二の腕を隠す服|暖房の室内で羽織を脱いでも気にならない袖

**二の腕を隠したい日に選ぶべきなのは、羽織ではなく、その下に着る1枚の袖です。**秋冬の外では、コートや羽織が腕を覆ってくれます。困るのは、暖房の効いた室内に入って、羽織を脱ぐときです。
職場、お店、実家、習い事の教室。秋から冬にかけての室内は、外より10度以上暖かいことも珍しくありません。羽織を着たままでは暑くて汗ばむのに、脱いだら下に着ている薄いニットの袖が気になる。そうして、暑いのを我慢して羽織を着たまま過ごしてしまう人は多いはずです。
この記事は、その室内で残る1枚を、家で測れる数字で選ぶところまで書きます。袖丈、袖のゆとり、肩線の位置、透け。そして、どちらとも取れるときにどうするかを、いちばん厚く書きました。
最初にお伝えしておきたいのは、二の腕の形そのものを変える話ではない、ということです。気になるかどうか、隠したいかどうかは、その人が決めることです。この記事は、隠したい日に、隠したまま暑さを我慢しなくて済む選び方を書いています。
結論:羽織を脱ぐ時間が30分を超えるかで、下の1枚を選ぶかが決まる
先に、全体を置いておきます。
| 室内が暖かい(羽織を着ていると汗ばむ) | 室内が涼しい(羽織を着たままで過ごせる) | |
|---|---|---|
| 羽織を脱ぐ時間が30分以上 | 下に着る1枚の袖を選び直す | 下の1枚は手持ちのまま。羽織を薄手にする |
| 羽織を脱ぐ時間が30分未満 | 羽織を肩に掛けて逃がす。下の1枚は手持ち | 何も替えなくてよい |
表で見てほしいのは、軸が2本あることです。室温は「脱ぐかどうか」を決め、脱ぐ時間は「下の1枚を選び直すかどうか」を決めます。
30分という線は、羽織を着たまま我慢できる時間の目安です。それより短ければ、肩に掛けて熱を逃がすだけで乗り切れます。それより長ければ、汗をかいて、そのあと外に出たときに冷えます。30分を超える日は、下の1枚を、脱ぐ前提で選んでください。
脱ぐかどうかは、行き先の室温と、そこにいる時間で決まる
まず、その日に行く場所を思い浮かべてください。羽織を脱ぐかどうかは、行き先によってほぼ決まります。
職場は、多くの場合、1日じゅう暖房が効いています。席に着いてから帰るまで、羽織を脱いでいる時間は数時間になります。ここは確実に、下の1枚を選び直す場所です。
お店やカフェは、入ってから出るまでの時間で決まります。買い物で15分ほど店内を回るだけなら、羽織は着たままでかまいません。カフェで1時間座るなら、脱ぐ前提で考えます。
実家や友人の家は、暖房の設定が自分の家と違うことが多い場所です。とくに冬の実家は、思ったより暖かく設定されていることがあります。行く前に、その家の暖房の様子を思い出してください。前に行ったときに暑かったなら、脱ぐ前提です。
電車やバスは、乗っている時間が短ければ羽織を着たままで済みます。30分を超える移動で、車内が暖かいなら、脱ぐかどうか迷うことになります。混んでいる車内で羽織を脱ぐのは手間なので、移動の長い日は、羽織を最初から薄手にしておくほうが楽です。
1日のなかで、脱ぐ場所がいくつあるか
職場に行って、帰りにお店に寄って、夜は会食がある。そういう日は、脱ぐ場所が3つになります。脱ぐ場所が2つ以上ある日は、それぞれで迷わないように、朝の時点で下の1枚を脱ぐ前提で選んでおきます。1つの場所でだけ脱ぐ日なら、その場所の滞在時間で判定してください。
同じ建物のなかでも、場所で室温が変わる
職場のなかでも、自分の席、会議室、休憩室で、室温はかなり違います。窓際の席は日が差すと暑くなり、日が陰ると冷えます。会議室は人が集まると暖かくなり、空いていると冷えています。
1日のなかで移動が多い人は、いちばん長くいる場所の室温で判定してください。自分の席に6時間いて、会議室に1時間いるなら、席の室温で決めます。会議室が寒いなら、そのときだけ羽織を持って入ればかまいません。下の1枚は、いちばん長くいる場所に合わせて選びます。
袖丈は、気になる場所がどこまでかで決める
下に着る1枚の袖丈は、自分が気になっている場所がどこまでかで決めます。気になる場所は、人によって違います。
鏡の前で腕を下ろして、気になるのは肩のすぐ下なのか、肘の少し上なのか、肘のあたりまでなのかを見てください。肩のすぐ下だけなら、5分袖でも隠れます。肘の少し上までなら、肘を越える7分袖。肘まで気になるなら、長袖です。
**袖丈を決めるときは、腕を曲げた状態でも確かめてください。**腕を曲げると、袖は肘に引っぱられて上がります。腕を下ろしたときには肘まで隠れていた袖が、机に手を置いたときには肘の上まで上がっていることがあります。室内では机に向かう時間が長いので、腕を曲げたときの袖の位置のほうが大事です。
7分袖が暖房の室内に向く理由
暖房の室内では、7分袖が扱いやすい長さです。手首が出ているぶん、熱が逃げやすく、長袖ほど暑くなりません。キーボードを打つ、書類をめくる、お茶を入れる、といった手元の作業でも、袖口が邪魔になりません。
長袖を着ていると、暑くなったときに袖をまくりたくなります。まくると、二の腕まで袖が上がってしまうことがあります。最初から7分袖にしておけば、まくる必要がなくなり、気になる場所が出る心配も減ります。
長袖を選ぶときは、袖口の形を見る
長袖を選ぶなら、袖口がリブで締まっているものか、袖口が少し広がっているものかで、暑さの感じ方が変わります。リブで締まった袖口は、熱がこもりやすいかわりに、まくっても肘のあたりで止まります。広がった袖口は、熱が逃げやすいかわりに、まくるとどこまでも上がります。
暖房の室内で長袖を着るなら、袖口がほどよく広く、手首から少し離れているものが向いています。まくらなくても、袖口から熱が抜けていきます。
袖のゆとりは、腕まわりに指2本から手のひら1枚
袖丈の次に見るのは、袖の太さです。袖が細すぎると、腕の形がそのまま出ます。太すぎると、袖の面が広がって、上半身全体が大きく見えます。
測り方は、袖を着た状態で、二の腕のいちばん気になる位置の生地をつまむことです。つまんだときに、腕と生地のあいだに指が2本入るなら、腕の形を拾いにくいゆとりがあります。手のひら1枚より多く入るなら、ゆとりが大きすぎて、腕を下ろしたときに袖が広がって見えることがあります。
指2本から手のひら1枚のあいだに収まっていれば、腕の形は出にくく、袖の面も広がりすぎません。
通販で買うときは、袖幅を2倍して腕まわりと比べる
通販の商品ページに袖幅が書いてあるなら、その数字を2倍してください。それが袖の一周の長さです。自分の二の腕のいちばん太い位置を測って、その差を見ます。差が4センチから10センチのあいだなら、指2本から手のひら1枚のゆとりに収まります。この測り方は二の腕28cmの見た目|通販の袖幅を2倍して、腕とのすき間で選ぶでも詳しく書いています。
袖幅が書かれていない場合は、肩幅と身幅から推し量るしかありませんが、外れることも多いので、手持ちで気に入っている1枚の袖幅を測っておいて、それに近いものを探すほうが確実です。
袖の下のほうが細くなる形
袖のなかには、肩から肘まではゆとりがあって、肘から手首に向かって細くなる形があります。この形は、二の腕のあたりには空間があり、手首まわりはすっきりするので、腕全体の線がなだらかに見えます。二の腕を隠したい人にとっては、使いやすい形の1つです。
肩線の位置は、肩の端から何センチ落ちるか
袖のつき方も、二の腕の見え方を変えます。肩の縫い目が、肩の端のちょうど上にあるのか、それより腕のほうに落ちているのかを見てください。
肩の縫い目が肩の端にある形は、肩の線がはっきり出て、そこから袖がまっすぐ下ります。袖にゆとりがあれば、二の腕のあたりは袖の中に収まります。
肩の縫い目が腕のほうに落ちている形は、縫い目が二の腕の途中に来ます。落ちる幅が5センチ以内なら、肩がなだらかに見え、二の腕の上のほうが生地で覆われます。5センチを超えて大きく落ちると、縫い目がちょうど二の腕の気になる位置に来ることがあります。縫い目の線が横に入ると、そこに目が行きやすくなります。
鏡の前で、肩の縫い目がどこに来ているかを確かめてください。気になる位置のちょうど上に縫い目があるなら、別の1枚と比べてみます。
袖と身頃がひと続きの形
袖と身頃が縫い目なしでひと続きになっている形は、肩から腕にかけて縫い目の線がありません。二の腕の途中に線が入らないので、視線が止まる場所がなくなります。脇の下にたっぷりゆとりがある形なら、腕を上げ下げしても生地が引っぱられません。
ただ、脇の下のゆとりが大きすぎると、腕を下ろしたときに脇の下に生地がたまります。羽織を着るときに、この生地が羽織の中でかさばることがあるので、羽織と合わせて試しておいてください。
透けは、窓の前で袖の内側に手を入れて確かめる
秋冬の室内で着る1枚は、薄手のニットが多くなります。薄手のニットは暖房の室内では過ごしやすいのですが、編み目によっては腕の輪郭がうっすら透けます。
確かめ方は、明るい窓の前に立って、袖の内側に手を入れることです。外から見て、指の形がわかるなら、室内の照明の下でも腕の輪郭は出ます。指の形がわからず、手のある場所がぼんやり暗く見えるくらいなら、ほとんど透けません。
透けるニットしか手持ちにない場合は、袖の内側に、肌の色に近い長袖の肌着を1枚着てください。肌着の色は、白より、自分の肌の色に近いもののほうが目立ちません。白い肌着は、ニットの編み目越しに白く浮いて見えることがあります。
素材の厚みと、暖房の暑さの釣り合い
透けないように厚手のニットを選ぶと、今度は暖房の室内で暑くなります。厚みで透けを防ぐより、編み目の詰まった薄手を選ぶほうが、暑さとの釣り合いが取れます。
編み目の詰まり方は、生地を光にかざして見るとわかります。光が点々と通るなら目が粗く、全体がぼんやり明るいなら目が詰まっています。目が詰まった薄手のニットは、透けにくく、暑すぎず、室内で長く過ごせます。
室内の照明の向きでも、見え方は変わる
透けの確かめ方は窓の前で書きましたが、室内の照明の向きでも見え方は変わります。天井の照明が真上から当たる部屋では、袖の上側に光が当たり、下側に影ができます。袖にゆとりがあれば、影は袖の中に収まり、腕の形は出ません。袖が細いと、影が腕の形をなぞるように落ちます。
窓際の席で横から光が当たる場合は、光が袖を通り抜けて、腕の輪郭が浮きやすくなります。窓際に長くいる日は、透けにくさをとくに優先してください。自分の席がどちらの光に近いかを知っておくと、その日の1枚を選びやすくなります。
色とつやは、面の広さで考える
袖の色とつやも、二の腕の見え方を変えます。ここで考えるのは、袖という面をどう見せるかです。
つやのある素材は、光を拾って、面のふくらみを強く見せます。袖にふくらみがある形で、つやの強い素材だと、二の腕のあたりに光が集まり、そこに目が行きやすくなります。つやを抑えたマットな素材なら、光が分散して、面のふくらみが目立ちにくくなります。
色は、明るい色ほど面が広く見え、暗い色ほど面が引き締まって見えます。ただ、袖だけを暗い色にする必要はありません。上半身全体を落ち着いた中間の色にしておけば、袖だけが目立つことはありません。
柄は、袖に大きな模様が来ないものを
柄のある1枚を選ぶなら、袖の二の腕の位置に、大きな模様が来ていないかを見てください。大きな花柄や太い横じまが二の腕の位置にあると、そこに目が集まります。細かい柄や、縦の流れのある柄なら、袖の面が分割されて目立ちにくくなります。
視線を集めたい場所を、別に1つ作る
袖を目立たせない工夫と同時に、見てほしい場所を1つ作っておくと、視線は自然とそちらに向かいます。首元に明るい色のスカーフを巻く、耳元に小さな飾りをつける、襟の形がきれいな1枚を選ぶ。顔まわりに1つ目を引くものがあると、人は袖より先にそこを見ます。
ただし、見てほしい場所は1つに絞ってください。首元にも手首にも腰にも飾りがあると、視線があちこちに散って、かえって袖にも目が行きます。顔まわりに1つ、それだけで足ります。
暖房で暑いときの逃がし方は、袖をまくらずに済む方法を選ぶ
下の1枚を選び直しても、暖房の室内で暑くなることはあります。そのとき、袖をまくりたくなります。けれど袖をまくると、二の腕まで出てしまうことがあります。袖をまくらずに熱を逃がす方法を、いくつか持っておいてください。
1つ目は、首元を開けることです。首元が開く形の1枚なら、ボタンを1つ外すだけで、熱が上に逃げていきます。前開きのカーディガンやシャツを下に着ていれば、首元から胸元まで開けられます。
2つ目は、裾を出すことです。パンツやスカートに裾を入れていたなら、出すだけで腰まわりから熱が逃げます。
3つ目は、手首を出すことです。7分袖なら最初から手首が出ています。長袖なら、袖口を手首の少し上まで引き上げるだけにして、それ以上はまくらないようにします。手首が出るだけでも、体感はかなり変わります。
羽織を肩に掛けておく
羽織を脱ぐ時間が30分に満たない日は、羽織を脱がずに、肩に掛けて袖を通さないでおく方法があります。腕は羽織に覆われたまま、脇と背中から熱を逃がせます。席を立つときにずり落ちやすいので、羽織は肩の線がしっかりした形のほうが安定します。
羽織を脱がずに済ませる、室内用の薄い1枚
下の1枚を選び直す代わりに、室内用の薄い羽織を1枚持っていく方法もあります。外ではコートを着て、室内に入ったらコートを脱いで、薄い羽織に替える。腕は薄い羽織で覆われたまま、コートの暑さからは逃げられます。
室内用の羽織は、薄手のカーディガンや、軽い素材の前開きのシャツが使えます。透けにくく、たたむと小さくなるものを選んでください。かばんに入れて持ち歩くので、かさばらないことが条件です。
ただ、この方法は、室内でずっと羽織を着ていることになります。羽織を着ていてちょうどいい室温なら問題ありませんが、暖房が強い室内では、薄い羽織でも暑くなります。暖房の強い場所に長くいる日は、羽織を足すより、下の1枚を選び直すほうが、結局は楽です。
袖のない羽織は、腕は隠れない
室内用の羽織として、袖のないジレやベストを考える人もいます。ジレは体の前と後ろを覆いますが、腕は出たままです。二の腕を隠すためには使えません。ジレを着るなら、下の1枚の袖で二の腕を隠したうえで、上半身の温かさを足すために使ってください。
どちらとも取れるときは、こう決める
ここまでの線は、脱ぐ時間30分、袖丈は肘を越えるか、袖のゆとりは指2本から手のひら1枚、です。けれど実際は、線の上に乗って迷うことが少なくありません。場面ごとに決め方を置いておきます。
脱ぐ時間が30分前後になりそうな日
会議だけ、面談だけ、短い食事だけ、という日は、脱ぐ時間が30分前後になります。この日は、羽織を肩に掛けて逃がすほうに寄せてください。30分前後なら、肩に掛けたままで乗り切れることがほとんどです。予定が延びて1時間を超えそうになったら、その時点で羽織を脱いで椅子の背に掛けます。下の1枚が手持ちのままでも、羽織を椅子の背に掛けておけば、すぐに羽織り直せます。
7分袖と長袖、どちらにするか決められないとき
気になる場所が肘のあたりまでで、7分袖だと腕を曲げたときにぎりぎり出るかどうか、という場合があります。この場合は、暖房の強さで決めてください。暖房が強い場所に長くいるなら7分袖、それほど暖かくない場所なら長袖です。
それでも決められないなら、7分袖を選んで、腕を曲げたときに袖が上がりすぎないよう、袖のゆとりを少し大きめにします。ゆとりがあると、腕を曲げたときに袖が肘に引っかかって止まりやすくなります。
ゆとりのある袖が、大きく見えるか気になるとき
袖のゆとりを大きくすると、二の腕は隠れるけれど、全体が大きく見えるのではないか。そう迷う人は多いです。この場合は、鏡で真横から見てください。袖の外側の線が、脇の線より外に出ていなければ、大きく見えることはほとんどありません。外に出ているなら、ゆとりが大きすぎるか、肩の縫い目が落ちすぎています。
正面から見ると、どうしても袖の面が気になります。けれど人から見られるのは、正面より斜めや横のことが多いものです。真横で収まっていれば、気にしすぎなくてかまいません。
人前で羽織を脱ぐこと自体が気になるとき
袖のある1枚を着ていても、人前で羽織を脱ぐこと自体に抵抗がある人もいます。脱ぐ瞬間に視線が集まる気がする、という感覚です。この場合は、脱ぐタイミングを、人が席を外したときや、休憩の時間に合わせるだけでも、気持ちがずいぶん楽になります。
あるいは、室内に入る前、たとえば玄関やエレベーターの中で、羽織を脱いでおく方法もあります。室内に入ったときには、すでに下の1枚だけになっているので、人前で脱ぐ瞬間がありません。
手持ちのニットが全部、袖の細いものだったとき
手持ちのニットがどれも袖が細く、腕の形を拾ってしまう場合は、すぐに全部を買い替える必要はありません。袖の細いニットの上から、前開きのシャツを1枚羽織り、シャツを室内でも着たままにする方法があります。シャツは薄手なので、ニットの上に重ねても暖房の室内で暑くなりにくく、腕はシャツの袖で覆われます。
その間に、1枚だけ、袖のゆとりがある1枚を足していけばかまいません。週に1回、職場で長く過ごす日に着る1枚があれば、それだけで、その日に羽織を着たまま我慢することがなくなります。
コートの袖に通したとき、中でもたつかないか
下の1枚の袖を選び直すと、今度はコートとの組み合わせが気になります。袖にゆとりのある1枚は、コートの袖の中でかさばって、腕を通すときに引っかかったり、袖の中で生地がたまったりすることがあるからです。
確かめ方は、下の1枚を着た上からコートを着て、腕を前に伸ばし、肘を曲げてみることです。コートの袖の中で下の1枚の袖がたまって、肘のあたりがごわつくなら、コートの袖幅に対してゆとりが大きすぎます。肘を曲げても、コートの袖の中で下の袖が一緒に動くなら、問題ありません。
コートを脱ぐとき、下の袖が一緒に上がらないか
もう1つ確かめておきたいのが、コートを脱ぐときの動きです。コートの袖を抜くとき、下の1枚の袖が一緒に引っぱられて、二の腕のあたりまで上がってしまうことがあります。人前でコートを脱いだ瞬間に袖が上がっていると、いちばん気になる場面で腕が出ることになります。
下の1枚の袖口を指で軽く押さえながらコートの袖を抜くと、上がらずに済みます。これを毎回するのが手間なら、コートの裏地がなめらかなものか、下の1枚の表面がなめらかなものを選んでください。起毛した素材どうしは摩擦が大きく、一緒に動きやすくなります。
去年は気にならなかった1枚が気になるとき
去年の秋冬には平気で着ていたニットが、今年は袖が気になる。そういうことがあります。このとき、多くの人は自分の体のほうに理由を探しますが、先に見てほしいのは服のほうです。
ニットは、着て洗うことを繰り返すと、少しずつ形が変わります。袖が伸びて細く長くなったり、反対に縮んで袖幅が狭くなったりします。袖幅が狭くなると、去年は指2本入っていたゆとりが、今年は1本しか入らない、ということが起きます。
確かめ方は、袖を平らに置いて、袖幅を測ることです。買ったときの数字がわかれば比べてください。わからなければ、同じ形の別の1枚と並べて比べます。袖幅が狭くなっていたら、その1枚は羽織を脱がない日に回して、脱ぐ日には別の1枚を着るようにします。
毛玉と、編み目の伸び
袖の内側や脇の下は、こすれやすい場所です。ここに毛玉ができると、表面がでこぼこして、光の当たり方が変わります。二の腕の位置に毛玉が集まっていると、そこに影ができて目が行きやすくなります。毛玉を取るだけで、気になり方がずいぶん変わることがあります。
編み目が伸びて粗くなっている場合は、透けやすくなっています。窓の前で袖の内側に手を入れて、去年より指の形が見えやすくなっていないかを確かめてください。
袖にゆとりのある日は、下半身ですっきりさせる
袖にゆとりのある1枚を選ぶと、上半身の面が少し広くなります。そのぶん、下半身のほうで線をすっきりさせておくと、全体のつり合いが取れます。
上の袖にゆとりがある日は、下はまっすぐ落ちるパンツか、広がりすぎないスカートを合わせます。上も下もゆとりのある形にすると、全体がひとまわり大きく見えやすくなります。どちらか一方にゆとりを置き、もう一方は線を細くする。それだけで、袖のゆとりは気にならなくなります。
丈の長い1枚と、短い1枚
下の1枚の丈も、袖のゆとりと関係します。丈が長く、腰まで覆う1枚は、袖のゆとりと合わさって、上半身全体が大きな面になりやすくなります。丈の長い1枚を選ぶなら、袖のゆとりは指2本くらいに抑えておきます。
丈が腰骨のあたりで止まる短めの1枚なら、袖のゆとりを手のひら1枚くらいまで取っても、全体が重くなりません。裾をパンツやスカートに軽く入れると、腰の位置に線ができて、上半身と下半身が分かれて見えます。袖のゆとりを大きく取りたい日は、裾を入れるか、短めの丈を選んでください。
場面ごとに、下の1枚の選び方を変える
ここまでの基準を、よくある場面に当てはめておきます。
職場では、机に向かう時間が長いので、腕を曲げたときの袖の位置を最優先にします。7分袖で、袖のゆとりが指2本から手のひら1枚、透けない詰まった編み目のニット。肩の縫い目は肩の端か、5センチ以内に落ちる位置。これが職場の基本の1枚です。
会食では、腕を上げてグラスを持つ、料理を取り分ける、といった動きが入ります。袖口が広すぎると料理に触れることがあるので、袖口は手首の少し上で止まる長さか、袖口が締まっているものが向いています。
実家や帰省先では、暖房が強く、長く過ごすことが多い場所です。袖のゆとりを大きめにして、熱がこもらないものを選んでください。家事を手伝うなら、袖口は水仕事で濡れない7分袖がいいでしょう。
習い事や教室では、腕を動かすことが多い場合があります。袖と身頃がひと続きの形なら、腕を上げても生地が引っぱられず、袖が上がりにくくなります。
腕が冷えやすい人の場合
暖房の室内でも、腕だけは冷えると感じる人もいます。この場合は、長袖を選んで、袖口から肌着が見えない程度に、薄い長袖の肌着を重ねます。二の腕の透けも防げるので、両方を一度に片づけられます。
手持ちのニットで、今日のうちに試す
最後に、手持ちの1枚を使って、今日のうちにできる確かめ方をまとめます。全部で10分ほどです。
1つ目は、袖丈です。鏡の前で腕を下ろしたときと、机に手を置いたときの2回、袖の端がどこに来るかを見ます。机に手を置いたときに、気になる場所が出ていなければ合格です。
2つ目は、袖のゆとりです。二の腕のいちばん気になる位置の生地をつまんで、指が何本入るかを数えます。指2本から手のひら1枚のあいだなら合格です。
3つ目は、透けです。明るい窓の前で、袖の内側に手を入れて、外から指の形が見えるかを確かめます。見えなければ合格です。
4つ目は、真横の見え方です。鏡で真横から見て、袖の外側の線が脇の線より外に出ていないかを見ます。
この4つを全部満たす1枚が手持ちにあれば、それが暖房の室内で羽織を脱げる1枚です。満たさないものは、羽織を脱がない日に回して、満たす1枚を職場や会食の日に着るようにします。秋冬の袖選び全般については秋の二の腕カバーでも扱っています。
隠すかどうかは、その日の自分が決めていい
最後に、1つだけ書いておきます。二の腕を隠したいかどうかは、日によって変わってかまいません。
ある日は気になって隠したい、ある日はまったく気にならない。それは自然なことです。この記事で書いた選び方は、隠したい日に、隠したまま暑さを我慢しなくて済むためのものです。隠さない日には、袖の短い1枚を着てもかまいません。
大事なのは、隠すか隠さないかを、その日の自分が選べる状態にしておくことです。暖房の室内で、羽織を脱ぐか脱がないかを我慢で決めるのではなく、手持ちの1枚で、脱ぐ自由を残しておく。袖の選び方は、そのためにあります。
室内で羽織を脱げる1枚が手持ちに1枚あれば、秋冬の外出で汗をかいたまま過ごす日が、1日ずつ減っていきます。
よくある問い
- Q. 二の腕を隠すなら長袖と7分袖、どちらがいいですか
- 気になる場所が肘より上だけなら、7分袖で隠れます。暖房の室内で手元を使う時間が長い日は、袖口が手首にかからない7分袖のほうが扱いやすくなります。袖をまくる癖がある人は、まくったときに二の腕が出てしまうので、最初から7分袖にしておくと、まくる必要がなくなります。
- Q. ゆったりした袖は、逆に腕が大きく見えませんか
- 袖のゆとりが腕まわりに手のひら1枚を超えると、腕を下ろしたときに袖の面が広がって、上半身全体が大きく見えることがあります。指2本から手のひら1枚のあいだに収まっていれば、腕の形を拾わず、面も広がりすぎません。鏡で横から見て、袖の外側の線が脇の線より外に出ていないかを確かめてください。
- Q. 暖房で暑いのに、羽織を脱げないときはどうすればいいですか
- 脱げない理由が二の腕なら、下に着る1枚を替えるのがいちばんの近道です。脱ぐ前提で選んだ1枚なら、暑いときに迷わず脱げます。すぐに替えられない日は、羽織を肩に掛けて袖を通さずにいると、腕は覆われたまま、背中と脇から熱を逃がせます。
- Q. 薄手のニットは透けて二の腕の形が見えてしまいます
- 明るい窓の前で、袖の内側に手を入れて、外から指の形が見えるかを確かめてください。見えるなら、室内の照明の下でも腕の輪郭がうっすら出ます。編み目の詰まったものに替えるか、袖の内側に肌の色に近い長袖の肌着を1枚着ると、輪郭は出にくくなります。
— メグラシ編集部





