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撥水ロングコートの選び方|ショート丈との違いは、傘の影から出る裾と、地面からの跳ね返り

メグラシ編集部//読了 9分
雨あがりの夕方、濡れた歩道を、くるぶし丈の長い羽織りを着た人が歩いている場面

秋の長雨に、久しぶりにロングを出した日

傘を差して駅まで歩いて、着いたときにコートを脱いだら、肩はまだ乾いているのに、膝から下だけ色が濃くなっている。撥水と書いてあった一着なのに、と思う。

けれど、これは生地が負けたのではありません。丈が長くなると、濡れる方向が上から下へ入れ替わるからです。

ショート丈のときに効いていた守り方が、ロングではそのまま使えません。9月後半から11月にかけて、雨に当たる日が増える前に、一度だけ確かめておくと、出す一着が変わります。

結論:ロングで濡れるのは、傘の影から出た裾と、地面から跳ね上がった分

上から落ちてくる雨は、肩と背中に当たります。ここは撥水が効いていれば玉になって転がり、丈が長くても短くても同じです。

ロングで先に濡れるのは、その下です。決めているのは2つあります。傘の影が足元でどれだけ横にずれるかと、地面からの跳ね返りが床上何cmまで上がるかです。

決める場所目安外したときに出ること
傘の影のずれ風のある日で足元は横に約90cm肩は影の中でも、膝から下は影の外
跳ね返りの高さ床上0〜35cm裾がこの帯に入ると、下から濡れる
裾の床からの高さ40cm以上なら帯の上に出る25cmを切ると帯の真ん中に入る
裾の始末縫い代が内側へ折り込まれているか切りっぱなしの端から吸い上げる

生地の性能は、この4つのどれにも関係していません。だから撥水の強い一着に買い替えても、同じ場所が濡れます。

傘の影は、足元では真下にない

雨が真下に落ちているなら、傘の真下はどこまでも安全です。けれど風がある日の雨は斜めに落ちます。

落下の速さに対して横向きの風がその半分ほどあると、雨筋はおよそ27度傾きます。傘を差している高さを1.8mとすると、傘の縁が作る影は、地面に届くころには横に90cmほどずれています。

  • 頭と肩 ── 影の中心に近く、ほぼ守られる
  • 腰から膝 ── 影の縁にかかり、半分ほど出る
  • 膝から下 ── 影の外。傘は関係していない

傘を進行方向へ傾けると、顔と肩は守れます。かわりに足元の影はさらに後ろへずれ、膝から下は前から濡れます。ロングを着る日は、傘で足元まで守るという前提を外してください。

地面からの跳ね返りは、床上35cmまで

もう1つは下からです。落ちた雨粒は路面で砕けて、細かい粒になって跳ね上がります。歩道の舗装で、この粒がおよそ床上30〜35cmまで届きます。車の通る道の脇では、さらに上まで上がります。

ここで丈が効いてきます。床から裾までの高さを出すと、どの丈が帯の中に入るかが見えます。

着丈の目安床から裾まで(身長160cm前後)下から受けるか
80cm前後(腰から太もも)55cm前後帯の上。受けない
95〜100cm(膝前後)40cm前後帯の上端に触れる
110cm前後(ふくらはぎ)25cm前後帯の中。受ける
120cm以上(くるぶし)15cm前後帯の中。水たまりもすくう

雨の日に出る回数が多い一着なら、裾を床上40cm以上に置ける丈が扱いやすい範囲です。それより長い丈を選ぶなら、丈ではなく次の裾の始末のほうで決めてください。

裾の始末|吸い上げるのは、表ではなく端

撥水は生地の表面にかかっています。ところが裾の端は、生地を切った断面です。断面には加工が乗っていません。

ここに水が触れると、表面を転がるのではなく、繊維のあいだを上へ伝います。いったん伝い始めると、表がまだ弾いていても、内側だけが濡れていきます。脱いだときに裏地の下半分が冷たい、という状態はこれです。

家で確かめるのは2つです。

  1. 裾をめくって、切った端がそのまま出ていないか。縫い代が内側へ折り込まれて、押さえのステッチが入っていれば伝いにくい
  2. 裏地が裾まで付いているか。裏地が途中で終わっていると、表から伝った水が直接、中の服に触れる

折り込みの幅は3cm前後あれば十分です。ここを見るだけで、同じ丈の2着でも、脱いだあとの重さが変わります。

背中のベンツは、歩幅と引き換えに開く

ロングには、歩幅を確保するために背中や脇に深い切れ込みが入っています。歩くたび、ここが開きます。開いた隙間は、ちょうど跳ね返りが当たる高さにあります。

深さの目安は、床から裾までの高さの半分以内です。裾が床上25cmなら、切れ込みは12cm程度まで。これを超えると、止まっているときも閉じきらず、常に開いた線が残ります。

自転車に乗る日は、この切れ込みが前後に引かれてさらに開きます。ペダルを踏む日に出す一着は、切れ込みが浅いものか、前の重なりが深いものにしてください。

裾だけ先に弾かなくなる理由

撥水は面で均一に落ちません。線で先に落ちます。

ロングの裾には、2つのことが同時に起きています。跳ね返りが運んでくる細かい泥が乗ること。そして、歩くたびに脚が内側から当たって、表面をこすること。泥は水の粒が丸くなるのを邪魔し、摩擦は表面の繊維を寝かせます。

だから、肩がまだ玉を作っているのに、裾だけ色が濃くなる、ということが起きます。これは加工の寿命ではなく、落ち方の順番です。

弾かなくなったときの手当ては、順番を間違えると戻るものも戻りません。汚れを落とさずに熱をかけると、汚れごと定着することがあります。洗う、完全に乾かす、それから低い熱を当てる。熱を当てていい一着かどうかの見分けと、戻らないときの切り替えどきは、レインコートの撥水が効かなくなったときにまとめてあります。ロングの場合は、全体ではなく裾から確かめてください。弾かなくなったと感じる最初の場所が、たいていそこです。

選ぶ前に、その場で確かめられる3つ

見た目の丈は、着てみないと床からの高さに変わりません。確かめる順番は次の3つです。

  1. **鏡の前で、裾が床から何cmに来るかを見る。**膝の皿の下端がおよそ床上45cmなので、そこを基準にすると測らなくても見当がつきます。膝より下に5cm下りていれば床上40cm、ふくらはぎの真ん中なら25cm前後です
  2. **裾をめくって、端の始末と裏地の下端を見る。**縫い代が3cm前後折り込まれていて、裏地が裾まで届いていれば、同じ丈でも中まで届く水が減ります
  3. **背中の切れ込みに指を入れて、深さを測る。**指を縦に並べて、床から裾までの高さの半分を超えていないかだけ見ます

この3つは、雨の降っていない日にしか落ち着いて確かめられません。手持ちの一着でも同じ順番で見ておくと、次に雨の予報が出た朝に迷わなくなります。

場面で変わるところ

**通勤で、駅まで10分歩く日。**傘の外にいる時間は短いのですが、跳ね返りを受ける時間はそのまま10分です。裾が床上40cm以上に来る丈を選んでください。ホームや階段で止まるたび、裾が床の水の上に置かれます。

**子どもと一緒に歩く日。**歩幅が合わないぶん、立ち止まる回数が増えます。止まっているあいだ、裾は水たまりの上で静止しています。吸い上げる量は時間に比例するので、この日はいちばん長い丈を避けるほうが確実です。

**電車やバスに長く乗る日。**座ると、裾が座面と床のあいだで折れ、濡れた面どうしが重なります。重なったところは乾きません。座る前に、裾を一度ひざの上へ持ち上げてから腰を下ろすと、この重なりが減ります。

**旅先で、1日出たままの日。**替えがありません。乾かす時間も取れません。この日は丈より、裏地が裾まで付いているかを優先してください。表が湿っても、中の服まで届かなければ1日もちます。

よくある行き違い

**「撥水が強い一着なら、丈は長くても大丈夫」。**強さは、水が触れた表面での話です。傘の影の外に出ていることと、跳ね返りが当たる高さにあることは、どちらも強さでは変わりません。長い丈を選ぶなら、強さではなく裾の始末で補ってください。

**「濡れたのは裏地が薄いから」。**裏地の厚みではなく、裾まで届いているかどうかです。厚い裏地でも、膝の高さで終わっていれば、その下から伝ってきた水はそのまま中の服に触れます。めくって、裏地の下端がどこにあるかを見てください。

**「雨の日は短い丈にすればいい」。**短くすれば下からは受けませんが、そのかわり脚そのものが傘の影から出ます。守る対象をコートから脚に移しただけです。決めるのは長短ではなく、その日に傘の外で過ごす時間と、止まっている時間の配分です。

装いに活かすなら

秋から冬にかけて、雨の日と長い丈が重なる機会は増えていきます。そのたびに迷うのは、どれが強いかを比べているからです。

比べる相手を変えてください。**その日、裾が床から何cmのところにあって、傘の外に何分いるか。**この2つだけなら、玄関を出る前に決められます。丈は選べるものが複数あって初めて選択になるので、手持ちの中で床上40cmに来る一着がどれかを、雨の降っていない日に一度測っておくのが早道です。

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— メグラシ編集部

よくある問い

Q. 撥水のロングコートは、ショート丈より雨に強いのですか
覆う面積は広くなりますが、雨に強いかどうかは別の話です。丈が伸びると、濡れる方向そのものが入れ替わります。ショート丈の裾は傘の影の内側にあり、地面からの跳ね返りも届きません。ロングの裾は傘の外に出ていて、しかも跳ね返りが当たる高さに入ります。つまりロングは、上からの雨を防ぐかわりに、下からの水を受ける面を増やしています。守れる範囲が広いのではなく、守るべき場所が変わると考えてください。選ぶときに見るのは撥水の有無だけでなく、裾が床から何cmのところに来るかです。
Q. 傘を差しているのに、裾が濡れるのはなぜですか
雨が真下に落ちていないからです。風がある日の雨は斜めに落ちます。落下の速さに対して横向きの風が半分ほどあると、雨筋はおよそ27度傾きます。傘の高さを1.8mとすると、傘が作る影は足元では横に90cmほどずれています。頭と肩は影の中に入っていても、膝から下は影の外に出ている、という状態です。傘を進行方向へ少し傾けると肩は守れますが、その分だけ足元の影はさらに後ろへずれます。ロングを着る日は、傘で足元まで守るという前提を一度外してください。
Q. 撥水のロングコートは、どのくらいの着丈を選べばよいですか
着丈そのものより、床から裾までの高さで決めてください。目安として、身長160cm前後の方が着丈110cmを着ると、裾は床上25cm前後に来ます。着丈120cmなら床上15cm前後です。地面からの跳ね返りは床上35cmまで上がるので、この2つはどちらも跳ね返りの帯の中に入ります。雨の日に出る回数が多い一着なら、裾を床上40cm以上に置ける着丈、身長160cm前後なら95〜100cm前後が扱いやすい範囲です。長さを優先したい日は、丈ではなく裾の始末のほうを見てください。
Q. 裾だけ先に弾かなくなるのは、なぜですか
撥水は面で均一に落ちるのではなく、線で先に落ちるからです。裾には、跳ね返りの泥と、歩くたびに脚が内側から当たる摩擦の2つが集中します。泥は水の粒が丸くなるのを邪魔し、摩擦は生地の表面を寝かせます。だから同じ一着でも、肩がまだ弾いているのに裾だけ色が濃くなる、ということが起きます。手入れも裾から始めてください。汚れを落とさずに熱をかけると、汚れごと定着して戻りにくくなることがあります。順番と、熱を当てていいかどうかの見分けは、撥水を戻す記事のほうにまとめてあります。
Q. 自転車に乗る日や、子どもと歩く日はどう選べばいいですか
どちらも、裾が動く量が増える日です。自転車はペダルを踏むたびに裾が前後に開き、開いた隙間から水が内側へ回ります。この日は背中のベンツが浅いか、または前が深く重なるものを選んでください。子どもと歩く日は、歩幅が合わないぶん立ち止まる回数が増え、裾が地面の水たまりの上で止まる時間が長くなります。裾を床上40cm以上に置ける丈にするか、同じ丈でも裾の縫い代が内側に折り込まれているものを選ぶと、吸い上げる量が減ります。どちらの日も、裾が動く量と止まる時間の両方が増えると考えてください。

— メグラシ編集部

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