縮んだニットを元に戻す|戻るかは10cm引いて残るcmで決まる

縮んだニットが元に戻るかどうかは、見た目では分かりません。 分かれ目はひとつだけです。裾を10cm引いて手を離したとき、何cm残っているか。ここで3段に分かれ、その日にできる作業がそのまま決まります。
3cm以上残るなら戻せる段。1〜3cmなら半分まで戻して止める段。1cm未満なら、寸法ではなく使い道を変える段です。
秋の衣替えで出した一枚が小さくなっていた、冬に初めて洗ったら丈が縮んだ。どちらも最初にやることは同じで、引いて離して、残りを測ることです。
結論|縮んだニットは「残りcm」で3段に分ける
先に答えを置きます。
- 3cm以上残る──ぬるい水で濡らし、平らに置いて裾と袖口を引いて乾かす
- 1〜3cm残る──同じ手順で、光が抜け始めたら止める。着られる寸法で終わる
- 1cm未満──戻す作業はしない。合わせる相手を変える
この3段は、元の寸法を控えていなくても使えます。見ているのは元との差ではなく、いま繊維が動くかどうかだからです。
縮んだと気づいた直後は、すぐに引っ張って戻したくなります。けれど乾いた状態のまま強く引くと、繊維が切れて、戻せたはずの段の一枚が戻らない段へ進んでしまいます。最初にやるのは、引いて戻すことではなく、軽く10cm引いて離し、残りを見ることだけです。この判定には力がいらないので、乾いた状態で行っても繊維は傷みません。
判定のあとは、段ごとに決まった作業だけをします。3cm以上なら戻す作業へ、1〜3cmなら上限を見ながら半分まで、1cm未満なら作業をせずに着方を考える。最初の判定を飛ばして作業に入ると、どこで止めればいいかが分からなくなり、引きすぎの失敗が起きやすくなります。
見るのは、引いて離したあとに残るcm
「縮んだ」という言葉は、実際には別々のことを指しています。糸が縮こまった形で固まっただけの場合と、糸同士が絡み合って動かなくなった場合では、できることがまったく違います。
この2つは、触っても目で見ても区別がつきません。 だから寸法で分けます。
裾の同じ高さを両手でつまみ、左右に10cm引いてから、手を離す。離した直後ではなく、3秒待ってから測ってください。
測る|10cm引いて、3秒待ってから見る
引く場所は裾の下端から5cmほど上の、編み目がまっすぐ並んでいるところです。ゴム編みの部分は元から伸び縮みするので、判定には使いません。
| 残ったcm | 何が起きているか | その日にできること |
|---|---|---|
| 3cm以上 | 糸は動く。形が寄っているだけ | 戻せる段。広げて乾かす |
| 1〜3cm | 一部が絡み始めている | 半分まで。途中で止める |
| 1cm未満 | 糸同士が絡んで固まっている | 戻らない段。使い道を変える |
乾いた状態でも濡れた状態でも測れますが、同じ一枚を比べるときは同じ状態で測ってください。濡れていると1cmほど多く残ります。
なぜニットは縮むのか|水・熱・動きの3つ
ニットの縮みは、水と熱と動きの3つがそろったときに進みます。
- 水──繊維がふくらみ、表面がめくれて引っかかりやすくなる
- 熱──繊維が締まる方向に働く。お湯や乾燥機、暖房の吹き出し口の正面
- 動き──ふくらんだ繊維同士がこすれ合い、引っかかったまま絡む
家で洗うときにこの3つがそろいやすいのは、洗濯機の中です。水があり、季節によっては水温が高く、回転でこすれ合う動きが加わります。手洗いでも、強くもんだり、熱めのお湯を使ったりすると、同じ条件がそろいます。乾燥機は熱と動きが同時に加わるので、一度で段が大きく進むことがあります。
3つのうち1つでも欠けていれば、縮みはほとんど進みません。戻す作業で「ぬるい水」「もまない」「平らに置く」と決めているのは、熱と動きを外したまま、水の力だけを使うためです。
秋冬に縮みが見つかる3つの場面
縮みに気づくのは、たいてい次の3つの場面です。
- 衣替えで出したとき──しまう前の最後の洗いで縮んでいて、たたんでいたので気づかなかった
- シーズン最初の洗濯のあと──夏物と同じ設定のまま洗って、回る時間と脱水が長かった
- 暖房の近くで乾かしたあと──熱が当たった側だけが先に縮み、左右で丈が違う
どの場面でも、最初の判定は同じです。ただし3つめは、熱が当たった側と当たらなかった側で段が違うことがあるので、左右それぞれで10cm引いて測ってください。
衣替えの一枚は、測る前に一晩広げる
しまっていた一枚は、たたみじわで縮んで見えることがあります。たたんだ折り目のところで編み目が寄っていて、実際の縮みより小さく見えているだけの場合です。
測る前に、平らな場所に一晩広げて置いてください。ハンガーに掛けると肩が伸びるので、平らに置きます。
広げるときは、肩の縫い目と脇の線をまっすぐにそろえ、裾と袖口を軽く整えるだけにしてください。この段階で引いてしまうと、たたみじわで寄っていた分なのか、本当に縮んでいた分なのかが分からなくなります。一晩置くあいだに、たたみじわで寄っていた編み目は自然にほどけて、元の間隔に近づきます。置く場所は、暖房の風が直接当たらない、日の当たらない平らな面を選んでください。
翌朝に裾を10cm引いて測り、それでも3cm未満しか残らないなら、本当に縮んでいます。3cm以上残って、着丈も元に近いなら、戻す作業はいりません。
戻す前に、3か所の寸法を控える
作業に入る前に、いまの寸法を3か所だけ測って控えてください。戻ったかどうかを、あとで数字で確かめるためです。
- 着丈──後ろ襟の付け根から裾まで
- 身幅──脇の下から5cm下の高さで、左右の端から端まで
- 袖丈──肩の縫い目から袖口まで
元の寸法が分かるなら一緒に書き出します。分からない場合は、よく着ている似た形の一枚を測って目標にしてください。目標の出し方は、縮んだセーターの戻し方|戻す目標は、よく着る1枚の実寸から出すで詳しく扱っています。
3cm以上残る段|広げて乾かすだけで形が動く
この段は、糸そのものは元の長さを保っています。濡れたときに縮こまった形のまま乾いただけなので、もう一度濡らして広げれば形が戻る余地があります。
作業を始める前に、置く場所を先に用意してください。濡れたニットを持ったまま場所を探すと、そのあいだに重みで丈だけが伸び、身幅は縮んだまま残ります。ニット全体が広げて置ける大きさの平らな面に、乾いたタオルを1枚敷いておきます。袖まで広げられる幅があると、袖を折り曲げずに済みます。
水の量は、ニットが全体に沈むだけあれば足ります。洗面台やたらいで十分です。浴槽のように広い場所を使うと、ニットが水の中で動き回り、こすれて縮みが進む方向に働くことがあります。狭めの器に沈めて、上から手のひらで軽く押して空気を抜くと、動かさずに全体を濡らせます。
手順は3つです。
- ぬるい水に沈める。 手を入れて冷たくも熱くも感じない温度にします。もんだり絞ったりはしません
- 押して水を出し、タオルで挟む。 ねじると新しい歪みが入ります
- 平らな場所に置き、裾と袖口を引きながら形を決める
引くのは裾と袖口の2か所だけです。身頃の真ん中を引かないでください。 中心を引くと、力が編み目の細かいところに逃げて、そこだけ伸びます。
沈める時間と、引く量の目安
沈める時間は、繊維の芯まで水が届くまでで足ります。目安は、ニットを押したときに空気の泡が出なくなるまで。たいていは数分です。長くつけても戻る量は増えません。
引く量は、1回の作業で控えた寸法の1割までにしてください。着丈が50cmなら5cm、身幅が45cmなら4.5cmが上限です。それ以上を一度に引くと、編み目が開き始めます。
足りないときは、乾かしてから2回目をやります。1回で全部を戻そうとしないことが、失敗を減らすいちばんの方法です。
1〜3cmの段|半分で止める
ここがいちばん判断のいる段です。戻そうとすればある程度は動きますが、動く途中で編み目が開き始めます。
この段では、作業の前に「どこまで戻れば着られるか」を先に決めておくと、引きすぎを防げます。いまの着丈と、着て出かけられる最低の着丈を比べ、その差だけを目標にします。たとえば元が58cmで、いま53cm、54cmあれば着られるなら、戻す目標は1cmです。元の58cmを目標にすると、5cmを引こうとして、途中で編み目が開きます。目標が小さければ、作業も短く済み、段が進む心配も減ります。
止める合図は、光にかざしたときの見え方です。作業の途中で1回、明るい方へ持ち上げて向こう側が見えるかを確かめてください。引く前より光が抜けるようになったら、そこが上限です。
戻す量は、元の寸法まで届かなくて構いません。着られる寸法まで届けば、そこで作業は終わりです。目安は、袖を通して肩の縫い目が肩先に乗るところまで。ここに届けば、外に着ていけます。
1cm未満の段|寸法ではなく使い道を変える
繊維が絡み合って、面としてひとつになっている状態です。引く力は編み目を開くほうにだけ働きます。
この段まで進んだ一枚は、丈と身幅が短くなった別の一枚として扱ってください。短くなった着丈は、上に羽織る一枚の下に入れると外から見えません。短くなった袖は、下に長袖を入れて手首まで面をつなぐと季節がそろいます。
捨てるかどうかの判断は、寸法ではなく合わせられる相手がいるかで決めてください。
縮んだ場所で、引く向きが変わる
縮みは全体に均等には起きません。丈・身幅・袖のどこが縮んだかで、引く向きが変わります。
| 縮んだ場所 | 引く向き | 動かさない場所 |
|---|---|---|
| 着丈 | 裾を下へ | 肩の縫い目 |
| 身幅 | 脇を左右へ | 裾のゴム編み |
| 袖丈 | 袖口を腕の方向へ | 肩の縫い目 |
2か所以上が縮んでいるときは、1回の作業で1か所だけを扱います。同時に引くと、どちらの向きの力がどこに効いたか分からなくなります。場所ごとの扱いは、縮んだセーターを戻す|身幅・着丈・袖、縮んだ場所で引く向きを変えるにまとめています。
素材で、上限が入れ替わる
同じ手順でも、戻る幅は繊維で変わります。動物の毛を含むものほど絡みやすく、絡んだあとは戻りにくいという向きは共通です。
| 表示 | 縮みやすさ | 戻せる幅 |
|---|---|---|
| 綿・麻 | 縮むが絡まない | 広い。何度でも動く |
| 毛・獣毛の混紡 | 縮みやすい | 中くらい。1〜3cmの段で止まりやすい |
| 毛100% | いちばん縮みやすい | 狭い。段が一気に進む |
| 化学繊維 | ほとんど縮まない | 縮んだ場合は熱によるので戻りにくい |
混紡のものは、割合の大きいほうの性質が先に出ます。札に2種類以上書いてあるときは、数字の大きい繊維の行を見て手順を決めてください。
編み目の粗さでも、戻り方は変わる
同じ繊維でも、編み目の粗さで戻り方が変わります。
- 粗い編み目──縮んだときの面積の変化が大きいが、引くと動きやすい
- 細かい編み目──縮みの量は小さいが、絡むと目が詰まって動きにくい
- ゴム編み──元から伸び縮みする。裾と袖口のゴム編みは引かない
細かい編み目の一枚は、3cm以上残っていても、引くたびに光の抜け方を確かめてください。粗い編み目より早く上限に届きます。
柄の入った編み地や、縄のような凹凸のある編み地は、平らな部分と凹凸の部分で戻り方が違います。凹凸の部分は糸が重なっているので動きにくく、平らな部分だけが先に伸びます。この場合は、凹凸の柄の間隔が左右で同じになっているかを目安にしてください。引いたあとに柄の間隔が片側だけ広がっていたら、その側を引きすぎています。
乾かす場所で、戻した形が残るかどうかが決まる
広げて形を決めたあと、乾くまでのあいだに形はもう一度動きます。 ここを放っておくと、戻した寸法が縮む方向へ戻ります。
見るのは2つだけです。
- 置いた面が水を吸うか。吸わない面に置くと、下側だけ濡れたままになり、乾く速さが上下で変わって波打ちます。乾いたタオルを1枚敷き、途中で1回替えてください
- 風が当たっているか、熱が当たっているか。風はどこに当たっても構いませんが、熱は当たった場所だけを先に縮めます。暖房の吹き出し口の正面と、日が直接差す窓際は外します
乾くまでの時間は、長いほうが形は残ります。冬の室内なら丸1日かかることもありますが、急がないでください。
乾かしている途中で、一度だけ形を整え直すと仕上がりがそろいます。置いてから数時間たち、表面が半分ほど乾いたころに、裾と袖口の位置をもう一度確かめてください。乾き始めると、置いたときに引いた分が少し戻っていることがあります。そのときは裾と袖口を軽く引き直し、肩の縫い目の位置を左右でそろえて置き直します。このとき裏返すと、下側に残っていた水分も抜けやすくなります。
完全に乾く前に着たり、ハンガーに掛けたりしないでください。内側に水分が残っているあいだは、繊維がまだ動く状態です。重みがかかると、その方向に形が動きます。触って冷たさを感じなくなり、脇の下や袖の付け根のような厚いところまで乾いたのを確かめてから、たたむか掛けるかを決めます。冬は空気が乾いているぶん表面が早く乾きますが、内側は思ったより遅れて乾きます。
乾いたあとに、もう一度測る
乾いたら、控えておいた3か所をもう一度測ります。
- 目標まで届いている──作業は終わり
- 目標の半分以上まで戻った──もう1回だけやり直せる
- ほとんど動いていない──1cm未満の段に近い。使い道を変える
もう一度やるかどうかは、1回目で戻った量で決めてください。1回目で戻った量の半分しか、2回目では戻らないと考えておくと、やり直す価値があるかが分かります。やり直しは2回までが目安です。
どちらとも取れるとき①|袖だけ縮んだ
袖と身頃は編み方も糸の張力も違うので、片方だけ先に縮むことがあります。
このときは全体を戻そうとしないでください。袖口を持って腕の方向にだけ引き、肩の縫い目は動かしません。 身頃まで一緒に引くと、肩の位置が下がって別の崩れが出ます。
左右で長さが違う日は、長いほうに合わせず、短いほうを基準にして両袖をそろえます。長いほうを引くと、そちらだけ編み目が開きます。
どちらとも取れるとき②|丈は戻ったが身幅が戻らない
縦と横は別々に動きます。丈が戻ったのに身幅が戻らないのは、横方向の糸のほうが先に絡んだためです。
この場合、身幅を追いかけないでください。 丈が戻っている時点で縦方向の糸は動いているので、そこから横だけを引くと、縦が伸びて丈が余ります。
身幅が足りないまま着るなら、前を開けて羽織る形に切り替えるのがいちばん早い解決です。前開きでない一枚なら、上に羽織りを重ねて、脇の位置を羽織りで隠します。
どちらとも取れるとき③|首元だけ詰まった
首元の詰まった形のニットは、首まわりのゴム編みだけが縮んで、頭が通りにくくなることがあります。
首まわりのゴム編みは、引いて戻す場所にしません。ゴム編みは元から縮む方向に編まれているので、引いても戻りにくく、引きすぎると波打ちます。
頭が通るなら、そのまま着て構いません。通りにくい場合は、首まわりだけをぬるい水で濡らし、内側から指4本を入れて円を描くように広げ、そのまま平らに置いて乾かします。それでも通らないときは、首元の詰まった一枚ではなく、下に着る中間の一枚として使い道を変えてください。
どちらとも取れるとき④|濡らすのが怖い一枚
札に水を使わない指示が出ているものは、家では戻さないでください。判定だけして、店に持っていくかどうかを決めます。
判定は乾いた状態でもできます。裾を10cm引いて離し、残りcmを測る。3cm以上残るなら、店で相談する価値がある段です。 1cm未満なら、預けても寸法は戻りにくいので、持っていく前にそれを知っておくほうが無駄が減ります。
失敗からの戻し方|引きすぎた日に、1つだけ戻す
作業中に「やりすぎた」と気づいたときに、直す手は1つで足ります。
| 起きていること | 戻す手 | なぜ効くか |
|---|---|---|
| 編み目が開いて向こうが見える | もう一度濡らし、引かずに平らに置く | 濡れているあいだだけ糸は戻る方向にも動く |
| 裾だけ波打っている | 裾の5cm上を持って上へ軽く送る | 力が集中していた1本の列がほどける |
| 左右の袖丈が違う | 長いほうを濡らし、引かずに置く | 短いほうに合わせるのが早い |
| 肩の縫い目が肩先より外に落ちた | 肩線を内側へ寄せて置き直す | 肩は身頃より軽いので、置き直しだけで動く |
やり直すときは、もう一度濡らしてからにしてください。 乾いた状態で引くと、繊維が切れて元に戻る道が閉じます。
店の受付・家族に言う3点
自分の手に負えないと判断した日に、伝える内容は3つです。これを言うと、できることとできないことが先に返ってきます。
- 「洗ったあとに縮みました。裾を10cm引くと◯cm残ります」。作業の可否は寸法で決まるので、この数字を先に渡すのが最短です
- 「元の丈より何cm短いか」または「いまの着丈は何cmか」。目標の寸法が共有できていないと、どこまで戻すかが決まりません
- 「戻らない場合は、そのままで受け取ります」。先に言っておくと、無理な作業をされずに済みます
家族に頼むときは、「引くのは裾と袖口だけ。真ん中は持たないで」と1文で伝えてください。触る場所さえ決まっていれば、大きく崩れることはありません。
次の冬に縮ませない洗い方
戻したあと、同じことを繰り返さないために変えるのは、3つの条件のうち「動き」と「熱」です。
- 回る時間を短くする──洗う時間ではなく、水の中で回っている時間を減らす
- 脱水を短くする──水が垂れない程度で止め、残りはタオルで押して取る
- 吊るさず平らに置く──濡れた重みで丈だけ伸びるのを防ぐ
- 暖房の正面で乾かさない──熱が当たった側だけが先に縮む
洗う回数そのものを減らすのも効きます。汗が届いていない一枚は、毎回洗わなくて構いません。回数の決め方は、ニットの洗い方|洗う回数と強さは、汗が届いた深さで決めるで扱っています。
段は、洗うたびに1つずつ進む
縮みは一度で一気に進むこともありますが、多くは洗うたびに少しずつ進みます。最初の洗いで3cm以上残る段だった一枚が、同じ洗い方を続けると、2回目か3回目で1〜3cmの段へ入り、さらに続けると1cm未満の段まで進みます。
この進み方を知っておくと、判定のタイミングが変わります。縮みに気づいたその日だけでなく、洗ったあとに毎回、裾を10cm引いて残りcmを見てください。3cm以上残っているうちに洗い方を変えれば、段はそこで止まります。1〜3cmの段に入ってから気づくと、戻せる量はもう半分になっています。
秋冬のはじめは、とくにこの確認が効く時期です。シーズン最初の数回の洗いで、その一枚がどの段にいるかが分かれば、その冬のあいだ同じ寸法で着続けられるかどうかが見えます。残りcmが洗うたびに減っているなら、洗う回数を減らすか、回る時間と脱水を短くしてください。
段が進む速さは、繊維によって違います。動物の毛が多いものほど速く、綿や化学繊維が多いものほど遅く進みます。毛の割合が大きい一枚は、最初の洗いのあとに必ず1回測ってください。測る習慣が1つあるだけで、段が進む前に手を打てます。
戻せなかった一枚の着方|丈・身幅・袖で分ける
1cm未満の段まで進んで、戻す作業をやめた一枚にも、着方は残っています。どこが縮んだかで、合わせ方を分けてください。
丈が縮んだ一枚は、上に羽織る一枚の内側に入れる中間の層として使います。羽織りの裾がニットの裾より5cm以上長ければ、短くなった丈は外から見えません。前を開けて羽織る日は、ニットの裾がボトムスの腰の位置に来ているかを見てください。腰の位置より上で終わっていると、ボトムスとのあいだに隙間が見えるので、下に長めの一枚を入れて隙間を埋めます。
身幅が縮んだ一枚は、前を開けて羽織る形に切り替えられないなら、下に薄い一枚だけを着て、上には何も重ねないのが楽です。身幅が足りない一枚の上にさらに重ねると、内側から押されて編み目が開き、透け始めます。体に沿う形として、1枚で着る日のための一枚にしてください。
袖が縮んだ一枚は、袖口が手首より上で止まるので、下に長袖を1枚入れて、手首まで面をつなぎます。袖をまくって着る前提にするのも1つの手です。肘の少し下まで折れば、もとから短い袖として見えるので、縮んだことは外から分かりません。
どの場合も、元の一枚としてではなく、短くなった別の一枚として扱うことで、その冬のうちにもう一度着る日が来ます。
よくある失敗と、その直し方
| よくある失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 熱いお湯に入れる | 繊維が締まり、段が1つ進む | ぬるい水にする |
| 絞る・ねじる | 新しい歪みが斜めに入る | 押して水を出し、タオルで挟む |
| 濡れたまま吊るす | 重みで丈だけ伸びて身幅は戻らない | 平らに置いて乾かす |
| 身頃の中央を引く | 編み目の細かい所だけ伸びる | 引くのは裾と袖口の2か所 |
| 乾いてから引き直す | 糸が切れて戻る道が閉じる | もう一度濡らしてから |
まとめ|10cm引いて、残りcmを見る
- 縮みには、糸が寄っただけの段と、糸が絡んだ段がある
- 分けるのは裾を10cm引いて離したときの残りcm。3cm以上・1〜3cm・1cm未満の3段
- 戻す作業は、ぬるい水・押して水を出す・平らに置いて広げるの3工程
- 引く場所は裾と袖口だけ。1回で引くのは寸法の1割まで
- やり直しは2回まで。戻らない段は、合わせる相手のほうを変える
このニットは、今日どこまで元に戻せるのか。その答えは、洗う前の記録ではなく、いま手の中にある一枚が教えてくれます。
裾を10cm引いて、3秒待つ。残ったcmが分かれば、その日にやることは1つに決まります。
秋冬は、ニットを着る日がいちばん多い季節です。衣替えで出した日と、シーズン最初の洗いのあとの2回だけ、この判定をしておくと、その冬のあいだに段が進む前に気づけます。測るのに道具はいらず、両手と3秒で済みます。測った数字を札の近くにメモしておくと、次に測ったときに段が進んだかどうかを比べられます。戻せる一枚は戻し、戻らない一枚は着方を変える。どちらに決まっても、その一枚をもう一度着る日は作れます。
関連記事
- 縮んだセーターの戻し方|戻す目標は、よく着る1枚の実寸から出す
- 縮んだセーターを戻す|身幅・着丈・袖、縮んだ場所で引く向きを変える
- ニットの洗い方|洗う回数と強さは、汗が届いた深さで決める
- セーターは家で洗えるか|洗う前に決める5つの可否判定
- 手洗いのやり方|押す・沈める・置くのどれにするかを先に決める
— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 洗ったらニットが小さくなりました。まず何をすればいいですか
- 乾く前でも乾いたあとでも、最初にやることは同じです。裾を両手で持って左右に10cm引き、手を離して3秒待ってから何cm残っているかを見てください。3cm以上残るなら、まだ繊維が動く段です。1cm未満しか残らないなら、繊維同士が絡んで固まった段なので、引いても戻らず、無理に引くと編み目が開きます。この1つの寸法で、その日にできることが決まります。
- Q. 縮んだニットは、お湯と水のどちらで戻すのですか
- ぬるい水です。熱いお湯は繊維を締める方向に働きます。目安は手を入れて冷たくも熱くも感じない温度です。そして、つけている時間よりも、そのあと広げて乾かすまでの時間のほうが結果に効きます。濡れているあいだしか形は動きません。
- Q. 袖だけが短くなってしまいました
- 袖と身頃は編み方も糸の張力も違うので、片方だけ先に縮むことがあります。この場合は全体を戻そうとせず、袖だけを扱ってください。袖口を持って腕の方向に引き、肩の縫い目のほうは動かさないようにします。身頃まで一緒に引くと、肩の位置が下がって別の崩れが出ます。
- Q. 衣替えで出したら、しまう前より小さくなっていました
- しまっているあいだに縮むことはほとんどありません。多くは、しまう前の最後の洗いで縮んでいて、たたんでいたので気づかなかったものです。判定は同じで、裾を10cm引いて残りcmを見てください。たたみじわで縮んで見えているだけの場合もあるので、測る前に一晩ハンガーではなく平らに広げておくと、本当に縮んだ分だけが残ります。
- Q. 戻す作業は、何回までやり直せますか
- 目安は2回までです。濡らして広げて乾かす作業を1回やるたびに、繊維は少しずつ絡む方向へも動きます。2回やって戻りきらなかった分は、3回目でも戻りにくいと考えてください。1回目で戻った量の半分しか、2回目では戻らないことが多いです。
- Q. 戻したあとに、また縮まないようにするには
- 縮みは、水と熱と動きの3つがそろったときに進みます。次からは、このうち動きを減らすのがいちばん効きます。洗うときに回る時間を短くする、脱水を短くする、干すときに吊るさず平らに置く。冬は乾かす場所も、暖房の吹き出し口の正面を避けてください。
— メグラシ編集部





