お通夜の服装は私服でいいか|知らせの届き方で線が引ける

お通夜に私服で行っていいかどうかは、服の話ではありません。知らせがいつ、誰から、どんな言葉で届いたかで線が引けます。
同じ服でも、当日の午後に知らせを受けた人と、3日前から知っていた人では、受け取られ方が変わります。順に埋めてください。
先に埋める4つ
- 誰から知らせが届いたか(施主/親族/職場/友人・知人)
- いつ届いたか(当日/前日/2日以上前)
- 添えられていた言葉(何もなし/「平服で」/「そのままで」)
- 自分の立場(親族/職場/友人/近所)
2でまず大きく線が引けます。1と3で言葉の意味が決まり、4で最後の寄せ方が決まります。
いつ届いたか|当日か、前日までか
これがいちばん効く判定です。
当日に届いた知らせ。 私服のまま向かって構いません。通夜はもともと、知らせを受けた人が駆けつける場です。着替えに戻る時間がなかったことは、前提として受け取られます。
前日までに届いていた知らせ。 用意する時間があったと見なされます。この場合、私服のままというのは通りにくくなります。黒の上下か、それに近い濃色の無地にしておくほうが収まります。
2日以上前から知っていた場合。 ほぼ確実に、用意していく側です。ここで私服を選ぶ理由は、原則としてありません。
「平服で」「そのままで」の意味
添えられた言葉は、そのまま読むと外れます。
平服は私服のことではありません。黒・濃紺・濃いグレーの無地を指すと考えてください。柄物、明るい色、デニム、スニーカーは含まれません。この言葉の意味は「礼服でなくてよい」であって、「普段着でよい」ではないことがほとんどです。
**「そのままでお越しください」**は、仕事帰りの人に向けた言葉です。着替えなくていいという意味であって、何を着ていてもいいという意味ではありません。色が濃く、光るものが出ていなければ足ります。
何も言われていない場合。 これがいちばん多い型です。指定がないのではなく、こちらの判断に任されています。この場合は、いつ届いたかで決めてください。
誰が言ったかで、意味が変わる
同じ「平服で」でも、出どころで受け取り方が変わります。
| 言った人 | 受け取り方 |
|---|---|
| 施主本人 | 指定として受け取って構わない |
| 施主の配偶者・兄弟 | 気づかいの言葉。自分の立場で決める |
| 参列する友人・同僚 | 情報ではなく相談。判定には使わない |
施主以外からの伝言は、装いの指定ではありません。「気を遣わせたくない」という意味で言っていることが多いので、額面どおり下げると、言った本人が困る側に回ります。
立場|どこまで近いか
自分がどの立場で参列するかで、線が動きます。
- 親族(二親等以内) — 私服は選択肢に入りません。黒の上下です
- 親族(三親等以遠) — 当日の知らせなら濃色の無地で通ります
- 職場の関係 — 職場の他の人がどうするかにそろえるのがいちばん確かです
- 友人・知人 — 当日の知らせなら私服のまま。前日までなら濃色の無地
- 近所・自治会 — 地域のやり方があることが多いので、一人に聞いてください
**職場の関係だけは、自分で決めないほうが早いです。**同じ会社から複数人が行くなら、そろっていないほうが目立ちます。
可否の一覧
ここまでを1枚にまとめます。
| 知らせが届いた時期 | 立場 | 判定 |
|---|---|---|
| 当日 | 友人・知人・職場 | 私服のまま可(色と光の条件つき) |
| 当日 | 三親等以遠の親族 | 濃色の無地へ寄せる |
| 当日 | 二親等以内の親族 | 黒の上下 |
| 前日 | 友人・知人・職場 | 濃色の無地 |
| 前日 | 親族 | 黒の上下 |
| 2日以上前 | すべて | 黒の上下 |
「私服」に入るもの、入らないもの
私服でいいと判定が出た日でも、範囲があります。
入るもの。 黒・濃紺・濃いグレー・濃い茶の無地。ジャケット、カーディガン、無地のニット、無地のワンピース、無地のパンツやスカート。
入らないもの。 明るい色、白、柄物、デニム、スニーカー、サンダル、大きく肌が出るもの、光沢の強い生地、キラキラした飾りのついたもの。
**判断に迷うのが、同色の織り柄です。**無地に見えて、角度を変えると模様が浮かびます。窓際の自然光にかざして、模様が見えたら外してください。
私服でいい日でも動かさない4か所
服そのものを下げても、この4つが黒でそろっていれば全体は収まります。
- 靴 — 黒。つま先とかかとが閉じている。金具が表に出ていない
- 鞄 — 黒か濃い色。金具が光らない
- ストッキング — 黒の無地
- アクセサリー — 光を返すものを外す
逆に、服だけ黒にして足元が明るいと、その1点が浮きます。**人の目は、そろっていないところに止まります。**4点そろっているほうが、服の格より効きます。
黒がないときの代わり
手持ちに黒がない日は、次の順で寄せてください。
- 濃紺の無地 — 黒に次いで収まります
- 濃いグレーの無地 — 濃いほど良い。薄いグレーは外れます
- 濃い茶の無地 — 地域によっては使われます
**上下で色が違ってもかまいません。**濃紺の上に黒の上着、でも通ります。上下がそろっていないことより、明るい色が1点混ざっていることのほうが目に入ります。
制服や作業着で行くしかないとき
仕事の途中で駆けつける場合、着替える手段がないことがあります。
**制服はそのままで構いません。**制服は、その人がどこから来たかを示すものとして受け取られます。上に黒か濃い色の上着を1枚羽織れると、なお収まります。
作業着の場合。 汚れが目立つときは、上着を1枚羽織って隠してください。靴だけは替えられるなら替える。安全靴のままだと足元が浮きます。
いずれの場合も、受付で「仕事の途中で参りました」と一言添えると、装いの説明が要らなくなります。
私服で行った日に、浮かない位置の作り方
私服で行くと決めた日でも、その場で位置を上げられます。
- 上着の前を留める — 中の色が隠れて、外から見える面積が減ります
- アクセサリーをすべて外す — 光る点をゼロにする
- 髪をまとめる — 顔まわりが整うと、全体が一段落ち着きます
- 鞄を膝の上ではなく足元に置く — 色のある鞄が視界から外れます
この4つは、会場に着いてから30秒でできます。
家族葬の通夜
規模が小さいことは、装いを下げていい理由になりません。
むしろ人数が少ないぶん、一人の差がそのまま見えます。10人の席なら一人違っても列に紛れますが、5人だと全員が全員を見ることになる。
施主から明確に「普段着で」と言われている場合を除き、黒の上下か、それに近い濃色の無地にしておくほうが収まります。
**規模と格は別の軸です。**同じように扱わないでください。
告別式には、この判定を使わない
ここまでの判定は通夜のものです。翌日の告別式には使えません。
告別式は、日時が事前に決まっていて、参列する側にも用意する時間があります。当日の知らせという前提が成り立たないので、私服という選択肢は原則として外れます。
通夜と告別式の両方に出るなら、告別式のほうを基準にして用意し、通夜はその一段手前で組むのがいちばん短く済みます。
一緒に行く人と装いが違うとき
同じ職場や同じ家から複数人で行くのに、一人だけ装いが違うことがあります。
**そろえるほうが収まります。**理由は、そろっていないところに目が止まるからです。全員が私服なら私服の列に見えますが、一人だけ黒の上下だと、その人が浮くのではなく「他の人が下げている」ように見えます。
決め方は簡単です。**いちばん濃い人に合わせてください。**濃いほうへそろえるのは当日その場でもできますが、薄いほうへそろえることはできません。
事前に一人へ「何を着ていきますか」と聞くだけで、この問題はほとんど消えます。聞きにくい相手なら、「黒の上下で行こうと思います」と先に伝える形にすると、相手が合わせてくれます。
通夜ぶるまいに残るかどうか
受付と焼香だけで帰るのか、通夜ぶるまいの席まで残るのかで、条件が1つ増えます。
**残る場合、座っている時間が長くなります。**畳の席なら正座か、足を崩す形になります。椅子でも1時間前後は座ります。
だから、座ったときに膝が隠れているかを確かめておいてください。立ったときに膝下だった丈が、座ると膝上に上がります。
もう1つ、料理の香りが服に入ります。私服で行った日は、翌日以降も着る服です。帰宅後にハンガーへ掛けて風を通してください。閉じたクローゼットに戻すと残ります。
残るかどうかが当日まで分からない日は、残る前提で丈を決めておくほうが困りません。丈は当日その場では変えられない一方、残らない選択はいつでもできます。
判定が割れたときは、濃いほう
条件が読み切れないときの寄せ方は決まっています。
**濃いほうを選んでください。**理由は、当日その場で下げることはできても、上げることはできないからです。
濃い服を着ていって周りが軽い装いだったとき、上着を脱いでアクセサリーを1つ足せば半歩下がります。逆に軽い装いで行って周りが黒だったとき、その場で黒を出すことはできません。
どこまでを許容するかは地域や家によって違います。その違いを当日その場で確かめる方法はないので、選択肢が残るほうを朝に選ぶ、というだけの話です。
もう一つ、判定に迷ったときに使える近道があります。**その通夜に、自分より近い立場で参列する人がいるかどうか。**いるなら、その人がどうするかを聞いてください。自分より近い人が黒の上下なら、自分もそこへ寄せる。自分より近い人が濃色の無地で済ませるなら、それより下げなければ足ります。
聞く相手がいない日は、**自分がその家とどれくらいの距離にいるかを、年に何回会うかで置き換えてください。**年に何度も会う関係なら黒の上下、数年に一度なら濃色の無地。この置き換えは正確ではありませんが、判断が止まったときに動き出すには足ります。
よくある問い
- Q. 当日の午後に知らせを受けました。私服のまま行ってもいいですか
- 構いません。通夜はもともと、知らせを受けた人が駆けつける場です。当日に届いた知らせなら、着替えに戻る時間がなかったことは前提として受け取られます。ただし私服のままというのは「何でもいい」という意味ではなく、色が濃く、光るものが出ていない状態にしてから受付に立つ、という前提が付きます。柄物、明るい色、デニム、スニーカー、大きく肌の出るものは外れます。当てはまるときは、上着を1枚羽織るか、色のある部品を外すかで寄せてください。
- Q. 「平服でお越しください」と案内にありました。私服でいいということですか
- 平服は私服のことではありません。黒・濃紺・濃いグレーの無地を指すと考えてください。柄物、明るい色、デニム、スニーカーは含まれません。この言葉の意味は「礼服でなくてよい」であって、「普段着でよい」ではないことがほとんどです。加えて、言った人が施主本人かどうかで受け取り方が変わります。施主本人なら指定として受け取って構いませんが、配偶者や兄弟からの伝言だった場合は気づかいの言葉なので、自分の立場で決めてください。
- Q. 私服で行くとして、どこまでは動かさないほうがいいですか
- 4か所です。靴、鞄、ストッキング、アクセサリー。服そのものを下げても、この4つが黒でそろっていれば全体は収まります。逆に服だけ黒にして足元が明るいと、その1点が浮きます。靴は黒でつま先とかかとが閉じているもの。鞄は黒か濃い色で、金具が表に出ていないもの。ストッキングは黒の無地。アクセサリーは、光を返すものを外す。この4つは、私服でいい日でも動かさないと決めておくと、判断が短くなります。
- Q. 家族葬の通夜に呼ばれました。私服のほうがいいですか
- 家族葬でも、呼ばれて参列する側の判定は変わりません。規模が小さいことは装いを下げていい理由にはならないと考えてください。むしろ人数が少ないぶん、一人の差がそのまま見えます。10人の席なら一人違っても列に紛れますが、5人だと全員が全員を見ることになります。施主から明確に「普段着で」と言われている場合を除き、黒の上下か、それに近い濃色の無地にしておくほうが収まります。地域や家によって違うので、迷ったら濃いほうを選んでください。
- Q. 判定が割れたときは、どちらに寄せればいいですか
- 濃いほうです。理由は、当日その場で下げることはできても、上げることはできないからです。濃い服を着ていって、周りが軽い装いだったとき、上着を脱いでアクセサリーを1つ足せば半歩下がります。逆に軽い装いで行って周りが黒だったとき、その場で黒を出すことはできません。選択肢が残るほうを朝に選ぶ、というだけの話です。濃いほうで浮くことは、経験上ほとんど起きません。
— メグラシ編集部





