お通夜で香典を渡す日の服装|受付の30秒に手がいくつ要るかで決まる

香典を持って通夜に行く日、装いを決めているのは色ではありません。受付の30秒で、手がいくつ要るかです。
その30秒に何が起きるかを分解すると、鞄の形と袖の長さが決まります。順に見ていきます。
受付の30秒を分解する
受付で起きることを、順番に並べます。
- 列に並んで待つ
- 一礼して、お悔やみの言葉を伝える
- 鞄から袱紗を出す
- 袱紗を開く
- 香典袋を取り出す
- 両手で差し出す
- 袱紗をたたんで鞄にしまう
- 筆を持って記帳する
- 一礼して席へ移る
太字にした3か所が、両手を使う場面です。
手が足りなくなるのは2回
上の並びで、鞄を持ったままだと成立しないのは2か所です。
袱紗を開くとき。 片手で袱紗を持ち、もう一方の手で開きます。このとき鞄を持っていると、開く手がありません。
記帳するとき。 片手で記帳台を押さえ、もう一方で筆を持ちます。鞄を持っていると、台を押さえられずに字が乱れます。
この2回のために、**鞄は肩にかけられるものにしてください。**手で持つ形だけの鞄だと、そのあいだ床に置くか脇に挟むかしかありません。
鞄|肩ひもがあるかどうか
条件は4つです。
| 見る場所 | 条件 |
|---|---|
| 肩ひも | ある。肩から落ちない長さ |
| 色 | 黒 |
| 金具 | 表に出ていない、または光らない |
| 素材 | 光を返さない。毛足が長くない |
**肩ひもの長さは、腕を下ろしたときに鞄が腰の高さに来るくらいが扱いやすい範囲です。**長すぎると座ったときに床につき、短すぎると肩から落ちます。
手で持つ形しかない日は、受付に立つ前に**鞄を左腕の肘にかけてしまってください。**肘にかければ、両手が使えます。
鞄の大きさ|香典袋が折れずに入るか
香典袋は、折ると中の紙に線が残ります。渡すときにその線が見えるので、折らずに運べる大きさが要ります。
**横19cm前後が入れば、中で折れずに済みます。**手持ちの鞄で確かめるなら、A5判の紙を入れてみてください。曲がらずに収まればほぼ足ります。
袱紗に包んだ状態では、さらにひとまわり大きくなります。袱紗ごと入れて、口が閉まるかどうかまで見ておいてください。
袱紗をどこに入れるか
いちばん外側の、片手で開けられる場所です。
鞄の底に入れると、受付の列に並んだ状態で探すことになります。外側にポケットがあるならそこ、なければ中の入口に近い側へ、他のものと分けて置いてください。
順番としては、こうすると短く済みます。
- 会場に着いた時点で、袱紗を鞄の手前へ移す
- 受付の列に並んだら、袱紗を手に持ってしまう
- 受付の前に立ったときには、もう手の中にある
受付の前に立ってから鞄を探すと、後ろの人を待たせることになり、手元も落ち着きません。
袖|記帳で机につかない長さ
腕を前に出したときに、手首が5cm以上出る長さにしてください。
それより長いと、記帳台に袖口が触れます。墨がつくこともありますし、袖が邪魔で字が乱れます。
外れやすいのは3つ。
- 袖口が広がっている形
- 手の甲までかかる長さ
- 袖にひだやギャザーが入っているもの
**確かめ方は簡単です。**机に向かって座り、字を書く姿勢を取って、袖口が机に触れるかを見てください。触れるなら、その日は別の1着にするか、袖をまくれる形にしておきます。
ただし、まくった袖口が外から見えると軽く見えるので、まくるなら内側へ折り込む形にしてください。
手元に出るもの
記帳のあいだ、相手の目は自分の手にあります。ここに出るものを整理します。
外すもの。 光を返す指輪、面の大きい時計、色の濃いネイル、香りの強いハンドクリーム。
そのままでいいもの。 結婚指輪、文字盤が小さく金属の面積が狭い時計。
ネイルが落とせないときは、指先を内側に入れて筆を持つと正面から見えにくくなります。両手を重ねて待つときも、指先を内へ入れる形にしてください。
上着|脱ぐか、着たままか
会場の造りで決まります。
入口にコートを預ける場所がある会場。 受付の前に預けてください。手荷物が減るぶん、受付での動作が楽になります。
預ける場所がない会場。 上着を腕にかけたまま受付に立つと、片腕が使えません。この場合は着てしまうほうが手が空きます。
9月10月の通夜は、会場の中が暑くなることがあります。着たままつらいなら、受付を済ませてから席で脱いでください。順番を入れ替えるだけで解決します。
傘の日|手が1本減る
雨の日は、条件が1つ厳しくなります。
会場の入口に傘立てがあるなら、そこで手放してください。ないときは、受付に立つ前に傘を畳んで留め、鞄の肩ひもに掛けるか、腕の内側に挟みます。
濡れた傘を持ったまま袱紗を開くと、香典袋に水がつきます。**袋が濡れると、渡したあとに相手の手にも移ります。**ここは避けたい場面なので、傘の置き場所を先に決めてから受付に並んでください。
雨の日は、鞄も濡れます。布地のものより、水を弾く素材のほうが助かります。
香典を出さない立場のとき
同じ家から複数人が参列する場合、香典は代表者がまとめて出すことがあります。自分が出さない側になったときは、受付での動作が2つ減ります。
袱紗を開く場面と、香典袋を差し出す場面がなくなる。残るのは記帳だけです。
この場合、**鞄の条件はゆるくなります。**肩ひもがなくても、記帳の30秒だけ肘にかければ足ります。ただし袖の条件は変わりません。記帳はするからです。
複数人ぶんを預かっているとき
枚数ぶんの袱紗は要りません。ただし、**袋どうしが中で混ざらないようにしてください。**誰の分かが分からなくなると、その場では直せません。
順番を決めて重ね、いちばん上に自分の分を置いておくと、渡す順が迷いません。
鞄は、袋の枚数ぶんの厚みが入る大きさが要ります。3枚以上あるなら、手で持つ形では収まらないことが多いので、肩にかけられるもので厚みのあるものを選んでください。
受付では、預かってきた旨を先に一言伝えると、記帳の扱いを相手が決めてくれます。
秋の通夜|手袋とマフラー
10月以降の通夜では、手袋とマフラーが手を1本ぶん奪います。
**手袋は、会場の入口で外してください。**受付で外すと、そのあいだ手袋を持つ場所がありません。外したら鞄の中へ。ポケットに入れると、記帳のときに落ちます。
**マフラーも入口で外します。**外したら鞄の肩ひもに掛けるか、上着と一緒に腕にかける。首に巻いたまま一礼すると、前に垂れて袱紗の上に落ちます。
袱紗がないときの代わり
急な知らせで、袱紗が手元にないことがあります。
**無地のハンカチで代わりになります。**色は、弔事なら濃い色か白。紫の無地は慶弔どちらにも使われるので、1枚あるなら使えます。柄物と明るい色は外れます。
包み方は、香典袋を中央よりやや右に置いて、右・下・上・左の順にたたむ形が弔事側です。**この順番を覚えていなくても、袋が中で動かなければ受付では困りません。**大事なのは、袋をそのまま裸で出さないことです。
包むものがまったくない日は、鞄の中で袋が折れないように、厚紙か手帳に挟んでおいてください。渡す瞬間に袋を両手で持てれば、形は整います。
受付で言葉に詰まるとき
装いが整っていても、言葉が出ないと手元が止まります。手が足りなくなる原因の半分は、ここです。
先に一言だけ決めておいてください。長い必要はありません。
- 「このたびはご愁傷さまでございます」
- 「このたびは突然のことで、お悔やみ申し上げます」
**言葉が決まっていると、手が先に動きます。**逆に言葉を探しているあいだは、袱紗を開く手が止まります。
複数人ぶんを預かっているときや、代理で来ているときは、その旨も先に決めておいてください。「◯◯の代理で参りました」の一言があると、記帳の扱いを相手が決めてくれます。
家で1回だけやっておく練習
当日の30秒を短くするために、家で1回だけ通してみてください。
- 鞄を肩にかける
- 袱紗を取り出す
- 開いて、中身を取り出す
- 両手で前に差し出す
- 袱紗をたたんで鞄に戻す
- 机に向かって、字を書く姿勢を取る
**この6手のどこかで手が足りなくなったら、そこが当日に詰まる場所です。**鞄の形か、袖の長さか、袱紗の入れ場所のどれかを変えれば直ります。
1回やっておくだけで、当日の手つきが変わります。
受付を出たあとの荷物
受付が終わると、鞄の中身は軽くなります。ここから席までのあいだに、もう一度整理しておくと後が楽です。
- 袱紗は鞄の底へ移す(もう使わない)
- 数珠は取り出しやすい場所へ移す(焼香で使う)
- ハンカチも手前へ
**焼香では、数珠を左手に持ったまま右手を使います。**このとき鞄を持っていると、また手が足りません。席に着いたら、鞄は膝の上ではなく足元の内側へ置いてください。立つときに持ち上げる動作が1つ減ります。
香典を渡す動作も、焼香の動作も、手が2本あれば足ります。**足りなくなるのは、鞄と傘と上着が手にあるときだけです。**先に置き場所を決めておけば、当日は迷いません。
最後にもう一つ。**鞄の中身は、受付の前に一度整理しておいてください。**列に並んでいるあいだにできます。
- 袱紗を手に持つ
- 数珠を鞄の手前へ
- ハンカチを手前へ
- 財布と携帯を奥へ
奥へ移すのは、袱紗を出すときに一緒に出てこないようにするためです。中身が少ないほど、手を入れたときに目当てのものに当たります。逆に、鞄が大きくて中身が散らばっていると、探すあいだ手が止まります。**受付で財布が落ちると、その場でしゃがんで拾うことになります。**列が止まり、手も足りなくなる。並んでいる30秒でできる整理なので、やっておくほうが確実です。
よくある問い
- Q. 香典を持つ日、鞄はどんな形がいいですか
- 肩にかけられるものにしてください。受付では、袱紗を開く場面と記帳する場面で両手が要ります。手で持つ形だけの鞄だと、そのあいだ鞄を床に置くか、脇に挟むかしかありません。床は置き場所として落ち着きませんし、脇に挟むと袱紗を開く手が安定しません。肩ひもがあれば、両手が空きます。色は黒、金具が表に出ていないもの、光を返さない素材。大きさは、香典袋が折れずに入ることが条件です。横19cm前後が入れば、中で折れずに済みます。
- Q. 袱紗は鞄のどこに入れておけばいいですか
- いちばん外側の、片手で開けられる場所です。鞄の底に入れると、受付の列に並んだ状態で探すことになります。外側にポケットがあるならそこ、なければ中の入口に近い側へ、他のものと分けて置いてください。順番としては、会場に着いた時点で袱紗を鞄の手前に移し、列に並んだら手に持ってしまうのがいちばん短く済みます。受付の前に立ってから鞄を探すと、後ろの人を待たせることになり、手元も落ち着きません。
- Q. 記帳のときに気をつけることはありますか
- 袖です。腕を前に出したときに手首が5cm以上出る長さにしてください。それより長いと、記帳台に袖口が触れます。墨がついたり、袖が邪魔で字が乱れたりします。袖口の広いもの、ゆったりした袖も同じ理由で扱いにくくなります。もう1つは手元に出るものです。記帳のあいだ、相手の目は自分の手にあります。光る指輪、大きな時計、色の濃いネイルはここで見えるので、外せるものは外しておいてください。外せないネイルは、指先を内側に入れて筆を持つと正面から見えにくくなります。
- Q. 上着は着たまま受付に行っていいですか
- 会場の造りによります。入口にコートを預ける場所があるなら、受付の前に預けてください。手荷物が減るぶん、受付での動作が楽になります。預ける場所がない会場では、上着を腕にかけたまま受付に立つことになりますが、この状態だと片腕が使えません。その場合は、上着を着てしまうほうが手が空きます。9月10月の通夜は会場の中が暑くなることがあるので、着たままつらいなら、受付を済ませてから席で脱いでください。順番を入れ替えるだけで解決します。
- Q. 複数人ぶんの香典を預かっています。何に気をつけますか
- 枚数ぶんの袱紗は要りません。ただし、袋どうしが中で混ざらないようにしてください。誰の分かが分からなくなると、受付でその場では直せません。順番を決めて重ね、いちばん上に自分の分を置いておくと、渡す順が迷いません。鞄は、袋の枚数ぶんの厚みが入る大きさが要ります。3枚以上あるなら、手で持つ形の鞄では収まらないことが多いので、肩にかけられるもので厚みのあるものを選んでください。受付では、預かってきた旨を先に一言伝えると、記帳の扱いを相手が決めてくれます。
— メグラシ編集部





