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ズボンの裾上げを自分で|一人で丈の印をつけるなら床からの高さで測る

メグラシ編集部//読了 12分
床に平らに置いたウールのズボンの裾がまち針で折り上げられ、布のメジャーとチャコ、ショートブーツが添えられている

**一人でズボンの裾上げをするなら、はいたまま屈んで印をつけるのはやめてください。**かわりに、いちばんよく合わせる靴を履いて立ち、かかとの後ろで「床から何cmの高さに裾を止めたいか」を数字にします。脱いでから、その数字をズボンに写して印をつけます。

この記事は、裾上げを自分でしようとして「印をつける人がいない」ところで止まっている方に向けて書いています。縫わずに仕上げる方法はズボンの裾上げを簡単にを、仕上がってから短すぎた・左右がそろわないといった直し方はズボンの丈直しの失敗を見てください。ここで扱うのは、その手前にある「どこで切るか」を一人で決める手順です。

結論:はいたまま印をつけず、床からの高さを数字にして写す

一人で印をつけるときの失敗は、ほとんどが同じ形をしています。鏡の前でズボンをはき、屈んで裾を折り返し、まち針で留める。立ち上がると、思っていたより裾が短い。これは手先の不器用さではなく、姿勢のせいです。

屈むと、腰とひざが曲がります。腰が曲がるとズボンの股の位置が下がり、ひざが曲がると生地がひざの前に取られて、裾が上に持ち上がります。持ち上がった状態で「ちょうどいい」と感じた位置に印をつけると、立ったときにその分だけ短くなります。ずれは生地や体の動き方で変わりますが、1〜3cmは珍しくありません。

そこで、印をつける作業と、丈を決める作業を分けます。丈を決めるときは、靴を履いてまっすぐ立ち、裾をどこに止めたいかを「床からの高さ」という数字にします。印をつけるときは、ズボンを脱いで机か床に平らに置き、その数字を写します。こうすると、屈む動作が丈の判断に入りません。

手順は3つのどれかで足ります。丈がちょうどいい手持ちの1本があるならそれを写す。無いなら壁にテープを貼って床からの高さを測る。最後に、縫う前の仮止めの段階でだけ鏡の前に立って確かめる。この順で進めると、一人でも人に手伝ってもらったときとほとんど変わらない丈になります。

はいたまま印をつけると、なぜずれるのか

もう少し詳しく見ておくと、どこを避ければいいかがはっきりします。ずれの原因は3つあります。

1つ目は、さきほどの屈む姿勢です。裾を見ようとして上半身を前に倒すだけで、腰まわりの生地が引っ張られて、裾は上がります。座り込んで裾をつまむと、さらに大きく上がります。

2つ目は、鏡の角度です。全身が映る鏡の前に立って裾を見ると、目の高さから足元を見下ろすことになります。上から見下ろすと、裾は靴の甲にかぶって見え、実際より長く感じます。長く見えるので、もっと短くしようとして折り込みすぎる。こうして、二重に短くなります。

3つ目は、靴を履いていないことです。家の中で裾上げを始めると、つい裸足か靴下のまま印をつけてしまいます。靴にはかかとの高さがあり、甲の厚みもあります。裸足でちょうどいい丈は、靴を履くと足首が出すぎる丈です。外で合わせる靴を一足、玄関から持ってきて、部屋の中で履いてください。底を拭くか、新聞紙を一枚敷けば十分です。

この3つを外すと、残るのは「まっすぐ立って、靴を履いて、横から見る」という条件です。一人でこの条件を満たせるのが、床からの高さを測る方法です。

用意するもの

特別な道具はいりません。家にあるもので足ります。

  • メジャー(布のものが扱いやすい)
  • マスキングテープか付箋(壁に印をつけるため)
  • チャコペンか、消えるタイプの印つけペン(無ければ細い石けんのかけら)
  • まち針かクリップ(5〜6本)
  • いちばんよく合わせる靴を一足
  • 丈がちょうどいい手持ちのズボン(あれば)
  • 床に置ける平らな場所(机でも床でもよい)

ポイントは靴です。秋冬はブーツ、スニーカー、ローファー、パンプスと、合わせる靴が季節で変わります。「この秋冬にいちばん多く合わせる一足」を一つ決めてから始めてください。決めかねる場合の考え方は、あとの「どちらとも取れるとき」で書きます。

方法1|丈がちょうどいい手持ちの1本から写す

いちばん確実で、いちばん早い方法です。いまはいていて、丈に不満がないズボンが1本あるなら、それを物差しにします。

まず、ちょうどいい1本と、裾上げしたい1本を、それぞれ縦半分に折ります。前の中心の折り目と、後ろの中心の縫い目が重なるように折ると、脚1本ぶんの形になります。

次に、2本を重ねて平らに置きます。そろえる位置は、ウエストではなく股の縫い目が交わる点です。ウエストでそろえると、股上の深さがちがう2本では裾の位置がずれます。股の点をそろえて、そこから下に伸びる内側の縫い目、つまり股下の線を重ねてください。

股下の線をそろえたら、ちょうどいい1本の裾の端の位置に、裾上げしたい1本の方へチャコで印をつけます。これが仕上がり線です。両脚とも同じように印をつけます。

ここで1つだけ気をつけることがあります。2本の裾幅のちがいです。裾幅が細いズボンは、同じ長さでも足首が見えやすく、短く見えます。裾幅が広いズボンは、裾が靴の甲にかぶって長く見えます。2本の裾幅の差が2cm以上あるときは、細い方に印をつける場合は5mmほど長めに、広い方に印をつける場合は5mmほど短めに寄せると、見た目の丈がそろいます。

もう一つ、ちょうどいい1本が「どの靴で」ちょうどいいのかを思い出してください。いつもスニーカーではいている1本を物差しにして、裾上げしたい1本をブーツで合わせるなら、写した印のままでは合いません。その場合は方法2に進みます。

方法2|壁と床にテープを貼って、床からの高さを測る

ちょうどいい1本が無いとき、または合わせる靴がちがうときの方法です。壁を物差しにします。

まず、合わせる靴を履き、裾上げしたいズボンをはいて、壁の横に立ちます。壁に背中を向けるのではなく、壁に体の横側を向けて立ってください。かかとの後ろが壁から10cmほど離れるくらいが、測りやすい位置です。

次に、裾を内側に折り込んで、止めたい高さを探します。このとき屈まないことが大事です。片手でズボンの裾を持ち上げて折るのではなく、裾の内側に指を入れて、立ったまま少しずつ折り込んでいきます。見えにくければ、スマホのカメラを床に置いて、かかとの横から撮ってください。画面で見るほうが、鏡を見下ろすよりずっと正確です。

止めたい高さが決まったら、裾の下端がかかとの後ろで床から何cmのところにあるかを、壁にテープを貼って写します。テープの位置を床からメジャーで測れば、それが「床からの高さ」です。たとえばかかとの後ろで床から2cm、というように数字で控えておきます。

最後に、ズボンを脱いで平らに置きます。靴を脱いだ状態で、床からの高さを足しても意味がないので、ここでは別の数字を使います。はいた状態で、股の縫い目からかかとの後ろまでの長さ、つまり股下を測っておき、そこから床からの高さを引いた数字を、脱いだズボンの股下の線に沿って測ります。一人で股下を測るのが難しいときは、立った状態で、股の高さの壁にもう一枚テープを貼り、床からの長さを測ってから靴のかかとの厚みを引くと出せます。

数字が2つになって面倒に感じたら、こう考えてください。壁のテープ2枚の間の長さが、そのまま仕上がりの股下です。股の高さのテープから、裾を止めたい高さのテープまでを測れば、それをズボンに写すだけで済みます。

方法3|鏡の前で仮止めし、立ったまま横から確かめる

方法1か2で印をつけたら、すぐに切らず、まち針かクリップで仮止めします。折り目に沿って裾を内側に折り、4〜5か所留めてください。

仮止めしたら、もう一度靴を履いて、鏡の前ではなく、スマホのカメラで横から撮ります。撮る位置は床から20cmほどの高さです。椅子の脚に立てかけるか、本を何冊か積んでその上に置くと、自分で屈まずに撮れます。

見るのは3つです。かかとの後ろで、裾が床に触れていないか。正面から見て、足首の骨が出すぎていないか。歩いたときに、裾が靴の甲に乗って折れ目がいくつできるか。この3つが思ったとおりなら、印は合っています。合っていなければ、仮止めの針を外して、5mm単位で動かしてください。

鏡を使ってはいけないわけではありません。鏡は全体の釣り合いを見るのに向いていて、裾の高さを見るのには向いていない、というだけです。全体を見るときは鏡、裾の高さを見るときは横から低い位置で撮った写真、と使い分けます。

床からの高さの決め方:靴と裾幅で考える

ここまでは「止めたい高さ」が決まっている前提で書いてきました。実際には、その高さをどこにすればいいかで迷う方が多いはずです。比べる軸を表にしておきます。

靴とズボンの組み合わせかかとの後ろで見る位置考え方
スニーカー×細めのパンツ靴の上端に裾が触れるか触れないか足首が少し見えると軽い
スニーカー×ワイドパンツ床から1〜2cm裾が靴の甲にかぶる長さで落ち着く
ローファー×まっすぐなパンツかかとの上端から1cmほど下靴下を見せるかで前後させる
パンプス×ワイドパンツ床から0.5〜1cmかかとが隠れて脚が長く見える
ショートブーツ×細めのパンツブーツの口に裾がかぶる筒と裾のすき間を作らない
ショートブーツ×ワイドパンツ床から1〜2cmブーツが裾に隠れる

表は答えではなく、どこを見るかの目安です。同じ組み合わせでも、脚の長さに対する裾幅の広さや、生地の落ち方で、ちょうどいい位置は前後します。表の位置から始めて、方法3の写真で確かめてください。

秋冬に多いのは、ショートブーツと合わせる丈です。ブーツの筒とズボンの裾の間にすき間ができると、そこだけ肌か靴下が見えて、足元が分断されます。細めのパンツなら、裾をブーツの口にかぶせる長さにする。ワイドパンツなら、ブーツ全体が裾に隠れる長さにする。どちらにするかを先に決めると、床からの高さも決まります。靴のかかとと裾幅から丈を考える方法はスラックスの裾上げにも書いています。

前と後ろで差をつけるか

裾上げを自分ですると、前も後ろも同じ高さで折ることになりがちです。けれど、まっすぐ立ったときの裾は、前が靴の甲に乗り、後ろはかかとの上に落ちます。前と後ろを同じ長さで折ると、前は甲に当たって折れ、後ろは短く見えます。

目安として、前は後ろより5〜10mm長く残すか、後ろを前より5〜10mm長く残すかのどちらかに寄せます。どちらに寄せるかはズボンの形で決まります。細めのパンツは、後ろを長めにすると、かかとの上に裾がかかってきれいに落ちます。ワイドパンツは、前後の差をつけずにまっすぐ切るほうが、裾の線がそろって見えます。

一人で前後の差をつけるのは難しく感じるかもしれません。平らに置いたズボンの裾の印を、外側の縫い目と内側の縫い目の位置で止め、その間をなだらかな線でつなぐだけです。前の中心では印から5mm下、後ろの中心では印のまま、というように2点を決めて、間をつなぎます。

迷ったら差をつけないでください。差をつけずにまっすぐ切っても、大きく失敗することはありません。差をつけすぎると、横から見たときに裾が斜めに見えて、かえって気になります。

左右の脚の長さがちがうとき

人の脚は、左右でわずかに長さがちがうことがよくあります。片方の肩にいつもバッグをかける人や、片足に重心をかけて立つ癖がある人は、立ったときの裾の高さが左右で数mmずれることがあります。

一人で裾上げするときに、片脚だけ印をつけて、もう片脚にその印を写すと、このずれが仕上がりに出ます。方法2で測るときは、必ず両脚とも壁に向けて測ってください。右脚を壁に向けて1回、体の向きを変えて左脚を壁に向けて1回です。

左右の差が5mm以内なら、長い方に合わせて両脚を同じにします。5mmのちがいは、歩いているときにはほとんど見えません。5mmを超えるときは、左右で別の印をつけます。ただし、左右で別の印にするのは、立ち方の癖ではなく本当に脚の長さがちがうときだけです。測るときは、両足に同じだけ体重をかけて、かかとをそろえて立ってください。

測った数字は、次の1本のために残しておく

左右を測って丈が決まったら、その数字をメモに残しておいてください。合わせた靴、床からの高さ、仕上がりの股下、左右の差。この4つを書いておくだけで、次に別のズボンを裾上げするとき、壁にテープを貼る手順を省けます。

同じ靴に合わせるズボンなら、仕上がりの股下はほとんど同じです。裾幅がちがうときだけ、方法1で書いたように5mmほど前後させれば足ります。メモがあれば、新しいズボンを買った日に、脱いだまま平らに置いて印をつけるところから始められます。

靴を買い替えたときは、かかとの高さが変わるので、床からの高さを測り直してください。秋冬の靴は、同じ形でも底の厚みがちがうことがあります。古い数字のまま印をつけると、新しい靴で足首が出すぎたり、裾が床に擦れたりします。

どちらとも取れるとき:迷ったら長い側に寄せて、2日はいてから縫う

ここがいちばん大事なところです。丈を決めるとき、2つの位置のどちらでも良さそうに見えて、決めきれないことがあります。理由は大きく分けて6つあります。

1つ目は、合わせる靴が2足あるときです。たとえば、スニーカーでも、少しかかとのあるショートブーツでもはきたい。この場合は、かかとの高い方の靴で決めてください。低い靴を履いた日は、裾が床に触れないかだけを確かめます。逆に低い靴で決めると、高い靴の日に足首が出すぎて、靴とズボンの間が空きます。2足のかかとの差が3cmを超えるなら、1本で両方に合わせるのは無理があります。どちらの靴でよくはくかを考えて、そちらで決めます。

2つ目は、細めにはくかワイドにはくかで丈の印象が変わる、ゆとりのある形のズボンです。こうしたズボンは、裾の長さで印象が大きく動きます。長くすると落ち着き、短くすると軽く見えます。どちらがいいかは、上に何を着るかで決まります。秋冬にニットやコートを合わせて上半身に量が出るなら、長めにして下半身の量とつり合わせるほうが落ち着きます。

3つ目は、洗うと縮むかもしれない生地です。綿や麻が多く、まだ一度も洗っていないズボンは、洗ったあとに1〜2cm短くなることがあります。この場合は、一度洗って乾かしてから印をつけるのがいちばん確実です。すぐにはきたいなら、縮むぶんを見込んで長めに残し、洗ったあとにもう一度詰める前提にします。

4つ目は、秋冬にズボンの下へタイツや厚い靴下を重ねるかどうか、決めていないときです。ズボンの下に厚手のタイツをはくと、脚まわりに厚みが出て、生地がわずかに持ち上がります。厚い靴下をはくと、足首と甲がふくらんで、裾が靴の甲に乗る位置が変わります。ちがいは数mmですが、くるぶしの骨のあたりで裾を止めたい細めのパンツでは、その数mmが見た目に出ます。冬のあいだ、重ねてはく日が多いなら、丈を決めるときも重ねた状態で測ってください。重ねる日と重ねない日が半々なら、重ねた状態で決めておくと、重ねない日に少し長く感じる程度で済みます。逆に、重ねない状態で決めると、重ねた日に裾が上がって足首が出すぎます。

5つ目は、ズボンをウエストのどこではくか、日によって変わるときです。腰骨の上ではく日と、ウエストの高い位置ではく日では、裾の高さが1〜2cm変わります。上にニットを着てウエストを隠す日は低めに、シャツを入れてウエストを見せる日は高めに、というように、はく位置が変わるのは珍しくありません。この場合は、いちばんよくはく位置で決めてください。決めた位置を忘れないように、ウエストのベルト通しのどこに合わせたかを覚えておくと、仮止めで確かめるときにも同じ条件で見られます。

6つ目は、単純に「どちらも良く見える」ときです。このときは、長い側に寄せてください。理由ははっきりしていて、長い丈はもう一度詰められますが、短くした丈はもう戻せないからです。

長い側に寄せたら、すぐには縫わず、まち針かクリップ、あるいはしつけ糸で仮止めしたまま、2日はいてみてください。家の中だけでなく、近所への買い物や駅までの往復など、実際に歩く場面ではくのが理想です。歩いてみて、裾が床に擦れる、かかとで踏む、と感じたら5mm上げます。何も気にならなければ、その丈で縫います。

仮止めのまま外に出るのが不安なら、裾上げテープを仮に貼る方法もあります。アイロンを軽く当てて仮に留め、気に入らなければ温めてはがせるタイプなら、丈を決める段階の仮止めに使えます。

印から裁つ位置までの計算

丈の印、つまり仕上がり線が決まったら、次は裁つ位置です。仕上がり線から下に、折り代を残して切ります。

折り代は、縫い方と生地の厚みで変わります。目安は次のとおりです。

縫い方残す折り代
裾上げテープ3cm前後
手でまつり縫い4cm前後
秋冬の厚い生地4〜5cm
元の裾の始末を残す切らずに内側へ折り上げる

折り代を短くしすぎると、はいているうちに裾がめくれて、内側が見えます。長すぎると、裾が重くなって落ち方が変わります。迷ったら長めに残してください。あとから切ることはできても、足すことはできません。

切る前に、もう一度だけ両脚の印を見比べます。平らに置いたズボンを二つ折りにして、両脚の裾を重ねてください。印がそろっていれば、左右の丈は同じです。ずれていたら、さきほどの左右の測り方に戻ります。

もし元の裾の始末がきれいで、切りたくないときは、切らずに内側へ折り上げる方法もあります。ただし、折り上げる量が5cmを超えると、裾が厚くなって段差が出ます。秋冬の厚い生地では、3cmを超えたあたりから段差が気になり始めます。その場合は切るほうがきれいに仕上がります。

印をつけた後、縫う前の確かめ方

縫い始める前に、3つのことを確かめると、やり直しがぐっと減ります。

1つ目は、印が両脚とも同じ高さにあるか。二つ折りにして重ねる方法で確かめます。

2つ目は、外側の縫い目と内側の縫い目の位置で、印が直角に引かれているか。印が斜めだと、仕上がったときに裾がねじれて見えます。ズボンを平らに置いて、縫い目に対して直角になるように、定規か本の角を当てて線を引き直してください。

3つ目は、仮止めの状態で一度はいてみたか。方法3で確かめた丈から、平らに置いて印をつけ直しているうちに、数mmずれることがあります。縫う直前にもう一度だけ靴を履いて、横から写真を撮ってください。

この3つを確かめたら、縫い始めます。縫い方ごとの手順はズボンの裾上げを簡単にとズボンの裾上げをミシンでを見てください。

秋冬の厚い生地で気をつけること

秋冬のズボンは、ウール混や起毛した生地、コーデュロイ、厚手のデニムなど、生地に厚みがあるものが多くなります。厚い生地は、印のつけ方そのものは同じでも、いくつか気をつけることがあります。

まず、チャコの線が見えにくいことです。起毛した生地やコーデュロイは、表面の毛に線が埋もれます。チャコで線を引くかわりに、まち針を横向きに刺して印にするか、細く切ったマスキングテープを貼って印にしてください。テープは生地を傷めにくく、はがしやすい弱いものを使います。

次に、折り返したときの厚みです。厚い生地を折り返すと、折り目のところで生地がふくらみ、仕上がり線より少し下で折れてしまうことがあります。折る前に、仕上がり線に沿ってアイロンを当てて折り目をつけておくと、狙った位置で折れます。アイロンを当てるときは、当て布をして、生地をつぶさないように軽く押さえます。

それから、縦の縫い目の重なりです。裾を折り上げると、外側と内側の縫い目のところで、生地が何重にも重なります。厚い生地ではここが固くなって、針が通りにくくなります。折り代の中の縫い代を、裾の近くだけ割って平らにしておくと、重なりが減ります。

最後に、厚い生地は伸び縮みが少ないぶん、丈の失敗がそのまま見た目に出ます。迷ったら長い側に寄せる、という原則は、厚い生地ほど大切です。

ズボンの形と生地で変わる、印のつけ方の注意

ここまでの手順は、どのズボンにも使えます。けれど、ズボンの形や生地によって、印をつけるときに気をつけることが少しずつちがいます。自分が裾上げしたいズボンに当てはまるものだけ読んでください。

伸びる生地のズボン

ストレッチの入った生地は、はいたときと脱いだときで長さが変わります。はくと縦に少し伸び、脱ぐと縮みます。平らに置いて印をつけるとき、生地を引っ張りながら置くと、伸びた状態で印をつけることになり、仕上がりが短くなります。

平らに置くときは、生地を引っ張らず、手のひらで軽くなでて、しわだけを伸ばしてください。メジャーを当てるときも、生地を押さえつけないようにします。伸びる生地ほど、仮止めのまま2日はく手順が効いてきます。はいているうちに生地がどれだけ伸びるかは、置いたままでは分からないからです。

前に折り目がついているズボン

前の中心に折り目がついたズボンは、その折り目を基準に印をつけます。方法1で2本を重ねるときも、折り目どうしをそろえてください。

折り目のあるズボンは、裾の線がまっすぐに見えることが大事です。前後の差をつけるなら、折り目の位置で前の印を決め、そこから脇の縫い目に向けてなだらかにつなぎます。折り目の線が裾で途切れずに靴の甲まで落ちていると、脚がまっすぐ長く見えます。裾上げのあと、折り目をアイロンで裾までつけ直すと、仕上がりがきれいにそろいます。

裾にスリットや折り返しがあるズボン

裾の脇に切れ込みが入っているズボンや、裾を外側に折り返したズボンは、元の裾の形を残すかどうかで手順が変わります。

切れ込みを残したいなら、裾から詰めずに、切れ込みの上の位置で詰める方法がありますが、一人で家でするには手間がかかります。切れ込みを無くしてもいいなら、通常どおり印をつけて切ります。

外側の折り返しを残したいなら、折り返しの幅を先に決めてから、仕上がり線を出します。折り返しの幅は、元の幅に合わせるのが無難です。折り返しの上の端が仕上がり線になるので、折り返しの幅の2倍と縫い代を足して、裁つ位置を決めます。迷ったら、折り返しは無くしてまっすぐな裾にするほうが、一人でも失敗しにくくなります。

ワイドパンツ

ワイドパンツは、裾が広いぶん、床からの高さの数mmのちがいが目立ちにくい反面、前後の差をつけると裾の線が乱れて見えます。前後の差はつけず、まっすぐ切ってください。

もう一つ、ワイドパンツは歩くと裾が大きく揺れます。立って止まっているときにちょうどいい長さでも、歩くと裾が靴のかかとに当たって汚れることがあります。立ったときに床から1cmほど離れているかを、かかとの後ろで確かめてください。

厚手のデニム

厚手のデニムは、元の裾の縫い目に特徴があることが多く、切ってしまうと見た目が変わります。元の裾を残したいなら、切らずに内側へ折り上げて詰める方法か、元の裾を切り離して付け直す方法があります。

付け直す方法は、印のつけ方が少し変わります。元の裾の縫い目の幅を測っておき、仕上がり線から上に、その幅のぶんだけ詰める量を計算します。手間はかかりますが、元の裾の色落ちや縫い目がそのまま残るので、仕上がりの違和感がありません。

一人でやるときの段取り

ここまでの手順を、作業の順に並べ直しておきます。所要時間は、慣れていなくても印をつけるところまでで20〜30分です。

  1. 合わせる靴を一足決めて、玄関から持ってくる
  2. ちょうどいい丈のズボンがあれば、方法1で印を写す。無ければ方法2で壁にテープを貼って測る
  3. 左右の脚を両方とも測る
  4. 印に沿って裾を折り、まち針で仮止めする
  5. 靴を履いて、床から20cmの高さからスマホで横を撮る
  6. 迷ったら長い側に寄せ、仮止めのまま2日はく
  7. 両脚の印を重ねて確かめ、折り代を残して切る
  8. 縫う

いちばん省きたくなるのは、6の「2日はく」です。けれど、自分で裾上げして後悔する人の多くは、ここを省いています。家の中で立って見たときと、外で歩いたときでは、裾の見え方が変わるからです。階段を上るとき、電車で座るとき、裾がどう動くかは、はいてみないと分かりません。

よくある行き違い

最後に、一人で裾上げをするときによくある行き違いをまとめます。

「鏡で見てちょうどよかったのに、短かった」。鏡を見下ろす角度と、屈んだ姿勢のせいです。裾の高さは鏡ではなく、低い位置から横を撮った写真で確かめてください。

「片脚だけ測って、もう片方に写したら、左右がずれた」。脚の長さや立ち方の癖で、左右の裾の高さはずれることがあります。両脚とも測ってください。

「裸足で丈を決めたら、靴を履いたら足首が出すぎた」。靴にはかかとの高さと甲の厚みがあります。必ず合わせる靴を履いて決めてください。

「洗ったら短くなった」。綿や麻が多い生地は、洗うと縮むことがあります。一度洗ってから印をつけるか、長めに残してください。

「折り代を少なくしたら、裾がめくれる」。縫い方と生地の厚みに合わせて、3〜5cmは残してください。

「前も後ろも同じに切ったら、前が甲に当たって折れる」。細めのパンツなら後ろを少し長めに、ワイドパンツならまっすぐ切ります。迷ったら差はつけません。

一人でする裾上げは、縫うことよりも、どこで切るかを決めることのほうが難しい作業です。けれど、屈んで印をつけることをやめて、床からの高さを数字にする。迷ったら長い側に寄せて、はいてから縫う。この2つを守れば、手伝ってくれる人がいない日でも、思ったとおりの丈に仕上がります。

よくある問い

Q. ズボンの裾上げを一人でするとき、印はどうやってつければいいですか
はいたまま屈んで印をつけると、腰が曲がって裾が上がり、短すぎる印になります。いちばんよく合わせる靴を履いて壁の前に立ち、かかとの後ろで床から何cmの高さに裾を止めたいかをテープで壁に写してください。脱いだあとにズボンを平らに置き、その数字を股下か裾の端から測って印にします。
Q. 丈がちょうどいいズボンが1本あります。それを使えますか
使えます。いちばん確実な方法です。丈がちょうどいい1本と、裾上げしたい1本を、股の縫い目をそろえて重ねて置き、ちょうどいい1本の裾の位置を写します。ただし裾幅が2cm以上ちがうときは、細い方が短く見えるので、細い1本は5mmほど長く残してください。
Q. 合わせる靴が2足あって、丈を決められません
かかとの高い方の靴で決めて、低い靴の日は裾が床に触れないかだけを確かめてください。2足のかかとの差が3cmを超えるなら、1本で両方に合わせるのは難しいので、どちらの靴でよくはくかで決めます。迷ったまま短い側に合わせると、高い靴の日に足首が出すぎます。
Q. 洗うと縮む生地かどうか、どう見分けますか
洗濯表示と素材表示を見てください。綿や麻が多いもの、まだ一度も洗っていないものは、洗ったあとに丈が1〜2cm縮むことがあります。この場合は、先に一度洗ってから印をつけるか、縮むぶんを見込んで長めに残します。
Q. 裾上げテープと手で縫うのでは、印のつけ方は変わりますか
印の位置そのものは変わりません。変わるのは折り代です。テープは折り代を3cm前後に、手で縫うなら4cm前後に、厚い秋冬の生地なら5cm近く残すと、裾がめくれにくくなります。

— メグラシ編集部

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