クローゼットの奥行きは、深いほど使える量が減る|手前から何センチまで届くかで中身が決まる

収納を見直そうと思って、まず測るのが奥行きという方は多いはずです。そして深い数字が出ると、少し安心します。これだけあるなら入る、と。
ところが片づけたあと、一年経って開けてみると、奥の帯だけ触っていません。手前は入れ替わっているのに、奥は去年と同じものが同じ向きで置かれたままです。
奥行きは、量を決める数字ではありません。深いほど、手が届かない帯が増えていきます。 先に決めるのは、入る量ではなく届く距離のほうです。
結論:使えるのは手前から、肩先から指先までの長さぶんだけ
歩いて入れないクローゼットでは、扉の面に立って手を伸ばすことになります。このとき奥へ届く距離は、肩先から指先までの長さでほぼ決まります。
大人でおおむね55〜65センチ。中心は60センチ前後です。有効奥行きがこれを超えた部分は、立ったままでは届きません。
奥行き90センチのクローゼットなら、30センチぶんが最初から別扱いの帯になります。
測り方|自分の腕で2つの数字を出す
壁に肩の外側をつけてまっすぐ立ちます。腕を前へ伸ばして、指先が壁から何センチ離れたかを測ってください。これが1つめの数字です。
2つめは、そこから上体を前へ倒したときの指先の位置です。腰から折るだけで、足は動かしません。1つめより15〜25センチ伸びます。
この2つがあれば、奥行きの数字を見ただけで、どこまでが使える帯かが分かります。メジャーを持ってクローゼットの前に立つ必要はもうありません。
測るときに1つだけ注意があります。指先ではなく、物をつまめる位置で止めてください。指先が触れる距離と、つまんで引き出せる距離は5センチほど違います。奥のものは触れるだけでは出せないので、使うのはつまめるほうの数字です。壁の前で、厚めの本をつまんで引く動作をしてみると、その差がそのまま出ます。
早見表|有効奥行きと、奥に残る帯
| 有効奥行き | 立ったまま届く | 奥に残る帯 | 現実に起きること |
|---|---|---|---|
| 45センチ未満 | 全部 | なし | 奥行きの問題は起きない |
| 45〜60センチ | 全部 | なし | いちばん取り出しやすい |
| 60〜75センチ | 手前60センチ | 最大15センチ | 前傾1回で届く |
| 75〜90センチ | 手前60センチ | 15〜30センチ | 前傾しても指先が触れるだけ |
| 90センチ超 | 手前60センチ | 30センチ以上 | 手前をどけないと出せない |
有効奥行きというのは、壁から扉の内側までの実際に使える数字です。掛けるか畳むかの判断はウォークインクローゼットの測り方のほうにまとめてあるので、ここでは取り出せるかどうかだけを見ます。
前傾を足すと20センチ伸びる。ただし条件が1つある
上体を前へ倒せば、届く距離は伸びます。60センチが80センチになる計算です。
条件は、足元に物がないことです。前傾するには、つま先が10センチほど前へ出る余白か、膝が入る空間が要ります。床に収納ケースが置いてあると、体が前へ行けません。
床の手前30センチを空けておくだけで、届く奥行きが20センチ増えます。 ここは面積あたりの効き方がいちばん大きい場所です。
高さで、届く奥行きが変わる
同じ腕でも、高さによって届く距離は違います。
床から80〜150センチの帯は、肩の高さに近いので満額届きます。この帯が主戦場です。
150センチより上では、腕が上を向くぶん前へ出る距離が減って、届く奥行きが10〜15センチ短くなります。床から40センチより下も同じで、しゃがむ姿勢では前へ伸ばせる距離が縮みます。
つまり深いクローゼットの「上の奥」と「下の奥」は、二重に届きません。ここは最初から、年に1回開ければいい帯として扱ってください。
高さを線で引くときは、床からの数字を壁に一度だけ印しておくと迷いません。マスキングテープを80センチと150センチの2か所に貼り、その間を主戦場と決めます。棚板やパイプの位置を動かせる家なら、この2本の線の内側に、いちばん出番の多いものが来るように段を組み直してください。
手前をどける個数|0個・1個・2個以上
奥のものを出すのに、手前を何個どけるか。ここに線があります。
0個なら毎日使えます。1個なら、続きます。2個以上になると、2週間ほどで出さなくなります。
理由は手間の量ではありません。どけた2個を置く場所が要るからです。床が空いていないと、取り出す行為そのものが始められません。
奥の帯に置いていいもの、置いてはいけないもの
置いていいのは、出す日が先に決まっているものです。次の季節の一式、行事のときだけ使うもの、来客用。日付が決まっているなら、届きにくくても取りに行けます。
置いてはいけないのは、迷うものです。着るかどうか決めていない服を奥へ入れると、判断が一年先送りになります。判断が要るものは、必ず手前の60センチに置いてください。
もう1つ置いてはいけないのが、頻度が読めないものです。天気次第で使うもの、体調次第で使うもの。これらは奥に入れた時点で使わなくなります。
深い奥行きを、前後に割る
75センチを超えるクローゼットは、境目を作ってしまうほうが早いです。
手前60センチを取り出す帯、その奥を保管の帯にして、境目に仕切りを1枚立てます。板でも、細長い箱でも構いません。仕切りが無いと、手前のものが少しずつ奥へ押されて、半年で境目が消えます。
奥の帯には、次に開ける日付を紙に書いて貼ってください。日付があるものだけが、奥で生き残ります。
割ったあとは、奥に入れるものの高さを手前より低く抑えます。奥が高いと、手前の上を越えて手を入れることになり、届く距離がさらに縮みます。奥は低く、手前は高く。この順にすると、立った位置から奥の中身が見えるので、何が入っているかを思い出すための手間も減ります。
どちらとも取れるとき①|奥行きが65センチ前後
境目にいる数字です。立ったままでは指先が届かず、前傾すれば楽に届く。
この場合は、床の手前を空けられるかどうかで決めてください。空けられるなら1つの帯として使えます。空けられないなら、60センチで割って奥を保管に回します。
どちらとも取れるとき②|押入れをそのまま使っている
奥行きが80〜90センチある場合がほとんどです。上下の段があるので、帯は4つに割れます。
出番の多い順に、下段の手前、上段の手前、下段の奥、上段の奥。この順で埋めてください。上段の奥は、脚立を出さないと触れない帯なので、年に1回だけ開けるものに固定します。
どちらとも取れるとき③|家族と前後で分けている
前後で分けると、奥を使う人だけが毎回不利になります。分けるなら左右にしてください。
どうしても前後にしかできないなら、奥を使う人の持ち物を減らすのではなく、奥の帯の中身を「季節外だけ」に揃えて、取り出す回数そのものを減らすほうが続きます。
収納用品を買う前に、届く帯を先に決める
奥行きに合う箱を探し始めると、たいてい奥行きいっぱいの深い箱に行き着きます。この箱は、奥に入れたものを取り出すのに手前の中身を全部かき分けることになります。
先に届く帯を決めて、その帯に収まる浅い箱を選んでください。箱の選び方そのものは取り出す動作の数のほうに分けてあります。
2週間で確かめること
奥の帯から何かを出した回数だけ、数えてください。紙を1枚貼って、正の字で足していくだけで足ります。
2週間で0回なら、その帯の中身は保管で正しく置けています。3回以上あるなら、そこに置くべきでないものが入っています。手前の60センチと入れ替えてください。
まとめ
奥行きの数字は、入る量ではなく届く距離で読みます。立ったまま届くのは手前から60センチ前後、前傾を足して80センチ。それより奥は、日付の決まったものだけの帯です。
測るのはクローゼットではなく、自分の腕です。一度測れば、引っ越しても同じ数字が使えます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 奥行きが深いクローゼットは、得ではないのですか
- 掛ける服にとっては得です。厚手の上着でも肩が前に出ないので、扉が閉まらない問題は起きません。ただし奥行きが深いほど、奥の帯が取り出しにくくなります。得になるのは「奥に置いたものを、年に数回しか出さない」と決めきれる場合だけです。決めきれないまま深い奥行きを使うと、奥は一年を通して触らない帯になり、その面積ぶんの家賃を払っていることになります。手前から60センチを主戦場にして、奥は用途を1つに固定するのが現実的です。
- Q. 腕の長さを測るのが面倒です。目安はありますか
- 身長の3分の1強が、肩先から指先までの長さのおおよその目安です。身長160センチなら55〜58センチ前後に収まります。ただし個人差があるので、一度だけ実際に測ってください。壁に肩をつけて立ち、腕をまっすぐ前へ伸ばして、指先が壁から何センチ離れたかを測るだけです。この1回で出た数字が、その家のクローゼットで一生使える基準になります。測り直しは必要ありません。
- Q. 奥に置いたものを取り出すのに、手前をどけるのは普通ではないのですか
- どける個数によります。1個だけなら現実に続きます。2個以上になると、2週間ほどで出さなくなるのが実際のところです。理由は手間の量ではなく、どけたものを戻す場所が要るからです。どけた2個を一時的に置く床が空いていないと、取り出す行為そのものが始まりません。奥に置くものを決めるときは「何個どけるか」で線を引いてください。
- Q. 押入れをそのまま服の収納に使っています。奥行きが90センチほどあります
- 前後に割ってください。手前60センチを掛ける・取り出す帯、奥30センチを季節外の帯にして、境目に仕切りを1枚入れます。仕切りが無いと、手前のものが少しずつ奥へ押されて、境目が消えます。奥の30センチには、次の季節が来るまで開けないと決めたものだけを入れてください。上下の段がある場合は、上段の奥がいちばん届かないので、そこを最も出番の少ないものに当てます。
— メグラシ編集部




