服の型崩れ|買う前に試着室で、引いて・透かして・ねじって見分ける

**いま着ている服の袖口を、指で2cmほど引いて、離してみてください。**すぐに元の幅に戻ったなら、その1枚は袖口から型崩れしにくい側です。指の跡のように広がったまま、ゆっくり戻るなら、着るたびに袖口が開いていく側です。
服の型崩れは、洗い方や掛け方で起きるものだと思われがちです。もちろんそれもあります。ただ、**同じように扱っても崩れる服と崩れない服があり、その差の多くは買う前に見えています。**試着室で手を3回動かすだけです。引く、透かす、ねじれを見る。
伸びてしまったニットを戻す手順は伸びたニットは、伸びた場所が1か所か全体かで手が変わるにあります。この記事は、その前の段階、選ぶときの話です。
結論|試着室で、引く・透かす・ねじれを見るの3つ(起毛なら押すを足す)
型崩れしやすいかどうかは、次の3つで見ます。
| 手の動き | 見るもの | 崩れにくい側 | 崩れやすい側 |
|---|---|---|---|
| 引く | 袖口・裾のリブを2cm引いて離す | 2秒以内に元の幅へ戻る | 5秒たっても戻りきらない |
| 透かす | 生地1枚を照明に向ける | 光が面でぼんやり抜ける | 光が点で抜け、指の形まで見える |
| ねじれを見る | カットソーの脇の縫い目 | 裾までまっすぐ下りている | 裾で前か後ろへ3cm以上流れている |
| 押す(起毛・毛足のある服だけ) | 指の腹で3秒押して離す | 跡がすぐ消える | 跡が残ったまま消えない |
3つのうち2つが崩れやすい側に出たら、その1枚は扱いに手がかかる服です。買ってはいけないという意味ではありません。手間を引き受けられるかを、買う前に決めておくという意味です。
型崩れは4つの形で出る
「型崩れ」とひとことで言っても、起きていることは4つに分かれます。どれが起きやすいかで、見る場所が変わります。
| 崩れの形 | 出やすい場所 | 起きる理由 | 試着室で見る動き |
|---|---|---|---|
| 伸びる | 袖口・裾・襟ぐり・膝・肘 | 引かれた糸が戻る力を失う | 引く |
| ねじれる | カットソーの脇・パンツの脇 | 糸のよりが洗うたびに戻ろうとする | ねじれを見る |
| 落ちる | 肩・身頃・ワンピースの丈 | 生地の重さで、吊るした向きへ伸びる | 持ち上げる |
| つぶれる | 起毛・毛足・パッド・芯の入った襟 | 押された面が立ち上がらない | 押す |
伸びるとねじれるは、日々の着用と洗濯で少しずつ進みます。落ちるは、ハンガーに掛けている時間で進みます。つぶれるは、座る・もたれる・バッグを掛けるといった、押される時間で進みます。自分の暮らしで長い時間がどれかを考えると、優先して見る形が決まります。
たとえば、通勤で長く電車に座る人は、伸びるより先につぶれると膝の出を見てください。家ではハンガーに掛けたまま数日着ない服が多い人は、落ちるを先に見ます。毎日のように洗う服が多い人は、ねじれるを先に見ます。4つ全部を同じ重さで見るより、自分の時間の使い方で、見る順番を入れ替えるほうが、売り場で迷いません。
確かめ①引く|リブを2cm引いて、戻る秒数を数える
ニットやスウェット、カットソーの袖口と裾には、たいてい伸び縮みする編み方の部分があります。ここをつまんで、横に2cmほど引いてから離します。
| 離してから元の幅に戻るまで | 読み方 | その1枚で起きやすいこと |
|---|---|---|
| 1秒以内 | 戻る力が強い | 袖口・裾が広がりにくい |
| 2秒前後 | 十分に戻る | ふだんの着方なら保てる |
| 3〜5秒 | 戻るが遅い | 洗って干すたびに少しずつ広がる |
| 5秒たっても戻りきらない | 戻る力が弱い | 数回の着用で袖口が開く |
| 引いた跡が波打って残る | 糸が細い・目が粗い | まくった跡がそのまま残る |
数えるときは、**引く幅を2cmにそろえてください。**強く引けばどんな1枚も戻りが遅くなります。比べる相手と同じ条件にするのがこの確かめのいちばん大事なところです。
リブを見るのは、服の中でいちばん引かれる回数が多い場所だからです。手を洗うたびに袖を上げ、座るたびに裾が引かれます。**引かれる回数がいちばん多い場所で戻る力が残っていれば、ほかの場所もたいてい保ちます。**反対に、リブの戻りが遅い1枚は、身頃の生地も同じ糸で編まれていることが多く、肘や背中も少しずつ広がっていきます。
秒数は売り場の温度や湿気でも少し変わります。手持ちの服で同じことをして、「自分の家で長持ちしている1枚」が何秒だったかを覚えておくと、売り場でその数字と比べられます。
確かめ②透かす|照明に向けて、光の抜け方を見る
次に、生地を1枚だけ指でつまんで、試着室の照明に向けます。重なった部分ではなく、身頃の1枚だけの場所で見てください。
| 光の抜け方 | 生地の状態 | 起きやすい崩れ |
|---|---|---|
| ほとんど抜けない | 目が詰まっている、または厚い | 崩れにくい。重さによる落ちだけ見る |
| 面でぼんやり抜ける | 細い糸で詰めて編んである | 崩れにくい側 |
| 細かい点で均一に抜ける | 目は詰まっているが薄い | 伸びは少ないが、ひっかけに弱い |
| 粗い点で抜ける | 目が粗い | 引かれた場所から伸びる |
| 指を裏に当てると指の形が見える | 目が粗く、糸も細い | 肘・膝・袖口が出やすい |
光が粗い点で抜ける1枚は、編み目と編み目の間に余裕があり、そのぶん引かれると広がります。ざっくりした編み目は秋冬らしい表情がありますが、目の粗さと伸びやすさはほぼ同じことの裏表だと考えてください。
確かめ③ねじれを見る|脇の縫い目が裾でどこにあるか
カットソーやTシャツ、薄手のスウェットは、着る前に身頃の脇の縫い目を見ます。ハンガーに掛けた状態で、脇の縫い目が脇の下から裾までまっすぐ下りているかを確かめてください。
| 裾での脇の縫い目の位置 | 読み方 |
|---|---|
| 脇の真下にある | ねじれにくい |
| 前か後ろへ1〜2cm流れている | 洗ううちに少し進むことがある |
| 前か後ろへ3cm以上流れている | すでにねじれが出ている。洗うと進みやすい |
| 左右で流れる向きが違う | 縫うときのずれ。着ると裾が片側へ回る |
新品の時点で縫い目が流れている1枚は、洗うたびに裾が前へ回ってくることがあります。着たときに、脇の縫い目が体の横ではなく前寄りに来てしまう、あの崩れです。売り場で平置きされている1枚は、縫い目の流れが分かりにくいので、ハンガーに掛け直して下から見上げてください。
ねじれは、糸にかかっているよりが、洗って水を含むたびに元へ戻ろうとすることで起きます。細い糸で薄く編んだ1枚ほど、その力が表に出やすくなります。**同じ形・同じ色のカットソーが2枚並んでいたら、両方を掛けて縫い目の流れを比べてください。**同じ品でも1枚ごとに差があり、まっすぐ下りている1枚を選ぶだけで、半年後の裾の回り方が変わります。
確かめ④押す|起毛と毛足は、指で押して戻るかを見る
秋冬に増えるのが、4つ目の崩れ、つぶれるです。起毛した生地、毛足のあるニット、中綿の入った羽織りは、押された面が寝たまま戻らないと、そこだけ色が変わって見えます。座ったときの後ろ、バッグを掛ける肩、腕が触れる脇の下に出やすい崩れです。
| 指で押して離したあと | 読み方 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 押した跡がすぐ消える | 毛足が立ち上がる力がある | 座る・もたれる日にも残りにくい |
| 跡が数秒残ってから消える | ふつう | 長く座る日は後ろに跡が出る |
| 跡が残ったまま消えない | 毛足が寝やすい | 掛けたバッグの跡が線で残る |
| 押した場所だけ色が変わって見える | 毛の向きがそろいやすい | 光の向きで色むらに見える |
押すときは、手のひらではなく指の腹で、3秒ほど軽く押してから離します。**押す強さは、椅子に座ったときにかかる重さを思い浮かべる程度で十分です。**強く押せばどの生地も跡が残るので、引くときと同じく、比べる相手と同じ強さにそろえてください。
ニットで見る場所|肩の縫い目・襟ぐり・身頃の重さ
ニットは、いちばん型崩れの相談が多い服です。見る場所を4つに絞ります。
| 見る場所 | 確かめ方 | 崩れにくい側 |
|---|---|---|
| 袖口・裾のリブ | 2cm引いて離す | 2秒以内に戻る |
| 襟ぐりのリブ | 襟の一番下を指2本で広げて離す | すぐ元の丸みに戻る |
| 肩の縫い目 | 縫い目の両側をつまんで引く | 縫い目に沿ってテープ状の補強がある |
| 身頃の重さ | 肩を持って持ち上げる | 片手で軽く持てる |
肩の縫い目の内側に細いテープが縫い込まれている1枚は、肩が下へ伸びるのをそのテープが受け止めます。裏返して確かめてください。厚手で重いニットほど、このテープがあるかどうかで肩の形の持ち方が変わります。
ニットの洗い方や家で洗えるかの見分けはセーターは家で洗えるかとニットの洗い方にあります。
カットソー・Tシャツで見る場所|襟と脇と裾
カットソーは、伸びるとねじれるの両方が出やすい服です。
| 見る場所 | 確かめ方 | 崩れやすいサイン |
|---|---|---|
| 襟ぐり | 襟の縁を指2本で広げて離す | 縁が波打ったまま残る |
| 襟の縫い付け | 襟の内側の縫い目を見る | 縫い目が1本だけで、補強のテープが無い |
| 脇の縫い目 | ハンガーに掛けて見上げる | 裾で前か後ろへ3cm以上流れる |
| 裾 | 裾の折り返しを指でつまむ | 折り返しが浅く、端が丸まりかけている |
| 生地の厚み | 照明に向ける | 指を当てると指の形が見える |
襟ぐりは、脱ぎ着のたびにいちばん大きく引かれる場所です。**襟の縁を広げて離したとき、波打ちが残る1枚は、首まわりから先に崩れます。**秋に1枚で着るカットソーや、ニットの下から襟をのぞかせる1枚は、とくにここを見てください。
シャツ・ブラウスで見る場所|襟の芯と前立て
シャツやブラウスは、伸びるよりも、つぶれる・落ちるが出やすい服です。
| 見る場所 | 確かめ方 | 崩れやすいサイン |
|---|---|---|
| 襟 | 襟先を指で軽く曲げて離す | 曲げた跡がそのまま残る |
| 前立て | ボタンを留めて、ボタンとボタンの間を見る | 間が口を開けるように浮く |
| 肩 | 肩を持って持ち上げる | 生地がとろりと下へ流れる |
| 袖口 | カフスを留めて手首を曲げる | カフスが薄く、すぐ折れる |
前立てのボタンとボタンの間が浮く1枚は、生地が柔らかくて前立ての芯が弱いか、身幅が自分に対して足りていない状態です。**前立ての浮きは、着るほどに縦のしわになって残ります。**サイズを1つ上げて浮きが消えるなら身幅の問題、消えないなら生地の問題です。
ジャケット・コートで見る場所|肩・襟の返り・ポケット口
ジャケットとコートは、芯や肩パッドで形を作っている服です。崩れ方は、つぶれると落ちるが中心になります。
| 見る場所 | 確かめ方 | 崩れにくい側 |
|---|---|---|
| 肩 | 肩先を上から軽く押して離す | 押した場所がすぐ元の丸みに戻る |
| 襟の返り | 襟の折り返しの線を見る | 折り目ではなく、ゆるやかな丸みで返っている |
| 前身頃の表面 | 斜めから照明に当てて見る | 表面に細かい波打ちが無い |
| ポケット口 | 手を入れて抜く | 口が開いたままにならない |
| 裾 | 羽織って腕を前に出す | 裾が前で開きすぎない |
前身頃の表面を斜めから見て、細かい波打ちが見える1枚は、表地と内側の芯が離れかけている可能性があります。新品の段階で波打っている1枚は、着用や湿気で進むことが多いので避けてください。
襟の返りが、くっきりとした折り目になっている1枚は、アイロンで形を付けているだけのことがあります。丸みで返っている襟は、芯と仕立てで形を作っているので、着たり掛けたりしても形が残りやすくなります。
肩に入っているパッドも見ておきます。肩先を押して、パッドの縁が段になって浮き出る1枚は、掛けておくうちにハンガーの形が肩に移りやすくなります。パッドの縁がなだらかに消えていく1枚は、ハンガーの肩幅が少し合わなくても形が崩れにくい作りです。コートは1シーズンに着る回数が多く、脱ぎ着のたびに肩と襟を持つので、ジャケットより1段だけ慎重に見るくらいでちょうどよくなります。
パンツ・スカートで見る場所|膝・後ろ・ウエスト
ボトムスの型崩れは、座る・しゃがむの回数で進みます。
| 見る場所 | 確かめ方 | 崩れやすいサイン |
|---|---|---|
| 膝 | 試着室でしゃがんで10秒、立って見る | 膝の位置に丸い出っぱりが残る |
| 後ろ | 試着室の椅子に座って立ち、鏡で後ろを見る | 座った形のしわが消えない |
| ウエスト | 両手で前を軽く引いて離す | 縫い目のまわりが波打つ |
| スカートの裾 | 裾を持ち上げて離す | 裾の線が戻るまで揺れ続ける |
**しゃがんで10秒は、売り場でできるいちばん分かりやすい確かめです。**立ち上がって膝の出っぱりがすぐ消える1枚は、座る時間の長い通勤や在宅の日にも形が残ります。消えない1枚は、1日の終わりに膝が出ている1枚です。
素材の表示で見る|どの崩れが起きやすいか
表示に書かれた素材は、どの形の崩れが起きやすいかの手がかりになります。ただし、同じ素材でも糸の太さや編み方で大きく変わるので、手で確かめる前の当たりとして使ってください。
| 素材 | 起きやすい崩れ | 起きにくい崩れ |
|---|---|---|
| 毛 | 濡れた状態で引いたときの伸び | 着用中の伸び。湿気で戻りやすい |
| 綿 | 伸びたまま乾いたときの伸び、ねじれ | つぶれ |
| 麻 | しわ、つぶれ | 伸び |
| レーヨン | 吊るしたときの落ち、洗ったあとの縮み | ねじれ |
| ポリエステル | 熱で付いた折りじわ | 伸び、落ち |
| アクリル | 引かれた場所の伸び | 縮み |
| ナイロン | 熱による変形 | 伸び |
| 伸び縮みする糸が数%入ったもの | 数年たってからの戻る力の低下 | 買ってしばらくの膝・肘の出 |
いちばん読み違えやすいのはレーヨンです。**とろりとした落ち感が魅力の素材は、そのまま「吊るすと下へ落ちる」性質でもあります。**丈の長いワンピースやスカートは、ハンガーに掛けておくだけで数cm伸びることがあります。
混ざっている素材が2つ以上あるときは、割合の大きいほうの性質が強く出ます。ただし、少しの割合でも性質がはっきり出る素材があります。伸び縮みする糸は数%で膝や肘の戻りを変えますし、レーヨンは半分ほど入っていれば、掛けたときの落ちが出てきます。表示は上から順に読み、割合の大きい2つだけを覚えておくと、売り場で迷いにくくなります。
重さで見る|肩を持って、片手で持てるか
ハンガーに掛けたまま、服の両肩を持って持ち上げてみてください。重さは、落ちるの崩れを読む手がかりです。
| 持ち上げたときの感じ | 掛けて保管すると | 合う置き方 |
|---|---|---|
| 片手で軽い | 落ちにくい | 掛けても畳んでもよい |
| 片手でずしりと来る | 肩が下へ伸びることがある | 厚手のハンガーで掛けるか、畳む |
| 両手で持ちたくなる | 肩と身頃が下へ落ちる | 畳んで置く |
| 下の裾だけが重い | 裾へ向かって伸びる | 畳むか、裾を折り返して掛ける |
重い1枚は、どれだけ戻る力の強い生地でも、ハンガーの上で毎日重さを受け続けます。買う前に「この1枚は掛けるか、畳むか」を決めておくと、クローゼットの空きも先に見えます。掛けるか畳むかの決め方はクローゼット収納|掛けるか畳むかは、服が自分で形を保てるかで決まるにあります。
サイズで見る|ぴったりは伸び、大きすぎは落ちる
同じ1枚でも、サイズの選び方で崩れ方が変わります。
| 着たときの状態 | 起きやすい崩れ | 出る場所 |
|---|---|---|
| 腕を前に出すと背中が突っ張る | 伸びる | 背中・肘・ボタンの間 |
| 座ると前のボタンの間が開く | 伸びる | 前立て・ボタン穴 |
| 肩の縫い目が肩先から2cm以上内側 | 伸びる | 肩・袖の付け根 |
| 肩の縫い目が肩先から5cm以上外側 | 落ちる | 肩・袖 |
| 身幅に手のひら2枚以上の余り | 落ちる・ねじれる | 身頃・裾 |
**ぴったりすぎる1枚は、動くたびに同じ場所が引かれて伸びます。**大きすぎる1枚は、引かれることは少なくても、余った生地が重さで下へ落ち、ねじれも出やすくなります。腕を前に出す、座る、しゃがむ。この3つを試着室でしたときに、どこも突っ張らず、どこも大きく余らないサイズが、形の持つサイズです。
どちらとも取れるとき①|戻りが3〜5秒だった
引いて戻るまでが3〜5秒。崩れやすいとも、崩れにくいとも言い切れない帯です。
ここでは、その1枚をどの季節の、どの時間に着るかで決めてください。
| 着る場面 | 判断 |
|---|---|
| 上に羽織りを重ね、袖口がほとんど引かれない | 買ってよい |
| 1枚で着て、手を洗う・袖をまくる回数が多い | 袖口が先に広がる前提で決める |
| 家で洗う予定 | 洗う回数が多いほど広がるので、慎重に |
| 専門店に預ける予定 | 広がりは緩やか |
秋冬の厚手ニットは、上にコートを重ねる時間が長いので、袖口が引かれる時間は意外に短くなります。反対に、10月のうちに1枚で着るカットソーは、手を洗うたびに袖を上げ下げします。同じ秒数でも、引かれる回数で結果が変わります。
どちらとも取れるとき②|光が点で抜けるけれど、戻りは速い
透かすと粗い点で光が抜けるのに、引くとすぐ戻る。目は粗いのに、糸そのものに戻る力がある1枚です。
この場合は、肘と膝のように、長い時間曲げる場所があるかどうかで決めます。
| その1枚の形 | 判断 |
|---|---|
| 袖の無いベスト、短い丈の羽織り | 曲げる場所が少ないので、買ってよい |
| 長袖のニット | 肘が出るかを、試着室で腕を曲げて10秒置いて確かめる |
| ニットのパンツやスカート | 座って10秒、立って膝と後ろを見る |
戻る力のある糸は、短い時間引かれても戻ります。けれど、肘を曲げて机に向かう1時間のように、長く同じ形で引かれると、戻る前に次の動きが来ます。目が粗い1枚は、曲げる時間が長い場所にだけ注意すれば足ります。
どちらとも取れるとき③|気に入った1枚が、1か所だけ引っかかった
形も色も気に入っている。けれど、引く・透かす・ねじれを見るのうち、1か所だけ崩れやすい側に出た。いちばん迷うのはこの場面です。
ここでは、引っかかった場所が直せる場所か、直せない場所かで決めてください。
| 引っかかった場所 | 直せるか | 判断 |
|---|---|---|
| 袖口・裾のリブ | 直せる。手で寄せて形を戻しやすい | 買ってよい |
| 襟ぐりのリブ | 一部直せる。広がりきると戻りにくい | 脱ぎ着の仕方を変えられるなら買う |
| 肩・袖の付け根 | 直しにくい | 畳んで仕舞う手間を引き受けられるなら買う |
| 身頃全体の落ち | 直しにくい | 見送るか、短い丈で同じ形を探す |
| カットソーの脇のねじれ | 直せない | 見送る |
脇のねじれは、生地そのものの性質から来ているので、着方や洗い方では止めにくい崩れです。**逆に袖口のリブは、多くの場合、手で寄せたり、洗ったあとに形を整えたりして戻せます。**どこが引っかかったかを1か所に絞ると、気に入った1枚を諦めずに済む場合が多くあります。
着ている間に崩す癖|替えるのは1つずつ
買うときに見分けても、着ている間の癖で崩れることがあります。よくある癖と、崩れる場所を並べます。
| 癖 | 崩れる場所 | 替え方 |
|---|---|---|
| 袖を肘までまくる | 袖口のリブ | まくらずに、手首から2〜3回折り返す |
| 袖口を手のひらまで引き下ろす | 袖口・袖の付け根 | 手首で止まる長さを選ぶ |
| 肩にバッグを掛ける | 肩・身頃の片側 | 掛ける肩を日によって替える |
| 頭を通すとき襟を両手で引く | 襟ぐり | 先に片腕を抜いてから、襟を広げずに頭を抜く |
| ポケットに鍵や携帯を入れる | ポケット口・前身頃 | 重い物はバッグへ |
| 長時間ひざを曲げて座る | 膝・後ろ | 1時間に一度、立って伸ばす |
| 脱いだ服を椅子の背に掛ける | 肩・背中 | 戻ったらすぐ掛けるか畳む |
全部を一度に替える必要はありません。**崩れている場所から逆にたどって、その場所を引いている癖を1つだけ替えてください。**袖口が広がっているなら、まくり方を変えるだけで、次の1枚は長く持ちます。
脱いだあと一晩の置き方|重さで分ける
脱いだ直後の服は、体温と湿気を含んでいて、形が動きやすい状態です。一晩の置き方で、崩れ方が変わります。
| 服の種類 | 一晩の置き方 | 避けたい置き方 |
|---|---|---|
| 軽いカットソー・シャツ | 厚みのあるハンガーに掛ける | 細い針金のハンガー |
| 重いニット | 平らな場所に広げて置く | ハンガーに掛ける |
| ジャケット・コート | 肩に厚みのあるハンガーに掛け、前を留める | 椅子の背に掛ける |
| パンツ | 裾をそろえて吊るすか、折り目で畳む | 床や椅子の上に丸めて置く |
| スカート | ウエストを挟んで吊るす | 丈の長いものを二つ折りで掛ける |
一晩だけ置いてから仕舞うのは、湿気を抜くためです。すぐに引き出しやクローゼットの奥に入れると、湿気を含んだまま押されて、つぶれや折りじわの原因になります。冬物を掛け替えるときの目安はクローゼットハンガー|衣替えの日に、冬物の重さと肩幅で掛け替えるを見てください。
洗う前に分ける|崩れやすい1枚から先に決める
型崩れのいちばん大きなきっかけは、洗うことです。買う前に、その1枚を家で洗うか、預けるかを決めておくと、崩れやすい1枚を選んでしまったときにも手が打てます。
| 買う前の見分けの結果 | 洗い方の向き |
|---|---|
| 引く・透かす・ねじれのどれも崩れにくい側 | 表示どおりに家で洗ってよい |
| 引くだけ崩れやすい側 | 洗うときは裏返してネットに入れ、干す前に袖口を手で寄せる |
| 透かすで崩れやすい側 | 平らに広げて干す |
| ねじれで崩れやすい側 | 干す前に脇の縫い目をまっすぐに整える |
| 重さで崩れやすい側 | 吊るさず、平らに干す |
洗ったあと、干す前の30秒で形を整えるかどうかで、崩れの進み方がかなり変わります。脇の縫い目をまっすぐ引き直す、袖口を手で寄せる、肩の形を手のひらで整える。濡れている間は形が動きやすいので、その時間を使います。
預けるか家で洗うかで迷う1枚は、最初の1回だけ預けて、戻ってきたときの袖口と脇の縫い目を、買ったときの数字と比べる方法もあります。そこで変わっていなければ、次から家で洗う候補に移せます。変わっていたら、その1枚は預ける側に置いたままにしてください。
秋冬の1枚を買う日の、試着室での順番
秋冬の服は、厚手で重く、長く着る前提のものが多くなります。試着室での順番を決めておくと、確かめ忘れが減ります。
- 着る前に、ハンガーに掛けたまま脇の縫い目を見上げる
- 肩を持って持ち上げ、重さを確かめる
- 生地1枚を照明に向けて、光の抜け方を見る
- 着てから、袖口と裾のリブを2cm引いて、戻る秒数を数える
- 腕を前に出す、座る、しゃがむの3つをして、突っ張る場所が無いか見る
- 起毛や毛足のある生地なら、指の腹で3秒押して離し、跡が消えるかを見る
- 脱いでから、肩の縫い目の内側に補強のテープがあるかを裏返して見る
ここまでで3分ほどです。着る前の3つは、着てしまうと見えにくくなるので、先に済ませてください。試着室で、似合うかどうかを確かめる手順は試着室で、顔に目が行くか服に目が行くかにまとめてあります。型崩れの確かめは、その前後に足すだけで済みます。
手持ちの服で、いま確かめる
売り場に行く前に、手持ちの服で同じことをしておくと、自分の基準ができます。
| 手持ちの服 | 確かめること | 覚えておく数字 |
|---|---|---|
| 何年も形が変わらない1枚 | 袖口のリブを2cm引いて離す | 戻るまでの秒数 |
| すぐ袖口が広がった1枚 | 同じように引いて離す | 戻るまでの秒数 |
| 洗ったら裾が回った1枚 | 脇の縫い目が裾で何cm流れているか | 流れたcm |
| 肩が出てしまった1枚 | 持ち上げたときの重さ | 片手で持てたか |
長持ちしている1枚と、すぐ崩れた1枚。この2つの数字の間に、**あなたの暮らしでの境目があります。**売り場では、その境目より長持ち側に出た1枚を選んでください。
数字は、メモに残しておくと次の買い物でも使えます。袖口の秒数、脇の縫い目の流れ、持ち上げたときの重さ。3つ並べておくだけで、売り場で手に取った1枚が、手持ちのどの1枚に近いかが分かります。
長持ちさせるために、買う前に決めておくこと
型崩れを防ぐのは、買ったあとの手入れだけではありません。買う前に3つ決めておくと、崩れにくい1枚を選びやすくなります。
| 決めておくこと | 決め方 |
|---|---|
| 掛けるか畳むか | 重さで決める。片手でずしりと来たら畳む |
| 家で洗うか預けるか | 引く・透かす・ねじれで崩れやすい側が2つ以上なら預ける |
| 1枚で着るか重ねるか | 1枚で着るなら袖口と襟ぐりを重く見る |
この3つが決まっていると、売り場で気に入った1枚に出会ったときに、**「この服は、自分の暮らしでどこから崩れるか」**がすぐに分かります。分かったうえで買う1枚は、崩れ始めたときの手当ても早くなります。
まとめ
- 型崩れは、伸びる・ねじれる・落ちる・つぶれるの4つ
- 試着室で、引く・透かす・ねじれを見るの3つを足す
- リブを2cm引いて、2秒以内に戻れば崩れにくい側
- 光が粗い点で抜け、指の形が見える生地は伸びやすい
- 脇の縫い目が裾で3cm以上流れていたら、ねじれが進みやすい
- 起毛や毛足のある生地は、指で押して跡が消えるかを見る
- 迷ったら、引っかかった場所が直せるかどうかで決める
- 着ている間の癖は、崩れた場所から逆にたどって1つずつ替える
次に袖を通す服で、袖口を2cm引いてみてください。戻るまでの秒数が、あなたの手元にある服の、型崩れのしにくさを教えてくれます。
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よくある問い
- Q. 型崩れしにくい服は、買う前に分かりますか
- 全部ではありませんが、多くは分かります。試着室で3つの手の動きを足してください。袖口や裾のリブを2cmほど引いて離し、戻るまでの秒数を数える。生地を1枚だけ試着室の照明に向けて、向こうの光がどれだけ抜けるかを見る。カットソーなら、裾の脇の縫い目がまっすぐ下りているか、前か後ろへ流れているかを見る。この3つで、伸びる・ねじれる・落ちるのどれが起きやすい1枚かがおおよそ見えます。値札やタグを見るより先に、手で確かめる順番にしてください。
- Q. リブを引いて戻る秒数は、何秒なら大丈夫ですか
- 2秒以内に元の幅まで戻れば、着るたびに広がっていく心配は小さい側です。3〜5秒かかる1枚は、着ている間は保っても、洗って干すと少しずつ広がります。5秒たっても元の幅に戻りきらない1枚は、袖をまくる癖や、手首まで引き下ろす癖があると、数回で袖口が開きます。秒数は目安で、同じ1枚でも引く強さで変わるので、比べるときは2cmという幅をそろえてください。
- Q. 気に入ったニットが、引いても戻りが遅かったら買わないほうがいいですか
- 戻りが遅いのがどこかで決めてください。袖口と裾のリブだけが遅いなら、そこは着方と洗い方で保てる場所で、伸びても手で戻しやすい部分です。気に入っているなら買って構いません。一方で、肩の縫い目のまわりや身頃そのものが引いて戻らない1枚は、ハンガーに掛けるだけで下へ落ちていくので、毎回畳む手間を引き受けられるかどうかで決めます。直せる場所か、直せない場所か。この線を先に引いておくと、迷う時間が短くなります。
- Q. 化学繊維のほうが型崩れしにくいのですか
- 形が戻るかどうかは、繊維の名前だけでは決まりません。ポリエステルは形を保ちやすい一方、毛玉が残りやすく、熱で折りじわが付くと取れにくい性質があります。毛は伸ばしても湿気を含むと戻りやすい反面、濡れた状態で引っぱると戻らなくなります。綿は伸びたまま乾くと戻りにくく、レーヨンは吊るすと縦に落ちやすい。素材の表示は、どの形の崩れが起きやすいかの手がかりとして読み、最後は手で引いて確かめてください。
- Q. 伸び縮みする糸が入っている服は、長持ちしますか
- 入っていると、買ってからしばらくは膝や肘が出にくくなります。ただ、伸び縮みする糸は、熱や汗、時間の経過で少しずつ弱くなる性質があり、数年たつと戻る力が落ちます。表示に数%入っている1枚は、新しいうちの形の保ちやすさと、数年後の戻りにくさを両方持っていると考えてください。長く同じ1枚を着たいなら、入っていない厚手の生地で、もともと形が保てるものを選ぶほうが、年数では有利になることがあります。
— メグラシ編集部





