レインコートの撥水が効かなくなったとき|ドライヤーで戻る場合と、戻らない場合の見分け方

秋の長雨に入る前に、去年のレインコートを出します。袖を通して駅まで歩いて、着いてから肩を見ると、そこだけ色が濃くなっている。裾では水が丸まって転がっているのに、肩は吸っている。
去年は、どこに落ちた雨も同じように玉になっていたはずでした。
このとき多くの人が先に考えるのは、買い替えるかどうかです。けれど、弾かなくなった状態にはいくつか種類があって、そのうち2つは家で戻せることがあります。順番を間違えると、戻るものまで戻らなくなります。
結論:汚れを落としてから熱をかける。逆にしない
弾かなくなった一着は、次の3つのどれかです。
- 表面に汚れや洗剤の残りが乗っていて、水がそこになじんでいる
- 表面の細かい毛が寝ていて、水を持ち上げられない
- 加工そのものが擦り減っている
戻せるのは1と2です。そして1を残したまま熱をかけると、汚れごと定着して、かえって落ちにくくなることがあります。
だから順番が決まります。洗う、完全に乾かす、それから低い熱。この順でしか戻りません。
早見表|症状から、どれかを見立てる
乾いた状態で、肩に水を一滴だけ落としてみてください。5秒待って、どうなるかを見ます。
| 見えている状態 | 考えられること | 先にすること |
|---|---|---|
| 全体がぼんやり吸う | 汚れか洗剤の残り | 洗う |
| 洗った直後だけ吸う | 毛が寝ている | 完全に乾かして低い熱 |
| 肩と袖だけ吸う | その部分の摩耗 | 熱を試し、だめならスプレー |
| 折り目の線だけ吸う | 畳んだ跡で加工が割れている | 熱を試す。戻りにくい |
| どこも吸わないが中が湿る | 撥水ではなく湿気の問題 | 干し方を見直す |
判定は肩でしてください。裾は雨が当たる量も摩擦も少ないので、いちばん長く生き残ります。裾で確かめると、実際より良い答えが出ます。
手順1|洗う
汚れが原因のことが多いので、まずここからです。
洗濯表示で洗えるかどうかを確かめて、洗える一着なら、ファスナーとボタンを全部留めて、裏返さずに洗います。洗剤は少なめにしてください。多いほど、すすぎ切れずに表面に残ります。
柔軟剤は入れません。表面に膜を作るものなので、撥水とは反対の働きをします。
すすぎは、いつもより1回多めに。残った洗剤が、そのまま水のなじむ足場になります。
手順2|完全に乾かす
ここを省くと、次の熱が効きません。
触って冷たさが残っているうちは、まだ水が残っています。**脇の下と袖の内側は、全体より遅れて乾きます。**指で押して、ひんやりしなくなるまで待ってください。
風の通る日陰に、肩幅の合う厚みのあるハンガーで、前を全部開けて掛けます。直射日光は表面の加工を傷めることがあるので、外に出すなら日の当たらない場所を選びます。
手順3|低い熱を、動かしながら当てる
完全に乾いてから始めます。
- 洗濯表示を読み、熱が使えるかを確かめる
- 裾の内側など、見えない場所で20秒ほど試す
- 変色や縮み、表面のてかりが出ないかを確かめる
- 問題がなければ、15〜20センチ離して、低い温度で全体をゆっくり通す
- 1か所あたり30秒ほどを目安に、同じ場所に留めない
**熱は素材を傷めることがあります。**とくに、裏に薄い膜のあるもの、縫い目に接着されたテープのあるもの、装飾の付いたものは、熱で膜がはがれたり、テープが浮いたりすることがあります。表示に熱を避ける指示があるなら、この手順は飛ばしてください。
乾燥機が使える表示なら、低温で20分ほど回す方法もあります。どちらの場合も、戻るかどうかは一着ごとに違うので、断定はできません。試してみて変わらなければ、次に進みます。
戻ったかを確かめる
冷めてから、また肩に水を一滴落とします。玉のまま5秒残れば戻っています。輪郭が崩れて布の色が濃くなれば、まだです。
ここで戻らなければ、1と2は外れていたことになります。残るのは3、つまり加工そのものが減っている状態です。
戻らないとき|外から足すという選択
加工が減っているなら、上から足すことになります。市販の撥水スプレーがこれにあたります。
使うときの条件は3つです。
- 完全に乾いた状態で使う(濡れたままだと乗りません)
- 屋外か、窓を開けた場所で使う
- 20〜30センチ離して、薄く、二度に分ける
厚く乗せると、生地の目をふさいで、内側の湿気が抜けにくくなることがあります。薄く一度かけて乾かし、足りなければもう一度、という足し方のほうが失敗しません。
裏に膜のある一着は、表示で使えるかどうかを先に確かめてください。使えないものもあります。
場所別|どこから落ちていくか
撥水は、全体が均一に落ちるのではありません。摩擦の多い場所から順に減ります。
| 場所 | 落ちやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 肩 | いちばん早い | 雨が最初に当たり、紐がこすれる |
| 袖の外側 | 早い | 腕を振るたびに、ほかの面と触れる |
| 腰の横 | 早い | バッグの本体が当たり続ける |
| 背中 | ふつう | 当たるが、こすれは少ない |
| 裾 | 遅い | 当たる量も摩擦も少ない |
肩だけが落ちている段階なら、その面だけに手をかければ足ります。全体をやり直す必要はありません。
水を落とす前に、目で分かること
一滴落とす前に、明るいところで生地の表面を斜めから見てください。3つのうちどれかが見えることがあります。
てかり ── 肩や腰に、まわりより光を返す面がある。繊維が寝てつぶれている合図です。熱で戻る見込みがあります。
白っぽい粉 ── 折り目や縫い目に沿って、細い白い線が見える。加工が割れて浮いている状態で、洗うだけでは戻りません。
曇り ── 全体がうっすら濁って見える。洗剤の残りか、空気中の汚れが乗っています。洗えば変わることが多い状態です。
どれも断定はできませんが、先に見ておくと、洗うのか熱なのかの見当が付きます。見当が付けば、手をかける順番を無駄にしません。
使い方で、減り方が変わる
同じ一着でも、その人の使い方で落ち方の速さが変わります。
自転車に乗る日が多いと、風が水を生地に押しつけるので、肩と胸の面が早く減ります。徒歩が中心なら、減るのはバッグの当たる腰の横からです。子どもを抱く時間が長い日が続くと、胸から腹の面が先に落ちます。
自分の減り方が分かると、確かめる場所が決まります。毎回全体を見る必要はなく、いちばん摩擦の多い1か所だけを見れば、そのコートの状態はだいたい読めます。
どちらとも取れるとき①|弾いているのに、中が湿る
表面では玉になっているのに、脱いだときに内側が湿っている。この場合、原因は撥水ではありません。
体から出た湿気が外に抜けきらずに、内側でたまっている状態です。歩く速さや重ね着の枚数で変わるもので、加工の問題ではないので、熱をかけても変わりません。中に着る一枚を、湿気を移しやすいものに替えるほうが効きます。
どちらとも取れるとき②|部分的にだけ戻った
肩は戻ったが、袖の外側が戻らない。こういう戻り方はよくあります。
摩耗の進み方が場所ごとに違うので、当然のことです。戻らなかった場所だけにスプレーを薄く足して、戻った場所はそのままにしてください。全体にかけ直すと、戻っている面まで厚くなります。
次の雨までの置き方
濡れたまま畳んで袋に入れると、折り目の場所から加工が傷みます。玄関で軽く振って水を落とし、前を開けてハンガーに掛け、内側まで乾いてからしまってください。
しまうときも、畳まずに掛けておくほうが長持ちします。折り目の線に沿って加工が割れると、そこだけ先に弾かなくなります。表の早見表で「折り目の線だけ吸う」が戻りにくいのは、このためです。
よくある行き違い
「弾かなくなったら寿命」 ── 3つの状態のうち2つは戻せることがあります。順番どおりに試してから決めても遅くありません。
「熱ならなんでも効く」 ── 効くのは、繊維が寝ているときだけです。加工が減っている一着に熱をかけても変わらず、素材によっては傷めることがあります。
「スプレーを厚くかけるほど効く」 ── 厚く乗せると目をふさぎます。薄く二度のほうが、弾きも着心地も落ち着きます。
装いに活かすなら
秋の長雨に入る前に、手持ちの雨用の一着を出して、肩に水を一滴落としてみてください。5秒で分かります。
弾けば、そのまま今年も使えます。弾かなければ、洗って干すところまでを今日やっておく。熱をかけるのは、完全に乾いた翌日で構いません。
関連記事
よくある問い
- Q. レインコートが撥水しなくなりました。もう寿命ですか
- 弾かなくなった時点では、まだ判断できません。表面に汚れや洗剤の残りが乗っていると、加工が生きていても水がなじんでしまいます。また、洗って乾かすと表面の細かい毛が寝るので、これも弾かなくなる原因になります。この2つは戻せることがあります。洗って、完全に乾かして、洗濯表示で許される範囲の低い熱をかけて、それでも水が染みるなら、加工そのものが擦り減っている可能性が高くなります。
- Q. ドライヤーで撥水は復活しますか
- 戻る場合があります。戻っているのは加工そのものではなく、寝ていた繊維の向きです。当てるときは、完全に乾いた状態から、15〜20センチほど離して、低い温度で、同じ場所に留めずに動かし続けてください。1か所あたり30秒ほどを目安に、全体をゆっくり通します。ただし熱に弱い素材や、裏に薄い膜のあるものは傷むことがあるので、洗濯表示を先に読み、裾の内側など見えない場所で試してから広げてください。
- Q. 撥水スプレーはいつ使えばいいですか
- 熱をかけても戻らなかったときです。順番として、汚れを落とし、乾かし、熱を試して、それでも染みるなら加工が減っている状態なので、外から足すことになります。使うときは、必ず乾いた状態で、屋外か換気のできる場所で、20〜30センチ離して薄く。厚く乗せると生地の目をふさいで、内側の湿気が抜けにくくなることがあります。裏に膜のある一着では、表示で使えるかどうかを先に確かめてください。
- Q. 肩だけ先に濡れるのはなぜですか
- 雨が最初に当たる場所であることと、バッグの紐がこすれる場所であることが重なるからです。撥水の加工は摩擦で減るので、肩、袖の外側、脇の下、腰でバッグが当たる面の順に落ちていきます。全体が均一に落ちるわけではないので、判定するときは肩で見てください。裾で弾いていても、肩が染みていれば、その一着は雨の日に肩から濡れます。
— メグラシ編集部




