60代 ファッション 秋冬|上着は体重計で量った重さで選び直す

**手持ちの上着を1着、いま持ってみてください。**持った瞬間に「重い」と感じたなら、60代の秋冬に最初に見直すのは、色でも形でもなくその重さです。
あなたが秋冬の装いを重たく感じているなら、答えはこうです。上着を体重計で量り、1.2kg以下の1着を毎日の上着にする。1.2kgから1.8kgのものは行き先で脱がない日に、1.8kgを超えるものは車や短い移動の日に回します。重い上着を手放す必要はありません。出番を変えるだけです。
この記事では、量り方、3つの分け方、重さの次に見る留め具、軽い上着で寒くしない重ね方を順に書きます。とくに、どちらに入れるか迷う上着の扱いを厚めに書きました。
60代の前後の装いの考え方は、70代 ファッション 秋冬|ゴムのウエストは上着の裾で隠すか決めるとアラフィフ 服 秋冬|写真で最初に目が行く場所で残す服を決めるにもまとめています。
結論:上着は1.2kgを境に分け、重い1着は「座っている日」に回す
先に全体の形を置いておきます。
| 量った重さ | 置き場所 | 向いている日 |
|---|---|---|
| 1.2kg以下 | 毎日の1着 | 買い物、通院、電車での外出、歩く時間が長い日 |
| 1.2〜1.8kg | 脱がない日の1着 | 行き先でも着たままでいられる日、寒さが強い日 |
| 1.8kg超 | 移動の短い日の1着 | 車で送ってもらう日、式や食事会など座っている時間が長い日 |
境目を1.2kgに置いたのは、腕にかけて30分ほど持っても負担に感じにくい重さの目安だからです。秋冬の外出では、上着を着ている時間と同じくらい、脱いで持っている時間があります。電車や病院の待合、お店の中。そこで持つのがつらい上着は、着ているときの見え方がどれほどよくても、出かける気持ちを削ります。
もう1つの境目の1.8kgは、厚手のウールのロングコートにしっかりした裏地がついたものが、だいたいこのあたりに入ります。それより重いものは、肩に乗せている時間を短くしたほうが、1日の終わりまで楽に過ごせます。
この3つに分けたら、毎朝の判断は「今日は歩く日か、座る日か」の1つだけになります。
量り方:体重計に、上着を持って乗る
量り方は家にあるもので足ります。
- 何も持たずに体重計に乗り、数字を見る
- 上着を1着、腕にかけて持ったまま乗る
- 2つの数字の差が、その上着の重さ
体重計の表示が0.1kg単位なら、これで十分に分けられます。0.5kg単位の体重計でも、1.2kgと1.8kgの間に入るかどうかはおおよそわかります。
量るときは、ポケットの中を空にしてください。手袋や鍵、ハンカチが入ったままだと、200gほど重く出ることがあります。フードやライナーが取り外せる上着は、ついている状態と外した状態の両方を量っておくと、あとで使い分けができます。
体重計が無い、または数字が細かく出ないときは、両手に1着ずつ持って比べてください。基準には、500mlの飲み物を2本入れた袋を使います。これがだいたい1kgです。袋と同じくらいか軽ければ毎日の側、袋の倍くらいに感じるなら重い側です。
量った数字は、上着の内側のタグの近くにマスキングテープで小さく書いておくと、衣替えのたびに量り直さずに済みます。
60代の秋冬に、上着の重さが効いてくる理由
若いころは、上着の重さを気にしたことがない方がほとんどだと思います。重さが効いてくるのは、60代になると外出の形が変わるからです。
1つ目は、着ている時間より、持っている時間が長くなることです。勤めに出ていたころは、家から職場まで着て、職場では掛けておけました。いまは、買い物、通院、習いごと、友人とのお茶と、行き先が1日に2つ3つ続くことが増えます。行き先ごとに脱いで、腕にかけて、また着る。その回数が増えるほど、重さはそのまま積み重なります。
2つ目は、移動に電車やバスを使う時間が長くなることです。座れたとしても、重い上着を着たまま座ると肩が前に引かれますし、脱いで膝に置くとかさが邪魔になります。立っているときは、つり革に手を伸ばすたびに上着の重さが肩にかかります。
3つ目は、秋冬の上着を買ったのが、いまより外出の形が違ったころだということです。10年前に気に入って買った厚手のコートは、当時の暮らしにはちょうどよかった1着です。いまの暮らしに合わなくなったのは、コートが悪くなったからではなく、使い方が変わったからです。
4つ目は、秋冬は1日の中で気温の差が大きいことです。朝は冷えていても、昼には日差しで暖かくなり、夕方にまた冷えます。朝の寒さに合わせて厚い上着を選ぶと、昼の間はそれを持ち歩くことになります。脱いだり着たりの回数が多い季節だからこそ、上着の重さがいつもより効いてきます。
ですから、重い上着を「もう着られない服」と考える必要はありません。いまの暮らしの中で、その上着が楽に働ける日を探してあげればよいのです。
1.2kg以下の上着:毎日の1着にする
1.2kg以下に入った上着は、毎日の1着にしてください。この側に入りやすいのは、薄手のウールやウールと化繊を混ぜた生地のジャケット、中綿の薄いキルティングの上着、薄手のダウン、裏地の無いニットのコートなどです。
毎日の1着に選ぶとき、重さの次に見てほしいのは丈です。お尻が半分ほど隠れる丈から、太ももの真ん中くらいまでの丈が、いちばん使いまわしが利きます。これより短いと、秋の終わりから冬にかけて腰まわりが冷えやすく、これより長いと、階段や電車の乗り降りで裾を気にする場面が増えます。
色は、手持ちのボトムスのうち、いちばん多い色と同じ系統にしておくと迷いません。黒のパンツが多いなら黒か濃い灰色、ベージュや茶のスカートが多いなら、ベージュやキャメル寄りの色です。毎日の1着は、組み合わせを考えずに羽織れることがいちばんの仕事です。
素材も、重さと見え方の両方に関わります。同じ丈と形でも、ウールの割合が高い厚手の生地は重くなり、ウールに化繊を混ぜた生地や、目のつまった薄手のウールは軽くなります。毎日の1着を選ぶときに、生地を指でつまんで、厚みが5mmほどに収まるものを目安にすると、軽さを外しにくくなります。表面に少し起毛のある生地なら、薄くても見た目に温かみが出て、秋冬らしい落ち着きが保てます。
もし1.2kg以下の上着が1着も無かったら、それが新しく1着を足す理由になります。逆に、すでに1着あるなら、買い足す前にその1着を毎日着てみてください。思ったより寒くないことが多いはずです。寒いと感じた場合の手当ては、後の「重さを中に移す」の章に書きました。
1.2〜1.8kgの上着:行き先で脱がない日に回す
真ん中の重さの上着は、行き先でも着たままでいられる日に回します。たとえば、公園や庭園を歩く日、駅から行き先まで屋外を長く歩く日、寒さが強くて屋内でもしばらくは脱がない日です。
この重さの上着は、着ている間はむしろ心地よいものが多いです。適度な重さがあると、裾がきれいに落ち、風にあおられにくくなります。つらくなるのは、脱いで持つときです。なので、脱がずに済む日に回すと、この上着のよさだけを受け取れます。
迷いやすいのは、行き先に屋内と屋外が混じる日です。その日は、屋内にいる時間を合計してみてください。合計が1時間を超えるなら毎日の1着のほう、1時間以内なら真ん中の重さの上着で大丈夫です。屋内で1時間以上持ち歩くと、真ん中の重さでも腕に残ります。
また、この重さの上着は、裏地のすべりがよいかどうかでも着心地が変わります。袖を通すときに中のニットに引っかかると、重さ以上に重く感じます。引っかかる上着は、中に着る服の袖を、すべりのよい素材のものに替えるだけで楽になります。
1.8kgを超える上着:車や短い移動の日だけにする
1.8kgを超えた上着は、移動が短い日の1着です。車で送ってもらう日、駅から行き先が近い日、式や法事、食事会のように座っている時間が長い日に回します。
この側に入るのは、厚手のウールのロングコートや、毛足の長い生地のコート、ファーの襟がついたもの、裏地に中綿を入れたものなどです。どれも見た目の格が高く、改まった日に頼りになる1着です。
重い上着を改まった日に回すと、もう1つよいことがあります。改まった日は、行き先で上着を預けられることが多いのです。式場やホテル、料亭ではクロークや掛ける場所があり、持ち歩く時間がほとんどありません。重い上着がもっとも働く日は、もともと重さが問題になりにくい日です。
逆に、普段の買い物や通院にこの上着を着ていくのはやめてください。行き先で脱いだあと、置き場所がなくて腕にかけ続けることになります。
手放すかどうかは、この冬の間にその上着を何回着たかで決めれば十分です。改まった日に1回でも着たなら、残す理由があります。1回も出番がなかったら、そのときに初めて考えてください。
行き先別:その日の上着の決め方
3つの山に分けたあとも、朝に迷う日はあります。よくある行き先ごとに、どの山から選ぶかを書いておきます。
買い物とスーパー
毎日の1着です。買い物は、店の中を歩く時間が長く、かごや袋で両手がふさがります。上着を脱いでかごに入れると、それだけで重くなります。店内が暖かいときは、前を開けて着たまま回れる軽さがいちばんです。袋を持って帰る道のりも考えると、上着は軽いほど楽になります。
病院や役所の待合
毎日の1着です。待合は暖房が効いていて、上着を脱いで膝に置く時間が長くなります。名前を呼ばれて立つとき、診察室で脱ぎ着するとき、上着はすばやく扱えるものがよいです。前の留め具が少なく、片手で脱げるものを選んでください。
友人とのお茶や食事
行き先で掛けておけるなら、真ん中の重さの上着でかまいません。席に背もたれがあり、上着を掛ける場所があるお店なら、持ち歩く時間はほとんどありません。ただ、行き先が混み合うお店で、上着を自分の膝に置くことになりそうなら、毎日の1着に戻してください。
公園、庭園、紅葉を見に行く日
真ん中の重さの上着です。屋外にいる時間が長く、脱ぐ場面が少ないので、重さが風よけとして働きます。山や川の近くは街なかより冷えやすいので、中の服で首の後ろを埋めてから出かけてください。
式、法事、改まった食事会
重い1着の出番です。会場で預けられることが多く、写真に残る場面も増えます。上着の格が、その日の装い全体を支えてくれます。駅から会場まで歩く距離が長いときだけ、タクシーを使うか、途中まで毎日の1着で行って会場で着替えるかを考えます。
孫の行事や学校の集まり
毎日の1着か、真ん中の重さの上着です。体育館や講堂は床から冷えますが、座ったり立ったりの動きが多く、上着を膝に置いておく時間もあります。軽くて、ひざ掛けのようにも使える丈の上着が便利です。
重さの次に見る、前の留め具
重さで3つに分けたら、次に前の留め具を確かめます。秋冬は手がかじかみ、手袋をしたまま留めたい場面も増えます。留めにくい上着は、結局前を開けたまま着ることになり、寒さを我慢することになります。
確かめるのは3つです。
1つ目は、ボタンの直径です。指で押さえて、2cm以上あれば、寒い日でも留めやすい大きさです。それより小さいボタンが5つも6つも並んでいる上着は、留めるのに時間がかかります。
2つ目は、ボタンの数です。前のボタンが3つ以下なら、上だけ留める、真ん中だけ留めるといった使い分けがしやすくなります。
3つ目は、ファスナーの引き手の大きさです。指先でつまんだときに、つまむ部分が1cmに満たない引き手は、手袋をしているとつかめません。引き手に短いひもや革のタブを足すと、それだけで扱いやすくなります。
ボタンが小さくて留めにくい上着は、ボタンをひと回り大きなものに付け替えることもできます。ボタン穴の大きさが変わらない範囲で、直径を2〜3mm大きくするだけでも、指のかかりがまるで違います。
留め具の位置も見ておいてください。いちばん上のボタンが鎖骨より高い位置にある上着は、留めると首まわりが詰まり、寒い日は心強い反面、屋内に入ったときに暑くなりやすいです。いちばん上のボタンが鎖骨の少し下にある上着なら、開け閉めで温度を調整しやすく、中に着た服の首元も見せられます。
前を留めずに着ることが多い方は、上着の前身ごろが重なる幅も確かめましょう。前を開けて歩いたときに、風で前が大きくあおられる上着は、手で押さえる回数が増えます。前の重なりが深い上着や、ベルトでゆるく結べる上着は、ボタンを留めなくても前が落ち着きます。結ぶだけで済むベルトは、手がかじかんでいる日にも扱いやすい留め具です。
軽い上着で寒くないようにする:重さを中に移す
軽い上着に替えると、最初の数日は寒く感じることがあります。そのときは、上着を重くするのではなく、重さを上着から中の服へ移してください。中に着たものは、脱がずにそのまま過ごせるので、持ち歩く重さになりません。
埋める場所には順番があります。
- 首の後ろ
- 背中の肩甲骨のあたり
- お腹と腰
- 手首
首の後ろは、ハイネックの薄いインナーや、薄手のストールを1枚巻くだけで、体感がかなり変わります。背中は、薄手のベストかニットのカーディガンを、上着の下に1枚足します。ベストは袖が無いぶん、上着の袖通りを邪魔しません。
お腹と腰は、上着の丈ではなく中に着るものの丈で守ります。腰が半分隠れる丈のインナーを選ぶと、かがんだときにも背中が出ません。手首は、袖口が少し長めのインナーか、手首までの指なしの手袋で埋めます。
中に足す1枚は、重さを量る必要はありませんが、厚みは見てください。上着の下に足したあと、上着の前が無理なく閉まるか、袖を通したときに肩が突っ張らないかを確かめます。中を厚くしすぎると、軽い上着の肩や袖が引っ張られ、上着が小さく見えてしまいます。薄いものを2枚重ねるほうが、厚いものを1枚着るより動きやすく、屋内で1枚だけ脱ぐこともできます。
足元も、上着の軽さを支えてくれます。足首が冷えると全身が寒く感じやすいので、くるぶしまで隠れる靴下や、厚みのあるタイツに替えるだけで、上着を重くしなくても済む日が増えます。靴は、底が厚めで地面の冷たさが伝わりにくいものを選ぶと、体感がかなり変わります。
この順で埋めていけば、1.2kg以下の上着でも、秋から冬の立ち上がりまでは十分に過ごせます。真冬の寒さの強い日だけ、真ん中の重さの上着を出せばよいのです。
どちらとも取れるとき① 軽いが、ふくらんで見える上着
量ってみると軽いのに、着ると体がひと回り大きく見える。中綿やダウンの上着でよくある迷いです。軽さを取るか、見え方を取るかで決めかねる方は多いと思います。
境目は、横から見たときの厚みです。上着を着て、鏡に横向きに立ってください。お腹の前と背中で、体の線から上着の表までの厚みが、手のひら1枚分ほどに収まっていれば、ふくらんで見えるのは気のせいの範囲です。指を2本重ねたほどの厚みを超えるなら、着たときの量感が強く出ています。
手のひら1枚分に収まっているなら、毎日の1着にしてかまいません。気になる場合は、首まわりに薄いストールを垂らして縦の線をつくると、ふくらみより縦の長さに目が行きます。
厚みが大きいなら、毎日の1着ではなく、寒さが強い日の1着に回します。そして毎日の1着には、ふくらみの少ない薄手のものをもう1着用意するか、真ん中の重さのウールの上着を「屋外の長い日」用に使ってください。
色でもふくらみの見え方は変わります。明るい色や光沢のある表地は、光を返すぶん面が大きく見えます。濃い色でつやの少ない表地なら、同じ厚みでも締まって見えます。軽い中綿の上着を毎日の1着にしたいなら、表地のつやが控えめで、手持ちのボトムスと同じ系統の濃さのものを選ぶと、ふくらみが目立ちにくくなります。
もう1つの見方は、縫い目の間隔です。キルティングの縫い目の間が広い上着ほど、ふくらみが目立ちにくく、ウールの上着に近い落ち着いた見え方になります。
どちらとも取れるとき② 重いが、いちばん気に入っている1着
量ったら1.8kgを超えていた。でも、それがいちばん気に入っていて、毎日でも着たい。この迷いは、量ってみた方の多くが通ります。
まず知っておいてほしいのは、気に入っている上着ほど重くなりやすいということです。気に入った理由をたどると、生地の厚みがつくる落ち着き、裾のきれいな落ち方、ふっくらとした襟の形といった、どれも重さにつながる部分であることが多いのです。重さはその上着のよさの一部なので、重さだけを取り除くことはできません。だからこそ、重さが負担にならない日を選んで着る、という考え方が合っています。
ここで考えてほしいのは、その上着を「着て歩く時間」と「脱いで持つ時間」です。気に入っている上着でも、この2つが長い日に着ると、帰るころには上着のことを好きでいられなくなります。それはもったいないことです。
家族や友人に車で送ってもらえる日、駅前で待ち合わせてすぐにお店に入る日など、歩く時間が短くなる予定は、思っているより多くあるものです。手帳やカレンダーを見返して、そうした日に印をつけておくと、気に入っている上着の出番が自然と見つかります。
決め方は次のとおりです。
- 着て歩く時間が片道15分以内、かつ行き先で掛けておける日:着ていく
- 行き先で脱いで持つ時間が30分を超える日:毎日の1着にする
- どちらも長い日:この上着の日ではない
こうして出番を絞ると、気に入っている上着を着る日が「特別な日」になります。特別な日に着ると、写真に残る機会も増えます。いちばん好きな上着が、いちばんよい場面に残るのは悪いことではありません。
それでも普段から着たいときは、重さの元を探してみてください。取り外せるライナーやファーの襟がついているなら、外すだけで300〜500gほど軽くなることがあります。外した状態で量り直して、1.8kgを下回れば真ん中の重さの上着として扱えます。
どちらとも取れるとき③ 1.2kg前後でぎりぎりの上着
量ったら1.1kgや1.3kg。境目のすぐそばで、どちらに入れたらよいかわからない上着もあります。
この場合は、数字ではなく、腕にかけて持ってみた感覚で決めてください。家の中で上着を腕にかけて、テレビを見ながら、またはお茶をいれながら、そのまま10分過ごします。10分たって「もう置きたい」と思ったら真ん中の重さの側、気にならなかったら毎日の側です。
同じ重さでも、生地のやわらかさで感じ方が変わります。やわらかい生地はたたんで小さく持てるので、軽く感じます。かたい生地は腕の上で形を保とうとするので、同じ重さでも重く感じます。
また、境目の上着は、季節の中で置き場所を変えてもかまいません。秋の暖かい日には中に着るものが少ないので、上着ごと脱いで持つ時間が長くなります。その時期は真ん中の側に置き、冬になって中に着込むようになったら、上着を脱がずに過ごせる時間が増えるので毎日の側に移す、といった使い方ができます。
新しく買うときに売り場で確かめること
手持ちに毎日の1着が無く、新しく買うときは、売り場で次のことを確かめてください。上着のタグに重さが書いてあることはほとんどありません。
1つ目は、両手で持ち比べることです。同じ売り場で、形の近い上着を2着、右手と左手に1着ずつ持ちます。軽いほうを残して、次の1着と比べる。これを3回ほど繰り返すと、その売り場でいちばん軽い候補が残ります。
2つ目は、肩に掛けたまま腕を前に伸ばしてみることです。つり革をつかむ動きや、棚の上の物を取る動きです。肩のあたりで生地が突っ張ったり、背中が引かれたりする上着は、重さ以上に重く感じます。
3つ目は、袖を通すときのすべりです。いま着ているニットやブラウスの上から試着して、袖がすっと通るかを確かめます。腕を入れるときに中の服がたくし上がる上着は、毎日の脱ぎ着が面倒になります。
4つ目は、たたんだときの大きさです。試着のあと、腕にかけたときにどのくらいの大きさになるかを見てください。電車で膝に置いたときに、太ももからはみ出さない大きさが目安です。
5つ目は、ポケットの位置です。両手を入れてみて、ひじが自然に曲がる高さにポケットがあるかを確かめます。ポケットが低すぎると肩が下に引かれ、高すぎると腕が窮屈になります。秋冬は手を温めるためにポケットを使う時間が長いので、この高さが合っているだけで、上着を着ている時間の楽さが変わります。ポケットに物を入れすぎると、せっかくの軽さが失われることも覚えておいてください。鍵や小銭入れは、上着ではなくかばんに入れるほうが、上着の形もきれいに保てます。
50代までの選び方から変えるところ
50代までは、上着を選ぶときに見た目の格と流行を優先してきた方が多いと思います。60代の秋冬では、その順番を少し入れ替えると楽になります。
これまで:見た目の格、色、形、それから着心地。
これから:重さ、留めやすさ、袖のすべり、それから見た目の格と色。
順番を入れ替えるといっても、見た目をあきらめるわけではありません。重さと留めやすさで候補を2〜3着に絞ってから、その中で見た目のいちばんよいものを選ぶ、という順番になるだけです。最初に見た目で選ぶと、重さの条件で全部落ちることがありますが、先に重さで絞れば、残った中から気に入るものを選べます。
もう1つ変えるところは、上着の数の持ち方です。50代までは、色違いや丈違いで上着を何着も持つことがよくありました。60代からは、重さの違う3着、つまり毎日の1着、脱がない日の1着、改まった日の1着の3着を基本にすると、毎朝の判断が楽になります。それぞれの重さの中で色や形を選べば、手持ちが少なくても困りません。
3つ目に変えるところは、上着と中の服の役割分担です。これまでは上着1枚で寒さを防ぎ、中は薄く着る方が多かったと思います。これからは、上着は軽くして風よけと見た目を受け持たせ、温かさは中の服で受け持たせます。中の服は家の中や行き先でも着たままなので、温かさを中に寄せるほど、1日を通して快適に過ごせます。上着を軽くしたぶん、首元のストールや中のカーディガンの色で、その日の装いに変化をつける楽しみも増えます。
今ある上着を、一度に並べて分ける手順
最後に、手持ちの上着を一度に分ける手順をまとめます。30分ほどで終わります。
- 秋冬の上着を全部出して、ベッドかソファの上に並べる
- 1着ずつ持って体重計に乗り、重さを量ってタグの近くに書く
- 1.2kg以下、1.2〜1.8kg、1.8kg超の3つの山に分ける
- 1.2kg以下の山から、いちばん丈と色が使いやすい1着を毎日の1着に決める
- それぞれの上着の前の留め具を確かめて、留めにくいものに印をつける
- 留めにくいものは、ボタンの付け替えか引き手の追加を考える
- 1.8kg超の山は、改まった日の予定を思い浮かべて、出番があるかを確かめる
分け終わったら、毎日の1着を玄関に近い場所に掛けておいてください。出かけるときに迷わず手に取れる場所にあることも、外出を楽にする大切な工夫です。
分けている途中で、どの山にも入れにくい上着が出てくることがあります。たとえば、軽いけれど丈が短すぎて寒い上着や、真ん中の重さなのに留め具が壊れている上着です。こうした上着は、無理に山に入れず、別にしておいてください。直せば使えるものは直し、この冬に一度も手に取らなかったものは、次の衣替えのときにもう一度考えれば十分です。分けることの目的は、毎朝の判断を楽にすることで、上着を減らすことではありません。
重い上着は、クローゼットの奥ではなく、改まった日の服と一緒に掛けておくと、出番を思い出しやすくなります。
まとめ
60代の秋冬の装いが重たく感じたら、最初に上着を量ってください。
- 上着を持って体重計に乗り、自分だけで乗ったときとの差を見る
- 1.2kg以下は毎日の1着、1.2〜1.8kgは脱がない日、1.8kg超は移動の短い日に回す
- 重さの次は前の留め具。ボタンの直径2cm以上、引き手は指でつまめる大きさ
- 軽い上着で寒いときは、首の後ろ、背中、お腹と腰、手首の順に中の服で埋める
- 迷う上着は、横から見た厚み、着て歩く時間と持つ時間、腕にかけて10分の感覚で決める
重い上着も、気に入っている上着も、手放さなくてかまいません。いまの暮らしの中で、それぞれが楽に働ける日に回すだけです。出かける前に上着のことを考えなくて済むようになると、秋冬の外出がもう一度楽しくなります。
よくある問い
- Q. 60代の秋冬、コートが重くて出かけるのがおっくうです。買い替えたほうがいいですか
- 買い替える前に、手持ちの上着を全部量ってください。持って体重計に乗り、自分だけで乗ったときとの差を見ます。1.2kg以下のものが1着でもあれば、それを毎日の1着にして、重いほうは座っている時間が長い日に回すだけで、おっくうさはかなり減ります。1着も無いときに初めて、軽い1着を足すことを考えてください。
- Q. 軽いダウンは若い人向けに見えて、品がない気がします
- 軽さとふくらみは別のものです。横から見たときの厚みが手のひら1枚分ほどに収まる薄手のものなら、ふくらんで見えません。表地につやが少なく、縫い目の間隔が広いものを選ぶと、ウールの上着に近い落ち着きが出ます。気になるなら、上に薄いストールを1枚かけて首まわりの面をつくってください。
- Q. 重いウールのコートがいちばん気に入っています。もう着ないほうがいいですか
- 手放す必要はありません。行き先で脱がない日、車で送ってもらう日、式や食事会のように座っている時間が長い日に回してください。重さがつらいのは、着て歩く時間と、脱いで腕にかけて持つ時間です。その2つが短い日なら、重い1着はいちばん頼りになる1着のままです。
- Q. 体重計が家に無い、または細かい数字が出ません
- 両手に1着ずつ持って、どちらが重いかを比べるだけでも分けられます。基準にするのは、手持ちのいちばん軽い上着と、500mlの飲み物2本ぶんを入れた袋です。袋より軽ければ毎日の側、袋の倍くらいに感じるなら重い側と考えてください。
— メグラシ編集部





