子ども部屋のクローゼット|段の高さは年齢ではなく身長で切る

子ども部屋のクローゼットが散らかるとき、足りていないのは収納用品ではありません。本人が自分で戻せる高さの外に、毎日使う物が置かれているだけです。
戻せない場所に置かれた物は、出したあと床に残ります。これは片づけの習慣の話ではなく、届くか届かないかという物理の話です。
だから、最初にやることは線を引くことです。床から3本。引いてしまえば、どこに何を置くかは自動的に決まります。
決めるのは、何を入れるかではなく高さ
収納の相談は「何をどこに入れるか」から始まりがちですが、順番が逆です。入れる物は季節で変わり、学年で変わります。変わらないのは高さのほうです。
高さを先に決めておくと、中身が変わっても仕組みが崩れません。中身に合わせて仕組みを作ると、中身が変わるたびに作り直しになります。
引く線は3本です。上限、下限、そしてパイプ。この3本で、クローゼットの中が3つの帯に割れます。
基準は年齢ではなく身長
同じ学年でも身長には幅があります。年齢で高さを決めると、届く子と届かない子が同じ設計になります。
測るのは1つだけです。まっすぐ立って腕を上げ、指先が無理なく届く高さ。 つま先立ちをしない、体を傾けない状態で測ります。多くの場合、身長のおよそ1.1倍から1.2倍のあいだに入ります。安全側をとって、1.1倍を上限の線とします。
身長120センチなら床から約132センチ、130センチなら約143センチ、140センチなら約154センチ。これがその子の手の届く天井です。
測るときは、実際にハンガーを1本持たせて、パイプに掛ける動作までやってもらってください。指先が届くことと、物を持った状態で操作できることは別です。ハンガーは掛けるときに一度上へ持ち上げるので、指先が届く高さより数センチ低い位置でないと掛けられません。**測るのは「届く高さ」ではなく「操作できる高さ」**です。
棚に物を置く場合も同じで、箱を持ち上げて水平に押し込む動作には、指先の高さよりゆとりが要ります。箱を使う棚は、上限の線からさらに10センチ下げておくと確実です。
線①|上限より上は、大人が管理する帯
上限の線より上は、本人が使う場所ではありません。ここに毎日使う物を置くと、毎回誰かに頼むことになり、頼めない日は床に置かれます。
上の帯に入れてよいのは3種類だけです。季節が違う服、サイズが合わなくなって次の子へ回す服、行事のときだけ着る一枚。取り出す頻度が月に1回未満のもの、と言い換えられます。
この帯は大人が出し入れするので、踏み台を置く必要もありません。踏み台を置くと、子どもが上の帯を使えるようになり、線が消えます。
線が消えると何が起きるかというと、上の帯にも毎日使う物が入り始めます。入れた本人は届くつもりでも、翌週には手が塞がっている日があり、その日から床に置かれるようになります。帯を分ける意味は、届かないことを不便にすることではなく、毎日の判断を減らすことにあります。
上の帯には、中身が分かる印を1つだけつけておくと管理が軽くなります。箱に文字を書くより、色を分けるほうが遠くから読めます。季節外れの服は1色、次の子へ回す服は別の色、というように、3つまでで足ります。
線②|床から15センチは使わない
下側にも線を引きます。床から15センチは、扉の開閉と掃除がぶつかる帯です。
引き戸なら、レールの手前に置いた物が扉に当たります。折れ戸なら、開いた扉の下端が通る場所です。開き戸でも、床に直置きした物は掃除のたびに動かすことになります。
ここに何も置かないと決めておくと、床が見えている状態が基準になります。床が見えていれば、落ちている物がすぐ分かる。 片づけの合図を、注意ではなく見た目で作れます。
例外は、キャスターのついた浅い箱です。これは押すだけで動くので、掃除のときに持ち上げる必要がありません。ただし高さは15センチ以内に収め、上に物を積まない形にしてください。積める形にすると、その上が新しい床になります。
もう1つ、床から15センチの帯には湿気がたまりやすいという事情もあります。扉を閉めた状態が続く場所では、下に置いた物ほど空気が動きません。ここを空けておくと、季節の変わり目に中身を見直す手間が減ります。
線③|パイプは、いちばん長い一枚で決まる
ハンガーパイプの高さは、掛ける服のうちいちばん長い一枚の丈に10センチ足した位置です。
10センチは、ハンガーの肩から掛かる分と、裾が床に触れないための余裕です。長い服が1枚しかないなら、その1枚を上の帯に移して、パイプ全体を下げたほうが使いやすくなります。
パイプの下に大きな空間が余ると、そこに箱が積まれます。積まれた箱は下のものが取り出せなくなり、結局出しっぱなしになります。余白は、余ったから使うのではなく、最初から作らない。
身長別の3本の線
3本を身長ごとに置きます。センチ単位の正確さは不要で、5センチ刻みで足ります。
| 身長 | 上限(床から) | 使わない帯 | パイプの目安 |
|---|---|---|---|
| 110センチ | 約120センチ | 床から15センチ | 90〜100センチ |
| 120センチ | 約132センチ | 床から15センチ | 100〜110センチ |
| 130センチ | 約143センチ | 床から15センチ | 110〜120センチ |
| 140センチ | 約154センチ | 床から15センチ | 115〜130センチ |
| 150センチ | 約165センチ | 床から15センチ | 125〜140センチ |
パイプの目安に幅があるのは、掛ける服の丈で変わるからです。この表は当てはめる表ではなく、自分で測った数字が大きく外れていないかを確かめるための表です。
掛けるか、たたむかの分かれ目
本人が使う帯の中で、掛ける場所とたたむ場所をどう配るか。分かれ目は、戻すときの手数です。
掛けるのは、ハンガーに通して吊るすまでが一動作で終わるもの。たたむのは、たたむ形が毎回同じになるもの。この2つに当てはまらない物は、たたまずに放り込める箱に入れます。
戻す手数が3つを超えると、戻す動作は続きません。ボタンを留めてから掛ける、袋に入れてから箱に入れる、といった手順は、本人が使う帯には置かないでください。手数の多い物は上の帯に移します。
手数を数えるときは、実際に一度やってみるのが確実です。ハンガーを取る、服を通す、パイプに掛ける。ここまでで3つです。ここに「ハンガーの向きをそろえる」を足すと4つになり、続かなくなります。向きをそろえたいなら、ハンガー側の形で自然にそろうものを選ぶほうが早く着地します。
たたむ場所については、たたみ方を1種類に固定してください。上に着るものも下に着るものも同じ折り方でよく、幅だけをそろえます。折り方が服ごとに違うと、たたむたびに考えることになり、そこで止まります。
どちらとも取れるとき①|きょうだいで身長差がある
1つのクローゼットを2人で使う場合、高い側に合わせると低い側が使えなくなります。必ず低い側に合わせます。
そのうえで、左右で区画を分けます。低い側の区画だけパイプを下げ、高い側の区画は上限の線まで使います。区画の境目は、床から天井まで通る1本の線として見えるようにしておくと、どちらの場所か迷いません。
上の帯は、2人ぶんの季節外れの服をまとめて置く共用の場所にします。ここは大人が管理する帯なので、身長差の影響を受けません。
どちらとも取れるとき②|大人と共用している
大人の服と同じクローゼットを使う場合、高さで分けるのがいちばん簡単です。上限の線から下を子ども、上を大人。
問題になるのは、大人の長い丈の服です。長い服はパイプを高く要求するので、子どもの帯を圧迫します。この場合は、パイプを2本に分けます。片側だけを高くして長い服を掛け、もう片側は低いパイプにする。左右で高さを変えるほうが、上下で分けるより取り出しやすくなります。
どうしても1本しか通せない構造なら、大人の長い服はこの部屋に置かないという判断が先です。場所の取り合いは、置く物を減らすほうが早く終わります。
どちらとも取れるとき③|そもそも自分で戻さない
高さを直しても戻さない場合、疑うのは2つです。
1つは、戻す場所が決まっていないこと。「服はここ」ではなく「上の服はこの棒、下の服はこの箱」まで決まっているかを確かめてください。分類が2段階で終わっていると、迷う時間がなくなります。
もう1つは、出す場所と戻す場所が違うこと。朝に服を出す場所と、夜に脱いだ服を入れる場所が離れていると、動線が2本になります。脱いだものを入れる箱を、クローゼットの扉の内側、上限の線のすぐ下に固定すると、動線が1本にまとまります。
伸びたら、動かすのはパイプ1本
身長が5センチ伸びたら、パイプを5センチ上げ、上限の線も5センチ上げます。棚板は動かしません。
棚の間隔は、置く物の高さで決まっていて、身長では決まらないからです。ここを混同して全部を組み替えると作業が大きくなり、結果として何年も放置されます。
動かすのは年に1回、パイプ1本だけ。 作業を小さくしておくことが、仕組みを生かし続ける条件です。上限の線は、壁に貼る印を1つ動かすだけで済みます。
いつ動かすかは、身長を測る日と同じにしておくと忘れません。学校で測る時期でも、誕生日でも構いません。日付を決めておくと、使いにくいまま何年も置かれるということが起きなくなります。
2週間で確かめること
線を引き直したら、2週間だけ床を見てください。数えるのは1つです。朝に床へ落ちていた物の数。
3日目までは変わりません。4日目以降に減っていれば、線の位置は合っています。2週間たっても同じ物が同じ場所に落ちるなら、その物だけが帯の外にあります。その1つを本人の帯に移して、また2週間見ます。
全部を一度に直そうとせず、落ちている物を1つずつ帯の中へ入れていくと、最後には落ちなくなります。
数えるのは大人がやってください。本人に数えさせると、数えること自体が評価に見えて、置き場所の問題が見えなくなります。ここで知りたいのは行動ではなく、どの物がどこに帰れていないかという一点です。
2週間で落ち着かない物が3つ以上残るときは、その部屋に置く量が入る量を超えています。高さの線を引き直すより、季節外れの服を上の帯へ移すほうが先です。
まとめ
子ども部屋のクローゼットで決めるのは、収納用品ではなく高さです。上限は身長の約1.1倍、下から15センチは使わない、パイプは長い一枚に10センチ足す。
この3本を引いて、毎日使う物を全部その帯の中に入れる。伸びたら、パイプを1本だけ上げる。それだけで、片づけを注意ではなく仕組みの側で支えられます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 子ども部屋のクローゼットで、最初に決めることは何ですか
- 収納用品ではなく、高さの線です。床から身長の約1.1倍を上限として、そこより下を本人が使う帯、上を大人が管理する帯として分けてください。上限は、まっすぐ立って腕を上げ、無理なく物を置ける位置です。この線を先に引くと、どの棚に何を置くかを一つずつ悩まずに済みます。用品を買うのは、線を引いたあとで足りない場所だけにしてください。
- Q. 何歳から自分で片づけられますか
- 年齢ではなく、手が届く範囲がどれだけあるかで決まります。同じ年齢でも身長には幅があり、届かない場所に置かれた物は誰でも戻せません。まず本人が使う帯の中に、毎日使う物がすべて入っているかを確かめてください。入っていれば、年齢が低くても戻せます。入っていなければ、年齢が上がっても同じ場所に落ちます。
- Q. ハンガーパイプの高さはどう決めますか
- いちばん長い一枚の丈に、10センチ足した高さです。パイプの下に無駄な空間ができると、そこに物が積まれて取り出せなくなります。逆に近すぎると裾が床につきます。丈の違う服を掛けるときは、長いほうに合わせてパイプを決め、短い服の下に浅い箱を1つだけ置くと、空間が余りません。
- Q. きょうだいで身長差があるときはどうしますか
- 高い側に合わせず、低い側に合わせてください。低い側に合わせた高さは高い側も使えますが、逆は使えません。掛ける場所を左右で分け、低い側の区画のパイプだけを下げると、1つのクローゼットで両方が成立します。上の段は共用の予備として、大人が管理する帯に入れてください。
- Q. 身長が伸びたら、全部組み替えますか
- 動かすのはパイプ1本だけです。5センチ伸びたらパイプを5センチ上げ、上限の線も同じだけ上げます。棚板は動かさなくて構いません。棚は物の大きさで決まっていて、身長では決まらないからです。組み替えの回数を年1回に固定しておくと、使いにくいまま放置される期間が短くなります。
— メグラシ編集部





