けだまを簡単に取る方法|家にある道具を、毛玉の大きさで使い分ける

毛玉を簡単に取りたいなら、まず袖口や脇の毛玉を1つ、爪の先でつまんでみてください。**つまめたら、はさみ。つまめなかったら、スポンジかテープ。**家にある道具はこの2つの分かれ道でほぼ決まります。
つまめる毛玉は直径が3mmくらいより大きく、根元に短い糸の束が見えます。こういう毛玉は1つずつ根元を切るのが一番早く、生地も薄くなりません。つまめない毛玉は2mmより小さく、点ではなく面で広がっています。こちらは1つずつ切っていたら日が暮れるので、スポンジの硬い面やテープで寄せて、まとめて取ります。
もう1つだけ、作業の前に生地を窓の光にかざしてください。向こうの景色がうっすら透けるほど薄い生地なら、スポンジは使いません。この記事では、この2つの見分けを軸に、家にある道具の使い分けと、どちらとも取れるときの扱いを順に書いていきます。
先に測る|毛玉の直径と、根元の糸
毛玉の大きさは、定規を当てなくても測れます。爪の先の白い部分の幅がだいたい2〜3mmなので、そこに毛玉を並べて見てください。爪の白い部分より大きければ3mm以上、白い部分の中に収まれば2mm以下です。
次に、つまんだ毛玉を少しだけ持ち上げます。根元に短い糸が2〜3本つながって、生地から細い柱のように立ち上がっているのが見えたら、その毛玉なら、はさみで切れます。持ち上げても柱が見えず、粒がそのまま生地にへばりついているなら、まだ育ちきっていない毛羽の固まりです。こちらだと、はさみの刃が入らないので、寄せて取る道具に回します。
もう1つ見ておきたいのが、毛玉の色です。服と同じ色の毛玉は、その服自身の繊維が丸まったものです。服と違う色、たとえば黒いニットに白っぽい粒がついているなら、鞄やコートの裏地、ほかの服の繊維が絡みついたものです。違う色の毛玉は生地とのつながりが弱いので、テープで押さえるだけで取れることが多く、最初からはさみを出す必要はありません。
測る場所は、服の中で毛玉がいちばん多いところではなく、人から見えるところを先にします。袖口から手首にかけて、胸の前、腰の横の3か所です。脇の下はいちばん毛玉が多い場所ですが、腕を下ろしていれば見えません。見える場所から手を付けて、時間が残ったら脇に回る。この順にしておくと、途中で手を止めても見た目は整います。
数も、ざっと数えておきます。袖口から肘までの片側に、つまめる毛玉が10個以下なら、はさみだけで足ります。10個を超えて、しかも細かい粒も混ざっているなら、あとで書く順番の組み合わせに進みます。数えるのは面倒に感じますが、ここで数を見ておくと、どの道具を出すかで迷う時間が減ります。
ここまでで、手元の服は3つのどれかに入っているはずです。根元の柱が見える3mm以上の毛玉が点々とある服。柱の見えない2mm以下の粒が面で広がっている服。違う色の毛玉が表面に乗っている服。順に道具を当てていきます。
3mm以上が点々とあるなら|はさみで根元を切る
つまめる大きさの毛玉が、袖や胸に数えられるくらい点在しているなら、はさみが一番早い道具です。使うのは紙を切る大きなはさみではなく、眉を整える小さなはさみや、糸切り用の握りばさみのような、刃先の短いものが扱いやすくなります。
切り方は、毛玉を指で軽くつまみ、少しだけ持ち上げて根元の柱を見せ、その柱を生地と平行に刃を寝かせて切ります。刃を生地に向けて立てると、勢いで生地の表面まで切ってしまいます。刃は必ず寝かせて、生地の上を滑らせるように動かしてください。
引っ張る強さは、毛玉がふっと浮くくらいで足ります。強く引くと、根元の柱が伸びて生地の奥の糸まで出てきます。そこを切ると、表面に小さな穴が開いたように見えることがあります。持ち上げるのは1〜2mmまで、と決めておくと安全です。
左手の使い方も決めておくと、作業が早くなります。毛玉をつまむのは右手の親指と人差し指ではなく、左手です。左手の親指と人差し指で毛玉の両側の生地を軽く押さえ、そのまま指を2〜3mmだけ開くようにして生地を張ります。生地が張ると、毛玉の根元の柱が自然に立ち上がって見えるので、右手のはさみをそのまま寝かせて入れられます。毛玉そのものを指でつまむと、つまんだ力で柱が寝てしまうことがあるので、つまむのではなく、まわりを張る、と覚えておいてください。
切った毛玉は、生地の上に落ちたままにしておくと、次の毛玉を切るときに刃の下に入り込みます。10個くらい切るごとに、手のひらで生地の上をさっと払っておきます。払った毛玉は、テープを丸めて受けておくと散らかりません。
はさみで取ると、生地が削られないので、取ったあとも表面の厚みが変わりません。時間はかかりますが、袖口と脇に合わせて30個くらいまでなら、10分ほどで終わります。数えてみて30個を大きく超えるようなら、はさみだけで全部やろうとせず、次のスポンジやテープと組み合わせたほうが早くなります。
2mm以下が面で広がっているなら|台所スポンジの硬い面
脇の下や袖の内側に、細かい粒が砂をまいたように広がっている。こういう毛玉は、1つずつ切るより、台所用スポンジの硬い面でまとめて寄せるほうが簡単です。
使うのは、新品か、まだ油を吸っていない乾いたスポンジです。食器を洗ったあとのスポンジは、洗剤や油が生地に移るので使いません。黄色い柔らかい面ではなく、緑色などの硬いほうの面を使います。
動かし方は、生地を平らな台に置き、スポンジの硬い面を当てて、一方向にだけ軽く滑らせます。往復させると、寄った粒がまた生地に絡みます。力は、スポンジの硬い面が少しだけ沈むくらい。手首の重さだけで動かし、腕で押し付けないでください。5〜6回滑らせると、細かい粒がスポンジの進む方向の端に集まってきます。集まった粒は指でつまむか、テープで押さえて取ります。
スポンジの角は使いません。角が当たると、そこに力が集まって糸を引き出します。面の真ん中あたりを当てて、角が生地に触れないように少し浮かせて持ってください。
滑らせる方向は、編み目の縦の筋に沿わせます。ニットの表面をよく見ると、小さなV字が縦に並んでいるのが分かります。そのVの並びに沿って、上から下へ動かしてください。横向きに動かすと、Vの1つ1つにスポンジの凹凸が引っかかり、編み目が横に広がります。袖なら肩から手首へ、身頃なら首から裾へ、と覚えておけば迷いません。
スポンジには、寄せた粒が少しずつ絡みついていきます。5〜6回滑らせるごとに、スポンジの面を指でなでて粒を払ってください。粒がついたまま使い続けると、その粒が生地の上を転がって、新しい毛羽を起こします。払った粒は、床に落とさず、テープで受けると片付けが楽になります。
使ったスポンジは、そのまま食器洗いに回さず、服用として分けておきます。生地の繊維が入り込んでいるので、食器に移ります。服用のスポンジは、乾いた状態で引き出しにしまっておけば、何度でも使えます。
細かい毛羽と違う色の粒なら|粘着テープは押すだけ
毛玉と呼ぶほど丸まっていない、ふわふわした毛羽が表面に立っている。あるいは、違う色の繊維が粒になって乗っている。この2つには、粘着テープがいちばん生地にやさしい道具です。
家にあるなら、梱包に使う幅の広いテープか、衣類用の粘着ローラーを使います。テープは粘着面を外側にして手に巻き、生地にぽんと押し当てて、まっすぐ上に離します。こすったり滑らせたりはしません。こすると、粘着面に毛羽がついたまま生地の上を動き、かえって毛羽を立たせます。
粘着の強い梱包用テープは、1回押し当てたら、一度自分の服やタオルに当てて粘着を少し弱めてから使ってください。粘着が強すぎると、薄いニットの表面の糸まで持ち上げてしまいます。押し当てて離したとき、生地が少し持ち上がってついてくるようなら強すぎます。生地がその場に残り、毛羽だけが取れる強さが目安です。
テープは毛玉そのものを取る力は弱いので、根元の柱がしっかりある3mm以上の毛玉には向きません。テープで表面の毛羽と違う色の粒を先に取り、残った大きな毛玉をはさみで切る。この順にすると、はさみで切る数が減って作業が早く終わります。
3つの道具を、2つの軸で並べる
ここまでの使い分けを、毛玉の大きさと生地の目の2つで並べておきます。表は答えを出すためのものではなく、自分の服がどの枠に近いかを見るためのものです。
| 毛玉の大きさ | 生地の目が詰まっている | 生地の目が粗い・光に透ける |
|---|---|---|
| 3mm以上・根元の柱が見える | はさみで根元を切る | はさみで根元を切る(引く力を半分に) |
| 2mm以下・面で広がる | スポンジの硬い面で寄せる | テープで押さえて離すだけ |
| 違う色の粒・ふわっとした毛羽 | テープ | テープ(粘着を弱めて) |
右の列にスポンジが無いのは、目の粗い生地や透ける生地では、スポンジの凹凸が編み目に引っかかって糸を引き出すからです。
素材の違いも、この表の上で少しずつずれます。ウールの毛玉は根元の柱が弱く、大きくなる前に自然に落ちることもあるので、はさみよりテープで済む場面が多くなります。毛足の長い柔らかい獣毛の生地は、繊維が細くて抜けやすいので、スポンジの力をさらに半分にして、回数も3回までにしてください。化学繊維の混ざった生地は、毛玉の根元が強く、テープでは動かないことが多いので、はさみの側に寄せます。綿の生地は毛玉より毛羽が立ちやすいので、テープで表面を押さえるのが中心になります。
洗濯表示のタグに書かれた素材の割合を見て、いちばん多い素材で考えれば足ります。半分以上が化学繊維なら、はさみの側。半分以上がウールや獣毛なら、テープとスポンジの側。迷ったら、弱い道具であるテープから始めて、取れなければ1段強い道具に進む、という順に切り替えてください。生地の目が詰まっているかどうかの見分け方を、次に書きます。
生地の目を透かして見る|窓の光にかざす
服を両手で広げ、窓の前に立って、外の光を生地越しに見てください。見え方で3つに分かれます。
1つ目は、光がぼんやり明るく見えるだけで、外の形は何も分からない生地。これは目が詰まっているので、スポンジもテープもはさみも使えます。
2つ目は、外の窓枠や木の輪郭が、うっすら線として見える生地。目は詰まっているけれど、生地自体が薄い状態です。スポンジは使えますが、力を半分にして、滑らせる回数も3回程度で止めます。
3つ目は、編み目の1つ1つに光の点が見えて、網のように透ける生地。ざっくりしたローゲージのニットや、透かし編みの部分がこれにあたります。ここにはスポンジを当てません。テープで毛羽を取り、大きい毛玉だけをはさみで切ります。
同じ1枚の服でも、身頃は2つ目、袖は1つ目のように、場所で違うことがあります。とくに脇の下はこすれて薄くなっていることが多いので、身頃とは別にかざして見てください。
どちらとも取れるとき①|3mm前後の毛玉が、細かい粒と混ざっている
いちばん多いのがこの組み合わせです。脇の下に、つまめる大きさの毛玉がいくつかあり、そのまわりに細かい粒が広がっている。はさみで切るには数が多く、スポンジで寄せるには大きい粒が邪魔になります。
この場合は、順番で解決します。まず、つまめる毛玉だけをはさみで切ります。数が多くても、目に付く大きいものだけで構いません。大きい毛玉が残ったままスポンジを当てると、スポンジがその毛玉に引っかかって、根元の柱ごと引き抜こうとする力がかかるからです。
大きいものを切り終えたら、残った細かい粒をスポンジで一方向に寄せます。最後に、寄せきれなかった粒と、スポンジで少し立った毛羽をテープで押さえて取ります。はさみ、スポンジ、テープの順です。この順番を逆にすると、どの道具も途中で引っかかって手間が増えます。
迷うのは、3mmぎりぎりで、つまめたりつまめなかったりする毛玉です。2回つまんで2回とも滑るなら、スポンジの側に入れてください。はさみの刃先で無理に拾おうとすると、生地の表面を一緒にすくってしまいます。
どちらとも取れるとき②|目の粗いニットに、細かい粒が広がっている
ざっくり編みのニットは、光にかざすと網のように透けるのでスポンジは使えません。けれど、細かい粒が面で広がっていて、はさみで1つずつ切るのは現実的ではない。この組み合わせも迷いやすいところです。
この場合は、まずテープを試します。粘着を弱めたテープで、粒の多い面を押さえては離すのを10回ほど繰り返してください。目の粗いニットは毛足が長いことが多いので、粒も毛足に絡んで浮いていて、テープだけで半分以上取れることがあります。
テープで取れなかった粒は、ニットを裏返して、裏側から指で軽く押し出すように表に出してから、表側でテープを当て直します。粒が編み目の奥に沈んでいると、表からはテープが届かないからです。
それでも残る粒は、取らずに置いておく、という選択もあります。目の粗いニットは、もともと表面に凹凸があるので、細かい粒は少し離れると目立ちません。1mほど離れて鏡で見て、気にならなければそこで止めてください。目の粗い生地は、取りすぎて編み目がゆるむほうが、粒が残るより目立ちます。
どちらとも取れるとき③|毛玉の根元から、長い糸が1本伸びている
つまんで持ち上げたとき、根元の柱が短い束ではなく、長い糸が1本ぴんと伸びてくることがあります。これは毛玉ではなく、編み目の糸そのものが引き出されている状態です。
この糸は切りません。切ると、その編み目がほどけて穴になることがあります。毛玉の部分だけを、糸の根元ではなく、毛玉の付け根ぎりぎりで切ってください。糸の長い部分は残して、生地の裏側から細い針や爪楊枝の先で引き戻します。引き戻すと、表から見たときの飛び出しが消えて、編み目が元の形に戻ります。
同じ服に、こういう長い糸がいくつも出てくるようなら、毛玉の取り方の問題ではなく、生地自体に引っかかりが起きています。鞄の金具や、腕時計の留め具など、決まった場所に当たるものがないか、出ている位置から逆にたどってみてください。
どちらとも取れるとき④|手元にどれか1つしかない
外出先や、急いでいる朝で、はさみしかない、テープしかない、ということもあります。その場合の使い方を書いておきます。
はさみしかないときは、目に付く大きい毛玉だけを切り、細かい粒はそのままにします。細かい粒をはさみで拾おうとすると時間がかかるうえ、刃先が生地をすくう回数も増えます。袖口と胸元など、人から見える場所だけに絞れば、5分ほどで見た目はかなり変わります。
テープしかないときは、粘着を弱めたテープで面全体を押さえます。大きい毛玉は取れませんが、まわりの毛羽が取れると、残った毛玉の輪郭がはっきりして、かえって数が少なく見えることがあります。大きい毛玉はつまんで横に倒し、生地の目の方向にそろえておくと、遠目には目立ちにくくなります。
スポンジしかないときは、生地が透けないことを確かめてから、大きい毛玉を避けて細かい粒の部分だけに当てます。大きい毛玉のある場所にはスポンジを通さないでください。引っかかって、根元から引き抜く力がかかります。
出かけた先で気付いたとき
職場や出先で、袖口の毛玉に気付くこともあります。手元に道具が何もないときは、まず触らないでください。気になって指でつまんでいるうちに、毛玉が引っ張られて根元の柱が伸び、帰ってから切るときに生地まで一緒に出てきます。
どうしても気になるなら、事務用の幅の狭いテープを少しだけ借りて、粘着面を一度自分の手の甲に当ててから、毛玉の上に押し当てて離します。取れるのは表面の毛羽と、違う色の粒くらいですが、それだけでも毛玉の輪郭が締まって、目立ち方は変わります。大きい毛玉は、指の腹で横に寝かせて、生地の目の方向にそろえておけば十分です。
帰ってから、その服だけは翌日に着る前に、はさみとテープで整えます。出先で気付いた毛玉は、こすれる場所を教えてくれる目印でもあるので、どこに出ていたかを覚えておくと、次の対策に使えます。
台を平らにする|膝の上ではやらない
どの道具を使うときも、生地は平らな台の上に置きます。膝の上や、ハンガーに掛けたままでやると、生地が丸く曲がり、毛玉の根元の柱が寝てしまって刃が入りません。スポンジも、曲がった面では一部にだけ力が集まります。
台は、食卓やアイロン台のように、硬くて平らなものが向いています。毛玉の多い袖や脇は、内側に丸めたタオルを入れて、筒の形に張らせてから作業します。袖を平らにつぶしたまま作業すると、裏側の生地まで一緒に挟んでしまうことがあるからです。
明かりは、天井の真上からではなく、横から当たる位置が見やすくなります。窓の横に台を置くか、電気スタンドを低い位置から横向きに当ててください。横からの光だと、毛玉に影ができて、平らな面との差がはっきり見えます。真上からの光では、細かい粒の影が消えて、どこまで取れたか分からなくなります。
子ども服や小さな手袋のように、台に広げにくい小さなものは、手のひらの上に乗せて、もう片方の手で作業しても構いません。そのときは、手のひらを平らに伸ばし、指を軽く反らせて、生地がたるまないようにします。手袋なら、中に指を入れてふくらませ、指の部分を1本ずつ筒の形にしてから、表面の毛玉を取ります。袖と同じで、筒の中に支えがあると、刃もスポンジも一定の力で当てられます。
コートのように厚くて大きいものは、台の上に全部を広げようとせず、毛玉の多い面だけを台の端に乗せて、残りは椅子の背に掛けておきます。重い生地が台から垂れ下がると、その重さで作業している面が引っ張られて、毛玉の根元が寝てしまいます。作業する面が台の上で平らに落ち着いていれば、ほかの部分はどこに置いてあっても構いません。
どこで止めるか|1面10分、地が透けてきたら終わり
毛玉取りは、やり始めると全部取りたくなります。けれど、取り続けると生地の表面の繊維も少しずつ減っていきます。止めどころを先に決めておくと、取りすぎを防げます。
時間の目安は、袖1本、身頃の前、身頃の後ろ、とそれぞれの面で10分です。10分たったら手を止めて、1mほど離れて鏡で見てください。離れて見て気にならなければ、そこで終わりにします。
もう1つの目安は、生地の色です。毛玉を取っているうちに、そこだけ生地の色が少し薄く見えたり、下に着ている服の色がうっすら透けて見えたりしたら、表面の繊維が減り始めています。その面はそこで止めて、残った毛玉は次に着る前にまわします。
スポンジやテープに、生地と同じ色の細い繊維がたくさんついてくるのも、止めどきの合図です。毛玉ではなく、まだ毛玉になっていない表面の繊維まで取れ始めています。
止めたあとに残った毛玉は、無理に今日のうちに片付けなくて構いません。生地は、作業のあとしばらく置くと、押さえたりこすったりして寝た繊維が少しずつ起き上がってきます。翌日にもう一度見ると、前日は見えなかった粒が見えたり、逆に気になっていた粒が目立たなくなっていたりします。2回に分けて取るほうが、1回で全部取ろうとするより、生地の表面を守れます。
取ったあとの1分|ブラシの向きと、たたみ方
毛玉を取り終えたら、生地の表面を整えます。服用のブラシがあれば、毛の流れに沿って上から下へ軽くなでてください。ブラシが無ければ、乾いた手のひらで同じ方向になでるだけでも構いません。毛玉を取ったあとの表面は、毛羽が四方に立っているので、向きをそろえると光の反射がそろって、表面がなめらかに見えます。
たたむときは、毛玉を取った面を内側にして、こすれないようにします。すぐに着るなら、ハンガーに掛けて30分ほど置くと、立った毛羽が落ち着きます。
スチームの出るアイロンがあれば、生地から2〜3cm浮かせて、湯気だけを当てるのも効きます。アイロンの面を生地に押し当てると、毛羽が寝たまま固まり、表面がてかって見えます。必ず浮かせて、湯気が生地に届いたら手のひらで軽くなでて、毛羽の向きを整えてください。湯気を当てたあとは、生地が乾くまで平らに置いておきます。湿ったままハンガーに掛けると、肩の部分が伸びます。
取ったあとの服は、すぐにしまわず、一度着てから鏡で見るとよく分かります。平らな台の上では気にならなかった細かい粒が、体に沿わせると光の当たり方が変わって見えることがあります。気になったら、そこだけテープで押さえ直せば十分です。
簡単に取れない毛玉|触らずに残す3つの場所
家の道具で簡単に取れる毛玉と、触らないほうがいい毛玉があります。次の3つは、無理に取ろうとせず、そのまま残すか、仕上げの専門店に相談するほうが安全です。
1つ目は、化学繊維の混ざった生地にできた、硬くて小さな粒です。ウールの毛玉は自然に落ちることがありますが、化学繊維の混ざった毛玉は根元の柱が強く、指でつまんでもびくともしません。はさみの刃先でも根元が見えにくいので、無理にすくうと生地を切ります。これは、表面の毛羽をテープで取るだけにして、粒自体は残しておくほうが見た目は落ち着きます。
2つ目は、起毛させた生地、表面をわざと毛羽立たせて柔らかくした生地です。ここにスポンジやテープを当てると、起毛そのものが取れて、その部分だけ平らに光って見えます。起毛の生地は、大きい毛玉だけをはさみで切るにとどめてください。
3つ目は、縫い目の際と、リブの部分です。縫い目の際は生地が重なって段差があり、刃が入りにくく、切りすぎて縫い糸を切ることがあります。袖口や裾のリブは、伸び縮みする編み方なので、引っ張ると形が戻らなくなります。どちらも、テープで表面を押さえる程度にしておきます。
次に毛玉を増やさないために
取り方を覚えても、同じ場所にまた毛玉はできます。毛玉は摩擦が集まる場所に出るので、取ったときの場所を覚えておくと、何が当たっているかが分かります。
腕の内側と脇の下に多いなら、腕を振ったときに身頃とこすれています。腰の横に多いなら、鞄が当たっています。胸の前に多いなら、斜めに掛けた鞄の紐かもしれません。鞄の掛ける側を左右で替えるだけでも、片側に集中していた毛玉が半分になります。
もう1つは、同じ服を2日続けて着ないことです。着たあとの生地は、繊維が寝たりねじれたりしていて、そのまま翌日も着るとこすれ方が強くなります。1日休ませると繊維が元に戻り、毛玉になりにくくなります。
そして、毛玉は出始めの細かいうちに取るほうが簡単です。数日に一度、着る前にテープで押さえるだけにしておくと、はさみやスポンジの出番が減ります。道具を出すのが面倒なら、テープだけを服をしまう場所の近くに置いておくと続けやすくなります。
洗い方でも、毛玉の出方は変わります。家で洗うときは、服を裏返して、たたんで洗濯ネットに入れてください。表を外にしたまま洗うと、ほかの服や洗濯槽とこすれて、表面に毛玉ができます。ネットは、服がちょうど収まる小さめのものを選ぶと、中で服が動き回らず、こすれが減ります。
洗う前に、ついている毛玉を取っておくのも効きます。毛玉は、ついたまま洗うと水の中で転がって、まわりの繊維を巻き込んで大きくなります。洗う前にテープで表面を押さえておくだけでも、洗ったあとの毛玉の数は変わります。
最後に、道具をしまう場所をまとめておくと、次に毛玉を見つけたときに迷いません。小さなはさみ、服用のスポンジ、テープの3つを、1つの箱か袋に入れて、服をしまう場所の近くに置いておきます。毛玉に気付いたその場で取れるようになると、毛玉が育つ前に片付きます。
関連記事
よくある問い
- Q. 毛玉取り器が無いとき、いちばん簡単な道具はどれですか
- 毛玉の大きさで変わります。爪でつまめる3mm以上の毛玉が点々とあるなら、よく切れる小さなはさみが一番早く、生地も傷めません。2mm以下の細かい粒が袖や脇に面で広がっているなら、台所用スポンジの硬い面を一方向に滑らせると、粒が寄って取りやすくなります。どちらか分からないときは、粘着テープを押し当てて離すところから始めてください。
- Q. スポンジで毛玉を取ると、生地が傷みませんか
- 生地の目が詰まっていれば、軽い力で一方向に動かす限り傷みは目立ちません。窓の光にかざして向こうが透けるほど薄いニットや、目の粗いざっくり編みでは、スポンジの角が糸を引き出してしまうので使わないでください。その場合はテープで浮いた毛を取り、残った粒だけをはさみで切ります。
- Q. 毛玉を手でむしって取ってもいいですか
- おすすめしません。毛玉の根元は生地の糸とつながっているので、引っ張ると生地の繊維ごと抜け、そこが薄くなって次の毛玉が早くできます。指でつまんだら、軽く持ち上げて根元を見せ、はさみで切るところまでを1つの動きにしてください。
- Q. 取っても数日でまた毛玉ができます
- 毛玉が出る場所は、腕と脇、鞄が当たる腰の横など、こすれる場所に集まります。取り方より、同じ服を続けて着ない、鞄を掛ける側を替えるといった摩擦の減らし方のほうが効きます。取る作業は、出始めの細かい粒のうちにテープで済ませると、生地が薄くなりにくくなります。
— メグラシ編集部





