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伸びたニットは、伸びた場所が1か所か全体かで手が変わる|袖口と裾は戻せて、身頃は戻らない

メグラシ編集部//読了 11分
ニットの袖口に指を差し入れて、手首との隙間が何本ぶんあるかを確かめている手元

伸びたニットは、伸びた場所によって打つ手がまったく違います。 袖口と裾は戻せる場所で、身頃と肩は戻らない場所です。この2つを同じ手で扱おうとするから、何をしても変わらないという結果になります。

見るのは、伸びた場所が1か所か、全体か

「ニットが伸びた」という言い方には、少なくとも4つの別々のことが混ざっています。

袖口が広がった。裾が波打つ。首まわりがゆるんだ。身頃全体が大きくなった。この4つは、原因も直し方も別々です。

分ける軸はひとつです。編み目が閉じたり開いたりする場所か、そうでない場所か。 ゴム編みは閉じる方向に動く余地があり、平らな編み地はほとんど動きません。

測る|指を差し入れて、何本ぶん余っているか

道具は指1本で足ります。着た状態で、次の3か所に指を差し入れてください。

測る場所余りの見方判定
袖口手首との隙間に指が何本入るか2本以上なら広がっている
裾腰に当てた状態で、前へ何cm引けるか5cm以上引けるなら開いている
首まわり鎖骨の上に指を平らに置いて何本ぶん見えるか3本以上見えるならゆるんでいる
身頃脇の下で布をつまんで何cm持ち上がるか5cm以上なら大きくなっている

1か所だけなら部分の作業、3か所以上なら全体の話として扱ってください。この分け方で、その日にやることが決まります。

袖口と裾|戻る場所は、部分だけ濡らす

ゴム編みは、糸が伸びたのではなく編み目が横に開いている状態です。ここは水を含ませて縮める方向に置き直せば、動く余地があります。

手順は3つです。

  1. その部分だけを、ぬるい水に沈める。 身頃は濡らしません
  2. 押して水を出し、タオルで挟む。 ねじりません
  3. 平らな場所で、横幅を縮める方向に寄せて置いて乾かす

寄せる量は、指の余りの本数で決めます。 指が3本入っていたなら1本ぶん詰める、というくらいの幅で十分です。一度で元に戻そうとすると、乾いたあとに波が出ます。

首まわり|広がる向きが2つある

首まわりは、前へ落ちる場合と横へ広がる場合があります。触った感じは同じですが、直し方が逆です。

前へ落ちているなら、後ろ側の編み目が伸びています。後ろだけを濡らして、上へ送りながら乾かします。

横へ広がっているなら、肩に近い側が開いています。肩の縫い目を内側に寄せた状態で置いて乾かします。

どちらか分からない日は、鏡の前で肩を1回だけすくめてください。 そのとき布が動いた側が、伸びている側です。

身頃|寸法を追わず、着方を変える

身頃は編み目が広い面で開いているので、部分的に寄せても戻りにくい場所です。ここに時間をかけると、たいてい報われません。

代わりに、着方のほうを変えます。手は3つです。

  • 上に前を開けた一枚を重ねる。 身幅の余りは、縦の線の内側に入って読まれなくなります
  • 細い線で1か所だけ絞る。 位置は腰骨より上。下すぎると、絞った下に横のたるみが出ます
  • 裾を折り上げて、丈を短くする。 丈が短くなると、余った身幅が布の量として読まれにくくなります

肩|落ちた肩線は、戻す場所ではない

肩の縫い目が肩先より外に落ちているのは、伸びではなく重さで形が下がった状態です。濡らして置き直すと一時的に戻りますが、着るとまた下がります。

これは元の作りより1段大きいものとして扱うのが現実的です。肩が落ちる形として着るなら、袖の余りを1回だけ折り返して、手首の位置をそろえてください。肩と手首の両方が緩んでいると、腕全体の線が読めなくなります。

伸びる原因は、洗い方より干し方にある

戻したあと、また同じことが起きるかどうかは、乾かすときの姿勢で決まります。

濡れたまま吊るすと、水を含んだ重さが下へかかり続けます。編み地は伸び縮みする作りなので、その方向へ形が動きます。

  • 脱水を短くする。含む水が減れば、かかる重さも減ります
  • 平らな場所に置いて乾かす。掛けるのは乾いてから
  • 掛けて保管しない。肩の1点に重さが集まり続けます

戻す作業を繰り返すより、かかる力を減らすほうが長く保ちます。

伸びた一枚を、そのまま生かす3つの形

戻す作業が終わったあと、あるいは戻らないと判断したあとに、その一枚をどう着るか。寸法が変わった一枚には、変わったなりの働き方があります。

  • 中間の一枚として使う。 身幅に余裕があるぶん、下に薄い長袖を重ねても引きません。10月から11月にかけて、外の一枚と肌のあいだに入る層として働きます
  • 前を開けて羽織る。 袖口が広がっているものは、腕を通したときに手首で止まらないので、羽織りとして着るとその緩さが役に立ちます
  • 室内で足す一枚として置いておく。 職場や家で寒くなったときに、肩から掛けるだけの使い方なら、伸びた寸法はまったく問題になりません

捨てるかどうかを決める前に、この3つのどれかに当てはまるかを見てください。 寸法が合わなくなった一枚は、着る場所を変えるとまだ長く使えます。

どちらとも取れるとき|左右で袖口の広がりが違う

利き手側だけ広がっていることがあります。腕まくりの回数が片方に偏っているためです。

このときは、広いほうを狭いほうに合わせてください。 両方を元の寸法に戻そうとすると、狭いほうが締まりすぎます。目標は左右がそろうことで、新品の寸法ではありません。

どちらとも取れるとき|戻したのに、着ると元に戻る

乾いた直後は戻っていたのに、着ると広がる。これは戻る幅の上限に達している合図です。

この場合は、戻す作業を繰り返さないでください。 濡らして乾かすたびに編み目は少しずつ疲れます。着方を変える側へ切り替えるほうが、その一枚を長く着られます。

保管の姿勢を変えると、次に伸びる量が減る

戻したあとに同じ形を保てるかどうかは、着ていない時間のほうで決まります。 1日のうち着ている時間より、しまわれている時間のほうが長いからです。

見るのは3つです。

  • 掛けているか、畳んでいるか。 掛けて保管すると、肩の1点に一枚ぶんの重さが集まり続けます。編み地は畳んで置くほうが形を保ちます
  • 積み重ねている高さ。 畳んで置く場合でも、上に何枚も重ねると、いちばん下の一枚は面として押されます。厚手のものは3枚までを目安にしてください
  • 袖の折り方。 袖を身頃の上に重ねて畳むと、折り目の位置に線が残ります。袖は左右にたたんでから、身頃と一緒に半分に折ると線が1本で済みます

季節の終わりに畳み直すだけでも変わります。 半年のあいだ、同じ場所に同じ折り目がかかり続けるのを避けられるからです。

失敗からの戻し方|やりすぎた日に、1つだけ戻す

寄せすぎた、詰めすぎたと気づいたときの手は1つで足ります。

起きていること1つだけやることなぜ効くか
袖口が締まりすぎて手が通らないもう一度濡らし、手を入れたまま乾かす手の太さがそのまま型になる
裾が波打った濡らして、寄せずに平らに置く寄せた力を一度抜けば波は消える
首まわりだけ詰まって見える前側を濡らし、下へ1cm送って乾かす詰まりは前後の差で起きている
左右の袖口の幅が違う広いほうを、狭いほうに合わせて寄せるそろっていれば元の寸法でなくてよい
身頃を絞ったら横のたるみが出た絞る位置を腰骨より上へ動かすたるみは絞った線の下に集まる

やり直すときは、乾いた状態で引っぱらないでください。 動かせるのは濡れているあいだだけです。

店の受付・家族に言う3点

自分の手では決まらないと判断した日に、伝える内容は3つです。

  1. 「伸びているのは袖口だけです」「全体です」。場所が1か所か全体かで、できる作業がまったく違います。ここを最初に言うと話が早く終わります
  2. 「戻したいのは寸法ではなく、着られる形です」。目標を新品の寸法に置くと、断られるか、費用が上がります
  3. 「戻らない場合は、そのままで受け取ります」。先に言っておくと、無理な作業をされずに済みます

家族に頼むときは、「濡らすのは袖口だけ。身頃には水をつけないで」 と1文で伝えてください。濡らす範囲さえ決まっていれば、大きく崩れることはありません。

まとめ|場所を決めてから、手を選ぶ

  1. 「伸びた」には4つの別々のことが混ざっている。袖口・裾・首まわり・身頃
  2. 分けるのは指1本。差し入れて何本ぶん余っているかを数える
  3. ゴム編み(袖口・裾)は部分だけ濡らして寄せる。戻る余地がある場所
  4. 身頃と肩は寸法を追わず、重ねる一枚と丈で見え方を作り直す
  5. また伸びるかどうかは、洗い方ではなく乾かすときの姿勢で決まる

その一枚のどこが伸びているのかを、先に1か所に決めてください。 場所が決まれば、やることは自動的に1つに絞られます。

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— メグラシ編集部

よくある問い

Q. セーターの裾だけが波打つように伸びました
裾のゴム編みは、糸そのものが伸びたのではなく、編み目が横に開いている状態です。この場所は戻る余地があります。裾だけをぬるい水で濡らし、押して水を出したあと、平らな場所で横幅を縮める方向に寄せて置いて乾かしてください。全体を濡らす必要はありません。ゴム編みの高さのぶんだけ濡らせば足ります。乾くまでのあいだ、上に重いものを乗せないでください。
Q. 袖口が広がって手首から落ちてきます
袖口も裾と同じゴム編みなので、同じ手順で戻る余地があります。判定は指1本です。手首に袖口を通した状態で、隙間に指が何本入るかを数えてください。2本以上入るなら広がっています。戻す作業のあいだ、袖口だけを水に沈め、身頃は濡らさないようにしてください。一緒に濡らすと、乾く速さが違って境目に線が出ます。
Q. 身頃全体が大きくなってしまいました
身頃は編み目が広い面で開いているので、部分的に寄せても戻りにくい場所です。ここは寸法を追いかけるより、着方を変えるほうが早く決まります。上に前を開けた羽織りを重ねると、身幅の余りは縦の線に隠れます。ベルトのような細い線で1か所だけ絞る方法もありますが、絞った上下に横のたるみが出るので、絞る位置は腰骨より上にしてください。
Q. 洗い方が悪くて伸びたのですか
伸びる原因でいちばん多いのは、洗い方ではなく干し方です。濡れたまま吊るすと、水を含んだ重さが下へかかり続けます。編み地は伸び縮みする作りなので、その重さの方向へ形が動きます。次からは、脱水を短くして、平らな場所に置いて乾かしてください。ハンガーに掛けるなら、乾いてからにします。
Q. 一度伸びたニットは、また伸びますか
伸びた場所は、同じ力がかかればまた同じ方向へ動きます。戻したあとに保ちたいなら、力のかかり方を変えてください。掛けて保管していたものは、畳んで置く保管に変える。袖口が広がったものは、腕まくりの回数を減らす。かかっている力そのものを減らすほうが、戻す作業を繰り返すより長く保ちます。

— メグラシ編集部

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