レインコート撥水復活ドライヤー|熱の前に裏の膜と洗濯表示を見る

ドライヤーで撥水を戻したい人は、熱をかける前にレインコートを裏返して、生地の裏と洗濯表示を見てください。裏がそのまま布で、表示のアイロンに点が付いていれば、ドライヤーで戻る可能性が高い服です。裏に半透明の膜が塗られていれば、熱は低く短く。全体がビニールなら、そもそも撥水加工の服ではないので、熱をかけても何も戻りません。
洗濯表示のアイロンの点の数は、熱の上限を示しています。点が1つなら低い温度まで、2つなら中くらいまで。アイロンに×が付いていれば、ドライヤーの熱も避けたほうが安全です。
つまり、ドライヤーを当ててよいかは「撥水が落ちたかどうか」ではなく「その服がどう作られているか」で決まります。この記事では、裏の作りを4つに分けて、それぞれ何をすればよいかを書きます。表示が無い、裏地で裏が見えない、といったどちらとも取れる場合の決め方は後半にまとめました。
なぜドライヤーで撥水が戻るのか
撥水加工は、生地の表面に細かい毛のような層を立てて、水をはじく仕組みです。着たりこすれたりするうちに、この層が寝てしまい、水が染み込みやすくなります。
ドライヤーやアイロンの熱は、寝た層をもう一度立たせる役目をします。ただし、熱で立ち上がるのは、層がまだ残っている場合だけです。洗濯を繰り返して層そのものが減っている服は、熱をかけても戻りきりません。
そしてもう1つ、熱で傷む部分を持つ服があります。裏に塗られた膜、貼り合わされた布、縫い目をふさぐテープ。これらは熱に弱く、撥水を戻すつもりの熱で、防水の側を壊してしまうことがあります。
判定|裏返して、裏の作りを4つに分ける
レインコートを裏返して、胸のあたりの裏を見ます。
| 裏の見え方 | 作り | ドライヤー |
|---|---|---|
| 表と同じ布の裏がそのまま見える | 生地に撥水加工だけ | 使える |
| 白っぽい、または半透明の膜が塗られている | 膜を塗った防水 | 低く短く |
| 薄い布やメッシュが貼り付いている | 膜を挟んだ貼り合わせ | 低く、縫い目を避ける |
| 表も裏も同じつるっとした素材 | ビニール製 | 使わない |
この表は、自分の服がどの作りかを見分けるための軸です。それぞれの扱いを、次の章から順に書きます。
裏が布のまま|一番ドライヤーが効く服
裏返しても表と同じ布の裏が見え、光に透かすと織り目が見える服は、生地の表面に撥水加工をかけただけの作りです。薄手のナイロンやポリエステルのレインコート、撥水加工のトレンチやスプリングコートの多くがこれに当たります。
この作りの服は、熱をかけて傷む部分がほとんど無いので、ドライヤーが一番効きます。洗濯表示の範囲内で、表側から20センチほど離して、全体に風を回しながら当てます。
ただし、裏が布だけということは、防水の役目も撥水加工だけが担っているということです。戻りが弱い部分は、雨の日にそのまま染みてきます。肩や背中の上側など、雨が先に当たる場所から順に熱を入れてください。
裏に膜が塗られている|熱は低く、短く
裏に白っぽい膜や半透明のコーティングが見え、指でなでるとわずかにゴムのような手触りがある服は、生地の裏に防水の膜を塗った作りです。手頃な価格帯のレインコートに多く見られます。
この膜は、熱をかけると柔らかくなります。新しいうちは冷めれば元に戻りますが、何年か着て膜が劣化していると、熱でべたつきが出たり、はがれが始まったりします。
ドライヤーは低温にして、30センチほど離し、同じ場所に3秒以上とどめないように動かし続けます。当てる前に裏の膜を見て、べたつき、白い粉、細かいひび、はがれのいずれかがあれば、熱はかけません。その状態の膜は、撥水を戻しても防水の側がもう持たないからです。
薄い布が貼られている|縫い目のテープを避ける
裏に薄い布やメッシュが貼り付いていて、表の布とのあいだに何かが挟まっている感触がある服は、防水と透湿の膜を生地で挟んだ作りです。登山用やしっかりした作りのレインウェアに多く、縫い目の裏に細いテープが貼られています。
この作りは膜が保護されているので、塗った膜より熱に強い傾向があります。それでも熱に一番弱いのは、縫い目をふさいでいるテープです。テープの端がめくれると、そこから水が入ります。
ドライヤーは中くらいまでの温度にして、表側から当てます。肩の縫い目や脇の縫い目の上では、距離を取って素早く通過させ、テープの上に熱を溜めないようにします。洗濯表示に乾燥機の使用が許されていれば、表示の温度で短時間回すのも方法です。
全体がビニール|熱をかけても戻らない
表も裏も同じつるっとした素材で、布の織り目がまったく見えない服は、ビニールやそれに近い素材そのものでできています。水をはじくのは加工ではなく素材の性質なので、撥水が落ちるという状態がもともと起きません。
この服が水をはじかなくなったように見えるときは、表面に汚れや皮脂が乗っているだけです。熱をかけると、変形したり、たたみじわが固まったりするので、ドライヤーは使いません。ぬるま湯に中性洗剤を少し溶かして表面を拭き、水拭きして陰干しするだけで、水滴の転がり方は戻ります。
洗濯表示のアイロンの点で、熱の上限を決める
裏の作りと並んで確かめるのが、洗濯表示のアイロンの記号です。アイロンの中の点の数が、かけてよい熱の上限を示しています。
点が1つなら、底の温度が110度までの低い熱です。ドライヤーは低温、30センチ離して動かし続けます。点が2つなら150度まで。中くらいの温度で、20センチほど離せます。点が3つの服はレインコートではまれですが、その場合も撥水を戻すのに高温は要りません。アイロンに×が付いている服は、熱そのものを想定していない作りなので、ドライヤーの熱も避け、撥水剤を外から足す方法を選びます。
乾燥機の記号も参考になります。丸に点が付いていれば、その温度までの熱には耐える作りです。×が付いていれば、熱に弱い部分があると考えて、ドライヤーも慎重にします。
熱をかける前に、洗って乾かす
どの作りの服でも、熱は汚れを落としてから当てます。皮脂や排気の汚れが乗ったまま熱をかけると、汚れが表面に焼き付き、かえって水をはじかなくなります。
洗濯表示の範囲で洗い、すすぎを多めにして洗剤を残さないようにします。柔軟剤は撥水の層をふさぐので入れません。乾かすときは、生地の奥まで完全に乾いてから熱をかけます。湿り気が残ったまま熱を当てると、ムラになりやすくなります。
洗い方と乾かし方の細かい手順は、撥水が効かなくなったときの戻し方にまとめています。
戻ったかを確かめる|水を3か所に落とす
熱をかけ終わったら、冷めるのを待ってから確かめます。温かいうちは層が落ち着いていないので、正確に見られません。
肩、背中の上、袖の手首側の3か所に、指先で水を数滴ずつ落とします。水が丸い玉になって転がり落ちれば戻っています。玉にはなるものの、30秒ほどで平たく広がって色が濃くなる場所は、戻りが弱い部分です。その場所だけ、もう一度熱を当てます。
2回当てても染みる場所は、撥水の層そのものが減っています。熱を重ねても戻らないので、撥水剤を外から足すか、その部分が雨に当たらない着方を考えます。
どちらとも取れる場合|洗濯表示が切られている
表示のタグを切ってしまった、かすれて読めない、という服は少なくありません。この場合は、一番弱い熱の服として扱います。
ドライヤーは低温か送風に近い設定にして、30センチ以上離し、3秒以上とどめません。全体にかける前に、裾の内側の折り返しやポケットの袋布など、目立たない場所に先に当てます。表面にてかりが出ないか、裏の膜がべたつかないか、冷めてから触って確かめてから、全体に進めます。
それでも不安なら、熱を使わず、撥水剤を外から足す方法から始めます。熱で戻す方法は傷めると取り返しがつきませんが、撥水剤は合わなければ洗って落とせます。
どちらとも取れる場合|裏地で生地の裏が見えない
裏地が付いていて、表の生地の裏が直接見えない服もあります。このときは、裏地と表地のあいだを確かめられる場所を探します。
裾の折り返しの端、ポケットの中、前立ての内側、袖口の折り返し。これらのどこかに、表地の裏がのぞいている場所があります。そこを指で触って、布の手触りなら加工だけ、ゴムのような手触りなら塗った膜、と判断します。
どこからも見えない場合は、膜を塗った服として扱うのが安全です。熱は低く短く、裏地の側から当てないようにします。裏地の多くは熱に弱い素材で、表から当てた熱が裏地まで届くことはあっても、裏地に直接当てる必要はありません。
直すまでの雨の日と、手放す目安
熱をかけても戻らない、熱をかけられない作りだった、という服でも、すぐに手放す必要はありません。小雨の日や、移動が短い日の羽織りとしては、まだ役目を果たせます。
本格的な雨の日は、中に着る1枚で染みを受け止めながら過ごせます。詳しくは撥水しなくなったレインコートと、中に着る1枚に書きました。
手放す目安は、裏の膜のはがれが手のひらほどの広さになったときです。撥水は外から足せても、防水の膜は家では直せません。その時点で、次のレインコートを選ぶ段階に入ります。
まとめ|ドライヤーの前に、1回裏返す
撥水の復活にドライヤーを使うかは、撥水が落ちたかではなく、服の作りで決まります。裏が布ならよく効き、膜が塗られていれば低く短く、布が貼られていれば縫い目を避け、全体がビニールなら熱は使いません。
熱の上限は洗濯表示のアイロンの点で決め、表示が無いときは一番弱い熱の服として扱います。ドライヤーを手に取る前に1回裏返す。それだけで、戻らない服を傷めることは防げます。
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よくある問い
- Q. ドライヤーとアイロン、どちらで撥水を戻すのがいいですか
- 洗濯表示でアイロンが使える服なら、どちらでも戻ります。アイロンは熱が均一に入るぶん効きやすい一方、当て布をしないと表面がてかったり、裏の膜が溶けたりします。ドライヤーは熱が弱く、ムラになりやすい代わりに失敗しにくい方法です。初めて試す服や、裏に膜が塗られている服はドライヤーから始め、戻りが弱かった部分だけ、表示の範囲内の温度で当て布をしてアイロンをかけます。
- Q. ドライヤーを当てたら裏がべたべたしてきました
- 裏の膜が古くなり、熱で柔らかくなった状態です。すぐに熱を止めて、冷めるまで広げて置いてください。いったんべたついた膜は元には戻らず、熱を重ねるほどはがれや貼り付きが進みます。その服は撥水を熱で戻すことをやめ、外から撥水剤を足す方法に切り替えるか、雨の日の主役からは外して、小雨の日や上に羽織る用途に回すのが現実的です。
- Q. 洗濯表示が切れていて読めません
- 表示が無い服は、一番弱い熱で扱う前提にします。ドライヤーを低温か送風寄りにし、30センチ以上離して、同じ場所に3秒以上とどめないようにします。まず裾の内側やポケットの袋布など、目立たない場所で試し、表面のてかりや裏のべたつきが出ないことを確かめてから全体に進めてください。
— メグラシ編集部





