、胸の前の立体がよりはっきり出ます。細い縦の畝が全体に並ぶリブ編みは、凹凸が細かいぶん影が浅く、体に沿って伸びるので、余りの少ないサイズで着ると胸の位置が出やすくなります。
横の柄は、目を左右に動かします。胸の高さにボーダーの1本が来ると、そこに横の線ができて、胸の位置が示されます。ボーダーの幅が1〜2cmの細いものより、3〜5cmの太いもののほうが、胸の高さを示す効果ははっきりします。
ボーダーで気をつけたいのは、線の位置です。胸の一番高い位置より下にボーダーの1本目が来ると、胸の上が無地の平らな面として広く残ります。1本目が鎖骨と胸の間か、胸の高さに来るものを選んでください。
柄が全体に入っている総柄のニットもあります。小さな柄が均一に並ぶものは、胸の前も肩も同じ密度で埋まるので、胸の位置を示す効果は弱めです。その代わり、平らな面が見えにくくなるので、余りが少し大きくても目立ちにくくなります。胸の高さに大きめの柄が1つ置かれているもの、あるいは胸の高さだけ柄が切り替わるものは、胸の位置を示す効果が強く出ます。
カーディガンとプルオーバーの違い
同じ編み地でも、カーディガンとプルオーバーでは、胸の前の見え方が違います。
カーディガンは前を開けて着ると、前身頃の端が体の左右に分かれて、胸の前に縦の線が2本できます。この線は胸の一番高い位置を通らず、胸の内側か外側を通ることが多いので、胸の位置を示しにくいです。前を開けて着るなら、内側に着るものに柄か厚みを持たせてください。
前を留めて着るカーディガンは、ボタンの並びが胸の真ん中を縦に通ります。前身頃の余りがボタンの左右に分かれるので、つまんだときの余りは、プルオーバーより少なく出ることが多いです。ボタンとボタンの間が胸の高さで開かないかも確かめてください。開くなら余りが少なすぎるか、ボタンの間隔が広すぎます。
カーディガンの前端に厚みのある縁が付いているものは、前を開けて着たときに縁が胸の左右に縦の線を作り、その線の厚みが胸の前に立体を足します。縁の幅が3cm以上あるものは、前を開けても閉じても胸の前の面が区切られやすいので、薄手の本体でも扱いやすいです。前を開けて着る日が多い人は、縁の幅と厚みも見ておいてください。
プルオーバーは、前身頃が一枚の布で続くので、余りも厚みもそのまま出ます。この記事の2つの数字が一番効くのはプルオーバーです。
ベストやニットの重ね着用の袖なしも、秋冬はよく使います。シャツの上に重ねるベストは、前身頃の余りがあっても、内側のシャツが胸の前に布を足してくれるので、プルオーバーほど余りが目立ちません。ただ、ベストの首元が深いVで、シャツの胸の前の面が広く見えるものは、シャツの平らな面が強調されます。Vの先が胸の一番高い位置より上で止まるものを選ぶと、ベストの縁が胸の高さを示します。
肩の位置で変わる:肩線が落ちるニット
ニットの肩線の位置も見え方を変えます。肩線が肩の先にあるものと、肩から落ちているものでは、胸の前の布の落ち方が違います。
肩線が肩の先にあるニットは、肩から胸までの布がまっすぐ張り、胸の前の余りがそのまま出ます。余りが2cm以内なら、胸の位置がはっきり出ます。
肩線が落ちているニットは、肩の先で布が下に回り込むぶん、胸の前で布が左右に広がります。前身頃の余りが大きくなりやすく、胸の前で布が下に落ちます。肩線の落ちたニットを着るなら、編み地を厚手にするか、裾を短めにして胸の下に布の溜まりを作ってください。
肩線の落ち幅は、肩の先から縫い目まで何cmかで見ます。3cm以内ならふつうの肩線とほぼ同じ扱いで構いません。5cm以上落ちていると、胸の前の余りが増えるので、厚みか柄で補う側に入ります。
袖付けの形でも違いが出ます。肩から首元へ斜めに袖が続くラグランのニットは、肩の線が首元まで伸びるので、胸の上の面が斜めの線で区切られます。この斜めの線が胸の上に目を集めるので、ふつうの肩線より胸の位置が読まれやすいことがあります。ただ、ラグランは肩まわりに布の余裕が出やすいので、前身頃の余りも合わせて確かめてください。
着丈と裾の始末
着丈も胸の前の見え方に関わります。長い着丈のニットは、胸から裾までの布が長く続き、胸の高さの手がかりが布の長さに埋もれます。
着丈の目安は、ウエストの一番細い位置から腰骨の間に裾が来るものです。この範囲だと、胸から裾までの布が長すぎず、胸の位置が布の上に出やすくなります。腰骨より下まで裾が下がるものは、裾をボトムに軽く入れるか、前だけ入れて後ろを出すと、胸の下に布の溜まりができて、胸の位置が示されます。
裾の始末も見ておきます。裾にゴム編みがあって体に沿うものは、裾で布が締まり、胸から裾までの布にふくらみが出ます。裾がまっすぐ落ちるものは、布が上から下までまっすぐ下がって、胸の前の立体が出にくくなります。
短い着丈のニットは、裾がウエストより上で終わるので、胸から裾までの布が短く、胸の前の布の重さが少なくなります。布の重さが少ないぶん、胸の前で布が下に引っ張られず、胸の位置が出やすくなります。短めの着丈を着るなら、ハイウエストのボトムと合わせて、裾とボトムの間に肌が見えないようにすると、上半身と下半身の区切りがはっきりして、胸の位置もより読まれます。
秋冬の重ね着:中に着るものと外に羽織るもの
秋冬はニットの上にコートを羽織り、中にシャツやタートルを重ねます。重ね着の組み方でも、胸の前の見え方は変わります。
ニットの中にシャツを重ねるなら、シャツの襟をニットの首元から出してください。襟が首元に線を作り、胸の上の面を区切ります。襟の先が鎖骨と胸の間に来るシャツなら、胸の高さに目が届きやすくなります。
タートルを中に重ねるなら、外のニットはクルーネックかVネックにして、首元に段差を作ります。首元に布が2段重なると、その段差が胸の上の面を短く見せます。
ニットの上に羽織るコートは、前を開けて着ると、コートの前端が胸の左右に縦の線を作ります。この線が胸の外側を通ると、胸の前の面が狭く見え、胸の位置が読まれやすくなります。コートの身幅が大きいと前端が体の外側に広がるので、羽織りの身幅も見ておくと安心です。
マフラーやストールを巻くときは、垂らした端が胸の一番高い位置を通るか、胸の上で止まるかを見てください。垂らした端が胸の前をまっすぐ縦に通ると、胸の前に縦の布が1枚加わって、その布の厚みが胸の前の立体の代わりになります。巻き付けて首元に布を集めると、胸の上の面が布で埋まり、胸の高さに目が下りにくくなることがあります。ニットの首元がすでに詰まっているなら、マフラーは垂らす巻き方のほうが合います。
色と素材の光り方
色と素材の光り方も、胸の前の立体の見え方に関わります。
明るい色は光を返し、凹凸の影を浅く見せます。濃い色は光を吸い込み、凹凸の影を深く見せます。胸の前に立体を作りたいなら、編み地に凹凸のある明るめの色か、凹凸のはっきりした濃い色を選んでください。明るい色の無地で平らな編み地は、胸の前が一枚の明るい面になり、立体の手がかりがほぼなくなります。
素材の光り方も見ておきます。表面がつるりと光る細い糸のニットは、光が胸の前で一様に反射して、平らな面として見えます。起毛した糸やふわりとした糸のニットは、表面に細かな影ができて、胸の前にやわらかい立体が出ます。秋冬のニットは起毛した素材が多いので、選びやすい季節です。
上下の色の組み合わせも見ておきます。ニットとボトムを同じ色でそろえると、上半身から下半身まで一続きの面になり、胸の位置を示す区切りがなくなります。ニットを明るく、ボトムを濃くすると、上半身に目が集まって胸の位置が読まれやすくなります。逆にニットを濃く、ボトムを明るくすると、目が下半身に下りるので、胸の前を目立たせたくない日に向きます。どちらにするかは、その日の気分で選んで構いません。
ボトムとの合わせ方で、胸の位置を示す
ニットだけでなく、合わせるボトムでも胸の前の見え方は変わります。ボトムのウエストの位置が、上半身の区切りになるからです。
ハイウエストのボトムは、ウエストの位置が上がるぶん、胸からウエストまでの距離が短くなります。胸の下にすぐ区切りが来るので、胸の位置が上半身の中で読まれやすくなります。ニットの裾を前だけ入れると、胸の下に布の溜まりができて、さらに胸の位置が示されます。
ローウエストのボトムは、胸からウエストまでが長く開き、上半身が一枚の布として読まれます。ニットの裾をボトムの上に出して着ると、胸から腰まで布がまっすぐ続き、胸の高さの手がかりが弱くなります。ローウエストを履くなら、ニットは短めの着丈か、胸の高さに柄のあるものにしてください。
ボトムの幅も見ておきます。幅の広いスカートやワイドパンツは、下半身にボリュームが出るぶん、上半身が細く見えます。胸の前に厚みのあるニットを合わせると、上下のボリュームが釣り合って、胸の前の立体が自然に見えます。細身のパンツなら、余りの少ない体に沿うニットでも、上下の幅がそろって全体がすっきりします。
ベルトを使うのも手です。ニットの上からウエストに細いベルトを締めると、胸の下に布のふくらみが生まれ、胸の位置がはっきりします。厚手のニットに締めると布が上下に分かれて丸みが出るので、余りが2〜4cmの人に向く方法です。
ニットを買うときに売り場で見る順番
売り場でニットを手に取ったとき、見る順番を決めておくと迷いが減ります。試着の前に、ハンガーに掛かった状態で確かめられることもあります。
1つ目は、前身頃の幅です。ハンガーに掛かった状態で、脇の縫い目から反対側の脇の縫い目までの幅を見ます。自分の手持ちで合うと分かっているニットの幅と比べて、明らかに広いものは試着の候補から外して構いません。
2つ目は、編み地の厚みです。前身頃の真ん中を指でつまんで、2枚で1cm以上あるかを見ます。厚みがあれば、前身頃の幅が少し広くても候補に残します。
3つ目は、首元の開きです。首元の一番深い位置を、鎖骨のくぼみの位置を想像しながら見ます。ハンガーに掛かった状態では首元が上に引かれているので、実際に着ると数cm深くなると考えてください。
4つ目は、胸の高さにあたる位置の柄や切り替えです。着たときに胸の一番高い位置がどこに来るかは、首元から自分の距離分を下に測ればおよそ分かります。そこに柄や切り替えがあるかを見ます。
この4つを見て候補に残ったものだけを試着すれば、試着室での確認は余りと開きの2つで足ります。
どちらとも取れるとき:余りが2〜4cmの人
ここが一番迷うところです。前身頃の余りを測って2〜4cmの範囲に入った人は、そのニットが合っているとも合っていないとも言えます。この範囲のときは、編み地の厚みと、自分が気にしている場面で分けてください。
まず厚みを確かめます。指でつまんで、2枚で1cm以上あれば、余りは厚みで埋まります。この場合はそのまま着て構いません。2枚で1cm未満なら、次に柄と切り替えを見ます。胸の高さに柄か切り替えがあれば、余りが少し落ちても、柄の位置が胸の高さを示します。
厚みも柄もない場合は、気にしている場面で決めます。正面から鏡で見て気になるなら、サイズを1つ下げるか、同じ形で厚手のものに変えてください。横から見て気になるなら、裾をボトムに入れて胸の下に布の溜まりを作ると、横から見たときの胸の前の線が整います。
写真で気になる場合は、撮る角度も確かめてください。上から撮ると胸の前の布が平らに写り、下から撮ると胸の前の布が手前に来て丸みが写ります。胸の高さと同じ位置にレンズがあるときが、実物に一番近い写り方です。
余りが2〜4cmで、厚みも柄もなく、サイズも下げられないニットが気に入っている場合もあるはずです。その場合は、中に重ねるもので余りを埋めます。薄手のタートルやシャツを中に着ると、内側の布が胸の前に厚みを足し、外のニットの余りが少なく見えます。中に重ねる布は、外のニットより明るい色か、襟や首元が外に出るものにすると、首元にも段差ができて胸の上の面が短くなります。
余りの位置にも目を向けてください。余りが胸の前の真ん中に集まるものと、脇のほうに集まるものがあります。脇に集まる余りは、正面から見ると目立ちにくく、横から見たときに背中側へ流れて見えます。正面の見え方を重視するなら、余りが脇に寄るニットのほうが扱いやすいです。
どちらとも取れるとき:首元の開きが半分前後の人
首元の開きの深さが、鎖骨から胸までの距離の半分ちょうど前後にある人も迷います。半分より1〜2cm深いか浅いかで、見え方が大きく変わるわけではないからです。
この場合は、首元に何を重ねるかで決めます。ネックレスやスカーフを首元に足す日が多いなら、開きが少し深くても、足したものが胸の上の面を区切ってくれます。何も足さずに着る日が多いなら、開きは浅い側を選んでください。
首元の開きの判断に迷う人は、髪の長さでも決められます。肩より長い髪を下ろしている日が多いなら、髪が胸の上の面に縦の線を作ってくれるので、開きが少し深くても平らな面は広く見えません。髪をまとめる日が多い人や、ショートヘアの人は、首元から胸の上がそのまま見えるので、開きは浅い側を選ぶほうが安心です。
ネックレスを足すときは、飾りの先が胸の一番高い位置より上で止まる長さにします。飾りの先が胸の高さより下に来ると、胸の上を縦の線が通り過ぎて、胸の位置を示しにくくなります。
手持ちのニットを見直す手順
最後に、手持ちのニットを見直す手順を書いておきます。新しく買わなくても、合うものと合わないものを分けるだけで、秋冬の組み合わせが楽になります。
まず、手持ちのニットを全部出して、1枚ずつ着て前身頃の余りを測ります。2cm以内のものと、2cmを超えるものに分けます。2cmを超えるものは、指でつまんで厚みを確かめ、2枚で1cm以上のものは合う側に戻します。
残ったもの、つまり余りが2cmを超えて薄手のものは、柄か切り替えが胸の高さにあるかを見ます。あれば合う側に戻します。なければ、中にシャツやタートルを重ねる用に回すか、裾を入れて着る用に回します。それでも合わないと感じたものは、無理に着なくて構いません。
見直しを終えたら、合う側に残ったニットの共通点を見てください。編み地の厚み、首元の開き、肩線の位置。共通点が分かれば、次に買うときの基準がそのまま決まります。
見直しは、一度に全部やらなくても構いません。朝ニットを選ぶときに、1枚ずつ余りをつまんで確かめていくだけでも、1〜2週間で手持ちのほとんどを確かめられます。確かめたものには、ハンガーに小さな印を付けておくと、次から迷わずに選べます。
胸の大きさは、ニットで変わるものではありません。変えられるのは、胸の前で布がどう置かれるかと、目がどこに向かうかです。前身頃の余りを2cm以内にするか厚みで埋める、首元の開きを鎖骨から胸までの半分より浅くする。この2つを覚えておけば、季節が変わってカットソーやシャツに替わっても、同じ考え方で選べます。
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よくある問い
- Q. 胸がないと、ニットはタイトなものを選んだほうがいいですか
- 体に沿うニットは、胸の前で布が余らないので、余りのしわは出ません。ただ、体の線がそのまま出るので、胸の高さに何もない平らな面が強調されることがあります。タイトなものを選ぶなら、編み地に凹凸があるか、胸の高さに柄や切り替えがあるものにしてください。凹凸や柄が胸の前に立体を作り、平らな面が続かなくなります。無地で薄手のタイトなニットは、胸の形が出やすい人よりも、胸の平らさが目立ちやすい組み合わせです。
- Q. ゆったりしたニットを着ると、余計に胸がなく見えます
- ゆったりしたニットは、胸の前で布が下に落ち、胸の一番高い位置で布が体から離れません。布が肩からまっすぐ下がるので、胸の高さに立体の手がかりがなくなります。ゆったりした形を着たいなら、編み地を厚くするか、胸の高さより上に柄や編み地の切り替えがあるものを選んでください。厚手の編み地は布そのものが立つので、体から離れていても胸の前にふくらみが出ます。もう1つは、裾をボトムに軽く入れて、胸の下に布の溜まりを作る方法です。
- Q. Vネックは避けたほうがいいですか
- Vネックそのものを避ける必要はありません。気をつけるのは開きの深さです。鎖骨のくぼみから胸の一番高い位置までの距離を測り、Vの先がその半分より上に来るなら、胸の上の平らな面が広く出すぎることはありません。半分より深く開くと、Vの内側に平らな肌の面が広く見え、胸の高さの手がかりが少なくなります。深いVを着たいときは、内側にタートルやシャツを重ねて、開いた部分に布を入れてください。
- Q. パッドの入った下着を使えば、ニットは何でも着られますか
- 下着で胸の前に厚みを足すと、ニットの前身頃の余りは減ります。ただ、薄手のニットは下着の輪郭がそのまま出るので、カップの縁が胸の上に線として見えることがあります。厚みを足すなら、ニットの編み地もある程度厚いものにして、下着の線が拾われないようにしてください。下着を変えずにニットだけで整える場合は、この記事の2つの数字で選べば足ります。どちらの方法でも、最後に確かめるのは胸の前で布がどれだけ余るかです。
— メグラシ編集部





