お通夜の服装|喪服か地味な平服か、立場と知らせからの時間で決める

お通夜の服装は、喪服でも地味な平服でもかまいません。どちらにするかは、故人との近さと、知らせを受けてから何時間あるかで決まります。遺族と親族は喪服、友人や会社関係で当日の知らせなら地味な平服、翌日以降に出るなら喪服へ寄せる、というのが多くの場合の線です。
迷ったときは、黒か濃紺か濃いグレーの無地で、光らず透けず、膝が隠れて肘まで覆う1着を選んでください。ワンピースでも、上着とスカートでも、上着とパンツでもよいです。足元は黒のストッキングと黒のパンプス、鞄は黒の布か光らない革のものにそろえます。
避けるのは5つです。光る素材や金具、明るい色や大きな柄、肩や胸元や膝上が出る形、毛皮や型押しの革のように殺生を思わせる素材、歩くと鳴る小物。この5つが外れていれば、喪服でなくても通夜の席で浮くことはほとんどありません。ここから先は、自分の条件を入れて「どこまで整えるか」を決めるための地図です。
先に確かめる3つの問い
服を選ぶ前に、次の3つに答えてください。答えが出れば、喪服か平服かと、どこまで整えるかが決まります。
- 故人や遺族とどのくらい近いか(遺族・親族/友人・知人/会社関係)
- 知らせを受けてから通夜の開始まで、何時間あるか(数時間/半日以上/翌日以降)
- 翌日の告別式にも出るか(出る/出ない/まだ分からない)
1が近いほど、2が長いほど、喪服へ寄せます。3で告別式にも出るなら、通夜は平服で済ませて、告別式に喪服を合わせる分け方もできます。この分け方の段取りは通夜に喪服を着るか、翌日も出るかで決める段取りで詳しく扱っています。
喪服と地味な平服、どちらで行くかの線
通夜は本来、急な知らせを受けて駆けつける場です。そのため、整った喪服でなくても失礼にはあたらないとされてきました。一方で、いまは通夜が夕方から夜に決まった時間で営まれ、告別式に出られない人が通夜だけに出ることも増えています。その結果、通夜でも喪服の人が多数を占める会場が多くなりました。
この2つの事情を合わせると、線は次のように引けます。
| 自分の条件 | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 遺族・親族 | 喪服 | 迎える側として、弔問客より格を下げない |
| 友人・会社関係で、知らせが当日 | 地味な平服 | 駆けつけたことが伝わればよい |
| 友人・会社関係で、半日以上ある | 喪服があれば喪服 | 用意する時間があったと見られる |
| 通夜だけに出て、告別式には出ない | 喪服へ寄せる | その日が唯一のお別れになる |
| 判断がつかない | 喪服か、喪服に近い濃い無地 | 濃いほうで浮くことはほとんどない |
迷ったら濃いほうへ寄せてください。喪服で行って浮くことはまずありませんが、明るい平服で浮くと、その場では直せません。平服でよいかどうかを知らせの届き方から見分ける方法は、お通夜の服装は私服でいいかを知らせの届き方で決める記事にまとめています。
「地味な平服」はどこまでを指すか
通夜でいう平服は、普段着という意味ではありません。「喪服ではないが、弔事の席で目立たない服」のことです。見るところは4つです。
| 見るところ | 通る | 外れる |
|---|---|---|
| 色 | 黒・濃紺・濃いグレー・焦げ茶に近い濃色 | 白・ベージュ・明るい青や赤・柄が主役の服 |
| 光 | 綿・ウールの起毛・マットな化繊 | サテン・ラメ・エナメル・光沢の強い化繊 |
| 透け | 裏地がある・生地が詰まっている | レース地・シースルー・薄いシフォン単体 |
| 形 | 膝が隠れる丈・肘まで覆う袖・詰まった襟 | ミニ丈・ノースリーブ・深いVネック・オフショルダー |
確かめるのは、蛍光灯ではなく窓際の自然光の下にしてください。室内灯では気づかない光沢や透けが、自然光では出ます。手持ちの服から1着を選ぶ具体的な手順は、お通夜に私服で向かう日の選別の仕方で、光・透け・金具・音の4つを順に当てて確かめる形にしています。
避けるもの ── その場で浮く5つ
ここに挙げる5つは、喪服でも平服でも同じように外します。服より先に、これを外すと考えてください。
- 光るもの:金や銀のアクセサリー、大きな金具の付いた鞄や靴、サテンやエナメル
- 明るい色と大きな柄:白っぽい上着、明るい色のスカーフ、柄が主役のブラウス
- 肌の出る形:ノースリーブ、膝上の丈、深い襟ぐり、背中の開いた服
- 殺生を思わせる素材:毛皮のコートや襟、型押しの革、動物柄
- 音の鳴る小物:歩くと響く細いヒール、揺れて鳴る飾り、鈴の付いた鍵
殺生を思わせる素材は、多くの場合、仏式の通夜で特に避けられてきたものです。宗教や地域によって受け取り方は違いますが、どの席でも目立つ要素なので、外しておくのが安全です。
立場別:遺族・親族のとき
遺族と親族は、弔問客を迎える側に立ちます。そのため、通夜でも喪服が基本です。弔問客の多くが喪服で来る会場では、迎える側が平服だと目立ちます。
| 立場 | 服 | 小物 |
|---|---|---|
| 喪主・遺族 | 正喪服か準喪服 | 黒の布の鞄・黒のストッキング・一連の真珠か何も着けない |
| 近い親族(故人の兄弟姉妹・孫など) | 準喪服 | 遺族とそろえる |
| 遠い親族 | 準喪服か、喪服に近い濃い無地 | 光るものを外す |
亡くなった当日に遺族が通夜まで迎える場合、喪服を用意する余裕がないこともあります。その場合は、手持ちの濃い無地で整え、翌日の告別式に喪服を合わせれば十分です。喪服が体に合わなくなっていたときの対処は喪服が入らない場合の記事で、きつい場所と式までの日数から、直すか替えるかを決める形にしています。
親族の間で装いの格がそろっていないと、写真や受付で目立ちます。迷ったら、遺族の代表に近い人へ「喪服でそろえますか」と一言たずねてください。家ごとの決まりがある場合は、それがいちばん確かな答えです。
立場別:友人・知人のとき
友人や知人は、知らせからの時間で選びます。当日の知らせなら地味な平服で駆けつけて構いません。半日以上の余裕があり、手元に喪服があるなら喪服を選ぶと、迷いが減ります。
故人と特に親しかった場合は、時間があるかどうかにかかわらず、喪服へ寄せる人が多いです。通夜だけに出て告別式には出られないなら、その日が唯一のお別れの場になるので、なおさら喪服が落ち着きます。
友人同士で連れ立って行く場合は、前もって「喪服で行く?」と確かめ合うと、1人だけ浮くことを防げます。全員が平服なら平服でそろえ、誰か1人でも喪服なら、ほかの人も濃い無地へ寄せておくと並んだときに目立ちません。
立場別:会社関係のとき
会社関係で通夜に出るのは、多くの場合、仕事が終わってからです。仕事帰りにそのまま向かうことは広く受け入れられており、通勤の服から光るものと明るい色を外せば通ります。
| 状況 | 服 | 先にやること |
|---|---|---|
| 会社の代表として出る | 喪服か、喪服に近い濃い無地 | 香典の名義と、受付で名乗る言葉を確かめる |
| 同僚として個人で出る | 通勤の濃い服から外す | アクセサリー・スカーフ・色のある鞄を外す |
| 取引先の通夜 | 喪服へ寄せる | 名刺を受付で出すか、上司に確かめる |
着替える場所と使える分数で、外せるものが決まります。3分しかない日に何から外すか、通勤の黒と弔事の黒をどう見分けるかは、お通夜へ仕事帰りに向かう服装の記事で順番まで扱っています。
会社の人と一緒に行く場合、上司の装いに合わせるのが無難です。上司が喪服なら自分も喪服に、上司が通勤のスーツなら自分も濃い通勤服でそろえます。
知らせを受けたのが当日のとき
当日の知らせで、通夜まで数時間しかない場合は、新しく買い足すより、手持ちを外して整えるほうを優先します。急いだことが伝わるのは失礼にあたりません。
当日にやることは、上から順に3つです。
- 光るものを外す:耳・首・手のアクセサリー、髪留めの飾り
- 色を濃くする:明るい上着を脱ぐか、濃い色の上着に替える
- 足元を黒にする:ストッキングを黒に替え、靴は黒の飾りのないものにする
3つに15分あれば足ります。ストッキングだけは、移動の途中で買える場所が多いので、手元に無ければ途中で求めてください。服を整える時間がないときに優先すべきは、全身をそろえることより、光る点を消すことです。
知らせを受けて翌日以降のとき
通夜が翌日以降で、半日以上の余裕がある場合は、喪服を用意する時間があったと受け取られます。この場合は喪服を基本にしてください。
前日にやることは、出してきた喪服を実際に着てみることです。久しぶりに出した喪服は、丈や肩が合わなくなっていたり、虫食いや折りじわがあったりします。前日のうちに気づけば、しわを伸ばす、ストッキングの予備を買う、鞄の中身を入れ替える、の3つが間に合います。
着てみて似合わないと感じたときは、変えられるのは首元・袖丈・顔まわりの3か所です。喪服が似合わない対策の記事で、どこを変えるとどう見えるかを扱っています。
喪服の格 ── 正喪服・準喪服・略喪服
喪服には格があり、上から正喪服、準喪服、略喪服の3段に分けて呼ばれます。通夜で迷うのは、自分がどの段を着ればよいかです。
| 格 | 主に着る人 | 形の目安 |
|---|---|---|
| 正喪服 | 喪主・遺族の近い人 | 光沢のない深い黒、長めの丈、襟の詰まった形。和装なら黒の紋付 |
| 準喪服 | 親族・弔問客の多く | 深い黒のワンピースやアンサンブル、膝下の丈、袖あり |
| 略喪服 | 当日の知らせの弔問客・後日の弔問 | 黒・濃紺・濃いグレーの無地、光らず透けない服 |
いま一般に「喪服」と呼ばれて売られているものの多くは、準喪服にあたります。弔問客として通夜に出るなら、準喪服か略喪服のどちらかで足ります。正喪服は、遺族の中でも喪主や故人に近い人が着るもので、弔問客が着ると遺族より格が上になってしまうことがあります。
この記事で「地味な平服」と呼んでいるのは、この略喪服にあたる装いです。格を下げているのではなく、急な知らせに合わせた装いとして、昔から認められてきた段だと考えてください。
前日までに用意しておく一式
弔事の知らせは前もって分かりません。だからこそ、いざというときに迷わないよう、1か所にまとめておくと当日が楽になります。
まとめておくのは、黒のストッキング2足、黒の布の鞄、数珠、袱紗、白か黒の無地のハンカチ、黒の無地の髪ゴムかバレッタ、の6点です。これを1つの袋に入れて、喪服と同じ場所にしまっておきます。仕事帰りに向かうことが多い人は、同じものをもう1組、職場の引き出しに置いておくと安心です。
年に2回、季節の変わり目に袋の中身を確かめてください。ストッキングは時間がたつと伝線しやすくなり、袱紗や数珠は使ったあと戻し忘れていることがあります。喪服そのものも、年に1度は袖を通して、丈や肩が合っているか、虫食いや折りじわがないかを見ておくと、当日に慌てません。
手持ちに喪服が無いとき
喪服を持っていない場合、まず手持ちの服で通るものを探します。通夜であれば、濃い無地で光らない服が1着あれば行けます。
| 手持ちにあるもの | そのまま使えるか | 足すもの |
|---|---|---|
| 黒の無地のワンピース(膝丈・袖あり) | 使える | 黒のストッキングと黒のパンプス |
| 黒か濃紺のスーツ | 使える | 白か黒の無地のブラウス |
| 黒のパンツと濃い色のニット | 当日の知らせなら使える | 黒か濃い色の上着 |
| 礼服(お祝いの席にも着る黒) | 部品を入れ替えれば使える | 光る小物を外し、弔事用の小物に替える |
| 明るい色の服しかない | 使えない | 濃い色の上着かコートで全体を覆う |
お祝いの席に着ている黒の礼服を通夜に回す場合は、入れ替える部品があります。どこを替えるかはお通夜に礼服を着る記事で、6つの部品に分けてまとめています。
新しく1着用意するなら、通夜と告別式、法事のどれにも使える準喪服のワンピースと上着の組み合わせが、長く使えます。急ぎで用意する場合も、黒の濃さが十分か、光沢が出ないかを自然光の下で確かめてから決めてください。
冬のお通夜:コートの選び方と脱ぐ場所
冬の通夜は、夕方から夜にかけて屋外で待つ時間があります。焼香の列が外まで続くこともあり、寒さへの備えが要ります。
コートは、黒か濃紺か濃いグレーの無地で、光らないウールやカシミヤ風の素材を選びます。避けるのは、毛皮や毛皮風の襟、光沢の強いダウン、明るい色や柄のコートです。手元にダウンしか無い場合は、光沢の少ない黒であれば、会場の外で着ている分には目立ちません。
脱ぐ場所にも決まりがあります。多くの場合、コートは会場の建物に入る前に脱ぎ、腕にかけて持ちます。受付や焼香の列にコートを着たまま並ばないのが、多くの地域での作法です。屋外で焼香をする会場では、着たままでよいとされることもあるので、周りに合わせてください。
見えない所の防寒は自由です。上着の下に薄手の保温肌着を重ねる、タイツを厚めにする、靴の中に薄い中敷きを入れる、使い捨てカイロを腰に貼る、といった工夫は外から見えません。冬の弔事全般の寒さ対策は法事の服装の冬の寒さ対策で、見える所と見えない所に分けて扱っています。
夏のお通夜:上着を持つか、どこで着るか
夏の通夜でも、肌の出る形は避けます。半袖のワンピースは、上着を羽織れば通ります。ノースリーブは、上着を脱がない前提でなければ選ばないでください。
| 場面 | 上着 | 判断 |
|---|---|---|
| 移動中・屋外 | 脱いで手に持ってよい | 汗をかいたままより、会場で着直すほうが整う |
| 受付・焼香 | 着る | 半袖の場合も、ここだけは羽織る |
| 通夜振る舞いの席 | 着たままが無難 | 下が半袖なら脱いでもよいとする地域もある |
素材は、裏地のある薄手のものか、透けない程度の目の詰まった生地を選びます。薄いシフォンを1枚で着ると、照明の下で透けることがあるので、下に濃い色のインナーを重ねてください。汗を拭くハンカチは、白か黒の無地を1枚、別にもう1枚あると安心です。
小物の全体像
小物は「足す」より「外す」で考えます。通夜の小物で目立つのは、光る点と色の点です。
| 小物 | 選ぶもの | 外すもの |
|---|---|---|
| 靴 | 黒・布か光らない革・ヒール3〜5cm・つま先が閉じたもの | エナメル・大きな金具・サンダル・ブーツ |
| ストッキング | 黒・薄手(20〜30デニール前後) | 肌色・柄入り・ラメ |
| バッグ | 黒・布か光らない革・小ぶり | 大きな金具・型押し・明るい色 |
| アクセサリー | 何も着けないか、一連の真珠 | 金・銀・色石・揺れる飾り |
| 数珠 | 自分のもの(仏式の場合) | 人から借りること |
| ハンカチ | 白か黒の無地 | 柄や色の強いもの |
ここから、1つずつ判断の分かれ目を見ていきます。
靴の決め方
靴は黒で、つま先とかかとが閉じた形を選びます。素材は布か光らない革です。ヒールは3〜5cmほどで、太めのものが歩きやすく、音も鳴りにくいです。
迷うのは、手持ちの黒の靴に小さな金具や飾りがある場合です。金具が小さく、正面から見て光る点にならなければ、通夜ではそのままで構いません。気になるなら、金具の上に黒の小さなテープを貼ると目立たなくなります。
ブーツは、冬でも会場に入る前に履き替えるのが基本とされています。雪道や雨の日は、移動中だけブーツで、会場の近くでパンプスに履き替える人が多いです。座敷に上がる会場もあるので、脱ぎ履きしやすい靴を選ぶと助かります。
ストッキングとタイツ
ストッキングは黒の薄手を選びます。20〜30デニール前後で、肌がうっすら透ける程度が、多くの場合、弔事の正式な足元とされています。肌色のストッキングは、当日の知らせで黒が手に入らないときの代わりとして通りますが、手に入るなら黒に替えてください。
薄手の黒でどこまで透けるかは、膝と足首で見え方が違います。10デニールの黒ストッキングの透け方の記事で、膝と足首の透け方から履く場を分ける見方を扱っています。
冬の寒い日には、タイツを選ぶ人も増えています。地域や家によっては厚いタイツをカジュアルと見ることもありますが、寒さの厳しい地域では広く受け入れられています。どの厚さまでが通るかの目安は60デニールの黒タイツを法事や式で履く記事にまとめています。
バッグの決め方
バッグは黒の小ぶりなもので、布か光らない革を選びます。持ち手を腕にかけるか、手で持つ形が落ち着きます。肩からかける長いひもの鞄は、通夜の当日なら通りますが、ひもを短くして手で持つと整って見えます。
中に入れるものは、数珠、袱紗に包んだ香典、ハンカチ、ティッシュ、黒のストッキングの予備、小さな財布、スマートフォンです。入り切らない場合は、黒の無地のサブバッグを1つ足して、荷物を分けてください。
香典を受付で渡すとき、手がいくつ要るかで鞄の形が決まります。袱紗から出して両手で渡す間に、鞄をどこに置くか、数珠をどちらの手に持つかを先に決めておくと慌てません。受付の流れと鞄の形はお通夜で香典を渡す日の服装の記事で詳しく扱っています。
アクセサリーと時計
アクセサリーは、何も着けないのがいちばん確かです。着けるなら、一連の真珠のネックレスか、一粒の真珠のイヤリングまでにします。二連以上の真珠は「重なる」ことを連想させるとして、多くの場合、弔事では避けられてきました。
結婚指輪はそのままで構いません。それ以外の指輪は、石のないものでも外しておくと安心です。
時計は、文字盤が小さく、金属の面積が狭いものならそのままでよいです。面が大きく光を返す時計は外して鞄にしまってください。焼香のときに袖口から光るのは、思っている以上に目に入ります。
数珠・ハンカチ・袱紗
数珠は、仏式の通夜で持つことが多い小物です。宗派によって形や持ち方が違いますが、弔問客として持つなら、どの宗派でも使える略式の数珠で構わないとされています。数珠は人から借りたり貸したりしないもの、と考える地域や家が多いので、自分のものを1つ用意しておきます。
仏式以外の通夜では、数珠を使わないことがあります。案内に宗教や形式が書かれていれば合わせ、分からなければ、鞄に入れて持って行き、周りを見て出すかどうかを決めてください。
ハンカチは白か黒の無地にします。レースの縁取り程度なら構いませんが、色や柄の強いものは外します。
袱紗は、弔事では紫か紺、緑、灰色などの寒色系を使うのが一般的です。紫は慶事と弔事の両方に使えるので、1枚持つなら紫が便利です。
眼鏡・マスク・手袋・傘以外の持ち物
小物の表に入らないものも、通夜では目に入ります。決め方は同じで、光る点と色の点を消すことです。
眼鏡は、普段のもので構いません。縁が金色で太いものや、色の明るいものしか無い場合も、通夜のために替える必要はないとされています。気になるなら、縁の細いものや黒に近い色のものに替えてください。色の入ったレンズの眼鏡は、室内では外しておきます。
マスクを着ける場合は、白か黒、灰色の無地にします。柄や明るい色のマスクは、顔の正面にあるぶん、服より目立ちます。焼香や遺族へのあいさつのときに外すかどうかは、会場の案内や周りの人に合わせてください。
手袋は、冬の移動中は自由ですが、会場に入ったら外します。黒の布の手袋は、ネイルを隠す目的で焼香の直前まで着けておく使い方もあります。焼香のときは外すのが多くの場合の作法です。
スマートフォンは、明るい色のケースや飾りの付いたものなら、鞄の中にしまっておきます。会場に入る前に音が鳴らない設定にし、画面の明かりが漏れないよう、焼香の列では取り出さないようにしてください。
和装で出るとき
通夜に和装で出るのは、多くの場合、遺族や近い親族です。弔問客が和装で出ることは少なく、洋装のほうが目立ちません。
遺族として黒の紋付を着る場合も、通夜では洋装の喪服で迎え、告別式で和装にする家もあります。和装にするかどうかは、家ごとの考え方や地域の習わしによって違うので、親族の年長者に確かめてから決めてください。帯や小物は黒でそろえ、帯留めや髪飾りは使わないのが一般的です。
髪型の決め方
髪型は、顔にかからないこと、お辞儀をしたときに落ちてこないことが基準です。
| 髪の長さ | まとめ方 | 髪留め |
|---|---|---|
| 肩につかない | そのままで、耳にかける | 必要なら黒のピン |
| 肩につく〜肩下 | 耳より低い位置で1つにまとめる | 黒の無地のゴムかバレッタ |
| 長い | 低い位置でまとめ髪にする | 黒の無地、光る飾りのないもの |
高い位置のまとめ髪や、華やかに巻いた髪は、お祝いの席の印象になります。低い位置でまとめるだけで、落ち着いた印象になります。明るく染めた髪は、通夜の当日に戻す必要はありません。まとめて、光る髪飾りを使わなければ十分です。
メイクとネイル
メイクは、薄く整えるのが基本です。素顔のままより、肌を整えて顔色をなじませる程度にするほうが、多くの場合、落ち着いて見えます。
避けるのは、ラメやパール入りのアイシャドウ、色の強い口紅、つやの強いグロスです。口紅は、肌になじむベージュやくすんだ色を薄く塗る程度にします。地域によっては、口紅を控える「片化粧」という考え方が残っているところもあるので、親族として出る場合は、身近な年長者にたずねておくと安心です。
ネイルは、色のあるものは落とすのが基本です。当日に落とす時間がなければ、肌色に近いベージュを上から重ねるか、黒の手袋をして焼香のときだけ外す方法もあります。ジェルネイルなどで落とせない場合は、目立つ飾りだけでも外してください。
子どもを連れて行くとき
子どもは、制服があれば制服が正式な服装になります。制服の色が明るくても、そのまま着て構いません。
制服がない子は、手持ちの服を濃い色の無地でそろえます。
| 年齢 | 服 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 乳児 | 白や淡い色の無地でもよい | 泣いたときに出られるよう、出口に近い席にする |
| 幼児 | 黒・紺・グレーの無地の上下 | キャラクターの柄、光る靴、鳴る靴を外す |
| 小学生 | 白のシャツに濃い色のズボンかスカート | 明るい色の上着は、濃い色に替えるか脱ぐ |
子どもの靴は、黒か紺の運動靴でも構いません。光るものや、歩くと鳴るものだけは外してください。子どもが退屈しないよう、音の出ない小さな絵本や塗り絵を鞄に入れておくと、席で静かに待てます。法事も含めた子どもの服の選び方は法事の服装・子どもの記事で、色と音でそろえる見方をまとめています。
男性と並んで行くときの合わせ方
男性と連れ立って行く場合は、2人の装いの「段」をそろえてください。男性が黒の喪服に黒のネクタイなら自分も喪服に、男性が濃い色のビジネススーツに黒のネクタイを締めた略式なら、自分も濃い無地の平服か、喪服に光る小物を足さない形にそろえます。片方が喪服でもう片方が普段着だと、並んだときにどちらかが浮いて見えます。男性がネクタイを替えられない、靴が茶色しかない、といった事情があるなら、自分は喪服を控えめにして、2人の差が小さくなるように合わせると、受付で並んだときに落ち着きます。
お通夜と告別式の違い ── 同じ服でよいか
通夜と告別式は、同じ弔事でも、求められる装いの格が少し違います。
| 項目 | お通夜 | 告別式 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 急な知らせに駆けつける場 | 故人と正式にお別れする場 |
| 服の基本 | 喪服でも地味な平服でもよい | 喪服が基本 |
| 時間帯 | 夕方から夜 | 日中が多い |
| 光の具合 | 室内灯の下で、色の差が目立ちにくい | 自然光が入り、光沢や色の差が目立ちやすい |
| 平服で出る場合 | 当日の知らせなら広く受け入れられる | 遺族から平服の指定がない限り避ける |
両方に出る場合、同じ喪服を続けて着ても問題ありません。通夜で平服、告別式で喪服と分けても構いません。ただし、通夜で喪服、告別式で平服と格を下げる順にはしないでください。
告別式は日中に営まれることが多く、自然光の下で黒の濃さの違いが出ます。通夜では通った濃紺やグレーが、告別式では目立つことがあるので、告別式には喪服を合わせると安心です。葬儀全体の服装の流れは葬式・通夜の服装の記事でも扱っています。
妊娠中に出るとき
妊娠中の通夜では、体を締めつけないことを優先します。マタニティ用の喪服がなければ、ゆったりした黒か濃い色の無地のワンピースで構いません。
足元は、ヒールのない黒の靴で十分です。寒さが体に響くので、上着とひざ掛けを持ち、立って待つ時間が長い場合は、受付に一言伝えて座らせてもらってください。体調を理由に通夜を控えることも、多くの場合、失礼にはあたりません。秋冬の弔事で何を着るかは妊婦の礼服・秋冬の法事の記事で、場所ごとに分けて扱っています。
受付から焼香までの間、服で気をつけること
通夜の会場に着いてから帰るまでで、服がいちばん人の目に入るのは、受付と焼香の2か所です。どちらも、正面から近い距離で見られます。
受付では、記帳のために前かがみになります。襟ぐりが開いた服だと、ここで胸元が見えます。上着の前を閉じておくか、襟の詰まった服を選んでください。香典を出すときは、袱紗を開く手元が見られるので、ネイルの色や指輪が目に入りやすい場面でもあります。
焼香では、祭壇の前で一礼し、手を伸ばします。このとき袖口から時計やブレスレットが出ると、照明を返して光ります。袖の長さが手首までの服なら、腕を伸ばしたときに手首が少し出る程度で収まります。焼香の列は前後の人との距離が近いので、香りの強い香水や柔軟剤も控えておくと安心です。
座って待つ時間がある会場では、スカートの丈が座ったときに膝上まで上がらないかを、家を出る前に椅子に座って確かめておきます。立っているときに膝が隠れていても、座ると膝上まで上がる丈は少なくありません。
通夜振る舞いの席での振る舞いと服
通夜のあとに、遺族が弔問客を食事でもてなす席が設けられることがあります。通夜振る舞いと呼ばれ、多くの地域では、誘われたら少しでも箸をつけるのが供養になると考えられています。
服装は通夜のままで構いません。気をつけるのは、上着を脱ぐかどうかと、座敷に上がるかどうかの2つです。上着の下が半袖やノースリーブなら、暑くても上着は着たままにします。座敷に上がる会場では、靴を脱いだときにストッキングの伝線やつま先の汚れが目に入るので、家を出る前に確かめ、予備を1足持っておきます。
長居はせず、30分ほどで遺族に一言あいさつをして失礼するのが、多くの場合の作法です。食事の席で故人の思い出話をすることはあっても、大きな声で笑ったり、仕事の話を長くしたりするのは控えてください。
後日あらためて弔問するとき
通夜にも告別式にも出られず、後日あらためて自宅へ弔問する場合は、喪服ではなく地味な平服で伺うのが多くの場合の作法です。喪服で伺うと、遺族に悲しみを思い出させるとして避けられることがあります。
色は黒に限らず、濃紺や濃いグレー、落ち着いた茶でも構いません。光るものと肌の出る形を外すのは、通夜と同じです。自宅に上がるので、靴は脱ぎ履きしやすいもの、足元はストッキングか、冬なら濃い色の無地のタイツにします。
伺う前には、必ず遺族に連絡をして、都合のよい日時を確かめてください。四十九日を過ぎてからの弔問なら、手土産を持参することもあります。法要の時期や形式によって整え方が変わるので、そのときの案内に合わせて決めます。
雨や雪の日のお通夜
雨の日は、傘を黒か紺か透明のものにします。柄の大きい傘や、明るい色の傘は、会場の前で目立ちます。持っていない場合は、会場の近くで透明の傘を買えば十分です。
雪の日は、移動中だけ滑りにくい靴やブーツを履き、会場の手前でパンプスに履き替えます。履き替えた靴は、黒の無地の袋に入れて持てば目立ちません。濡れたストッキングで座敷に上がらないよう、予備を1足、鞄に入れておいてください。
どちらとも取れるときの決め方
条件を当てはめても決まらないことがあります。たとえば、友人の親の通夜で、知らせは当日の昼、翌日の告別式に出るかはまだ分からない、という場合です。
このときは、次の順で決めてください。
- 遺族や一緒に行く人に一言たずねられるか:たずねられるなら、それに合わせる
- 手元に喪服があり、着替える時間が取れるか:取れるなら、喪服を選ぶ
- どちらも難しいか:手持ちのいちばん濃い無地を選び、光るものと色の点をすべて外す
迷ったときに大切なのは、全身を完璧にそろえることより、「目立つ点を1つずつ消すこと」です。光る点、色の点、肌の出る点が1つも無い状態なら、喪服でなくても通夜の席に溶け込みます。
もう1つの目安は、自分が受付に立ったときに、遺族より整って見えないかどうかです。遺族が平服で迎えている会場に、弔問客が正喪服で入ると、かえって気を遣わせることがあります。会場の様子が分からないときは、喪服に光る小物を足さず、控えめにしておけば、どちらの会場でも収まります。
弔事全体の装いとのつながり
通夜の装いを一度整えておくと、そのあとの法事にもほぼそのまま使えます。四十九日では「平服で」と案内されることも多く、その場合にどこまで下げてよいかは四十九日の法要の服装の記事で扱っています。
法事で黒以外の紺やグレー、茶を選ぶ場合の濃さの目安は、通夜の地味な平服を選ぶときにもそのまま役立ちます。法事の服装・黒以外を選ぶ記事で、濃さの目安を確かめてください。
お悔やみの場での装い全般の原則は、お悔やみの服装マナーの記事にまとめています。通夜だけでなく、弔問や後日のお参りにも当てはまる内容です。
目的別の道案内
ここまでの内容から、自分の状況に近い記事へ進んでください。
| 知りたいこと | この記事で戻る節 | その先で詳しく読むもの |
|---|---|---|
| 仕事帰りに着替える時間がない | 立場別:会社関係のとき | 仕事帰りの服装の記事 |
| 私服で行っていいか決めたい | 喪服と地味な平服、どちらで行くかの線 | 私服でいいかの記事 |
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| 喪服を通夜と告別式のどちらに着るか | お通夜と告別式の違い | 喪服の段取りの記事 |
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よくある問い
- Q. お通夜に喪服を着て行くと、準備していたようで失礼になりませんか
- 以前は「急な知らせに喪服で駆けつけるのは、亡くなるのを待っていたようだ」と受け取られることがありました。いまは多くの地域で、通夜に喪服で出ることは広く受け入れられており、喪服で行って咎められることはほとんどありません。気になるのは、知らせを受けてすぐの当日に、遺族より整った格好で受付に立つ場合です。その場合も、喪服に光る小物を足さず、静かな表情でいれば十分です。受け取り方は地域や家によって違うので、判断がつかなければ周りの親族に合わせてください。
- Q. 黒い服が手元にありません。紺やグレーでも行けますか
- 行けます。通夜で求められているのは「黒であること」より「目立たないこと」です。紺なら夜の室内で黒に近く見える濃さ、グレーなら白に寄らない濃いもの、を目安にしてください。確かめ方は、蛍光灯の下で黒い靴の横に並べることです。並べて差がはっきり分かるほど明るいなら、上に濃い色の上着を羽織るか、別の服を選びます。無地であること、光らないことのほうが、色の差より目に入ります。
- Q. 通夜振る舞いに誘われたら、服装を変える必要はありますか
- 変える必要はありません。通夜のあとの会食は、通夜の服のまま席に着くものです。気をつけるのは、上着を脱ぐかどうかです。会場が暑くても、袖の短い服や肩の出る服を下に着ている場合は、上着を着たままにしてください。座敷に上がることもあるので、ストッキングの伝線と、靴を脱いだときの足元はあらかじめ確かめておきます。長居はせず、ひと口いただいて失礼するのが多くの場合の作法です。
- Q. 学生や就活中で、手持ちが制服かリクルートスーツしかありません
- 制服がある学生は、制服が正式な服装として通ります。リボンやネクタイが明るい色でも、そのままで構わないとされることが多いです。リクルートスーツは、黒か濃紺の無地であれば通夜にそのまま使えます。シャツは白で、上着の前は閉じます。足元は黒のストッキングと黒のパンプス、鞄は就活用の黒で光る金具の少ないものなら代わりになります。外すのは、明るいスマートフォンケースや髪留めなど、正面から見て色の点になるものです。
— メグラシ編集部





