レインコートの選び方 冬|中に着る1枚と、蒸れの抜け道で選ぶ

**冬の冷たい雨の日に、レインコートの中が湿って冷えるなら、あなたが見直すのは防水の強さではありません。**中に着る1枚と、蒸れが抜ける道の2つです。
外を歩くのが15分以下なら、前を開けやすい形で、中にはウールのニットを1枚。15分から30分なら、脇か背中に通気口がある形で、中には薄手の化繊の中綿。30分を超える日が多いなら、透湿の表示がある生地を選び、中の1枚は汗を吸っても冷えにくいウールにしてください。
この記事では、この3つの分け方の根拠と、どちらの型にも当てはまらない日にどうするかを順に書きます。秋の雨の日の靴は雨の日の靴 女性|秋雨の通勤は、濡れて歩く分数と職場の床で選ぶに、レインコートのサイズそのものはレインコートのサイズ選び方ともつながる話なので、あわせて読んでください。
結論:冬のレインコートは、中に着る1枚から逆算して選ぶ
秋のはじめのレインコートは、薄手のシャツやカットソーの上に羽織るものでした。冬になると、中に着るものがニットになり、薄手のダウンになり、ウールのコートになります。中の1枚が厚くなるのに、レインコートを同じ基準で選んでいると、身幅が足りず、通気も足りなくなります。
選ぶ順番は、次の通りです。
| 先に決めること | 測るもの | 決まること |
|---|---|---|
| 外を歩く分数 | 家から駅、駅から職場までの合計 | 通気口の位置と、透湿の要否 |
| 中に着る1枚 | その1枚を着たときの胸囲 | 身幅のゆとり |
| 着いたあとの扱い | 脱いで干せる場所があるか | 丈と、たためる生地かどうか |
この表は、迷ったときにどこから決めるかの順番を示すためのものです。答えは1つではなく、あなたの歩く分数と中の1枚で変わります。
防水の数値は最後に見るくらいで構いません。冬の街の雨は、夕立のように強く降り続くことが少なく、多くは弱い雨が長く続きます。防水の数値が高い生地でも、中が蒸れていれば、体は濡れたときと同じように冷えます。
切り替えの目安は、朝の気温です。朝の気温が12度を下回る日が続くようになったら、中に着る1枚が厚くなる時期に入っています。秋のはじめに買ったレインコートを、そのまま冬の雨にも着るつもりなら、この時期に一度、冬の中の1枚を着た上から羽織って確かめておいてください。
売り場で選ぶときは、できれば冬にいちばん厚くする中の1枚を着て出かけてください。それが難しければ、手持ちのダウンや中綿のベストをバッグに入れて持っていき、試着の前に着てから羽織ると、身幅の足りなさに後から気づくことが減ります。
なぜ冬のほうが、中が湿りやすいのか
冬は汗をかかないと思われがちです。けれど、早足で10分歩けば、体からは目に見えない水分が出ています。晴れた日は、この水分がコートの生地の隙間から外へ抜けていきます。
雨の日のレインコートは、外からの水を止めるために、目の詰まった生地でできています。外の水を止める生地は、内側の水分も外へ出しにくい性質を持っています。そこへ外の空気が冷たいと、内側にたまった水分がレインコートの裏で冷やされ、しずくになって中の服に戻ってきます。
これが「防水なのに中が濡れた」の正体です。窓ガラスの内側が冬に曇るのと同じ仕組みだと考えると、わかりやすいと思います。外が寒いほど、内側の水分は早くしずくになります。
つまり、冬の冷たい雨では、体から出る水分の量と、それを逃がす道のつり合いで、快適さが決まります。出る量を減らすのが中の1枚の選び方、逃がす道を作るのがレインコートの形の選び方です。
中の湿りが雨なのか蒸れなのかは、濡れた場所で見分けられます。肩の上、前の合わせ目、袖口のまわりが湿っているなら、外から雨が入っています。背中の真ん中、脇の下、二の腕の内側が湿っているなら、それは体から出た水分です。着いたらすぐ、中の服のこの2つの場所を手のひらで触って比べてください。
歩く速さも影響します。同じ15分でも、時計を見ながら早足で歩く日と、ゆっくり歩く日では、体から出る水分の量が倍ほど違います。通勤の朝は早足になりやすいので、帰りより朝のほうが中が湿りやすいと考えておくと、判断がずれません。
自分の型を決める3つの問い
まず、次の3つに答えてください。紙に書き出すと、後の判断が早くなります。
1つ目は、雨の日に外を歩く分数の合計です。家から最寄り駅まで、乗り換えで外を歩く分、駅から職場や学校までを足します。傘を差して歩く時間ではなく、レインコートを着ている時間で数えてください。
2つ目は、レインコートの中に何を着るかです。ニット1枚なのか、薄手のダウンなのか、ウールのコートの上からなのか。冬は日によって変わる人も多いので、いちばん厚いものを基準にします。
3つ目は、着いたあとにレインコートをどうするかです。脱いでハンガーにかけられる場所がある、ロッカーに入れる、たたんでバッグに入れる、の3つに分けてください。
この3つの答えから、次の3つの型のどれに近いかを見ます。
| 型 | 歩く分数 | 中の1枚 | 通気の優先度 |
|---|---|---|---|
| 短い道の型 | 15分以下 | ニット1枚 | 低い。前を開けられれば足りる |
| 中くらいの型 | 15〜30分 | 薄手のダウンや中綿 | 中。脇か背中の通気口がほしい |
| 長い道の型 | 30分超 | ウールのニットとコート | 高い。透湿の生地と通気口の両方 |
歩く分数がはっきりしないなら、雨の日に1週間だけ、家を出た時刻と着いた時刻をメモしてみてください。電車に乗っている時間を引けば、外にいた分数が出ます。思っていたより長い人も短い人もいて、それだけで選ぶ型が変わることがあります。
傘と一緒にレインコートを着る人は、雨が体に当たる量が減るぶん、型を1つ短いほうに寄せて考えて構いません。ただ、傘を差すと片手がふさがり、腕の振りが小さくなるので、脇の通気口は効きにくくなります。傘と併せるなら、背中か首の後ろの通気口を優先してください。
短い道の型:15分以下なら、前の開け閉めで調整する
外を歩くのが15分以下なら、体から出る水分の量はそれほど多くありません。この型の人は、通気口の有無よりも、前を開けやすいかどうかを見てください。
前がファスナーとボタンの二重になっている形は、雨には強い一方で、歩きながら少し開けることが難しくなります。ファスナーだけ、またはスナップボタンだけの形なら、駅の階段を上がって体が温まったときに、胸元を10センチほど開けて熱を逃がせます。
中に着る1枚は、ウールか、ウールの混ざったニットが合います。ウールは、自分の重さの3割近くまで水分を吸っても、触ったときに湿った感じが出にくい繊維です。綿のパーカーやスウェットは、吸った水分をそのまま肌に近いところにとどめるので、冬の雨の日には避けたほうが冷えにくくなります。
身幅は、ニットを着た状態の胸囲に、8センチから10センチを足した数字が目安です。平置きの寸法で身幅が書いてある場合は、その数字を2倍すると、ぐるりの胸囲になります。
丈は、膝が隠れるかどうかで決めてください。15分以下なら、膝上の丈でも、スカートやパンツの裾が濡れる範囲はそれほど広がりません。裾の濡れ方を詳しく見たい人は雨の日のパンツと雨の日のスカート丈を参考にしてください。
フードは、短い道の型ではなくても困らない部分です。傘と併せるなら、フードのない形のほうが首まわりがすっきりして、前を開けたときの熱の抜けもよくなります。フードが付いているなら、取り外せる形を選んでおくと、雨の弱い日には外して身軽にできます。
スナップボタンの形を選ぶなら、ボタンの間隔も見てください。間隔が12センチを超えると、ボタンとボタンの間から雨が吹き込みやすくなります。間隔が狭いほど雨には強く、開け閉めの手間は増えます。短い道の型なら、10センチ前後がちょうどよい間です。
中くらいの型:15分から30分なら、脇か背中に逃げ道をつくる
15分を超えて歩くと、体が温まり、出る水分が増えます。この型の人は、通気口がどこにあるかを見てください。
レインコートの通気口は、だいたい3か所にあります。脇の下、背中の肩甲骨のあたり、そして首の後ろです。
脇の下の通気口は、腕を振るたびに空気が入れ替わるので、歩く量が多い人に向いています。ただし、横から吹き込む雨に弱いので、風の強い地域や、ビルの間を歩く道では、雨が入ることがあります。
背中の通気口は、肩の切り替えに布がかぶさっていて、その下が開いている形です。上から降る雨は入りにくく、背中にこもった熱が上に抜けます。リュックを背負う人は、通気口がふさがれるので、効果が半分くらいになると考えてください。
首の後ろの通気口は、フードの付け根に小さく開いているものです。量は少ないものの、首まわりの熱はいちばん上がりやすいので、思った以上に効きます。
中に着る1枚は、薄手の化繊の中綿か、ウールのニットが合います。羽毛の薄手ダウンも使えますが、羽毛は湿気を吸うとふくらみが落ちるので、レインコートの中で蒸れると暖かさが下がります。30分近く歩く日が多いなら、化繊の中綿のほうが、湿ったときの暖かさが残ります。
身幅は、中綿を着た状態の胸囲に、10センチから12センチを足した数字が目安です。中綿をつぶさずに羽織れることが大切で、つぶれると、中綿の中の空気が減って暖かさが落ちます。
通気口の効き方は、売り場でも確かめられます。羽織ったまま両腕を頭の上まで上げ、ゆっくり下ろしてください。脇の通気口がある形なら、このとき脇の下に空気が動くのが分かります。背中の通気口は、肩甲骨を寄せて胸を張ると、布の下が開くのが感じられます。
ショルダーバッグを斜めにかける人は、ベルトが背中の通気口をふさがないかも見てください。ベルトが肩甲骨の上を横切ると、背中の通気口の片側が押さえられます。バッグを反対側の肩にかけ直すか、手に持つバッグにするだけで、背中の熱の抜けが戻ります。
通気口のファスナーは、手袋をしたままでも開け閉めできるかを確かめてください。冬の朝は手袋をして歩くことが多く、小さなファスナーの引き手は、手袋の指ではつまみにくいことがあります。引き手に紐が付いているものなら、手袋のままでも開けられます。
長い道の型:30分を超えるなら、生地の透湿まで見る
外を30分以上歩く人は、通気口だけでは水分を逃がしきれません。この型の人は、生地そのものに透湿の性質があるかを確かめてください。
透湿の生地は、水滴は通さないけれど、水蒸気は通す、目に見えないほど細かい穴を持っています。下げ札や内側の表示に、透湿の数値が書かれていることがあります。数値は、1平方メートルの生地が1日にどれだけの水蒸気を通すかを示していて、大きいほど蒸れにくくなります。
目安としては、外を30分から45分歩くなら、透湿の数値が5,000以上の生地を選ぶと、多くの人は中の湿りを感じにくくなります。1時間近く歩く、あるいは坂道や階段が多い道なら、10,000以上を目安にしてください。
透湿の表示がない生地でも、通気口が2か所以上あれば、30分程度なら大きく困ることはありません。逆に、透湿の数値が高くても、身幅が足りず中の服と生地が密着していると、水蒸気の通り道がつぶれて効果が出にくくなります。
中に着る1枚は、肌に近い側をウールにしてください。ウールのニットの上にウールのコートを重ね、その上からレインコートを羽織る形が、長い道の型ではいちばん冷えにくい組み合わせです。
長く歩く人は、縫い目の処理も見てください。レインコートの裏を返すと、縫い目に細いテープが貼られているものがあります。このテープがあると、縫い目の針穴から雨が染みにくくなります。30分を超えて雨の中を歩くと、テープのない縫い目からは少しずつ水が入るので、肩と背中の縫い目にテープがあるかを確かめてください。
生地がしっかりしたものほど重くなるのも、長い道の型の悩みです。持ち上げてみて重いと感じたら、肩に乗る重さが一日の疲れにつながります。透湿の数値が同じくらいなら、軽いほうを選んでください。重さは、ハンガーにかけたまま片手で持ち上げて比べると分かりやすくなります。
中に着る1枚は、肌側の素材から選ぶ
ここまで何度か出てきたように、冬のレインコートの快適さは、中の1枚で大きく変わります。選ぶときは、外側ではなく、肌に近い側の素材から考えてください。
| 肌側の素材 | 汗を吸ったとき | 冬の雨の日 |
|---|---|---|
| ウール | 湿っても冷たく感じにくい | いちばん向いている |
| 化繊 | 吸わずに外へ流す | 通気口があるなら向いている |
| 綿 | 吸って肌の近くにとどめる | 長く歩く日は避けたい |
綿のカットソーを肌着にして、その上にニットを着る人は多いと思います。短い道の型なら、それでも困りません。中くらいの型と長い道の型では、肌着を化繊か、ウールの混ざったものに替えるだけで、着いたあとの冷えがかなり減ります。
着ていて湿っぽさを感じた日は、着いてから肌着だけでも替えられるように、薄い1枚をバッグに入れておくと安心です。とくに背中は、自分では湿りに気づきにくく、座ってから冷えが来ます。
首と手首も、冷えと蒸れの出入り口です。首に薄いウールのストールやネックウォーマーを巻いておくと、外の冷たい空気が首元から入りにくくなり、暑くなったら外すだけで熱を逃がせます。手首は、ニットの袖口をレインコートの袖の中に入れておくと、袖口から雨が伝って入りにくくなります。
身幅のゆとりは、中の1枚を着たまま測る
レインコートを選ぶときに、いちばん間違えやすいのが身幅です。売り場で試すときは、当日着ている服の上から羽織ることになります。その日の服が薄手なら、冬にダウンを着たときには窮屈になります。
手持ちのレインコートがあるなら、冬にいちばん厚くする組み合わせを着て、その上から羽織ってみてください。腕を前に伸ばしたとき、背中が突っ張らないか。肩を回したとき、脇の下が引っかからないか。この2つが楽にできれば、身幅は足りています。
新しく選ぶなら、中の1枚を着た状態の胸囲をメジャーで測り、それに型ごとの数字を足して、平置きの身幅を2倍した数字と比べてください。足りなければ、ひとつ大きいサイズを見ます。
ひとつ大きいサイズにすると、肩の縫い目が二の腕のほうへ落ち、袖が長くなります。肩が落ちる形のレインコートは、もともとゆとりを見込んで作られているので、肩が2センチから3センチ落ちる程度なら気にしなくて大丈夫です。袖は、手首の骨が隠れて、親指の付け根にかからない長さが、濡れにくく動きやすい境目です。
袖まわりのゆとりも、身幅と同じくらい大切です。厚手のニットやダウンの袖は、腕のまわりをふくらませます。レインコートの袖が細いと、腕を曲げたときにひじの内側が突っ張り、そこから肩まで引っ張られます。羽織ったまま、両手でつり革をつかむように腕を上げ、ひじを曲げ伸ばししてみてください。ひじの内側が引っかからなければ、袖まわりも足りています。
丈は、膝から下の何センチが濡れるかで決める
冬の雨の日は、スカートでもパンツでも、裾が濡れると一日じゅう冷たさが残ります。レインコートの丈は、どこまでを雨から守りたいかで決めてください。
膝が隠れる丈なら、膝から下の20センチほどが雨にさらされます。ふくらはぎの真ん中までの丈なら、さらされるのは足首まわりの10センチほどです。
長い道の型では、ふくらはぎの真ん中までの丈を選ぶと、ボトムの裾が濡れる範囲がぐっと狭くなります。ただ、丈が長くなると、歩くたびに裾がふくらはぎに当たって、そこから水が伝わることがあります。後ろにスリットがある形なら、歩幅が確保できて、裾が脚に当たりにくくなります。
短い道の型では、膝が隠れる丈で十分です。長すぎる丈は、たたんだときにかさばり、着いたあとの扱いが面倒になります。
前と後ろで丈が違う形もあります。後ろが前より5センチほど長い形は、歩くときに後ろの裾がふくらはぎを守り、前は脚の動きを邪魔しません。長く歩く人には向いていますが、座ったときに後ろの裾を踏みやすいので、電車で座る時間が長い人は気をつけてください。
冬の夕方は、色の明るさも選ぶ理由になる
冬は日が短く、仕事や学校の帰りには、もう暗くなっていることが多くなります。雨の日の夕方は、車の運転席から歩いている人が見えにくい条件が重なります。
濃い紺や黒のレインコートは、昼間はすっきり見えても、雨の夕方には背景に溶けてしまいます。帰りの道が車の多い道路沿いなら、明るめの色を選ぶか、反射する小さな部分がある形を選ぶと安心です。
明るい色に抵抗があるなら、ベージュやくすんだ黄色、明るめの灰色など、服になじむ色から始めてください。真っ白はすぐに汚れが目立つので、雨の日には扱いにくくなります。
色を決めるときは、裾の後ろの汚れも考えてください。雨の日は、歩くたびに路面の泥はねが後ろの裾に上がります。明るい色ほど目立つので、明るめの色を選ぶなら、洗える生地にしておくと気が楽です。くすんだ中間の色は、泥はねも目立ちにくく、夕方の見えやすさとのつり合いがとれます。
どちらとも取れるとき|型が1つに決まらない日の選び方
3つの型は、毎日同じ道を同じ服で歩く人を前提にしています。実際には、歩く分数が日によって違ったり、自転車と徒歩が混ざったり、着いた先で干せなかったりします。ここからは、型が1つに決まらない人が、どこで折り合いをつけるかを4つの場面に分けて書きます。どの場面でも、先に決めるのは「いちばん困る日」をどこに置くかです。困る日に合わせて選んでおけば、それ以外の日は前を開けるか、中の1枚を薄くするだけで調整できます。
どちらとも取れるとき①|歩く分数が日によって違う
在宅勤務と出社が混ざっている人や、日によって行き先が変わる人は、歩く分数が一定ではありません。15分の日もあれば、40分の日もある。この場合、どの型に合わせて選べばいいか迷うと思います。
決め方は、雨の日に長く歩く日が月に何回あるかで分けてください。30分を超える日が月に2回以下なら、中くらいの型で選んで、長く歩く日だけ中の1枚をウールにして、肌着を化繊に替えます。月に3回以上あるなら、長い道の型で選んでください。
長い道の型のレインコートを、短い道の日に着ても困ることはほとんどありません。逆に、短い道の型のレインコートで長く歩くと、中が湿って冷えます。迷ったら、長いほうに合わせるのが安全です。
ただし、長い道の型で選ぶと、生地がしっかりしていて重くなることがあります。重さが気になるなら、通気口が2か所以上ある中くらいの型を選び、長く歩く日だけ首元を開けて歩く、という使い方もできます。
月に何回かを数えるのが難しければ、去年の冬の手帳やカレンダーを見返して、出社した日や遠くへ出かけた日を数えてみてください。雨の日だけに絞らなくても、長く歩く日の割合が分かれば、雨の日もほぼ同じ割合になります。
どちらとも取れるとき②|自転車にも乗るし、歩きもする
駅まで自転車、駅から先は歩く、という人もいると思います。自転車に乗ると、前から風を受けるので、体の前側が冷え、背中には汗がこもります。歩くときとは、冷える場所と蒸れる場所が逆になりやすいのです。
この場合は、前がしっかり閉じる形で、背中に通気口があるものを選んでください。脇の下の通気口は、自転車に乗ると前からの風で雨が吹き込みやすくなります。
丈は、自転車に乗ったときに膝が隠れるかどうかで決めます。歩くときの丈ではなく、サドルに座ったときの丈で見てください。座ると、着丈は立っているときより10センチほど短くなります。自転車での送迎が中心なら雨の日の自転車送迎で、丈と脱ぐ場所の関係を詳しく書いています。
自転車の日は、手袋も忘れないでください。ハンドルを握る手は、前からの風と雨をいちばん受けます。手が冷えると、体全体が寒く感じて、中の1枚を厚くしたくなります。手を温めておけば、中の1枚は徒歩の日と同じでも済むことが多くなります。
どちらとも取れるとき③|着いた先で干す場所がない
職場や学校で、濡れたレインコートを干す場所がない人は多いと思います。ロッカーに入れるか、たたんでバッグに入れるしかない。この場合は、透湿や通気よりも、水を切りやすい生地かどうかを優先してください。
表面の撥水がよく効いている生地は、軽く振るだけで水滴がほとんど落ちます。たたんで袋に入れても、中で水がたまりにくくなります。撥水が落ちている生地は、表が水を吸って重くなり、たたむと中の服や書類まで湿らせます。
撥水の効きを保つには、汚れを落とすことと、熱を加えることが基本です。具体的な手入れはレインコートの撥水が効かなくなったときにまとめているので、そちらを見てください。
干す場所がない人は、身幅のゆとりも、少し控えめにしてかまいません。ゆとりが大きいほど、たたんだときにかさばります。中の1枚をウールのニットにとどめ、ダウンを着る日はダウンの上ではなく、ダウンだけで出かけて、レインコートは折りたたみ傘と組み合わせる、という分け方もあります。
たたんでバッグに入れるなら、薄い袋を1枚持っておくと安心です。水を切ってから袋に入れ、口を軽く結んでおけば、バッグの中の書類や手帳が湿りません。帰る前に袋から出して、少しの時間でも広げておくと、帰りに羽織るときの冷たさが和らぎます。
どちらとも取れるとき④|外は寒く、電車の中は暑い
冬の雨の日は、外は冷たいのに、電車やバスの中は暖房が効いています。外で冷えないように中の1枚を厚くすると、車内で汗をかき、また外に出たときにその汗が冷える、という繰り返しになります。
この場合は、レインコートで暖かさを足すのではなく、中の1枚を脱ぎ着しやすくするほうが効きます。厚手のニット1枚より、薄手のニットとカーディガンの2枚にしておけば、車内ではカーディガンを脱いでバッグに入れられます。
レインコートは、車内で前を全部開けてください。脱がなくても、前を開けるだけで、こもった熱の多くは逃げます。前を開けやすい形を選ぶことが、ここでも効いてきます。
乗っている時間が20分を超える人は、レインコートを脱いで手に持つほうが、汗をかかずに済みます。その場合は、撥水がよく効いていて、軽く振れば水が落ちる生地のほうが、周りの人の服を濡らさずに済みます。
車内で前を開けたあと、外に出る前に閉め直すのを忘れがちです。駅に着いたら、改札を出る前に前を閉め、首元だけ少し開けておく。この順番を決めておくと、外に出た瞬間の冷たい雨と風で体が冷えるのを防げます。
手持ちのレインコートを冬に使い続けるなら
すでにレインコートを持っていて、新しく買うほどではないと感じる人もいると思います。手持ちの1着を冬にも使うなら、中の1枚の工夫で、ほとんどのことは解決します。
まず、手持ちのレインコートに、冬にいちばん厚くする組み合わせを着て羽織ってみてください。腕を前に伸ばして背中が突っ張るなら、中の1枚を薄くする必要があります。薄手の化繊の中綿ベストに替えると、腕まわりが楽になり、胴まわりの暖かさは残ります。
通気口がないレインコートなら、首元を開けて歩くことを前提にしてください。首に薄いウールのストールを巻いておけば、首元を開けても冷たい雨が直接入りにくく、熱だけが上に抜けます。
それでも中が湿る日が続くなら、そのレインコートは秋と春の雨の日用にして、冬は別の1着を考える時期です。
手持ちのレインコートの撥水が弱っているなら、冬の前に一度手入れをしておいてください。表の生地が水を吸うと、外の冷たさがそのまま中に伝わり、蒸れと合わさって冷えが強くなります。撥水が戻るだけで、同じ1着でも冬の雨の日の着心地はかなり変わります。
長く使うために、シーズン終わりにしておくこと
冬の終わりに、レインコートを洗って、しっかり乾かしてからしまってください。皮脂や汗の汚れが残ったままだと、撥水が落ちやすくなるうえ、内側の生地も傷みます。
洗い方は、内側の表示に従うのが基本です。洗えるものなら、中性の洗剤で押し洗いして、よくすすぎます。すすぎが足りないと、残った洗剤が水を呼び込んで、撥水が効きにくくなります。
乾いたら、表示が許す範囲で、低めの温度のアイロンを当て布越しにかけるか、乾燥機を短く回すと、撥水が戻りやすくなります。たたむときは、折り目が毎回同じところにつかないよう、少しずつずらしてください。同じ折り目に負担がかかり続けると、そこから水が染みるようになります。
しまう場所は、湿気の少ないところを選んでください。押し入れの奥や、床に近い場所は湿気がたまりやすく、次の雨の季節に出したとき、内側の生地がべたついていることがあります。ハンガーにかけてクローゼットの上のほうにしまうか、ゆるくたたんで通気のよい袋に入れておくと、次の冬にもそのまま着られます。
まとめ:冬のレインコートは、体から出る水分と逃げ道のつり合い
冬の冷たい雨にレインコートを着て、中が湿って冷えるなら、多くの場合は雨ではなく、自分の体から出た水分が原因です。
外を歩く分数で型を決め、中に着る1枚を肌側の素材から選び、身幅は中の1枚を着たまま測る。通気口は、歩く量が多いほど大切になり、30分を超えるなら生地の透湿まで見る。
この順番で選べば、防水の数値を比べて迷う時間はずっと短くなります。
雨の日の装いを、ほかの場面でも組み立てたい人は、雨の日のバッグの選び方や雨の日の旅行の服装もあわせて読んでみてください。
冬の雨の日の不快さは、我慢するしかないものではありません。中の1枚と、蒸れの逃げ道を見直すだけで、同じ道を同じ時間歩いても、着いたときの体の冷え方はずいぶん変わります。次に冷たい雨が降る朝には、まず歩く分数と、中に着る1枚から考えてみてください。
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よくある問い
- Q. 冬のレインコートは裏地付きのほうが暖かいですか
- 裏地は暖かさよりも、中の服との滑りをよくする役目が大きいと考えてください。外を歩くのが15分以下なら、裏地付きでも困りません。30分を超えて歩く日が多いなら、裏地が汗の水分をため込んで、かえって中が湿りやすくなります。暖かさは中に着る1枚で足し、レインコートは雨を止めることと蒸れを逃がすことに役割を絞ったほうが、冬の冷たい雨では快適です。
- Q. ダウンコートの上からレインコートを着てもいいですか
- 着られますが、身幅にゆとりがないと中の羽毛がつぶれて、暖かさが落ちます。ダウンを着たまま胸囲を測り、その数字に12センチ以上を足した身幅のレインコートを選んでください。押しつぶさずに羽織れれば、ダウンの暖かさとレインコートの防水が両方残ります。駅の階段など体が温まる場面では、首元を開けて熱を逃がしてください。
- Q. レインコートの中が濡れるのは、撥水が落ちたからですか
- 撥水が落ちると表の生地が水を吸って重くなり、その冷たさで中が湿ったように感じることはあります。ただ、表面に水玉ができて転がっているのに中だけ湿るなら、原因は撥水ではなく蒸れです。表を手でなでて水が玉になるかを先に確かめ、玉になるなら通気と中の1枚を見直してください。
- Q. ポンチョは冬の雨にも向いていますか
- 裾から空気が入るので蒸れにくい一方、冷たい風も入ります。風のない雨の日に、短い距離を歩くなら冬でも使えます。風のある日や、外を20分以上歩く日は、袖があって裾が閉じる形のほうが冷えにくくなります。
— メグラシ編集部





