防虫剤 クローゼット|効く範囲は「閉じた容積」で決まる。個数と吊るす高さの出し方

衣替えでクローゼットを開けたら、去年しまったはずのものに小さな穴が開いていた。防虫剤はちゃんと入れていたのに、という状況で手が止まる。
この場合、足りなかったのは量ではないことがほとんどです。防虫剤が効く範囲を決めているのは、服の枚数ではなく、閉じた空間の容積だからです。衣類をどう洗ってから仕舞うか、素材ごとに何が食べられるかは別の話として、ここではクローゼットという場所そのものの条件だけを扱います。
結論:先に測るのは服の枚数ではなく、クローゼットの内寸です
防虫剤の表示には「◯リットルまで」あるいは「洋服◯着分」と書かれています。この数字は、成分が広がりきる空間の大きさを指しています。
つまり、必要な個数は入れる服の数では決まりません。クローゼットの内寸を一度測って容積を出しておけば、そのあとは毎年同じ個数を入れるだけになります。
手順|内寸から容積を出す
| 順番 | やること | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | 中の幅を、内側の壁から壁まで測る | 1分 |
| 2 | 奥行きを、扉の内側から奥の壁まで測る | 1分 |
| 3 | 高さを、床から天井板まで測る | 1分 |
| 4 | 3つを掛けて、1000で割る | 1分 |
| 5 | 出た数を、製品表示の適用量で割る | 1分 |
幅90cm、奥行き60cm、高さ180cmのクローゼットなら、90×60×180で972000。1000で割って約972リットルです。表示が「500リットルまで」の製品なら、2個必要という計算になります。
この数字を紙に書いて、クローゼットの内側に貼っておいてください。次の衣替えでは測り直す必要がなくなります。
吊るす高さ|パイプから15cm下
有効成分の多くは空気より重く、上から下へ落ちていきます。だから、置く場所は衣類より上です。
| 置き方 | 位置 | 起きやすい間違い |
|---|---|---|
| 吊り下げるタイプ | パイプから15cm下 | 服と同じ高さに掛ける |
| 置くタイプ | 上の棚の上 | 床に直接置く |
| 引き出しの中 | 畳んだ服のいちばん上 | 底に敷く |
床に置くと、掛かっている服のほとんどに成分が届きません。上の棚がない構造なら、吊り下げるタイプを選んでください。
衣類に直接触れさせないことも大切です。服と服のあいだに2cm以上のすきまを作って吊ると、触れたところが変色する事故を避けられます。金属のボタンや樹脂の装飾に触れると、そこだけ変質することもあります。
開け閉めの回数で、必要な考え方が変わります
防虫剤が働くのは、成分が空間にとどまっているあいだだけです。扉を開けるたびに、たまった成分は外へ逃げます。
| 扉を開ける頻度 | 考え方 |
|---|---|
| 週に1回以下 | クローゼット全体を1つの空間として数える |
| 毎日1〜2回 | 中に小さな閉じた空間を作る |
| 扉がない・開けっ放し | 全体では数えず、カバーやケースだけで数える |
毎日開けるクローゼットに、容積ぶんの個数を入れても、濃度は保てません。この場合は、長く着ない服を3〜5着ずつ不織布のカバーにまとめて、そのカバーごとに1つ入れるほうが確実です。
考え方としては、大きな1つの空間をあきらめて、小さな空間をいくつも作るということになります。
混ぜないほうがいい組み合わせ
成分の系統が違うものを同じ空間に入れると、組み合わせによっては溶け合って液状になり、衣類に付着することがあります。
新しく買い足すときは、いま入っているものと同じ系統かを表示で確かめてください。系統が分からなくなっている場合は、いったん全部取り出し、扉を開けて半日ほど風を通してから、新しいものだけを入れ直します。香りをつけるものを一緒に入れると、系統が判別できなくなるので避けてください。
系統ごとの性格と、切り替えの詳しい手順は、仕舞う側の記事にまとめてあります。
湿気は下、防虫は上
除湿するものと防虫剤は、置く高さが逆になります。湿気は低いところに溜まるので、除湿するものは床に近い側です。
この2つは併用してかまいません。むしろ、湿気の多いクローゼットでは、防虫剤だけを増やしても状態は変わりません。上に1つ、下に1つという置き方で、役割を分けてください。
月に1回、30分だけ扉を開けて風を通す。この習慣のほうが、道具を増やすより中の状態を変えます。
どちらとも取れるとき①|衣装ケースがクローゼットの中にある
クローゼットの中に、蓋つきのケースが積んである。この場合、ケースの中とクローゼットの空間は別々に数えてください。
蓋が閉まっているケースは、それ自体が閉じた空間です。クローゼット全体に入れた防虫剤の成分は、ケースの中までは届きません。ケースにはケースの容積で1つ入れる必要があります。
このとき、クローゼット側とケース側で違う系統のものを使わないでください。開け閉めのときに混ざる可能性があります。
どちらとも取れるとき②|季節の服が同居している時期
9月から10月にかけては、夏物と秋冬物が同じクローゼットに並びます。この時期は、出し入れの回数が増えるので、成分が最も逃げやすくなります。
割り切り方は2つあります。1つは、入れ替えが終わるまで待って、片付いてから新しいものを入れる。もう1つは、今シーズン着ない側だけを先にカバーにまとめて、そこだけ先に閉じてしまう。
どちらでも構いませんが、「入れ替えの最中に全体へ入れる」がいちばん効きません。動いている空間に入れても、成分はとどまりません。
どちらとも取れるとき③|家族と1つのクローゼットを使う
1つのクローゼットを2人以上で使っている場合、開ける回数はそのまま人数分に増えます。1人なら週に2回でも、2人なら週に4回です。
この場合は、全体に入れる個数を増やすのではなく、区画を分けてください。毎日触る側と、季節の変わり目にしか触らない側を左右に分け、触らない側だけをカバーでまとめて閉じます。全体の容積で数えるのをやめて、閉じた側の容積だけで数える形に切り替えるということです。
区画を分けるときは、扉の開き方によって見える位置が変わるので、触らない側を死角の側に寄せると出し入れの邪魔になりません。
早見表|クローゼットの形別・数え方
| クローゼットの形 | 数える単位 | 目安 |
|---|---|---|
| 扉つき・開けるのは週1回以下 | 全体の容積 | 内寸から計算した個数 |
| 扉つき・毎日開ける | カバーやケースごと | 1つにつき1個 |
| 引き戸で半分ずつ開く | 全体の容積 | 計算した個数に加え、奥側に1個 |
| 扉なしのラック | カバーごとのみ | 全体には入れない |
| 押入れ・上下に分かれる | 上段と下段で別々に | それぞれの容積で計算 |
引き戸のクローゼットは、常に半分が閉じた状態にあります。開いている側から成分が逃げるので、奥に寄せた分を1つ足しておくと濃度が保ちやすくなります。
交換した日を残す
効いているかどうかは、見ても分かりません。だから、日付のほうを残します。
入れた日と、次に替える月を書いた紙を、クローゼットの内側の扉に貼ってください。半年の製品なら春と秋、1年の製品なら毎年同じ季節に替えることになります。衣替えの作業とまとめてしまえば、別の予定として覚えておく必要がなくなります。
日付が分からなくなったものは、期限内かどうかを判断する手立てがありません。迷ったら替えてしまうほうが、結果として安く済みます。
よくある行き違い
多く入れるほど効く、と言われることがあります。表示の適用量を超えて入れても、効き方は変わらず、ニオイが残るだけです。足すのは個数ではなく、閉じた空間のほうです。
クローゼットに入れてあるから安心、という言い方も見かけます。扉が開いていれば成分はとどまりませんし、床に置いていれば上の服には届きません。入れた場所と高さのほうが効きます。
高い位置に置くと届かないのでは、とも言われます。成分は空気より重いので、上から落ちて広がります。届かなくなるのは、上ではなく下に置いたときです。
装いに活かすなら
防虫剤の数を決める作業は、クローゼットの容積を一度だけ測ることから始まります。この数字は、収納できる量を考えるときにもそのまま使えます。
測ってみると、思っていたより空間が小さいこともあります。入るものの上限が見えると、次の季節に足す一枚を選ぶ基準も変わってきます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. クローゼットに防虫剤はいくつ入れればいいですか
- クローゼットの内寸から容積を出して、表示の適用量で割ってください。幅・奥行き・高さをcmで測り、掛け合わせて1000で割るとリットルになります。たとえば幅90cm、奥行き60cm、高さ180cmなら約972リットルです。製品には「◯リットルまで」あるいは「洋服◯着分」という表示があるので、その数字で割った個数が必要数です。着ている枚数ではなく、空間の大きさで決まります。
- Q. 防虫剤はどこに置けばいいですか
- 衣類の肩より上です。有効成分は空気より重いため、上から下へ落ちて広がります。床や引き出しの底に置くと、上に掛かっている服には届きません。吊り下げるタイプなら、パイプから15cm下、衣類の肩の位置より高くなるところに掛けてください。衣類に直接触れると変色することがあるので、服と服のあいだに2cm以上のすきまを作って吊るします。
- Q. 扉のないラックやカーテンで仕切った場所でも効きますか
- そのままではほとんど効きません。防虫剤は閉じた空間に成分がとどまることで働くので、開いた場所では量を増やしても濃度が保てません。この場合は、空間を閉じようとするより、衣類のほうを不織布のカバーや蓋つきのケースに入れて、小さな閉じた空間をいくつか作るほうが早く解決します。カバーは1着ずつではなく、3〜5着をまとめて1つに入れる形でかまいません。
- Q. 交換の時期はどう覚えておけばいいですか
- 衣替えの日に合わせてしまうのがいちばん忘れません。多くの製品は半年から1年で交換の表示になっているので、春と秋の入れ替えのタイミングで替えると周期が合います。入れた日を書いた紙をクローゼットの内側に貼っておくと、次に開けたときに判断できます。日付が分からなくなったものは、効いているかどうかを確かめる方法がないので、替えてしまうほうが確実です。
— メグラシ編集部




