クラシック回帰とハンサムウーマン|取り入れる基準と手持ちで試す方法

今季、業界のメディアを何本か読み比べると、同じ2つの言葉に行き当たります。クラシック回帰と、ハンサムウーマン。
先に断っておくと、これは「今年はこれが流行ります」という予言ではありません。確かなのは、複数の媒体が揃ってこの言葉を挙げていて、売り場の構成もそちらに寄ってきている、という事実のほうです。読者にとって意味があるのは予測ではなく、増えてきた選択肢の中から自分に必要な分だけを選び取る基準です。この記事はそこを書きます。
なぜ今それが出てきたのか|この数年からの揺り戻し
いま「クラシック」という言葉が新しく響くのは、それが珍しいからです。この数年、装いの主流はずっと反対側にありました。
肩線を落として大きく着る、厚みのある靴で身長を足す、体の線を拾わない、色をくすませて輪郭をぼかす。在宅の時間が長かった時期に、部屋で着られる服と外で着られる服の境目が溶けたことが、その背景としてよく挙げられます。ゆるさは合理的でした。
そのうえで、対面の場面が戻ってきました。会う、話す、判断される場面が増えると、装いに求められるものが「疲れないこと」から「輪郭がはっきりしていること」に寄っていきます。端正さがしばらく市場から消えていたぶん、戻ってきたときに新しく見える——今季の言葉は、だいたいこの構図の中で使われています。
もうひとつ、買い方の変化も重なっています。数を買って回すよりも、仕立てと素材の良いものを長く着るという考え方が広がったこと。テーラードやツイードのように、仕立てが値段に見える種類の服は、その流れと相性がいい。潮流が2方向から押されている、という言い方が近いと思います。
靴の棚を見ると、この揺り戻しはいちばん分かりやすく出ています。数年のあいだ、底の厚みは足し算の方向に進んでいました。厚い底は身長を足し、脚の長さを足し、歩きにくさと引き換えに存在感を足す。それが行き着くところまで行ったので、次に新しく見えるのは薄い側だった、という順番です。流行は良し悪しで動くのではなく、直前の反対側へ動く——今季の変化のほとんどは、この一文で説明がつきます。
だとすれば、読者にとっての結論も自動的に決まります。反対側へ振れるものを毎回追いかけるのは無理があるし、意味も薄い。追うべきなのは要素そのものではなく、振れても動かない自分の寸法のほうです。
「ハンサムウーマン」が指しているもの
こちらは定義が固まった言葉ではありませんが、使われ方はおおむね揃っています。
テーラードジャケット、肩に構築のあるアウター、襟のあるシャツ、まっすぐ落ちるスラックス。もともと男性服の文脈にあった形を、女性の体の寸法に合わせて仕立て直したもの、という意味で使われています。
大事なのは、強く見せることが目的ではないという点です。装飾を減らし、輪郭をはっきりさせた結果として、自分で選んでいるように見える。そういう文脈で語られている言葉なので、「きつく見えそう」という理由で最初から外す必要はありません。実際に効いているのは形ではなく、後で述べる「肩・ウエスト・面の質」の3つだけです。
潮流を構成している具体|アイテム編
言葉のままだと動けないので、中身を分解します。今季よく挙がっているアイテムと、それぞれ何が今っぽいとされているのかを1行ずつ。
| アイテム | 何が今っぽいとされているのか |
|---|---|
| テーラードジャケット | 肩線が肩先に戻り、身頃のゆとりが減った。羽織りではなく主役の1枚として着る |
| パワーショルダー | 肩に構築を入れて上を四角くする。落ち肩の反対で、輪郭を出す方向 |
| ボウタイブラウス | 首もとに結びを置いて視線を上げる。ジャケットの下でも単体でも成立する |
| ジレ | 袖のない中間層。丈が長くなり、縦の線を作る役目に変わった |
| ツイード | 目の詰まった厚手が中心。艶のない面が、光る素材の反対側として選ばれている |
| ペプラム | 腰で切り替えて広げる。ウエスト位置を明示するための構造として戻ってきた |
| ミディ丈スカート | ひざ下からふくらはぎの細いところまで。台形とフレアが多い |
| ワイドスラックス | センタープレスのある太め。ゆるいのではなく、まっすぐ落ちる方向 |
| グレーデニム | 青の主張を抜いたデニム。上に端正なものを乗せても喧嘩しない |
| ロングブーツ | 筒がひざ下まである長さ。スカートとの間で肌を出さない組み方が中心 |
| 薄底スニーカー | 厚底からの転換。底が薄いぶん、足首から下が小さく収まる |
| 横長バッグ | 縦長・巨大の反対。脇に沿わせて水平の線を1本足す |
これを全部そろえる話ではありません。むしろ逆で、この12個のうち自分に効くのは1つか2つ、というのが普通です。
潮流を構成している具体|色編
色は、アイテムより取り入れやすく、失敗したときの損も小さい入口です。
| 色 | どういう色か | 今季どう使われているか |
|---|---|---|
| ボルドー・バーガンディ | 黒に赤みを足した深い赤 | 黒の代わりの引き締め色。小物から入りやすい |
| モカムース | 灰みを含んだやわらかい茶 | ベージュより濃く、茶より軽い。土台の色に使われる |
| ブラウン | 黄みの茶から焦げ茶まで幅がある | 黒より柔らかく、ネイビーより暖かい中間 |
| キャメル | 明るい黄みの茶 | 面積の大きいコートやニットに。顔まわりに光を残す |
| ネイビー | 青みの濃紺 | 端正さを担保する定番。ボルドーと組むと今季らしくなる |
| ダークレッド | ボルドーより赤に寄った濃色 | 差し色。分量が増えると強くなるので小面積で |
色名の定義そのものが曖昧で迷うときは、色の名前の一覧と見分け方に見本と数値をまとめてあります。
潮流を構成している具体|素材とシルエット編
| 分類 | 要素 | 何が今っぽいとされているのか |
|---|---|---|
| 素材 | ツイード | 目が詰まっていて、面が平らでない。厚みが正面から見える |
| 素材 | スエード | 光を吸う面。艶のある革の反対として選ばれている |
| 素材 | レース | 全面ではなく部分使い。袖口や首もとに限定する使い方 |
| 素材 | ファー・ボア | 襟や袖口の小面積。全身は今季の文脈から外れる |
| シルエット | 肩幅にゆとり | 落とすのではなく、肩先の位置で少し広げる |
| シルエット | ハイウエスト | 切り替えを上げて、縦の分割を2対3に近づける |
| シルエット | 台形・フレア | 腰から下だけを広げ、上は詰める |
| シルエット | 端正な直線 | 曲線より直線。縫い目とプレスが見えることが前提 |
共通の骨は3つだけ|肩・ウエスト・面の質
12個のアイテムと6つの色を覚える必要はありません。全部を分解すると、残るのは3つです。
- 肩 …… 肩線がどこにあるか。落とすか、肩先に戻すか、少し広げるか
- ウエスト …… 切り替え位置が見えているか、隠れているか
- 面の質 …… 光る面か、光を吸う面か。凹凸があるか、平らか
この3つのうち、自分の体に効くのがどれかを先に決めてしまえば、来季また別の言葉が出てきても同じ判定が使えます。アイテム名で覚えると毎年やり直しになりますが、この3つで覚えると持ち越せます。
取り入れるかを決める基準|まず5つ測る
好みの話に入る前に、メジャーを1本用意してください。ここから先の判定は、全部この5つの数字で分かれます。
| 測るもの | 測り方 | 何の判定に使うか |
|---|---|---|
| 肩幅 | 左右の肩先の骨の出っぱりの間を、背中側で直線に測る | パワーショルダー・ジャケットの可否 |
| 腰の最大幅 | 立ったまま、腰のいちばん張った位置を横から測る | 肩幅との差でバランスを決める |
| 首の長さ | あごの真下から、鎖骨のくぼみまで | ボウタイ・ハイネック・襟の高さ |
| 股下比 | 床から股のつけ根までの高さ ÷ 身長 | スカート丈・ウエスト位置・ワイドの可否 |
| ふくらはぎ最大位置 | ふくらはぎのいちばん太いところの、床からの高さ | ミディ丈・ロングブーツの丈合わせ |
数字はメモに残してください。買い物のたびに測り直すより、一度測って持ち歩くほうが速いです。骨格の分類そのものが曖昧なときは、骨格タイプを自分で見分ける手順を先に通しておくと、以下の表が読みやすくなります。
肩幅と腰幅の差で分かれるもの
| 肩幅と腰の最大幅の関係 | 肩に足すか | 具体的な選び方 |
|---|---|---|
| 肩のほうが3cm以上広い | 足さない | 肩線は肩先ちょうど。下にフレアやワイドで面積を足す |
| ほぼ同じ(差3cm未満) | 少しだけ足す | 芯の薄いジャケット。パッドは指1本ぶんまで |
| 腰のほうが3cm以上広い | 足してよい | 構築のある肩で上を広げると、全体が四角く整う |
| 肩が前に丸まっている | 足す前に直す | 肩を足すより、背中の張りを取るほうが先に効く |
肩幅の絶対値では決まりません。同じ肩幅でも、腰との差が逆なら判定も逆になります。
首の長さで分かれるもの
| あごの下から鎖骨まで | ボウタイ | 襟の高さ | 補足 |
|---|---|---|---|
| 8cm以上 | 大きめの結びが映える | 高くても詰まらない | 結び目を胸もとまで下げても間延びしない |
| 6〜8cm | 小さめの結びを首の真下に | 標準の台襟 | 結びの分量で調整が効く範囲 |
| 6cm未満 | 結びは小さく、縦に長く垂らす | 台襟の低いもの | 首を横切る太い線を作らないことが要点 |
ボウタイやリボンの結び方そのものはリボン・ボウの結び方に手順があります。首の長さは、結ぶ位置と結び目の大きさで実質的に調整できます。
股下比で分かれるもの|丈とウエスト位置
床から股のつけ根までの高さを身長で割った値です。0.45前後が平均的な範囲になります。
| 股下比 | ウエスト位置 | スカート丈の目安 | ワイドスラックス |
|---|---|---|---|
| 0.47以上 | どこでも成立する | ミディもロングも可 | 太めでも脚が余らない |
| 0.44〜0.47 | 少し上げると整う | ひざ下〜ふくらはぎの細い位置 | センタープレスのあるものを |
| 0.44未満 | 明確に上げる | ひざ下すぐ、または足首まで | 裾を必ず詰める。中途半端が最も響く |
ワイドの形そのものの違いはワイドパンツの選び方に、丈と形の対応はスカートの種類にまとめてあります。上下の分割の考え方はトップスとボトムスのバランスが土台になります。
ふくらはぎの位置で分かれるもの|ミディ丈とロングブーツ
今季いちばん失敗が起きやすいのが、この組み合わせです。
| 状態 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 裾がふくらはぎの最大位置に重なる | 脚のいちばん太い場所が横に強調される | 裾を最大位置より下へ。または筒を上へ |
| 裾が最大位置より5cm以上下 | 細くなった位置で切れるので締まる | そのままでよい |
| 筒の上端が最大位置に重なる | ブーツが食い込み、上下が分断される | 筒を上げるか、下げてくしゅっとまとめる |
| 裾と筒の間に肌が5cm以上出る | 秋冬の文脈では寒々しく見える | 重ねるか、丈を伸ばして肌を消す |
| 裾と筒が3cm程度重なる | 今季よく見る収まり方 | 重なりを一定に保つ |
丈の合わせ方の基本はタイトなロングスカートの着こなしとショートブーツのコーデにも共通します。
体型の悩み別|効く要素・効かない要素
| 気にしている場所 | 効く要素 | 効きにくい要素 |
|---|---|---|
| 二の腕 | 肩に構築のあるジャケット、袖を一度だけ折る | 全体を大きくする、袖を余らせる |
| おなかまわり | 前を開けたジレ、縦に落ちる中間層 | ペプラム、腰での切り替え |
| 腰まわり | 台形スカート、まっすぐ落ちるスラックス | タイトな中間丈、光る素材 |
| 胸もとの厚み | 縦に開く襟、首の下で終わる小さな結び | 大きなボウ、詰まった高い襟 |
| 肩の丸み | 芯のある肩、背中の張りを直す | パッドだけを足す |
| 首の短さ | 台襟の低い襟、縦に垂らす結び | 太いスカーフを首に巻く |
「気にしている場所を隠す」ではなく、「視線の行き先を1か所つくる」ほうが結果が良くなります。隠す方向は面積が増えるので、たいてい逆に働きます。
年代で変わるのは「量」であって「可否」ではない
| 年代 | 潮流要素の分量 | 変わるところ |
|---|---|---|
| 20〜30代 | 1コーデに1〜2点 | 素材は軽くてよい。色数も多めに耐える |
| 40代 | 1コーデに1点 | 素材の質が正面から見えるようになる |
| 50代以降 | 1コーデに1点、色は小面積から | 肌に近い位置の色を明るく保つ |
年代で「もう着られない」ものはありません。変わるのは分量と、素材に求められる質のほうです。年代ごとの前提は40代からの服選びの原則に整理しています。
場面で決まるもの
| 場面 | 入れやすい要素 | 避けたほうが早い要素 |
|---|---|---|
| 通勤(対面が多い) | テーラードジャケット、ネイビー、横長バッグ | 大きなボウ、ファーの面積 |
| 通勤(在宅中心) | グレーデニム、ジレ | ロングブーツ、構築の強い肩 |
| 会食・観劇 | ボルドー、艶のない上質な面、ミディ丈 | 薄底スニーカー |
| 送り迎え・買い物 | 薄底スニーカー、モカムース、ジレ | ペプラム、パワーショルダー |
| 遠出・旅行 | ワイドスラックス、キャメル | ロングブーツ(歩数が多い日) |
| 人に会わない日 | 何も入れなくてよい | ── |
「人に会わない日は何も入れなくていい」を最後に置いたのは、冗談ではありません。装いの判断は、会う相手がいる日だけに必要なものです。
合わないときの見え方|はっきり書きます
「誰にでも似合う」とは書きません。合わないときは、次のような見え方で出ます。
| 要素 | 合っていないときの見え方 |
|---|---|
| パワーショルダー | 首が短く見え、上半身だけが前に出る |
| ペプラム | 切り替えの位置が腰骨とずれて、胴が二段に見える |
| ミディ丈スカート | ふくらはぎの太い位置で切れ、脚が短く止まって見える |
| ロングブーツ | 筒がふくらはぎに食い込み、上に肉が乗って見える |
| ツイード | 面が厚いぶん、寸法が合っていないと横に膨らむ |
| ボウタイ | 結びが顔の幅を超えて、あごの線が消える |
このどれかが出たら、その要素はあなたの今の寸法に合っていない、というだけの話です。着る側の問題ではなく、寸法の問題として扱ってください。
取り入れないという判断も、同じだけ正しい
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
今季の要素は十数個あります。全部を取り入れると、まず破綻します。理由は見た目ではなく、判定ができなくなるからです。2点以上を同時に入れると、しっくりこなかったときにどちらが原因か分からず、次の判断に使えません。
| 取り入れる点数 | 何が起きるか |
|---|---|
| 0点 | 何も問題は起きない。寸法と手入れが合っていれば成立する |
| 1点 | 合う・合わないをその場で特定できる。ここが推奨 |
| 2点 | 慣れてから。原因の切り分けに時間がかかる |
| 3点以上 | 潮流を着ているのであって、自分を着ていない状態になる |
古く見えるかどうかを決めているのは、潮流要素の有無ではありません。肩線が落ちすぎたジャケット、丈が中途半端なスカート、毛玉の出たニット——古く見せているのはこちらです。取り入れないと決めたなら、その分を寸法直しと手入れに回すほうが、結果ははっきり良くなります。
「今季は何も買わない」という結論に着地しても、この記事としては成功です。潮流の言葉を知っておく意味は、買う理由を作ることではなく、売り場で急に増えたものを見て焦らずに済むことにあります。棚がツイードで埋まっているのは、あなたにツイードが必要だという意味ではありません。今季そこに在庫を積むと決めた人がいる、というだけの話です。
もうひとつ、配分には順番もあります。仮に1点だけ入れると決めたなら、最初の1点は顔から遠い場所に置くほうが安全です。靴、バッグ、ボトムス。顔まわりは面積が小さいわりに影響が大きく、合わなかったときの違和感が一日中続きます。遠い場所から試して、効くと分かってから顔に近づける。 これが最も戻しやすい順番です。
手持ちで今日から試せること
買う前に、お金をかけずに試せることが8つあります。全部その日のうちに戻せます。
| 試すこと | やり方 | どの要素の代わりになるか |
|---|---|---|
| 靴を薄い底に替える | 手持ちでいちばん底の薄い靴を履く | 薄底スニーカーへの転換 |
| 裾をボトムスに入れる | シャツやニットの前だけを入れ、ベルトで留める | ハイウエスト・ウエスト位置の明示 |
| 袖を一度だけ折る | ジャケットもニットも、折るのは1回だけ | 端正さ・手首を出す抜け |
| 色数を2色に減らす | 上下と靴を同系にまとめ、差し色は1点だけ | 直線的で端正な印象 |
| 上下を濃色でそろえる | ネイビーか濃茶で上下を通す | 縦の線・輪郭の明確化 |
| バッグを横向きに持つ | 縦長のバッグを脇に水平に抱える | 横長バッグの水平線 |
| 髪を耳にかける | 片側だけでよい。首と耳を出す | 首もとの端正さ |
| ジャケットの前を開けて着る | ボタンを留めず、まっすぐ落とす | ジレの縦の線 |
このうち効いたものが、あなたに合う要素です。効かなかったものは、買っても効きません。
手持ちの何と合わせるか|組み合わせ早見表
| 潮流要素 | いちばん相性のいい手持ち | 理由 |
|---|---|---|
| テーラードジャケット | 白か生成りのシャツ、濃色のデニム | 面の質の差が出て、仕立てが見える |
| ボウタイブラウス | 手持ちのジャケット、無地のニット | 首もと以外を無地にすると結びが立つ |
| ジレ | 長袖のシャツ、薄手のニット | 中間層なので、下は薄いほど収まる |
| ツイード | 無地の細身ボトムス | 上に凹凸があるぶん、下は平らにする |
| ミディ丈スカート | 手持ちのニット、ショートブーツ | 丈の重なりを外せば形を選ばない |
| ワイドスラックス | 丈の短いトップス、薄底の靴 | 上を短くしてウエスト位置を上げる |
| グレーデニム | 白シャツ、ネイビーのジャケット | 青の主張がないぶん端正な上と喧嘩しない |
| ボルドー小物 | 手持ちの黒・濃紺の一式 | 黒の中で1点だけ色が立つ |
素材の質感を混ぜる考え方は素材ミックスの組み合わせ方、色数の上限は色の組み合わせは3色までに基本があります。
買うなら何を見るか|縫製・素材・寸法
店で見る場所を、8つに絞ります。値札や売り場ではなく、ここだけを見てください。
| 見る場所 | 良い状態 | 避けたい状態 |
|---|---|---|
| 肩の縫い目 | 自分の肩先の骨の上に乗っている | 肩先より2cm以上外に落ちている |
| 肩の芯 | 押すと弾力があり、形が戻る | ふにゃりと潰れて戻らない |
| 裏地 | 背中と袖に入っている | 袖だけ無く、腕が通しにくい |
| ツイードの目 | 詰まっていて、透かすと光が抜けない | 隙間が見え、引くと目がずれる |
| ボタンの付け根 | 糸が根巻きされている | 布に直付けで、ぐらつく |
| スカートの裏地 | 表より1〜2cm短く、裾がまとわりつかない | 裏地なしで、静電気で張り付く |
| ブーツの筒周り | ふくらはぎ最大位置に指2本入る | ぴったりで、座ると食い込む |
| ソールの厚み | 3cm未満。地面の感覚が残る | 5cm以上。今季の文脈からは外れる |
この8つが揃っていれば、価格帯がどこであっても長く着られます。 逆に、どこで買っても、この8つが崩れているものは1シーズンで飽きます。買う順番そのものに迷うときは失敗しない服の買い方が参考になります。
試着室で確かめる10項目
| # | 確かめること | 判定 |
|---|---|---|
| 1 | 腕を前にまっすぐ伸ばす | 背中が引っ張られない |
| 2 | 両腕を上げる | 裾が持ち上がりきらない |
| 3 | 座る | 腰まわりが食い込まない |
| 4 | しゃがむ | 襟もとが落ちて中が見えない |
| 5 | ボタンを留めて呼吸する | 胸もとに横じわが出ない |
| 6 | 横を向いて鏡を見る | 肩の芯が前に倒れていない |
| 7 | 裾の位置を確かめる | ふくらはぎ最大位置と重なっていない |
| 8 | 顔の色を見る | 顔だけ沈んでいない |
| 9 | 3歩歩く | 裾が脚にまとわりつかない |
| 10 | 手持ちの1点を思い浮かべる | 具体的に3通り組める |
10項目めが最も重要です。具体的な手持ちと3通り組めないものは、買っても着る回数が伸びません。
借りて試すか、買うか
潮流の要素は、翌年も同じ形で残るとは限りません。だからこそ、試し方を分けたほうが損が小さくなります。
| 要素 | 借りて試す向き | 買う向き | 理由 |
|---|---|---|---|
| パワーショルダー | ◎ | △ | 肩幅との相性の判定が難しい |
| ツイードジャケット | ◎ | ○ | 良いものは高く、合わない場合の損が大きい |
| テーラードジャケット | ○ | ◎ | 寸法が合えば毎年着る。土台側の1枚 |
| ボウタイブラウス | ○ | ○ | 首の長さで判定が分かれるので一度試す |
| ロングブーツ | △ | ○ | 筒周りの実寸が個人差そのもの。実物合わせ |
| 薄底スニーカー | × | ◎ | 消耗品。長く履くもの |
借りる側と買う側の線引きそのものはレンタルと購入の使い分けに詳しくまとめています。
今季だけで終わるもの・残るものの見分け方
| 要素 | 残りやすさ | 判断の理由 |
|---|---|---|
| テーラードジャケット | 高い | 形が数十年変わっていない。変わるのは肩と丈だけ |
| ネイビー・キャメル | 高い | 色として定番の側にある |
| ミディ丈スカート | 中 | 丈の流行は動くが、体に合う丈は動かない |
| ボルドー・モカムース | 中 | 差し色として残る。面積が大きいと年が出る |
| ロングブーツ | 中 | 筒の長さは動く。手入れ次第で長持ちする |
| パワーショルダー | 低い | 肩の量は流行の振れ幅が大きい |
残りやすいものは買う、振れ幅の大きいものは借りるか、小面積で試す。 これだけでクローゼットの回転が変わります。ワードローブの土台の作り方は最低限そろえる服にあります。
よくある失敗と、その場での直し方
| 失敗 | 起きている原因 | その場でできる直し方 |
|---|---|---|
| ジャケットが借り物に見える | 肩線が肩先より外に落ちている | 袖を一度折って手首を出す。丈を詰める |
| 上半身だけ大きく見える | 肩と腰の差が逆方向 | 下にフレアを足して面積を釣り合わせる |
| 全身が茶色くぼやける | 同系色を3つ以上重ねた | 濃い1色を足して境目を作る |
| 顔が沈む | 顔まわりに暗い色が3面ある | 首もとに明るい面を1つ入れる |
| 脚が短く見える | ウエスト位置が下がっている | 前だけ裾を入れてベルトで留める |
| 全部が古く見える | 要素ではなく手入れの問題 | 毛玉を取り、プレスをかける |
3か月の進め方
| 時期 | やること | 買うか |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 5つの数字を測ってメモに残す | 買わない |
| 3〜4週目 | 手持ちで試せる8つを1日1つ試す | 買わない |
| 5〜6週目 | 効いた要素を2つに絞る | 小物か色から1点 |
| 7〜9週目 | その要素を借りるか試着で確かめる | まだ決めない |
| 10〜12週目 | 残りやすい側の1点だけ買う | 1点まで |
| 通して | 寸法直しと手入れを先に済ませる | 直しは優先 |
順番を守ると、シーズンの終わりに残るのは1点だけになります。それで十分です。季節ごとの入れ替え全体の段取りは季節別ワードローブの整理にまとめています。
自分に取り入れるか決める12問
はい・いいえで答えて、「はい」が7つ以上なら1点だけ入れる価値があります。
| # | 質問 |
|---|---|
| 1 | 肩幅と腰幅を、実際に測った |
| 2 | 肩と腰の差は3cm未満、または腰のほうが広い |
| 3 | あごの下から鎖骨まで6cm以上ある |
| 4 | 股下比が0.44以上ある |
| 5 | ふくらはぎ最大位置の高さを把握している |
| 6 | 対面で人に会う日が週2日以上ある |
| 7 | 手持ちに無地の白か生成りのトップスがある |
| 8 | 手持ちに濃色のボトムスがある |
| 9 | 手持ちで試せる8つのうち、効いたものが2つ以上あった |
| 10 | その要素と3通り組める手持ちが思い浮かぶ |
| 11 | 手入れとプレスを続けられる素材である |
| 12 | 来季も着る場面が具体的に想像できる |
「はい」が6つ以下なら、今季は取り入れなくていいということです。その判断は、無理に1点買うよりずっと良い結果になります。
よくある質問
Q. 今季の潮流を、いちばん安く試す方法は何ですか。
A. 色から入ることです。ボルドーかモカムースの小物を1点。面積が小さいので合わなくても損が小さく、それでいて全身の印象は変わります。アイテムから入ると、合わなかったときに戻せません。
Q. クラシックな装いは、体型を隠せませんか。
A. 隠す方向の設計ではありません。輪郭をはっきりさせる方向なので、隠したい場所がある場合は、その場所から視線を外す配置で対応します。体型の悩み別の表に、効く要素と効かない要素を分けて書いています。
Q. ジレとベストは違うものですか。
A. 呼び分けの慣習は売り場によって違いますが、今季の文脈では丈の長い袖なしの中間層を指して使われることが多い言葉です。丈が腰より下にあるかどうかが、実質的な違いになります。アウターの分類そのものはアウターの種類にまとめています。
Q. 厚底の靴は、もう履けませんか。
A. 履けます。今季よく見るのが薄い底だというだけで、履けなくなるものではありません。判断の材料は流行ではなく歩数と場面です。歩く日は履きやすいものを選んでください。靴の形の違いは靴の種類にあります。
Q. 手持ちのジャケットの肩が落ちています。買い替えですか。
A. 先に直しを検討してください。肩線の位置は仕立て直しで動かせる場合があり、丈と袖丈も詰められます。買い替えるより安く済むことが多く、素材が良いものほど直す価値があります。
Q. パーソナルカラーの結果と、今季の色が合いません。
A. 合わない色は、顔から離した位置に置けば使えます。バッグ、靴、ボトムス。顔まわりだけを自分に合う色で守れば、残りの面積は自由です。自分の色が分からないときはパーソナルカラーはどれかから確かめてください。
Q. 職場が厳しめで、潮流の要素を入れにくいです。
A. 色と素材だけで入れてください。形を変えずに、ネイビーをボルドーに、平らな面をツイードに置き換える。これなら規定に触れずに空気だけが変わります。
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— メグラシ編集部
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