セーターの毛羽立ちを直す|会議・会食・写真の予定がある日の前夜に

**明日着るつもりのセーターを1枚、黒い紙か黒い服の前に置いて、横から見てください。**表面の輪郭に沿って、細い毛がどれくらいの高さで立っていますか。
1mmに届かないなら、前夜にブラシを10回かけるだけで終わります。1〜3mmなら、湯気を当ててから寝かせる5分。3mmを超える長い毛が点々と出ているなら、それだけをハサミで切ります。表面が白く曇って見えるほど毛羽が密なら、直すより、明日の予定には別の1枚を回すほうが早いです。
セーターの毛羽立ちは、毛玉と違って、多くは切らずに寝かせれば直ります。毛玉を取るかどうかの判断は毛玉の取り方|生地を削らずに取れるかは、根元を引いた動きで決まる、毛玉を取る日の決め方は毛玉を取る方法、簡単なのはにあります。この記事は、毛玉になる前の毛羽を、会議・会食・写真といった秋冬の予定に合わせて整える話です。
結論|毛羽の高さで、前夜にやることを4つに分ける
直し方を決めるのは、毛羽の量より高さです。高さが分かれば、前夜に使う時間も決まります。
| 横から見た毛羽 | 前夜にやること | かかる時間 | 翌日の予定 |
|---|---|---|---|
| 1mm未満 | 洋服ブラシで一方向に10回 | 1分 | どの予定でも着られる |
| 1〜3mm | 湯気を当ててからブラシ | 5分 | どの予定でも着られる |
| 3mm超の長い毛が点々と | 長い毛だけハサミで切る | 3〜10分 | 近くで見られる予定は仕上げを見てから |
| 表面が白く曇るほど密 | 今季は役目を変える | ― | 上に何か重ねる日に回す |
**迷ったら、低いほうの手当てから始めてください。**ブラシで足りるものに湯気を当てても害は少ないですが、ブラシで足りるものをハサミで切ると、切った端がまた起きて毛羽が増えます。
測り方|黒い紙の前で、横から輪郭を見る
毛羽は、真正面から見ても分かりません。生地の表面と同じ色なので、背景に溶けてしまうからです。
- セーターを机に広げ、いちばん毛羽が多そうな場所を1か所選ぶ
- そこを軽くつまんで山にし、山の向こうに黒い紙か黒い布を立てる
- 目の高さを山の頂上に合わせ、横から輪郭を見る
- 輪郭から飛び出している毛の高さを、定規か爪の先の幅で比べる
爪の先の白い部分の幅が、だいたい1〜2mmです。それより短ければ1mm未満、爪の幅を越えるものが並んでいれば1〜3mm、ぽつぽつと長い毛が抜きん出ていれば3mm超と見て構いません。
| 輪郭の見え方 | 高さの目安 | 分け方 |
|---|---|---|
| 輪郭がくっきりして、うっすら霞がかかる程度 | 1mm未満 | ブラシだけ |
| 輪郭の外側に、細い毛の帯が見える | 1〜3mm | 湯気とブラシ |
| 帯の中から、ところどころ長い毛が飛び出す | 3mm超 | 長い毛を切る |
| 輪郭そのものがぼやけて、どこが表面か分からない | 帯が厚い | 役目を変える |
見る場所は、その服でいちばん毛羽が多い1か所だけで足ります。脇の下、袖口、肘、裾の前のどこかであることがほとんどです。そこが1mm未満なら、ほかの場所もそれより低いと見て、服全体をブラシで済ませて構いません。
**明かりは真上ではなく、横から低く当ててください。**夜なら机のスタンドを生地の高さまで下げると、毛羽が光って輪郭がはっきりします。白や淡い色のセーターは、黒い紙の代わりに紺や茶の布でも見えます。
毛羽と毛玉は、直し方が逆になる
同じ「表面が荒れた」状態でも、毛羽と毛玉では手の入れ方が逆です。
| 違い | 毛羽 | 毛玉 |
|---|---|---|
| 見た目 | 細い毛が表面から立っている | 毛が丸まって粒になっている |
| 触った感じ | 指の腹がふわっとする | 指に粒が当たる |
| 直す基本 | 寝かせる | 取る |
| 刃の道具 | 使わない | 使うことがある |
| 放っておくと | 絡んで毛玉になる | 周りの毛を巻き込んで大きくなる |
毛羽は、毛玉の一歩手前です。**毛羽の段階で寝かせておくと、毛玉になるまでの日数が延びます。**逆に毛羽を刃で刈ってしまうと、短い毛の端がたくさんでき、それが次の毛玉の芯になります。毛羽の段階で毛玉取り器を出さないのは、そのためです。
1mm未満|ブラシで寝かせるだけ
1mmに届かない毛羽は、洋服ブラシだけで整います。
- セーターを平らに置き、肩から裾へ、編み目の流れに沿ってブラシを当てる
- 力を入れず、ブラシの重さで表面をなでる程度に10回
- 袖は肩から袖口へ、同じ向きで5回ずつ
- 最後に、いちばん気になる場所だけもう5回
**往復させないでください。**上下に動かすと、寝かせた毛を逆向きに起こすことになります。ブラシは一方向に動かして、戻すときは生地から離します。
獣毛のブラシがあればいちばん向きますが、無ければ柔らかめの服用ブラシで構いません。硬いナイロンのブラシは、表面を引っかいて毛羽を増やすことがあるので、力をさらに弱めて使ってください。
1〜3mm|湯気を当ててから寝かせる
1mmを超えると、ブラシだけでは毛がまた起き上がってきます。先に湯気で毛をゆるめてから寝かせると、形が残りやすくなります。
- スチームアイロンを、生地から2〜3cm浮かせて持つ
- 生地には触れずに、湯気だけを10cm四方あたり3秒ほど当てる
- 湯気が冷める前に、ブラシで一方向に5回なでる
- そのまま平らな場所で15分ほど置き、湿り気を抜く
- 乾いたら、もう一度ブラシを3回
**アイロンを生地に押しつけないでください。**押しつけると毛羽が寝るのではなく、表面がつぶれて光ります。黒や紺のセーターは、つぶれた部分だけがてかって見えます。
湯気を当てたあとに置く15分が大事です。湿ったまま畳むと、毛羽が寝た形ではなく、畳んだしわの形で乾きます。前夜にやるのは、この15分を寝るまでの時間に入れられるからです。
3mm超の長い毛|1本ずつ切る
表面から数本だけ長い毛が飛び出しているのは、編み糸の中から抜けかけた毛や、別の服から移った毛のことが多いです。
| 長い毛の出方 | 何が起きているか | 手当て |
|---|---|---|
| 同じ色の毛が点々と | 糸から抜けかけている | 根元から1本ずつ切る |
| 違う色の毛が付いている | 他の服から移った | 粘着ローラーで取る |
| 1か所に固まって出ている | 糸が切れかけている | 切らずに裏から様子を見る |
| 袖口や裾に集中している | こすれる場所 | 切ってから、着る日の当たりを減らす |
**切るときは、先の細いハサミで、表面すれすれの高さで切ります。**引っ張って抜くと、周りの毛まで引き出されて毛羽が広がります。
1か所から何本も固まって出ているときは、糸そのものが切れかけていることがあります。そこを切ると穴が開くことがあるので、裏返して糸の様子を見てから決めてください。
切る本数の目安は、10cm四方で10本までです。それを超えて長い毛が出ているなら、1本ずつ切っていくと時間がかかりすぎるうえ、表面の毛足が不ぞろいになります。その場合は、湯気とブラシで寝かせて長い毛を表面に沿わせてから、なお立っているものだけを切ると、切る本数がぐっと減ります。
表面が白く曇っている|直すより役目を変える
毛羽が密になると、セーター全体が白っぽく、一枚薄い膜をかぶったように見えます。濃い色のセーターほどはっきり出ます。
この段階では、ブラシと湯気で一時的に寝かせても、半日着ればまた戻ります。予定の前夜に直そうとするより、その1枚を「上に何かを重ねる日」に回すほうが、手間も気持ちも楽です。
| 役目 | 向く日 | 見える場所 |
|---|---|---|
| コートを脱がない日の内側 | 通勤・買い物 | 襟元だけ |
| ジャケットの下 | 会議のない仕事の日 | 胸の前の一部 |
| 家で過ごす日 | 在宅・休日 | 家族だけ |
| 屋外の作業の日 | 庭・片づけ | ほとんど見られない |
曇りが出た服は、写真の日と、近い距離で人と向き合う予定には回さないでおきます。それ以外の日には、まだ十分に働きます。
家にある道具で足りる
新しく買いそろえなくても、たいていは家にあるもので直せます。
| 道具 | 使う毛羽 | 使い方 | 向かないもの |
|---|---|---|---|
| 洋服ブラシ | 1mm未満・1〜3mm | 一方向になでる | 往復させる使い方 |
| スチームアイロン | 1〜3mm | 生地から2〜3cm浮かせて湯気だけ | 押しつける |
| 先の細いハサミ | 3mm超の長い毛 | 表面すれすれで1本ずつ | 面で刈る |
| 粘着ローラー | 移った毛・浮いた毛 | 軽く転がすだけ | 何度も強く押す |
| 黒い紙 | 測るとき | 山の向こうに立てる | ― |
**毛羽の手当てで出番がないのは、毛玉取り器と食器用スポンジです。**どちらも表面を削る道具なので、毛羽の段階では毛を短くして増やしてしまいます。
前夜の5分の割り振り
予定のある前の晩、1〜3mmの毛羽を直すときの5分は、こう使います。
| 分 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜1分 | 黒い紙の前で、いちばん気になる場所を決める | 全体を見ない |
| 1〜2分 | その場所と、予定で見られる場所に湯気を当てる | 生地には触れない |
| 2〜3分 | ブラシで一方向に5回ずつ | 湯気が冷める前に |
| 3〜4分 | 長い毛があればハサミで切る | 表面すれすれ |
| 4〜5分 | 平らな場所に広げて置く | 畳まない |
**全体をやろうとしないでください。**明日の予定で人の目が向く場所だけで足ります。その場所が予定によって違うので、次の表から先に見てください。
朝ではなく前夜にやるのは、湯気の湿り気を抜く時間がとれるからです。朝に湯気を当てて、そのまま着て出ると、体温と外気で湿り気が抜けるときに毛がまた起きます。
前夜に手当てをしたセーターは、畳まずに椅子の背か平らな棚に広げたまま朝を待ってください。ハンガーに掛けると肩の辺りが伸びて、寝かせた毛がまた乱れます。朝は着る前にブラシを3回だけかけて、夜のうちに少し起きた毛を寝かせれば十分です。
| 朝にやること | 時間 | やらないこと |
|---|---|---|
| ブラシを一方向に3回 | 30秒 | 湯気を当てる |
| 長い毛が新しく出ていないか見る | 20秒 | 手で引き抜く |
| 濃い色の服と重ねる所をローラー | 30秒 | 強く何度も押す |
予定ごとに、見る場所が変わる
同じセーターでも、翌日の予定によって、人の目が向く場所は違います。前夜に手を入れるのは、そこだけで構いません。
| 予定 | 見られる場所 | 気にする毛羽 | 前夜にやること |
|---|---|---|---|
| 会議・面接 | 胸の前・袖 | 1mm以上 | 胸と袖に湯気とブラシ |
| 会食 | 肘・前身頃 | 長い毛 | 肘をブラシ、長い毛を切る |
| 写真を撮る日 | 肩と腕の輪郭 | 1mm以上すべて | 肩の線に湯気とブラシ |
| 式典・法事 | 黒い服と重なる所 | 移る毛 | 裾と袖口をローラー |
| 長い移動 | 鞄とベルトの当たり | 当日増える毛羽 | 出がけにブラシ |
| 家で過ごす | ― | ― | 何もしない |
会議・面接|近い距離で、蛍光灯の下
会議や面接は、机を挟んで1m前後の距離で、真上からの明かりの下に座ります。相手の目が向くのは、顔の下の胸の前と、机に置いた腕です。
**この距離だと、1mmを超える毛羽は、光を受けて輪郭がぼやけて見えます。**胸の前と、袖の前腕の外側だけは、前夜に湯気とブラシを入れておいてください。
| 会議の形 | 相手との距離 | 見られる場所 | 前夜の手当て |
|---|---|---|---|
| 机を挟んで向き合う | 1m前後 | 胸の前・前腕 | 湯気とブラシ |
| 大きな会議室で並んで座る | 2m以上 | 肩の輪郭 | ブラシだけ |
| 画面越しの会議 | 画面の中 | 胸から上 | 胸の前にブラシ |
| 立ち話・廊下での打ち合わせ | 50cm前後 | 胸と袖の全部 | 湯気とブラシ |
画面越しの会議は、実物より毛羽が写りにくい一方、窓を背にして座ると輪郭が光ります。部屋の明かりを正面から受ける位置に座るだけで、毛羽はほとんど映りません。
面接や改まった訪問の日は、毛羽の少ないセーターを選べるならそちらを選びます。選べないときは、上にジャケットを重ねて、胸の前の面を小さくしてしまえば、見える毛羽はほとんどなくなります。
会食|テーブルに置く肘と、膝の上
会食の日は、座っている時間が長く、テーブルに肘や前腕を置きます。
- 肘は、テーブルとこすれて、食事の間にも毛羽が増える
- 前身頃は、ナプキンや膝の上の布とこすれる
- 長い毛が料理の近くにあると、目につきやすい
会食の前夜にやるのは、肘のブラシと、長い毛を切ることの2つです。湯気は、座敷に上がるなど長く座る予定の日だけで構いません。
| 席の形 | こすれる場所 | 前夜に整える場所 |
|---|---|---|
| テーブル席 | 肘・前腕 | 肘と袖の外側 |
| 座敷 | 裾・背中・膝の上 | 裾と背中 |
| カウンター | 前腕・胸の前 | 袖と胸の前 |
| 立食 | 鞄の当たる脇腹 | 脇腹 |
当日、肘の毛羽を増やさないためには、テーブルに肘を直接つかず、前腕を軽く置く程度にしておくと、こすれる回数が減ります。座敷の日は、座布団から立ち上がるたびに裾が畳とこすれるので、裾の長いセーターより、腰骨の辺りで終わる丈のほうが毛羽が増えにくくなります。
写真を撮る日|逆光とフラッシュで毛羽が光る
写真は、目で見るより毛羽が目立ちます。窓を背にした逆光や、夜のフラッシュでは、肩と腕の輪郭に沿って毛羽が白く光り、体の線がぼやけて写ります。
| 写る状況 | 毛羽の写り方 | 前夜に見る場所 |
|---|---|---|
| 窓を背にした逆光 | 輪郭が白く光る | 肩・腕の外側 |
| 夜のフラッシュ | 表面全体が白っぽくなる | 胸の前 |
| 屋外の昼 | ほとんど目立たない | 手当ては軽くてよい |
| 室内の電球色 | 毛羽の影が出る | 袖 |
**写真の日だけは、1mm未満の毛羽も湯気とブラシで寝かせておきます。**集合写真や記念の写真を撮る予定があるなら、肩の線をいちばん丁寧に整えてください。
式典・法事|黒い服と重なる所
式典や法事の日に、黒いワンピースやジャケットの下にセーターを重ねることがあります。このとき問題になるのは、セーター自体の見た目より、黒い面に移る毛です。
- ジャケットの袖口から、セーターの袖口の毛が黒い面に移る
- 黒いスカートの腰の辺りに、セーターの裾の毛が移る
- 膝に置いた手から、黒い面に毛が移る
**前夜に、セーターの袖口と裾に粘着ローラーを軽く当てて、浮いた毛を先に取っておきます。**それから、黒い服のほうにもローラーをかけてください。当日は、小さな粘着ローラーか、粘着テープを輪にしたものを鞄に入れておくと、会場に入る前に払えます。
弔事の日は、そもそも毛羽の多い素材の重ね着を避けるほうが落ち着きます。服装の決まりは地域や家で違うので、迷うときは周りに合わせてください。
慶事の式に出る日も、考え方は同じです。淡い色のワンピースの上に濃い色のセーターを羽織ると、今度はセーターの毛がワンピースの肩や背中に移ります。式の間ずっと羽織っているなら問題になりにくいのですが、会場で脱いで椅子の背に掛けると、戻ったときに背もたれに当たっていた面に毛が付いています。脱ぐ予定がある日は、セーターより表面のなめらかな羽織りを選ぶほうが、会場で気にする回数が減ります。
学校行事・七五三|屋外で子どもを抱く日
秋の学校行事や七五三のお参りでは、屋外で長く立ち、子どもを抱いたり、しゃがんで目線を合わせたりします。セーターがこすれる相手が、鞄やテーブルではなく、子どもの服や髪になります。
| 動き | こすれる場所 | 起きること |
|---|---|---|
| 子どもを抱く | 胸の前・腕の内側 | 子どもの服の毛が移る |
| しゃがむ | 裾・背中 | 裾が膝や地面に触れる |
| 手をつないで歩く | 片方の袖口 | 袖口だけ毛羽が増える |
| 荷物を抱える | 前身頃の下半分 | 斜めに毛羽が出る |
**この日は、前夜に整えるより、当日増える前提で予定を組むほうが現実的です。**写真を撮る時間が決まっているなら、撮る前に小さなブラシで胸の前をなでる1分を取っておきます。子どもの服が毛足の長い素材なら、移る毛のほうが目立つので、粘着ローラーを一緒に持っていくと安心です。お参りの日の服装そのものは七五三の母親の服装は足元から決めるにまとめてあります。
長い移動の日|鞄とシートベルトの当たり
車や電車での移動が長い日は、同じ場所が長い時間こすれ続けます。その日のうちに毛羽が増える場所が決まっています。
| 移動 | 当たる場所 | 増え方 |
|---|---|---|
| 肩掛けの鞄で歩く | 鞄が当たる脇腹 | 1時間で目に見えて増える |
| 車の助手席・運転 | シートベルトが通る胸元 | 斜めの帯のように出る |
| 電車で座る | 背中と、ひじ掛けに当たる腕 | ゆっくり増える |
| 立って吊り革 | 脇の下 | 腕を上げている間に増える |
**長い移動の日は、前夜の手当てより、出先で整える準備のほうが効きます。**小さな洋服ブラシを鞄に入れておき、着いた先で当たった場所を一方向に数回なでれば、移動中に起きた毛羽は寝ます。
鞄を肩掛けから手持ちに替えるだけでも、脇腹の毛羽はかなり減ります。
濃い色の服と重ねる日|毛が移る組み合わせ
毛羽の多いセーターと、濃い色のパンツやコートを組むと、毛が移ります。移りやすさは、色の差と、面が触れ合う広さで決まります。
| セーターの色 | 重ねる服 | 移りやすさ | 前夜の手当て |
|---|---|---|---|
| 白・生成り | 黒のパンツ | とても目立つ | 裾をローラー、裾はパンツの中へ |
| 淡い灰 | 紺のコート | 目立つ | 袖口と背中をローラー |
| キャメル | 黒のスカート | 目立つ | 裾をローラー |
| 紺・黒 | 白のパンツ | 目立つ | 裾をローラー |
| 近い色同士 | ― | ほとんど目立たない | なし |
色の差が大きい組み合わせの日は、面の触れ合いを減らすのがいちばん早いです。裾をパンツに入れる、丈の短いセーターに替える、コートの前を開けて背中だけ触れるようにする、のどれかで移る量が減ります。
出先で気づいたとき
家を出てから毛羽に気づいたときは、湯気もハサミもありません。できることは限られますが、手でできることもあります。
- 手のひらを軽く湿らせて、一方向に表面をなでる。湿らせすぎない
- 長い毛は、指でつまんで引かず、そのままにしておく
- 移った毛は、粘着テープを指に巻いて軽く押し当てる
- 化粧室の手を拭く紙を1枚、乾いたまま一方向になでるのに使う
**指で長い毛を引き抜くのは避けてください。**周りの毛まで引き出して、その場所だけ毛羽が広がります。帰ってからハサミで切れば済みます。
| 鞄に入れておくもの | 大きさ | できること |
|---|---|---|
| 小さな洋服ブラシ | 手のひらに収まる | 当たった場所を寝かせる |
| 粘着テープ | 名刺入れほど | 移った毛を取る |
| 薄いハンカチ | ― | 湿らせてなでる |
| 替えの羽織り | 畳んで小さくなるもの | 毛羽の面を上から覆う |
予定の多い週は、この4つを通勤の鞄に入れたままにしておくと、前夜に手当てできなかった日の支えになります。
素材ごとの毛羽の出方
同じ手当てでも、素材によって直りやすさが違います。タグで素材を見てから手の強さを決めてください。
| 素材 | 毛羽の出方 | 直りやすさ | 手当ての強さ |
|---|---|---|---|
| ウール | ふんわり全体に出る | 湯気でよく寝る | 普通 |
| カシミヤなど細い獣毛 | 細く長い毛が出る | 寝るが戻りやすい | 弱く、回数を減らす |
| アンゴラ・モヘア | もともと毛足が長い | 寝かせすぎない | ブラシだけ |
| アクリル | 短く硬い毛羽 | 湯気で寝にくい | ブラシを軽く |
| 綿のセーター | 毛羽は少なめ | ブラシで十分 | 普通 |
| 混紡 | 弱い繊維の側で出る | 弱いほうに合わせる | 弱く |
アンゴラやモヘアのように、もともと毛足の長い糸は、毛羽があることが持ち味です。**この糸だけは、寝かせすぎると表情がなくなるので、長く飛び出した毛を切るだけにとどめます。**素材ごとの毛玉の扱いはセーターの毛玉の取り方は素材で変わるにまとめてあります。
洗ったあとに毛羽が立つとき
洗った直後に、急に毛羽が立って見えることがあります。洗うときの水の動きで、表面の毛がほぐれて起き上がるからです。
| 洗ったあとの様子 | 考えられること | 手当て |
|---|---|---|
| 全体がふんわり起きた | 乾かし方で毛が立った | 乾いてからブラシ |
| 一部だけ強く起きた | 洗うときにこすれた | 湯気とブラシ |
| 縮んで毛羽が詰まった | 水の温度や揉み方 | 縮みの戻し方を先に |
**洗った日と、予定の前夜を重ねないでください。**洗ったばかりのセーターは、毛羽が落ち着くまでに1〜2日かかることがあります。予定の2日前までに洗っておけば、前夜の手当てが軽く済みます。洗う回数の決め方はニットの洗い方にあります。
10月から2月までの予定表
毛羽の出方は、季節の予定で変わります。どの時期に何をしておくと楽になるかを、先に並べておきます。
| 時期 | 多い予定 | 毛羽の出方 | やっておくこと |
|---|---|---|---|
| 10月 | 衣替え・行楽 | 仕舞っていた間の折り目で起きる | 出した日に1回ブラシ |
| 11月 | 仕事の会議・七五三・式 | 着る回数が増えて出始める | 予定の前夜に湯気とブラシ |
| 12月 | 会食・年末の集まり | 肘と前身頃に増える | 会食の前夜に肘を整える |
| 1月 | 帰省・長い移動・写真 | 鞄とベルトの当たり | 小さなブラシを持ち歩く |
| 2月 | 着る回数が最も多い | 曇りが出始める | 役目を変える1枚を決める |
**10月に衣替えで出した日に、全部の毛羽を直そうとしなくて構いません。**1回ブラシをかけて、仕舞っていた間の折り目を寝かせておくだけで、11月の前夜の手当てが軽くなります。
手帳やカレンダーに、会議・会食・写真の予定が入った時点で、その前夜に「ブラシ」と一言書き足しておくと、忘れずに済みます。予定が続く週は、同じセーターを2回続けて着ないように、予定ごとに着る1枚を先に割り当てておくと、前夜の手当てが1枚で終わります。衣替えの日の段取りは毛玉を取る方法、簡単なのはにもまとめてあります。
どちらとも取れるとき①|1mmと3mmの間で、明日は会議
毛羽の高さが1mm前後で、ブラシだけにするか湯気まで当てるか迷うことがあります。
**翌日の予定が近い距離で人と向き合うものなら、湯気まで当ててください。**会議・面接・写真の日は、少し過ぎるくらいの手当てで釣り合います。逆に、コートを脱がない移動だけの日や、家で過ごす日なら、ブラシだけで十分です。
迷う時間があるなら、まずブラシだけかけて、もう一度黒い紙の前で横から見てください。輪郭から飛び出す毛が減っていれば、それで足ります。減っていなければ、湯気を足します。
どちらとも取れるとき②|ブラシをかけるほど毛羽が増える
ブラシをかけたのに、かける前より毛羽が立って見えるときは、手当ての向きか強さが合っていません。
| 起きていること | 見分け方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 往復させている | 毛が上下どちらにも向いている | 一方向だけにする |
| 力が強すぎる | 表面が引っかかれた跡のように見える | ブラシの重さだけで |
| ブラシが硬い | 毛羽が短く切れて見える | 柔らかいブラシか布に替える |
| 編み目の流れに逆らっている | 毛が斜めに起きる | 肩から裾の向きに揃える |
どれにも当てはまらないのに増えるなら、そのセーターは、表面の毛がすでに抜けやすくなっている可能性があります。**その場合は、ブラシの回数を減らし、長い毛を切るだけにとどめてください。**触る回数そのものを減らすほうが、表面が長く持ちます。
どちらとも取れるとき③|写真の日に、毛羽の多い1枚しかない
記念の写真を撮る予定があるのに、合わせたい色のセーターが、表面が曇り始めた1枚しかないこともあります。
**その1枚を着ると決めたなら、写る面を小さくしてください。**上にジャケットやカーディガンを重ねて、セーターが写るのを襟元と胸の一部にします。それだけで、フラッシュで白く光る面がかなり減ります。
重ねるものが無いときは、前夜に湯気とブラシで寝かせたうえで、撮る直前に手のひらを軽く湿らせて肩の輪郭をなでてください。写真は一瞬なので、その場で寝かせれば写るまでは持ちます。それでも気になるなら、写真の日だけ別の色の1枚を選ぶほうが、後で写真を見返したときに気にならずに済みます。
毛羽が立ちにくい着方とたたみ方
毛羽は、こすれる回数と、仕舞っている間の押され方で増えます。前夜の手当てを軽くするには、ふだんの着方で少し減らしておくのが近道です。
| 場面 | 毛羽が増える理由 | 減らし方 |
|---|---|---|
| 同じセーターを続けて着る | 繊維が休まらない | 1日着たら1〜2日休ませる |
| 脱いだあとすぐ畳む | 体温と湿り気が残る | 一晩広げて置いてから畳む |
| ハンガーに掛ける | 肩が伸びて表面が乱れる | 畳んで仕舞う |
| 引き出しに詰める | 押されて毛が寝た形で固まる | 重ねる枚数を減らす |
| 濃い色と重ねて仕舞う | 毛が移る | 色の近いもの同士で重ねる |
脱いだ夜にブラシを1回かけてから仕舞う習慣があると、次に着る前夜の手当てがほとんど要らなくなります。着たあとの1分が、着る前の5分を減らします。仕舞っておく間の虫食いの備えは衣類の防虫剤とニット・ウールの保管にあります。
まとめ
- 黒い紙の前で、横から輪郭を見て毛羽の高さを測る
- 1mm未満はブラシだけ、1〜3mmは湯気を当ててからブラシ、3mm超の長い毛は1本ずつ切る
- 表面が白く曇るほど密なら、今季は上に重ねる日の1枚に回す
- 毛羽の段階では、毛玉取り器や食器用スポンジは使わない
- 手を入れるのは、翌日の予定で人の目が向く場所だけ
- 手当ては前夜に。湯気の湿り気を抜く15分を寝るまでの時間に入れる
明日の予定を思い浮かべて、その予定で見られる場所を1か所だけ、黒い紙の前で横から見てみてください。1mmに届かなければ、ブラシを10回かけて今夜は終わりです。
関連記事
よくある問い
- Q. セーターの毛羽立ちは直せますか
- 多くは直せます。毛羽立ちは、繊維の端が表面から起き上がっている状態で、毛玉のように丸まって絡んでいるわけではありません。起き上がった毛を一方向に寝かせれば、見た目はほぼ元に戻ります。直しにくいのは、表面全体が白っぽく曇るほど毛羽が密になっている場合と、繊維が途中で切れて短く立っている場合です。黒い紙の前で横から見て、毛羽の高さが3mm以内なら、ブラシと湯気で整えられることがほとんどです。
- Q. 毛羽立ちは毛玉取り器で取ってもいいですか
- 毛羽だけの段階では、毛玉取り器は使わないほうが生地が長く持ちます。刃が起き上がった毛を短く切るので、その場では平らになりますが、切れた端がまた起きて、次の毛羽と毛玉の芯になります。毛玉取り器を出すのは、毛羽が丸まって小さな玉になり始めてからで十分です。それまではブラシで寝かせ、長く飛び出た毛だけをハサミで1本ずつ切ってください。
- Q. 明日は大事な会議なのに、朝になって毛羽に気づきました
- 朝は湯気を使わず、洋服ブラシで上から下へ一方向に10回ほどなでるだけにしてください。湯気を当てると湿り気が残り、乾くまでの間にかえって毛羽が起きやすくなります。長く飛び出た毛が数本だけなら、ハサミで根元から切ります。それでも胸の前が気になるなら、上にジャケットやカーディガンを重ねて、会議の間は脱がない予定にしてしまうのがいちばん確実です。
- Q. 黒いパンツにセーターの毛が移ります
- 毛が移るのは、毛羽の多い面と濃い色の面が、座ったり歩いたりするたびにこすれるからです。前夜にセーターの裾と袖口をブラシで寝かせ、粘着ローラーで浮いた毛を取っておくと、移る量がかなり減ります。それでも移る組み合わせなら、その日はセーターの裾をパンツに入れる、丈の短いセーターに替える、パンツの色を明るくする、のどれかで重なる面を減らしてください。
— メグラシ編集部





