撥水コートが水を弾かない|表が濡れ色か、縫い目から染みるかで直す

撥水コートが水を弾かなくなったら、まず水がどこで止まっているかを見てください。表地そのものが濡れて色が濃くなっているなら、撥水が落ちています。洗う、熱を当てる、撥水剤を足す、の順で戻ります。
表地は水を弾いているのに、肩や縫い目、袖口から中に染みてくるなら、撥水では止まりません。撥水剤を何度かけても直らないので、着方を変えるか、雨の多い日は防水の上着に替えます。
表地は乾いているのに、コートの内側やその下の服が湿っているなら、それは雨ではなく中の蒸れです。撥水には何も問題がありません。中に着る物と、前の開け方を変えます。この記事では、この3つの見分け方と、それぞれの直し方を順に書きます。
水がどこで止まっているかで、3つに分ける
濡れ方を見て、自分がどれに当てはまるかを決めます。
| 濡れ方 | 起きていること | 直す側 |
|---|---|---|
| 表地が濡れ色になる・水が玉にならない | 撥水が落ちている(汚れ・加工が寝た・加工が減った) | コートの手入れ |
| 表地は弾くのに肩・縫い目・袖口から染みる | 撥水ではふさげない所から水が入っている | 着方か、上着の種類 |
| 表地は乾いているのに内側が湿る | 体から出た湿気が外に抜けずに結露している | 中に着る物と前の開け方 |
いちばん多いのは1つめですが、2つめと3つめも少なくありません。とくに秋冬は、中に厚手のニットを着る日が増えるので、3つめの蒸れが出やすくなります。
確かめ方:水を1滴落として、30秒見る
どれに当てはまるか分からないときは、乾いたコートを平らな所に置いて、表地にスプーン1杯ほどの水を落とします。場所は、よく濡れると感じる所と、ふだんあまり触らない所の2か所です。
水が丸い粒のまま転がって、傾けると落ちるなら、撥水は効いています。粒が平たく広がって、30秒ほどで生地の色が濃くなるなら、撥水が落ちています。

この確かめ方で撥水が効いているのに、着ていると濡れるなら、2つめか3つめです。肩や縫い目の内側が濡れているなら2つめ、背中や脇の内側が全体にしっとりしているなら3つめと考えます。
表が濡れ色になる:撥水が落ちている3つの理由
撥水が落ちる理由は、大きく3つあります。どれかによって、やることの順番が決まります。
ひとつめは、汚れです。皮脂や排気のすす、雨に含まれる汚れが表地に付くと、水がそこになじんで広がります。袖口、前の打ち合わせ、襟の内側、バッグが当たる腰のあたりから落ちやすいのはこのためです。
ふたつめは、加工が寝てしまうことです。撥水加工の多くは、生地の表で細かい毛のように立って水を弾いています。着てこすれたり、たたんで押されたりすると、これが寝ます。
みっつめは、加工そのものが減ることです。洗う回数を重ねると、少しずつ落ちていきます。これは熱では戻らず、足すしかありません。
順番は、汚れを落とす、熱を当てる、足す、です。最初から撥水剤をかけると、汚れの上に膜を作ってしまい、かえって弾かなくなることがあります。
濡れ色の人が最初にやること:汚れを落とす
まず洗濯表示を見て、家で洗えるかを確かめます。洗えるなら、中性洗剤を少なめに使い、すすぎを1回多くします。柔軟剤は入れません。柔軟剤とすすぎ残しの洗剤は、どちらも生地の表に膜を作って、水をなじませる側に働きます。
家で洗えないコートは、汚れやすい所だけを拭きます。ぬるま湯で固く絞った布で、袖口と前の打ち合わせ、襟の内側を叩くように拭いて、乾いた布で水気を取ります。こするとかえって加工が寝るので、叩くのが基本です。
拭いたあと、もう一度水を1滴落としてみてください。汚れだけが理由なら、ここで粒に戻ります。
洗っても弾かない:熱を当てて加工を起こす
洗っても、拭いても粒に戻らないときは、加工が寝ている可能性があります。熱を当てると、寝ていた加工が立ち上がって、弾く力が戻ることがあります。
熱を当ててよいかどうかは、洗濯表示で決まります。アイロンの印に点があれば、その温度以下で当てられます。必ず当て布をして、押しつけずに滑らせます。乾燥機の印で許されているときは、低温で短く回します。

ウールの表地や、表示でアイロンも乾燥機も禁止されているものには、熱を当てないでください。ウールはもともと表面の油分で水を弾く素材なので、熱を当てても戻りません。表地の素材ごとの違いは、撥水加工コートの選び方|表地が綿か化繊かウールかで着る時期が違うにまとめています。
熱でも戻らない:撥水剤を足す
熱を当てても粒に戻らなければ、加工そのものが減っています。ここで初めて撥水剤を足します。
スプレーの撥水剤は、洗って完全に乾かしたあとに使います。濡れた生地や、汚れの上にかけると、ムラになったり膜ができたりします。屋外の風通しのよい所で、生地から20〜30cmほど離し、表示に従ってまんべんなくかけます。
よく濡れる袖口、肩、前の打ち合わせ、バッグが当たる腰のあたりは、少し多めにかけておきます。かけたあとは表示どおりに乾かし、熱を当ててよいコートなら、乾いてから当て布でアイロンを当てると定着しやすくなります。
足したあとは、ひと月に一度ほど水を1滴落として確かめれば、次に足す時期が分かります。
表は弾くのに縫い目や肩から染みる:撥水では止まらない
水を落とすと粒になるのに、着ていると肩や縫い目の内側が濡れる。この場合は、撥水を戻しても直りません。
撥水コートの生地には細かい隙間が残っていて、縫い目には針の穴があります。小雨なら表で弾いて落ちますが、肩のように雨を受け続ける所、リュックの肩ひもで押しつけられる所、縫い目が集まる所からは、水が少しずつ押し込まれます。防水の上着は、縫い目の裏をテープでふさいで、生地の裏にも膜を張っています。撥水コートには、たいていこの作りがありません。

直し方は、受ける場所を変えることです。傘を少し前に倒して肩にかぶせる、リュックは雨の日だけ手で持つバッグに替える、肩ひもが当たる所にだけ防水の小さな覆いを付ける、といったやり方です。外を歩く時間が長い日は、撥水コートではなく防水の上着に替えたほうが早く片づきます。雨の中に長くいる日の上着の選び方は、レインコートの選び方 冬|中に着る1枚と、蒸れの抜け道で選ぶを見てください。
表は乾いているのに内側が湿る:外ではなく中の水
表地を触ると乾いているのに、コートの裏地や中のニットがしっとりしている。これは雨が通ったのではなく、体から出た湿気が外に抜けずに、コートの内側で冷えて水になったものです。
秋冬は、外が冷たく、中に厚手のニットを着て、駅まで早足で歩く日が多くなります。体は温まって湿気を出し、コートの表は外気で冷えるので、内側で結露しやすくなります。撥水がよく効いているコートほど、表をふさいでいるぶん、湿気の逃げ場が少なくなります。
直すのは中のほうです。中に綿のニットやスウェットを着ているなら、ウールか化繊のニットに替えます。綿は湿気を吸って乾きにくく、冷たく感じます。歩いている間は前のボタンを1つか2つ開けて、湿気の出口を作ります。電車に乗ったら、すぐに前を開けます。
どちらとも取れるとき:順番を決めて1つずつ外す
表も少し濡れ色で、肩も染みて、中も湿っている、ということがあります。この場合は、手間の少ない順に1つずつ外していきます。
最初は、蒸れを外します。次に雨が降った日に、中を薄いウールのニットに替えて、歩くときに前を開けてみます。それで内側の湿りが消えれば、残りは表の問題です。
次に、表の撥水を戻します。汚れを落として、熱を当てて、必要なら撥水剤を足します。水を1滴落として粒に戻ったのを確かめてから、次の雨で着ます。
それでも肩や縫い目から染みるなら、残っているのは押し込まれる水です。傘の差し方と荷物の持ち方を変えて、それでも濡れる日は防水の上着に替えます。この順番で進めると、撥水剤を何度もかけ直したり、まだ着られるコートを手放したりせずに済みます。
秋冬の雨で、撥水を長持ちさせる着方としまい方
撥水を長く保つには、落ちる理由を減らすことです。汚れ、こすれ、押しつけの3つです。
濡れて帰ったら、まず軽く振って水を落とし、ハンガーに掛けて風の通る所で乾かします。たたんだまま袋に入れたり、濡れたままクローゼットに戻したりすると、加工が押されて寝ます。乾かし方は雨に濡れたコートの乾かし方|素材と濡れた範囲で、掛ける場所を決めるも参考にしてください。
ショルダーバッグをいつも同じ側に掛けていると、その肩と腰だけが早く弾かなくなります。雨の日はバッグを掛ける側を変えるか、手で持つバッグにすると、こすれる場所が散ります。
シーズンの終わりにしまう前に一度洗って、熱を当ててよいものは当てておきます。汚れが付いたまま半年しまうと、次の秋に出したとき、最初の雨から弾きません。
撥水コートで足りない日
撥水コートは、小雨と、駅や車までの短い移動に向いた上着です。弾く力が戻っていても、次のような日は足りません。
外を30分以上歩く日、風で雨が横から当たる日、自転車に乗る日、子どもの送り迎えで傘を差せない時間がある日です。こうした日は、撥水コートの手入れでは追いつかないので、はじめから防水の上着か、傘を前提にした服装に替えます。
撥水コートを「何でも防げる上着」と考えず、小雨と短い移動の日のための1着と決めておくと、弾かなくなったときにも慌てずに済みます。
まとめ:濡れている場所が、直す場所を教えてくれる
撥水コートが弾かないときは、水を1滴落として、どこで止まっているかを見ます。表が濡れ色なら、洗う、熱を当てる、撥水剤を足すの順で戻します。表は弾くのに肩や縫い目から染みるなら、撥水では止まらないので、受ける場所を変えるか防水の上着に替えます。表は乾いているのに内側が湿るなら、中の蒸れなので、中に着る物と前の開け方を変えます。
3つが重なっているときは、蒸れ、表の撥水、押し込まれる水の順に1つずつ外していきます。
よくある質問
Q. 撥水コートは洗うと撥水が落ちますか 汚れが付いたままのほうが撥水は落ちるので、汚れたら洗うのが基本です。柔軟剤を入れず、洗剤は少なめにして、すすぎを1回多くしてください。洗ったあとに熱を当ててよいものは、当て布をしてアイロンを当てると戻ることがあります。
Q. アイロンや乾燥機で撥水が戻るのは本当ですか 寝てしまった撥水加工が熱で立ち上がって、弾く力が戻ることがあります。熱を当ててよいかは洗濯表示で決まるので、表示の温度以下で、アイロンは必ず当て布をして使ってください。
Q. 撥水スプレーはどれくらいの間隔でかければいいですか 回数より、水を1滴落として確かめるほうが確実です。粒が平たく広がって生地の色が濃くなったら足す時期です。秋冬によく着るなら、ひと月に一度ほど確かめてください。
Q. 撥水と防水は何が違いますか 撥水は表で水を弾く働きで、強い雨や押しつけられた水は通ります。防水は生地の裏の膜と縫い目のテープで水そのものを通さない作りです。撥水コートは小雨と短い移動、雨の中に長くいる日は防水の上着と分けて使います。
— メグラシ編集部





