狭いクローゼットの収納|1着あたり何cmあるかで、入る枚数の上限が出る

狭いクローゼットで最初にやることは、収納用品を選ぶことではありません。いま何着ぶんの幅があるのかを、数字で出すことです。
やり方は一つです。パイプの端から端まで、実際に服を動かせる長さを測る。それを、いま掛けている着数で割る。 出てくるのが「1着あたり何cm」です。
この数字が2cmを下回っていると、1着取り出すたびに隣が2着動きます。動くと戻すのが面倒になり、戻さないまま重なっていきます。「片づかない」の正体は、たいていこの数字です。
狭いは3種類|幅・奥行き・高さのどれが足りないのか
同じ「狭い」でも、足りない場所によって打つ手が変わります。
幅が足りないとき、症状は詰まりです。取り出しにくく、戻しにくい。奥行きが足りないとき、症状は扉です。肩が前に出て、閉まりにくくなります。高さが余っているとき、症状は無駄です。掛けた服の下に、使われていない帯が残ります。
3つは同時に起きることもありますが、手は別々です。だから、最初に測るのは3つとも。時間にして5分です。
切り分けができていないまま用品を買うと、たいてい合いません。幅が足りない人が棚を足しても、掛ける幅は増えません。奥行きが足りない人が仕切りを足しても、肩は前に出たままです。 どこが足りないかを先に決めることが、いちばん時間の節約になります。
測る①|有効パイプ長 ÷ 着数
パイプの長さは、金具の内側から内側までを測ります。端の10cmは実際には使いにくいので、両端から5cmずつ引いた数字を有効長としてください。
有効長を、いま掛けている着数で割ります。割り算の答えが、この記事の主役です。
| 1着あたり | 起きること | 打つ手 |
|---|---|---|
| 2cm未満 | 1着出すと隣が2着動く | 掛ける枚数を減らす |
| 2〜3cm | 薄いものだけなら成立 | 厚いものを別の場所へ |
| 3〜5cm | 出し入れで隣が動かない | この帯を目標にする |
| 5cm以上 | 余っている | 別の区画から移してよい |
上限枚数を出す|有効長 ÷ 3cm
目標を1着あたり3cmに置くと、掛けられる上限枚数が出ます。有効長を3で割った数です。
有効長が90cmなら30着、120cmなら40着が上限です。ここに厚みのあるものが混ざるなら、その枚数だけ4cmで数え直してください。
出た上限と、いま掛けている枚数を比べます。超過分が、この記事で扱う「外に出す枚数」です。 超過が5着以内なら、掛け方の工夫で吸収できます。10着を超えるなら、置き場所そのものを変える話になります。
ここで出る数字は、多くの場合、想像より小さくなります。有効長が1メートルあっても、掛けられるのは30着ちょっとです。全部を掛けようとしていた前提のほうが、無理をしていたということになります。
測る②|奥行き45cmが、肩が前に出る境目
有効奥行きは、壁から扉の内側までの、実際に使える距離です。
45cmを下回ると、ハンガーに掛けた服の肩が前に出ます。 出た肩が扉に当たり、閉めるたびに服が押されます。押された服はしわになり、しわを直すために取り出し、戻すのが面倒になります。
手は2つです。肩の張り出しが小さいものだけを掛けて、それ以外は畳む側へ回す。あるいは、掛ける向きを横に変える。横向きは必要な奥行きが減りますが、掛けられる着数も減るので、幅の数字と合わせて決めてください。
奥行きは、扉の内側までではなく、扉を閉めたときに服が触れない位置までで測ります。折れ戸や開き戸は、閉まる途中で内側へ入り込む部分があります。その分を引かないと、測ったときは足りていたのに閉まらない、ということが起きます。
測る③|掛けた服の下端から、床までの余り
掛けたときにいちばん長いものの裾から、床までの距離を測ります。
この余りが40cmを超えているなら、使われていない帯があります。 40cm未満なら、下は何も置かないほうが出し入れの邪魔になりません。
余りに何かを置くなら、条件が2つあります。上の服の裾に触れないこと。そして、扉を開けた状態で正面から見えること。 見えない位置に置いたものは、そのうち開かなくなります。
超過分をどこへ出すか|順番は「畳んでも戻るか」
超過分を決めるとき、使う頻度で選ぶと失敗します。たまにしか着ないけれど形の崩れやすい一枚が外へ出てしまい、着たい日に使えないからです。
判定は、畳んでも形が戻るかどうか。 一度畳んで一晩置き、広げて確かめてください。しわが残るもの、肩の形が崩れるものは掛ける側に残します。戻るものは、引き出しや箱へ回せます。
この判定なら、季節が変わっても入れ替える必要がありません。形が戻るかどうかは、季節では変わらないからです。
判定する順番は、いちばん厚いものからにしてください。厚いものを1着外すと、薄いものを3着外すのと同じだけ幅が空きます。 枚数を減らすより、厚みを減らすほうが効きます。
外へ出す先が決まっていない段階で判定だけ進めると、床に山ができます。先に置き場所を1つ決めてから、判定を始めてください。 箱でも、引き出しの1段でも構いません。行き先があると、判定が止まりません。
外に出してはいけないもの|3つ
1つめは、次の2週間に着る予定があるもの。 予定があるものを外へ出すと、必ず戻すことになります。
2つめは、掛けていないと形が戻らないもの。 前の判定で残した側です。
3つめは、他の服と組み合わせて使うもの。 単独で完結しない一枚を離れた場所に置くと、組み合わせが浮かばなくなります。
この3つを除いた残りが、外へ出せる候補です。
候補が超過分に足りないときは、条件を緩めるのではなく、置き場所の側を探してください。 ベッドの下、部屋の隅、玄関の収納。クローゼットの外にも、季節の外れたものを置ける場所はあります。条件を緩めて掛ける側から出すと、着たい日に使えないものが出ます。
出したものは、どこに何を出したかを1行だけ書き残してください。書かずに出すと、次の季節に探すことになります。 紙でも、携帯のメモでも構いません。書く内容は「箱1・薄手の上着5枚」程度で足ります。
出したあと、1着あたりのcmをもう一度出す
超過分を外へ出したら、割り算をやり直してください。有効長は変わっていませんが、着数が減っているので数字が上がります。
3cmを超えていれば、そこで終わりです。 超えていなければ、まだ出す余地があります。ここで数字を確かめずに終わると、「片づけたのに使いにくい」という状態が残ります。
数字が5cmを超えた場合は、出しすぎです。別の区画から戻すか、掛ける側へ回せるものを戻してください。 余っている幅は、使われていない幅と同じです。
ハンガーの厚みも、1着あたりのcmに入っている
見落とされやすいのですが、掛けている幅にはハンガーそのものの厚みが含まれます。厚みのあるハンガーは、それだけで1着あたり1cm以上を占めます。
30着掛かっているなら、ハンガーの厚みだけで30cm前後を使っている計算です。 有効長が90cmしかないクローゼットでは、これは3分の1にあたります。
だからといって、全部を薄いものに替えればいいわけではありません。肩の形が崩れると、掛けている意味がなくなります。 薄くしていいのは、肩の張り出しが小さいものだけです。厚みのあるものは、肩を支える必要がある服にだけ使ってください。
種類を混ぜると、掛けたときの高さがそろわなくなります。高さがそろっていないと、下に空く帯が測れません。測るために揃える、という順番で考えると迷いません。
掛けるのをやめる判定|しわが戻るかで決める
「掛けるか畳むか」は好みの問題に見えますが、判定できます。畳んで一晩置いたあと、広げて30分でしわが戻るなら畳んでよい。 戻らないなら掛ける側です。
30分というのは、着る前に用意する時間の目安です。着る直前に広げて、そのまま出られる状態になるかどうか、と言い換えても構いません。
この判定で振り分けると、掛ける枚数が減ります。減った枚数のぶんだけ、1着あたりのcmが増えます。
二列にできる条件
奥行きが十分にある場合、前後で二列にする手があります。ただし条件が2つあります。
前列を動かさずに、後列の存在が分かること。 見えなくてもいいので、何が入っているかを思い出せる状態にしてください。そして、後列に入れるのは、季節が完全に外れているものだけ。 今月着る可能性があるものを後列に入れると、前列を毎回動かすことになります。
有効奥行きが45cmを下回るクローゼットでは、二列は成立しません。前列の肩が既に前へ出ているからです。
どちらとも取れるとき①|1着あたりが3cm前後
3cmちょうどのとき、詰まっているとも余裕があるとも言えます。この場合は、厚みの内訳を見てください。
厚いものが全体の3割を超えているなら、詰まっている側として扱う。 3割以下なら余裕がある側です。平均は同じでも、厚いものが偏って掛かっていると、その区画だけが詰まります。
どちらとも取れるとき②|奥行きが45cm前後
肩が当たる服と当たらない服が混ざる状態です。この場合は、当たるものだけを一か所にまとめて、扉のちょうつがい側から離してください。
扉は端のほうがよく閉まります。 当たるものを中央に寄せると、閉まらない場所が中央にできて、全体が押されます。
どちらとも取れるとき③|共用で、自分の幅が決まらない
共用の場合、まず境目を物理的に作ってください。印でも、仕切りになるもの1つでも構いません。
境目がないと、詰まった側が空いた側へ押し出されます。 そして押し出された側も詰まり、最終的にどちらの幅が足りないのか分からなくなります。区切ってから、自分の区画で1着あたりのcmを出してください。
2週間で確かめること
数字を出して並べ替えたあと、2週間だけ数えてください。数えるのは1つ、戻せなかった回数です。
脱いだあと、その日のうちに掛けられなかった回数を、指で数えるだけで構いません。2週間で3回を超えるなら、まだ幅が足りていません。1着あたりのcmを、あと0.5cm増やす方向で枚数を減らしてください。
0回か1回で収まっているなら、その状態が続きます。用品を足すのは、そのあとで構いません。
数える理由は、感覚が当てにならないからです。片づけた直後は、誰でも使いやすく感じます。 元に戻るかどうかは2週間で分かるので、そこまでは判断を保留してください。
狭いクローゼットは、広くはなりません。変えられるのは、掛けている枚数と、どこに何を置くかだけです。 そのうち、いちばん効くのが枚数で、しかも数字で出せます。用品を選ぶのは、この数字が3cmを超えてからで遅くありません。
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よくある問い
- Q. 狭いクローゼットに、収納用品を足してもいいですか
- 足す前に、いま何着ぶんの幅があるかを出してください。パイプの有効長を、掛けている着数で割ります。この数字が2cmを下回っているなら、用品を足しても入りません。用品はスペースを作るのではなく、既にある空間を区切るものだからです。数字が3cmを超えているのに使いにくいなら、それは幅ではなく奥行きか高さの問題なので、そちらを測ってください。順番を逆にすると、買った用品が入らないという結果になりやすいです。
- Q. 1着あたり何cmあれば足りますか
- 厚みによって変わりますが、薄いもので2cm、厚みのあるもので4cmが目安です。すべてを同じ幅で数えるとずれるので、掛けているものを厚い側と薄い側に分けて数えてください。全体の平均が3cmを超えていれば、詰まっている感覚は出にくくなります。2cmを下回ると、1着取り出すたびに隣が2着動きます。動くと戻すのが面倒になり、戻さないまま重なっていく、という流れになります。
- Q. 奥行きが浅くて、扉が閉まりにくいです
- 有効奥行きを測ってください。壁から扉の内側までの、実際に使える距離です。45cmを下回ると、ハンガーに掛けた服の肩が前に出ます。この場合の手は2つあります。ひとつは、肩の張り出しが小さいものだけを掛けて、それ以外は畳む側へ回すこと。もうひとつは、掛ける向きを正面ではなく横向きに変えることです。横向きにすると必要な奥行きは減りますが、掛けられる着数も減るので、幅の数字と合わせて判断してください。
- Q. 全部は入りません。何から外に出せばいいですか
- 使う頻度ではなく、畳んでも形が戻るかどうかで決めてください。畳んでしわが残るもの、肩の形が崩れるものは、掛ける側に残します。畳んでも戻るものは、外の引き出しや箱へ回せます。頻度で決めると、たまにしか着ないけれど形の崩れやすい一枚が外へ出てしまい、着たい日に使えません。形が戻るかどうかは、一度畳んで一晩置き、広げて確かめれば分かります。
- Q. 家族と一つのクローゼットを使っています
- 先に、自分が使える幅を数字で決めてください。共用で困るのは、境目が決まっていないために、詰まった側が押し出されることです。パイプに印をつけるか、仕切りになるものを1つ置いて、物理的に区切ります。区切ったうえで、自分の区画で1着あたりのcmを出します。共用の場合、区切らないまま増やすと、どちらの幅が足りないのかが分からないまま、両方が使いにくくなります。
— メグラシ編集部




