縮んだセーターの戻し方|戻す目標は、よく着る1枚の実寸から出す

**縮んだセーターを手に取る前に、いまいちばんよく着ているセーターを1枚、隣に置いてください。**戻す目標は、その1枚の寸法です。
縮んだセーターを戻そうとするとき、多くの人は「買ったときの大きさ」を目標にします。けれど、買ったときの寸法はもう手元にありませんし、覚えていても、それが自分に合っていたとは限りません。目標がぼんやりしていると、どこまで引けばいいかがわからず、途中で止まるか、引きすぎて別の場所が崩れます。
この記事では、目標を「よく着ている1枚の実寸」に置き換えます。着丈・身幅・袖丈の3か所を測って、縮んだ1枚との差を出せば、どこから、どれだけ戻せばいいかが数字で決まります。
戻せるかどうかの見極め(引いて離したときに何cm残るか)は縮んだニットが戻るかは、引いて離したときの残りcmで決まるにまとめています。この記事は、その見極めで「戻せる側」に入った1枚を、どこまで、どの順番で戻すかの話です。
結論|目標はよく着る1枚の実寸、戻す順番は足りない量の多い順
先に答えを置きます。
- 目標:いまよく着ているセーター1枚の、着丈・身幅・袖丈の実寸
- 差を出す:縮んだ1枚を同じ3か所で測り、目標から引く
- 順番:足りない量がいちばん多い1か所から戻す。2か所を同時に引かない
- 止める場所:目標に届いたら止める。届かない場所は、着方で見えなくする
縮んだ1枚を「元に戻す」と考えると、全部の場所を少しずつ引きたくなります。けれど編み地は、縦に引けば横が詰まり、横に引けば縦が詰まります。全部を同時に引くと、どこも目標に届かないまま形だけが崩れます。
だから、いちばん困っている1か所から順に戻します。その1か所が目標に届けば、残りの2か所は少し足りなくても着られることが多いからです。
先に測る|よく着る1枚の3か所
縮んだセーターより先に、よく着ている1枚を測ります。測るのは3か所です。
着丈は、肩のいちばん高いところ(襟の付け根の横)から、裾の端までをまっすぐ下に測ります。平らな床かテーブルの上に置いて、引っぱらずに、置いたままの長さを測ってください。
身幅は、脇の下から2cmほど下がったところで、左の脇から右の脇までを横に測ります。前身頃の1枚分の幅です。
袖丈は、肩の縫い目から袖口の端までを測ります。肩の縫い目が見えない形(肩から袖が続いているもの)は、襟の付け根の横から袖口までを測り、その数をメモしておきます。縮んだ1枚も同じ測り方で測るので、どちらで測ったかをそろえることが大事です。
測るのは、どれも「置いたままの長さ」です。セーターは引くと伸びるので、少しでも引くと数字が2〜3cm変わります。置いて、手のひらで軽くしわを伸ばして、そのまま測ってください。
測った数は、紙に3行で残しておく
測った数は、その場で紙かスマートフォンのメモに残します。書くのは「着丈・身幅・袖丈」の3行だけです。戻している途中で何度も測り直すので、目標の数がすぐ見られる場所にあると、引くたびに迷わずに済みます。
あわせて、測った場所も一言ずつ書いておきます。「着丈は襟の横から」「袖は肩の縫い目から」のように書いておくと、縮んだ1枚を測るときに同じ場所から測れます。測り始めの場所が1cmずれると、足りない量も1cmずれます。2cm以内の段か、2〜5cmの段かの分かれ目に近い場所では、この1cmで手順が変わることがあるので、測る場所はそろえておいてください。
メジャーがない場合は、ひもか毛糸で代わりに測れます。よく着る1枚の着丈に合わせてひもを切り、そのひもを縮んだ1枚に当てれば、足りない長さがひもの余りとして見えます。数字がなくても、どこまで戻せばいいかはそのひもでわかります。
よく着る1枚が自分に合っているかの確かめ方
目標にする1枚が、そもそも少し大きすぎたり、短すぎたりしていないかも確かめておきます。着て、次の3つを見てください。
- 腕を下ろしたとき、袖口が手首の骨を半分ほど隠しているか
- 裾が腰骨の上に乗っているか、腰骨を少し越えているか
- 肩の縫い目が、肩の端の骨の上か、その外側2cm以内にあるか
3つとも当てはまれば、その1枚はそのまま目標にできます。当てはまらない場所があれば、その場所だけ数字を直してから目標にします。たとえば袖が手首の骨を全部隠すほど長いなら、袖丈の目標は測った数から2cm引いた数にします。
縮んだ1枚を同じ3か所で測り、足りない量を出す
次に、縮んだセーターを同じ3か所で測ります。ここでも、引かずに、置いたままの長さです。
目標から縮んだ1枚の数字を引くと、3か所それぞれの「足りない量」が出ます。たとえば次のような形です。
| 場所 | よく着る1枚 | 縮んだ1枚 | 足りない量 |
|---|---|---|---|
| 着丈 | 62cm | 57cm | 5cm |
| 身幅 | 52cm | 49cm | 3cm |
| 袖丈 | 55cm | 53cm | 2cm |
この例なら、いちばん足りないのは着丈です。最初に戻すのは着丈で、次が身幅、最後が袖丈です。
数字を出すと、もう1つわかることがあります。3か所のうち、どこがいちばん縮みやすかったかです。縦に編まれたセーターは着丈が、横に広がった編み地は身幅が多く縮みます。どちらが多く縮んだかで、戻すときにどちらへ引けば動きやすいかの見当がつきます。縮んだ量が多い向きは、戻すときもその向きに動きやすいことが多いからです。
足りない量で、家で戻すか、着方で補うかが決まる
足りない量を、場所ごとに3つの段に分けます。
| 足りない量 | 戻し方の見通し |
|---|---|
| 2cm以内 | 家で戻せることが多い。1回で届く |
| 2〜5cm | 家で戻せるが、2回に分ける。1回目で届かなくても慌てない |
| 5cmを超える | 届かない前提で、着方で補う準備をしておく |
5cmを超える場所があっても、その1枚をあきらめる必要はありません。ほかの2か所が目標に届けば、届かない1か所は重ね方で隠せるからです。大事なのは、5cmを超える場所を最初から「全部戻す」目標にしないことです。目標の半分まで戻して止める、と決めておくと、引きすぎて形を崩すことがなくなります。
3か所とも5cmを超えている場合は、セーターとして着るのはむずかしくなります。その場合は戻すのをやめて、使い道を変える側で考えてください(後の章で書きます)。
素材で、目標の取り方を少し変える
足りない量の段分けは、素材によって少しずれます。洗濯表示のタグで、いちばん多く入っている素材を見てください。
毛(ウール)が多い1枚は、ぬるま湯でゆるめたときにいちばん動きやすい素材です。2〜5cmの段でも、2回に分ければ届くことが多いので、目標はそのまま使えます。ただし、動きやすいぶん引きすぎも起きやすいので、1回に引く量は守ってください。
カシミヤのように細くやわらかい毛は、動きやすい一方で、引いた場所が薄くなりやすい素材です。目標は測った数のまま使い、2cm以内の段なら1回、2〜5cmの段でも、届かなければ3cmで止めて、残りは着方で補う側に回します。薄くなった場所は戻せないので、止める場所を早めに置くほうが安全です。
綿が多い1枚は、毛ほどは動きません。足りない量が2cm以内なら届きますが、2〜5cmの段は、半分届けば十分と考えてください。綿のセーターは着ているうちに少しずつ伸びるので、乾いた直後に1〜2cm足りなくても、何回か着るとなじんでくることがあります。
化学繊維が多く入った1枚は、熱で縮んだ場合、ぬるま湯ではほとんど動きません。この場合は、戻すより着方で補う側を先に考えます。毛と化学繊維が半々くらいの1枚は、毛の側だけが動くので、目標の半分を目安にしてください。
家で戻す手順|繊維をゆるめてから、1か所ずつ引く
家で戻すときの流れは、次の5つです。
- 洗面器に、手を入れて少しぬるいと感じる程度のお湯を張る
- 髪用のリンスかトリートメントを、手のひらに1回分ほど溶かす
- セーターを沈めて、上から軽く押して全体を湿らせ、そのまま20〜30分置く
- 持ち上げて、押して水を切る。絞らない。バスタオルに挟んで、上から押して水気を取る
- 平らなところに広げて、足りない量のいちばん多い場所から引く
お湯を熱くしないでください。熱いお湯は、縮んだ原因そのものです。手を入れてぬるいと感じる程度、風呂の湯より少し低いくらいが目安です。
リンスやトリートメントを使うのは、繊維の表面をすべりやすくして、絡みをほどきやすくするためです。洗い流さずに引くほうが動きやすいので、すすぎは軽く1回で済ませるか、すすがずにタオルで水気を取るだけでもかまいません。においが気になる場合だけ、乾いたあとに軽くすすいでください。
引くときは、手のひらで広く持つ
引くときは、指先でつまんで引かないでください。指先でつまむと、その点だけが伸びて、編み目が飛び出します。両手のひらを広げて、セーターの面を押さえるように持ち、ゆっくり外へ広げます。
1回に引く量は、2cmまでにします。2cm引いたら手を離して、置いたまま長さを測ります。引いたぶんの全部は残らず、半分くらい戻ってくるのがふつうです。目標に届くまで、引く・離す・測るを繰り返します。
かかる時間の目安
浸しておく時間を入れて、1か所を戻すのに30分から40分ほどかかります。3か所を戻すなら、乾かす前までで1時間半ほど見ておいてください。途中で生地が冷えて動きにくくなったら、もう一度ぬるま湯に5分ほど浸してから続けます。
時間が取れない日は、いちばん足りない1か所だけを戻して乾かし、残りは別の日にします。一度乾かしても、同じ手順でもう一度ゆるめれば、続きから戻せます。急いで全部を戻そうとして、引く量が大きくなるほうが、形が崩れる原因になります。
濡らすのが心配な1枚
色の濃い1枚や、柄が編み込まれた1枚は、ぬるま湯に浸すと色が出るのではないかと心配になります。気になる場合は、裾の裏側の目立たない場所を、ぬるま湯で湿らせた白い布で軽く押してみてください。布に色が移らなければ、浸しても大丈夫なことが多いです。
色が移る場合は、全体を浸さずに、足りない1か所だけを霧吹きで湿らせて引く方法にします。動く量は浸したときより少なくなりますが、2cm以内の段ならこの方法でも届きます。
伸ばすのは1か所ずつ|着丈は縦、身幅は横、袖は最後
着丈を戻すとき
着丈は、肩と裾を両手で持って、縦にゆっくり引きます。このとき、身幅の両脇が内側に寄ってくるのがわかるはずです。寄ってきた分は、あとで身幅を戻すときに広げるので、ここでは気にしなくて大丈夫です。
縦に引くときは、中心だけでなく、左右の脇の線も同じだけ引いてください。中心だけ引くと、裾が山なりに伸びて、脇だけ短い形になります。中心・左の脇・右の脇の3本を順に引いて、3本の長さがそろっているかを測ります。
身幅を戻すとき
身幅は、脇の下から裾までの両脇を、手のひらで外へ押し広げるように伸ばします。上から下まで一度に広げず、脇の下・胸の高さ・おなかの高さ・裾の4か所に分けて、上から順に広げます。
身幅を広げると、今度は着丈が少し詰まります。着丈を先に戻しておいたのはそのためです。身幅を目標まで広げたら、もう一度着丈を測ってください。1cm以上詰まっていたら、着丈だけ軽く縦に引き直します。
袖を戻すとき
袖は最後です。袖は細い筒なので、引くと袖口のゴム編みまで伸びやすく、伸びると戻りません。袖口のゴム編みを避けて、肩から袖口の手前までを、手のひらで挟んで縦に引きます。
袖口のゴム編みだけは、引かずに、乾いたあとに手首にぴったり合うかを見ます。ゴム編みが縮んで手首を締めつける場合も、ゴム編みは引かずにそのままにしてください。袖の長さが届いていれば、袖口が少しきついくらいは着ているうちになじみます。
乾かし方|よく着る1枚を型紙にして、その上で乾かす
戻した形を残すには、乾かし方がいちばん大事です。ここで、目標にしたよく着る1枚が、もう一度役に立ちます。
よく着る1枚を、乾いたバスタオルの上に広げて置きます。その上に、さらに乾いたタオルを1枚重ねます。そして、その上に、戻している途中の濡れた1枚を、肩の位置をそろえて重ねます。下のセーターの輪郭がタオル越しに見えるので、それが型紙になります。
濡れた1枚の輪郭を、下の輪郭に合わせて手のひらで整えます。足りない場所は、輪郭まで寄せるように広げます。届かない場所は、無理に届かせずに、届いたところで止めます。
そのまま、平らに置いて乾かします。ハンガーに掛けると、濡れた重さで縦だけが伸び、身幅が細くなります。乾くまでに半日から1日かかるので、途中で一度だけ裏返して、もう一度輪郭に合わせてください。
暖房の風が直接当たる場所や、日の当たる窓際は避けます。急に乾くと、乾いた表面だけが先に縮んで、内側との間に波が出ることがあります。風通しのいい、部屋の中ほどが向いています。
寒くて乾かない日の乾かし方
秋の終わりから冬にかけては、部屋が冷えて、平らに置いたセーターが1日たっても乾かないことがあります。乾かないまま2日目に入ると、生地のにおいが気になったり、下に敷いたタオルが湿ったままになったりします。
そういう日は、半日たったところで下のタオルを乾いたものに替えてください。湿ったタオルの上に置いたままにすると、下から水気が戻ってきて、いつまでも乾きません。タオルを替えるときに、もう一度型紙の輪郭に合わせて整えると、形も保てます。
それでも乾かない場合は、平らに置ける網の上に移して、下からも風が通るようにします。網がなければ、物干しの上に板やすのこを渡して、その上に置く方法もあります。ハンガーに掛けるのは、表面がほぼ乾いて、持ち上げても形が崩れなくなってからにしてください。
どちらとも取れるとき|身幅は届いたが、着丈が届かない
いちばん多いのが、この形です。身幅は目標に届いたのに、着丈だけが2〜3cm足りないまま止まる。
この場合、まず「着丈がどれだけ足りないと困るか」を確かめます。着て、次の2つを見てください。
- 腕を上に上げたとき、裾からおなかが見えるか
- 座ったとき、背中側の裾が腰から上にずり上がるか
どちらも起きなければ、その着丈で着られます。セーターの裾は、ベルトのあたりにあれば十分に役目を果たします。目標の1枚より短くても、困らない長さなら、そこで止めてかまいません。
どちらかが起きる場合は、もう1回だけ着丈を戻します。このとき、身幅はいったん目標の手前1cmまで寄せて、そのぶん縦に引きます。縦に引き終わったら、身幅を最後に1cmだけ広げます。順番を入れ替えるだけで、2回目は1〜2cm動くことが多いです。
それでも届かない場合は、裾を前だけボトムスに入れる着方にします。前を入れると、横から見たときに裾の短さが目立たなくなり、腕を上げても後ろが出にくくなります。
どちらとも取れるとき|袖だけが届かない
身頃は戻ったのに、袖だけが1〜2cm短いまま、という形もよくあります。
袖の短さは、腕を下ろして立っているときより、物を持ったときに目立ちます。かばんを持つ、つり革をつかむ、パソコンを打つ。手を前に出したときに、手首の骨がはっきり見えると、短く感じます。
袖が1cm足りないくらいなら、袖口を半分ほど折り返して、手首の骨の上で止める着方が合います。短さを隠すのではなく、自分で短くしたように見せる方法です。折り返した幅が1〜2cmあれば、もともとそういう長さに見えます。
2cm以上足りない場合は、下にシャツかカットソーを着て、袖口を1cmだけ出します。秋の立ち上がりは、白や生成りの袖口を出すと軽く見えます。冬に入ってからは、セーターと同じ明るさの袖口を出すと、重ねていることが目立ちません。
どちらとも取れるとき|よく着る1枚そのものが大きめ
目標にした1枚が、ゆったりした形のセーターだった場合は、その実寸をそのまま目標にすると、縮んだ1枚の足りない量が大きく出すぎます。
この場合は、縮んだ1枚が買ったときにどんな形だったかを思い出してください。ゆったりした形だったなら、目標はそのまま使えます。体に沿う形だったなら、目標の身幅から4cm、着丈から2cmを引いた数を、新しい目標にします。
形を覚えていない場合は、洗濯表示のタグの近くにあるサイズ表記を見てください。表記のサイズが、よく着る1枚と同じなら目標はそのまま、1つ小さいなら身幅を2cm、着丈を1cm引いた数を目標にします。
よく着る1枚がない場合
セーターを1枚しか持っていない、あるいは縮んだのがそのいちばんよく着ていた1枚だった、という場合もあります。
そのときは、よく着るシャツかカットソーで代わりに測ります。セーターはシャツより厚みがあるぶん、身幅を2〜4cm広く、着丈を1〜2cm短く見積もってください。シャツの身幅が48cmなら、セーターの目標は50〜52cmです。
シャツもしっくりくるものがない場合は、数字の目標をやめて、着たときの2点だけを目標にします。袖口が手首の骨を半分隠すこと、裾が腰骨に届くこと。この2つに届けば、その1枚は着られます。
どちらとも取れるとき|表面が固く、編み目が見えない
縮んだセーターのなかには、表面がフェルトのように固くなって、編み目が見えなくなっているものがあります。こうなると、繊維どうしが絡んで固まっているので、ぬるま湯とリンスでゆるめても、寸法はほとんど動きません。
見分け方は簡単です。縮んだ1枚を光にかざして、編み目の間から光が通るかを見ます。光が点々と通るなら、まだ編み目が残っていて、戻せる余地があります。光がほとんど通らず、表面が一枚の布のように見えるなら、戻すのはむずかしい段です。
この段の1枚は、戻すのではなく、使い道を変えます。
- 身幅が足りないなら、前を開けて着る羽織りとしては使えないが、ブラウスやシャツの上に重ねるベストのような1枚として、袖をまくって着る
- 着丈が足りないなら、ワンピースやロングスカートの上に重ねる短い1枚として着る
- 3か所とも足りないなら、家で着る1枚にするか、家族の小さい人に回す
フェルトのように固くなった生地は、そのぶん風を通しにくく、暖かくなっています。家の中で羽織る1枚としては、かえって使いやすいこともあります。
目標に届かなかった1か所を、秋冬の重ね方で見えなくする
3か所のうち2か所が目標に届けば、その1枚はまだ外で着られます。残った1か所は、重ね方で見えなくします。
| 届かなかった場所 | 秋の立ち上がり | 冬に入ってから |
|---|---|---|
| 着丈 | 裾の長いシャツを下に重ねて、裾を2〜3cm出す | 前だけボトムスに入れて、上着の前を開ける |
| 身幅 | 前を開けて着られない分、首の詰まった薄手を下に1枚 | 上着を羽織り、脇が見えないようにする |
| 袖丈 | 袖口を折り返して、手首の骨の上で止める | 下に重ねた1枚の袖口を1cmだけ出す |
秋は、まだ上着を着ない日が多いので、重ねた1枚を見せる方向で考えます。冬に入ると上着を着るので、届かなかった場所が上着の内側に隠れることが多くなります。縮んだ1枚が、冬のほうが着やすくなるのはこのためです。
着ていく場面で、気にする場所が変わる
届かなかった1か所が気になるかどうかは、着ていく場面でも変わります。
通勤の日は、座っている時間が長いので、着丈の短さがいちばん気になります。椅子に座ると背中側の裾が上がるので、着丈が届かなかった1枚は、下に裾の長い1枚を重ねるか、上着を脱がない日に回すと安心です。
休日に歩き回る日は、腕を動かすことが多いので、袖の短さが目につきます。袖口を折り返すか、下に重ねた1枚の袖口を出して、短さを先に見せてしまうほうが気になりません。
家で過ごす日は、どこが届いていなくてもかまいません。縮んだ1枚は生地が詰まって暖かいので、家の中で羽織る1枚にすると、外で着る1枚よりも出番が増えることがあります。外で着るか家で着るかを決めるのは、届いた場所が2か所あるかどうかで十分です。
戻したあと、次の洗濯で縮ませないために変えること
戻した1枚は、一度縮んだぶん、次に同じ洗い方をするとまた縮みます。次の洗濯で変えるのは3つだけです。
1つ目は、お湯の温度です。水か、ぬるいと感じる程度までにします。縮んだときは、おそらくそれより温かいお湯か、乾燥機の熱が当たっていたはずです。
2つ目は、こすらないことです。洗うときは、押して離すだけにします。手でもみ洗いをしたり、洗濯機で長く回したりすると、こすれた場所から絡んで縮みます。
3つ目は、乾かすときの置き方です。戻したときと同じように、平らに置いて乾かします。このとき、よく着る1枚を下に敷いた型紙の方法をもう一度使うと、戻した寸法がそのまま残ります。
どのくらいの間隔で洗えばいいかはニットを洗う頻度は、着た回数と汗の量で決めるを、しまうときの置き方はニットの保管方法の失敗を合わせて見てください。
よくある失敗と、その直し方
一度に全部の場所を引いてしまった
全部の場所を少しずつ引くと、どの場所も目標に届かず、形だけが崩れます。こうなったら、いったんぬるま湯に戻して、全体を平らに置き、手のひらで外から中心へ軽く寄せて、形をそろえ直します。それから、足りない量のいちばん多い1か所だけを引き直してください。
引きすぎて、目標より大きくなった
引きすぎた場所は、乾く前なら寄せて戻せます。濡れたまま平らに置き、引きすぎた向きと反対から、手のひらで中心へ寄せます。1〜2cmなら、ほとんど戻ります。乾いたあとで気づいた場合も、もう一度ぬるま湯に浸して、同じ手順で寄せてください。
乾いたら、また縮んだ
乾かしているあいだに、ハンガーに掛けたり、暖房の風が当たったりすると、戻した寸法がまた詰まります。平らに置いて、よく着る1枚の型紙の上で乾かし直してください。2回目は、1回目より動きやすいことが多いです。
目標の1枚と、縮んだ1枚の形が違った
よく着る1枚がゆったりした丸首で、縮んだ1枚が体に沿うハイネックだった、というように、形がまったく違う2枚を比べると、目標の数字が合わないことがあります。たとえば、ゆったりした形は肩が落ちているぶん袖丈が短く測れるので、その袖丈を目標にすると、肩が落ちていない形では袖が足りなくなります。
形が違う2枚を比べるときは、袖丈だけは「肩の縫い目から」ではなく「襟の付け根の横から袖口まで」で測ってください。この測り方なら、肩が落ちているかどうかに関係なく、首から手首までの長さで比べられます。着丈と身幅は、形が違っても同じ測り方で比べられます。
戻したのに、着ると窮屈に感じる
3か所とも目標の寸法に届いたのに、着てみると窮屈に感じることがあります。寸法は届いていても、縮んだときに生地が詰まって厚くなり、伸びにくくなっているからです。同じ寸法でも、生地が厚く伸びにくいぶん、体を動かしたときの余裕が少なく感じます。
この場合は、身幅の目標に1〜2cm足して、もう一度身幅だけを戻してください。着丈と袖丈はそのままで大丈夫です。窮屈さは、ほとんどが胸まわりと脇の下で感じるものなので、身幅に余裕を足すだけで、着たときの感じがかなり変わります。
それでも窮屈なら、下に着る1枚を薄いものに替えます。秋の立ち上がりは、下に厚手のカットソーを重ねずに、薄い1枚だけにすると、縮んだセーターでも動きやすくなります。
縮んだのが、買ってすぐの1枚だった
買ってまだ数回しか着ていない1枚が縮んだ場合は、よく着る1枚の実寸より、買ったときに試着して決めた感覚を目標にしてもかまいません。試着のときに袖口がどこに来ていたか、裾がどこまであったかを思い出して、その位置に届くかを着て確かめます。思い出せない部分だけ、よく着る1枚の実寸で補ってください。
家族の1枚で目標を取った
自分の1枚ではなく、家族のセーターを目標にして測った場合は、体の大きさの違いがそのまま目標に入ってしまいます。家族の1枚を使うなら、それを着てみて、袖口と裾が自分の体のどこに来るかを確かめてから目標にしてください。袖口が手首の骨を全部隠すなら、そのぶん袖丈から引き、裾が腰骨を大きく越えるなら、そのぶん着丈から引きます。
伸ばした場所だけ、編み目が粗く見える
1か所だけ強く引くと、その場所の編み目が広がって、透けて見えることがあります。目標に届いていても、透けて見えるならそこで引くのをやめて、ほかの場所を少しずつ広げ、全体の目の大きさをそろえます。編み目の大きさがそろえば、透け方は目立たなくなります。伸びすぎた場所の戻し方は伸びたニットの戻し方も参考になります。
まとめ|よく着る1枚を隣に置いて、足りない1か所から
- 戻す目標は、元の寸法ではなく、いまよく着ている1枚の着丈・身幅・袖丈の実寸
- 縮んだ1枚を同じ3か所で測り、足りない量の多い順に戻す
- 1回に引くのは2cmまで。引く・離す・測るを繰り返す
- 乾かすときは、よく着る1枚を型紙にして、その上で平らに
- 届かない1か所は、秋は重ねて見せ、冬は上着の内側に隠す
縮んだセーターは、全部を元に戻そうとしなくても、2か所が届けばまた着られます。目標を先に決めて、止める場所をはっきりさせておくことが、いちばんの近道です。
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よくある問い
- Q. 縮んだセーターは、元の大きさまで戻りますか
- 元の寸法まで戻ることは多くありません。ただ、元の寸法まで戻す必要もありません。いまよく着ているセーターの着丈・身幅・袖丈を測り、その実寸に届けば着られます。足りない量が2cm以内の場所は家で戻せることが多く、5cmを超える場所は届かない前提で着方を変えるほうが早く決まります。
- Q. よく着るセーターが1枚もありません。何を目標にすればいいですか
- よく着るシャツかカットソーで代わりに測ってください。セーターはそれより着丈を1〜2cm短く、身幅を2〜4cm広く見積もると目標になります。それも難しい場合は、着たときに手首の骨が袖口から出ないこと、腰骨に裾が届くことの2点だけを目標にします。
- Q. 身幅は戻ったのに、着丈だけ戻りません
- 身幅を先に伸ばすと、そのぶん縦が詰まりやすくなります。いったん身幅は目標の手前1cmで止め、着丈を縦に伸ばしてから、最後に身幅を整えてください。それでも着丈が2cm以上足りない場合は、裾を出さずに中に入れる着方か、下に丈の長い1枚を重ねる着方に切り替えます。
- Q. 表面が固くなって、編み目が見えません。これも戻せますか
- 編み目が見えないほど表面が詰まっているのは、繊維どうしが絡んで固まった状態です。ぬるま湯でゆるめても、寸法はほとんど動きません。無理に引くと薄い場所から伸びて形が崩れるので、戻すのではなく、ベストのように重ねる1枚として使い道を変えるほうが向いています。
- Q. 戻している途中で、引きすぎてしまいました
- 引きすぎた場所は、もう一度ぬるま湯に浸して、平らに置いたまま手のひらで寄せてください。縦に引きすぎたなら縦に、横なら横に、外側から中心へ寄せます。乾く前なら1〜2cmは戻ります。乾いたあとで気づいた場合も、同じ手順をもう一度やれば寄せられます。
— メグラシ編集部





