撥水加工コートの選び方|表地が綿か化繊かウールかで着る時期が違う

**撥水加工コートは、表地の素材で選んでください。**秋の前半の短い雨なら綿、雨の中にいる時間が長い日なら化繊、気温の低い冷たい雨の日ならウール。同じ「撥水」と書いてあっても、表地が違えば、着られる時期も、濡れたあとの重さも、乾き方も変わります。
撥水加工は、布の表面で水を玉にして転がす加工です。加工が効いているあいだは、どの素材でも水を弾きます。違いが出るのは、加工が落ちてきたときと、長く雨に当たったときです。そのとき、表地が水を吸うか吸わないか、濡れても暖かいかどうかで、雨の日の過ごしやすさが分かれます。
撥水と防水の違いははっ水(撥水)コートと防水コートの違いに、丈の選び方は撥水ロングコートの選び方にまとめています。この記事は、撥水加工のコートを選ぶときに、表地の素材をどう見るかの話です。
結論:着る時期と、雨の中にいる分数で表地を選ぶ
表地の素材は、次の2つで決まります。
| その日の最高気温 | 雨の中にいる時間 | 向く表地 |
|---|---|---|
| 18度以上 | 20分まで | 綿 |
| 18度以上 | 30分以上 | 化繊 |
| 12〜17度 | 20分まで | 綿、ウールと化繊の混紡 |
| 12〜17度 | 30分以上 | 化繊 |
| 12度未満 | 20分まで | ウール |
| 12度未満 | 30分以上 | 化繊に裏地、または防水のもの |
雨の中にいる時間は、傘を差して歩く時間と、傘の外にいる時間を足したものです。通勤なら、家から駅、駅から職場までの徒歩の時間を足してください。秋の雨の日に何分外を歩くかが分かれば、表地の候補は2つに絞れます。
早見表|表地3種の違い
綿、化繊、ウールの撥水加工コートを、雨の日に関わる点で並べます。
| 比べるところ | 綿 | 化繊(ポリエステル・ナイロン) | ウール |
|---|---|---|---|
| 向く気温 | 最高気温15〜22度 | 最高気温5〜22度(裏地しだい) | 最高気温12度未満 |
| 撥水が落ちたあと | 水を吸って色が濃くなる | 水をほとんど吸わない | 表面で少し弾き、奥に染みる |
| 濡れたときの重さ | 重くなる | ほとんど変わらない | 重くなる |
| 乾く速さ | 遅い | 速い | 遅い |
| 濡れたときの暖かさ | 冷たく感じる | 冷たく感じにくい | 冷たく感じにくい |
| 空気の通り | 通す | 通しにくい | 通す |
| 音と光沢 | 静か、艶は控えめ | 動くと音がすることがある、艶が出やすい | 静か、艶は控えめ |
| 静電気 | 起きにくい | 起きやすい | 起きやすい |
どの表地にも向く日と向かない日があります。1枚でどの雨の日にも合う表地はないので、自分がよく出かける雨の日の条件に近いものを選んでください。
表地が何かを、内側の表示で確かめる
撥水加工コートの表地は、コートの内側についている表示で確かめられます。脇の縫い目か、首の後ろの内側にある小さな布の札を探してください。
| 表示の書き方 | 読み方 |
|---|---|
| 表地 綿100% | 綿の表地 |
| 表地 ポリエステル100% | 化繊の表地 |
| 表地 毛100% | ウールの表地 |
| 表地 綿65% ポリエステル35% | 混紡。多いほうの綿として読む |
| 表地 毛70% ナイロン30% | 混紡。多いほうのウールとして読む |
| 裏地 ポリエステル100% | 裏地がある |
| 裏地の記載がない | 裏地がないか、背中だけのことがある |
表示の「毛」はウールのことです。表地と裏地が別々に書いてあるものは、裏地がついています。裏地の有無で着られる気温が変わるので、表地と一緒に見ておいてください。
表示がないときは、触って・透かして・持って見分ける
古着や、表示が取れてしまったコートは、手で確かめます。
| 確かめ方 | 綿 | 化繊 | ウール |
|---|---|---|---|
| 指でなでる | さらっとして、少し乾いた感触 | つるっとして、指が滑る | 少しざらっとして、温かい |
| 握って離す | しわが残りやすい | しわがすぐ戻る | しわが戻りやすい |
| 光に透かす | 目が詰んでいれば暗い | 薄くても光を通しにくい | 厚みがあり、光を通さない |
| 片手で持つ | 丈のわりに重い | 軽い | 重い |
| こすり合わせる | 音はほとんどしない | しゃりっと音がする | 音はほとんどしない |
握って離したときにしわが残るのは、綿の特徴です。化繊はすぐ戻り、ウールもゆっくり戻ります。しわの残り方と、こすったときの音の2つで、たいていは見分けられます。
綿の撥水加工コート|秋の前半の、短い雨に
綿の撥水加工コートは、目の詰んだ綿の布に撥水の加工をしたものです。秋の雨の日にいちばん出番の多い表地です。
綿のよいところは、空気を通すことです。雨の合間に晴れて気温が上がった日も、中が蒸れにくく、秋の前半、最高気温が18〜22度くらいの日にも着られます。表面に艶が出にくく、晴れた日に着ても雨の日の服に見えにくいのも、綿の扱いやすいところです。
気をつけたいのは、撥水が落ちてきたときです。綿は水を吸う素材なので、加工が効かなくなった場所から水を含んで、色が濃くなり、重くなります。乾くのにも時間がかかります。
| 綿の撥水加工コートが向く日 | 向かない日 |
|---|---|
| 駅と建物のあいだを歩くだけの雨の日 | 雨の中を30分以上歩く日 |
| 雨が降ったりやんだりする日 | 一日中、強い雨が続く日 |
| 最高気温18〜22度の秋の前半 | 最高気温が12度を下回る日 |
| 晴れの日にも同じコートを着たい | 翌朝もすぐに同じコートを着る予定の日 |
綿は、雨の中にいる時間が短い日の1枚です。雨の中を長く歩く日が多い人は、綿を1枚目にしないでください。
化繊の撥水加工コート|雨の中にいる時間が長い日に
化繊の撥水加工コートは、ポリエステルやナイロンの布に撥水の加工をしたものです。化繊は水をほとんど吸わないので、撥水の加工が落ちてきても、綿のように重くはなりません。
雨の中を30分以上歩く日、自転車で移動する日、子どもの送り迎えで外に立っている時間が長い日には、化繊が向きます。濡れても重さが変わらず、帰ってから干せば、翌朝には乾いていることが多い素材です。
化繊の弱いところは、空気を通しにくいことです。気温が高い日や、急いで歩いた日は、中が蒸れやすくなります。
| 化繊の撥水加工コートが向く日 | 向かない日 |
|---|---|
| 雨の中を30分以上歩く日 | 最高気温20度を超える、晴れ間のある日 |
| 自転車での移動、外に立っている時間の長い日 | 静かな場所で長く過ごす日(音が気になる場合) |
| 翌朝も同じコートを着る予定の日 | 乾燥した日に、ニットの上に着る日(静電気) |
| 裏地つきなら、気温の低い雨の日 | 艶を出したくない、きちんとした場 |
化繊は、表地の薄さによって着られる気温の幅が広い素材です。裏地のない薄いものは秋の前半に、裏地や中綿のあるものは冬の雨の日まで着られます。化繊は、裏地で着る時期を選ぶと覚えておいてください。
ウールの撥水加工コート|気温の低い、冷たい雨の日に
ウールのコートに撥水の加工をしたものです。ウールは、もともと表面で水を弾きやすい素材で、少し湿っても冷たく感じにくい性質があります。そこに撥水の加工を足すと、小雨や短い移動なら、雨の日にも着られるコートになります。
ウールが向くのは、最高気温が12度を下回る、冷たい雨の日です。駅と建物のあいだを歩く程度なら、雨粒を弾きながら、体を冷やさずに過ごせます。
ただし、長く雨に当たって布の奥まで水を含むと、ウールは重くなり、乾くまでに時間がかかります。濡れたウールには、独特の匂いが出ることもあります。
| ウールの撥水加工コートが向く日 | 向かない日 |
|---|---|
| 最高気温12度未満の、小雨の日 | 雨の中を30分以上歩く日 |
| 駅と建物のあいだを歩くだけの日 | 強い雨が一日続く日 |
| 雨の予報が曖昧で、晴れるかもしれない日 | 最高気温が18度を超える日 |
| きちんとした場へ行く、冷たい雨の日 | 自転車で移動する日 |
ウールは、寒さを受けるためのコートに、雨への備えを少し足したものと考えてください。雨を受けるためのコートとして選ぶなら、化繊のほうが向いています。
混紡の場合は、多いほうの素材で読む
表地が2つの素材の混紡になっているものも多くあります。この場合は、割合の多いほうの素材として読みます。
| 混紡 | 読み方 | 変わるところ |
|---|---|---|
| 綿が多く、ポリエステルが少ない | 綿として読む | 綿100%より、しわと乾きが少しよい |
| ポリエステルが多く、綿が少ない | 化繊として読む | 化繊100%より、音と艶が控えめ |
| ウールが多く、ナイロンが少ない | ウールとして読む | ウール100%より、こすれに強い |
| ウールとポリエステルが半々 | 両方の性質が半分ずつ | 重さと乾きは、ウール100%より軽く速い |
綿とポリエステルの混紡は、綿の見た目と、化繊の乾きやすさを少しずつ持っています。秋の雨の日に1枚目を選ぶなら、綿が多めの混紡は扱いやすい選択です。
最高気温で分ける|表地と裏地を足して見る
撥水加工コートを着られる気温は、表地の素材と裏地の有無を足して決まります。
| 表地 | 裏地 | 着られる最高気温の目安 |
|---|---|---|
| 綿 | なし | 15〜22度 |
| 綿 | あり | 12〜18度 |
| 化繊(薄手) | なし | 15〜22度 |
| 化繊 | あり | 10〜17度 |
| 化繊 | 中綿や取り外せる裏地 | 5〜15度 |
| ウール | なし | 10〜15度 |
| ウール | あり | 5〜12度 |
裏地があると、着られる気温が1段下がります。**秋の前半から着たいなら、裏地のないもの。**冬の雨の日まで着たいなら、裏地のあるものか、取り外せる裏地のついたものを選んでください。
雨の日は、同じ最高気温でも晴れた日より体感が下がります。日差しがなく、湿った空気が肌に触れるからです。表の気温の目安は、雨の日の体感に合わせて、晴れた日より1〜2度低い側に寄せてあります。晴れた日にも同じコートを着るなら、表の上限より1〜2度高い日まで着られます。
背中の上半分だけに裏地がついた、背抜きと呼ばれる仕立てもあります。これは、裏地なしと裏地ありのあいだとして読んでください。綿の背抜きなら、最高気温13〜20度くらいが着やすい帯です。
雨の中にいる分数で分ける
同じ最高気温でも、雨の中にいる時間によって、向く表地が変わります。
| 雨の中にいる時間 | 撥水の加工に頼れるか | 向く表地 |
|---|---|---|
| 10分まで | 頼れる | どの表地でも |
| 10〜20分 | 頼れる。加工が落ちていなければ | 綿、化繊、ウール |
| 20〜30分 | 加工の落ちた場所から染みることがある | 化繊、綿が多めの混紡 |
| 30分以上 | 加工だけでは足りないことがある | 化繊、防水のもの |
雨の強さでも、この分数は動きます。傘に当たる音がはっきり聞こえる強い雨の日は、表の分数を半分に見積もってください。反対に、傘を差さなくても歩ける霧のような雨なら、表の分数より長くいられます。
20分を超えると、こすれて加工が落ちた場所、縫い目、肩の上から、水が入ってきやすくなります。そのとき表地が水を吸うかどうかで、濡れ方が大きく変わります。雨の中にいる時間が長いほど、水を吸わない表地を選ぶことになります。
濡れたときの重さで、帰り道の楽さが変わる
雨の中を歩いたあとのコートの重さは、表地によって違います。
| 表地 | 濡れたあとの重さ | 帰り道の感じ方 |
|---|---|---|
| 綿 | はっきり重くなる | 肩に重さを感じる |
| 化繊 | ほとんど変わらない | 行きと同じ |
| ウール | 重くなる | 肩と袖が重くなる |
| 綿とポリエステルの混紡 | 少し重くなる | 綿より軽い |
重さが出るのは、撥水の加工が落ちて、布が水を含んだときです。加工がよく効いているあいだは、どの表地でも重さはほとんど変わりません。撥水の加工が落ちてきた2年目、3年目のコートほど、この違いが出ます。
買うときには新品なので、どの表地も同じように水を弾きます。売り場で差が見えないぶん、数年たったときの姿を想像して選ぶことが大切です。長く着るつもりの1枚なら、加工が落ちても重くなりにくい化繊か混紡、加工が落ちたら戻す手入れを続けられるなら綿やウール、と考えてください。
乾き方と、翌朝また着られるか
雨の日のあと、翌朝も同じコートを着るかどうかで、表地の選び方が変わります。
| 表地 | 室内に一晩干したとき | 翌朝 |
|---|---|---|
| 綿 | 表面は乾くが、縫い目や裾に湿りが残ることがある | 湿りが残っていれば、別のコートにする |
| 化繊 | 乾いていることが多い | そのまま着られる |
| ウール | 奥に湿りが残ることがある | 湿りが残っていれば、もう一日干す |
雨の日が続く時期に、コートが1枚しかないなら、化繊か、綿とポリエステルの混紡が安心です。綿やウールの撥水加工コートを持っているなら、雨が続く週に交代で着るもう1枚を決めておくと、湿ったコートを着ずに済みます。濡れたあとの干し方ははっ水(撥水)コートと防水コートの違いでも扱っています。
撥水の落ち方は、素材よりこすれ方で決まる
撥水の加工は、洗うたびに、こすれるたびに少しずつ落ちていきます。落ちる速さは、表地の素材よりも、どこがどれだけこすれるかで決まります。
| 場所 | 落ちやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 肩掛けの鞄の紐が当たるところ | 落ちやすい | 歩くたびにこすれる |
| 袖の内側、脇の下 | 落ちやすい | 腕を振るたびにこすれる |
| 背中の下、お尻のあたり | 落ちやすい | 座るたびにこすれる |
| 前の打ち合わせ | ふつう | 手で触れることが多い |
| 背中の上 | 落ちにくい | ほとんどこすれない |
綿のコートは、加工が落ちた場所から水を吸うので、落ちた場所がはっきり分かります。化繊のコートは、加工が落ちても水を吸わないので、落ちたことに気づきにくくなります。**化繊こそ、ときどき水を一滴落として確かめる。**確かめ方と戻し方はレインコートの撥水が効かなくなったときにまとめています。
音と光沢|きちんとした場に着ていくか
化繊の撥水加工コートは、動くとしゃりっと音がしたり、表面に艶が出たりすることがあります。雨の日の服らしく見えやすい表地です。
| 場面 | 綿 | 化繊 | ウール |
|---|---|---|---|
| 通勤 | 向く | 向く | 向く |
| 子どもの送り迎え | 向く | 向く | 向きにくい(汚れと乾き) |
| きちんとした場への移動 | 向く | 艶の控えめなものなら | 向く |
| 静かな場所で長く過ごす | 向く | 音の出にくいものなら | 向く |
| 休日の外出 | 向く | 向く | 向く |
きちんとした場へ行く雨の日には、綿かウールの表地のほうが、雨の日のためだけの服に見えにくくなります。化繊を選ぶなら、表面の艶が控えめで、こすっても音の小さいものを探してください。
中に着る服との相性
撥水加工コートの中に何を着るかでも、表地の向き不向きがあります。
| 中に着る服 | 綿の表地 | 化繊の表地 | ウールの表地 |
|---|---|---|---|
| 薄い長袖のブラウス | 合う | 合う | 厚みに差が出る |
| 中厚手のニット | 合う | 静電気が起きやすい | 合う |
| 毛足のあるニット | 合う | 毛が裏地に付きやすい | 毛足どうしが絡みやすい |
| ジャケット | 肩が窮屈にならないか確かめる | 合う | 肩が窮屈になりやすい |
乾燥した日に、化繊の表地や裏地のコートをウールのニットの上に着ると、脱ぐときにぱちっと静電気が起きることがあります。雨の日は空気が湿っているので起きにくいのですが、雨上がりの晴れた日に同じ組み合わせで着ると起きやすくなります。
色で選ぶ|濡れた跡がどう見えるか
撥水加工コートの色は、濡れた跡の見え方にも関わります。
| 色 | 濡れた跡 | 撥水が落ちたときの見え方 |
|---|---|---|
| ベージュ、明るい色 | 水を吸うと、そこだけ濃くなって目立つ | 落ちた場所がすぐ分かる |
| 紺、黒、深い色 | 水を吸っても色の変化が小さい | 落ちた場所に気づきにくい |
| カーキ、中くらいの色 | 少し濃くなる | ほどほどに分かる |
雨の日の足元は、跳ね返りで裾が汚れやすくなります。明るい色のコートは、裾の泥はねも目立ちます。雨の中を歩く時間が長い人が明るい色を選ぶなら、丈を膝の上か膝の少し下までにして、跳ね返りの届きにくい丈にしておくと、帰ってから拭く手間が減ります。
明るい色の綿のコートは、撥水が落ちた場所がすぐ分かるので、手入れの時期を見逃しにくい色です。深い色は濡れた跡が目立たないぶん、落ちたことに気づくのが遅れます。深い色のコートは、見た目で判断せず、水を一滴落として確かめてください。
通勤で1枚を兼ねるなら、綿とポリエステルの混紡から
晴れの日も雨の日も、同じコートで通勤したいという人は多いはずです。1枚で兼ねるなら、綿とポリエステルの混紡で、綿がやや多いものから探してください。
綿の見た目で、晴れた日にも雨の日の服に見えにくく、ポリエステルが入っているぶん、濡れても綿100%より重くなりにくく、乾きも早くなります。裏地がないか、取り外せる裏地のものなら、秋の前半から寒くなる時期まで使えます。
雨の中を歩く時間が毎日30分を超えるなら、混紡でも足りないことがあります。その場合は、化繊の表地のコートを通勤用に、綿のコートを休日用に、と分けてください。
袖口と襟の仕立てで、表地の差が縮まる
表地の素材だけでなく、袖口と襟の仕立ても、雨の日の濡れ方を左右します。同じ綿のコートでも、仕立てによって雨の中にいられる時間が変わります。
袖口は、雨がいちばん入りやすい場所の1つです。傘を持つ腕を上げると、袖口が開いて、手首から肘へ向かって雨が伝ってきます。袖口にベルトやボタンがあって、手首の太さに合わせて絞れるものは、この入り方を減らせます。絞れない広い袖口のコートは、雨の中にいる時間の目安を5分ほど短く見積もってください。
襟は、立てられるかどうかを見ます。襟を立てて前を留めると、首の後ろから入る雨を受けられます。襟の裏側に留め具があって、立てた状態を保てるものは、雨の強い日に頼りになります。
前の打ち合わせの深さも、濡れ方に関わります。前が深く重なるダブルの仕立ては、シングルより前から雨が入りにくくなります。重なりの幅の見方は撥水トレンチコートで詳しく扱っています。**表地で迷ったら、仕立てで差を埋める。**綿のコートでも、袖口が絞れて襟が立ち、前が深く重なるものなら、雨の中にいる時間を少し長く見積もれます。
自転車の日と、外に立っている日は、化繊に寄せる
雨の日の過ごし方の中でも、自転車で移動する日と、外に立って待つ時間が長い日は、表地の選び方が変わります。
自転車に乗ると、雨は上からではなく前から当たります。太ももの上、膝、袖の前側が、傘を差して歩くときよりずっと多く濡れます。しかも、ペダルをこぐたびに太ももの上の布がこすれるので、撥水の加工がそこから落ちていきます。自転車の日は、雨の中にいる時間が短くても、化繊の表地を選んでください。綿のコートで自転車に乗ると、太ももの上だけが水を吸って重くなり、降りたあとも冷たさが残ります。
子どもの送り迎えや、屋外の行事で外に立っている日は、雨の中にいる時間が長くなりがちです。立っているあいだは体が温まらないので、濡れたときに冷たく感じにくい化繊か、ウールと化繊の混紡が向きます。
どちらの日も、裾の長さにも気をつけてください。自転車の日は、裾が長いとサドルや車輪に触れて汚れます。外に立つ日は、裾が長いほうが脚まで雨を受けられます。同じ雨の日でも、動く日と立つ日で、合う丈が逆になります。
手入れの手間は、表地で変わる
撥水加工コートは、雨の季節のあいだ何度も着るものです。家でどこまで手入れできるかも、表地を選ぶときに考えておきたいところです。
まず、コートの内側についている洗濯の表示を見てください。家で洗えるかどうか、乾燥機にかけてよいか、アイロンの温度はどこまでかが書いてあります。
綿の撥水加工コートは、家で洗える表示のものが多くあります。ただ、洗うたびに撥水の加工は少しずつ落ちるので、汚れが目立つまでは、濡れた布で表面を拭く手入れにとどめると、加工が長く残ります。
化繊の撥水加工コートは、乾きが早いぶん、家で洗っても翌日には着られることが多い素材です。洗ったあとは、表示が許す範囲で低い温度の熱を当てると、撥水の加工が戻ることがあります。
ウールの撥水加工コートは、家で洗えない表示のものが多くあります。雨に当たったあとは、ハンガーに掛けて、形を整えてから室内で干し、乾いたらブラシで表面をなでて、寝た毛を起こしてください。手入れの手間が少ないほうから並べると、化繊、綿、ウールの順になります。
どちらとも取れるとき①|秋から冬まで1枚で通したい
撥水加工コートを1枚だけ持つなら、秋から冬まで通したい、という人もいるでしょう。
| 選び方 | 秋 | 冬 | 向く人 |
|---|---|---|---|
| 化繊で、取り外せる裏地つき | 裏地を外して着る | 裏地をつけて着る | 雨の中を歩く時間が長い人 |
| 綿とポリエステルの混紡、裏地なし | そのまま着る | 中に厚手のニットを着る | 肩と袖にゆとりがあるものを選べる人 |
| ウールと化繊の混紡、裏地つき | 前を開けて着る | 前を閉じて着る | 雨の中にいる時間が短い人 |
| 綿、裏地なし | そのまま着る | 通すのは難しい | 冬は別のコートを着る人 |
取り外せる裏地のついた化繊のコートが、いちばん幅広く通せます。綿の裏地のないコートで冬まで通そうとすると、中に厚手のニットを着ることになり、袖や肩が窮屈になりやすくなります。冬まで通すなら、中に厚手を着られる袖幅があるかを、秋のうちに確かめてください。
どちらとも取れるとき②|雨の中にいる時間が、日によって違う
平日は駅まで10分、休日は雨の中を1時間歩く、というように、雨の中にいる時間が日によって違う人もいます。
この場合は、長いほうの日に合わせるか、短いほうの日に合わせるかを、雨の日の回数で決めてください。
| 長く歩く雨の日 | 短く歩く雨の日 | 選び方 |
|---|---|---|
| 月に1〜2回 | ほとんどの雨の日 | 綿を選び、長く歩く日は折りたたみの雨具を足す |
| 週に1回以上 | 残りの雨の日 | 化繊を選ぶ |
| 半々 | 半々 | 綿とポリエステルの混紡を選ぶ |
| 長く歩く日が決まっている | それ以外 | 長く歩く日用に化繊を1枚、ふだんは綿 |
**多いほうの雨の日に合わせて、少ないほうは足して受ける。**月に1〜2回しかない長い雨の日のために、ふだんの雨の日に蒸れる化繊を着続ける必要はありません。
どちらとも取れるとき③|ウール混で「撥水」と書いてある
ウールが多めの混紡で、撥水加工と書いてあるコートは、雨の日のコートなのか、冬のコートなのか迷うところです。
このコートは、冬のコートとして選んでください。雨の日にも着られる冬のコート、と考えると、使い方がはっきりします。
| 使い方 | 向くか |
|---|---|
| 冷たい雨の日の、駅と建物のあいだ | 向く |
| 雨の予報が曖昧な冬の日 | 向く |
| 秋の雨の日 | 気温が高すぎることが多い |
| 雨の中を長く歩く日 | 向かない |
雨の日のためのコートは、別に1枚持つか、化繊の撥水加工コートを選んでください。ウール混の撥水は、冬の日の「急に降ってきても慌てない」ための加工です。
どちらとも取れるとき④|撥水加工のないコートを、雨の日に着たい
手持ちのコートに撥水加工がなく、それでも雨の日に着たいという場合もあります。市販の撥水スプレーで加工を足すことはできますが、表地によって向き不向きがあります。
| 表地 | スプレーを足したとき |
|---|---|
| 目の詰んだ綿 | 効きやすい。表面で水が玉になる |
| 化繊 | 効きやすい |
| ウール | 効くが、毛足があると表面が固くなることがある |
| 目の粗い布 | 目のあいだから水が通るので、効きにくい |
スプレーを使うときは、目立たない裏側で色が変わらないかを先に確かめてください。スプレーで足した撥水は、工場で加工したものより落ちやすいので、雨の日が続く時期は、こまめに水を一滴落として確かめます。
売り場で確かめる順番
撥水加工コートを売り場で選ぶときは、次の順に確かめてください。
| 順番 | 確かめること | 分かること |
|---|---|---|
| 1 | 内側の表示で、表地の素材を見る | 綿・化繊・ウールのどれか |
| 2 | 同じ表示で、裏地の有無を見る | 着られる気温の段 |
| 3 | 片手で持って、重さを見る | 濡れたときにどのくらい重くなりそうか |
| 4 | 布をこすって、音を聞く | 静かな場所で気にならないか |
| 5 | 中に着る服を着て、腕を前に伸ばす | 袖と肩に中の服が入るか |
| 6 | 肩掛けの鞄を掛けて、紐の当たる場所を見る | 撥水が先に落ちる場所 |
売り場では、実際に水を掛けて確かめることはできません。そのぶん、表示と手ざわりと重さから、雨の日の姿を組み立てる必要があります。手に取ったコートの表地が、自分がよく出かける雨の日の条件に合っているかを、この記事の最初の表と照らし合わせてください。
1と2で候補が決まり、3から6で1枚に絞れます。**表地と裏地を先に見てから、形を見る。**形から選ぶと、気に入った1枚が自分の雨の日に合わない表地だった、ということが起きます。サイズの選び方はレインコートのサイズ選び方で扱っています。
まとめ
- 撥水加工コートは、表地の素材で着る時期が決まる。綿は秋の前半、化繊は雨の中にいる時間が長い日、ウールは冷たい雨の日
- 表地は内側の表示で確かめる。表示がなければ、しわの残り方と、こすったときの音で見分ける
- 裏地があると、着られる気温が1段下がる。表地と裏地を足して、その日の最高気温に合わせる
- 雨の中にいる時間が20分を超えるなら、水を吸わない表地を選ぶ
- 撥水の加工は、素材よりこすれ方で落ちる。化繊と深い色のコートこそ、水を一滴落として確かめる
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よくある問い
- Q. 撥水加工コートは、綿と化繊のどちらを選べばいいですか
- 雨の中にいる時間で分けてください。傘の外にいる時間や、傘を差して歩く時間が合わせて20分ほどまでなら、綿で足ります。綿は空気を通すので、雨の合間に晴れた日も蒸れにくく、秋の前半に着やすい表地です。雨の中を30分以上歩く日が多いなら、化繊が向きます。撥水が落ちてきても水を吸いにくく、濡れても重くなりにくいからです。
- Q. ウールのコートに撥水加工がしてあれば、雨の日に着られますか
- 小雨や短い移動なら着られます。ウールは表面で水を弾きやすく、少し湿っても冷たく感じにくい素材です。ただ、長く雨に当たって布の奥まで水を含むと、重くなって乾くまでに時間がかかります。雨の中を長く歩く日には、ウールの撥水コートより、化繊の撥水コートか、防水のものを選んでください。冷たい雨の日に、駅と建物のあいだを歩く程度の使い方が向いています。
- Q. 撥水加工は、どのくらいもちますか
- 表地の素材より、洗う回数とこすれる回数で落ちていきます。肩掛けの鞄の紐が当たる場所、袖の内側、背中の下のように、こすれる場所から先に弾かなくなります。水を一滴落として、5秒たっても玉のまま残っていれば、まだ効いています。すぐに広がって染みこむようなら、撥水が落ちています。戻し方は別の記事にまとめています。
- Q. 秋から冬まで、撥水加工コートを1枚で通せますか
- 表地と裏地の組み合わせによっては通せます。化繊の表地に取り外せる裏地がついたもの、ウールと化繊の混紡に裏地がついたものは、秋は裏地を外すか前を開けて、冬は裏地をつけて前を閉じる、という使い分けができます。綿の表地に裏地のないものは、秋の前半に向く1枚なので、冬まで通すなら中に厚手のニットを着ることになり、袖や肩が窮屈になりやすくなります。
— メグラシ編集部





