祝賀会の服装|「平服で」の読み方と立場・会場・年代別の答え

招待状の一文から、その会の格を読む
会社から祝賀会や創立記念パーティーの案内が回ってきて、最初に困るのが「何を着ればいいのか、どこにも書いていない」ことだと思います。実際には書いてあるのですが、服装の指定としては読み取りにくい形になっています。案内状の文言は、そのまま格の指定になっています。
まずは、よく使われる書き方と、それが指している装いを並べます。細かな運用は会社や地域で幅がありますので、迷ったときの目安として使ってください。
| 案内状の書き方 | 指している格 | 女性の具体例 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 平服でお越しください | 略礼装 | 膝が隠れる丈のワンピース、ジャケット+ワンピース、セットアップ | 普段着ではない。「正礼装までは不要です」の意味 |
| 略礼装でお越しください | 略礼装(やや上) | ジャケット付きのフォーマルワンピース、フォーマル寄りのセットアップ | 「平服で」より明確な指定。羽織りは用意する |
| 準礼装・セミフォーマル | 準礼装 | 光沢のあるワンピース、ミモレ丈やロング丈のドレス、フォーマルスーツ | ホテルの宴会場で夜に開かれる会に多い |
| スーツ着用 | ビジネスフォーマル | 濃色のスーツ、セットアップ、ジャケット+スカートかパンツ | 男性側の指定に合わせた表現。女性はスーツ地に限らない |
| ドレスコード指定なし | 略礼装が無難 | ワンピース+ジャケット | 「何でもよい」ではなく「例年どおりで」に近い |
| 会費制・立食パーティー | 略礼装〜きれいめ | ワンピース、きれいめのセットアップ | 立ちっぱなしを前提に靴を決める |
| ビジネスカジュアルで | ややくだけた略礼装 | ジャケット+ブラウス+きれいめパンツ | 社内開催・少人数の会に多い |
この表を見て、行き先の一行がどれに当たるかを確かめれば、選ぶ範囲は一気に狭まります。以下、それぞれの読み方を補足します。
「平服でお越しください」は普段着ではない
いちばん誤解が生まれるのがこの一文です。平服という言葉の字面は「普通の服」ですが、案内状の中では略礼装を指します。主催者が伝えたいのは「モーニングや留袖のような正礼装をご用意いただく必要はありません」という配慮であって、「私服でどうぞ」ではありません。
女性の場合の落としどころは、膝が隠れる丈のワンピースに、ジャケットかボレロを一枚。足元はつま先の隠れたパンプス、ストッキングは肌色。これで祝賀会の平服としては過不足がありません。デニム、Tシャツ、スニーカー、リュック、大きなトートバッグは外します。
「かしこまりすぎたら浮くのでは」と心配になる方もいますが、この種の会で装いが重すぎて困ることはほとんどありません。逆に軽すぎると、会場に着いてからの数時間が落ち着かなくなります。迷ったら一段きちんとしたほうへ寄せておくのが、結果として楽です。
「スーツ着用」と書かれていたら
これは男性の服装を想定した表現がそのまま残っているケースが多く、女性が同じ形のスーツを着る必要はありません。ジャケットのある装いであれば、ワンピース+ジャケットでもセットアップでも成立します。
気をつけたいのは生地です。通勤用のウール混やしっかりしたポリエステルのスーツをそのまま着ると、写真の中で一人だけ仕事をしている人に見えます。手持ちの通勤スーツを使うなら、インナーをブラウスやとろみのあるカットソーに替え、パールのネックレスを足し、バッグを布かエナメルの小ぶりなものに変える。この三点だけで、祝いの場の装いに切り替わります。
書かれていないことから読む
案内状に服装の指定がなくても、格を読む手がかりは他にあります。
- 会場名:ホテルの宴会場名が書かれていれば、それだけで略礼装以上と読めます。会場名を調べて写真を見ると、天井の高さやシャンデリアの有無で雰囲気がつかめます
- 開始時刻:18時以降開始なら夜の会。濃色や光沢のある素材が合います。11時〜14時なら昼の会で、明るめの色が映えます
- 会費の有無:会費制なら参加者どうしの負担が軽い会であることが多く、略礼装で十分です
- 来賓の記載:「ご来賓」「ご祝辞」といった語があれば、外部の方が来る式典寄りの会。装いは一段上げます
- 受付・記念撮影の案内:集合写真が予定されているなら、写真に残る前提で色と丈を決めます
- 食事の形式:着席のコース料理か、立食のビュッフェか。立食なら片手が空くバッグと歩ける靴が要ります
この六つを拾えば、指定がなくても当日の格はほぼ確定します。
立場で変わる|主催・来賓・受賞者・受賞者の家族
同じ会場の同じ会でも、自分がどの立場で出席するかによって、ふさわしい装いは変わります。ここを取り違えると、服そのものは間違っていないのに落ち着かない、ということが起こります。
| 立場 | 格の目安 | 考え方 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 主催(社員・運営側) | 略礼装の中〜下 | 迎える側。来賓より目立たない | 濃色のワンピース+ジャケット |
| 来賓(招かれた側) | 略礼装の上〜準礼装 | 招いてくれた会社への敬意を装いで示す | 光沢のある素材、明るめの色を一点 |
| 受賞者本人 | 準礼装寄り | 壇上に上がる。写真に残る | 顔まわりが明るい色、膝が隠れる丈 |
| 受賞者の家族 | 受賞者より半段下 | 主役を引き立てる | 落ち着いた色。装飾は控えめに |
| 発表・司会など役割あり | 略礼装の上 | 立ちっぱなし・動きがある | 動きやすく、しわになりにくい素材 |
主催側(社員として運営に関わる)
会社の側で出席するなら、原則は「お客様より目立たない」です。装いの格は略礼装の範囲で、色は濃紺、チャコール、深いグレー、モカあたりが収まります。名札を付けたり受付に立ったりする可能性があるので、胸元に大ぶりのネックレスを重ねるより、パールの一連程度にしておくと実務が楽です。
社員として動く場面がある場合は、しゃがむ・荷物を持つ・階段を上がるといった動作が入ります。タイトすぎるスカートや、床すれすれのロング丈は避けたほうが当日ストレスがありません。ジャケットは、脱いだり着たりを繰り返してもしわが残りにくい、ポリエステル混の生地が扱いやすいところです。
来賓として招かれた
取引先や関係団体の立場で招かれたなら、装いは一段上げます。招いてくれた側にとって、来賓の装いが整っていることは、会そのものが立派に見えることに直結するためです。
具体的には、略礼装の中でもきちんとした側、あるいは準礼装。ジャケット付きのフォーマルワンピース、光沢のあるセットアップ、ミモレ丈のワンピースなどが選ばれます。色は濃紺、ボルドー、深いグリーンといった落ち着いた色に、パールやゴールドで光を足す構成が使いやすい形です。祝辞を頼まれているなら、壇上に上がる前提で次の節も読んでみてください。
受賞者本人
自分が表彰される側なら、その日の主役の一人です。遠慮して地味にしすぎると、記念写真の中で沈んで見えます。かといって華美になりすぎると、会の趣旨から浮きます。
軸にしたいのは、顔まわりの明るさです。ネイビーのワンピースにアイボリーのジャケット、グレージュのセットアップにパール、といった構成で、上半身に光を集めます。丈は膝が隠れる位置。壇上での所作については、後ろの節でまとめて扱います。
受賞者の家族として同席する
配偶者や親が表彰され、家族として招かれる場面があります。この場合の基準ははっきりしていて、主役より半段下げることです。
装いの格は略礼装で十分です。色は受賞者と系統を揃えるか、少しトーンを落とすときれいに収まります。たとえば受賞者がネイビーなら、家族はグレーやモーヴ。並んで写真に写ったときに、視線が主役に集まる配置になります。子どもと一緒に出席するなら、子どもの服装は制服があれば制服、なければ襟のあるシャツやワンピースが定番です。
会場別の目安|ホテル・レストラン・社内・ホール
会場の性質は、そのまま装いの重さに反映されます。
ホテルの宴会場
いちばん多いパターンで、そして最も格が高くなる会場です。天井が高く、照明が明るく、写真が多く撮られます。装いは略礼装の上から準礼装。ジャケットかボレロ、あるいは大判のショールを用意しておくと、どの場面にも対応できます。
宴会場は冷房が効いていることが多く、袖のない一枚では長時間つらくなります。羽織りものは防寒としても効きます。クロークがあるので、コートや大きな荷物は預けられます。会場内に持ち込むのは小ぶりのバッグひとつ、というのが基本の形です。
レストラン
貸切のレストランで開かれる会は、ホテルより一段やわらかい雰囲気になります。略礼装、あるいはきれいめのワンピースにジャケットで十分です。
気にしたいのは席の間隔です。テーブルが近い店では、大きく広がるスカートや長いショールが隣の席にかかることがあります。すっきりしたシルエットのほうが動きやすく、料理も楽しめます。イタリアンやフレンチのコースなら着席が長くなるので、座ったときに苦しくないウエストのものを選んでおきます。
社内(オフィス・研修室・食堂)
社内での開催は、格がぐっと下がります。ここでホテル基準の装いをすると、逆に浮きます。ジャケット+ブラウス+きれいめのパンツかスカート、というオフィス寄りの装いに、アクセサリーで少しだけ華やぎを足す。この程度が過不足のない線です。
社内開催でも、来賓が来るのか社員だけなのかで変わります。案内に「ご来賓」の記載があれば、ワンピース+ジャケットまで上げておくと安心です。普段のオフィスの装いからどこまで足すかは、きれいめカジュアルの組み立て方やオフィスカジュアルの基準も参考になります。
ホール・会館・公共施設
式典形式で、椅子が並び、壇上で式次第が進む会場です。座っている時間が長く、床が硬く、冷暖房の効き方に偏りがあります。
装いは略礼装。加えて、椅子に長く座る前提で、しわになりにくい素材を選びます。ジョーゼット、とろみのあるポリエステル、ジャージー混あたりが向いています。会場が広いホールなら足元が冷えるので、羽織りものに加えて薄手のストールがあると助かります。パイプ椅子が並ぶタイプの会場では、床すれすれの丈は裾を踏まれることがあるので、少し短めに調整します。
昼と夜で変えること
礼装の考え方には「昼は光らせない、夜は光らせてよい」という原則が残っています。会社の祝賀会で厳密に運用されることは少なくなりましたが、判断に迷ったときの物差しとしては今も有効です。
| 昼の会(11時〜16時ごろ) | 夜の会(17時以降) | |
|---|---|---|
| 素材 | ツヤを抑えたジョーゼット、シャンタン、ツイード | サテン、ベルベット、光沢のあるジャカード |
| 色 | 明るめ、中間色。グレージュ、モーヴ、ライトネイビー | 濃色。ネイビー、ボルドー、ダークグリーン、黒 |
| アクセサリー | パール中心。石は控えめに | ビジュー、ゴールド、輝きのある石も合う |
| 露出 | 抑える。袖か羽織りを添える | 多少開いてもよいとされる |
| バッグ | 布、スエード調、マットな質感 | サテン、エナメル、ビーズ |
昼夜どちらでも通用するのは、パールと、ツヤを抑えた濃色の生地です。一着を長く使いたいなら、この二つを軸に選ぶと出番が増えます。
夕方開始で二部構成という会もあります。その場合は夜の基準で選んでおき、昼寄りの雰囲気だったら羽織りを明るい色に替える、という調整が効きます。
避けたいもの、そして「全身黒」の落とし穴
外しておきたい四つ
祝賀会で判定が「避けたい」に振れるのは、次の四つに絞られます。
- 主役より目立つ装い:受賞者や表彰される方より華やかにしない。全身に光沢、大きな髪飾り、鮮やかな赤一色は視線を集めすぎます
- 露出の多いデザイン:肩が大きく開く、背中が深く開く、膝上のミニ丈。羽織りで覆えるなら可ですが、覆えないものは外します
- カジュアルすぎる素材:デニム、綿のシャツ地、ジャージ、リネン、ざっくりしたニット。素材だけで場から浮きます
- 派手すぎる色と柄:蛍光色に近い色、大柄のアニマル柄、はっきりしたチェックやストライプ。遠目に無地に近く見える柄行きが安全です
全身黒は、思っているより重く見える
「無難だから黒」と考えて、黒のワンピースに黒のジャケット、黒のバッグ、黒のパンプス、黒のストッキングで揃える。この組み合わせは、祝いの場では弔事の装いに見えます。会場の照明の下では、黒はさらに沈みます。
黒そのものが悪いわけではありません。黒のフォーマルは手持ちにある方が多く、使えれば経済的です。転換のコツは、どこか一か所に光か色を入れることです。
- 羽織りをグレージュ、アイボリー、シャンパンベージュに替える
- バッグをサテンのゴールドやシルバーにする
- パールの一連を重ね、イヤリングも同系で揃える
- インナーやブラウスを明るい色にして、顔まわりに光を集める
- コサージュやブローチを胸元に添える
- ストッキングを黒から肌色に替える
このうち二つ以上を実行すれば、同じ黒の一着が祝いの装いとして読み取ってもらえます。とくに効くのは、ストッキングを肌色に替えることと、顔まわりに明るい色を置くことの二つです。
もうひとつ、黒は年齢が上がるほど顔色を引き算する方向に働きます。50代、60代の方が黒を着るなら、顔まわりに明るい色を置く工程は省かないほうが写真映りが変わります。自分に合う色の方向はパーソナルカラー4タイプの比較から確かめられます。
年代別の選び方
年代によって、無理のない装いの重心が変わります。ここは会社の中での立場とも重なるところです。
20代
若手として出席する場面が多く、「浮かないこと」がいちばんの関心事だと思います。装いの格は略礼装の中程度で十分です。
選びやすいのは、ネイビー、グレージュ、くすみピンク、モーヴといった落ち着いた色のワンピースに、短めのジャケットかボレロ。膝が隠れる丈で、袖は半袖から七分。足元は3〜5センチのパンプスで、履き慣れたものを選びます。
若い年代ほど、パーティー用の華やかなドレスを持っていて「これでいいのか」と迷いがちですが、会社の祝賀会は結婚式の二次会とは別物です。肩や背中が大きく開くもの、光沢の強いもの、ミニ丈は避け、一段落ち着かせたほうが会になじみます。装飾を減らしたぶん、パールやゴールドの小ぶりなアクセサリーで華やぎを足すと、若々しさが残ります。
創立記念パーティーのような社内行事なら、初めて会う他部署の方や役員と話す機会にもなります。名前と顔を覚えてもらう場でもあるので、暗くまとめすぎず、顔まわりに明るさのある色を一点入れておくと印象が残ります。
30〜40代
チームを預かる立場になり、来賓に挨拶する機会も出てくる年代です。装いは略礼装の上あたりに置いておくと、どの役回りが回ってきても対応できます。
軸にしやすいのは、ジャケットとワンピースのセットです。ジャケットがあると、受付に立つ、司会をする、来賓に挨拶する、といった場面のすべてで格が足ります。色はネイビー、チャコール、深いグリーン、ボルドー。素材はジョーゼットやとろみのあるポリエステルが、しわにも強く扱いやすいところです。
この年代でよく聞くのが「体型が変わって手持ちが合わない」という悩みです。無理に体を覆う方向で考えるより、落ち感のある生地で縦のラインをつくるほうが、結果としてすっきり見えます。考え方は着痩せの基本にまとめています。ネックラインの選び方でも見え方はかなり変わるので、ネックラインの種類もあわせてどうぞ。
50代
会社の中でも上の立場になり、装いに「格」を求められる場面が増えます。ここは素材で差が出る年代です。
同じネイビーのワンピースでも、薄いポリエステルとしっかりしたジョーゼットでは、写真に写ったときの印象がはっきり違います。枚数を増やすより、一着を良い素材にするほうが効きます。ツイードのノーカラージャケットは、この年代からとくに使いやすくなるアイテムです。
丈はミモレ丈まで伸ばしても構いません。むしろ長いほうが落ち着きます。袖は七分か長袖。二の腕の露出を気にする方が多い年代ですが、袖があること自体は格を下げないので、遠慮なく袖付きを選んでください。アクセサリーはパールの一連に、少し大きめの粒。イヤリングも同系で揃えると、全体が引き締まります。
60代
この年代で祝賀会や表彰式の服装を調べる方は多く、しかも「主役側」または「主役の家族」として出席する場面が増えます。長く勤めた表彰、永年勤続、創立記念での謝辞、配偶者の受賞への同席。どれも写真が残る場面です。ここは少し丁寧に書きます。
基本の形は、ジャケットとワンピースのセットです。単品を組み合わせるより、上下が揃っているほうが一段落ち着いて見え、当日の判断も要りません。ジャケットは丈が短めのノーカラーか、小さめの襟。ワンピースは膝が隠れる位置からミモレ丈まで。素材はジョーゼット、シャンタン、ツイード、または上質なポリエステル混を選びます。
色は、ネイビー、チャコール、モーヴ、深いグリーン、モカ。この五色のどれかを土台にすると、まず外れません。そのうえで、顔まわりに明るさを足す工程を入れます。理由は単純で、年齢とともに肌や髪のコントラストが穏やかになるためです。土台が濃色なら、インナーをアイボリーやライトグレーにする、羽織りをグレージュにする、パールを二重に重ねる。どれか一つで顔色が変わります。
丈と袖については、次の三点を目安にしてください。
- スカート丈:座って膝が隠れる位置。立ったときにふくらはぎの真ん中あたりに来るミモレ丈も落ち着きます
- 袖丈:七分袖か長袖。腕まわりの心配がなくなり、冷房対策にもなります
- ネックライン:詰まりすぎない浅めのVかラウンド。首元が詰まると顔まわりが重くなります
足元は、5センチ前後の太めのヒール。細いピンヒールは会場の床や絨毯で不安定になります。ヒールが不安なら3センチ台でも礼装として十分に成立します。歩けない靴を我慢して履くより、安定して過ごせるほうが姿勢がきれいに見えます。ストッキングは肌色。
バッグは、小ぶりのハンドバッグに、荷物用のサブバッグを別に。式典では祝賀品や記念品を渡されることがあるので、たたんでバッグに入る布製のサブバッグを持っておくと、帰りに困りません。
この年代でパンツスタイルを選ぶ方も増えました。膝や腰に不安がある場合、立食が長い場合は、パンツのほうが快適です。条件は、ジャケットと同素材のセットであること、ワイドかストレートで落ち感があること、丈が足の甲にかかる長さであること。この三つを満たせば、略礼装として問題なく通ります。
最後にひとつ。60代で「若づくりに見えないか」と気にされる方がいますが、明るい色や光る素材を避けることが上品さではありません。顔色が沈んで見えるほうが、写真の中では年齢が上に写ります。明るい色をどこに置くかを決めるだけで、装いは若返らせずに軽くなります。
表彰式で壇上に上がる日の服装
自分が表彰され、名前を呼ばれて壇上に上がる。この場面には、他の出席者にはない条件が三つあります。
一つめは、後ろ姿が長く見られることです。壇上へ歩いていくあいだ、会場のほぼ全員が背中を見ています。背中が開いたデザイン、ファスナーが目立つもの、しわが寄りやすい素材は避けます。座席に座っていた時間が長いと、スカートの後ろにしわが残ることがあるので、名前を呼ばれる前に一度立って整えておきます。
二つめは、写真と映像に残ることです。社内報や会社のサイトに掲載されることもあります。判断の基準は「10年後に見返して落ち着いていられるか」。流行の強い形より、シンプルな形のほうが時間に耐えます。会場のスクリーンに映る場合、細かい柄はちらついて見えるので、無地か遠目に無地に見える柄が向いています。
三つめは、動作が入ることです。階段を上がる、賞状を両手で受け取る、頭を下げる、握手をする。この四つの動作を鏡の前で試しておくと、当日困りません。とくに、賞状を受け取るときに袖口が広いデザインだと、腕を伸ばした瞬間に袖がめくれ上がります。袖口が広がるフレアスリーブやベルスリーブは、この日は避けておくほうが安心です。
まとめると、壇上に上がる日の条件は次のようになります。
- 丈は膝が隠れる位置。歩幅が取れるスリットか、ゆとりのあるシルエット
- 上半身に明るさのある色。顔から胸元にかけて光を集める
- ヒールは5センチ前後、太めで安定した形。階段を上がる前提で
- 袖口はすぼまった形か、通常の袖幅。フレアスリーブは避ける
- ネックレスは小ぶり。胸元に名札やリボン章を付ける可能性がある
- 髪は顔にかからないようにまとめる。お辞儀のたびに直す動作が入らないように
- スカートの後ろにしわが残っていないか、直前に確認する
謝辞やスピーチを頼まれている場合は、原稿を入れる場所も考えておきます。ジャケットのポケットが使えるか、バッグから出すのか。壇上で紙を探す時間は、思っているより長く感じられます。
小物で決まる|バッグ・靴・アクセサリー・羽織もの
服が決まったあと、当日の印象を左右するのは小物です。
バッグ
会場内に持ち込むのは、小ぶりのハンドバッグかクラッチ。素材はサテン、布、エナメル、スエード調。革製のものは慶事では控えるという考え方がありますが、祝賀会では結婚式ほど厳密ではありません。ただ、通勤用の大きなトートやリュックは、装いの格を一段下げてしまうので外します。
荷物が多い日は、サブバッグを別に持ちます。会場でクロークに預けるか、椅子の下に置くかのどちらかです。式典では記念品や資料を渡されることがあるので、たたんで入る布製のサブバッグがあると帰りが楽です。
靴とストッキング
つま先とかかとが隠れたパンプスが基本です。ヒール高は3〜7センチ。素材はサテン、エナメル、光沢のある布地、スエード調。オープントゥ、ミュール、サンダル、ブーツは、フォーマルの足元にはなりません。
立食パーティーなら、履き慣れているかどうかが服の見た目より効いてきます。会場に着くまでは別の靴で移動して、履き替えるという方法もあります。ストッキングは肌色が基本。黒のストッキングやタイツは弔事の印象になるため、祝いの場では肌色にしておきます。予備を一足バッグに入れておくと、伝線したときに助かります。
アクセサリー
パールが最も使いやすく、昼夜どちらでも、どの立場でも通ります。一連のネックレスと、一粒か小ぶりのイヤリング。この組み合わせで外れることはまずありません。
避けたいのは、大きく揺れて音が出るもの、カジュアルな樹脂やウッド素材、そして腕時計の存在感が強すぎるものです。式典中は静かな時間が長いので、動くたびに音が鳴るアクセサリーは自分も気になります。ゴールドのシンプルなフープや、小さなビジューも場になじみます。小物の選び方はフォーマルの小物と羽織ものにも詳しくまとめています。
羽織もの
祝賀会の会場は、季節を問わず冷房が効いています。羽織りものは、格を足すためだけでなく、体温調節のためにも要ります。
ジャケットは、女性の場合は室内で脱ぐ決まりがありません。着たままで構いませんし、暑ければ歓談中に脱いでも問題になりません。ボレロは短い丈のぶん軽く見えるので、略礼装向き。大判のショールは、かけ方で印象を変えられるうえ、膝掛けとしても使えます。素材はシフォン、シルク、サテンなど薄手で光沢のあるものが合います。
真冬の会なら、会場までのコートは別に考えます。クロークに預ける前提なので、コートの色や形は装いの格に含まれません。ただ、脱いだあとに髪が乱れることを考えて、フードのないコートのほうが扱いやすいところです。季節ごとの重ね方は気温別の服装の目安も参考にしてみてください。
二次会・懇親会まで続くとき
祝賀会のあとに、部署ごとの二次会や有志の懇親会が続くことがあります。着替える必要はありませんが、少し調整すると過ごしやすくなります。
会場を移すとき、場所は居酒屋やダイニングバーになることが多く、祝賀会の装いのままだと浮くように感じることがあります。そこで効くのが引き算です。ジャケットを脱ぐ、ショールを外す、パールをはずして小さなピアスだけにする。それだけで一段カジュアルに寄ります。逆に、二次会のほうがきちんとした店なら、ジャケットを着たままにしておきます。
当日の準備としては、次の三点を押さえておくと安心です。
- 靴:二次会まで含めると、立っている時間が長くなります。ヒールは低めか、太めの安定した形に
- バッグ:小さすぎるクラッチだと、二次会での移動が不便です。折りたたみのサブバッグを一つ
- 上着:会場を移動するあいだ外を歩きます。季節によっては薄手のコートを別に用意しておきます
飲食が続く日は、ウエストにゆとりのある形のほうが最後まで楽です。ワンピースならウエストに切り替えのないIラインやAライン、セットアップならゴムやタックの入ったスカート。長時間の会では、ここがいちばん効きます。
体型と色から、一着を絞る
同じ「膝が隠れるワンピース」でも、体のつくりによって似合う形は変わります。骨格の3タイプで考えると、試着の回数が減ります。
| 骨格タイプ | 特徴 | 祝賀会で選びやすい形 |
|---|---|---|
| ストレート | 上半身に厚みがありメリハリがある | Iラインのワンピース、ハリのある生地、浅めのVネック |
| ウェーブ | 上半身が薄く華奢で下重心 | 切り替えのあるフィット&フレア、柔らかい生地、短めのボレロ |
| ナチュラル | 骨と関節が目立ち肩幅や背中が広め | Aラインやゆるやかなストレート、落ち感のある生地、ノーカラージャケット |
自分のタイプがはっきりしないときは、骨格タイプとはから確かめられます。「診断してみたけれど判断がつかない」という場合は骨格タイプが分からないときに手順をまとめました。手早く確認するなら骨格診断からどうぞ。
色については、パーソナルカラーの考え方が使えます。同じネイビーでも、青みの強いネイビーが映える方と、少し緑がかったネイビーのほうが顔色が明るく見える方がいます。祝賀会は写真が残る場なので、顔色が上がる色を選んでおくと、あとから見返したときの満足度が違います。パーソナルカラー診断から傾向をつかんでみてください。
スカートの形で迷ったときはスカートの種類、袖の形で迷ったときは袖の種類が判断の材料になります。
会場で困らないための、当日の三つの確認
装いが決まったら、当日の朝に三つだけ確かめておきます。
座ったときの丈。立って膝が隠れていても、椅子に座ると10センチ近く上がります。式典は着席時間が長いので、鏡の前で一度座ってみます。
後ろ姿。祝賀会は立食も多く、背中を見られている時間が長い会です。ファスナーの位置、しわ、下着のラインを、合わせ鏡で確認します。
そして、名札やリボン章を付ける場所。胸元にネックレスを重ねていると、付ける場所がなくなります。式典で何かを胸に付ける可能性があるなら、ネックレスは短めか、小ぶりにしておきます。
この三つを済ませておけば、会場に着いてからは会そのものに集中できます。
迷ったときの三つの基準
個別の項目に答えが見つからなかったときは、この三つで決めてください。
主役より目立たない。 受賞者、表彰される方、あるいは会そのものが主役です。全身に光沢、大きな髪飾り、鮮やかすぎる色。視線を分け合ってしまうものを外せば、色と装飾の判断はほぼつきます。
自分の立場に格を合わせる。迎える側なら控えめに、招かれた側なら一段上げる。この一点だけで、同じ会場でも選ぶ服が変わります。判断に迷ったら、自分より立場が上の人が着そうなものより、半歩控えめにしておくと座りがよくなります。
写真に残ることを思い出す。祝賀会や表彰式は、社内報やアルバムに何年も残ります。座ったときの丈、後ろ姿、集合写真での色。この三つを鏡で確認しておけば、当日に不安が残りません。
この三つで決まらない項目は、正直なところ、どちらを選んでも問題にならない範囲です。そこまで来たら、自分が着ていて気持ちのよいほうを選んでください。
なお、同じ「その日だけの服」でも、劇場に行く日の装いは考え方が違います。祝賀会が「格を合わせる」場であるのに対して、劇場は「周りへの配慮」が軸になります。観劇の予定がある方は観劇の服装、宝塚や歌舞伎なら宝塚・歌舞伎の観劇服装にまとめました。
まとめ|案内状の一行から逆算する
祝賀会の服装は、ゼロから考えるものではありません。案内状に書かれた一行から逆算していけば、選択肢はかなり狭まります。
「平服で」なら略礼装、つまりワンピースにジャケット。「スーツ着用」なら生地を替えたセットアップ。指定がなければ、会場名と開始時刻から格を読む。ここまでで方向は決まります。
そのうえで、自分の立場を当てはめます。迎える側なら控えめに、招かれた側なら一段上げ、表彰される側なら顔まわりを明るく。会場がホテルなら重めに、社内なら軽めに。昼なら光を抑え、夜なら光を足す。
最後に、全身黒にしないこと。羽織り、バッグ、アクセサリー、ストッキングのどこかに光か色を一点入れておけば、祝いの場の装いとして読み取ってもらえます。
決まったら、あとは当日を楽しむだけです。会そのものは、誰かの節目を祝うために開かれています。服の心配に使う時間を減らして、その場に気持ちを向けていただければと思います。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 祝賀会の案内に「平服でお越しください」とあります。何を着ればいいですか?
- 普段着という意味ではなく、略礼装を指します。女性なら膝が隠れる丈のワンピースにジャケットかボレロ、足元はつま先の隠れたパンプス、というのが基準です。デニム、Tシャツ、スニーカー、リュックは外します。主催者としては「モーニングや留袖のような正礼装までは不要です」と伝えたい一文だと読むと、ずれません。
- Q. 会社の祝賀会にスーツで行っても大丈夫ですか?
- 問題ありません。案内に「スーツ着用」と書かれている場合はむしろ想定どおりです。ただし通勤用のスーツをそのまま着ると働く服に見えるため、インナーをブラウスやとろみのあるカットソーに変え、パールのネックレスと布やエナメルのバッグを合わせると、祝いの場の装いに切り替わります。
- Q. 祝賀会で女性が全身黒を着るのは避けたほうがいいですか?
- 黒のワンピースやスーツ自体は問題ありませんが、靴・バッグ・ストッキング・アクセサリーまで黒で揃えると弔事の装いに近づきます。羽織りをグレージュにする、バッグをサテンにする、パールやゴールドのアクセサリーを足すなど、どこか一か所に光か色を入れておくと、祝いの場の装いとして読み取ってもらえます。
- Q. 表彰式で壇上に上がります。どんな服装がいいですか?
- 正面からだけでなく、後ろ姿と横顔も見られ、写真にも残ります。背中や肩が大きく開いたデザイン、床すれすれの長い丈、歩きにくいヒールは避けてください。膝が隠れる丈で、上半身に明るさのある色、ヒールは5センチ前後の安定した形。胸元に社名の札を付ける可能性があるので、大ぶりのネックレスは控えめにします。
- Q. 60代の女性が祝賀会に着ていくなら何がよいですか?
- ジャケットとワンピースのセットが最も収まりよく、色はネイビー、チャコール、モーヴ、深いグリーンあたりが選びやすいところです。顔まわりに明るさが欲しいので、インナーか羽織りのどちらかを明るい色にするか、パールを重ねます。丈は膝が隠れる位置からミモレ丈、袖は七分か長袖にすると腕まわりの心配がなくなります。
- Q. 昼と夜で祝賀会の服装は変えたほうがいいですか?
- 考え方としては残っています。昼はツヤを抑えた素材と明るめの色、アクセサリーはパール中心。夜はサテンやベルベットなど光沢のある素材、ビジューや輝きのある石も合います。ただし現在の会社の祝賀会では厳密に分けられることは少なく、開始が夕方以降なら濃色に光を一点足す、という程度で十分に収まります。
- Q. 祝賀会のあとに二次会があるときはどうすればいいですか?
- 着替える必要はありません。ジャケットを脱ぐ、ショールを外す、アクセサリーを一つ足す、といった引き算と足し算で雰囲気が変わります。二次会が居酒屋やカジュアルな店になることもあるので、バッグは小さすぎないもの、靴は長時間立てるヒール高を選んでおくと、当日の移動が楽になります。
— メグラシ編集部







