毛羽立ったニットの復活に失敗したら|薄い・テカる・ごわつくを戻す

**復活させようとして手を入れたニットを、窓の前に持っていって、手を中に入れて透かしてみてください。**指の影がくっきり見えるなら、毛を取りすぎて生地が薄くなっています。指の影はぼんやりしているのに表面が光って見えるなら、押しつぶしてテカらせています。どちらでもなく、触るとごわつくなら、濡らしすぎて繊維が絡んでいます。
毛羽立ったニットの復活は、うまくいけば一冬ぶん着られる時間が延びます。ただ、毛玉取り、ブラシ、スチーム、洗い直しと手を重ねるほど、ニットは少しずつ別の傷み方をしていきます。**失敗の多くは、道具が悪いのではなく、止めどきを決めずに続けたことから来ます。**どれを、どこまでやったかが分かれば、戻せるところまでは戻せます。
毛羽を直す前夜の手順はセーターの毛羽立ちを直すに、毛玉を取っていいかの見分け方は毛玉の取り方にまとめてあります。この記事は、復活を試してうまくいかなかったあとの直し方です。
結論|復活の失敗は、取りすぎ・押しすぎ・濡らしすぎの3つ
毛羽立ったニットの復活で起きる失敗は、見え方は違っても、原因は3つに集まります。
| 原因 | 何をやったか | 起きること | 戻せるか |
|---|---|---|---|
| 取りすぎ | 毛玉取り・ハサミ・粘着ローラー | 薄くなる、透ける、穴があく | 削った毛は戻らない |
| 押しすぎ | スチームアイロンを押し当てた、強くブラシをかけた | テカる、毛が寝て平らになる | 毛を起こせば戻ることが多い |
| 濡らしすぎ | 洗い直した、湯に浸けた、乾燥機 | ごわつく、縮む、伸びる | 小さいうちは戻ることがある |
**直す前に、自分がどれをやったかを思い出してください。**取りすぎたニットに濡らす直し方をすると、薄い所がさらに伸びます。押しすぎたニットに毛玉取りをかけると、寝た毛ごと削ってしまいます。
失敗を8つに分ける
3つの原因を、実際に起きる見え方に分けると8つになります。
| 失敗 | 原因 | 最初に確かめること | 直し方の方向 |
|---|---|---|---|
| 薄くなった、透ける | 取りすぎ | 窓に透かして、指の影の輪郭を見る | 内側に回す着方へ |
| 表面がテカる | 押しすぎ | 斜めの光で白く光る面があるか | 湯気を当てて毛を起こす |
| 毛羽が増えた | 押しすぎ(ブラシ) | 毛先が四方に立っているか | 休ませて、毛並みに沿ってなでる |
| ごわつく、硬い | 濡らしすぎ | 指でつまむと戻りが遅いか | ぬるま湯に浸けて柔らかく戻す |
| 縮んだ | 濡らしすぎ(熱) | 袖丈と着丈を測って2cm以上短いか | 小さければ広げて乾かす |
| ぺたんとして伸びた | 濡らしすぎ(仕上げ剤) | 肩と裾が下がっていないか | 量を減らしてすすぎ直す |
| 糸が切れた、穴 | 取りすぎ(ハサミ) | 切れた糸の端が見えるか | 裏から留める |
| 一度直ったのに戻る | 原因が残っている | 同じ場所にまた毛羽が出るか | 擦れる相手を替える |
先に、その毛羽が戻せる毛羽だったかを見る
失敗したかどうかを決める前に、手を入れる前の毛羽がどんな状態だったかを考えてください。もともと戻せない毛羽だったなら、どの方法でも結果は同じだったからです。
| 手を入れる前の状態 | 戻せたか | 起きやすい失敗 |
|---|---|---|
| 毛が1mm未満で寝ていた | ブラシだけで戻せた | 道具を使いすぎて薄くなる |
| 毛が1〜3mm立っていた | 湯気とブラシで戻せた | スチームの当てすぎでテカる |
| 3mmを超える長い毛が数本 | 1本ずつ切れば戻せた | 毛玉取りで面ごと削る |
| 表面全体が白く曇っていた | 戻せない状態だった | 何をしても変わらず、薄くなる |
| 毛羽の下で編み目が見えなかった | 戻せない状態だった | 削って編み目が出て、透ける |
| 洗ったあとから毛羽が増えた | 洗い方を変えれば戻せた | 洗い直してごわつく |
**表面全体が白く曇っていた1枚は、失敗ではなく、もともと役目を変える時期だった1枚です。**その場合は、この先の直し方を試すより、下の「戻せなかったニットの役目の替え方」に進んでください。
失敗①|毛玉取りをかけすぎて、薄くなった
毛羽を全部取ろうとして、毛玉取りを何度も往復させた。表面はすっきりしたのに、生地が頼りなくなり、光に当てると肌の色が透ける。いちばん多い失敗です。
取りすぎが起きやすいのは、毛羽と毛玉を同じものとして扱ったときです。毛玉は、絡まった毛が丸まって表面に乗っているもので、根元を切れば取れます。毛羽は、編み目から出ている毛がまだ1本ずつ立っている状態で、切るものではなく寝かせるものです。毛羽に毛玉取りを当てると、寝かせれば済んだ毛まで全部刈ることになります。
毛玉取りの刃は、毛玉だけでなく、表面に出ている毛を全部刈り取ります。ニットの暖かさとやわらかさは、この表面の毛が空気を抱えていることで生まれているので、刈りすぎると、編み目だけが残った薄い面になります。とくに肘・脇・袖口のような、もともと擦れて毛が減っている場所は、2〜3回の往復で編み目が見えてきます。
薄くなったかの測り方|窓に透かして指の影を見る
薄くなったかどうかは、表から見ても分かりにくいので、光に透かして測ります。
- 晴れた日の窓の前に立つ。直射日光が入らない窓がいい
- ニットの中に手を入れ、指を広げて生地に軽く当てる
- 手を入れたまま、窓の光に向けて透かす
- 同じニットの、手を入れていない場所(脇の下や背中の裾)でも同じように透かす
- 2か所の指の影の輪郭を比べる
| 指の影の見え方 | 状態 | すること |
|---|---|---|
| 影がぼんやりして、指の形が分からない | 薄くなっていない | 直さない |
| 指の形は分かるが、輪郭がぼやける | 少し薄くなった | これ以上削らない |
| 指の輪郭がくっきり見える | 取りすぎた | 内側に回す着方へ |
| 指の爪の色まで見える | 透けている | 一枚で着る日から外す |
| ほかの場所と差がない | 編み方がもともと薄い | 失敗ではない |
**比べる相手は、同じニットのほかの場所です。**ニットによってもともとの厚みが違うので、別のニットと比べても薄くなったかどうかは分かりません。
薄くなったニットの戻し方と、使い道
削った毛は戻りません。ただ、薄く見える度合いは少し減らせます。表面に残った短い毛を起こして、空気を抱える層を少しでも作るのです。
スチームアイロンを生地から2〜3cm浮かせて、湯気だけを3秒ほど当てます。湿り気があるうちに、毛先の柔らかいブラシで毛並みに逆らう向きに1回だけ軽く動かし、毛先を立たせます。そのあと平らな場所で乾かしてください。**ブラシは1回だけにします。**何度もかけると、残った短い毛まで抜けてしまいます。
それでも透けるなら、薄くなった場所が人の目に触れない着方に変えます。袖が薄くなったならジャケットの下に、前身頃なら羽織りを重ねる日に、背中なら上にコートを着る季節の内側に回してください。
失敗②|スチームで表面がつぶれて、テカる
毛羽を寝かせようとしてスチームアイロンを当てたら、表面が平らになって、光を当てると白く光る。毛足の長いニットや、起毛したニットで起きやすい失敗です。
スチームは、毛羽を寝かせる道具としてよく勧められます。湯気で毛が柔らかくなり、ブラシで整えやすくなるからです。ただ、湯気を当てることと、アイロンの面で押さえることは別の作業です。毛羽を早く寝かせたくて面を押し当てると、湯気と熱と重さが同時にかかり、毛は寝るどころか平らに固まります。
テカりの正体は、毛が一方向に平らに寝て、光を鏡のように返している状態です。アイロンを生地に押し当てた、近づけすぎた、同じ場所に長く当てた、のどれかで起きます。毛が寝ているだけなら戻せますが、熱で繊維そのものが平らになっていると戻りません。
テカりの程度と戻し方
テカりは、斜めの光の下で見ると程度が分かります。机の上にニットを広げ、窓の光が横から当たる位置に置いて、目の高さを机に近づけて見てください。
| 斜めの光での見え方 | 状態 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 一部だけうっすら白く光る | 毛が寝ているだけ | 湯気を当てて、毛並みに逆らって軽くブラシ |
| 面全体が白く光る | 毛が広く寝ている | 湯気とブラシを2回まで |
| アイロンの形に光る | 押し当てた跡 | 湿らせた布を当てずに、湯気だけで起こす |
| 光る面が硬く、指で押すと平ら | 熱で繊維がつぶれた | 戻らない。それ以上触らない |
| 表面がてかって縮れている | 熱が強すぎた | 戻らない。役目を替える |
戻す手順は、薄くなったときとほぼ同じです。アイロンを2〜3cm浮かせて湯気を当て、湿り気が残っているうちに柔らかいブラシで毛を起こします。違うのは、ブラシを毛並みに逆らう向きに2〜3回かけてよいことです。テカりは毛が寝すぎている状態なので、起こす力が少し要ります。2回やっても光が消えないなら、繊維がつぶれているので止めてください。
失敗③|ブラシをかけたら、毛羽が増えた
毛羽を寝かせるはずのブラシで、かえって毛が四方に立ち、ふわふわと広がって見える。これは、ブラシの硬さ・力・向きのどれかが合っていないためです。
| 素材 | 合うブラシ | かける向き | 起きやすい失敗 |
|---|---|---|---|
| ウール | 毛先の柔らかい獣毛 | 上から下へ、編み目に沿って | 力が強いと毛が立つ |
| カシミヤ | いちばん柔らかい獣毛 | 上から下へ、なでる程度 | 往復させると毛が抜ける |
| 毛足の長い起毛 | 柔らかいもの | 毛並みに沿って一方向 | 逆向きにかけると広がる |
| アクリル・混紡 | 柔らかいもの | 上から下へ | 静電気で毛が立つ |
| 綿のニット | ブラシより手でなでる | 上から下へ | ブラシで表面が荒れる |
| ラムウール | 柔らかい獣毛 | 上から下へ | 硬いブラシで毛玉が増える |
**毛羽が増えたと感じたら、その日はそれ以上触らないでください。**ブラシを重ねるほど毛は立ちます。一晩、ハンガーにかけずに平らに置いて休ませると、立った毛がある程度落ち着きます。翌日、手のひらで毛並みに沿って軽くなでるだけで整うことがあります。
乾燥した日や、化繊が混ざったニットでは、ブラシの摩擦で静電気が起きて毛が立つこともあります。その場合はブラシを少し湿らせるか、部屋の湿度が高い日にやり直してください。静電気の起き方は服の静電気は、重なっている2枚の組み合わせで決まるにまとめてあります。
失敗④|洗って復活させようとして、ごわついた・縮んだ
毛羽立ちも汚れも一緒に落とそうとして洗ったら、ふんわりしていた手触りがごわごわになり、袖丈が少し短くなった。お湯の温度、もみ洗い、乾燥機のどれかが原因です。
ウールの毛の表面には、うろこのような細かい凹凸があります。お湯や強い摩擦で凹凸が開き、隣の毛と絡み合って離れなくなると、生地が詰まって硬くなり、縮みます。**一度絡んだ毛は、元のようにほどけることはありません。**ただ、絡みが浅いうちは、柔らかく戻して寸法を広げることができます。
ごわつきと縮みのどちらが起きているかは、測れば分かります。洗う前の寸法が分からないときは、同じ形の手持ちの服か、洗濯表示の近くに書かれたサイズの目安と比べてください。袖丈と着丈が両方とも1cm以内の差なら、縮みはほとんど起きていません。指でつまんで離したときに、生地がすぐ戻らず、つまんだ形が少し残るなら、ごわつきが起きています。
戻すときは、ぬるま湯に柔らかくする仕上げ剤を少量溶かし、ニットを10分ほど浸します。もまずに軽く押して水を切り、タオルで挟んで水気を取ったら、平らな場所に置き、手で少しずつ元の寸法へ広げながら乾かしてください。縮みが大きいときの詳しい手順は縮んだニットが戻るかに分けてあります。
失敗⑤|柔らかくしようとして、ぺたんと伸びた
ごわつきを直そうとして柔らかくする仕上げ剤を多めに入れたら、毛羽は寝たものの、ふくらみがなくなってぺたんとした。干したら肩が落ち、裾が伸びた。
仕上げ剤が多すぎると、毛の表面がなめらかになりすぎて、毛どうしが支え合えなくなります。ふくらみが消え、重さで下に伸びやすくなるのです。濡れた状態でハンガーに吊るすと、水の重さで肩と裾がさらに伸びます。
直すには、仕上げ剤を入れないぬるま湯ですすぎ直し、平らに置いて乾かします。伸びた肩や裾は、乾く前に手で寸法を詰めるように整えてください。伸びの戻し方は伸びたニットの戻し方に詳しく書いてあります。
濡らす復活で起きることの早見
濡らして直す方法は、効き目が大きいぶん、失敗したときの変化も大きくなります。
| やったこと | 起きやすいこと | 次にするなら |
|---|---|---|
| お湯で洗った | ごわつく、縮む | 水かぬるま湯にする |
| もみ洗いした | 毛が絡んで硬くなる | 押し洗いにする |
| 乾燥機に入れた | 縮む、硬くなる | 平らに置いて陰で干す |
| 仕上げ剤を多めに入れた | ぺたんとして伸びる | 量を表示の半分から試す |
| 濡れたままハンガーに吊るした | 肩と裾が伸びる | 平らに置くか、物干しネットに |
| 長時間浸けた | 色がにじむ、型がくずれる | 浸すのは10分まで |
洗えるかどうかの見分け方はセーターは家で洗えるかに、洗う間隔はニットの洗い方|洗う回数と強さにまとめてあります。
失敗⑥|ハサミで切って、糸まで切った
長い毛羽を1本ずつ切っていたら、毛羽ではなく編み目の糸を切ってしまった。小さな穴があいた、糸の端が出てきた。
| 切ったあとの見え方 | 状態 | すること |
|---|---|---|
| 糸の端が1本出ているが、穴はない | 表面の糸を少し切った | 裏から糸の端を引き込む |
| 小さな穴があいている | 編み目の糸が切れた | 裏から同じ色の糸で留める |
| 穴のまわりがほどけてきた | 糸が走りはじめた | すぐに裏から留める。着ない |
| 毛羽が根元から短くなった | 切りすぎた | 直せない。それ以上切らない |
| 切った所だけ色が違って見える | 毛先が減って下の色が出た | 湯気とブラシで毛を起こす |
**穴のまわりがほどけてきたら、その日はもう着ないでください。**着ると引っ張られて、穴が広がります。裏から同じ色の糸で、ほどけはじめた編み目をすくって留めておけば、それ以上は走りません。次に長い毛を切るときは、毛を指でつまんで生地から1cm持ち上げ、持ち上げた毛の根元から1mm残して切るようにします。
失敗⑦|粘着ローラーで、かえって毛羽が起きた
表面のほこりや毛を取ろうとして粘着ローラーを転がしたら、ニットの毛が引き出されて、毛羽が増えた。
粘着ローラーは、表面に乗っているものと一緒に、ニットの毛先まで引っ張ります。毛足の長いニットや起毛したニットでは、毛がローラーに貼りついて引き出され、かえって毛羽が立ちます。
| 素材 | 粘着ローラーを使えるか | 代わりに使うもの |
|---|---|---|
| 目の詰まったウール | 軽く転がす程度なら使える | 洋服ブラシ |
| カシミヤ・アンゴラ | 使わない | 手のひらでなでる |
| 毛足の長い起毛 | 使わない | 柔らかいブラシで一方向 |
| アクリル・混紡 | 使えるが静電気に注意 | 湿らせた手で軽くなでる |
起きた毛羽は、③と同じように一晩休ませてから、手のひらで毛並みに沿ってなでて整えてください。
失敗⑧|直ったのに、数日でまた毛羽立つ
一度はきれいに直ったのに、2〜3回着ると同じ場所にまた毛羽が出る。これは直し方の失敗ではなく、毛羽を作っている原因がそのまま残っているからです。
| また毛羽立つ場所 | 擦れている相手 | 替えるもの |
|---|---|---|
| 脇の下と身頃の横 | 腕の内側 | 袖の細いインナーを重ねる |
| 肘 | 机 | 肘をつく日は上着を重ねる |
| 袖口 | 机・鞄・手首の時計 | 袖をひと折りする |
| 肩 | 鞄の持ち手 | 鞄を反対の肩か手持ちに |
| 前身頃の下 | シートベルト・鞄 | 鞄を体の横に回す |
| 背中 | 椅子の背もたれ | 背もたれに寄りかからない日に |
毛羽が出る場所は、その人の一日の過ごし方をそのまま映しています。机に向かう時間が長い人は肘と袖口に、鞄を肩に掛けて歩く時間が長い人は肩と身頃の横に、車で移動する人は前身頃の斜めの帯に出ます。直す前に、ニットを広げて毛羽の出ている場所に指を置き、その場所に一日のうちで何が当たっているかを思い出してみてください。
**同じ場所に2回続けて出たら、直す前に擦れる相手を替えてください。**相手が変わらないまま直し続けると、そのたびに毛が減って、①の薄くなる失敗に近づきます。素材ごとの毛玉の出方はセーターの毛玉の取り方は素材で変わるにまとめてあります。
素材ごとに、復活の限界が違う
同じ手順でも、素材によって戻せる範囲が違います。
| 素材 | 復活しやすさ | 失敗しやすいこと | 止めどき |
|---|---|---|---|
| ウール | しやすい | お湯で縮む | 2回やって変わらなければ |
| ラムウール | しやすい | 硬いブラシで毛玉が増える | 毛が抜けはじめたら |
| カシミヤ | 毛羽は寝かせやすい | 毛玉取りで薄くなる | 1回目で薄さを感じたら |
| アンゴラ・モヘア | 難しい | 毛が抜けて薄くなる | ブラシ1回で抜けたら |
| アクリル | 毛羽は戻りにくい | 熱でテカる | テカりが出たら |
| 綿のニット | 毛羽より毛玉が出る | 洗いすぎで表面が荒れる | 表面が白く曇ったら |
| ウールと化繊の混紡 | 中くらい | 静電気で毛が立つ | 2回やって変わらなければ |
**毛の長い素材ほど、触る回数を少なくしてください。**長い毛は一度抜けると戻らず、残った毛だけで面を作ることになります。
手を入れたら、一晩おいてから見る
復活の失敗が重なるのは、手を入れた直後の見え方で次の手を決めてしまうからです。直後のニットは、湯気の湿り気やブラシの摩擦で、毛が一時的に立ったり寝たりしています。そのまま見ると、まだ毛羽が残っているように見えて、もう一度刃を当てたくなります。
湿り気が抜けて、毛が落ち着くまでには半日ほどかかります。**手を入れたら、その日のうちに次の手を入れず、翌朝の光で見直してください。**翌朝見て落ち着いていれば、それで終わりです。まだ気になる所があっても、前の晩に見たときより小さくなっていることがほとんどです。
見直すときは、前の晩と同じ場所、同じ光で見ます。窓の光で見たなら窓の光で、机の上で見たなら机の上で。光が変わると、毛羽の見え方も変わるので、よくなったのか悪くなったのかが分からなくなります。スマートフォンで同じ角度から写真を撮っておくと、前後の比べが楽になります。
出かける直前に失敗に気づいたとき
朝、着ようとしたニットがテカっていた、薄くなっていた。出かけるまでに時間がないときは、直そうとせずに、見え方の側で落ち着かせます。
- テカりは、湯気を当てる時間がなければ触らない。上に羽織りを重ねて、光る面を外から見えにくくする
- 薄くなった袖は、袖をひと折りして厚みを重ねるか、ジャケットを着る
- 増えた毛羽は、手のひらを軽く湿らせて、毛並みに沿って上から下へ1回なでる
- ごわつきは、その日は直せない。人と近い距離で会う予定があるなら、別のニットに替える
- 糸の端が出ていたら、切らずに裏側へ押し込んでおく。切るのは帰ってから
**急いでいる朝に刃やハサミを持たないこと。**時間がない中での刃は、ほとんどの場合、取りすぎの失敗を一つ増やすだけです。
戻せるもの、戻せないもの
8つの失敗を、手持ちのまま戻せるものと、戻せないものに分けます。
| 失敗 | 戻せるか | 戻し方 | 戻せないときの扱い |
|---|---|---|---|
| 薄くなった | 少しだけ | 湯気で毛を起こす | 内側に回す |
| テカる(毛が寝ている) | 戻せる | 湯気とブラシで起こす | ― |
| テカる(繊維がつぶれた) | 戻せない | ― | 光の当たらない場所が多い日に |
| 毛羽が増えた | 戻せる | 休ませてなでる | ― |
| ごわつく | 浅ければ戻せる | ぬるま湯と仕上げ剤 | 部屋で着る |
| 縮んだ(2cm未満) | 戻せることが多い | 広げながら乾かす | ― |
| 縮んだ(2cm以上で硬い) | 戻せない | ― | 丈が合う使い道へ |
| 糸が切れた | 留められる | 裏から糸で留める | 穴が広いなら内側に |
戻せなかったニットの役目の替え方
戻せなかったニットは、捨てる前に役目を替えると、もう一冬着られます。
| 戻せなかった状態 | 回す役目 | 理由 |
|---|---|---|
| 袖が薄くなった | ジャケットやコートの下 | 袖が外から見えない |
| 前身頃がテカる | 上に羽織りを重ねる日 | 光る面が隠れる |
| 全体がごわつく | 家で着る、近所に出る日 | 近くで手触りを見られない |
| 縮んで丈が短い | ワンピースやジャンパースカートの上 | 短い丈がそのまま合う |
| 毛羽が戻らない | 人と近い距離で会わない日 | 毛羽は1m離れると目立たない |
役目を替えたニットは、クローゼットの中でも場所を分けておくと、人と会う日にうっかり選ぶことがなくなります。
どちらとも取れるとき①|薄くなったのか、もともと薄い編みなのか
透かしてみると指の影が見える。でも、削りすぎたせいか、もともと薄い編みだったのかが分からない。こういうときは、同じニットの中で、手を入れていない場所と比べます。
脇の下、背中の裾、袖の内側の付け根あたりは、毛玉取りやブラシをかけない場所です。そこを同じように透かして、指の影の見え方が同じなら、もともと薄い編みです。失敗ではないので、直す必要はありません。手を入れた場所だけ影がくっきりしているなら、削りすぎています。そこにはそれ以上刃を当てないでください。
もとの薄さが分かっていれば、次に直すときの線も引けます。もともと薄い編みのニットは、表面の毛が少なく、刃を1回当てただけで編み目が出ます。こうしたニットは、毛玉取りではなく、毛玉を1つずつハサミで切るか、ブラシで寝かせるだけにしてください。厚い編みのニットは表面の毛に余裕があるので、刃を軽く当てても薄さはすぐには出ません。同じ道具でも、薄い編みと厚い編みでは、使える回数が違うのです。
どちらとも取れるとき②|テカりか、毛羽が寝ているだけか
表面がつるりとして見える。でもテカりなのか、きれいに毛羽が寝て落ち着いただけなのかが分からない。この場合は、光の角度を変えます。
正面から見てつるりとしていても、斜めの光で白く光らなければ、毛羽が寝て落ち着いた状態です。直す必要はありません。斜めの光で一部だけ白く光るならテカりで、湯気とブラシで戻せます。指で押してみて、光る所が周りより硬く平らなら、熱で繊維がつぶれたテカりです。指で押した感触が周りと同じなら、まだ毛が寝ているだけです。
どちらとも取れるとき③|もう一度やり直すか、止めるか
1回目の直し方では戻りきらなかった。もう一度やるか、ここで止めるかで迷う。このときは、1回目の前と後で、何が変わったかを見てください。
1回目で少しでもよくなったなら、同じ方法をもう1回だけやってみる価値があります。変化がなかったなら、2回目も同じ結果になることがほとんどです。よくなったかどうかを決めるのは、近くで見たときではなく、1m離れて見たときです。人と会うときの距離で見て差が分からないなら、近くで見た細かな毛羽を追いかける必要はありません。1回目で悪くなった所があるなら、そこで止めます。**やり直していいのは、1回目でよくなった場合の1回だけ。**そう決めておくと、薄くなる・テカる失敗を重ねずに済みます。
次に復活させるときの手順|止める合図を先に決める
次に毛羽立ったニットを直すときは、始める前に止める合図を決めておきます。
| 手順 | すること | 止める合図 |
|---|---|---|
| 1 | 窓に透かして、もとの薄さを確かめる | 指の輪郭がくっきり見えたら、刃は使わない |
| 2 | 黒い紙の前で、毛羽の高さを横から見る | 表面全体が白く曇っていたら、役目を替える |
| 3 | 柔らかいブラシで上から下へ1回 | 毛が抜けて付いたら止める |
| 4 | 湯気を2〜3cm離して当てる | 表面が光りはじめたら止める |
| 5 | 長い毛だけを1本ずつ切る | 編み目の糸が見えたら止める |
| 6 | 平らに置いて乾かし、翌日もう一度見る | 変化がなければ、それ以上やらない |
毛玉を取る時期と回数の考え方はけだまの取り方と取る日に、前夜の10分で済ませる方法は毛玉を取る方法、簡単なのはにまとめてあります。
よくある行き違い
| 思われていること | 実際 |
|---|---|
| 毛羽は全部取ったほうがきれい | 取りすぎると薄くなり、暖かさも落ちる |
| スチームは当てるほど毛羽が寝る | 押し当てるとテカる。浮かせて湯気だけ当てる |
| ブラシは強くかけるほど効く | 強いと毛が立つ。なでる程度で十分 |
| 洗えば毛羽も一緒に落ちる | お湯やもみ洗いで毛が絡み、ごわつく |
| 仕上げ剤を多くすると柔らかく戻る | 多すぎるとぺたんとして伸びる |
| 一度直れば、もう毛羽は出ない | 擦れる相手が同じなら、また出る |
まとめ
- 復活の失敗は、取りすぎ・押しすぎ・濡らしすぎの3つから来る
- 薄くなったかは、窓に透かして、同じニットのほかの場所と指の影を比べる
- テカりは、斜めの光で見る。毛が寝ているだけなら、湯気とブラシで戻せる
- ごわつきと縮みは、浅いうちならぬるま湯と仕上げ剤で戻せることがある
- やり直していいのは、1回目でよくなった場合の1回だけ
- 戻せないニットは、捨てる前に重ね着の内側や家で着る日に役目を替える
今夜、手を入れたニットがあるなら、まず窓の前で透かしてみてください。指の影がぼんやりしているなら、生地はまだ十分残っています。
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よくある問い
- Q. 毛玉取りをかけたら、ニットが薄くなってしまいました。元に戻せますか
- 削った毛は戻りません。ただ、薄く見える度合いは減らせます。表面に残った短い毛を、湯気を当ててから柔らかいブラシで軽く起こすと、毛足がわずかに立って、透けが少し落ち着きます。それ以上は手を入れず、薄くなった場所が内側に来る着方に変えてください。たとえば袖が薄くなったならジャケットの下に、前身頃が薄くなったなら上に羽織りを重ねる日に回します。
- Q. スチームアイロンを当てたら、表面がテカってしまいました
- アイロンを生地に押し当てた、または近づけすぎたことで、毛が平らに寝て光を返しているのが原因です。アイロンを生地から2〜3cm浮かせて湯気だけを当て、湿り気が残っているうちに、毛並みに逆らう向きに柔らかいブラシを軽く動かして毛を起こしてください。そのあと平らな場所で乾かします。毛が起きればテカりは収まります。2回やっても戻らないなら、繊維そのものがつぶれているので、それ以上は続けません。
- Q. ブラシをかけたら、かえって毛羽立ちが増えた気がします
- ブラシが硬すぎるか、力が強すぎるか、一方向にかけ続けていることが多いです。ニットの毛羽を寝かせるときは、毛先の柔らかいブラシで、編み目に沿って上から下へ、生地を引っ張らない力でかけます。毛羽が増えたと感じたら、その日はそれ以上触らず、一晩ハンガーにかけずに平らに置いて休ませてください。翌日、毛並みに沿って軽くなでるだけで落ち着くことがあります。
- Q. 洗って復活させようとしたら、ごわごわになって少し縮みました
- お湯の温度が高かった、強くもみ洗いした、乾燥機を使った、のどれかで繊維が絡み合ったためです。縮みが小さいうちは、ぬるま湯に柔らかくする仕上げ剤を少し溶かして浸し、軽く押して水を切り、平らに置いて手で少しずつ元の寸法へ広げながら乾かすと戻ることがあります。袖丈や着丈が2cm以上縮んで硬くなったものは、元の寸法まで戻すのは難しいので、無理に引っ張らないでください。
— メグラシ編集部





