通夜に喪服を着るか|翌日も出るかどうかで、着る日と段が決まる

通夜に喪服を着るかどうかは、作法の議論ではなく段取りの問題として決められます。
見るのは2つ。翌日の告別式にも出るか。知らせがいつ届いたか。この2つで、ほとんどの場合は決まります。
「通夜に喪服は用意していたようだ」の扱い
昔から言われてきた言い方です。急な知らせに駆けつけるのが通夜なのだから、きちんと支度をしていくのは不自然だ、という考え方から来ています。
**この言い伝えの受け取り方は、地域と世代でかなり違います。**今は、通夜と告別式の両方に出る人が通夜から喪服を着ることも広く行われています。一方で、言い伝えを守っている地域や家もあります。
どちらが正しいかを外から決めることはできません。**迷ったら濃いほうを選んでください。**濃いほうを着ていって浮いた、という場面はほとんど起きません。逆に軽い装いで行って周りが黒だったときは、その場で戻せません。
判断がつかないなら、施主に近い人ひとりに、前回どうしていたかを聞くのがいちばん早い解です。
判定は2つ
- 翌日の告別式にも出るか(出る/通夜だけ/告別式だけ)
- 知らせがいつ届いたか(当日/前日/2日以上前)
1で大きく決まり、2で細かい寄せ方が決まります。
両方に出る日|通夜から喪服で通す
翌日の告別式にも出るなら、通夜から喪服を着て構いません。
理由は簡単で、2日目には確実に喪服が要るからです。1日目だけ別のものを着る意味がありません。
2日間の組み立てはこうなります。
| 通夜(1日目) | 告別式(2日目) | |
|---|---|---|
| 服 | 黒の上下 | 同じ黒の上下 |
| 中 | ブラウス A | ブラウス B |
| 足元 | ストッキング A | ストッキング B |
| 上着 | 持って出る(夕方は冷える) | 日中なので要らないことが多い |
替えるのは服そのものではなく、中と足元の部品です。
通夜だけに出る日
翌日に出ないなら、知らせが届いた時期で決まります。
- 当日に届いた — 色の濃い無地で駆けつける形で足ります
- 前日までに届いていた — 用意する時間があったと見なされます。黒の上下へ
- 2日以上前から知っていた — 黒の上下です
立場も効きます。**二親等以内の親族なら、いつ知らせが届いたかに関係なく黒の上下です。**職場の関係なら、同じ会社から行く人にそろえるのがいちばん確かです。
告別式だけに出る日
こちらは迷いません。日時が事前に決まっていて、用意する時間があるからです。黒の上下です。
通夜に出ていないぶん、告別式で軽い装いをすると差が出ます。ここは寄せておいてください。
喪服の段は3つある
言葉の整理をしておきます。段は3つです。
いちばん上の段。 遺族や近い親族が着る、正式な装い。参列する側が着ることはありません。
真ん中の段。 一般の参列者が着る黒の上下。ワンピース、アンサンブル、スーツ。ほとんどの場面はここです。
下の段。 平服と案内されたときや、急な知らせで駆けつけるときの、黒・濃紺・濃いグレーの無地。
**参列する側は、真ん中か下の段のどちらかです。**上の段を選ぶ場面はありません。逆に、遺族側の装いより上に見える格を選ぶことも避けてください。
同じ1着を2日続けて着る|1日目の夜にやる3つ
2日目に気持ちよく着るために、夜のうちにやっておくことが3つあります。
1つめ、ハンガーに掛けて風を通す。 座っていた時間が長いと、腰から下にしわが寄ります。掛けておけば一晩で落ちます。掛ける場所は、壁に密着していない、空気が動くところ。
2つめ、線香の香りを抜く。 通夜の会場にいると、香りは必ず生地に入ります。風の通る場所に一晩置いてください。窓を少し開けた部屋か、風呂場の換気を回した中でも構いません。閉じたクローゼットに戻すと、香りが残ったまま2日目を迎えます。
3つめ、裾を見る。 明るい場所で、裾に汚れやほつれがないかを確かめます。会場の床、椅子の脚、駐車場の砂利。1日歩くと、どこかで拾っています。
2日目に替える部品は3つ
服を替えなくても、この3つで印象は新しくなります。
- ブラウスかインナー — 首元は近くで見られる場所です。ここが替わると全体が替わって見えます
- ストッキング — 1日履くと伝線しかけていることがあります。2足目を必ず用意
- ハンカチ — 使ったものをそのまま持たない
**逆に、替えなくていいものもあります。**靴、鞄、数珠、袱紗。これらは2日とも同じで構いません。
2日目に何かを変えるべきか
**服の格を変える必要はありません。**通夜と告別式で装いを変えるという決まりはなく、同じ黒の上下で通すのが普通です。
変えるとしたら、上着の有無です。1日目の通夜は夕方に始まるので冷えます。2日目の告別式は日中なので、上着が要らないことが多い。
**気温で決めてください。**格で決める必要はありません。
泊まりがけになるときの荷物
遠方で、2日間続けて参列する場合の持ち物です。
- 黒の上下(着ていく1着)
- ブラウスかインナー 2枚
- 黒のストッキング 2〜3足
- 白か黒の無地のハンカチ 2枚
- 数珠、袱紗
- 上着 1枚
- 黒か濃い色の部屋着(宿でも人と会う場面がある)
**ハンガーを1本持って行くと助かります。**宿にあるものは太くて肩の形が崩れることがあります。細いものが1本あれば、2日目の朝に形が残ります。
替えの上下を持って行く必要はありません。荷物が増えるわりに、使う場面がほとんどありません。
秋の2日間|気温差
9月10月の通夜は18時前後に始まることが多く、この時刻は日中より5〜7度低いことがあります。
翌日の告別式は日中に行われるので、同じ服でも体感が変わります。
組み立てとしては、こうなります。
- 1日目 — 上着を持って出て、会場で羽織る
- 2日目 — 上着を着ないでも通ることが多い
会場の中は人が多いと暑くなるので、上着は脱ぎ着できる前提で選んでください。**屋外で待つ列ができる会場では、1日目の夜がいちばん冷えます。**足元から来るので、ストッキングは30デニール前後にしておくと持ちます。
喪服が体に合わなくなっているとき
久しぶりに出すと、ゆとりが変わっていることがあります。動く場面から確かめてください。
- 座って、膝が出ないか
- 腕を前に出して、肩が突っ張らないか
- 前かがみになって、背中が引かれないか
この3つが通れば、多少ゆとりが変わっていても着られます。
通らないときの手は2つ。**上着だけを別の黒に替えて、中を無地のワンピースにする。あるいは上着の前を留めない形にする。**前を開けておけば、胸まわりのゆとりは問題になりません。
**丈が短くなっているときは、その1着は使わないほうが安全側です。**座ったときに膝が出る丈は、当日その場では直せません。
家族の分も同時に用意するとき
自分の分だけでなく、家族の分も見ることになる場合があります。順番を決めておくと速く済みます。
- 子ども — 制服があるか、なければ白の無地のシャツと黒か紺の無地のボトムス
- 配偶者 — 黒の上下、白のシャツ、黒の無地のネクタイ、黒の靴と靴下
- 自分
**子どもを先に見るのは、いちばん時間がかかるからです。**サイズが変わっていることが多く、代わりを探すのに時間が要ります。前日の夜に確かめてください。
通夜だけ出て、告別式は出られないとき
仕事や距離の都合で、通夜だけになることがあります。この場合、装いは通夜のほうで完結させてください。
**翌日に着る予定がないぶん、当日に一段寄せておくほうが収まります。**両方に出る人は2日間で全体が見られますが、1日しか出ない人はその1日だけで見られます。
具体的には、当日の知らせであっても、着替える時間が少しでもあるなら黒の上下へ寄せる。通夜だけの参列で私服のまま行くのは、知らせを受けてから会場まで一度も家に寄れなかった日に限ると考えておくと、判断が短くなります。
受付で「明日は伺えません」と伝える必要はありません。装いが整っていれば、それで足ります。
2日目の朝に確かめる3か所
同じ1着を2日目に着るとき、朝に見るのは3か所です。
- 裾 — 前日に歩いた場所の汚れが乾いて残っていないか
- 袖口 — 記帳や焼香で触れる場所。擦れや汚れが出やすい
- 肩と背中 — ハンガーの形が残っていないか
**肩の跡は、太いハンガーで一晩掛けると出ます。**細いものに掛け替えるか、朝に手で軽く形を戻してください。
もう1つ、前日に使ったハンカチとストッキングを鞄から出したかを確かめてください。使ったものが入ったままだと、2日目に取り違えます。夜のうちに出しておくのがいちばん確かです。
迷ったら濃いほう
通夜に喪服を着るかどうかで迷いが残ったときの結論は、ここに戻ります。
**濃いほうを選んでください。**当日その場で下げることはできても、上げることはできません。濃い服で行って周りが軽かったとき、上着を脱げば半歩下がります。軽い装いで行って周りが黒だったとき、その場で黒は出せません。
地域や家によって受け取り方が違うことは、確かめないと分かりません。そして当日に確かめる方法はありません。**だから朝の時点で、選択肢が残るほうを選ぶ。**それだけの話です。
言い伝えのほうが気になる日は、こういう寄せ方もあります。**黒の上下を着て行き、上着だけを腕にかけて会場に入る。**受付で周りを見て、黒の上下が多ければ羽織る。濃色の無地が多ければ、そのまま席に着く。
この形なら、朝に決め切らなくて済みます。**上着1枚ぶんの幅を、当日その場に残しておく。**それが、判定できない条件に対していちばん実際的な備え方です。
翌日の告別式では、この幅は要りません。日時が事前に分かっている場では、迷いなく黒の上下でよいからです。
よくある問い
- Q. 通夜に喪服を着るのは失礼だと聞きました。本当ですか
- 「用意していたようで失礼」という言い方は昔からありますが、受け取り方は地域や世代でかなり違います。今は、通夜と告別式の両方に出る人が通夜から喪服を着ることも広く行われています。一方で、その言い伝えを守っている地域や家もあります。どちらが正しいかを外から決めることはできないので、迷ったら濃いほうを選んでください。濃いほうを着ていって浮いた、という場面はほとんど起きません。逆に軽い装いで行って周りが黒だったときは、その場で戻せません。判断がつかないなら、施主に近い人ひとりに前回どうしていたかを聞くのがいちばん早いです。
- Q. 通夜と告別式の両方に出ます。2日とも同じ喪服でいいですか
- 同じで構いません。むしろそのほうが普通です。替えるべきは服そのものではなく、中と足元の部品です。ブラウスかインナー、ストッキング、ハンカチ。この3つを2日ぶん用意しておけば足ります。1日目の夜には3つやってください。ハンガーに掛けて風を通す。線香の香りを抜くために、風の通る場所に一晩置く。裾に汚れやほつれがないかを明るい場所で見る。この3つで、2日目の朝に慌てずに済みます。
- Q. 通夜だけに出る場合は、何を着ればいいですか
- 知らせが届いた時期で決まります。当日に届いた知らせなら、色の濃い無地で駆けつける形で足ります。前日までに届いていたなら、用意する時間があったと見なされるので、黒の上下にしておくほうが収まります。立場も効きます。二親等以内の親族なら、いつ知らせが届いたかに関係なく黒の上下です。職場の関係なら、同じ会社から行く人にそろえるのがいちばん確かです。迷う場面が残るなら、濃いほうへ寄せてください。
- Q. 喪服が体に合わなくなっていました。当日までに何ができますか
- 動く場面から確かめてください。座って膝が出ないか、腕を前に出して肩が突っ張らないか、焼香で前かがみになったときに背中が引かれないか。この3つが通れば、多少ゆとりが変わっていても着られます。通らないときは、上着だけを別の黒に替えて中を無地のワンピースにする、上着の前を留めない形にする、といった手があります。丈が短くなっているときは、その1着は使わないほうが安全側です。座ったときに膝が出る丈は、当日その場では直せません。
- Q. 秋の2日間で、気温はどれくらい動きますか
- 9月10月の通夜は18時前後に始まることが多く、この時刻は日中より5〜7度低いことがあります。翌日の告別式は日中に行われるので、同じ服でも体感が変わります。組み立てとしては、1日目は上着を持って出て会場で羽織る、2日目は上着を着ないでも通る、という形が多くなります。会場の中は人が多いと暑くなるので、上着は脱ぎ着できる前提で選んでください。屋外で待つ列ができる会場では、1日目の夜がいちばん冷えます。
— メグラシ編集部





