蝶々結びのきれいなやり方──曲がる・ほどける原因とリボン、ボウタイの結び方

蝶々結びが斜めに傾く、片方の輪だけが大きくなる、着ているうちにほどける。原因のほとんどは「手先の器用さ」ではなく、2回目の交差の向きにあります。1回目に上へ重ねた端と、2回目に上を通す端が入れ替わっていると、結び目の芯が縦を向いてしまう。これが縦結びで、輪は左右に並ばず、ゆるみやすくもなります。
この記事は、その原理を先に説明してから、番号付きの手順を書きます。図がなくても再現できるように、どちらの手で、どちらの向きに動かすかまで書きました。後半では縦結びの直し方、ボウタイという言葉の意味、シフォンやサテンなど素材ごとの結び分け、ブラウスの襟元やウエストベルトなど場所ごとの結び方、ほどけない工夫、そして輪の大きさをどう決めるかまでまとめます。
以下はすべて右利きの方を想定した書き方です。左利きの方は、左右をそのまま入れ替えて読んでください。動きは鏡写しになるだけで、原理は変わりません。
結ぶ前に決めておく3つのこと
結び始めてから調整しようとすると、たいてい間に合いません。手を動かす前に決めておくと、失敗の半分は起きなくなります。
まず、左右の端の長さです。同じ長さから結び始めると、片方が短く仕上がります。結ぶ過程で、上を通る側の端のほうが多く長さを消費するからです。結び始める前に、上に重ねるほうの端を3〜5cmほど長くとっておきます。細いリボンなら3cm、幅3cmを超える太いリボンやスカーフなら5cm以上が目安です。
次に、結び目を置く位置です。ブラウスの襟元なら第一ボタンのあたりか鎖骨の中央、ウエストなら体の正面中央か、そこから握りこぶし1つぶん横。位置を先に決めて、そこを左手の親指と人差し指でつまんで固定したまま結びます。この「固定する手」を動かさないことが、左右差を防ぐいちばん効く工夫です。
3つめは、生地の裏表です。片面サテンのように表と裏で見え方が違うリボンは、交差した時点でどちらかが裏返ります。あとから直すのは難しいので、結ぶ前に「輪になる部分をどちらの面にするか」を決めておきます。
きれいな蝶々結びの手順
ここでは両側に輪を作ってから結ぶやり方を先に書きます。手順の数は多く見えますが、左右の対称性が崩れる場所が少なく、原理も見えやすいためです。
基本の手順(両側に輪を作る結び方)
- リボンを結びたい位置に当て、両端を下に垂らします。右手側の端を、左手側の端より3〜5cm長くとります。
- 右手の端を、左手の端の上に重ねます。重なる点が結び目の中心になるので、その点を左手の親指と人差し指で上からつまんで押さえます。
- 右手の端を、交差してできた三角のすき間に、下から手前へくぐらせます。指を入れて向こう側から引き出すのではなく、下から上へ通してそのまま手前に抜くと、帯がねじれません。
- 両手で左右の端をそれぞれ持ち、リボンの帯と同じ方向、つまり水平に引きます。斜めに引くと結び目の中で帯がよじれます。これで1回目の結び(一重結び)が完成です。
- ここで手を止めて、垂れている端の位置を確認します。さきほど上に重ねた右手の端は、いま左側に垂れているはずです。左側にあった端は右側に来ています。この入れ替わりが、あとの分かれ道になります。
- 左側に垂れている端を、上に向かって折り返して輪を作ります。輪の根元(折り返した付け根)を左手の親指と人差し指でつまみます。輪の大きさは、このあと少し縮むので、仕上がりより1〜2割大きめにとります。
- 右側に垂れている端でも同じように輪を作り、右手の親指と人差し指で根元をつまみます。左右の輪の大きさを、この時点でそろえておきます。
- 2回目の交差です。1回目に上へ重ねたのは右手側の端でした。その端は、いま左側にあります。つまり、左手に持っている輪を上にして、右手の輪の上に重ねます。位置でいえば左が上、端でいえば1回目と同じ端が上です。
- 上に重ねた輪(左手の輪)を、2つの輪の間にできたすき間に、下からくぐらせて向こう側へ引き出します。輪ごと通すので、指を2本添えて押し込むと通しやすくなります。
- 左右の輪を1つずつ持ち、水平方向に、同じ力で引きます。輪ではなく垂れを引くと、輪が小さくなって芯だけが太くなります。
- 最後に形を整えます。輪の内側に指を入れて広げ、垂れの先を軽く下へ引いて、結び目の芯を締めます。輪と垂れを交互に少しずつ引くと、全体が均等に締まります。
手順8が、この記事でいちばん重要な部分です。ここで「左が上」ではなく「右が上」にすると、そのまま縦結びになります。
もうひとつのやり方(片側だけ輪を作る結び方)
靴紐や細いリボンで慣れている方は、こちらのほうが速く結べます。
- 手順1〜5までは同じです。1回目の結びを作り、端の左右が入れ替わったところから始めます。
- 左側に垂れた端で輪を作り、左手でその根元をつまみます。
- 右側に垂れた端を、左手の輪の根元の手前から、向こう側へ回します。回す向きは、結び目の中心を軸にして時計回りではなく、輪の根元をぐるりと1周させる向きです。
- 1周して手前に戻ってきた端を、根元の下にできた小さなすき間へ、向こう側から手前に押し込みます。押し込むのは端の先ではなく、途中で折り返した「輪」の部分です。ここで先端をそのまま通すと、蝶々結びではなくただの固結びになります。
- 手前に出てきた輪と、左手の輪を、水平方向に引いて締めます。
このやり方は速いぶん、3で回す向きを間違えると縦結びになります。結果として傾いたら、回す向きを逆にしてやり直してください。
引き締めるときの向き
締め方だけで仕上がりが変わります。3つ覚えておくと安定します。
- 引く方向は水平。リボンの帯が伸びている方向に、左右対称に引きます。斜め上や斜め下へ引くと、結び目の芯が回転します。
- 引く順番は「輪→垂れ→輪」。輪だけを引くと芯がゆるみ、垂れだけを引くと輪が消えます。交互に少しずつが確実です。
- 力の配分は左右同じ。利き手が強い人ほど、右の輪だけが小さくなります。締めるときだけ、左手を意識して強めに引くと釣り合います。
左右が対称にならない原因
傾く、ゆがむ、片方だけ大きい。原因はいくつかありますが、切り分けの順番があります。上から順に確認してください。
原因1:結び目が縦を向いている(縦結び)
いちばん多い原因です。全体が45度ほど回転して見え、輪が斜め上と斜め下に振り分けられます。手順8で上にする輪を間違えているサインです。詳しい見分け方と直し方は次の節に書きます。
原因2:結び始めの長さ配分が同じだった
左右を同じ長さから始めると、上を通った側が短く仕上がります。上を通る側は、交差とくぐらせで余分に長さを使うためです。結ぶ前に3〜5cmの差をつけるだけで解決します。
原因3:結び目の中で帯がねじれている
くぐらせるときに帯が半回転すると、結び目の芯にねじれが1つ埋まります。外から見ると輪の付け根が斜めに立ち上がり、片方の輪だけが前に倒れます。手順3で「下から上へ通してそのまま手前へ抜く」と書いたのは、このねじれを避けるためです。ねじれてしまったら、締める前ならほどかずに指で帯を平らに直せます。
原因4:輪の根元をつまむ位置が左右で違う
輪を作るとき、片方は結び目のすぐ上、もう片方は少し離れた場所をつまんでいると、その差がそのまま輪の大きさの差になります。両方とも結び目の芯から同じ距離、目安として帯の幅と同じくらいの位置をつまみます。
原因5:引く方向が斜めになっている
締めるときに両手が体の前で近づくと、自然に斜め下へ引くことになります。ウエストのリボンを自分で結ぶときに起きやすい失敗です。鏡の前で、両ひじを外へ張った姿勢で引くと水平を保てます。
原因6:片面素材の裏が出ている
片面サテンやプリント地は、交差の時点で片方の輪が裏返ります。形は左右対称でも、色や光沢が違うので非対称に見えます。輪を作るときに根元で半回転ひねると、表を前に向け直せます。ひねりは輪の付け根だけに入れ、結び目の芯には入れないでください。
原因7:締めすぎている
薄い生地やスカーフでは、締めすぎると輪が引き込まれて左右の残りが不揃いになります。芯はしっかり、輪はふんわり、ではなく、「芯は帯の幅ぶんの厚みが出るまで、輪は指2本が入る余裕を残して」と数字で決めておくと再現できます。
縦結びと横結びの違い
何が違うのか
蝶々結びは、1回目の結びと2回目の結びを重ねたものです。この2つの関係で、まったく別の結び目になります。
| 横結び(きれいな蝶々結び) | 縦結び | |
|---|---|---|
| 2回目に上を通す端 | 1回目と同じ端 | 1回目と違う端 |
| 結び目の芯の向き | リボンの帯と平行に寝る | 帯と直角に立つ |
| 輪の並び方 | 左右に水平に並ぶ | 斜め上と斜め下に振り分けられる |
| 垂れの向き | 真下に落ちる | 斜めに流れる |
| ほどけやすさ | ゆるみにくい | 動くとゆるみやすい |
| 見た目 | 平たく、面で見える | 立体的にねじれ、厚みが出る |
紛らわしいのは、位置で言うか端で言うかで表現が逆になることです。1回目に「右を上」に重ねると、その端は左側へ移動します。だから2回目は、位置で言えば「左を上」、端で言えば「さっきと同じ端を上」になります。同じことを2通りに言っているだけなので、覚えやすいほうを使ってください。
なぜ縦結びは崩れて見えるのか
理由は3つあります。
ひとつめは、輪が水平に並ばないことです。結び目の芯が帯と直角に立つので、2つの輪はその芯を軸に斜めに開きます。蝶々の形として認識されるのは輪が左右に並んでいるときなので、傾いた瞬間に「結び損ねた」ように見えます。
ふたつめは、垂れの向きです。芯が縦を向くと、垂れは真下ではなく斜めに流れます。ブラウスの襟元なら片側の胸元に、ウエストベルトなら腰骨のあたりに流れていき、体の中心線と合わなくなります。
みっつめは、結び目に厚みが出ることです。縦結びは帯が立ち上がった状態で締まるので、平らに寝ません。光の当たり方が左右で変わり、写真ではとくに目立ちます。
なお、和装の帯や紐では縦結びを避けるものとされてきた、という言い伝えもあります。地域や場面によって言われ方には幅がありますが、洋服でも見た目の面から、横結びにしておくほうが無難です。
縦結びの直し方
- まず縦結びかどうかを確かめます。結び目の中心を正面から見て、帯が斜めに立ち上がっていれば縦結びです。輪を左右へ軽く引いたときに、輪が水平にならず斜めのまま突っ張る場合も同じです。
- 直すには、2回目の結びだけをほどきます。2つの輪をそれぞれ引き抜き、1回目の一重結びだけを残した状態に戻します。
- 左右に垂れた端で、もう一度輪を作ります。
- 今度は、さっきとは逆側の輪を上にして重ね、下からくぐらせます。ここだけ変えれば横結びになります。
- 水平方向に引いて締め、形を整えます。
薄い生地や、一度きつく締めてしまったサテンは、引き抜くときにシワや折り目が残ります。その場合は最初から結び直したほうが早く、仕上がりもきれいです。
自分の癖を知っておくと再発しません。多くの人は無意識にいつも同じ向きで交差します。1回だけ結んでみて縦になったなら、次からは2回目の交差だけを逆にすると覚えてしまえば、以後は考えずに横結びになります。
ボウタイとは何か
言葉の意味
ボウタイとは、首元で蝶々結びの形に結ぶ帯状の装飾のことです。英語の bow tie をそのままカタカナにした言葉で、bow は蝶結びや弓、tie は首に結ぶものを指します。日本語では蝶ネクタイと呼ばれることもあります。
服の文脈では、大きく2つの意味で使われます。ひとつは、フォーマルな装いで首元に着ける独立した小物としてのボウタイ。もうひとつは、ブラウスやワンピースの襟元から共布のひもが長く伸びていて、着る人が自分で結ぶタイプです。後者は「ボウブラウス」「ボウタイブラウス」「リボンタイ」「リボンブラウス」などと呼ばれ、呼び分けには幅があります。どちらも結ぶと蝶々結びの形になるので、同じ言葉で語られます。
ネクタイとの違いは、結んだあとの形と長さです。ネクタイは細長い剣先が縦に下りますが、ボウタイは横に広がって胸元で完結します。首まわりの装いとしての格式は場面によって違い、夜のもっとも改まった装いでは白いボウタイ、次に改まった装いでは黒いボウタイという慣習が知られています。
装飾としての「リボン」との違いは、首に巻いて結ぶことが前提かどうかです。バッグやギフトのリボンは対象に巻きつけますが、ボウタイは首という筒に沿わせる必要があるため、帯の中央が細く、両端が広くなっている形が多くなります。
形の種類
呼び方はブランドによって幅がありますが、おおむね次のように整理されます。
| 名前 | 形の特徴 | 印象 |
|---|---|---|
| バタフライ | 両端が大きく広がる。もっとも一般的 | 華やか。顔まわりに面が出る |
| セミバタフライ | バタフライを一回り小さくした形 | 落ち着く。日常でも使いやすい |
| ストレートエンド | 帯幅が一定で細い。バットウィングとも | 現代的。すっきり見える |
| ポインテッド | 端が尖った形 | 個性が出る。装飾性が高い |
| ダイヤモンドポイント | 端が菱形に切られている | 変化があり、結び目が締まって見える |
構造としては、自分で結ぶ手結びのタイプ、あらかじめ結んだ形が縫い留めてあるタイプ、留め具で襟に挟むタイプがあります。手結びは表情が出る反面、結び方で仕上がりが変わります。
ボウタイを手で結ぶ手順
首元で結ぶ場合、リボンとは少し手順が変わります。首という筒が間にあるためです。
- 襟を立てて、ボウタイを首に回します。右側の端を、左側より3〜4cm長く垂らします。
- 長いほう(右)を、短いほう(左)の上に重ねます。重なる点をのど元の中央に置き、左手でつまんで固定します。
- 長いほうを、首に回っている輪の内側から下へくぐらせ、上へ引き出します。引き出したら、じゃまにならないように肩へ預けておきます。
- 短いほう(いま胸元に垂れているほう)を、横に折りたたんで蝶の羽の形を作ります。帯の幅の広い部分が左右に広がるように、中央でつまみます。これが手前側の羽になります。
- 手前側の羽を、のど元の中央に水平に構えたまま、右手の親指と人差し指で押さえます。
- 肩に預けていた長いほうを下ろし、手前側の羽の中央の上に、まっすぐ縦にかぶせます。
- 長いほうの端を、自分のほうへ折り返して輪を作ります。この輪を、手前側の羽の後ろにできているすき間(首の帯と羽の間の穴)へ、向こう側から押し込みます。押し込むのは端の先ではなく、折り返した輪の部分です。
- 反対側に出てきた輪と、手前側の羽を持って、水平方向に少しずつ引きます。羽の上下と輪の上下を交互に引くと、中心が締まって左右がそろいます。
- 首まわりのきつさを確かめます。指が1本すっと入るくらいが目安です。
ボウタイでも、原理は蝶々結びと同じです。2回目に上を通す端が1回目と入れ替わると、首元で斜めに傾きます。手順6で「まっすぐ縦にかぶせる」と書いたのは、そこで向きが決まるからです。
襟の形との相性も出ます。首元がどこまで開くかで、結び目の見え方が変わります。襟の種類そのものはネックラインの種類の記事で図付きに整理しています。
素材別の結び方
同じ手順でも、素材が違うと結果が変わります。理由は3つ、生地の張り、表面の滑りやすさ、そして厚みです。この3つが結び目の芯の太さと輪の立ち方を決めます。
シフォン、ジョーゼットなど薄くて張りのない生地
輪が立たず、平たくつぶれるのが典型的な崩れ方です。生地自体に形を保つ力がないためで、結び方が悪いわけではありません。
- 帯をたたまず、幅いっぱいに広げたまま結びます。細く折ると、輪の中身がさらに減ります。
- 輪は仕上がりの2割増しでとります。締めるときに縮むぶんを先に見込みます。
- 結び目は締めすぎません。薄い生地は締めるとそのまま食い込み、シワと折り目が残ります。芯は「帯の幅ぶんの厚みが出たら止める」でじゅうぶんです。
- 生地が透けるほど薄い場合は、輪の部分だけ2枚重ねに折り返すと立ち上がります。
- くぐらせるときは、指で押し込まずに帯全体をつまんで送ります。1点に力がかかると、そこだけ引きつれます。
サテン、シルクなど表面が滑る生地
ほどけるのがこの素材の課題です。繊維同士の摩擦が小さく、結び目の芯が自然にゆるみます。
- 1回目の交差でくぐらせるとき、1回ではなく2回くぐらせます。芯にひと巻き増えるだけで、止まりやすさが大きく変わります。
- 締めるときは、輪ではなく輪の根元だけを持って左右へ引きます。輪の先を引くと芯がゆるみます。
- 輪は小さめにします。大きい輪は重く、その重さが芯を引き出します。
- 光沢があるぶん、ねじれが目立ちます。帯が平らかどうかを、結ぶ途中で1回確認してください。
- どうしても動くなら、結び目の裏で垂れの根元を数針まつるか、目立たない留め具を使います。
グログランやコットンのリボンテープ
張りがあるので形は決まりやすく、いちばん扱いやすい素材です。かわりに折り目が残ります。
- 輪の長さは、帯の幅の2〜2.5倍を目安にすると釣り合いが取れます。幅2cmのリボンなら、輪の片側が4〜5cmです。
- 一度ついた折り目は結び直しても残るので、位置を決めてから結びます。
- 折り目を消したいときは、低温のスチームを離して当ててから、平らに置いて乾かします。
- 端がほつれる素材は、切り口を斜めに切るか、内側に少し折り込んでから結ぶと目立ちません。
スカーフや大判の布
正方形の布をそのまま結ぶことはできないので、帯状にする工程が先に入ります。
- 対角線で三角に折ります。
- 三角の頂点を底辺に向かって折り込みます。
- さらに半分、また半分と折り、使いたい幅の帯にします。
- 折り目をなじませるため、両手で挟んで軽くしごきます。
帯にした時点で何枚も重なっているため、結び目は太くなります。輪を小さめに、垂れを長めにとると釣り合います。逆に輪を大きくすると、芯の太さと輪の軽さが噛み合わず、前に倒れます。滑りやすい素材が多いので、サテンの項目の工夫も併せて使えます。
レザーや太い紐
戻ろうとする力が強いので、締めても輪が開いていきます。芯を作る段階で強めに引き、輪は小さく、垂れは短くとります。厚みがあるぶん、2回くぐらせると芯が大きくなりすぎるので、1回にとどめます。
場所別の結び方
ブラウスの襟元
顔にいちばん近いので、大きさと位置の影響が大きい場所です。
- 結び目の位置は、第一ボタンのあたりか、鎖骨の中央。ここより高いと首が詰まって見え、低いと胸元が空きすぎます。
- 首まわりのゆとりは指1本ぶん。きつく締めると、動いたときに帯が首に食い込みます。
- 輪の左右の幅は、顔の幅の半分から3分の2程度までにおさめると、顔と釣り合いやすくなります。
- 垂れの長さは、バストトップの高さを超えないあたりが扱いやすい目安です。長すぎると視線が下へ流れます。
- ジャケットを重ねるなら、輪はさらに小さくします。前を閉めたときに、結び目が襟の内側に収まる大きさが基準です。
- 仕事の場面では、光沢の強い素材と大きな輪の組み合わせは浮きやすくなります。装いの温度感はオフィスカジュアルの記事にまとめています。
ウエストのリボンベルト
自分の体に巻くため、鏡を見ずに結ぶと傾きやすくなります。
- 結ぶ位置は正面中央か、そこから握りこぶし1つぶん横。真正面は視線が中心に集まるので、横にずらすと縦の線が通ります。
- 座る時間が長い日は、正面ではなく体の横で結びます。座ると腹部で結び目が押しつぶされ、輪が開きます。
- 輪の左右の幅は、体の幅より内側に収めます。輪が体の輪郭からはみ出すと、横に広く見えます。
- 垂れは腰骨より下、太ももの付け根より上で止めると、動いたときに脚に絡みません。
- 引き締めるときは両ひじを外へ張ります。ひじが体に近いと、斜め下へ引くことになって芯が回ります。
- ワンピースの後ろで結ぶ場合は、輪を大きめに。背面は距離があるぶん小さく見えます。
バッグの持ち手
スカーフやリボンを巻きつける場合です。
- 巻きつける前に、帯を持ち手の幅の1.5倍程度に折ります。細すぎると食い込み、太すぎると持ちにくくなります。
- 結ぶ位置は、持ち手の付け根寄り。中央で結ぶと、持つ手にちょうど当たります。
- 輪は小さく、垂れも短く。大きい輪は歩くたびに振れて、扉や人に引っかかります。
- 結び目は持ち手の外側(体の反対側)に向けます。内側だと体に当たってすぐ崩れます。
- ほどけやすい素材なら、蝶々結びの前に一重結びを2回入れて土台を作ってから結びます。
首に巻くスカーフ
小さめのスカーフを首元で蝶々結びにする場合です。帯にする折り方は素材別の項目のとおりです。
- 首の後ろで交差させずに、前で結びます。後ろで交差させると帯が首の後ろで重なり、厚みで襟が浮きます。
- 結び目は正面中央よりわずかに横。真正面だと結び目に視線が固定されます。
- 輪は小さめ、垂れは長めが扱いやすい配分です。首元は面積が狭いので、大きい輪は顔まで届いてしまいます。
- 色の選び方に迷ったら、顔まわりに置く色は肌との相性が出ます。色名の整理は色名の図鑑、似合う色の考え方はパーソナルカラー4シーズンの比較が参考になります。
靴の紐
服の話から少し離れますが、原理は同じです。靴紐がすぐほどける、左右に傾く、という場合も、2回目の交差が1回目と入れ替わっているために縦結びになっていることがほとんどです。靴では紐が横方向に強く引かれ続けるので、縦結びのゆるみやすさがそのまま出ます。直し方は服のリボンと変わりません。2回目の交差だけを逆にすると、結び目が靴の甲と平行に寝て、ほどけにくくなります。
ほどけないためのひと工夫
素材にかかわらず使える方法をまとめます。上から順に、手間の少ないものです。
- 1回目の結びで2回くぐらせます。芯にひと巻き足すだけで、滑る素材でも止まります。仕上がりの見た目はほとんど変わりません。
- 締める順番を守ります。輪の根元を左右へ引いて芯を締め、そのあとで垂れを軽く下へ引く。この順番だと芯が最後にゆるみません。
- 芯は締める、輪はゆるめる。逆にすると、輪の張力が芯を引き出してほどけます。
- 垂れの先を、結び目の裏側で1回だけ小さく交差させます。表からは見えず、動いても芯が戻りません。
- 動かない場所(バッグの持ち手、ベルトの結び目の裏など)なら、共色の糸で2〜3針だけまつります。ほどく前提のものには使えません。
- 衣類用の目立たない留め具や、面ファスナーの小片を結び目の裏に仕込む方法もあります。生地を傷めないか、目立たない場所で試してからにしてください。
- 縦結びを疑います。ほどけやすさの原因が、工夫ではなく結び方そのものにあることは珍しくありません。
時間が経っても形が保たれる工夫
朝はきれいでも、夕方には崩れている。その差は、結んだあとの一手間で縮められます。
結ぶ前に、リボンの折り目とシワを伸ばしておきます。折り目が残ったまま結ぶと、その折り目に沿って輪が倒れます。低温のスチームを10cmほど離して当て、平らに置いて完全に乾かしてから結びます。
結んだあとは、輪の形を整えてから軽くスチームを当てます。サテンやグログランは、これで輪郭が残ります。シフォンなど熱に弱い生地は当てず、手で形を整えるだけにしてください。素材表示を確認してから行います。
移動中は結ばないのも手です。ボウブラウスのひもは、着いてから結ぶほうが確実にきれいです。コートを脱ぐときに引っかかって崩れる、という事故もなくなります。
輪の中に、共布の切れ端や薄紙を小さく丸めて入れておく方法もあります。薄い生地の輪が立たない場合に効きます。外から見えない大きさに留めるのが条件です。
長く着る日は、結び直せるようにしておきます。この記事の手順を1度覚えてしまえば、鏡の前で30秒あれば直せます。崩れないようにする工夫より、崩れたら直せることのほうが、結局は楽です。
大きさのバランスをどう決めるか
輪の大きさは「好み」で決めがちですが、いくつか基準があります。
顔まわりと首の長さ
顔に近いリボンは、顔の大きさと首の長さの影響を受けます。
首が短めに見えるのが気になる場合は、結び目の位置を少し下げ、輪を小さく、垂れを長めにとります。輪が横に広がると、首の見える範囲がさらに狭くなるためです。縦に開く襟元と組み合わせると、縦の線がもう1本増えます。
首が長めの場合は、首元に近い位置で結び、輪をやや大きめにとると釣り合います。この場合は、輪の横幅が首の長さを分割してくれます。
輪の幅の目安は、顔の幅の半分から3分の2程度。これを超えると、リボンのほうが主役になります。逆に顔の幅の3分の1を下回ると、装いの中で埋もれます。あくまで出発点なので、鏡で1歩下がって全身で確認してください。
骨格タイプ別
体の質感と厚みで、似合う輪の大きさと素材が変わります。判断に迷う場合は骨格タイプとは何かを先に読むか、骨格タイプ診断で当たりをつけると早いです。どのタイプかわからないときの考え方は骨格診断がわからないときにまとめています。
- ストレート:上半身に厚みがあるので、大きく厚い輪は重なって見えやすくなります。輪は小さめ、平たく寝る素材(張りのあるリボンテープ、薄手のサテン)が扱いやすい傾向です。
- ウェーブ:上半身が薄く曲線的なので、小さめから中くらいの輪、やわらかい素材(シフォン、細番手のサテン)が乗りやすいとされます。輪を2段にするような凝った結び方も似合いやすい部類です。
- ナチュラル:骨格がしっかり出るので、小さすぎる輪は釣り合いません。大きめの輪、リネンやコットンなど張りと質感のある素材で、きっちり締めずにゆるめに結ぶと馴染みます。
顔タイプとの関係
顔の印象からも選べます。子供顔で曲線的な印象の方は小さめの輪を複数、大人顔で曲線的な印象の方は大きめでやわらかい輪、大人顔で直線的な印象の方は輪を控えめにして帯を細く。分類の考え方は顔タイプとはにあります。
場面との関係
同じリボンでも、場面で適量が変わります。改まった場では小さめ・光沢控えめ、休日の装いでは大きめ・素材の質感を出す、という方向が扱いやすい線引きです。式典やパーティーでの装いの温度感は祝賀会の服装やスマートカジュアルの記事が参考になります。
うまくいかないときのチェック
順番に確認すると、原因が絞れます。
- 結び目を正面から見て、帯が斜めに立ち上がっていませんか。立ち上がっていれば縦結びです。2回目の交差を逆にしてください。
- 左右の垂れの長さが違いませんか。結び始めの長さ配分の問題です。上に重ねる側を3〜5cm長くとります。
- 輪の付け根がねじれていませんか。結び目の芯に半回転が入っています。締める前なら指で直せます。
- 片方の輪だけが小さくありませんか。輪の根元をつまむ位置が左右で違うか、締めるときに利き手が強く引いています。
- 輪がつぶれていませんか。生地の張りが足りません。輪を大きくとるか、2枚重ねにします。
- すぐほどけませんか。滑る素材なら1回目を2回くぐらせます。それでも動くなら縦結びを疑ってください。
- 帯の裏が見えていませんか。輪の付け根で半回転ひねると表が出ます。
この記事のまとめ
きれいな蝶々結びは、手先の器用さではなく、2回目の交差の向きで決まります。1回目に上へ重ねた端を、2回目も上に通す。これだけで結び目の芯が帯と平行に寝て、輪が左右に並びます。位置で言えば、1回目とは逆の側が上に来ます。
そのうえで、素材ごとに崩れ方が違います。薄い生地は輪が立たず、滑る生地はほどける。前者は輪を大きく締めすぎない、後者は芯にひと巻き足す。原因が違えば対処も別になります。
大きさは、顔の幅、首の長さ、体の厚み、そして場面で決まります。迷ったら小さめから始めて、鏡で1歩下がって確かめる。これが結局いちばん外しません。
服の形についてもっと知りたい場合は、ネックラインの種類、袖の種類、スカートの種類の3本が図付きの早見帳になっています。色の名前で迷ったときは色名の図鑑を、裾まわりの整え方はデニムのロールアップをどうぞ。
よくある問い
- Q. 蝶々結びが縦になってしまうのはなぜですか?
- 1回目の交差で上に重ねた端と、2回目に上を通す端が入れ替わっているためです。1回目に右の端を上に重ねたなら、2回目も右から来た端(このときは左側に垂れています)を上にします。同じ端を続けて上にすると結び目の芯が帯と平行になり、輪が左右にまっすぐ並びます。違う端を上にすると芯が直角を向き、縦結びになります。
- Q. 縦結びと横結びはどう違いますか?
- 結び目の中心を通る「芯」の向きが違います。横結びは芯がリボンの帯と平行に寝るので、2つの輪が左右に水平に並びます。縦結びは芯が帯と直角に立つので、輪が斜め上と斜め下に振り分けられ、全体が45度ほど回転して見えます。ほどけやすさにも差が出ます。
- Q. ボウタイとは何ですか?
- 首元で蝶々結びの形に結ぶ帯状の装飾のことで、日本語では蝶ネクタイとも呼ばれます。英語の bow tie で、bow は蝶結び、tie は首に結ぶものという意味です。フォーマルな装いで着けるものと、ブラウスやワンピースの襟元から共布が長く伸びていて自分で結ぶタイプ(ボウブラウス、リボンタイ)の両方を指して使われます。
- Q. サテンのリボンがすぐほどけます。どうすればいいですか?
- 表面が滑るので、結び目の芯が小さいままだと自然にゆるみます。1回目の交差でくぐらせるとき、1回ではなく2回くぐらせて芯に厚みを作ると止まりやすくなります。仕上げに輪の根元だけを左右へ強く引き、輪そのものは引っぱらないでください。それでも動くなら、結び目の裏で垂れの先を数針まつるか、衣類用の目立たない留め具を使う方法があります。
- Q. 首が短めに見えるのが気になるとき、襟元のリボンはどう結べばいいですか?
- 結び目の位置を少し下げ、輪を小さく、垂れを長めにとると縦の線が出ます。輪を大きくして首の真下で横に広げると、首の見える範囲がさらに狭くなります。襟元自体を縦に開く形と組み合わせるのも有効です。
- Q. シフォンのリボンが平たくつぶれてしまいます。
- 張りがない生地なので、輪の中身が空のままだと自重で倒れます。帯を折りたたまず幅いっぱいに広げたまま結ぶ、輪を大きめにとる、結び目を締めすぎない、の3つで形が残りやすくなります。生地が薄い場合は2枚重ねにして厚みを作る方法もあります。
- Q. 一度ほどかずに縦結びを直せますか?
- 2回目の結びだけをほどけば直せます。輪を2つとも引き抜いて1回目の結び目だけを残し、そこから輪を作り直して、今度は先ほどと逆側の輪を上にして通します。薄い生地は引き抜くときにシワが残りやすいので、全部ほどいて結び直したほうがきれいに仕上がることもあります。
— メグラシ編集部







