腕が太い人の服|秋冬はニットとコートの袖幅を腕まわりから選ぶ

腕が太いと感じる人の秋冬の服は、袖を大きくして隠すより、腕まわりに対する余りで選ぶほうが、すっきり見えます。
最初に、二の腕のいちばん太いところの周囲を、メジャーで測ってください。この数字を「上腕囲」と呼びます。あとはこの上腕囲に、何cm足すかで決まります。
- ニットの袖まわりは、上腕囲に4〜8cmを足した幅
- コートの袖まわりは、上腕囲に、中に着るニットの厚みぶん(薄手3cm・中肉5cm・厚手8cm)と、ゆとり4cmを足した幅
- 袖付けの縫い目は、二の腕のいちばん太い位置に重ねない。肩先から3cm以内か、太い位置より8cm以上下
足す数字が4cmより少ないと、編み地が横に伸びて、腕の形がそのまま表に出ます。10cmより多いと、袖が腕から浮いて筒になり、肩から手首まで同じ太さに見えます。ちょうどよいのは、その間の狭い幅です。
腕の太さは、骨格や筋肉のつき方、生活の中で使っている腕の動きによって、人それぞれ違います。腕まわりがしっかりしていることは、重いものを持つ、子どもを抱える、毎日を動かしている体の一部です。この記事は太さを隠すためではなく、袖の中で腕が窮屈に見えず、気持ちよく動ける幅を、自分の数字で選ぶための記事です。
測るのは2か所:上腕囲と、肩先から太い位置まで
袖の選び方を決めるために測るのは、2か所だけです。
1つ目は上腕囲です。腕を体の横に自然に下ろし、力を抜いた状態で、肩先からひじまでの間でいちばん太いところに、メジャーを水平に一周させます。メジャーはきつく締めず、肌との間に指1本がやっと入るくらいで読みます。
2つ目は、肩先から、その太い位置までの縦の長さです。肩の骨のいちばん外側の出っぱり(肩先)から、上腕囲を測った位置まで、腕に沿ってまっすぐ下へ測ります。多くの人は8〜12cmくらいに入ります。
上腕囲は、ニットとコートの袖まわりを決めるために使います。肩先からの長さは、袖付けの縫い目をどこに置くかを決めるために使います。
測るときは、両腕とも測ってください。利き腕のほうが1〜2cm太いことはよくあります。袖は左右同じ幅でつくられているので、大きいほうの数字を使います。
メジャーが手元にないときは、紐や毛糸で代わりに測れます。二の腕のいちばん太いところに紐を一周させ、重なったところを指でつまんで印をつけ、あとから定規で長さを測ってください。紐は伸びないものを使います。ゴムや伸びる毛糸だと、実際より短く読んでしまいます。
測る時間帯にも少しだけ気を配ってください。重い荷物を長く持ったあとや、腕をたくさん使った直後は、筋肉が張って、ふだんより少し太く測れることがあります。朝の、腕を使う前の時間に測ると、数字が安定します。何度か測って、いちばんよく出る数字を使えば十分です。
測った数字は、スマートフォンのメモに残しておくと、売り場や通販でサイズ表を見るときに、その場で計算できます。体の数字は季節や生活で少し変わるので、毎年、秋の服を買い始める前に一度測り直すと安心です。
ニットの袖まわりは、上腕囲+4〜8cm
ニットの袖を選ぶとき、上腕囲に何cm足した袖まわりがちょうどよいか。目安は4〜8cmです。
足す数字が4cm未満のとき。 袖が腕にぴったりと沿います。編み地は伸びる素材なので、着られないことはありません。ただ、腕のいちばん太いところで編み目が横に伸び、そこだけ編み地が薄く見えたり、柄が横に広がったりします。結果として、腕の形がそのまま表に出て、太さが目に入りやすくなります。
足す数字が4〜8cmのとき。 袖は腕に軽く沿いながら、編み目は伸びきらずに、編み地本来の表情が残ります。腕を動かしたときに袖が少しだけ遅れてついてくるので、腕の輪郭がやわらかく見えます。
足す数字が8〜10cmのとき。 袖がやや腕から離れ始めます。生地が薄くて落ち感のあるニットなら、このくらいでもきれいに見えます。張りのある厚手のニットだと、袖が少し箱のように見え始めます。
足す数字が10cm以上のとき。 袖が腕から浮いて、筒のようになります。腕の細い部分(ひじから手首)も袖に包まれて太く見えるので、肩から手首まで、腕全体が大きく見えます。
腕の太さを隠したい気持ちから、大きめの袖を選びたくなるかもしれません。けれど、10cm以上の余りは、隠すどころか腕全体を太く見せてしまいます。4〜8cmの範囲で、自分の好みの着心地に合わせて選んでください。
売り場と通販で、袖まわりを読む方法
袖まわりは、たいていの売り場やサイズ表で、直接は書かれていません。代わりに書かれている数字から計算します。
サイズ表に「袖幅」とあるとき。 袖幅は、平らに置いた袖の、脇の下での幅のことがほとんどです。この数字を2倍すると袖まわりになります。袖幅が17cmなら、袖まわりは34cmです。
サイズ表に「袖幅」がないとき。 身幅と袖丈しか書いていないこともあります。この場合は、商品写真で、平置きした袖の幅が、身幅の何割くらいかを目で見て推し量るしかありません。不安なら、問い合わせで「脇の下での袖幅」を聞くか、別の商品を選ぶほうが確実です。
売り場で手に取るとき。 メジャーを持っていなくても、手のひらで測れます。自分の手のひらの幅(親指を除いた4本の指の付け根の幅)を一度測っておくと、袖を平らに置いて、手のひらいくつ分かで袖幅を推し量れます。多くの人の手のひらの幅は7〜9cmです。
計算するときに気をつけたいのは、ニットは伸びるということです。平置きの数字は、伸ばす前の幅です。編み地の伸びを当てにして小さめの袖まわりを選ぶと、着たときに編み目が横に伸びて、さきほどの「4cm未満」と同じ見え方になります。伸びは計算に入れず、平置きの数字で4〜8cmを確保してください。
編み地の厚みで、コートに足す幅が変わる
ニットの上にコートを着るとき、コートの袖まわりは、ニットを着た腕の太さに合わせる必要があります。ここで、ニットの厚みが効いてきます。
| ニットの厚み | 編み地の目安 | コートの袖まわりに足す幅(上腕囲に対して) |
|---|---|---|
| 薄手 | 細い糸で目が詰まったもの | ニットぶん3cm+ゆとり4cm=7cm |
| 中肉 | ふつうの糸で、手で持つとほどよい重み | ニットぶん5cm+ゆとり4cm=9cm |
| 厚手 | 太い糸の手編み風、縄編み | ニットぶん8cm+ゆとり4cm=12cm |
表は、コートの袖まわりをどう計算するかの軸を見せるためのものです。たとえば上腕囲が30cmで、冬に中肉のニットを着ることが多いなら、コートの袖まわりは30+9で39cm以上が目安になります。
ニットぶんの数字は、ニットの袖を着たときに、腕の周囲がどれくらい増えるかです。編み地の厚みの2倍に、ニットの袖自体の余りが加わるので、薄手でも3cmほど増えます。
コートにさらにゆとり4cmを足すのは、コートの裏地とニットがこすれ合っても、腕を前に出したときに袖が引っかからないようにするためです。この4cmがないと、腕を動かすたびにニットの袖がコートの中で引っぱられ、手首のあたりでニットがたまってふくらみます。
いちばん厚手のニットに合わせてコートを選ぶと、薄手のニットのときに袖が少し余ります。それで問題はありません。袖が少し余っても、コートは生地に張りがあるので、筒に見えるほどにはなりません。反対に、薄手に合わせて選ぶと、厚手のニットを着た日に袖が窮屈になります。
袖付けの縫い目を、いちばん太い位置に重ねない
袖まわりの幅と同じくらい、見え方を左右するのが、袖付けの縫い目の位置です。
縫い目は、布の上に横線をつくります。人の目は線に引き寄せられるので、縫い目がある場所の幅が目に入りやすくなります。縫い目が二の腕のいちばん太い位置に重なると、そこに横線が入り、太さを強調します。
縫い目の位置は、袖の付け方で決まります。
肩先で縫い合わせる袖。 縫い目が肩先にあり、二の腕の上には縫い目がありません。肩先から縫い目までが3cm以内なら、腕の太い位置とは離れているので安心です。
肩から落ちた位置で縫い合わせる袖(ドロップショルダー)。 縫い目が肩先より下、二の腕の途中にきます。ここで肩先からの長さを使います。縫い目が、肩先から太い位置までの長さと同じくらいのところに来ると、ちょうど重なってしまいます。縫い目が、太い位置より8cm以上下、ひじに近い位置まで落ちるデザインなら、二の腕の上は縫い目のない一枚の布で覆われ、すっきり見えます。
首から斜めに縫い合わせる袖(ラグラン)。 縫い目が首の付け根から脇の下へ斜めに走ります。二の腕の上に横線が入らないので、腕の太さが気になる人には選びやすい形です。
ドロップショルダーの服を試着するときは、鏡の前で腕を体の横に下ろし、縫い目が腕のどこを横切っているかを見てください。太い位置の上下3cm以内に縫い目があれば、重なっていると考えます。
カーディガンとジャケットは、中に着る服から逆算する
ニットとコートのほかに、秋の立ち上がりに出番が多いのが、カーディガンとジャケットです。どちらも、何かの上に重ねる服なので、ニットと同じ数字では足りません。
カーディガン。 中に薄手のブラウスやカットソーを着ることが多いので、上腕囲に6〜9cmを足した袖まわりが目安です。ニットの4〜8cmより、2cmほど多くなります。中の服の袖が、カーディガンの袖の中でたまらない余裕を取るためです。肩にはおるだけで袖を通さない着方をする日もあるなら、袖まわりは9cm側を選ぶと、袖を通したときと通さないときで、印象の差が小さくなります。
ジャケット。 織った生地のジャケットは、ニットのように伸びません。腕を前に出したとき、伸びないぶんを袖まわりの余りで受け止める必要があります。中にシャツやブラウスを着る場合は、上腕囲に8〜10cm、中に薄手のニットを着る場合は10〜12cmを足した袖まわりが目安です。
ジャケットは、肩まわりと袖まわりが一体でつくられています。肩幅が合っていても、袖まわりだけが足りないことがよくあります。試着では、肩の縫い目が肩先に来ているかを見たあと、腕を前に伸ばして、背中の生地が引っぱられないかを必ず確かめてください。
肩が合うサイズで袖まわりが足りないときは、1サイズ上げると肩が落ちてしまいます。この場合は、同じサイズで、袖がやや太めにつくられた別の形を探すほうが、全体がきれいにまとまります。袖まわりが足りないまま着ると、腕を動かすたびに袖のしわが二の腕の太い位置に集まり、そこが目立つ原因になります。
織った生地のブラウスとシャツは、余りを多めに
ニットの下や、ジャケットの中に着るブラウスやシャツも、腕まわりの見え方を左右します。
織った生地は、ニットと違って伸びません。上腕囲に4cmしか足していない袖だと、腕を前に出したり曲げたりしたとき、二の腕のところで生地が突っ張ります。突っ張った生地には、二の腕の太い位置を中心に、放射状のしわが入ります。このしわが、腕の太さを強調します。
ブラウスやシャツの袖まわりは、上腕囲に6〜10cmを足した幅を目安にしてください。とろみのある落ち感の生地なら10cm側でも筒に見えにくく、張りのある生地なら6〜8cmで十分です。
袖にギャザーやタックが入ったブラウスは、袖の上側がふくらむ形です。ふくらみの頂点が二の腕のいちばん太い位置に来ると、太さに袖の量が重なって大きく見えます。ふくらみの頂点が、肩先の近くか、ひじの近くに来るデザインを選んでください。肩先からの長さを測っておくと、ここでも役に立ちます。
境目の数字にいるとき、どちらを選ぶか
計算してみると、足す数字が4cmちょうどや8cmちょうど、のように、境目に来ることがあります。こういうときの決め方を書きます。
足す数字が3〜5cmのとき。 4cmをはさんで揺れる場合です。決め手は、編み地の伸びやすさです。ニットの袖を両手で軽く横に引っぱってみて、すぐに元に戻るなら、伸びても編み目が乱れにくいので、4cm前後でも腕の形は出にくくなります。引っぱったあと、伸びたまま戻りにくいなら、着ているうちに袖が腕の形に伸びて、太い位置だけふくらんだ袖になります。この場合は、1サイズ上げるか、別の商品を選んでください。
足す数字が7〜9cmのとき。 8cmをはさんで揺れる場合です。決め手は、生地の落ち感です。袖をつまんで持ち上げ、手を離したときに、すとんと下へ落ちるなら、8cmを超えても腕に沿って落ちるので、筒には見えません。ふわっと形を保ったまま落ちるなら、張りのある編み地なので、8cmを超えると袖が箱のように見えます。張りのある編み地なら、7cm側を選んでください。
サイズの間で迷うとき。 身幅や着丈はMでちょうどよいのに、袖まわりだけを見るとLのほうが合う、ということがあります。この場合は、どちらを着たときに、全体の余りが自然に見えるかで決めます。Lを着て、身幅が大きすぎて胴まわりが浮くなら、Mを選んで、袖の中のインナーを薄くすることで調整します。Mを着て、腕を前に伸ばしたときに袖が引きつれるなら、Lにして、身幅の余りは裾を少しだけ前に入れるなどして整えます。
どちらの場合も、迷ったら「腕を動かしたときに、どちらが楽か」を優先してください。秋冬の服は、通勤のかばん、買い物の荷物、子どもの世話など、腕を動かしながら長い時間着るものです。窮屈な袖は、見た目より先に、1日の疲れにつながります。
左右で太さが違う、前と後ろで違う
腕の太さは、左右で違うのがふつうです。利き腕、かばんをかける側、子どもを抱く側などで、1〜2cm差があることは珍しくありません。
袖は左右同じ幅でつくられているので、大きいほうの数字で選んでください。小さいほうに合わせると、大きいほうの腕だけ袖が張りついて、左右の太さの違いが袖の上に表れます。大きいほうに合わせれば、小さいほうの袖に少し余りが出ますが、1〜2cmの余りなら見た目にはほとんど分かりません。
もう1つ、腕の前側と後ろ側で、ふくらみ方が違うこともあります。二の腕の後ろ側がふくらんでいる人は、正面から見るより、横や斜め後ろから見たときに太さが目立ちます。
この場合は、袖の後ろ側に縫い目やタックがない、すっきりした袖を選ぶとよいでしょう。後ろ側に縦の切り替えがある袖は、ふくらみの頂点に縦線が乗って、厚みが強調されることがあります。
鏡で確かめるときは、正面だけでなく、横と斜め後ろからも見てください。手鏡を持って、全身鏡に映った後ろ姿を確かめると、ひとりでも見られます。
袖口は、手首の細さを見せる長さで
腕の太さが気になる人ほど、手首までしっかり袖で覆いたくなるかもしれません。けれど、手首は腕の中でいちばん細い部分です。その細さが少し見えると、腕全体の印象が軽くなります。
目安は、袖口が手首の骨(手の甲側に出ている小さな骨)にかかるか、そのすぐ上で終わる長さです。手首の骨が少し見えるくらいがちょうどよく、袖口が手の甲の半分まで来ると、手首の細さが隠れてしまいます。
袖口の形も見てください。袖口がリブ編みなどで少しすぼまっていると、手首のところで袖が締まり、そこから上の袖のふくらみとの差で、手首の細さが際立ちます。袖口までまっすぐ同じ幅の袖は、手首のところでも袖が広がっているので、腕全体が同じ太さの筒に見えやすくなります。
ニットの袖を少しまくって着るときは、ひじより下、手首から指4本分くらい上で止めます。ひじより上までまくると、二の腕の太い位置に、まくった布のかたまりが乗ってしまいます。
手が大きいと感じる人は、袖口の長さと幅を手の甲との関係で決める方法を、手が大きい人に似合う秋冬の袖の記事でまとめています。
編み地と素材の表面で、見え方が変わる
袖まわりが同じでも、編み地の表情で、腕の見え方は変わります。
表面に光沢がある素材。 光が当たると、腕のいちばん太いところがいちばん明るく光り、ふくらみが強調されます。光沢のあるニットやなめらかなジャージー素材は、袖まわりの余りを6cm以上取って、腕に張りつかないようにすると、光の当たり方がやわらぎます。
起毛や毛足のある素材。 表面がふんわりしていると、輪郭がぼやけて、腕の形がやわらかく見えます。ただ、毛足が長いと、そのぶん袖が太く見えるので、袖まわりの余りは4〜6cmの狭いほうを選んでください。
縦の模様がある編み地。 縄編みやリブ編みのように、縦に線が通っている編み地は、目線を縦に流してくれます。腕の太さが気になる人には選びやすい編み地です。ただし、縦の線が腕のいちばん太いところで横に広がると、そこに注意が向きます。袖まわりの余りが4cm未満だと、縦の線が広がってしまうので、5cm以上を確保してください。
横の模様がある編み地。 ボーダーや横に走る編み柄は、腕の幅を横に強調します。避ける必要はありませんが、横の線が二の腕のいちばん太い位置を横切っていないか、鏡で確かめてください。太い位置より上か下に線が来るなら、それほど気になりません。
重ね着で腕が詰まるとき、インナーを見直す
ニットの袖まわりもコートの袖まわりも合っているのに、重ねて着ると腕が窮屈になることがあります。原因は、いちばん内側に着ているインナーです。
長袖の厚手のインナーや、袖まわりにゆとりのあるシャツを中に着ていると、ニットの袖の中にもう一枚分の厚みが入り、計算より腕が太くなります。
腕まわりを細く見せたい日は、インナーを次のどちらかにしてください。
1つは、袖のないインナーや、肩先で終わる短い袖のインナーです。ニットの袖の中に布が入らないので、ニットの袖まわりの計算がそのまま生きます。
もう1つは、薄手で体に沿う長袖のインナーです。体に沿うので、ニットの袖の中で余計なしわやたまりができません。冷える日はこちらが向いています。
シャツを重ねる場合は、シャツの袖まわりが上腕囲に6cm以上の余りがあるかを確かめ、そのうえでニットの袖まわりに、シャツのぶん2cmを足して考えてください。シャツの袖がニットの中でねじれると、腕の途中にふくらみができます。
重ね着をしても腕が楽に動くかどうかは、腕を前に伸ばして、ひじを曲げて、を3回くり返すと分かります。どこかで引っかかる感じがあれば、いちばん内側から順に見直してください。
色の置き方で、腕まわりの印象を整える
袖まわりの幅と縫い目の位置が合っていれば、色の選び方は自由です。そのうえで、腕まわりの印象をもう少し整えたい日のために、色の置き方の考え方を書いておきます。
人の目は、明るい色と暗い色の境目に引き寄せられます。袖の色と、身ごろの色、手の肌の色の境目がどこにあるかで、目が止まる場所が変わります。
袖と身ごろが同じ色の服。 境目がないので、腕と胴がひとつながりの面に見えます。腕だけが目立つことが少なく、腕まわりが気になる人には、いちばん扱いやすい組み合わせです。
袖だけ色が違う服や、袖に配色のある服。 袖の色が身ごろより明るいと、腕が前に出て見え、幅が目に入りやすくなります。袖の色が身ごろより暗いと、腕が奥に引いて見えます。袖に配色のある服を選ぶなら、袖のほうが暗いか、明るさが身ごろと近いものが向いています。
コートとニットの色の差。 コートの前を開けて着るとき、中のニットとコートの色の差が大きいと、コートの前の縁に縦の線が入ります。この縦の線は、目線を上下に流すので、腕の幅から注意をそらしてくれます。腕まわりが気になる日は、コートの前を開けて、中のニットと明るさに差をつける着方も試してみてください。
袖口の色。 袖口から見える手首と、袖の色の差がはっきりしていると、手首の位置に目が行き、細い部分が際立ちます。手首の肌の色と近い明るさの袖は、手首との境目がぼやけて、腕全体が一つの塊に見えやすくなります。
試着室で確かめる3つの動き
試着室では、鏡の前でまっすぐ立っているだけでは、袖が合っているかどうか分かりません。次の3つの動きを試してください。
1つ目、腕を前にまっすぐ伸ばす。 つり革や手すりにつかまる動きです。袖が二の腕のところで引きつれて、背中や脇の生地が引っぱられるなら、袖まわりか肩まわりが足りません。袖口が手首から5cm以上上がってしまう場合も、袖丈か袖まわりが足りないサインです。
2つ目、ひじを曲げて、手を胸の前に持ってくる。 かばんを抱える、子どもを抱く、スマートフォンを見る動きです。ひじの内側で生地がたまって、二の腕の太い位置まで押し上がってくるなら、袖まわりが足りません。
3つ目、かばんを肩にかける。 秋冬はコートの上からかばんをかけることが多くなります。かばんの持ち手が二の腕のいちばん太い位置にかかると、袖がつぶれて、そこだけ広がって見えます。持ち手が肩先に乗るか、太い位置より下に来るかを確かめてください。
3つの動きで、引きつれやたまりがなく、腕を下ろしたときに袖がすっと元の位置に戻れば、その袖は合っています。
肩まわりの張り方も気になる場合は、いかり肩に似合う服の記事で、肩の角と襟の関係から選び方をまとめています。
通販で選ぶとき、失敗を減らす手順
通販では試着ができないので、数字で確かめる手順を決めておくと失敗が減ります。
最初に、手持ちの服の中で、袖がいちばん気に入っているニットを1枚選びます。平らに置いて、脇の下での袖幅を測り、2倍して袖まわりを出します。その数字から上腕囲を引くと、自分が心地よいと感じる余りの数字が分かります。
次に、買いたい服のサイズ表の袖幅を2倍し、上腕囲を引きます。手持ちの気に入っている服との差が2cm以内なら、着たときの印象はほとんど変わりません。2cm以上違うなら、気に入っている服より窮屈か、ゆるいかのどちらかです。
袖付けの形も、商品写真で確かめます。肩の縫い目が肩先にあるか、肩から落ちているかを見て、落ちている場合は、平置き写真で肩から縫い目までの長さを推し量ります。分からないときは、着用写真で、縫い目が腕のどのあたりに来ているかを見てください。
最後に、素材の表示を確かめます。毛足の長い素材や光沢のある素材は、前のセクションの目安で、余りの数字を調整します。
届いたら、タグを切る前に、試着室と同じ3つの動きを家で試してください。腕を前に伸ばす、ひじを曲げて手を胸の前に持ってくる、いつも使うかばんを肩にかける。この3つで引きつれやたまりがあれば、返品や交換の期間のうちに判断できます。冬にいちばん厚いニットの上に着る予定のコートなら、そのニットを着た状態で試すことも忘れないでください。
買ったあとの記録も役に立ちます。届いた服の袖まわりと、着てみた感想(ちょうどよい、少し窮屈、少しゆるい)をメモに残しておくと、次に選ぶときの基準がはっきりします。3〜4着分の記録がそろうと、自分にとって心地よい余りの幅が、4〜8cmの中のどのあたりなのかが分かってきます。
手持ちの服を、腕に合わせて整える
今ある服の中にも、少しの工夫で腕まわりがすっきり見えるものがあります。
袖が大きすぎるニット。 余りが10cm以上あって筒に見えるニットは、袖口を手首の骨のあたりまで引き上げて、袖を軽くたるませて着てみてください。手首のところで袖が締まると、そこから上のふくらみが「たっぷりした袖」として見え、腕全体が太い筒に見えにくくなります。
縫い目が太い位置に重なるドロップショルダーのニット。 上にカーディガンやジャケットを重ねて、縫い目を隠すのがいちばん簡単です。重ねる服の肩の縫い目が肩先にあれば、二の腕の上には縫い目のない布が来ます。
袖まわりがきついコート。 中に着るニットを薄手に替えるか、袖のないインナーと薄手のニットの組み合わせにします。ニットぶんの数字が8cmから3cmに変わるので、同じコートでも5cmの余裕が生まれます。
腕まわりが気になるワンピース。 袖のないワンピースや半袖のワンピースは、上にカーディガンを羽織ります。カーディガンの袖まわりも、上腕囲+4〜8cmの目安で選んでください。季節に合った重ね方は、秋の二の腕カバーの記事でもまとめています。
二の腕の見え方は骨格のタイプによっても違いが出るので、袖の終わる位置を骨格別に整理した二の腕と骨格の記事もあわせて読むと、自分の体に合った袖の形がもっと絞り込めます。袖まわりの数字と袖の終わる位置の両方がそろうと、どの服を手に取っても、迷う時間がぐっと短くなります。
よくある問い
- Q. 腕が太いなら、袖はゆったりしたものを選べばいいですか
- ゆとりが多すぎると、袖が筒のように腕全体を包んで、肩から手首まで同じ太さに見えます。腕の太さを隠すつもりが、かえって腕全体が大きく見える原因になります。目安は、二の腕のいちばん太いところの周囲に、ニットなら4〜8cmを足した袖まわりです。10cm以上足すと、袖が浮いて筒に見え始めます。
- Q. 二の腕の周囲はどうやって測りますか
- 腕を体の横に自然に下ろし、力を抜いた状態で、肩先からひじまでの間でいちばん太いところに、メジャーを水平に一周させます。きつく締めず、メジャーと肌の間に指1本がやっと入る程度で読みます。左右で差があることが多いので、両方測って、大きいほうの数字を使ってください。
- Q. 通販のサイズ表に袖幅しか書いてありません
- サイズ表の袖幅は、平らに置いた袖の、脇の下での幅のことがほとんどです。この数字を2倍すると、袖まわりになります。たとえば袖幅が17cmなら、袖まわりは34cmです。上腕囲が28cmなら、足されている余りは6cmで、ニットとしてちょうどよい範囲に入ります。
- Q. ドロップショルダーのニットは避けたほうがいいですか
- 避ける必要はありません。見るのは、肩から落ちた縫い目が、腕のどこに来るかです。縫い目が二の腕のいちばん太い位置に重なると、そこに横線が入って太さが強調されます。縫い目がそこより8cm以上下、ひじに近い位置まで落ちるデザインなら、二の腕の上を縫い目なしで布が覆うので、むしろすっきり見えます。
- Q. コートを買うとき、薄着の季節に試着してもいいですか
- 試着のときは、冬に中に着る予定のいちばん厚いニットか、同じくらいの厚みの服を着ていってください。薄着で選ぶと、袖まわりが足りず、ニットを着たときに袖が腕に張りついて、太さがそのまま表に出ます。どうしても薄着で試すときは、試着した袖の中に、手のひらを縦にして差し込めるか確かめてください。
— メグラシ編集部





