縮んだセーターを戻す|身幅・着丈・袖、縮んだ場所で引く向きを変える

**縮んだセーターを、いまテーブルの上に平らに置いてください。**そして、いつも着ていてちょうどいいと感じる手持ちのセーターを、その上に重ねてみてください。
ずれが大きいのは、横幅でしょうか、丈でしょうか、袖でしょうか。それとも裾や袖口のゴム編みの部分でしょうか。
縮んだセーターを戻すときに、いちばん多い失敗は、縮んでいない場所まで一緒に引いてしまうことです。セーターは洗濯で全体が均等に縮むことは少なく、たいていは1か所か2か所に縮みが集まります。そこを確かめないまま全体を引くと、縮んだ場所は戻りきらず、縮んでいなかった場所だけが伸びて、前より形が崩れます。
この記事では、縮んだ場所を4つに分けて、それぞれ引く向きと乾かし方を変える手順を書きます。そもそも戻せる段階かどうかを先に知りたい方は、縮んだニットが戻るかは、引いて離したときの残りcmで決まるで判定してから読み進めてください。ここでは「戻せそうだ」とわかったあとの、どこを、どの向きに引くかを扱います。
結論|縮んだ場所を1か所に絞り、その向きにだけ引く
縮んだセーターを戻すときに決めることは3つだけです。
1つ目は、どこが縮んだか。身幅、着丈、袖、リブのどれかです。2つ目は、その場所をどの向きに引くか。3つ目は、引いた向きを乾くまで保つために、どこを押さえるか。
| 縮んだ場所 | 引く向き | 乾かすときに押さえる場所 |
|---|---|---|
| 身幅 | 脇線を左右に開く | 左右の脇 |
| 着丈 | 裾を下へ。肩は動かさない | 肩と裾 |
| 袖 | 袖口から肩の方へ、片腕ずつ | 袖口と袖のつけ根 |
| リブ(首・袖口・裾) | 輪の内側から外へ、少しずつ | 引かずに、形を整えて置くだけ |
この表で迷うのは、縮んだ場所が2つ以上あるときです。その場合は、着たときにいちばん困っている場所から手をつけ、1回の作業で引くのは2か所までにしてください。順番の決め方は、後半の「どちらとも取れるとき」で詳しく書きます。
浸ける水の温度や時間は、どの場所でも同じです。変わるのは、引く向きと押さえる場所だけです。
戻す前に、4か所を測って紙に書く
作業を始める前に、縮んだセーターの4か所を測ります。メジャーがなければ、定規と紐でもかまいません。
身幅は、脇の下の縫い目から縫い目まで、まっすぐ横に測ります。着丈は、首の後ろのつけ根から裾の端まで、縦に測ります。袖丈は、肩の縫い目から袖口の端まで。ラグランや肩の縫い目がないデザインなら、首の後ろの中心から袖口までを測り、それを「裄(ゆき)」として書いておきます。リブは、首まわり・袖口・裾のゴム編み部分を、平らに置いたままの幅で測ります。
測った数字は、紙に書いておいてください。濡らしたあとは毛が水を吸って重くなり、少し引いただけで数字が変わるので、乾いた状態の数字が基準になります。作業のあとにもう一度同じ場所を測ると、どこがどれだけ戻ったかがわかります。
測るときは、セーターを引っぱらずに、手のひらで軽くなでて平らにするだけにしてください。測る段階で引いてしまうと、縮みの大きさを小さく見積もることになります。
ここで書いた4つの数字が、このあとの判断の材料です。数字がそろうまでは、セーターを水に浸けないでください。
測るときにもう1つ見ておいてほしいのが、左右の差です。身幅なら前と後ろ、袖なら右と左を、それぞれ別に測ってください。洗濯機の中でねじれながら縮んだセーターは、片側だけが強く縮んでいることがよくあります。右袖だけ1cm短い、後ろ身頃だけ詰まっている、という差があれば、引くのはその片側だけで済みます。
数字を書く紙には、測った場所の横に「乾いた状態」と書き添えておくと、あとで濡れた状態の数字と混ざりません。作業の途中で測り直したくなったら、濡れている数字は別の欄に書いてください。濡れた数字は、乾くと少し小さくなるので、基準には使えません。
元の寸法がわからないときは、手持ちの1枚を型にする
4か所を測っても、比べる相手がいなければ、どこが縮んだかはわかりません。買ったときのタグに寸法が書いてあれば、それと比べます。ただ、たいていのタグにはサイズの記号しかなく、寸法は残っていません。
そういうときは、手持ちのセーターでちょうどいいと感じる1枚を型にしてください。形や厚さが近いものを選ぶと比べやすくなります。丸首なら丸首、肩が落ちたデザインなら同じく肩が落ちたものです。
型の1枚も同じ4か所を測り、縮んだセーターの数字と並べて書きます。並べたら、それぞれの差を出してください。
差の出し方には1つ注意があります。身幅と着丈では、同じ2cmでも着たときの困り方が違います。身幅の2cmは、平らに置いた片面の数字なので、胴まわりでは4cm分きつくなっています。着丈の2cmは、そのまま裾の位置が2cm上がるだけです。比べるときは、身幅の差だけ2倍にして考えてください。
型にする1枚がどうしても見つからない場合は、縮んだセーターを着て、困るところを自分で言葉にしてみてください。「お腹が出る」なら着丈、「脇がつっぱる」なら身幅、「手首が出る」なら袖、「首が苦しい」なら首のリブです。数字ほど正確ではありませんが、どこから手をつけるかを決めるには足ります。
身幅が縮んだとき|脇線を左右に開く
身幅が縮んだセーターは、平らに置くと、肩の幅にくらべて胴の幅がすぼまって見えます。着ると脇の下がつっぱり、腕を前に出すと背中が引っぱられる感じがあります。
引く向きは、左右です。浸けて水気を切ったセーターをバスタオルの上に平らに置き、両手を脇の縫い目の内側に入れて、左右へゆっくり開きます。一度に開こうとせず、脇の下から裾まで、手の幅ずつ位置を変えながら、数回に分けて少しずつ引いてください。
引く強さの目安は、編み目が横に少し開いて見えるくらいです。編み目のあいだから下のタオルの色が透けて見え始めたら、それ以上は引かないでください。そこから先は、毛が戻るのではなく、編み目そのものが伸びて広がるだけです。
身幅を引くときに注意してほしいのは、肩と袖のつけ根を一緒に引かないことです。肩の幅は縮みにくい場所なので、ここまで引くと肩だけが広がり、着たときに肩の縫い目が腕の方へ落ちます。手は脇の下から下にだけ入れて、肩から上は触らないでください。
また、身幅を横に引くと、着丈はわずかに縮みます。編み地は縦と横がつながっているので、横に広げた分だけ縦が詰まるためです。着丈にも縮みがある場合は、身幅を先に戻して、そのあとで着丈を整えると、引き直しが少なくて済みます。
身幅を引くときの手の入れ方にも、こつがあります。両手を脇の内側に入れたら、指をそろえて手のひら全体で生地を受けてください。指先だけでつまんで引くと、つまんだ場所の数目だけが伸びて、そこだけ編み目が粗く見えます。手のひら全体で受ければ、力が広い範囲に分かれて、編み目が均等に開きます。前身頃と後ろ身頃は重なったまま一緒に引いてかまいませんが、片方だけ縮んでいる場合は、縮んでいる側を上にして置き、その面だけを手のひらで押さえるように広げてください。
引き終えたら、もう一度身幅を測ってください。型の1枚との差が半分以下になっていれば、その日はそこで止めて乾かします。濡れているあいだに差をゼロまで引くと、乾いたときに引きすぎになることがあります。
着丈が縮んだとき|裾を下へ引き、肩は動かさない
着丈が縮んだセーターは、平らに置くと胴が短く、四角に近い形に見えます。着ると裾が腰骨より上に来て、ボトムスとのあいだに隙間ができます。
引く向きは下です。平らに置いたセーターの肩を、片手で上から軽く押さえます。もう片方の手で、裾のリブのすぐ上をつまみ、下へゆっくり引きます。真ん中、右、左と、裾の3か所を順に引いてください。
着丈を引くときは、肩を押さえる手を離さないことがいちばん大事です。肩を押さえずに裾だけを引くと、セーター全体が下にずれるだけで、編み目はほとんど伸びません。逆に、肩を強く引っぱりながら裾を引くと、肩の縫い目が伸びて、首まわりが広がります。
縦に引くと、身幅はわずかに縮みます。着丈を引いたあとに身幅を測り、型の1枚より細くなっていたら、軽く横にも引いて整えてください。ただし、横の引き直しは軽くで止めます。縦も横も同じだけ引くと、結局全体が均等に広がるだけになり、縮んでいなかった場所まで伸びます。
着丈は、裾のリブを引くのではなく、リブのすぐ上の胴の部分を引くのが基本です。リブはゴム編みなので、引いてもすぐに元の幅に戻ろうとします。着丈が足りないのは胴の部分が縮んだからなので、引くのも胴です。
裾が前後で違う長さになっているデザインの場合は、後ろの長い方を基準にしてください。前の短い方に合わせると、後ろだけが長く伸びて、着たときに裾が斜めに見えます。
袖が縮んだとき|袖口から肩の方へ、片腕ずつ
袖だけが縮んでいる場合は、胴を引かずに袖だけを扱います。袖が縮んだセーターは、着ると手首が出て、腕を曲げると袖口が肘の方へずり上がります。
引き方は、袖を1本ずつ平らにして、袖のつけ根を片手で押さえます。もう片方の手で袖口のリブのすぐ上をつまみ、袖の縫い目に沿ってゆっくり引きます。袖のつけ根から袖口まで、手の幅ずつ位置を変えて、数回に分けてください。
左右の袖は、必ず片方ずつ引いて、最後に並べて長さをそろえます。両方を同時に引くと、力の入れ方が左右で違って、乾いたときに片方だけ長いという結果になりがちです。片方を引いたら、もう片方を隣に並べ、袖口の位置が合うところまで引いてください。
袖は胴にくらべて細く、編み目の数が少ないので、少しの力でもよく伸びます。胴と同じ強さで引くと、袖だけが長くなりすぎます。袖を引くときは、胴を引くときの半分くらいの力を目安にしてください。
袖が縮むと、袖幅も一緒に細くなっていることが多くあります。袖幅が気になる場合は、袖の中に丸めたタオルを入れて、内側から少し押し広げた状態で乾かします。タオルは、袖の太さにちょうど入るくらいの量にして、ぱんぱんに詰めないでください。詰めすぎると、乾いたときに袖の真ん中だけがふくらんだ形になります。
リブが縮んだとき|引かずに、形を整えて置く
首まわり・袖口・裾のゴム編みの部分(リブ)が縮んだ場合は、ほかの場所と扱いを変えます。
リブは、もともと縮もうとする力が強い編み方です。引いて伸ばしても、乾くあいだにまた縮もうとするので、引いた分がそのまま残ることはあまりありません。強く引くと、ゴム編みの凹凸がつぶれて平らになり、縮む力そのものがなくなって、だらんと広がったままになることもあります。
リブが縮んで苦しいときは、引くのではなく、輪の内側に手を入れて、指を開いて少しずつ広げるくらいにとどめてください。首まわりなら、両手の指先を輪の内側に入れて、ゆっくり左右に開き、手を離して形を見ます。それを数回くり返して、少しゆとりが出たところで止めます。
首まわりがどうしても苦しい場合は、乾かすときに、首の輪の中に丸めたタオルを入れておくと、その太さに合わせて乾きます。このときも、タオルは輪にちょうど収まる量にとどめてください。
袖口や裾のリブが縮んで締めつけるときは、まずリブ以外の場所が縮んでいないかを確かめてください。袖口がきつく感じるのは、袖そのものが短くなって、細い袖口が手首の太い位置まで上がってきたせいかもしれません。その場合は、袖口ではなく袖を引くと解決します。
浸ける水と時間は、どの場所でも同じでいい
ここまで、場所ごとに引く向きを分けて書きましたが、引く前の準備は、どの場所でも同じです。
洗面器かシンクに、手を入れて少しぬるいと感じる程度の水をためます。熱いお湯は使わないでください。毛は熱と揉む動きで縮むので、戻すための作業で温度を上げると、かえって縮みが進むことがあります。
水に、髪用のトリートメントやリンスを少量溶かします。洗面器1杯に対して、手のひらに出す1回分ほどが目安です。毛の表面のひっかかりがやわらいで、編み目が動きやすくなります。
セーターを裏返して水に沈め、上から手のひらで軽く押して、全体に水を行き渡らせます。揉んだりこすったりはしないでください。そのまま20分から30分ほど置きます。
浸け終えたら、水を捨てて、セーターを洗面器の中で軽く押して水を切ります。絞らないでください。絞ると、その時点でねじれた形がつきます。そのあと、乾いたバスタオルの上にセーターを広げ、タオルごとくるくると巻いて、上から押して水気を移します。
ここまでの準備が終わった時点で、セーターはしっとり湿っていて、持ち上げても水が垂れない状態になっています。ここで初めて、縮んだ場所に合わせて引き始めます。引く作業は、湿っているあいだの10分から15分ほどで終わらせてください。時間をかけすぎると、乾き始めた場所と湿った場所で伸び方が変わります。
浸けるときの量にも気をつけてください。セーター1枚に対して、洗面器いっぱいの水があれば足ります。水が少ないと、セーターの一部が水面から出て、浸かった場所と浸からなかった場所で、編み目のゆるみ方に差が出ます。全体が沈むまで、上から手のひらで軽く押してください。浮いてくる場合は、上に軽いお皿を1枚のせておくと、沈んだままになります。
一度にセーターを2枚以上浸けるのは避けてください。2枚が重なると、内側になった方に水が回りにくく、また取り出すときに絡んで、引っぱる力がかかります。1枚ずつ浸けて、1枚ずつ引いて、1枚ずつ乾かします。
トリートメントは、すすがずにそのまま乾かしても、ふつうは問題ありません。気になる場合は、引く作業の前に一度、同じ温度の水に軽く浸けて押し洗いし、同じように水を切ってください。
乾かし方で、引いた向きが残るか戻るかが決まる
引く作業が終わったら、乾かし方で結果が分かれます。
**濡れたセーターをハンガーに掛けたり、物干しに吊るしたりしないでください。**水を含んだ毛は重く、吊るすとその重みで着丈だけが伸び、身幅と袖幅は細くなります。身幅を戻したかったのに、乾いたら縦長で細い形になった、という失敗は、たいていこの吊るし干しから起きます。
乾かすときは、平らな場所に乾いたバスタオルを敷き、その上にセーターを置きます。平干し用のネットがあれば、下にも風が通るので乾きが早くなります。
そのうえで、引いた向きの両端だけを押さえます。身幅を引いたなら、左右の脇の外側に、たたんだタオルを置いて脇線が内側に戻らないようにします。着丈を引いたなら、肩の上と裾の下に同じようにタオルを置きます。袖なら、袖口と袖のつけ根です。押さえるのは引いた向きだけで、それ以外の向きは何も置かないでください。全方向から押さえると、引いていない場所まで固定されて、その形で乾いてしまいます。
直射日光の当たる場所や、暖房の吹き出し口の前は避けてください。急に乾かすと、表面だけが先に乾いて縮み、中の湿った部分との差でゆがみが出ます。風通しのよい日陰で、半日ほどたったら裏返し、もう半日かけて乾かします。
乾いたら、最初に測った4か所をもう一度測って、紙に書いた数字と比べます。戻った量がわかると、次にもう一度作業をするかどうかを決められます。
どちらとも取れるとき①|身幅も着丈も縮んで見える
いちばん迷うのが、身幅も着丈も同じくらい縮んでいるように見える場合です。
まず、着たときに困るのはどちらかを考えてください。お腹や腰が出る、ボトムスとのあいだに隙間ができる、というのが困りごとなら着丈です。脇がつっぱる、腕を前に出すと背中が引っぱられる、というのが困りごとなら身幅です。困っている方を先に戻します。
どちらとも言えない場合は、身幅を先に戻してください。身幅を横に引くと、着丈はわずかに縮みます。先に着丈を戻してから身幅を引くと、せっかく戻した着丈がまた少し縮むので、もう一度着丈を引き直すことになります。身幅を先にしておけば、後から着丈を引いたときに身幅はほとんど変わりません。
同じ日に両方を引く場合は、身幅を引いたあとで一度手を止めて、着丈を測り直してください。身幅を引いたことで着丈がどれだけ縮んだかを確かめてから、着丈を引きます。
迷ったときの見分け方として、もう1つ使えるのが、編み目の形です。縮んだセーターの胴の真ん中の編み目を、指先で少し広げて見てください。編み目が横につぶれて、縦長の粒に見えるなら、主に身幅が詰まっています。反対に、編み目が縦につぶれて、横長の粒に見えるなら、主に着丈が詰まっています。どちらも同じくらいの丸い粒に見えるなら、全体が均等に縮んでいるので、身幅を先にする順番で進めてください。
両方を同じ日にやって、どちらも中途半端になるくらいなら、1日目は身幅だけ、2日目に着丈だけ、と分けた方がうまくいきます。1回の作業で引くのは2か所までと決めておくと、引きすぎを防げます。
身幅と着丈の両方が、型の1枚より大きく縮んでいて、全体がひとまわり小さくなったように見える場合もあります。この場合は、縮みが全体に回っているので、1か所に絞る考え方は当てはまりません。前に触れた判定で戻せる段階かどうかを確かめ、戻せる段階なら、身幅、着丈、袖の順に、日を分けて1か所ずつ戻してください。
どちらとも取れるとき②|引いたのに、乾いたら元に戻った
引いたときは型の1枚と同じくらいになっていたのに、乾いたらほとんど元の縮んだ寸法に戻っていた、という場合です。
原因として多いのは3つです。1つ目は、乾かすあいだに引いた向きの端が押さえられていなかったこと。2つ目は、乾かす途中で裏返したときに、形を整え直さなかったこと。3つ目は、そもそも戻せる段階を過ぎていたことです。
1つ目と2つ目なら、もう一度同じ手順でやり直せば戻る見込みがあります。今度は、乾かし始めてから数時間ごとに様子を見て、引いた場所が内側に戻ってきていたら、手で軽く整え直してください。裏返すときも、裏返したあとに引いた向きの端を同じように押さえます。
3つ目の場合は、何度やり直しても戻る量は小さく、むしろ作業のたびに表面の毛が絡んで、手ざわりが硬くなっていきます。引いて手を離したときに、すぐに元の幅まで戻ってしまう場合は、この段階です。
**2回やって、2回とも戻る量が型の1枚との差の3分の1に届かなければ、そこで止めてください。**それ以上の作業は、セーターの寿命を縮めるだけです。戻しきれなかったセーターは、家で着る1枚に回すか、丈の短さを生かして、腰まわりにボリュームのあるボトムスと合わせる着方を考える方が、結果として長く着られます。
どちらとも取れるとき③|素材の表示が混ざっている
洗濯表示のタグに、ウールやカシミヤだけでなく、アクリル・ナイロン・ポリエステルなどが混ざって書かれている場合です。
戻せるかどうかは、表示の上から2つ目までに毛(ウール、カシミヤ、アンゴラなど)が入っているかでおおよそ見当がつきます。上の方に毛が書かれていれば、その割合に応じて、ここまでの手順で戻る量が出ます。
合成繊維が半分以上を占めている場合は、毛のように水と熱で縮んだのではなく、乾燥機などの熱で形が固まった可能性があります。この縮み方は、ぬるま湯とトリートメントではあまり動きません。引いても、乾くとまた同じ形に戻ろうとします。
その場合は、全体を戻すのをあきらめて、いちばん困っている1か所だけを戻すと目標を小さくしてください。着丈が足りないなら着丈だけ、袖が短いなら袖だけです。1か所に絞れば、少ない戻り幅でも、着られる形にできることがあります。
綿のセーターの場合は、毛とは縮み方が違います。綿は糸そのものが水で詰まって縮むので、湿っているあいだに引いて形を整えると、ある程度は戻ります。ただし、トリートメントを入れても毛ほどの効き目はありません。湿った状態で引いて平干しする、という手順だけで十分です。
素材の表示が読めないほど擦れていたり、タグを切ってしまっていたりする場合は、袖の内側など目立たない場所を少しつまんで引いてみてください。引いて離したあと、ゆっくり元に戻るなら毛が多く、すぐにぱちんと戻るなら合成繊維が多いと考えられます。
戻せる量には限りがある、と知っておく
ここまでの手順で戻せるのは、縮みの一部です。洗濯で縮んだ毛のセーターは、毛の表面が絡み合って、編み目の中で詰まった状態になっています。ぬるま湯とトリートメントでその絡みを少しゆるめ、湿っているあいだに編み目を引き広げて、その形で乾かす、というのがこの作業の中身です。
絡みが深くなって、編み目が見えないくらいフェルトのように詰まってしまった場合は、引いても編み目自体が動きません。表面が毛羽立って、指でつまむと厚い布のように感じるなら、この段階です。
絡みの深さは、セーターの裏側を見るとわかりやすくなります。裏返して、編み目の1つ1つが粒として数えられるなら、まだ編み目が動く段階です。粒の境目がぼやけて、表面が一枚の板のように見えるなら、絡みが深く進んでいます。同じ1枚の中でも、脇の下や袖の内側など、こすれやすい場所だけ板のようになっていることがあります。その場合は、粒が見える場所を中心に引き、板のようになった場所は無理に引かないでください。板のようになった場所を強く引くと、周りの粒が見える場所だけが伸びて、その境目に段差ができます。
場所ごとの「着て困らない」目安
目標は場所ごとに違います。身幅は、腕を前に出して肘を軽く曲げたときに、背中の生地が肩甲骨のあたりで突っぱらなければ足ります。着丈は、腕を上に伸ばしたときに裾がウエストより下に残るかを見てください。袖は、腕を前に伸ばしたときに手首の骨が隠れていれば、ふだんの動きで困ることはまずありません。リブは、首なら着脱のときに耳に強く当たらないか、袖口なら腕まくりをして肘の下で止まるかが目安です。
この4つの動きを、戻す前と戻したあとに1回ずつ試してください。数字だけでなく、動いたときに困るかどうかで判断すると、引く量を必要な分だけにとどめられます。
目標は、型の1枚と同じ寸法に戻すことではなく、着て困らない寸法まで戻すことに置いてください。身幅なら、脇がつっぱらなくなれば十分です。着丈なら、腰骨が隠れれば着られます。袖なら、手首の骨が隠れる長さが目安です。
この目標を先に決めておくと、引きすぎを防げます。型の1枚と同じ数字にしようとして強く引くと、編み目が伸びて薄くなり、透けたり、すぐに形がくずれたりします。戻す作業は、差を半分から3分の2ほど埋めるところで止めるつもりで始めてください。
戻したあとの1枚を、次に縮ませない洗い方
一度縮んで戻したセーターは、編み目の中の毛がすでに絡みやすくなっています。次に同じ洗い方をすると、前より早く縮みます。
まず、洗う回数を減らすことを考えてください。セーターは、インナーを1枚着ていれば、毎回洗う必要はありません。着たあとは、ハンガーに掛けずに、たたんで一晩風を通しておけば、においや湿気はたいてい抜けます。洗う回数の目安は、ニットの洗濯頻度にまとめています。
洗うときは、手洗いか、洗濯機の手洗い・ドライに相当するやさしいコースを使い、水の温度は手で触って冷たくない程度までにとどめます。洗剤は、毛に使える中性のものを選び、すすぎの水も同じ温度にしてください。洗う水とすすぐ水の温度に差があると、それだけで縮みやすくなります。
脱水は30秒ほどで止めて、すぐに取り出して平干しします。乾燥機は使わないでください。戻したセーターを乾燥機に入れると、多くの場合、戻す前よりも縮みます。
洗い方そのものの違いを比べたい方は、セーター洗い方の3つの違いを、反対に伸びてしまった場合は伸びたニットの戻し方を参考にしてください。
まとめ
縮んだセーターは、全体を均等に引いても元の形には戻りません。先に4か所を測り、手持ちのちょうどいい1枚と比べて、縮んだ場所を絞ってから引きます。
身幅は左右に、着丈は肩を押さえて裾を下に、袖は片腕ずつ袖口から肩の方へ。リブは引かずに、輪の内側から少しずつ広げるだけにします。乾かすときは平らに置き、引いた向きの両端だけを押さえます。
迷ったときは、着て困る方を先に、困りごとが同じなら身幅を先にしてください。2回やって戻る量が小さければ、そこで止めて、いちばん困っている1か所だけを戻す目標に切り替えます。
戻す作業は、差を全部埋めるためではなく、着て困らない寸法まで戻すためのものです。そのつもりで始めると、引きすぎずに済み、戻したあとも長く着られます。
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よくある問い
- Q. 縮んだセーターは、どこから引けばいいですか
- 先に身幅・着丈・袖丈・リブの4か所を測り、ちょうどいいと感じる手持ちの1枚と比べてください。差がいちばん大きい場所が、最初に引く場所です。4か所を同時に引くと、縮んでいない場所まで伸びてしまうので、1回の作業で引くのは1か所か2か所までにします。
- Q. 身幅も着丈も同じくらい縮んでいるときは、どちらを先に引きますか
- 着たときに困る方を先にしてください。お腹や腰が出るなら着丈、腕が上がらない・脇がつっぱるなら身幅です。どちらとも言えないときは、身幅を先にします。身幅を引くと着丈がわずかに縮むので、後から着丈を引けば両方を合わせられますが、逆の順だと着丈を引き直すことになるからです。
- Q. 引いて乾かしたのに、また縮んで戻ってしまいました
- 乾かすあいだに、引いた向きの端が押さえられていなかった可能性が高いです。濡れたまま吊るすと重みで着丈だけが伸び、身幅は逆に縮みます。もう一度ぬるま湯に浸けて、平らに置いたまま引いた向きの両端をたたんだタオルで押さえ、裏返しながら丸一日かけて乾かしてください。
- Q. アクリルやポリエステルが混ざったセーターも戻せますか
- 表示の上から2つ目までにウールやカシミヤなどの毛が入っていれば、毛の割合に応じて少しは戻ります。合成繊維が半分以上の場合は、熱で形が固まっていることが多く、引いても戻る量は小さいです。その場合は、どこか1か所だけを戻して着られる形にする、と目標を小さくしてください。
— メグラシ編集部





