パンツの丈つめ|何cm詰めるかは秋冬の靴と生地の縮みで決める

**丈つめをする前に、この秋冬にいちばん履く靴をいま1足だけ決めてください。**詰める長さは、その靴を履いた状態でしか正しく出ません。
パンツの丈つめは「裾が余っているぶんだけ切る」と思われがちですが、秋冬は足もとが変わる季節です。夏のサンダルやスニーカーから、かかとのあるブーツやローファーに替わると、同じパンツでも裾の止まる位置が1〜3cm動きます。さらに、ウールやコーデュロイ、厚手の綿は、洗い方によって丈が縮みます。
この記事では、どの靴で、どこに止めて、素材ぶんをいくつ残すかの3つを順に決めて、あなたのパンツの詰める長さを出します。一人で丈の印をつける手順はズボンの裾上げを自分で|一人で丈の印をつけるなら床からの高さで測るにまとめているので、ここでは「何cm詰めるか」を決めるところに絞ります。
結論:詰める長さは、靴を履いて止めたい位置から、素材のぶんを差し引いて出す
詰める長さの出し方は、次の1行です。
詰める長さ = いまの裾から、靴を履いて止めたい位置までの差 − 素材で残すぶん
止めたい位置は、パンツの形と靴で決まります。残すぶんは、生地と、家で洗うかどうかで決まります。どちらもあなたの手もとにあるもので測れるので、売り場の目安表を探すより確かです。
| 素材と洗い方 | 止めたい位置から残すぶん |
|---|---|
| ウール・クリーニングに出す | 0〜0.5cm |
| ウール・家で手洗いする | 0.5〜1cm |
| コーデュロイ・綿で家で洗う(まだ一度も洗っていない) | 1〜1.5cm |
| コーデュロイ・綿で、すでに何度か洗っている | 0〜0.5cm |
| ポリエステルなどの化繊が中心 | 0cm |
表の数字は「止めたい位置よりこれだけ長く仕上げる」という意味です。縮みが出たときにちょうど止めたい位置に来るように、先に余らせておきます。
先に決めるのは、秋冬にいちばん履く靴
丈つめでいちばん多い失敗は、測るときの靴と、実際に履く靴が違うことです。
試着室ではスリッパや裸足で丈を見て、家に帰ってブーツを合わせたら、くるぶしが半端に見えて短く感じる。あるいは、スニーカーで測ったパンツを、かかとのあるローファーで履いたら、裾が甲の上で浮いてしまう。どちらも、パンツの丈ではなく、測った靴が違っていたことが原因です。
秋冬にいちばん履く靴を決めるには、去年の同じ時期を思い出してください。通勤や外出でいちばん多く玄関から出した靴が、そのパンツの相手です。迷うときは、そのパンツを合わせたい上着を先に決めると絞りやすくなります。丈の長いコートなら、かかとのあるブーツやローファー。短い上着なら、スニーカーや底の平らな靴になることが多いはずです。
**靴が決まったら、必ずその靴を履いて丈を見てください。**靴を持って行けないお店で詰めるなら、かかとの高さだけでも測って伝えます。かかとの高さは、靴を床に置いて、かかとの後ろ側で床から靴底の上までをものさしで測れば出ます。
パンツの形ごとに、止める位置の目安が違う
止める位置は、パンツの形で大きく変わります。同じ「ちょうどいい丈」でも、ワイドとテーパードでは見え方が反対になるためです。
ワイドパンツは、裾の幅が広いぶん、裾が床に近いほど脚が長く見えます。靴を履いた状態で、裾の後ろ側が床から1〜2cm浮く位置が目安です。前から見ると靴のつま先が半分ほど見え、後ろはかかとがほとんど隠れます。これより短いと、広い裾の下から足首がのぞいて、急に寸足らずに見えます。
ストレートパンツは、裾が靴の甲に軽く当たって、前に小さな折れが1つできる位置が目安です。この折れはワンクッションと呼ばれることがあります。折れが2つ以上できると、裾がたまって重く見えます。折れがまったくできないくらい短くしたいなら、思い切ってくるぶしが見える長さまで上げたほうが、中途半端になりません。
テーパードパンツは、裾に向かって細くなる形なので、くるぶしの骨のあたりで止めるか、骨が少し見える長さにします。テーパードの裾が甲に乗ってたまると、細い裾がしわになって脚が短く見えます。
秋冬は、厚手の靴下やタイツを合わせる日が増えます。くるぶしを見せる丈にするなら、そこに見えるのは素肌ではなく靴下になる、ということも頭に入れておくと、止める位置を1cm下げるか上げるかの判断がつきやすくなります。
フレアやブーツカットは、かかとの半分を目安にする
裾に向かって広がるフレアやブーツカットは、靴を履いた状態で、後ろの裾がかかとの半分くらいまで来る長さが目安です。広がった裾が靴の大部分を覆うので、脚の線が床までつながって見えます。
このかたちは、靴が見えるほど短くすると、広がった裾が宙に浮いたように見えて、形のよさが消えます。ほかの形より少し長めを選び、そのぶん、かかとのある靴を合わせる前提で詰めてください。かかとの低い靴で履く日が多いなら、フレアの丈つめは詰めすぎに気をつけて、待ち針を打ったあとに一度歩いて、裾を踏まないかを確かめます。
裾の幅と、靴の幅の差でも見え方が変わる
同じ形の名前でも、裾の幅はパンツごとに違います。裾の幅は、パンツを平らに置いて、裾の端から端までを測れば出ます。
裾の幅が靴の幅よりかなり広いなら、裾が靴の上に落ちても形が崩れにくいので、少し長めでもかまいません。裾の幅が靴の幅とあまり変わらないなら、裾が靴に引っかかってたまりやすいので、短めを選びます。秋冬のブーツは、夏の靴より甲が高く幅も出るので、細めの裾ほど靴に当たりやすくなります。ブーツの上に裾をかぶせて履くつもりなら、ブーツの足首まわりに裾がすんなり乗るかを、詰める前に履いて確かめておきます。
測るときの立ち方で、1cmは簡単にずれる
止める位置を決めるときは、立ち方にも気をつけてください。同じ人が同じ靴を履いていても、立ち方で裾の位置は1cmほど動きます。
まず、両足に同じように体重をのせて、まっすぐ立ちます。片方の脚に体重をかけると、腰が傾いて、片側の裾だけが下がります。次に、目線はまっすぐ前に置きます。下を向いて自分の裾をのぞき込むと、背中が丸まって裾が上がり、実際より短く見えます。
鏡が近くにないときは、スマートフォンを膝の高さに置いて、横からと後ろから写真を撮ると、自分では見えない後ろの裾の位置がわかります。写真は、足もとの高さから撮るほど、裾と床の距離が正確に見えます。上から撮ると、裾が短く見えるので気をつけてください。
最後に、その場で10歩ほど歩いてみます。歩くと、裾は止まっているときより上がったり下がったりします。歩いたあとにかかとを踏んでいないか、裾が靴の甲で大きく折れていないかを見て、気になるなら0.5cmずつ動かします。
かかとの高さで、止める位置はどれだけ動くか
同じパンツでも、かかとが高くなるほど、裾は床から離れます。かかとが3cm高くなると、裾の後ろ側はおよそ2〜3cm上がって見えます。前側は甲が持ち上がるぶん、靴に当たる位置が変わります。
このため、かかとの低いスニーカーで「ちょうどいい」と思った丈は、3cmのヒールのブーツでは、ワイドなら足首がのぞき、ストレートならくるぶしの上で止まります。反対に、ヒールのあるブーツで決めた丈は、スニーカーの日には裾が1つ余計に折れます。
ここで大事なのは、余る側には逃げ道があるけれど、足りない側には逃げ道がないということです。余った裾は、軽く折ったり、くるぶしの出る靴に替えたりして収められます。足りない裾は、もう伸ばせません。だから、迷ったときは、かかとの高い方の靴に合わせて詰めるのが安全です。
厚底のスニーカーも、かかとの高さは底全体の厚みで考えてください。底が4cmあるスニーカーは、かかと3cmのブーツと同じくらい裾を持ち上げます。
素材で残すぶんが変わる:ウール・コーデュロイ・綿・化繊
秋冬のパンツの丈つめで、夏と大きく違うのが素材です。
ウールは、水と熱、こすれが重なると縮みやすい素材です。クリーニングに出すなら丈が大きく変わることは少ないので、止めたい位置どおりか、0.5cmだけ長めに仕上げれば足ります。家で手洗いできる表示のものでも、洗い方しだいで数mmから1cmほど縮むことがあるので、0.5〜1cm長く残します。
コーデュロイと厚手の綿は、最初の数回の洗濯で縮みが出やすい素材です。とくに、まだ一度も洗っていないものは、長さの方向に1〜2%ほど縮むことがあります。股下が70cmなら、1〜1.5cmです。止めたい位置よりこのぶん長く仕上げておくと、何度か洗ったあとにちょうどの位置に落ち着きます。
ポリエステルやナイロンが中心のパンツは、洗っても丈はほとんど変わりません。止めたい位置どおりに詰めてかまいません。
**素材の割合は、パンツの内側についている表示で確かめます。**ウールが半分以上なら「ウール」、綿が半分以上なら「綿」として表の数字を使い、化繊が半分以上なら残すぶんを半分にしてください。混ざっている素材は、多い方の性格が強く出ます。
洗う前に詰めるか、洗ってから詰めるか
いちばん確実なのは、家で洗う予定のパンツは、一度洗って乾かしてから詰めることです。縮みが先に出てしまえば、読み違いがありません。
ただし、買ったばかりで、すぐに履きたい日もあります。その場合は、前の章の表どおり長めに残して詰め、最初の数回の洗濯のあとにもう一度丈を見てください。それでも長ければ、そのときにもう一度詰めます。2回に分けるのは手間ですが、短くしすぎるよりずっと取り返しがつきます。
クリーニングに出す前提のウールは、洗わずに詰めてかまいません。ただし、雨の日によく履くパンツは、裾が濡れて乾くのをくり返すうちに、少しずつ縮むことがあります。秋冬に雨の多い地域なら、ウールでも0.5cmだけ長めに残しておくと安心です。
洗ってから詰める場合は、乾かし方にも気をつけます。乾燥機にかけると、自然に乾かしたときより縮みが大きく出ることがあります。普段の洗い方と乾かし方で一度通しておくと、その後の丈が読みやすくなります。
裾の始末で、詰められる量の上限が決まる
パンツの裾の始末によっては、詰められる長さに限りがあります。詰める前に、裾がどうなっているかを確かめてください。
| 裾の始末 | 詰めるときに気をつけること |
|---|---|
| シングル(折り返しなし) | いちばん自由に詰められる。縫い代を3〜4cm残す |
| ダブル(外に折り返し) | 折り返しの幅の2倍と縫い代が要る。足りなければシングルに変える |
| 裾にスリットやファスナー | 詰めるとスリットが短くなる。開きを残すなら脇から詰める |
| 裾がリブやゴム | 裾ごと外して付け直す。詰める量は上の脚の部分で取る |
| 裾が切りっぱなしや飾りの縫い目 | 元の雰囲気を残したいなら、お直しで元の裾を移す方法を相談する |
ダブルの裾は、折り返しの幅が4cmなら、その2倍の8cmと、内側の縫い代で、およそ11〜12cmの生地を裾に使っています。裾の余りがそれより少ないと、同じ幅のダブルには戻せません。その場合は、折り返しを細くするか、シングルの裾に変えます。
秋冬のウールのパンツはダブルの裾が多いので、詰める前に折り返しの幅を測っておくと、お直しに出したときの話が早くなります。
例で通してみる:3本のパンツで、詰める長さを出す
ここまでの順番を、よくある3本のパンツで通してみます。数字は一例なので、あなたのパンツと靴に置き換えて読んでください。
例1:グレーのウールのワイドパンツを、かかと3cmのショートブーツで履く
ショートブーツを履いて鏡の前に立ち、後ろの裾が床から1〜2cm浮く位置に待ち針を打ちます。いまの裾からその位置までが6cmだったとします。このパンツはクリーニングに出す予定なので、残すぶんは0〜0.5cmです。詰める長さは5.5〜6cmになります。
裾はシングルで、詰めても裾の幅はほとんど変わりません。自分でまつってもきれいに仕上がる組み合わせです。
例2:まだ洗っていないコーデュロイのストレートを、スニーカーで履く
スニーカーを履いて、前に小さな折れが1つできる位置に待ち針を打ちます。いまの裾からその位置までが4cmでした。綿のコーデュロイで、家で洗う予定があり、まだ一度も洗っていないので、残すぶんは1〜1.5cmです。詰める長さは2.5〜3cmにとどめます。
数回洗って縮みが出たあと、ちょうど折れが1つの位置に来るはずです。それでも長ければ、そのときに1cmだけ詰め直します。
例3:化繊のテーパードを、ブーツとローファーの両方で履く
ブーツはかかと4cm、ローファーはかかと2cmで、差は2cmです。かかとの高いブーツを履いて、くるぶしの骨のあたりに待ち針を打ちます。いまの裾から8cmでした。化繊が中心なので残すぶんは0cm、詰める長さは8cmです。
ただし、テーパードを8cm詰めると、裾の幅が広がります。お直しに出して、裾の幅も細くしてもらうかを相談するのがよい例です。ローファーの日は裾が少し甲に近づきますが、くるぶしの見える丈なので、たまるほどにはなりません。
3つの例のように、**同じ「丈つめ」でも、詰める長さは2.5cmから8cmまで開きます。**裾の余りだけを見て決めないのは、このためです。
どちらとも取れるとき①:ブーツとスニーカーを同じくらい履く
秋冬は、晴れた日はスニーカー、寒い日や雨の日はブーツ、というように、1本のパンツに2足の靴を合わせることがよくあります。どちらで丈を決めるか迷ったら、次の順で考えてください。
まず、2足のかかとの高さの差を測ります。差が1.5cm以内なら、どちらで決めても見え方はほとんど変わりません。履く回数が多い方で決めてください。
差が2cm以上あるなら、**かかとの高い方で決めます。**低い方の日は、裾が1つ余計に折れます。ストレートやワイドなら、この折れはそれほど目立ちません。気になるなら、裾を内側に1cmほど折り込んで、アイロンで軽く押さえておくと、その日だけ短くできます。
テーパードは例外です。細い裾が折れるとしわが目立つので、低い靴の日に裾がたまるのが気になるなら、くるぶしの骨が見える長さに詰めて、どちらの靴でも「くるぶしの見える丈」として履きます。ブーツの日は、筒がくるぶしを覆うので、裾が靴の上に乗る形になり、短さは気になりません。
どうしても1本で両方をきれいに見せたいなら、もう1本を足して、靴ごとにパンツを分けるほうが結局は早いことがあります。丈つめは、1本のパンツに1足の相手を決める作業だと思っておくと、迷いが減ります。
どちらとも取れるとき②:前は合うのに、後ろが床につく
靴を履いて鏡で見ると、前はちょうどいいのに、振り返ると後ろの裾が床についている。これはよくある形です。
人の足は、かかとが後ろに出ているぶん、裾の後ろ側のほうが床に近くなります。さらに、ヒールのある靴では、甲が持ち上がるので前の裾が浮き、後ろの裾がかかとに沿って下がります。
このときの選び方は2つです。前に合わせて詰め、後ろが床に触れるのを受け入れるか、後ろに合わせて詰め、前が少し浮くのを受け入れるか。
**外を歩く時間が長いパンツは、後ろに合わせてください。**後ろの裾が床に触れると、雨の日や落ち葉の多い道で裾が汚れ、擦り切れが早くなります。秋冬のウールの裾は、一度擦れると毛羽が戻りません。
お直しに出せるなら、前よりも後ろを0.5〜1cm長くする「前上がり」の詰め方を相談する方法もあります。ストレートやワイドのきれいめのパンツでよく使われる方法で、前はすっきり、後ろはかかとをきちんと覆う形になります。
どちらとも取れるとき③:ちょうど境目で、1cm迷う
止めたい位置に待ち針を打ってみたものの、もう1cm上か、もう1cm下か決められないときがあります。そのときは、次の3つを順に見てください。
1つめは、素材です。ウールで家で洗う、コーデュロイや綿でまだ洗っていない、のどちらかなら、下の位置を選びます。縮みのぶんがそのまま吸収されます。
2つめは、合わせる上着の丈です。腰が隠れるくらいの長い上着を合わせるなら、下の位置にすると縦の線がつながって見えます。腰までの短い上着なら、上の位置にしても釣り合います。
3つめは、靴の色とパンツの色の差です。靴とパンツの色が近いなら、裾が少し長くても、足もとが1つの面にまとまるので重く見えません。色の差が大きいなら、裾がたまると境目のしわが目立つので、上の位置を選ぶとすっきりします。
3つとも決め手にならないときは、下を選んでください。長い側は、あとからもう一度詰められます。
どちらとも取れるとき④:タイツの日と素足の日で、足首の見え方が変わる
くるぶしの見える丈にしたいとき、秋のはじめは素足に近い薄い靴下、冬は厚手のタイツ、というように、足首に見えるものが季節の中で変わります。
素足や薄い靴下のときは、肌が見える面積がそのまま軽さになるので、くるぶしの骨が見える長さでも寒々しくは見えません。厚手の黒いタイツになると、足首の見える部分が黒い面になり、パンツの色によっては裾との境目がはっきりします。パンツが明るい色なら、くるぶしの上で切れた黒い面が目立ち、足首が太く見えることもあります。
**冬に厚手のタイツを合わせる日が多いなら、くるぶしの骨が隠れる長さに寄せてください。**パンツとタイツと靴の色が近いなら、骨が見える長さでも境目がなじむので、そのままでかまいません。
どちらの日も同じくらいあるなら、パンツの色で決めます。黒や濃い紺、濃い茶のパンツなら、黒いタイツと裾がなじむので、短めでも大丈夫です。明るいベージュやグレーなら、骨が隠れる長さを選ぶと冬まで迷わずに履けます。
自分で詰めるか、お直しに出すか
自分で詰められるかどうかは、裾の始末と生地で決まります。
シングルの裾で、生地が平らに織られたウールや綿、化繊なら、手縫いのまつり縫いで十分に仕上がります。表に縫い目が響きにくいので、多少の不ぞろいも目立ちません。
一方で、次のどれかに当てはまるなら、お直しに出したほうが仕上がりがきれいです。裾がダブルで、詰めると折り返しの幅が変わるもの。コーデュロイのように毛の向きがあって、まつった糸が表に出やすいもの。裾にスリットやファスナーがあるもの。前上がりにしたいもの。そして、詰める量が5cmを超えて、裾の幅が変わるものです。
テーパードのパンツを大きく詰めると、裾の幅が広がります。細くなっていく途中で切るので、切った位置の幅が元の裾より広くなるためです。5cm以上詰めると見た目が変わるので、裾の幅も合わせて細くするかどうかを、お直しで相談してください。
自分で詰めるときに、素材ごとに気をつけること
自分で詰めるなら、素材によって気をつける場所が違います。
ウールは、アイロンの熱と蒸気でよく形が決まる素材です。折り上げた裾を、当て布をして蒸気で押さえてからまつると、縫い目がまっすぐに通ります。反対に、当て布をしないでアイロンを直接当てると、表に光った跡が残ることがあります。
コーデュロイは、まつり縫いの糸を表の毛の間に通すと、毛の流れが乱れて縫い目が見えやすくなります。糸は裏の織り目だけを小さくすくい、表の毛には触れないようにします。また、裾を切ると、切り口から毛がほつれやすいので、切った端は早めにかがっておきます。
厚手の綿は、折り上げると裾が厚くなりすぎることがあります。縫い代の折り返しを一度にせず、端をかがってから一回だけ折り上げると、裾の厚みが抑えられて、靴の上で裾がはねにくくなります。
化繊が中心の生地は、アイロンの温度を低めにします。高い温度で押さえると、生地が縮れたり光ったりすることがあります。裾の折り目がつきにくいので、まつる前に待ち針を細かめに打ってから縫ってください。
どの素材でも、切る前に、待ち針で留めた状態で一度履いて歩くことを忘れないでください。切ったあとに短いと気づいても、もう戻せません。
お直しに出すときに伝えること
お直しの受付では、次の4つを伝えると、仕上がりの食い違いが減ります。
1つめは、合わせる靴です。できれば履いて行きます。持って行けないなら、かかとの高さを伝えます。
2つめは、止めたい位置です。「ワンクッション」「くるぶしが少し見えるくらい」「床から1cm浮くくらい」のように、靴を履いた状態での位置で伝えます。
3つめは、洗い方です。家で洗うのか、クリーニングに出すのかを伝えると、縮みを見込んだ長さで仕上げてもらえます。まだ洗っていない綿やコーデュロイなら、そのことも伝えてください。
4つめは、裾の始末です。元の裾を残したいのか、シングルで良いのか、ダブルの幅は変えたくないのか。とくにダブルは、詰める量によっては元の幅に戻せないことがあるので、受付で確かめておきます。
待ち針は、片方の脚にだけ打てば十分です。左右の脚の長さが違う人もいるので、気になるなら両方に打って、どちらに合わせるか伝えてください。
詰めたあとの手入れ:裾の折り目と擦れ
詰めたあとは、裾の折り目を整えておくと、長さの見え方が安定します。
ウールのパンツは、裾の折り目を当て布をしてアイロンで押さえると、裾がまっすぐ落ちます。裾が丸まっていると、実際の長さより短く見えたり、靴の上でたまったりします。
コーデュロイは、毛を寝かせると光り方が変わるので、アイロンは裏から軽くかけ、表から押さえないようにします。折り目がつきにくい素材なので、詰めた直後は裾が少し浮くことがありますが、何度か履くうちに落ち着きます。
秋冬は、裾が濡れたまま放っておくと、ウールは縮み、綿はしわが固まります。帰ってきたら、裾を手でのばしてハンガーに逆さに吊るすと、裾の重みで形が戻りやすくなります。ブラシで裾の泥を落としておくと、擦り切れも遅くなります。
秋冬のパンツは、何本まとめて詰めるか
秋冬のはじめに、手持ちのパンツの丈を何本かまとめて見直したくなることもあると思います。そのときは、靴ごとにパンツを分けてから詰めると、迷いが減ります。
まず、秋冬に履く靴を2〜3足並べます。次に、パンツを1本ずつ持って、どの靴と合わせることが多いかを決めます。ブーツの相手、スニーカーの相手、ローファーの相手、というように振り分けたら、それぞれの靴を履いて丈を見ます。
このとき、同じ靴の相手になるパンツは、止める位置をそろえておくと、朝の組み合わせが楽になります。ワイドとストレートで形が違っても、「この靴の日は、裾がここに来る」という基準が1つあると、鏡の前での迷いが短くなります。
振り分けてみると、どの靴の相手にもならないパンツが出てくることがあります。それは、丈が合っていないのではなく、秋冬の靴とそもそも形が合っていない1本かもしれません。たとえば、夏のサンダルに合わせて短めに詰めた細いパンツは、秋冬のブーツでは筒に裾が入りきらず、スニーカーではくるぶしが冷えて見えます。こうした1本は、無理に詰め直すより、春までしまっておくほうが手間も生地も無駄になりません。
まとめて詰めるときは、素材ごとに順番を決めるのもひとつの方法です。家で洗うコーデュロイや綿は先に一度洗って乾かしておき、そのあいだに、クリーニング前提のウールと化繊の丈を決めて詰めます。洗い終わった綿のパンツは、縮んだあとの長さで最後に丈を見ます。こうすると、縮みの読み違いを気にせずに、全部の丈を一度にそろえられます。
詰めた長さは、パンツの内側の表示の近くに小さくメモを残しておくと、翌年に靴を替えたときの見直しが早くなります。どの靴に合わせて、何cm詰めたか。それだけ書いておけば、次に迷ったときの起点になります。
よくある行き違い
「股下の数字を言えば詰めてもらえる」 股下の数字は、パンツの型で意味が変わります。股上が深いパンツと浅いパンツでは、同じ股下でも裾の止まる位置が違います。数字で伝えるより、靴を履いて待ち針を打つほうが確かです。
「去年と同じ長さで詰めれば大丈夫」 去年と違う靴を履くなら、同じ長さでも見え方が変わります。とくに、厚底の靴やかかとのあるブーツを今年から履き始めたなら、もう一度その靴で測ってください。
「縮むのが怖いから、とにかく長めにする」 長くしすぎると、裾が靴の上でたまり、重く見えます。表の数字より多く残す必要はありません。数回洗ったあとでまだ長ければ、そのときにもう一度詰めれば済みます。
「丈つめは裾を切るだけ」 ダブル、スリット、リブなど、裾の始末によっては、切るだけでは元の形に戻りません。始末を変えたくないなら、詰める前に必ず確かめてください。
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よくある問い
- Q. パンツの丈つめは、何cm詰めればいいですか
- 一律の数字はありません。秋冬にいちばん履く靴を履いて鏡の前に立ち、止めたい位置に待ち針を打ってから、いまの裾との差を測った長さが詰める量です。ウールやコーデュロイ、綿で家で洗うものは、そこから0.5〜1cmを差し引いて、少し長めに仕上げてください。
- Q. ブーツとスニーカー、どちらを履いて丈を決めればいいですか
- 秋冬に履く回数が多い方です。回数が同じくらいなら、かかとの高い方に合わせて詰めると、低い靴の日は裾が少したまるだけで済みます。低い方に合わせると、高い靴の日にくるぶしが中途半端に出て、そちらのほうが目立ちます。
- Q. 洗ってから詰めたほうがいいですか
- 家で洗う予定の綿やコーデュロイなら、一度洗って乾かしてから詰めると縮みの読み違いがなくなります。クリーニングに出す前提のウールは洗わずに詰めてかまいませんが、裾は0.5cmほど長めに残しておくと安心です。
- Q. 裾がダブルのパンツも自分で詰められますか
- 詰められますが、折り返しの幅のぶん生地が必要なので、詰められる量に上限があります。折り返しの幅の2倍と縫い代を残せないときは、シングルの裾に変える前提でお直しに相談してください。
— メグラシ編集部





