お通夜に私服で向かう日、手持ちのどれを着るか|光・透け・金具・音の4つで選別する

喪服が間に合わない日、クローゼットの前で決めることは1つです。手持ちのどれが、この場に持つか。
服の名前では決まりません。決めるのは布そのものです。見るのは4か所、3分で終わります。
選別の順番|濃い無地を全部出す
まず、濃い色の無地をハンガーごと全部出してください。黒、濃紺、濃いグレー、濃い茶。この時点で柄物と明るい色は候補から外れます。
出したものを、次の4つで落としていきます。
- 窓際で持ち上げて、面が白く光るか
- 光にかざして、織りの目から向こうが見えるか
- 表に出ている金具とボタンが3個以上あるか
- 着て10歩歩いて、生地の音が出るか
1つでも当てはまったら候補から外します。残ったものが着られる服です。
1つめ|窓際で持ち上げる
**蛍光灯の下では判定が出ません。**必ず窓際へ持って行ってください。
自然光は蛍光灯より広い角度から当たるので、面の光り方がはっきり出ます。生地を両手で広げて水平より少し上に持ち上げ、顔をずらしながら角度を変えて見ます。
**角度を変えたときに、面が白く走るなら光沢があります。**曇りの日でも窓際なら出ます。
夜しか時間がないときは、明るい照明の真下に立って、生地を持ち上げたまま自分の顔の位置を左右に動かしてください。それでも分からないなら、その服は使わないほうが安全側です。
2つめ|光にかざして、透けを見る
生地を1枚だけ手に取り、窓に向かってかざします。
**織りの目から向こうの景色が見えるなら外れます。**目が粗いということは、生地が薄いということで、通夜の場では軽く見えます。
判定の基準は、自分の指を生地の裏に当てて、指の形が分かるかどうか。輪郭が読めるなら透けています。
夏物のブラウスやカットソーで起きやすい落ち方です。9月に入っても手持ちが夏物のままだと、ここでほとんど落ちます。
3つめ|表に出ている金具を数える
服の表側から見えている金具とボタンを数えてください。
- 0〜2個 — そのままで足ります
- 3個以上 — 数を減らすか、候補から外す
金具は、光を返す点として数えます。ボタンが布でくるまれているものは光らないので、数に入れません。ファスナーの引き手、袖口のボタン、ベルトの留め具、装飾のリベット。ここが対象です。
**減らせるものもあります。**ベルトを外す、上着の前を開けて中のボタンを隠す、袖をまくらない。この3つで1〜2個は減ります。
4つめ|10歩歩いて、音を聞く
これがいちばん見落とされます。
着た状態で、部屋の中を10歩歩いてください。腕を振り、脚を動かします。すれる音が自分の耳に届くなら、周りにも届いています。
音が出やすいのは3つ。
| 出やすいもの | 理由 |
|---|---|
| 表面がつるりとした化学繊維 | 布どうしがすべって高い音が出る |
| 裏地のついた薄い生地 | 2枚が離れたりくっついたりする |
| 裾がたっぷりしたもの | 動く布の面積が広い |
通夜の会場は静かで、読経のあいだはさらに静かになります。この音は思っているより通ります。
音が出る服しかないときは、動く量を減らしてください。座ったら足を組まない、鞄を膝の上で動かさない。この2つで音の大半は消えます。
色の濃さ|黒に見えても黒ではない
濃い紺、濃い茶、炭色は、単体で見ると黒に見えます。
**比べる方法は簡単です。**はっきりした黒の布を1枚用意して、その服の上に重ねてください。黒い靴下でも、黒い傘の生地でも構いません。
境目が見えたら、その服は黒ではありません。
境目が見えた場合でも使えないわけではなく、濃紺や濃いグレーとして扱えば通ります。扱いを間違えなければいいだけです。
上下を組む|濃さの差は1段まで
上下がそろっていない日は、濃さの段で考えてください。
段は上から、黒 → 濃紺 → 濃いグレー → 中間のグレー、の順です。
- 同じ段 — いちばん収まります
- 1段違い — 通ります。黒の上着に濃紺のボトムス、など
- 2段以上 — 明るいほうが1点だけ浮きます
**濃いほうを上に持ってくると、差が目立ちにくくなります。**人の目は上から下へ動くので、最初に濃い面を見ると、下の段が下がって見えにくくなります。
座ったときの丈
通夜は座っている時間が長い場です。読経のあいだ、焼香を待つあいだ、通夜ぶるまいの席。立っている時間より、座っている時間のほうが長くなります。
**椅子に座って、鏡で膝が隠れているかを見てください。**立ったときに膝下だった丈が、座ると膝上に上がります。
- 隠れている → そのままで足ります
- 出る → 別の1着に替えるか、上に何かを掛けられるようにする
畳の席で正座する場合は、さらに上がります。正座の姿勢で膝が出ないかも、同じ方法で確かめてください。
ニットとカーディガンの扱い
秋の通夜で手が伸びやすいのがニットです。使えるものと使えないものがあります。
使えるもの。 目の詰まった無地。黒か濃紺。首の詰まった形か、開いていても鎖骨が見えない程度まで。
使えないもの。 目の粗い編み、ざっくりした太い糸、毛足の長いもの、光る糸が混ざっているもの。
毛足の長いものは、線香の香りを吸います。翌日以降にも残るので、別の理由でも避けたい選択です。
カーディガンは、**前を留めれば上着の代わりになります。**留めない形だと羽織り物として軽く見えるので、その日は留めておいてください。
上着がないときに代わりになるもの
黒の上着が手元にない日の代わりは、次の順です。
- 濃紺のジャケット — 黒に次いで通ります
- 黒か濃紺のカーディガン(前を留める) — 上着として成立します
- 黒か濃紺のベスト — 袖はないが、面が濃くなる分は効きます
- 黒のストールを肩にかける — 光らない生地であれば
ストールは、動くとずれるので、座ったときにずり落ちない掛け方にしてください。肩の上で1回だけ交差させると落ちません。
4つ全部に落ちたとき
3つの手があります。
上下の片方だけ濃い無地にして、もう一方を上着で隠す。 上着の前を留めれば、外から見える面積は半分以下になります。中が多少落ちていても、外に出ていなければ問題になりません。
上着だけを用意する。 黒の無地の上着が1枚あれば、中が落ちても全体は収まります。長く使えるので、この機会に1枚だけ、という考え方は成立します。
貸してもらう。 同居の家族や近い親族に黒の上着が1枚あれば、サイズが多少合わなくても前を留めれば通ります。肩幅が少し大きいくらいなら外から分かりません。
どれも無理なら、いちばん濃い無地を選び、**靴・鞄・ストッキング・アクセサリーの4か所を黒でそろえてください。**服の格より、この4点がそろっていることのほうが効きます。
上下を別々に選ぶときの順番
上下がそろった1着がない日は、下から選んでください。
理由は、下のほうが候補が少ないからです。黒の無地のボトムスは、たいてい1本か2本しかありません。上は何枚かあるので、下を決めてから上を合わせるほうが早く終わります。
下を選ぶときに追加で見るのは2つ。
- 座って膝が隠れるか — 立ったときの丈で判断しない
- 裾が床に触れないか — 長すぎるものは、雨の日に濡れます
上を選ぶときは、下の濃さを手に持って比べてください。同じ場所で並べて、境目が見えるかどうか。1段までなら通ります。
靴と鞄を先に決めてしまう手
服から選ぶと時間がかかる日があります。そのときは、順番を逆にしてください。
**靴と鞄を先に決めます。**黒で、金具が出ていなくて、つま先とかかとが閉じている靴。黒の無地の鞄。ここが決まると、服の候補が自動的に絞られます。
理由は、この2点は替えが利かないからです。服は何枚もありますが、条件を満たす靴は1足しかないことが多い。1足しかないなら、それに合う服を選ぶほうが早い。
そして、**靴と鞄がそろっていれば、服が多少落ちても全体は収まります。**逆に、服だけ整えて足元が明るいと、そこが目に入ります。この順番は、時間がない日ほど効きます。
選んだ1着を、次にどう置くか
選別が終わったら、その1着はハンガーごと別の場所へ移してください。
理由は2つ。当日の朝に探さなくて済むこと。そして、次に同じことが起きたときに選別をやり直さなくて済むことです。
一緒に置いておくもの。
- 黒の無地のストッキング 2足
- 黒の無地の鞄
- 黒の靴
- 数珠と袱紗
- 白か黒の無地のハンカチ
**この一式を1か所にまとめておくと、次からは選別が要りません。**中身は年に2回、9月と3月に見てください。夏物のまま冬を越すと、当日に薄くて着られません。
3分で終わらせるための並べ方
最後に、選別そのものを速くする方法です。
濃い色の無地を、クローゼットの中で1か所にまとめて掛けておいてください。色ごとに散らばっていると、探すだけで時間が消えます。
まとめておけば、当日は窓際に持って行くだけになります。**4つの基準は、布の性質なので一度判定すれば変わりません。**一度落とした服が翌年に通ることはないので、記録しておく必要もありません。
通夜の知らせは、いつも急に届きます。だからこそ、選別の作業は落ち着いている日に済ませておくほうが、当日の負担が軽くなります。
秋に入ったら1回だけ見直す
4つの基準は布の性質なので変わりませんが、季節が変わると候補そのものが入れ替わります。
夏のあいだ通っていた薄い1着は、9月の夕方には足りません。逆に、冬の厚い1着は、まだ暑くて着られない日が続きます。
**9月に入ったら、1回だけ候補を並べ直してください。**やることは3つです。
- 夏物の候補を外して、しまう
- 秋冬物の濃い無地を出して、4つの基準にかける
- 通った1着を、小物の袋と一緒に1か所へ掛ける
このとき、**上に羽織る1枚も一緒に選んでおいてください。**9月10月の通夜は18時前後に始まり、この時刻は日中より5〜7度低くなります。中の1着だけを決めても、外の1枚がないと会場までの道で足りません。
羽織る1枚も、判定は同じ4つです。窓際で光るか、透けるか、金具が3個以上あるか、歩いて音が出るか。目の粗い編みのものは、ここでほとんど落ちます。
よくある問い
- Q. 喪服がありません。手持ちのどれを選べばいいですか
- クローゼットから濃い色の無地を全部出して、4つの基準で落としていってください。1つめ、窓際で持ち上げて面が白く光るものを外す。2つめ、光にかざして織りの目から向こうが見えるものを外す。3つめ、表に出ている金具やボタンが3個以上あるものを外す。4つめ、着て10歩歩いて生地の音が出るものを外す。残ったものが候補です。この選別に3分あれば足ります。全部落ちた場合の代わりは、この記事の後半にまとめました。
- Q. 蛍光灯の下で見ても、光沢があるかどうか分かりません
- 蛍光灯では出ないので、窓際に持って行ってください。自然光は蛍光灯より広い角度から当たるので、面の光り方がはっきり出ます。持ち方は、生地を両手で広げて水平より少し上に持ち上げ、顔をずらして角度を変えながら見ます。角度を変えたときに面が白く走るなら光沢があります。曇りの日でも窓際なら出ます。夜しか時間がないときは、明るい照明の真下に立って、生地を持ち上げて自分の顔の位置を左右に動かしてください。それでも分からないなら、その服は使わないほうが安全側です。
- Q. 黒に見える服が、実は黒ではないことがありますか
- あります。濃い紺、濃い茶、炭色は、単体で見ると黒に見えます。比べる方法は簡単で、はっきりした黒の布を1枚用意して、その服の上に重ねてください。境目が見えたら、その服は黒ではありません。黒の布は、黒い靴下でも黒い傘の生地でも構いません。境目が見えた場合でも使えないわけではなく、濃紺や濃いグレーとして扱えば通ります。ただし上下を組むときに、もう一方の濃さと2段以上開かないように合わせてください。
- Q. 生地の音が出るかどうかは、どう確かめますか
- 着て10歩歩いてください。腕を振り、脚を動かした状態で音が出るかどうかを聞きます。すれる音が自分の耳に届くなら、周りにも届いています。音が出やすいのは、表面がつるりとした化学繊維、裏地のついた薄い生地、たっぷりした裾のあるもの。通夜の会場は静かで、読経のあいだはさらに静かになるので、この音は思っているより通ります。音が出る服しかないときは、動く量を減らす持ち方にしてください。座ったら足を組まない、鞄を膝の上で動かさない、この2つで音の大半は消えます。
- Q. 4つの基準に全部落ちてしまいました
- 3つの手があります。1つめ、上下のどちらかだけを濃い無地にして、もう一方を上着で隠す。上着の前を留めれば、外から見える面積は半分以下になります。2つめ、上着だけを新たに用意する。黒の無地の上着が1枚あれば、中が多少落ちても全体は収まります。3つめ、貸してもらう。同居の家族や近い親族に黒の上着が1枚あれば、サイズが多少合わなくても前を留めれば通ります。どれも無理なら、いちばん濃い無地を選び、靴・鞄・ストッキング・アクセサリーの4か所を黒でそろえてください。
— メグラシ編集部





