いかり肩に似合うニット|肩の縫い目の位置で選ぶ秋冬の3型

**いかり肩に似合うニットは、肩の縫い目が、肩先の真上を避けて通っている1枚です。**縫い目が肩先から内側に1〜3センチ入っているか、首の付け根から脇の下へ斜めに走っているか。このどちらかなら、まず外しません。
いかり肩は、首の付け根から肩先までの線が水平に近く、肩先にはっきりした角がある体の特徴です。この角は、ジャケットやコートをきれいに支えてくれる長所でもあります。ただ、ニットのように柔らかい服では、縫い目の位置しだいで、角がくっきり出たり、なだらかに隠れたりします。
ニットの肩の縫い目は、身頃と袖がつながる線です。この線が肩先の真上に乗ると、水平な肩の線と、肩先の角の形が、縫い目によってそのままなぞられます。縫い目が肩先から外れると、水平な線は途中で切れて、角の形は布の中に溶けていきます。
この記事では、まず自分の肩の水平の度合いを測り、そのうえで縫い目の位置で分けた3つの型、編み地の厚み、襟ぐりの形の順に、選び方を書いていきます。いちばん迷う「腕の上に縫い目が落ちるニット」は、厚く書きました。
ストールや襟の重ね方はいかり肩に似合う服|秋冬はストールと襟に、骨格の分類との違いはいかり肩と骨格ストレートの違いにまとめています。ここではニット1枚の選び方だけを扱います。
結論:縫い目が肩先の真上にあるニットだけを外す
先に結論を、測れる形で置いておきます。
ニットを着て鏡の正面に立ち、肩の縫い目がどこを通っているかを指でなぞってください。肩先、つまり腕を下ろしたときに肩のいちばん外側にある骨の出っ張りを基準にします。
縫い目が肩先から内側に1〜3センチの位置を通っていれば、肩の角は縫い目の外側に出て、布がそのまま袖へ流れます。角の上には縫い目の線がないので、角は柔らかい布のふくらみとして読まれます。これがいちばん安定した選び方です。
縫い目が首の付け根から脇の下へ斜めに走っていれば、肩の水平な線は縫い目によって途中で切られます。ラグラン袖と呼ばれる型がこれに当たります。
縫い目が肩先から腕のほうへ3センチ以上下がっていれば、肩の角は布の下に隠れます。ただし、隠れたあとの形は編み地の厚みで決まります。薄手ならなだらかに、厚手なら箱のように張り出します。
そして、縫い目が肩先のちょうど真上、前後1センチ以内に乗っているニットだけは、肩の水平な線と角の形をもっとも正確になぞります。いかり肩の人がニットで「肩が張って見える」と感じるときは、たいていこの位置に縫い目があります。
自分の肩の水平の度合いを測る
いかり肩かどうか、どのくらい水平に近いかは、自分で測れます。
道具は、30センチの定規と布のメジャー、それに鏡です。鏡の正面に立って、首の付け根、つまり首が肩に変わる点に、片方の手の指先を当てます。もう片方の手で、その点から肩先まで、定規を水平に当てます。
定規を床と平行に保ったまま、定規の下の縁から肩先までの縦の距離を測ります。これが肩の下がり幅です。多くの人は3センチから5センチの間に入ります。3センチより小さければ、肩の線は水平に近く、いかり肩の特徴がはっきりしています。2センチより小さければ、ほぼ水平です。
ひとりで定規を水平に保つのが難しければ、壁に背中をつけて立ち、首の付け根の高さに付箋を貼ってから、同じ高さを肩先の上まで水平に引いて、肩先との差を測ってもかまいません。
もう一つ、肩先から肩先までの横幅も、ついでに測っておいてください。背中側で、左右の肩先の骨の間をメジャーでまっすぐ測ります。この数字は、後の見出しの「肩幅も広いとき」の判断で使います。
縫い目の位置で分ける3つの型
肩の縫い目の位置によって、ニットは大きく3つの型に分けられます。比較のための軸を表にしておきます。
| 型 | 縫い目の位置 | 肩の水平な線 | 肩先の角 | いかり肩での向き |
|---|---|---|---|---|
| セットイン(内寄せ) | 肩先から内側1〜3cm | 縫い目の外で布に溶ける | 布のふくらみになる | もっとも安定する |
| セットイン(肩先ぴったり) | 肩先の真上 | 縫い目がなぞる | 縫い目の角として出る | 角がもっとも強く出る |
| ラグラン | 首の付け根から脇へ斜め | 斜めの線で切れる | 肩の余り次第 | 扱いやすい。余りを確かめる |
| ドロップショルダー | 肩先から3cm以上腕側 | 布の下に隠れる | 厚みで正反対に働く | 編み地の厚みで決める |
表のとおり、同じセットインでも、縫い目が1〜2センチずれるだけで向きが正反対になります。セットインという名前で選ぶのではなく、縫い目が自分の肩先のどこに来るかで選んでください。
売り場のニットは、標準的な肩幅に合わせて縫い目の位置が決められています。自分の肩幅が標準より広ければ、同じニットでも縫い目は肩先より内側に来やすく、狭ければ外側に来やすくなります。だから、表示のサイズより、着たときの縫い目の位置を見ることが大切です。
セットインは、内側に何センチ入るかを見る
セットイン袖は、身頃と袖を肩の位置でぐるりと縫い合わせた、いちばん一般的な型です。
いかり肩の人がセットインを選ぶときは、縫い目が肩先から内側に1〜3センチ入っているかを見ます。1センチより内側に入っていないと、縫い目が肩先の角にほぼ重なり、角の形をなぞります。3センチより内側に入ると、今度は肩の布が足りず、肩先の角が布を内側から押し出して、肩のあたりが窮屈に見えます。
1〜3センチの幅に入っているかどうかは、試着室で指一本で確かめられます。腕を下ろした状態で、肩先の骨に人差し指を当て、そこから縫い目まで指を内側へすべらせます。人差し指の第一関節の長さが、だいたい2センチです。指の腹がちょうど縫い目に届くくらいなら、範囲の真ん中に入っています。
セットインのもう一つの見どころは、袖の付け根の丸みです。付け根の縫い目が、肩先から脇の下へ向かって、なだらかな丸い線を描いていれば、肩の角はその丸みに沿って柔らかく見えます。付け根の縫い目が肩先でほぼ直角に折れていると、角の形がそのまま縫い目に出ます。
ラグランは、肩先の余りを確かめる
ラグラン袖は、縫い目が首の付け根から脇の下へ斜めに走る型です。肩の部分が袖と一続きになっているので、肩の水平な線は斜めの縫い目で途中から切られます。
いかり肩の人にとって扱いやすい型なのは確かですが、一つだけ確かめることがあります。肩先の布の余りです。
ラグランは、肩の部分が袖の一部として編まれているので、肩先の形に合わせた立体がありません。肩の部分が細く詰まって編まれていると、斜めの縫い目の上に、肩先の角が内側から押し出されて、角がとがって見えることがあります。
試着室では、肩先の布を指先でつまんでください。1センチ以上つまめれば、布に余りがあり、角は布の中でなだらかになります。つまめないくらい張っていたら、ひとつ上のサイズを試すか、別の型を選んでください。
もう一つ、斜めの縫い目の角度も見ておきます。首の付け根から脇の下へ、急な角度で下りている縫い目は、縦に近い線を足してくれるので、肩の水平をよく切ってくれます。ゆるやかな角度で横に流れる縫い目は、水平に近い線になり、切る力が弱くなります。
ドロップショルダーは、編み地の厚みで分かれる
ここが、いちばん迷うところです。肩の縫い目が肩先から腕のほうへ3センチ以上下がっている型、ドロップショルダーです。
ドロップショルダーは、肩先の角を布の下に隠します。隠したあとに、その布がどう落ちるかは、編み地の厚みで正反対になります。
薄手から中くらいの厚みのニット、いわゆるハイゲージやミドルゲージで、手に持ったときに布がすぐに垂れ下がるものなら、布は肩先の角を越えて、腕に沿って自然に落ちていきます。肩の角は布の下でなだらかな丸みになり、水平な線も腕のほうへ流れて切れます。いかり肩にとって、もっとも肩の印象をやわらげる組み合わせです。
厚手のニット、いわゆるローゲージで、手に持ったときに形を保って立つような布は、肩先の角に引っかかって突っ張ります。布は角から腕へ落ちずに、角から外へまっすぐ張り出して、そこで下へ折れます。肩先から外側に、四角い箱のような形が足されて、肩の横幅も水平な線も、実際より大きく見えます。
ドロップショルダーで迷うときの決め方
では、中くらいの厚みで、垂れるとも立つとも言えないニットはどうするか。手持ちのニットにいちばん多いのが、この中間の厚みです。判断の順番を決めておくと迷いません。
一つめに、縫い目がどこまで下がっているかを見ます。肩先から3〜5センチの浅いドロップと、8センチ以上の深いドロップでは、働きが違います。浅いドロップは、縫い目がちょうど肩の角の外側の斜面に乗るので、布が角に引っかかりやすく、厚手でなくても箱の形が出やすくなります。深いドロップは、縫い目が腕の上にあるので、肩の角から縫い目までの布が長く、その長さのぶん、布が角を越えて落ちる余裕があります。
中くらいの厚みなら、縫い目が8センチ以上下がった深いドロップを選んでください。浅いドロップは、薄手のときだけにします。
二つめに、ニットを平らに置いたときの、肩の線の傾きを見ます。肩から袖へ向かって、線がまっすぐ水平に伸びているニットは、着たときも肩の水平を強めます。肩から袖へ向かって、少し下がりながら伸びているニットは、布の重みで肩の線を下へ導いてくれます。売り場では、ハンガーに掛けた状態より、平らに置いた状態で見るほうがわかりやすいです。
三つめに、腕を前に出したときの肩の布を見ます。試着室で、両腕を胸の前でそろえて前に伸ばしてください。このとき肩先の布が上に持ち上がって、肩の角の上に布のしわが横に何本もできたら、布が角に引っかかっている合図です。しわが斜めに一本か二本だけなら、布は角を越えて流れています。
編み地の厚みと縫い目の組み合わせ
ここまでの話を、編み地の厚みの側からまとめておきます。
薄手のハイゲージは、どの型でも布が肩の形に沿います。沿うということは、肩の形がそのまま見えるということでもあります。ハイゲージのセットインで縫い目が肩先の真上にあると、角がもっとも正確に出ます。逆に、縫い目が内側に入っていれば、角は布の上で丸く見えます。ハイゲージこそ、縫い目の位置にいちばん気をつけたい厚みです。
中くらいのミドルゲージは、布にほどよい厚みがあり、肩の角を少しだけ包んでくれます。セットインの内寄せ、ラグラン、深いドロップの三つがどれも使えます。いかり肩の人が一枚目に選ぶなら、この厚みがいちばん失敗が少ないです。
厚手のローゲージは、布そのものが形を持っています。肩の角を包み込むほど柔らかくはないので、縫い目の位置と布の形が、そのまま肩の形として見えます。ローゲージを選ぶなら、ラグランか、縫い目が大きく落ちたドロップに限るのが安全です。ローゲージのセットインは、縫い目の位置が少しずれただけで、肩の線が硬く出ます。
襟ぐりの形は、横に広がるかで見る
縫い目と同じくらい、肩の印象を動かすのが襟ぐりの形です。
見るのは、襟ぐりが横に広がっているか、縦に下がっているかです。肩の水平な線と同じ向きに、首元にも横の線が引かれると、肩の横の印象が強くなります。縦の線が引かれると、水平な線が首元で切れます。
Vネックは、首元に縦の線を二本引きます。いかり肩のニットとしては、いちばん肩の水平を切ってくれる襟です。Vの深さは、鎖骨のくぼみから5センチ以上下がると、縦の線がはっきり出ます。
クルーネックは、首の付け根を丸く囲みます。横にも縦にも寄らない襟なので、縫い目の位置の影響がそのまま出ます。クルーを選ぶときは、縫い目の位置を特に丁寧に見てください。
ボートネックと、首元が横に大きく開いた襟は、肩の水平と同じ向きの線を首元にもう一本引きます。肩の印象を強く見せたい日には使えますが、なだらかに見せたい日は、襟ぐりの端が肩先から5センチ以上内側で止まるものを選んでください。
タートルネックは、首を縦に覆うので、首元に縦の面ができます。肩の水平は首の両側から始まることになり、タートルの縦の面がその始まりを少し隠してくれます。縫い目が内寄せかラグランなら、タートルはいかり肩とよく合います。
肩幅も広いときと、肩幅は狭いとき
先に測った肩幅の数字を、ここで使います。いかり肩には、肩幅も一緒に広い人と、肩幅はむしろ狭い人がいて、どちらとも取れる場面での判断が少し変わります。
肩幅が40センチより広く、肩の下がり幅も3センチより小さい人は、横にも水平にもはっきりした肩です。この場合は、縫い目を内側に寄せる方向をいちばん大切にしてください。セットインの内寄せか、急な角度のラグランが向いています。ドロップショルダーは、薄手で縫い目が深く落ちたものに限ります。肩幅の広さそのものの扱い方は肩幅が広い人の、似合わない服の直し方に書いています。
肩幅が36センチより狭く、肩の下がり幅だけが小さい人は、肩の水平な線ははっきりしていても、横幅はそれほど大きくありません。この場合、縫い目を内側に寄せすぎると、肩が内側に詰まって見え、今度は肩の角だけが小さくとがって見えることがあります。セットインなら内側1センチ程度にとどめるか、中くらいの厚みのドロップショルダーで、肩のまわりに少しゆとりを足すほうが、全体の釣り合いが取れます。
その間の肩幅の人は、この記事の基準がそのまま使えます。
腕まわりと、袖の付け根の太さ
肩の縫い目と一緒に見ておきたいのが、袖の付け根の太さです。
袖の付け根、つまり脇の下のあたりの袖まわりが細く詰まっていると、腕を動かしたときに袖が上へ引っぱられ、肩先の布も一緒に持ち上がります。持ち上がった布は肩の角の上でたまり、水平な線がさらに強調されます。
試着室では、腕を肩の高さまで横に上げて、すぐ下ろしてください。下ろしたあとに、肩先の布が元の位置に戻っていれば、袖の付け根に十分なゆとりがあります。肩先に布がたまったまま戻らなければ、付け根が細すぎます。
腕まわりのゆとりについては腕が太い人の服|秋冬はニットとコートの袖幅でも、袖幅の測り方を書いています。いかり肩の人も、肩と袖の付け根は一続きの問題として見ると、ニットを選ぶ目が早くなります。
コートを重ねる日と、カーディガンの選び方
秋冬は、ニットの上にコートを重ねる日が多くなります。重ねる日は、ニットの縫い目とコートの縫い目の、二つの位置を考えます。
コートの肩の縫い目が肩先にぴったり合った型のときは、中のニットは縫い目が内寄せのセットインか、薄手のラグランにしてください。中のニットの肩に厚みがあると、コートの肩の内側で布がたまり、コートの肩先がさらに持ち上がります。
コートの縫い目が大きく落ちた型のときは、中のニットは何でも合わせやすくなります。コートの肩の布が、ニットごと肩の角を包んでくれるからです。中に厚手のドロップショルダーを着たい日は、外側を縫い目の落ちたコートにすると、肩の形が整います。
カーディガンも、選び方はニットと同じで、肩の縫い目の位置で決めます。ただ、カーディガンは前を開けて着ることが多いので、前の打ち合わせが首元に縦の線を作ってくれます。前を開けて着る日は、縫い目が肩先の真上にあるものでも、Vネックのニットと同じくらい肩の水平が切れます。前を閉じて着る日は、ニットと同じ基準で選んでください。
柄と色の切り替えは、肩の線から離す
縫い目と同じように、肩の水平をなぞってしまうのが、肩のまわりにある横向きの柄と色の切り替えです。
胸から肩にかけて横に入ったボーダー、肩の高さで色が変わる切り替え、肩に沿って並ぶ編み込みの模様は、どれも肩の水平な線と同じ向きの線を、肩のすぐ近くにもう一本引きます。縫い目が内寄せになっていても、柄の線が肩先の高さにあると、肩の水平は柄によってなぞられます。
目安は、肩先から下に何センチ離れているかです。いちばん上の横の線が、肩先から10センチ以上下にあれば、肩の線とは別のものとして読まれます。10センチより近いと、肩の線の続きのように見えます。ボーダーのニットを選ぶときは、首元からすぐ柄が始まるものより、胸のあたりから柄が始まるものを選ぶと、肩まわりは無地の布になり、縫い目の位置の効き目がそのまま残ります。
縦の柄、たとえば太めの縦のリブ編みや、縦に並ぶケーブル編みは、肩の水平を縦の線で切ってくれます。いかり肩の人にとって、柄があるならいちばん扱いやすいのが縦の柄です。ただし、縦の柄が肩の部分だけ横向きに変わる編み方のものもあるので、肩のまわりの編み目の向きを一度見ておいてください。
色の切り替えも同じです。ラグラン袖の袖だけ色が違うニットは、斜めの縫い目が色の境目としてはっきり見えるので、肩の水平をよく切ります。セットインで袖だけ色が違うニットは、肩先の縫い目が色の境目になり、肩先の角がいちばんくっきり見えます。
試着室で確かめる三つの動き
売り場では、鏡の前でまっすぐ立っているときの姿だけを見がちです。ところが、ニットの肩の形がいちばん崩れるのは、動いたときです。試着室では、次の三つの動きを順番にしてみてください。
一つめは、両腕を胸の前でそろえて、前に伸ばす動きです。電車でつり革をつかむときや、机の上のものを取るときの形です。このとき、肩先の布が上に持ち上がって、肩の角の上に横のしわが何本もできたら、布が角に引っかかっています。斜めのしわが一本か二本なら、布は角を越えて流れています。
二つめは、片方の肩にバッグを掛ける動きです。手持ちのバッグを試着室に持ち込んで、いつものように肩に掛けてください。バッグの持ち手が肩の縫い目の真上に乗ると、縫い目と持ち手の二本の線が重なり、肩の水平がいちばん強く出ます。縫い目が内寄せかラグランなら、持ち手は縫い目と重ならず、肩先の布の上に乗ります。
三つめは、腕を肩の高さまで横に上げて、三秒数えてから下ろす動きです。下ろしたあとに、肩先の布が元の位置まで戻っているかを鏡で見ます。三秒数えるのは、すぐに下ろすと、布が戻らなくても気づかないからです。戻らずに肩先に布がたまったままなら、袖の付け根が細すぎるか、編み地が厚すぎます。
三つの動きを終えたら、最後にもう一度まっすぐ立って、肩の縫い目を指でなぞります。動いたあとに縫い目が肩先の真上へずれてきていたら、そのニットは着ているうちに肩の水平を強めていく一枚です。動いたあとも縫い目が元の位置にあれば、一日を通して形が保てます。
洗ったあとに肩の形が変わったら
手持ちのニットで、買ったときは気にならなかったのに、何度か洗ううちに肩が張って見えるようになった一枚はありませんか。
ニットは洗うたびに、編み目が少しずつ縦か横へ縮みます。肩から袖にかけての布が縦に縮むと、肩の縫い目の位置は上へ引き上げられ、もともと内側に1センチ入っていた縫い目が、肩先の真上まで移動してしまうことがあります。袖丈が短くなったと感じたニットは、肩の縫い目も一緒に動いていると考えてください。
確かめ方は、この記事の最初と同じです。着て鏡の前に立ち、肩先から縫い目まで指をすべらせます。買ったときの位置より縫い目が外へずれていたら、肩の水平が強く見えるようになった理由はそこにあります。
洗い方で防げることもあります。ニットは平らに置いて干し、乾く前に肩から袖へ向けて、手のひらで軽く布を伸ばして形を整えてください。ハンガーに掛けて干すと、肩の部分にハンガーの角の跡が残り、そのまま肩先に小さな出っ張りができます。いかり肩の人にとっては、この小さな出っ張りが肩の角と重なって、角をもう一段高く見せることになります。
すでに縫い目が動いてしまったニットは、上に前を開けたカーディガンを重ねて着るか、家で過ごす日の一枚に回すと、無理なく使い切れます。
首元に何を足すかで、同じニットが変わる
縫い目が肩先の真上にあるクルーネックのニットでも、首元に何を足すかで、肩の見え方はずいぶん変わります。
いちばん手軽なのは、シャツの襟を中から出す着方です。ニットの首元からシャツの襟先がのぞくと、襟先が下へ向かう短い縦の線を二本作ります。この縦の線が、肩の水平な線の始まりを首の両側で切ってくれます。襟先が鎖骨のくぼみより下まで届く、長めの襟のシャツほど効き目があります。
次に手軽なのは、細長いストールを首に一周させて、両端を胸の前に縦に垂らす巻き方です。ストールの両端が胸の中ほどまで下がると、肩の線と直角に交わる縦の線が首元から二本伸びて、肩先の角から視線を外してくれます。ストールを肩の上で横に広げて掛ける巻き方は、反対に肩の水平を強めるので、なだらかに見せたい日は避けてください。
ネックレスなら、胸の中ほどまで下がる長い鎖が、縦の線を一本足してくれます。短い鎖は首の下に横の丸い線を作るので、肩の水平と同じ向きになります。首元に足すものは、どれも縦に下がるものを選ぶ、と覚えておけば迷いません。
ベストを重ねる着方も使えます。ニットの上に袖のないベストを重ねると、ベストの肩の端が、肩先より内側に縦の境目を作ります。ベストの肩幅が自分の肩幅より4センチから6センチ狭いものなら、境目は肩先の内側に収まり、その外側に見えるニットの布は、肩の角を包むふくらみとして読まれます。ベストの肩の端が肩先とぴったり重なると、縫い目と同じように角をなぞるので、ベストも肩の端の位置で選んでください。前がVに開いたベストなら、首元の縦の線も一緒に足せるので、肩の水平がいちばんやわらかく見える重ね方になります。
年代で変わるところと、変わらないところ
年齢を重ねても、肩の水平の度合いそのものは、大きくは変わりません。縫い目の位置で選ぶという考え方は、二十代でも六十代でも同じように使えます。
変わるのは、編み地の厚みの選び方です。年代が上がると、肩まわりや背中の上のほうに少しずつ厚みが出て、薄手のハイゲージは体の形をそのまま拾いやすくなります。四十代を過ぎたら、ハイゲージよりもミドルゲージを一枚目の基準にすると、肩の角も背中の厚みも、布がほどよく包んでくれます。
もう一つ変わるのは、肩を動かす範囲です。腕を高く上げる動きや、背中に手を回す動きが少しずつ窮屈になってくるので、袖の付け根のゆとりは、若いころより大切になります。先に書いた三つの動きのうち、腕を横に上げる動きは、年代が上がるほど丁寧に確かめてください。
五十代、六十代になって、肩のまわりがやわらかい印象になってきたと感じたら、それまで避けていた縫い目が肩先の真上にあるニットも、もう一度試してみる価値があります。肩の角が布の中で少し丸く見えるようになっていれば、縫い目の位置の影響は若いころより小さくなっています。年代ごとの服の動きやすさについては五十代の服は動かせる範囲で選ぶも参考にしてください。
手持ちのニットを、今日見直す順番
最後に、今日から始められる順番を書いておきます。
まず、自分の肩の下がり幅と肩幅を一度だけ測って、メモに残しておきます。この二つの数字は、ニットだけでなく、ジャケットやコートを選ぶときにもそのまま使えます。
次に、手持ちのニットを全部着て、肩の縫い目が肩先のどこに来るかを指でなぞります。内側に1〜3センチ入っているもの、斜めのもの、腕の上に落ちているもの、肩先の真上にあるもの、の四つに分けて置いてください。
内寄せと斜めのものは、どの日にも着られる一枚です。秋冬の毎日の一枚目として、手前に置きます。
腕の上に落ちているものは、厚みを見て、薄手なら毎日の側に、厚手ならコートの下に着る日の側に分けます。
肩先の真上に縫い目があるものは、手放す必要はありません。Vネックのものなら、そのままで肩の水平が切れます。クルーネックのものなら、前を開けたカーディガンを上に重ねるか、首元に縦に下がる長いネックレスを足すと、縫い目の水平な線が途中で切れます。肩の角をはっきり見せたい日の一枚として、使う日を決めておけば、ちゃんと出番があります。
新しく一枚買い足すなら、中くらいの厚みのラグラン袖のVネックか、縫い目が内側に入ったセットインのクルーネックが、いかり肩にとっていちばん出番の多い一枚になります。売り場で迷ったら、平らに置いて肩の線の傾きを見て、試着室で肩先の布を一度つまんでみてください。
よくある問い
- Q. いかり肩にはラグラン袖がいいと聞きましたが、本当ですか
- ラグラン袖は、縫い目が首の付け根から脇の下へ斜めに走るので、肩の水平な線を途中で切ってくれます。いかり肩にとって扱いやすい型の一つなのは確かです。ただし、肩の部分が詰まって細く編まれていると、斜めの線の上に肩の角が押し出されて、かえって角が目立つことがあります。試着では、肩先をつまんで1cm以上の余りがあるかを確かめてください。
- Q. ドロップショルダーのニットは着ないほうがいいですか
- 着られます。分かれ目は編み地の厚みです。薄手から中くらいの厚みで、肩から腕へ布が自然に落ちるものなら、肩の角は布の下でなだらかになります。ざっくりした厚手のものは、布が肩の角で突っ張って、肩先から箱のような形が張り出しやすくなります。厚手を選ぶなら、縫い目が肩先から8cm以上下がる、大きく落ちた型にしてください。
- Q. 肩パッドの入ったニットは避けたほうがいいですか
- 肩先に厚みを足すパッドは、すでにはっきりしている肩の角をさらに高くします。肩の印象を強く見せたい日には使えますが、なだらかに見せたい日には外せるものなら外してください。外せない場合は、上に羽織るものを肩の縫い目が落ちた型にして、パッドの角を外側の布で覆うと和らぎます。
- Q. ボートネックのニットはどうですか
- ボートネックは、襟ぐりが鎖骨に沿って横に広く開く形です。肩の水平な線と同じ向きの線を首元にもう一本引くので、肩の横の印象が強くなります。着るなら、襟ぐりの端が肩先から5cm以上内側で止まるものを選び、首元に縦に下がる長いネックレスを足して、横の線を縦の線で切ってください。
— メグラシ編集部





