お通夜に礼服を着る|1着を弔事へ振るとき、入れ替える部品は6つ

手持ちの礼服を通夜に着ていけるかどうかは、服そのものより、合わせる部品で決まります。
ただしその前に一つ、確かめることがあります。その1着が、そもそも弔事へ振れる黒かどうかです。
「礼服」という言葉が指すもの
言葉を整理しておきます。
礼服は、改まった場で着る服全体を指します。慶事にも弔事にも使われる言葉です。
喪服は、そのうち弔事のためのものだけを指します。
つまり、手持ちに礼服が1着あっても、それが弔事へ振れるとは限りません。慶事のために選んだ1着だと、弔事の条件で落ちることがあります。
手持ちの1着がどちらに振れるか
窓際の自然光の下で、3点だけ見てください。蛍光灯の下では判定が出ません。
| 見る場所 | 弔事へ振れる条件 |
|---|---|
| 黒の濃さ | 黒い布と重ねて境目が見えない |
| 光の返り方 | 角度を変えても面が白く光らない |
| 飾り | 表に出ている飾りや金具が2か所以下 |
3点とも通れば、そのまま弔事へ振れます。
黒の濃さを比べるときは、はっきりした黒の布を1枚用意して重ねてください。黒い靴下でも黒い傘の生地でも構いません。境目が見えたら、その1着は黒ではなく濃いグレーか濃紺です。
落ちた1着をどうするか
3点のうち何個落ちたかで、扱いが変わります。
1つだけ落ちた。 部品の入れ替えで寄せられることがあります。飾りが外せるなら外す。光沢だけが理由なら、上着を別の黒に替えて中を隠す。
2つ以上落ちた。 その1着は弔事へは振らないほうが安全側です。当日その場では隠しきれません。
弔事へ振るときに入れ替える6つ
服が通ると分かったら、次は部品です。慶弔兼用の1着は、慶事の側で組んだ状態のまま保管されていることが多いので、そのまま着ていくと浮きます。
- 首元 — 足していたものを外す
- 足元 — ストッキングと靴を黒へ
- 鞄 — 黒の無地、金具が出ていないもの
- アクセサリー — 光を返すものを外す
- 上着の留め方 — 前を留めるかどうかを決める
- 持ち物 — 数珠と袱紗を足す
**入れ替えに要る時間は5分ほどです。**服は同じでも、周りの部品が全部替われば別の装いになります。
首元|足していたものを外す
兼用の1着は、慶事のときに首元へ何かを足していることが多くなります。光るネックレス、色のあるスカーフ、飾りのついたブローチ。
**弔事では、これを全部外します。**外したあと、首元が寂しく見えることがありますが、それで正しい状態です。
首の開きが大きい1着だと、外しただけでは肌の出る面積が残ります。その場合は、中に無地の黒か白のインナーを1枚足して、鎖骨が見えない位置まで上げてください。
足元|2か所とも替える
ストッキング。 黒の無地。濃さは30デニール前後が扱いやすい範囲です。薄すぎると肌の色が透けて黒に見えず、厚すぎると足元だけ重く見えます。慶事で履いていた肌色のものは、その日は外します。
靴。 黒。つま先とかかとが閉じている。金具や飾りが表に出ていない。ヒールは細すぎず高すぎないもの。
兼用の1着に合わせていた靴は、慶事側の華やかなものであることが多いので、ここは必ず確かめてください。
鞄|金具が出ていないか
黒の無地。光を返す金具が表に出ていないもの。
留め具が金属で光る鞄は、その1点だけが浮きます。布でくるまれているものか、金属でも艶を落としたものを選んでください。
大きさは、香典袋が折れずに入ることが条件です。横19cm前後が入れば足ります。
肩にかけられる形だと、受付で袱紗を開くときと記帳のときに両手が使えます。
アクセサリー|光を返す点をゼロにする
**判定は簡単です。**正面に立って、光を返している点をいくつ数えられるか。ゼロになれば足ります。
外すもの。光る指輪、面の大きい時計、飾りのついた髪留め、ブローチ、色のあるイヤリング。
そのままでいいもの。結婚指輪、文字盤が小さく金属の面積が狭い時計。
**髪留めは見落としやすい場所です。**焼香で前かがみになると、後頭部が正面から見えます。黒か濃い色の、光らないものに替えてください。
上着の前を留めるかどうか
これは部品ではありませんが、当日に動かせる1つです。
留めると。 中の色が隠れて、外から見える面が黒だけになります。中が多少落ちている日に効きます。
開けると。 上着のボタンが正面から外れます。ボタンが金属で光る1着はこちらが有利です。
どちらを選ぶかは、中と上着のどちらに弱いところがあるかで決めてください。両方に弱いところがあるなら、留めたうえでボタンを隠す位置に鞄を持ちます。
同じ家の男性の礼服を振るとき
考え方は同じです。入れ替えるのは首元と足元と持ち物。
- ネクタイ — 黒の無地へ。光沢のあるものは外れます
- ポケットに入れていた布 — 外す
- 靴下 — 黒の無地へ。短いものは座ったときに脚が出ます
- 靴 — 黒で、飾りのないもの。ゴム底のほうが会場の床で滑りません
- ベルトの留め具 — 大きく光るものは目立たないものへ
- 袖口の飾り — 外す
**上着とズボンはそのままで構いません。**慶事のときに使っていた小物を1つでも残すと、そこだけが浮きます。外すものを先に全部出してから着替えると早く済みます。
弔事に振れない1着しかないとき
3点のうち2つ以上落ちた1着しか手元にない日の手は、3つです。
上着だけを別の黒に替える。 中が落ちていても、上着の前を留めれば外から見える面積は半分以下になります。
濃紺か濃いグレーの無地に切り替える。 光沢のある黒より、光沢のない濃紺のほうが収まります。色の名前より、光の返り方のほうが効きます。
借りる。 同居の家族や近い親族に黒の上着が1枚あれば、多少サイズが合わなくても前を留めれば通ります。
買い足すなら、どこから
服より先に小物です。
理由は、服が多少落ちても小物がそろっていれば全体は収まるのに、逆は成立しないからです。足元だけ明るいと、服がどれだけ整っていてもそこが目に入ります。
順番はこうです。
- 黒の無地の鞄
- 黒の靴
- 黒のストッキング 2足
- 白か黒の無地のハンカチ
**ここまでで一式が成立します。**服を買い足すのはその次で、選ぶなら光沢のない黒の無地で、座って膝が出ない丈のもの。
慶事と兼ねるかどうかは、置き場所と着る回数で決めてください。**年に何度も弔事がある人は、兼用にせず弔事専用で1着置いておくほうが当日が短く済みます。**部品を入れ替える5分が要らなくなるからです。
秋の通夜での着方
9月10月の通夜は18時前後に始まります。この時刻は日中より5〜7度低いことがあります。
礼服の上着1枚では、会場までの道で足りない日が出てきます。**上に羽織るものを1枚持って出てください。**黒か濃紺の無地で、光沢のないもの。
会場の中は人が多いと暑くなるので、着ていくのではなく腕にかけて持って行くほうが融通が利きます。
足元は、地面から冷えます。ストッキングを厚めにするか、移動中だけ靴下を重ねて会場で脱ぐ形にしてください。
兼用の1着を持つときの置き方
慶弔を1着で兼ねると決めたなら、置き方に一工夫すると当日が速くなります。
部品を2組に分けて、別々の袋に入れてください。
- 慶事の袋 — 明るい小物一式
- 弔事の袋 — 黒の鞄、黒の靴、黒のストッキング、数珠、袱紗、白か黒のハンカチ
服のハンガーの隣に、この2袋を掛けておく。当日は袋ごと持ち出せば、5分の入れ替えが1分になります。
**弔事の袋の中身は、年に2回だけ見てください。**ストッキングは伝線しますし、袱紗は折り目が固くなります。9月と3月に確かめる、と決めておくと忘れません。
久しぶりに出した1着を確かめる
礼服は年に何度も着るものではないので、出したときに使えるかどうかを確かめる手順が要ります。動く場面から順に見てください。
- 座って、膝が出ないか
- 腕を前に出して、肩が突っ張らないか
- 前かがみになって、背中が引かれないか
- 前を留めたときに、生地が横に引かれていないか
この4つが通れば、多少ゆとりが変わっていても着られます。**4つめは見落としやすい場所です。**前を留めたときに横じわが出ると、写真や正面からの目線でそこが目立ちます。留めずに着る形へ切り替えてください。
生地の側も見ます。**しまっていたあいだに、たたみじわが折り目として残っていることがあります。**前日にハンガーへ掛けて、風の通る場所に一晩置けば、多くは落ちます。落ちないものは当日その場では直せないので、別の1着に替えてください。
迷ったら濃いほう
判定が割れたときの寄せ方は、いつも同じです。
**濃いほうを選んでください。**当日その場で下げることはできても、上げることはできません。
光沢があるかどうか自分では判断できない、という日もあります。そのときは、その1着を使わないほうが安全側です。光沢のない濃紺の無地のほうが、光沢のある黒より収まります。
黒であることより、光を返さないことのほうが先に見られます。
もう一つ、当日の朝に迷いを短くする方法があります。判定を前の晩に済ませてしまうこと。
窓際で光を見る作業は、夜にはできません。だから前日の日中に一度だけ、その1着を窓際へ持って行ってください。3点の判定に1分もかかりません。判定が済んだら、合わせる小物を服の隣にまとめて掛けておく。
**朝にやるのは、着ることだけにしておく。**通夜の日は、家を出るまでに考えることが他にたくさんあります。服の判定は、その前に終わらせておけるものです。
よくある問い
- Q. 礼服と喪服は同じものですか
- 言葉としては別です。礼服は改まった場で着る服全体を指し、慶事にも弔事にも使われます。喪服はそのうち弔事のためのものだけを指します。だから手持ちに礼服が1着あっても、それが弔事へ振れるとは限りません。見分けるのは3点で、窓際の自然光で確かめてください。黒の濃さ、光の返り方、表に出ている飾りの有無。黒が濃く、面が光らず、飾りが出ていないものであれば弔事へ振れます。慶事のために選んだ1着だと、この3点のどれかで落ちることが多くなります。
- Q. 慶弔兼用と聞いて買った1着があります。そのまま通夜に着ていけますか
- 服そのものはそのままで構いませんが、合わせる部品を入れ替えてください。入れ替えるのは6つです。首元に足していたもの、足元、鞄、アクセサリー、上着を留めるかどうか、持ち物。兼用の1着は、慶事の側で華やかに見えるように組んだ状態で保管されていることが多いので、その組み合わせのまま着ていくと浮きます。服は同じでも、周りの部品が全部替われば別の装いになります。入れ替えに要る時間は5分ほどです。
- Q. 弔事へ振れない1着は、どう見分けますか
- 3つの落とし方があります。窓際で持ち上げたときに面が白く光る。表に出ている飾りや金具が3か所以上ある。黒い布と重ねて境目が見えるほど黒が薄い。このうち2つ当てはまる1着は、弔事へは振らないほうが安全側です。1つだけなら、部品の入れ替えで寄せられることがあります。たとえば飾りが3か所あっても、外せる飾りなら外せば通ります。光沢だけが理由なら、上着を別の黒に替えて中を隠す手もあります。2つ以上当てはまるときは、当日その場では隠しきれません。
- Q. 同じ家の男性の礼服も、同じ考え方で振れますか
- 振れます。入れ替えるのは首元と足元と持ち物です。ネクタイを黒の無地に、ポケットに入れていた布を外し、靴下を黒の無地に、靴を黒で飾りのないものに替える。上着とズボンはそのままで構いません。ベルトの留め具が大きく光るものなら、目立たないものに替えてください。カフスや飾りのボタンも外します。慶事のときに使っていた小物を1つでも残すと、そこだけが浮くので、外すものを先に全部出してから着替えると早く済みます。
- Q. 買い足すなら、どこから買えばいいですか
- 服より先に小物です。理由は、服が多少落ちても小物がそろっていれば全体は収まるのに、逆は成立しないからです。順番としては、黒の無地の鞄、黒の靴、黒のストッキング2足、白か黒の無地のハンカチ。ここまでで一式が成立します。服を買い足すのはその次で、選ぶなら光沢のない黒の無地で、座って膝が出ない丈のもの。慶事と兼ねるかどうかは、置き場所と着る回数で決めてください。年に何度も弔事がある人は、兼用にせず弔事専用で1着置いておくほうが当日が短く済みます。
— メグラシ編集部





