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撥水ダウンコート|表地の撥水と中のふくらみは別の話。雨で先に湿る3か所の違い

メグラシ編集部//読了 10分
夕方の街の光が、濡れた上着の肩の面と縫い目の線を斜めに照らしているところ

雨に当たった日の帰り、玄関でコートを脱いだとき、肩のところだけひんやりしている。翌朝ハンガーに掛けたまま触ると、片側だけ薄くなった気がする。

これは、表地の撥水が負けたのではありません。水は面から入るのではなく、線から入っているからです。

ダウンは、中に空気の層を抱えている上着です。他のコートと違うのは、濡れたときに困るのが表地ではなく、この層のほうだという点です。秋の長雨に入る前に、どこから入るのか、どう確かめるのかを整理しておきます。

結論:守るのは表地ではなく、中のふくらみ

撥水の加工は、表地の表面で水を玉にして転がすためのものです。ここまでは、他の上着と同じです。撥水と防水の違いや、傘の外にいる時間で選び分ける話は撥水コートと防水コートの記事にまとめてあります。

ダウンで話が変わるのは、その先です。表地を1滴通されると、中の空気の層がつぶれます。 一度つぶれると、水が抜けて完全に乾くまで戻りません。

つまり、ダウンにとっての濡れは「冷たい」ではなく「暖かくなくなる」ことです。同じ気温でも、乾いているときと湿っているときでは体感が変わります。だから見る場所も、表がどれだけ弾いたかではなく、中まで届いたかどうかに置きます。

早見表|先に湿る3か所と、家で確かめること

場所なぜそこから入るのか家で確かめること通る側
肩の上面が水平になり、水が転がらない平らに置いて、肩の面が何cm水平か見る水平な帯が5cm以内
キルトの縫い目糸を通した穴が並んでいる縫い目を明るい方へ向けて透かす穴が点として見えない
フードの縁布が折り返って溝になる縁を指でなぞり、溝に指が入るか溝が浅く、指が沈まない
ポケットの口上向きに開いた線がある口の上にひさしの布があるか見る口の上に布がかぶる
袖口腕を下ろすと上側が受ける面になる腕を下ろして袖口の傾きを見る口が下を向く

読み方はこうです。

  • 5か所すべて通る|傘と併用すれば、長雨の時期でも中まで届きません
  • 3〜4か所通る|30分程度までなら大丈夫です。それ以上は上に1枚要ります
  • 2か所以下|雨の日は別の上着にしてください。ダウンは乾いた日に回します

① 肩の上|面が水平になる、唯一の場所

体に着いた上着のうち、水平になるのは肩だけです。ほかの面はすべて傾いているので、水は転がって落ちます。肩だけが受け皿になります。

平らな場所に広げて、肩の縫い目のあたりを横から見てください。水平に近い帯が何cm続いているかを見ます。

  • 5cm以内|水がすぐ前後へ転がります
  • 8cm以上|水が留まります。留まった時間の分だけ、生地の中へ押し込まれます

肩の帯が広くなるのは、肩に当て布や切り替えが入っている形です。見た目の落ち着きとは引き換えになるところなので、雨の日に着る一枚として選ぶなら、帯が狭いほうを見てください。

⚠️ 傘をさしていても、肩は濡れます。傘の縁から落ちた水が、いちばん当たるのが肩の外側だからです。傘があるから肩は大丈夫、とはなりません。

② キルトの縫い目|糸が通っている穴が並んでいる

ダウンには、中身が片寄らないように仕切りが入っています。表地ごと縫って仕切る作りだと、その縫い目に糸の穴が並びます。

撥水の加工は、生地の表面に乗っています。糸の穴は生地ではないので、加工が乗りません。 ここが、面がどれだけ弾いていても水が入る理由です。

確かめ方は、縫い目を明るいほうへ向けて透かすだけです。

  • 穴が点として見えない|糸が太く、穴が埋まっています
  • 穴が点の列として見える|そこから入ります。雨の日の時間を短くしてください

仕切りを表地とは別に作ってある形は、外側の縫い目が中まで貫通しません。ここは外から完全には見分けられませんが、縫い目を指でつまんで、中の空気がその線で切れているかどうかである程度分かります。線の上でも厚みが残っていれば、別に作ってある可能性が高いほうです。

③ フードの縁とポケットの口|布が折り返って溝になる場所

3つめは、布が二重に折り返っている場所です。折り返しの内側は溝になっていて、そこに水がたまります。

フードの縁は、指でなぞると分かります。溝に指の腹が沈むなら、雨のあいだそこに水の線ができます。かぶっていない状態のフードは背中の上で水平になるので、肩と同じ条件が背中にもう1つ増えることになります。

ポケットの口は、上を向いて開いている線です。口の上にひさしの布がかぶっているかどうかだけ見てください。かぶっていなければ、手を入れたときに指先が湿ります。ここは中身が直接濡れる場所なので、確認の価値があります。

袖口も同じ理屈です。腕を下ろしたとき、袖口の縁が下を向いていれば水は落ちます。上を向く角度で止まる形は、袖の中へ伝います。

撥水が効いているかは、濡れ色で分かる

効きの判定というと、水を落として玉になるかを見る方法がよく知られています。ダウンの場合は、もう1つ見るところがあります。濡れ色です。

水が当たったところの色が、周りより濃くなっていないか。ここを見ます。

  • 色が変わらない|表面で留まっています。効いています
  • 玉にはなるが、あとで色が残る|効きが落ちかけています。時間が長いと入ります
  • すぐに色が濃くなる|すでに生地の中に入っています

見る場所は、肩と袖の上側です。ここがいちばん先に落ちます。着ているあいだ、いちばん多く物と擦れる場所だからです。面の真ん中はまだ効いていても、肩だけ落ちている、ということが普通に起きます。

効きは、洗うたびに少しずつ落ちます。着ている摩擦でも落ちます。シーズンの初めに肩だけ確かめておくと、その冬の使い方を先に決められます。

効きが落ちたときにできること

いくつか手はありますが、どれも確実ではありません。順番に書きます。

まず、洗って汚れを落とすだけで戻ることがあります。 表面に皮脂や埃が乗っていると、加工が生きていても水を引き込みます。洗える表示があるなら、洗ってしっかり乾かす。これが先です。

次に、低い温度の熱を当てる方法があります。加工の向きが整って戻る場合があると言われています。ただし、熱は表地や中の素材を傷めることがあります。 特にダウンは中が乾きにくいので、外側だけ温めて中に湿りが残ると、かえって良くありません。試すなら、洗濯表示を確認したうえで、裾の内側など目立たない場所で小さく試してから広げてください。戻らない生地もあります。

市販の撥水剤を使う方法もあります。これも、中まで完全に乾いてからでないと、湿りを閉じ込めることになります。手順そのものは製品の指示に従ってください。

⚠️ どの方法も、新品の状態まで戻るとは限りません。戻らなかったときのために、雨の日は別の上着を持っておくほうが確かです。 洗い方そのものはダウンを家で洗うときの記事に分けてあります。

秋の長雨に、ダウンを出すかどうか

9月の後半から10月にかけて、雨の続く時期があります。ここでダウンを出すかどうかは、気温ではなく濡れる回数で決めてください。

まだ最低気温が15度を超えているうちは、撥水の上着で足ります。この時期にダウンを出すと、寒さの役に立たないまま、濡らす回数だけが増えます。 効きは濡らした回数で落ちるので、本当に寒くなる頃に肩だけ落ちている、ということが起きます。

コートを出す気温の区切りそのものは気温とコートの境目の記事にあります。雨の日の上着の順番としては、長雨の時期は撥水の一枚で通し、ダウンは気温が下がってから出す。この順にすると、シーズンを通した持ちが変わります。

よくある行き違い

「撥水と書いてあるから、雨の日に着てよい」

書いてあるのは、表地の面の話です。縫い目の穴と、肩の水平な帯には及びません。

面の性能と、その一枚が雨の日に使えるかは別の判断です。 面が強くても、縫い目が貫通していて肩の帯が広ければ、30分で中まで届きます。逆に、面の性能が普通でも縫い目が別仕立てで肩の帯が狭ければ、同じ雨で中は乾いたままです。

「濡れたら、すぐ乾燥機にかければいい」

中に空気の層があるぶん、外側と内側で乾く速さが大きく違います。外側が乾いた時点で止めると、中は湿ったまま残ります。

そのまま仕舞うと、湿りが抜けないまま形が落ち着いて、次に出したときにふくらみが戻りにくくなります。乾かすなら、外側が乾いてからさらに時間をかけて、平らに置いたときに厚みが左右でそろうまで見てください。

「ふくらみが戻らないのは、中身が寿命だから」

一度で寿命にはなりません。濡れてつぶれた層は、完全に乾けばかなり戻ります。

戻らないときは、まだ中に湿りが残っているか、乾かすあいだに片側へ寄ってしまっているかのどちらかです。平らに置いて、手のひらで軽くたたきながら全体に散らしてから、もう一度乾かしてみてください。

まとめ

  1. ダウンで守るのは表地ではなく、中のふくらみ
  2. 水が入るのは面ではなく線。肩の上・キルトの縫い目・折り返しの溝
  3. 肩の水平な帯は5cm以内、縫い目の穴が点として見えないものを選ぶ
  4. 効きの判定は、弾くかどうかより濡れ色。肩と袖の上側を見る
  5. 効きが落ちたら、まず洗う。熱や撥水剤は素材を傷めることがあるので、小さく試してから
  6. 秋の長雨のあいだは撥水の上着で通し、ダウンは気温が下がってから出す

装いに活かすなら

線から入るという見方は、ダウンだけの話ではありません。縫い目・折り返し・水平になる面。この3つは、どの上着でも同じ場所にあります。手持ちの一枚を広げて、この3つがどうなっているかを見ておくと、雨の日にどれを着るかで迷わなくなります。

秋は、上着の順番を決める時期でもあります。雨の多い数週間をどの一枚で通し、どこからダウンに替えるか。先に決めておくと、濡らす回数が減って、冬のあいだの暖かさがそのまま残ります。

手持ちの上着をどう並べるかまで踏み込みたいときは、スタイリストが顧客プロフィールと在庫情報を踏まえて選定する形もあります。持っている数枚の役割を分けてもらう使い方です。

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— メグラシ編集部

よくある問い

Q. 撥水のダウンなのに、なぜ中まで湿るのですか
水が入るのは生地の面ではなく、縫い目の線だからです。キルトの縫い目には糸を通した穴が並んでいて、そこは撥水の加工が効きません。加えて、肩の上は面が水平になるので水が転がらず、同じ場所に留まります。表地が弾いていても、線と水平面から少しずつ入るので、長く当たれば中に届きます。
Q. 撥水が効いているかは、どう確かめればいいですか
水をかけて弾くかを見るより、濡れ色のほうが確かです。水が当たったところの色が濃く変わっていれば、すでに生地の中に入っています。玉になって転がっていても、あとで色が残るなら効きは落ちかけています。肩と袖の上側を、明るい場所で見比べてください。
Q. 撥水が落ちたら、家で戻せますか
戻ることもありますが、確実ではありません。低い温度の熱を当てると加工の向きが整って戻る場合がある一方、熱は表地や中の素材を傷めることもあります。まず洗濯表示を確認し、目立たない場所で小さく試してから広げてください。市販の撥水剤を使う場合も、中に空気の層があるぶん乾きにくいので、完全に乾かしてから仕舞うことが前提になります。
Q. 秋の長雨の時期に、ダウンを着てもいいですか
雨に当たる時間が短ければ問題ありません。ただし、まだ気温が下がりきらない時期にダウンを出すと、濡らす機会だけ増えて、本当に寒くなる頃に効きが落ちていることがあります。長雨の時期は撥水の上着で通し、ダウンは気温が下がってから出すほうが、シーズンを通した持ちが良くなります。

— メグラシ編集部

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