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撥水コートが水を弾かない|表が濡れ色か、縫い目から染みるかで直す

メグラシ編集部//読了 11分
雨上がりの玄関で、ドアに掛けたベージュのコートの肩に水滴が丸く残り、袖の一部だけが濃く濡れている

撥水コートが水を弾かなくなったら、まず水がどこで止まっているかを見てください。表地そのものが濡れて色が濃くなっているなら、撥水が落ちています。洗う、熱を当てる、撥水剤を足す、の順で戻ります。

表地は水を弾いているのに、肩や縫い目、袖口から中に染みてくるなら、撥水では止まりません。撥水剤を何度かけても直らないので、着方を変えるか、雨の多い日は防水の上着に替えます。

表地は乾いているのに、コートの内側やその下の服が湿っているなら、それは雨ではなく中の蒸れです。撥水には何も問題がありません。中に着る物と、前の開け方を変えます。この記事では、この3つの見分け方と、それぞれの直し方を順に書きます。

水がどこで止まっているかで、3つに分ける

濡れ方を見て、自分がどれに当てはまるかを決めます。

濡れ方起きていること直す側
表地が濡れ色になる・水が玉にならない撥水が落ちている(汚れ・加工が寝た・加工が減った)コートの手入れ
表地は弾くのに肩・縫い目・袖口から染みる撥水ではふさげない所から水が入っている着方か、上着の種類
表地は乾いているのに内側が湿る体から出た湿気が外に抜けずに結露している中に着る物と前の開け方

いちばん多いのは1つめですが、2つめと3つめも少なくありません。とくに秋冬は、中に厚手のニットを着る日が増えるので、3つめの蒸れが出やすくなります。

確かめ方:水を1滴落として、30秒見る

どれに当てはまるか分からないときは、乾いたコートを平らな所に置いて、表地にスプーン1杯ほどの水を落とします。場所は、よく濡れると感じる所と、ふだんあまり触らない所の2か所です。

水が丸い粒のまま転がって、傾けると落ちるなら、撥水は効いています。粒が平たく広がって、30秒ほどで生地の色が濃くなるなら、撥水が落ちています。

紺色のコートの表地の接写で、左側では水が丸い粒になって光り、右側では水が広がって生地が濃く染みている
同じコートでも、よく擦れる所から撥水は落ちます。粒になる所と染みる所が分かれていれば、手入れで戻せる側です。

この確かめ方で撥水が効いているのに、着ていると濡れるなら、2つめか3つめです。肩や縫い目の内側が濡れているなら2つめ、背中や脇の内側が全体にしっとりしているなら3つめと考えます。

表が濡れ色になる:撥水が落ちている3つの理由

撥水が落ちる理由は、大きく3つあります。どれかによって、やることの順番が決まります。

ひとつめは、汚れです。皮脂や排気のすす、雨に含まれる汚れが表地に付くと、水がそこになじんで広がります。袖口、前の打ち合わせ、襟の内側、バッグが当たる腰のあたりから落ちやすいのはこのためです。

ふたつめは、加工が寝てしまうことです。撥水加工の多くは、生地の表で細かい毛のように立って水を弾いています。着てこすれたり、たたんで押されたりすると、これが寝ます。

みっつめは、加工そのものが減ることです。洗う回数を重ねると、少しずつ落ちていきます。これは熱では戻らず、足すしかありません。

順番は、汚れを落とす、熱を当てる、足す、です。最初から撥水剤をかけると、汚れの上に膜を作ってしまい、かえって弾かなくなることがあります。

濡れ色の人が最初にやること:汚れを落とす

まず洗濯表示を見て、家で洗えるかを確かめます。洗えるなら、中性洗剤を少なめに使い、すすぎを1回多くします。柔軟剤は入れません。柔軟剤とすすぎ残しの洗剤は、どちらも生地の表に膜を作って、水をなじませる側に働きます。

家で洗えないコートは、汚れやすい所だけを拭きます。ぬるま湯で固く絞った布で、袖口と前の打ち合わせ、襟の内側を叩くように拭いて、乾いた布で水気を取ります。こするとかえって加工が寝るので、叩くのが基本です。

拭いたあと、もう一度水を1滴落としてみてください。汚れだけが理由なら、ここで粒に戻ります。

洗っても弾かない:熱を当てて加工を起こす

洗っても、拭いても粒に戻らないときは、加工が寝ている可能性があります。熱を当てると、寝ていた加工が立ち上がって、弾く力が戻ることがあります。

熱を当ててよいかどうかは、洗濯表示で決まります。アイロンの印に点があれば、その温度以下で当てられます。必ず当て布をして、押しつけずに滑らせます。乾燥機の印で許されているときは、低温で短く回します。

アイロン台の上でベージュのコートに白い当て布を重ね、グレーのニットの女性がアイロンを滑らせている
熱は当て布の上から、表示の温度以下で。寝ていた加工が起きれば、もう一度1滴落としたときに粒に戻ります。

ウールの表地や、表示でアイロンも乾燥機も禁止されているものには、熱を当てないでください。ウールはもともと表面の油分で水を弾く素材なので、熱を当てても戻りません。表地の素材ごとの違いは、撥水加工コートの選び方|表地が綿か化繊かウールかで着る時期が違うにまとめています。

熱でも戻らない:撥水剤を足す

熱を当てても粒に戻らなければ、加工そのものが減っています。ここで初めて撥水剤を足します。

スプレーの撥水剤は、洗って完全に乾かしたあとに使います。濡れた生地や、汚れの上にかけると、ムラになったり膜ができたりします。屋外の風通しのよい所で、生地から20〜30cmほど離し、表示に従ってまんべんなくかけます。

よく濡れる袖口、肩、前の打ち合わせ、バッグが当たる腰のあたりは、少し多めにかけておきます。かけたあとは表示どおりに乾かし、熱を当ててよいコートなら、乾いてから当て布でアイロンを当てると定着しやすくなります。

足したあとは、ひと月に一度ほど水を1滴落として確かめれば、次に足す時期が分かります。

表は弾くのに縫い目や肩から染みる:撥水では止まらない

水を落とすと粒になるのに、着ていると肩や縫い目の内側が濡れる。この場合は、撥水を戻しても直りません。

撥水コートの生地には細かい隙間が残っていて、縫い目には針の穴があります。小雨なら表で弾いて落ちますが、肩のように雨を受け続ける所、リュックの肩ひもで押しつけられる所、縫い目が集まる所からは、水が少しずつ押し込まれます。防水の上着は、縫い目の裏をテープでふさいで、生地の裏にも膜を張っています。撥水コートには、たいていこの作りがありません。

雨の駅前で、ベージュの撥水コートを着た女性の鎖骨から膝までで、肩から腕の縫い目にかけてだけ色が濃くなっている
肩と縫い目だけが濃くなるのは、撥水が落ちたのではなく、押し込まれた水です。傘の差し方と荷物の持ち方で受ける場所を変えます。

直し方は、受ける場所を変えることです。傘を少し前に倒して肩にかぶせる、リュックは雨の日だけ手で持つバッグに替える、肩ひもが当たる所にだけ防水の小さな覆いを付ける、といったやり方です。外を歩く時間が長い日は、撥水コートではなく防水の上着に替えたほうが早く片づきます。雨の中に長くいる日の上着の選び方は、レインコートの選び方 冬|中に着る1枚と、蒸れの抜け道で選ぶを見てください。

表は乾いているのに内側が湿る:外ではなく中の水

表地を触ると乾いているのに、コートの裏地や中のニットがしっとりしている。これは雨が通ったのではなく、体から出た湿気が外に抜けずに、コートの内側で冷えて水になったものです。

秋冬は、外が冷たく、中に厚手のニットを着て、駅まで早足で歩く日が多くなります。体は温まって湿気を出し、コートの表は外気で冷えるので、内側で結露しやすくなります。撥水がよく効いているコートほど、表をふさいでいるぶん、湿気の逃げ場が少なくなります。

直すのは中のほうです。中に綿のニットやスウェットを着ているなら、ウールか化繊のニットに替えます。綿は湿気を吸って乾きにくく、冷たく感じます。歩いている間は前のボタンを1つか2つ開けて、湿気の出口を作ります。電車に乗ったら、すぐに前を開けます。

どちらとも取れるとき:順番を決めて1つずつ外す

表も少し濡れ色で、肩も染みて、中も湿っている、ということがあります。この場合は、手間の少ない順に1つずつ外していきます。

最初は、蒸れを外します。次に雨が降った日に、中を薄いウールのニットに替えて、歩くときに前を開けてみます。それで内側の湿りが消えれば、残りは表の問題です。

次に、表の撥水を戻します。汚れを落として、熱を当てて、必要なら撥水剤を足します。水を1滴落として粒に戻ったのを確かめてから、次の雨で着ます。

それでも肩や縫い目から染みるなら、残っているのは押し込まれる水です。傘の差し方と荷物の持ち方を変えて、それでも濡れる日は防水の上着に替えます。この順番で進めると、撥水剤を何度もかけ直したり、まだ着られるコートを手放したりせずに済みます。

秋冬の雨で、撥水を長持ちさせる着方としまい方

撥水を長く保つには、落ちる理由を減らすことです。汚れ、こすれ、押しつけの3つです。

濡れて帰ったら、まず軽く振って水を落とし、ハンガーに掛けて風の通る所で乾かします。たたんだまま袋に入れたり、濡れたままクローゼットに戻したりすると、加工が押されて寝ます。乾かし方は雨に濡れたコートの乾かし方|素材と濡れた範囲で、掛ける場所を決めるも参考にしてください。

ショルダーバッグをいつも同じ側に掛けていると、その肩と腰だけが早く弾かなくなります。雨の日はバッグを掛ける側を変えるか、手で持つバッグにすると、こすれる場所が散ります。

シーズンの終わりにしまう前に一度洗って、熱を当ててよいものは当てておきます。汚れが付いたまま半年しまうと、次の秋に出したとき、最初の雨から弾きません。

撥水コートで足りない日

撥水コートは、小雨と、駅や車までの短い移動に向いた上着です。弾く力が戻っていても、次のような日は足りません。

外を30分以上歩く日、風で雨が横から当たる日、自転車に乗る日、子どもの送り迎えで傘を差せない時間がある日です。こうした日は、撥水コートの手入れでは追いつかないので、はじめから防水の上着か、傘を前提にした服装に替えます。

撥水コートを「何でも防げる上着」と考えず、小雨と短い移動の日のための1着と決めておくと、弾かなくなったときにも慌てずに済みます。

まとめ:濡れている場所が、直す場所を教えてくれる

撥水コートが弾かないときは、水を1滴落として、どこで止まっているかを見ます。表が濡れ色なら、洗う、熱を当てる、撥水剤を足すの順で戻します。表は弾くのに肩や縫い目から染みるなら、撥水では止まらないので、受ける場所を変えるか防水の上着に替えます。表は乾いているのに内側が湿るなら、中の蒸れなので、中に着る物と前の開け方を変えます。

3つが重なっているときは、蒸れ、表の撥水、押し込まれる水の順に1つずつ外していきます。

よくある質問

Q. 撥水コートは洗うと撥水が落ちますか 汚れが付いたままのほうが撥水は落ちるので、汚れたら洗うのが基本です。柔軟剤を入れず、洗剤は少なめにして、すすぎを1回多くしてください。洗ったあとに熱を当ててよいものは、当て布をしてアイロンを当てると戻ることがあります。

Q. アイロンや乾燥機で撥水が戻るのは本当ですか 寝てしまった撥水加工が熱で立ち上がって、弾く力が戻ることがあります。熱を当ててよいかは洗濯表示で決まるので、表示の温度以下で、アイロンは必ず当て布をして使ってください。

Q. 撥水スプレーはどれくらいの間隔でかければいいですか 回数より、水を1滴落として確かめるほうが確実です。粒が平たく広がって生地の色が濃くなったら足す時期です。秋冬によく着るなら、ひと月に一度ほど確かめてください。

Q. 撥水と防水は何が違いますか 撥水は表で水を弾く働きで、強い雨や押しつけられた水は通ります。防水は生地の裏の膜と縫い目のテープで水そのものを通さない作りです。撥水コートは小雨と短い移動、雨の中に長くいる日は防水の上着と分けて使います。

— メグラシ編集部

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